生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_唾液分泌促進組成物
出願番号:1999241394
年次:2010
IPC分類:A61K 38/00,A61K 38/48,A61P 1/02,A61P 1/14,C07K 7/06,C12N 9/48,C12N 9/76,A61K 8/64,A61K 8/66,A61Q 11/00,A23G 3/34,A23G 4/00,C12Q 1/40,C12Q 1/68


特許情報キャッシュ

川畑 篤史 黒田 良太郎 荒木 宏昌 河合 健蔵 西川 裕之 JP 4515560 特許公報(B2) 20100521 1999241394 19990827 唾液分泌促進組成物 扶桑薬品工業株式会社 000238201 青山 葆 100062144 田中 光雄 100081422 川畑 篤史 黒田 良太郎 荒木 宏昌 河合 健蔵 西川 裕之 20100804 A61K 38/00 20060101AFI20100715BHJP A61K 38/48 20060101ALI20100715BHJP A61P 1/02 20060101ALI20100715BHJP A61P 1/14 20060101ALI20100715BHJP C07K 7/06 20060101ALI20100715BHJP C12N 9/48 20060101ALI20100715BHJP C12N 9/76 20060101ALI20100715BHJP A61K 8/64 20060101ALN20100715BHJP A61K 8/66 20060101ALN20100715BHJP A61Q 11/00 20060101ALN20100715BHJP A23G 3/34 20060101ALN20100715BHJP A23G 4/00 20060101ALN20100715BHJP C12Q 1/40 20060101ALN20100715BHJP C12Q 1/68 20060101ALN20100715BHJP JPA61K37/02A61K37/547A61P1/02A61P1/14C07K7/06C12N9/48C12N9/76A61K8/64A61K8/66A61Q11/00A23G3/00 101A23G3/30C12Q1/40C12Q1/68 Z A61K 38/00 A61K 38/48 A61P 1/02 A61P 1/14 C07K 7/06 C12N 9/48 C12N 9/76 A23G 3/34 A23G 4/00 A61K 8/64 A61K 8/66 A61Q 11/00 C12Q 1/40 C12Q 1/68 BIOSIS(STN) CAplus(STN) EMBASE(STN) MEDLINE(STN) REGISTRY(STN) 特開平08−256684(JP,A) 3 2001064203 20010313 42 20060615 特許法第30条第1項適用 1999年3月22日〜3月25日 社団法人日本薬理学会主催の「第72回社団法人日本薬理学会年会」において文書をもって発表 馬場 亮人 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、唾液分泌促進組成物に関する。【0002】【従来の技術】唾液腺は咀嚼、消化、味覚および正常な粘膜の維持に必要な唾液分泌ならびにホルモンや成長因子の産生などの機能を有し、体の恒常性の維持に重要な役割を担っている。唾液分泌が低下する原因には様々な要因があるが、主としてシェーグレン症候群、糖尿病、肝硬変、腎疾患などの内科疾患、加齢による分泌機能低下、エイズ、唾液腺の器質的変化を起こす各種疾患、癌治療における放射線照射および各種薬物による副作用などが挙げられる。唾液分泌が低下することによる口腔内乾燥症により、咀嚼障害、嚥下困難、味覚異常、口臭発生、口腔内不快感および感染症または炎症の発生などの症状が現れる。特に、唾液腺の機能が低下した老人に、副作用として唾液分泌抑制作用を有する薬物を投与する際には注意が必要である。【0003】上記した症状を呈する口腔内乾燥症に対して、人工唾液(特公昭55−26121号、特公昭55−26122号、特公平6−84309号、特公昭56−16125号)、有機酸製剤(特開平7−101856号、特開平11−71253号)、キシリトール製剤(特開平3−83920号)、ピロカルピン製剤(特開平7−126163号)および漢方製剤(特開平10−152426号)を用いる治療方法が報告されている。しかし、口腔乾燥症は原因と症状が多岐にわたっているため、満足のいく唾液分泌量を得ることが難しかった。【0004】唾液腺には多数の受容体が存在することが報告されている。