生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_微生物の鑑別方法
出願番号:1999244111
年次:2010
IPC分類:C12Q 1/04,C12Q 1/25,C12M 1/34


特許情報キャッシュ

板垣 はつえ 椛沢 啓吾 JP 4414515 特許公報(B2) 20091127 1999244111 19990830 微生物の鑑別方法 三菱化学メディエンス株式会社 591122956 森田 憲一 100090251 山口 健次郎 100139594 板垣 はつえ 椛沢 啓吾 20100210 C12Q 1/04 20060101AFI20100121BHJP C12Q 1/25 20060101ALI20100121BHJP C12M 1/34 20060101ALI20100121BHJP JPC12Q1/04C12Q1/25C12M1/34 B C12Q 1/00-1/24 G01N 1/28-1/44 G01N 33/48-33/98 C12M 1/00-1/42 PubMed JSTPlus(JDreamII) JMEDPlus(JDreamII) JST7580(JDreamII) 特開平10−313892(JP,A) 特開平07−072051(JP,A) 特開平06−181745(JP,A) 国際公開第97/003209(WO,A1) 犬塚和久,サルモネラの検査法,検査と技術,1999年 2月 1日,vol.27,no.2,p.143−150 井上耕博、外2名,酵素基質を主体にしたサルモネラおよびSTEC O157:H7の簡易-迅速同定,第19回 日本食品微生物学会 学術総会 講演要旨集,1998年10月14日,p.57 5 2001061495 20010313 9 20060829 清水 晋治 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、発色または発光を用いた微生物の生化学的性状による鑑別方法に関する。【0002】【従来の技術】臨床検査あるいは食品検査における細菌の鑑別は、通常、分離培地上の孤立集落を純培養した後、その生化学的性状を鑑別表に照合して行われる。例えば、分離培地上にサルモネラを疑われる集落が生じたら、生化学的同定を行い、それがサルモネラであることを確かめなくてはならない。その決定は、生化学的性状にもとづいて行うことを原則としている。そのため、細菌の鑑別を行うには、目的微生物に対応した数十種類の生化学的性状検査試験用培地が必要であり、また、検査材料を培地に接種した後、18〜72時間また試験項目によっては1週間培養を行う必要があるため、検査の結果が出るまでに長時間を要する。また、検査項目によっては菌の性状試験結果が不明瞭な場合もあり、その判断には熟練性も要求される。【0003】【発明が解決しようとする課題】上記のように、感染症の診断や食品細菌検査における従来の技術は菌分離後多くの生化学的性状検査が必要で、多種類の培地と日数が必要となり、その操作も繁雑で、また場合によっては鑑別結果の誤認の危険性もある。この事実は、感染症の診断や食品の細菌検査に大きな支障となっているのが現状である。細菌の鑑別が生化学的性状によって行われるのは周知のことであるが、それらの性状の一つひとつはそれぞれの酵素の現れで、一つの性状試験はいくつもの酵素の作用によるもので二重、三重の手間がかかり、このことが鑑別に長時間を有する原因となっている。従って、感染症の治療や予防対策手段の早期決定、あるいは安全な食品供給にその検査成績が必ずしも反映されているとは言い難い。本発明は、こうした微生物検査が抱える諸問題を解決することを目的とするものである。【0004】【課題を解決するための手段】本発明は、生化学的性状による微生物の鑑別において、当該微生物が有する酵素活性によって発色または発光する物質、あるいは発色物質または発光物質を結合した酵素基質を含ませた吸水性を有する担体と、検体処理物あるいは培地上に発育した孤立集落を直接接触させた後、当該担体の発色または発光を検出することを特徴とする微生物の鑑別方法、に関する。