例えば、α受容体としては、α1A(Schramm, M. et al., J. Cyclic Nucleotide Res., 1, 181-192, 1975)、α1B(Porter, J. E. et al., J. Pharmacol. Exp. Ther., 263, 1062-1067, 1992)、およびα2D(Miller, G. D. et al., Biochem. Pharmacol., 31, 2197-2199, 1982;Smith, K. et al., Eur. J. Pharmacol., 219, 203-210, 1992;Laniar, S. M. et al., J. Biol. Chem., 266, 10470-10478, 1991)、β受容体としては、β1(Quissell, D. O. et al., Am. J. Physiol, 238, C99-C106, 1980;Miyamoto, A. et al., Jpn. J. Pharmacol., 38, 305-311, 1985;Helman, J. et al., J. Biol. Chem., 261, 8919-8923, 1986)、およびβ2(Horn, V. J. et al., J. Biol. Chem., 263, 12454-12460, 1988)、ムスカリン受容体としては、M3(Dai, Y. S. et al., Am. J. Physiol., 26, C1063-C1073, 1991;Laniyonu, A. et al., Eur. J. Pharmacol., 188, 171-174, 1990)、タキキニン受容体としては、NK-1(Aub, D. L. et al., Biochem. J., 255, 263-266, 1985)、NK-2およびNK-3(Mussap, C. J. et al., Ann. N.Y. Acad. Sci., 636, 447-451, 1991)、ならびにVIP(vasoactive intestinal peptide)受容体(Inoue, Y. et al., Endocrinology, 116, 686-692, 1985)、プリン受容体としては、P2Z(Gallacher, D. V., Nature, 296, 83-86, 1982;Soltoff, S. P. et al., Am. J. Physiol., 262, C934-C940, 1992)、P2U(Yu, H. et al., J. Phrmacol. Exp. Ther., 259, 1344-1350, 1991)、インシュリン受容体(Turyn, D. et al., Biochim. Biophys. Acta, 845, 333-342, 1985;Anderson, L. C. et al., Archs. Oral Biol., 37, 331-336, 1992)、およびビタミンD受容体(Peterfy, C. et al., Biochim. Biophys. Acta, 721, 158-163, 1982)、ヒスタミン受容体としては、H1(Saeki, K. et al., Arch. Int. Pharmacodyn. Ther., 255, 4-15, 1982)、H2(Seki, K. et al., Arch. Int. Pharmacodyn. Ther., 249, 52-63, 1981)、ドーパミンのD1受容体(Sundstrom, S. et al., Eur. J. Pharmacol., 145, 123-131, 1988)、ナトリウム利尿ペプチド(ANP)受容体(Cantin, M. et al., Histochemistry, 80, 113-127, 1984;Jeandel, L. et al., Am. J. Physiol., 257, E675-E680, 1989)、およびGABAA受容体(Yamagishi, H. et al., Can. J. Physiol. Pharmacol., 72, Suppl.P13.3, 1994;Anholt, R. D. H. et al., J. Pharmacol. Exp. Ther., 233, 517-526, 1985)の存在が明らかとなっており、セロトニン受容体、オピオイド受容体、エンドセリン受容体およびプロスタグランジン受容体の存在も報告されている。【0005】上記のように、唾液腺には多種多様の受容体が存在するため、唾液腺は様々な薬物により影響を受ける。従って、薬物投与時に副作用として口腔乾燥症が起こる可能性は極めて高い。上記の受容体を標的とした口腔乾燥症治療薬の開発が試みられているが、現在のところ、ムスカリン受容体を標的とする薬物のみが報告されている。ムスカリン受容体を標的とする薬物としてはベタネコールが挙げられるが、これについては頭痛、顔面紅潮、心悸亢進、悪心、嘔吐、下痢、腹痛、発汗などの広範な副作用が生じることが知られていた。【0006】一般に高齢者や小児は嚥下能力が低く、錠剤など成形錠剤の服用が困難である。しかし、成形錠剤は、散剤または顆粒剤に比較して、利用者にとって扱いやすいため、服用後、速やかに口腔内で崩壊し、高齢者や小児にも容易に服用できる成形錠剤の開発が望まれていた。さらに、水なしでも容易に服用できる固形医薬製剤の開発が望まれていた。【0007】現在までに開発された口腔内易崩壊性製剤としては、特開平11−12161号、特開平9−71523号、特開平10−182436号、特開平11−137208号、特開平11−116464号などがある。しかし、これら公報に開示されている口腔内易崩壊性製剤は、製剤自体の改良によって口腔内での易崩壊性を得るものであり、唾液量が少ない高齢者にとっては、満足した崩壊性が得られなかった。【0008】一方、口腔内難崩壊性製剤または難溶解性製剤としては、トローチ剤およびバッカル錠などがある。トローチ剤は、口腔、咽頭などに適用し、収れん、殺菌、清浄などの局所作用を期待するものであるが、唾液分泌が不十分であると、満足のいく上記の効果が得られない。また、バッカル錠は口腔内の頬側壁に固定し、唾液によって溶解させ、口腔粘膜から吸収させるようにしたものであるが、唾液分泌が不十分であると、十分な効果が期待できない。【0009】上記のように、これまでに公知の唾液腺に存在する受容体を標的とし、満足のいく唾液分泌促進剤が得られないことから、公知のメカニズムとは全く異なった経路を標的とする唾液分泌促進組成物の開発が望まれていた。【0010】【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のような従来の唾液分泌促進剤に関する問題点を解決するものであり、従来の唾液分泌促進剤とは全く異なった作用機序を介する、新規唾液分泌促進組成物を提供することを目的とする。【0011】さらに、本発明は、唾液分泌量が少ない患者にトローチ剤およびバッカル錠などの口腔内難崩壊性固形製剤を投与する場合ならびに口腔内易崩壊性固形製剤を投与する場合に存在していた問題点を解決することを目的とする。詳細には、本発明は、医薬品製剤の効果を高めるために、本発明の唾液分泌促進成分を配合した固形製剤、または固形製剤と併用される唾液分泌促進組成物を提供することを目的とする。【0012】【課題を解決するための手段】本発明者らは、唾液分泌促進組成物として好ましい薬剤を開発すべく研究を行い、唾液腺にProtease-activated receptor(PAR)が存在することを見出し、PARの1つであるPAR-2が唾液腺に存在していることを初めて証明した。かくして、本発明者らは、PAR-2に対するアゴニストが唾液分泌促進組成物として有効であることを見出した。【0013】すなわち、本発明は、(1)PAR-2を活性化させる成分を含むことを特徴とする唾液分泌促進組成物、(2)成分がペプチドである上記(1)記載の唾液分泌促進組成物、(3)ペプチドがSer-Leu-Ile-Gly-Arg-Leu-NH2(配列番号4)、Ser-Leu-Ile-Gly-Arg-Leu-OH(配列番号6)およびtrans-シンナモイル-Leu-Ile-Gly-Arg-Leu-オルニチン-NH2(配列番号7)からなる群より選択されることを特徴とする上記(2)記載の唾液分泌促進組成物、(4)成分がタンパク質である上記(1)記載の唾液分泌促進組成物、(5)タンパク質がトリプシンおよび/またはトリプターゼである上記(4)記載の唾液分泌促進組成物、(6)成分の失活化または分解を阻害する物質を併用および/または配合することを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれかに記載の唾液分泌促進組成物、(7)物質がアマスタチンである上記(6)記載の唾液分泌促進組成物、を提供するものである。【0014】【発明の実施の形態】上記のように、本発明は、PAR-2が唾液腺に存在し、このPAR-2の活性化によって唾液の分泌が促進されるという本発明者らによって初めて見出された知見に基づいている。【0015】「PAR-2を活性化させる成分」は、PAR-2を活性化する能力を有する、いずれかの天然に存在するかまたは人工的に合成された物質をいい、例えば、ペプチド、タンパク質、他の化合物などを包含する。詳細には、PAR-2を活性化させる成分としては、例えば、天然のPAR-2活性化タンパク質であるトリプシンおよびトリプターゼ、ヒトPAR-1の切断部位のアミノ酸配列に基づいて合成され、PAR-1活性化能力も有するペプチドであるSer-Phe-Leu-Leu-Arg-NH2(配列番号1)、ラットPAR-2の切断部位のアミノ酸配列に基づいて合成されたペプチドであるSer-Leu-Ile-Gly-Arg-Leu-NH2(配列番号4)およびSer-Leu-Ile-Gly-Arg-Leu-OH(配列番号6)、ならびにPAR-2を特異的に活性化することが報告されているペプチドであるtrans-シンナモイル-Leu-Ile-Gly-Arg-Leu-オルニチン-NH2(配列番号7)が挙げられる。さらに、PAR-2に対する抗体またはそのフラグメントも、PAR-2を特異的に活性化するタンパク質またはペプチドとなる可能性がある。【0016】種々の物質を、いずれかの公知の方法に従ってPAR-2を活性化する能力についてスクリーニングすることによって、PAR-2を活性化する成分を得てもよい。例えば、PAR-2と試験物質との相互作用を、放射性同位元素での標識または表面プラズモン共鳴などを使用して直接的に検出することによって、PAR-2と結合する物質をスクリーニングすることができる。PAR-2を発現する細胞または組織におけるPAR-2の活性化によって引き起こされる生物学的活性を指標として、PAR-2を介するシグナル伝達を誘導する物質をスクリーニングしてもよい。