以下、本発明を詳述する。【0005】【発明の実施の形態】本発明は、臨床検査あるいは食品検査における細菌の簡易で迅速な鑑別法を提供するものである。具体的には、検体処理物(例えば、尿の遠心沈査等)あるいは分離培地上に孤立集落を形成する特定細菌が有する酵素活性の有無を調べることで、分離した菌を判別することを基本とする。この特異酵素を確認する試薬として、発色物質または発光物質をそのまま、あるいは発色物質または発光物質を酵素基質に結合して用いる。この試薬を吸水性を有する担体に含ませておき、分離培地上の孤立集落と前記担体とを直接接触させて、適当な条件下で細菌の酵素活性により変化または遊離する発色物質または発光物質由来の信号を検出する。このとき、必要に応じて発色試薬を用いる。【0006】前記発色物質としては、数多くの公知物質を用いることができる。例えば、4−ニトロフェノール、2−ニトロフェノール、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル、6−クロロ−3−インドリル、4−ニトロアニリン、β−ナフチルアミン等の誘導体およびトリプトファン、ゼラチン、馬尿酸塩、ドーパミン、テトラメチルパラフェニレンジアミン、クエン酸ナトリウム、硝酸塩、リシン、オルニチン、アルギニン、α−ナフトール、および各種糖類などの従来の生化学性状検査に用いる物質等を挙げることができる。【0007】前記発光物質としては、数多くの公知物質を用いることができる。例えば、4−メチルウンベリフェロン、7−アミド−4−メチルクマリン、4−メトキシ−2−ナフチルアミン、7−アミノ−4−トリフルオロメチルクマリン、およびこれらの誘導体を挙げることができる。【0008】上記発色物質あるいは発光基質を結合させる酵素基質となる物質としては、例えば、L−ピログルタミン酸、β−D−ガラクトピラノシド、α−D−ガラクトピラノシド、β−D−グルコピラノシド、α−D−グルコピラノシド、β−D−キシロピラノシド、α−L−アラビノピラノシド、β−D−セロピラノシド、β−D−グルクロニド、α−D−グルクロニド、β−D−フコピラノシド、N−アセチル−β−D−ガラクトサミニド、N−アセチル−β−D−グルコサミニド、α−D−マンノピラノシド、β−D−マンノピラノシド、ブチレイト、β−N−アセチルグルコサミニド、β−N−アセチルガラクトサミニド、カプリル酸、L−アスパラギン酸、L−グルタミン酸、グリシル−プロリン、L−ヒスチジン、L−プロリン、セリル−トリプシン、L−バリン、L−アルギニン、L−リシン、L−ロイシン、L−メチオニン、L−フェニルアラニン、L−アルギニル−L−アルギニン、N−サクシニル−L−アラニル−L−プロリル−L−アラニン、L−グルタリルグリシン−L−アルギニン、L−グルタミル−L−リシル−L−リシン、L−リシン−L−アラニン、L−プログルタミン酸、L−バリン、L−アラニン、硫酸、尿素、リン酸、L−ピロリドンカルボキシリル酸、デオキシリボスクレイン酸等を挙げることができる。発色物質や発光物質を酵素基質と結合するには公知の手段でペプチド結合、エステル結合、グリコシド結合等の共有結合で結合すれば良い。あるいは市販品を用いることができる。【0009】上記のようにして得た発色物質または発光物質あるいは発色物質または発光物質を結合した酵素基質を含ませる吸水性を有する担体としては、その機能を有していれば特に限定されない。例えば、紙、濾紙、セルロース、不織布、綿等を挙げることができる。この担体をそのまま使用しても良いし、あるいはガラス、プラスチック、木材、金属等の適当な部材に具備させ、取り扱い易くして用いることもできる。その形状および長さ、太さは特に限定されない。【0010】発色物質または発光物質、あるいは発色物質または発光物質を結合した酵素基質を吸水性を有する担体に含ませる(染み込ませる)方法としては、これらの物質を適当な溶媒に溶解させ、その液を担体に含ませれば良い。このとき、発色物質、発光物質あるいは酵素基質の性能に影響を与えない溶媒を選択する。例えばN,N,−ジメチルフォルムアミド、ジメチルスルフォキシド、エタノール、メタノール、アセトン、トルエン、ブタノール、塩酸、りん酸緩衝液、精製水等を使用できる。具体的には、発色物質または発光物質、あるいは発色物質または発光物質を結合した酵素基質の0.01〜20%の溶解液を10μl〜100μl染み込ませ、自然乾燥、送風乾燥、減圧乾燥、凍結乾燥等で乾燥させて用いる。【0011】本発明における試料としては、血液、尿、糞便、髄液、皮膚あるいは咽頭拭い液、喀痰など全ての臨床材料および牛乳および乳製品、肉および肉製品、魚介類および魚介類製品、冷凍食品、日配食品、飲料水、飼料および飼料製品、菓子類、香辛料などの食品全般から分離した菌を用いる。【0012】臨床材料あるいは食品中の病原性細菌の一般的な検査手順は試料から培養により菌分離を行った後、数多くの生化学性状試験培地で1日から7日培養後判定した成績を生化学性状鑑別表に照合して菌種を確認する、という工程を経る。対して本発明は、尿の遠心沈査等の検体処理物をそのまま、あるいは分離培地上の孤立集落に上記担体を直接接触させ瞬時〜60分後、例えば10分後に担体自体の発色または発光を肉眼で判定する事で、菌の有無および鑑別を行う。あるいは、機械的に発色または発光を検出しても良い。【0013】例えば、分離された菌がサルモネラであると鑑別するとき、分離培地としてMLCB寒天培地を用いた場合、発育した黒色集落(硫化水素産生による)を95%エタノールにL−ピロログルタミン酸−2−ナフチルアミドを0.05〜0.5%に溶解した液を、例えば工業用綿棒(株式会社日本綿棒)に30〜50μlを染み込ませ、37℃、2時間乾燥させた担体(試薬を含む部分)と接触させ、綿棒を0.03〜0.1Mリン酸緩衝液(pH4.0〜10.0)30μl分注した小試験管に担体部分が当該緩衝液で湿潤する状態で(緩衝液が小試験管底に残留しない程度)入れ、37℃、10分間反応させ、発色試薬(1.0%の4−ジメチルアミノシンナムアルデヒド溶液)を加えて綿棒の色調変化を肉眼で判定する(PYR試験)。分離培地上で黒色集落を示し、PYR試験陰性(色調変化無しあるいは青色に変色)の場合サルモネラであると鑑別が出来る。【0014】本発明において、発色または発光物質、あるいはそれを結合する酵素基質の種類とその組み合わせによって、種々の菌の選択に利用することができる。例えば、サルモネラ(Salmonella)、サイトロバクター(Citrobacter)、クレブシエラ(Klebsiella)、エスケリチア・コリー(Escherichia coli)、セラチア(Serratia)、プロテウス(Proteus)、プロビデンシア(Providencia)、モルガネーラ(Morganella)、エンテロバクター(Enterobacter)、ストレプトコッカス(Streptcoccus)、エンテロコッカス(Enterococcus)、ナイセリア(Neisseria)、バクテロイデス(Bacteroides)、カンジダ(Candida)、スタフィロコッカス(Staphylococcus)、カンピロバクター(Campylobacter)、リステリア(Listeria)等の鑑別が行える。【0015】 上記のように作製した担体は、その材質、形状を問わず、冷蔵保存(2〜10℃)であれば少なくとも6ヶ月間は試薬性能(発色性、発光性)の劣化は見られず安定的に使用できる。驚くべきことに、吸水性を有する担体に綿棒を使用した場合、4℃、25℃、37℃で保存試験を行った結果、何れの温度でも24ヶ月間に渡りその性能が変わることはなく、極めて保存性に優れていた。従って、24ヶ月以上の期間が経過しても使用できる可能性がある。このことは本発明の使用範囲・試験条件を大幅に広げることになる、という格別なる効果を発揮するものである。【0016】【参考例】本発明の試薬調製及び担体の作製例を以下に示す。(A)β−ガラクトシダーゼテスト(MGALテスト)用4−メチルウンベリフェリル−β−D−ガラクトシド(入手先:シグマ社)をN−N−ジメチルフォルムアミドに溶解し、終濃度として前記酵素基質が0.05〜0.5%、溶媒が10〜50%になるように0.03〜0.1Mリン酸緩衝液(pH4.0〜10.0)で希釈調整した液を工業用綿棒(株式会社 日本綿棒)に30〜50μl染み込ませ、37℃で18時間、乾燥後、乾燥剤入の遮光容器に入れて保存した。