さらに、下記の唾液量の測定方法を使用して、唾液分泌促進作用を示す物質をスクリーニングすることができる。PAR-2の活性化についてのアッセイは、例えば、Hollenberg, M.D., Can. J. Physiol. Pharmacol., 75, 832-841 1997およびKawabata, A., J. Pharmacol. Exp. Ther., 288, 358-70 1999に記載されている。受容体に結合してこれに作用する物質(すなわち、アゴニスト)についてのスクリーニング方法は当該分野において周知である(例えば、Hollenberg, M.D., Trends Pharmacol. Sci., 20, 271-273 1999;Dery, O., Am. J. Physiol., 274, C1429-52 1998;Kawabata, A., J. Pharmacol. Exp. Ther., 288, 358-70 1999を参照のこと)。【0017】ここで用いる「ペプチド」なる用語は、オリゴペプチドおよび比較的短いポリペプチドをいう。ペプチドは、例えば2〜40アミノ酸残基、好ましくは3〜20アミノ酸残基、より好ましくは5〜15アミノ酸残基を含む。ペプチドは天然に存在するものであってもよく、または化学的に合成されたものでもよい。ペプチドは、例えば、Carpino, L. A. et al., J. Org. Chem., 37, 3404-3409, 1972に記載されるような公知の方法に従って合成することができる。ペプチドを組換えDNA技術を使用して製造することも可能である。さらに、ペプチドは修飾または非天然アミノ酸残基を含んでいてもよい。【0018】ここで用いる「タンパク質」なる用語は、ペプチドに比較してより長いポリペプチドをいう。タンパク質は天然供給源から精製されたものであってもよく、またはこのタンパク質をコードするDNAを含む組換え宿主細胞を培養することによって製造してもよい。ペプチドと同様に、タンパク質を化学的に合成することも可能である。タンパク質は修飾または非天然アミノ酸残基を含んでいてもよい。【0019】PAR(Protease-activated receptor)は7回膜貫通型のGタンパク質共役受容体に属し、プロテアーゼによって活性化される受容体であることが知られている(Hollenberg, M.D., Trends Pharmacol. Sci., 17, 3-6, 1996;Hollenberg, M.D., Trends Pharmacol. Sci., 20, 271-273, 1999)。PARはプロテアーゼによって、細胞外ドメイン中の特定のN末端の部位で切断され、新たなN末端を露出させる。新たに露出したN末端が鎖状リガンドとなって自身の活性部位に結合することにより、受容体の活性化が起こるものと考えられている(Hollenberg, M.D., Trends Pharmacol. Sci., 17, 3-6, 1996;Hollenberg, M.D., Trends Pharmacol. Sci., 20, 271-273, 1999;Vu, T.K. et al., Cell, 64, 1057-68, 1991)。【0020】PARには4つのサブタイプPAR-1、PAR-2、PAR-3およびPAR-4が知られており、それぞれ機能が異なることが報告されている。PAR-1、PAR-3およびPAR-4はトロンビンによって活性化され(Vu, T. K. et al., Cell, 64, 1057-1063, 1991;Hollenberg, M.D., Trends Pharmacol. Sci., 17, 3-6, 1996;Ishihara, H. et al., Nature, 386, 502-6, 1997;Kahn, M. L. et al., Nature, 394, 690-4, 1998;Xu, W. F. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 95, 6642-6, 1998)、PAR-2はトリプシン(Nystedt, S. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 91, 9208-12, 1994;Molino, M. et al., J. Biol. Chem., 272, 6011-7, 1997)およびトリプターゼ(Molino, M. et al., J. Biol. Chem., 272, 6011-7, 1997;Fox, M. T. et al., FEBS Lett, 417, 267-9, 1997)によって活性化されることが判明している。【0021】PAR-1(Vu, T.K. et al., Cell, 64, 1057-1063, 1991)、PAR-2(Nystedt, S. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 91, 9208-12, 1994)、PAR-3(Ishihara, H. et al., Nature, 386, 502-6, 1997)およびPAR-4(Kahn, M. L. et al., Nature, 394, 690-4, 1998;Xu, W. F. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 95, 6642-6, 1998)のアミノ酸配列における切断部位が知られている。PAR-1、PAR-2およびPAR-4に関しては、切断部位の活性アミノ酸配列に基づいて合成した5〜6個のアミノ酸からなる合成ペプチドを外因性に与えることにより、これらの受容体が活性化されることも知られている(Vu, T.K. et al., Cell, 64, 1057-68, 1991;Nystedt, S. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 91, 9208-12, 1994;Ishihara, H. et al., Nature, 386, 502-6, 1997;Kahn, M. L. et al., Nature, 394, 690-4, 1998;Xu, W. F. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 95, 6642-6, 1998;Dery, O. et al., Am. J. Physiol., 274, C1429-52, 1998)。【0022】PAR-2を介する細胞内シグナルの作用の1つとして、イノシトール1,4,5−トリリン酸(IP3)およびプロテインキナーゼC系の活性化が知られている(Hollenberg, M.D., Trends Pharmacol. Sci., 20, 271-273, 1999;Dery, O. et al., Am. J. Physiol., 274, C1429-52, 1998;Zheng, X. L. et al., J Pharmacol Exp Ther, 285, 325-34, 1998)。【0023】PAR-2の作用に関しては、炎症反応(Cirono, G. et al., J. Exp. Med., 183, 821-827, 1996;Kawabata, A et al., Br. J. Pharmacol., 125, 419-422, 1998)、胃、血管および気管の収縮および弛緩作用(Saifeddine, M. et al., Br. J. Pharmacol., 118, 521-531, 1996;Moffatt, J. D. et al., Br. J. Pharmacol., 125, 591-594, 1998;Cocks, T. M. et al., Nature, 398, 156-160, 1999;Hollenberg, M. D. et al., Can. J. Physiol. Pharmacol., 75, 832-884, 1997)などが報告されている。PAR-2は、前立腺、小腸、結腸、肝臓、腎臓および膵臓での発現が報告されている(Stephan, K. B. et al., Biochem. J., 341, 1009-1016, 1996)。しかし、PAR-2が耳下腺において発現していることおよび唾液の分泌に関与していることについての報告は現在までに存在せず、本発明者らによって初めて証明されたのである。【0024】PAR-2(またはPAR-1)の組織または細胞における発現は、PAR-2(またはPAR-1)をコードする遺伝子またはcDNAのヌクレオチド配列に基づいて設計したプライマーを使用して、目的の供給源から抽出した全RNAまたはmRNAを鋳型としてRT-PCR(reverse transcriptase-polymerase chain reaction)を実施し、増幅された所定の大きさのバンドを検出することによって、転写レベルで決定することができる。PAR-2(またはPAR-1)転写物の存在は、抽出したRNAおよび標識した特異的プローブを使用してノーザンブロッティングを実施することによっても検出可能である。あるいは、PAR-2(またはPAR-1)に特異的な抗体(ポリクローナルまたはモノクローナル)を使用して、発現しているPAR-2(またはPAR-1)タンパク質を検出してもよい。【0025】ここで用いる唾液腺なる用語は、唾液を分泌する腺の総称であり、特記しない限り、大唾液腺(耳下腺,顎下腺,舌下腺)および小唾液腺(口唇腺,頬腺,口蓋腺,臼歯腺,舌腺)全体をいう。【0026】唾液腺から分泌される唾液の量は、公知の方法(Takeda, Y. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 86, 392-396, 1989;Snider, R. M. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 88, 10042-10044, 1991)に従ってインビボで測定することができる。詳細には、マウスまたはラットをウレタンで麻酔し、口腔内にあらかじめ重量を測定しておいたボール状の脱脂綿を挿入し、一定時間放置した後、その脱脂綿を回収し、重量を測定し、挿入前と挿入後の重量差を唾液量とする。