【0017】(B)β−グルクロニダーゼテスト(MUGテスト)用4−メチルウンベリフェリル−β−D−グルクロニド(入手先:ナカライテスク社)をN−N−ジメチルフォルムアミドに溶解し、終濃度として酵素基質が0.05〜0.5%、溶媒が10〜50%になるように0.03〜0.1Mリン酸緩衝液(pH4.0〜10.0)で希釈調整した液を工業用綿棒に30〜50μl染み込ませ、37℃で18時間、乾燥後、乾燥剤入の遮光容器に入れて保存した。【0018】(C)β−キシロシダーゼテスト(MXYLテスト)用4−メチルウンベリフェリル−β−D−キシロピラノシド(入手先:フルカ)をN−N−ジメチルフォルムアミドに溶解し、終濃度として酵素基質が0.05〜0.5%、溶媒が10〜50%になるように0.03〜0.1Mリン酸緩衝液(pH4.0〜10.0)で希釈調整した液を工業用綿棒に30〜50μl染み込ませ、37℃で18時間、乾燥後、乾燥剤入の遮光容器に入れて保存した。【0019】(D)L−ピロリドニルペプチダーゼテスト(PYRテスト)用95%のエタノール液に0.05〜0.5%のL−ピロログルタミン酸−2−ナフチルアミド(入手先:フルカ)を工業用綿棒に30〜50μl染み込ませ、37℃、2時間乾燥し、乾燥剤入りの遮光瓶に入れて保存した。(発色試薬)1Nの塩酸に4−ジメチルアミノシンナムアルデヒド(入手先:シグマ社)を1%に溶解したものを遮光瓶に入れて保存した。【0020】(E)インドールテスト(INDテスト)用熱した0.03〜0.1Mリン酸緩衝液(pH4.0〜10.0)に0.05〜0.3%のL−トリプトファン(入手先:和光純薬工業)を溶解し、その液を工業用綿棒に30〜50μl染み込ませ、37℃、18時間乾燥後、乾燥剤入りの遮光瓶に入れて保存した。(発色ディスク)リン酸10ml、メタノール50mlの混合液にパラジメチルベンズアルデヒドを5g溶解し、その液を直径7mmの濾紙(アドバンテック社)ディスクに30μl染み込ませ室温で風乾し、乾燥剤入りの遮光瓶に入れて保存した。【0021】(F)トリプトファンデアミナーゼテスト(TDAテスト)用熱した0.03〜0.1Mリン酸緩衝液(pH4.0〜10.0)に0.05〜0.3%のL−トリプトファンを溶解し、その液を工業用綿棒に30〜50μl染み込ませ、37℃、18時間乾燥し、乾燥剤入りの遮光瓶に入れて保存した。(発色試薬)6Nの塩酸に塩化第二鉄を10%となるように溶解したものを遮光瓶に入れて保存した。【0022】【実施例】以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。実施例1:実験室保存株の鑑別(A)試験菌及び試験菌の培養試験菌はすでに同定済みの以下に示す実験室保存株を用いて行った。1.エスケリチア・コリー O157:H7(Escherichia coli O157:H7)2.エスケリチア・コリー O157:H7(Escherichia coli O157:H7)3.エスケリチア・コリー O26:H11(Escherichia coli O26:H11)4.エスケリチア・コリー O1:H7(Escherichia coli O1:H7)5.サルモネラ、血清型 エンテリティディス(Salmonella、血清型Enteritidis)6.サルモネラ、血清型 チフィミリュウム(Salmonella、血清型 Typhimurium)7.サイトロバクター・フレウンディー(Citrobacter freundii)8.プロテウス・ブルガリス(Proteus vulgaris)9.プロテウス・ミラビリス(Proteus mirabilis)10.クレブシエラ・ニューモニア(Klebsiella pneumoniae)11.エンテロバクター・クロアカ(Enterobacter cloacae)12.セラチア・マルセッスセンス(Serratia marcescens)試験菌をブレインハートインフュージョン寒天培地(BBL社)で37℃、6時間培養後、以下の各テストに供試した。【0023】(B)MGALテスト試験菌をMGALテスト用基質綿棒に接触させ0.067Mリン酸緩衝液(pH8.0)を30μl分注した小試験管に入れ、37℃、10分間反応させた後、366nmのUVランプを照射し、綿棒の発光(陽性の場合:青色蛍光、陰性の場合:無蛍光)の有無を肉眼で判定した。【0024】(C)MUGテスト試験菌をMUGテスト用基質綿棒に接触させ0.067Mリン酸緩衝液pH8.0を30μl分注した小試験管に入れ、37℃、10分間反応させた後、366nmのUVランプを照射し綿棒の発光(陽性の場合:青色蛍光、陰性の場合:無蛍光)の有無を肉眼で判定した。【0025】(D)MXYLテスト試験菌をMXYLテスト用基質綿棒に接触させ0.067Mリン酸緩衝液pH8.0を30μl分注した小試験管に入れ、37℃、10分間反応させた後、366nmのUVランプを照射し綿棒の発光(陽性の場合:青色蛍光、陰性の場合:無蛍光)の有無を肉眼で判定した。【0026】(E)PYRテスト試験菌をPYRテスト用基質綿棒に接触させ0.067Mリン酸緩衝液pH8.0を30μl分注した小試験管に入れ、37℃、10分間反応させた後、発色液30μlを添加し、綿棒の色調変化(陽性の場合:赤色、陰性の場合:無変化)を肉眼で判定した。【0027】(F)INDテスト試験菌をINDテスト用基質綿棒に接触させ0.067Mリン酸緩衝液pH8.0を30μl分注した小試験管に入れ、発色ディスク1個を添加して、37℃、10分間反応させた後、ディスクの色調変化(陽性の場合:ピンク〜赤色、陰性の場合:無変化)を肉眼で判定した。【0028】(G)TDAテスト試験菌をTDAテスト用基質綿棒に接触させ0.067Mリン酸緩衝液pH8.0を30μl分注した小試験管に入れ、37℃、10分間反応させた後、発色液30μlを添加し、綿棒色調変化(陽性の場合:赤褐色、陰性の場合:無変化)を肉眼で判定した。【0029】(H)結果各試験菌種の基質綿棒を用いた生化学的性状を【表1】に示した。【0030】【表1】【表1】に示す如く各菌種の持つ生化学的性状は一致した。なお、表中の+は陽性、−は陰性を示す。【0031】実施例2:スクリーニング試薬としての有用性確認(A)材料および方法供試株は臨床および食品からの分離株ですでにATB(bioMerirus)で同定済みの株を用いた。1.チフス菌を含むサルモネラ・スピーシーズ 35血清型(Salmonella spp.35血清型)80株およびサルモネラ・アリゾナ(Salmonella Arizona)1株2.エスケリチア・コリー O157:H7(VT+)14株3.エスケリチア・コリー O157:H7(VT−)4株4.エスケリチア・コリー O157:H−(VT+)1株5.サイトロバクター・フレウンディー(Citrobacter freundii)4株6.プロテウス・ミララビリス(Proteus mirabilis)7株7.クレブシエラ・ニューモニア(Klebsiella pneumoniae)2株8.エンテロバクター・クロアカ(Enterobacter cloacae)5株9.セラチア・マルセッスセンス(Serratia marcescens)5株【0032】(B)実施した発光酵素基質試験と試験菌株1.β−ガラクトシダーゼテスト:大腸菌群2.β−グルクロニダーゼテスト:エスケリチア・コリー3.β−キシロシダーゼテスト:クレブシエラ−エンテロバクター【0033】(C)実施した発色酵素基質試験と試験菌株4.L−ピロリドニルペプチダーゼテスト:サルモネラ−サイトロバクター5.インドールテスト、トリプトファンデアミナーゼテスト:プロテウス−プロビデンシア−モルガネーラ【0034】(D)試験菌の培養と試験法試験菌はTSB(OXOID社)で37℃18時間静置培養した供試株をBHIA及びCHROMagarO157TAM(関東化学:以下CHROM)培地に画線塗抹し、培地上に発育した集落を基質綿棒で直接釣菌後、0.067Mリン酸緩衝液30μl滴下した小試験管内で37℃、10分間反応させた後、実施例1と同様な方法で処理判定した。【0035】(E)結果BHIA及びCHROMに発育したエスケリチア・コリー O157、サルモネラとも予測された酵素活性を示した。供試したエスケリチア・コリー O157はβ−ガラクトシダーゼテスト、トリプトファナーゼテスト全てに陽性を示し、β−グルクロニダーゼテストは陰性であった。サルモネラ・スピーシーズはL−ピロリドニルペプチダーゼテスト全てに陰性を示し、陽性株のサイトロバクターと鑑別できた。サルモネラ・スピーシーズはトリプトファンデアミナーゼテストが全て陰性を示し、陽性のプロテウスとの鑑別が可能である。β−グルクロニダーゼテストでBHIA及びCHROM発育菌がサルモネラ・アリゾナ、サルモネラ・スピーシーズのサルモネラ・ブランデンブルグ(S.Brandenburg)、サルモネラ・グルンペンシス(S.Grumpensis)、サルモネラ・モンテビデオ(S.Montevideo)、サルモネラ・ムエンスター(S.Muenster)、サルモネラ・オスマルシェン(S.Othmarschen)、サルモネラ・シュバルツェングランド(S.Schwarzengrund)は陽性を示した。(S.は、サルモネラを、次にくるArizona等の語は血清型を表している。)β−グルクロニダーゼは志賀毒素産生性大腸菌O157を除く大腸菌が有する酵素であるが、一部のシゲラおよびサルモネラの特定の血清型が本酵素を有し、本試験成績は既に報告のあるβ−グルクロニダーゼ陽性のサルモネラ血清型と一致した。【0036】以上の結果から、本発明の発色または発光酵素基質担体(綿棒)は、サルモネラおよびエスケリチア・コリー O157同定過程でのスクリーニングとして有用である事が確認できた。【0037】【発明の効果】以上説明したように、本発明によって得られた成績は、従来の細菌同定に用いられていた生化学的性状と完全に一致するものである。従って、臨床材料或いは食品検査において、分離培地上に発育した集落の鑑別をする場合、従来行なわれている方法では多数の培地と培養ステップが必要で結果判定まで数日必要であったが、本発明は少なくとも、分離培地上に菌の発育が認められたら十数分以内には菌種が鑑別することを可能とするものである。また、本発明の担体は長期間安定的に保存でき、コスト面でも効果がある。この迅速性、簡易性および経済性は、細菌検査を治療、予防、安全食品の供給等のためにより一般的な試験方法として適用することを可能にする。 生化学的性状による微生物の鑑別において、当該微生物が有する酵素活性によって発色または発光する物質、あるいは発色物質または発光物質を結合した酵素基質を含ませた綿棒と、検体処理物あるいは培地上に発育した孤立集落を直接接触させた後、当該綿棒の発色または発光を検出する微生物の鑑別方法であって、前記綿棒が、前記物質又は酵素基質を溶媒に溶解させ、その溶解液を綿棒に染み込ませ、乾燥させることにより、前記物質又は酵素基質を含ませたものであることを特徴とする、前記の微生物の鑑別方法。 前記発色又は発光反応を、緩衝液で綿棒が湿潤する状態で実施する、請求項1に記載の微生物の鑑別方法。 前記溶媒がN−N−ジメチルフォルムアミドであって、前記溶解液が、前記物質又は酵素基質をN−N−ジメチルフォルムアミドに溶解した後、リン酸緩衝液で希釈調整した液である、請求項1又は2に記載の微生物の鑑別方法。 微生物が有する酵素活性によって発色または発光する物質、あるいは発色物質または発光物質を結合した酵素基質を含ませた、請求項1〜3のいずれか一項に記載の微生物の鑑別方法用の綿棒であって、前記綿棒が、前記物質又は酵素基質を溶媒に溶解させ、その溶解液を綿棒に染み込ませ、乾燥させることにより、前記物質又は酵素基質を含ませたものであることを特徴とする、前記綿棒。 前記溶媒がN−N−ジメチルフォルムアミドであって、前記溶解液が、前記物質又は酵素基質をN−N−ジメチルフォルムアミドに溶解した後、リン酸緩衝液で希釈調整した液である、請求項4に記載の綿棒。


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