試験物質を投与した際に、統計的に有意な唾液量の増加が観察されれば、この物質は唾液分泌促進作用を有する。【0027】分泌された唾液の性質は、例えば、唾液中のナトリウムイオンおよびカリウムイオンを自動分析装置(例えば、664, Chiron, U.S.A.)を用いてイオン選択電極法にて測定することによって、そして唾液中のアミラーゼ活性をアミラーゼBテストワコー(和光純薬工業)のようなキットを用いて測定することによって決定することができる。【0028】PAR-2アゴニストによる唾液分泌促進作用を、分泌されるアミラーゼを指標としてインビトロで測定することもできる。例えば、ラット耳下腺スライスからのアミラーゼ分泌に対するPAR-2アゴニストの作用を、Jahn, Rらの方法(Jahn, R., Eur.J.Biochem., 112, 345-352 (1980))に従って測定することができる。詳細には、ラットを麻酔し、ラット耳下腺を取り出し、これを細切し、その一部を栄養液に浮遊させインキュベートする。インキュベーション後、栄養液を採取し、アミラーゼ分泌量を測定する(自発分泌量)。その後、PAR-2アゴニストを添加し、一定時間インキュベートし、栄養液を再度採取して、アミラーゼ分泌量を測定する。PAR-2アゴニスト添加後のアミラーゼ分泌量から自発分泌量を差し引いた値を、PAR-2アゴニストの作用によるアミラーゼ分泌量とする。統計的に有意なアミラーゼ分泌量の増加が観察されれば、このアゴニストはインビトロでの耳下腺からのアミラーゼ分泌を促進すると判断される。アミラーゼ活性の測定は、例えば、アミラーゼBテストワコー(和光純薬工業)を使用して測定することができる。このようにして測定されるインビトロ活性は、インビボにおける唾液分泌促進活性と相関することが知られている。【0029】PAR-2の活性化による唾液分泌促進作用のメカニズムは、唾液分泌に関与し得る種々の経路に特異的に作用する薬物の使用によって検討することができる。例えば、アトロピン(副交感神経遮断薬)、フェントラミン(交感神経α受容体遮断薬)、プロプラノロール(交感神経β受容体遮断薬)、インドメタシン(プロスタグランジン生合成阻害薬)などを、本発明の唾液分泌促進組成物の投与の前に動物に投与し、これらの薬物の唾液分泌促進作用に対する影響を観察することによって、自律神経系およびプロスタグランジン系の関与を検討することができる。あるいは、PAR-2の活性化による唾液分泌促進作用のメカニズムは、当業者に公知の方法に従って、細胞内でPAR-2と相互作用し、PAR-2のシグナル伝達に関与する分子を同定することによっても検討することができる。【0030】「唾液分泌促進組成物」は、PAR-2を活性化させる成分を含む、唾液分泌促進作用が所望されるいずれかの製品であり、医薬品、医薬部外品、口腔用組成物、食品などを包含する。本発明の唾液分泌促進組成物をそのまま使用してもよく、または水に希釈するなどの各種処理を施して使用してもよい。【0031】唾液分泌促進組成物中のPAR-2を活性化させる成分の配合量は製品の形態に応じて適宜選択されるが、通常、0.001〜50重量%、好ましくは0.01〜10重量%である。配合量が0.001%より少ないと、満足する唾液分泌促進作用が認められない可能性があり、また、50%を越えると製品そのものの安定性または香味などの特性が損なわれる可能性がある。【0032】本発明の唾液分泌促進組成物は、医薬品であってもよい。そのような医薬品は、例えば、口腔乾燥症の治療薬として、または唾液分泌量が少ない患者へのトローチ剤およびバッカル錠などの固形製剤の投与を容易にするために使用され得る。経口投与する場合、投与量として3mg/kg〜300mg/kgの範囲が好ましく、より好ましくは10mg/kg〜100mg/kgである。また、口腔内に局所適用する場合には、局所投与量として0.01mg/body〜10mg/bodyの範囲が好ましく、より好ましくは0.3mg/body〜3mg/bodyである。全身投与を行う場合、特に静脈内投与の場合には老若男女または体型などにより変動があるが、有効血中濃度が2μg/mL〜200μg/mL、より好ましくは5μg/mL〜100μg/mLの範囲となるように投与するのがよい。【0033】投与経路として、上記の経口投与および口腔内局所投与以外に、経粘膜投与、経皮投与、静脈内投与、筋肉内投与、皮下投与、直腸内投与などを適宜選択できる。【0034】経口投与を行う場合の剤型として、散剤、顆粒剤、カプセル剤、丸剤、錠剤、エリキシル剤、懸濁剤、乳剤およびシロップ剤などを適宜選択することができる。また、それら製剤に、下記のように、徐放化、安定化、易崩壊化、難崩壊化、腸溶性化、易吸収化などの修飾を施すことができる。また、口腔内局所投与を行う場合の剤型として、咀嚼剤、舌下剤、バッカル剤、トローチ剤、軟膏剤、貼布剤、液剤などを選択することができる。また、それら製剤に、下記のように、徐放化、安定化、易崩壊化、難崩壊化、腸溶性化、易吸収化などの修飾を施すことができる。【0035】上記の各剤型の唾液分泌促進組成物を、公知のドラッグデリバリーシステム(DDS)の技術を採用して、DDS製剤化することができる。DDSは薬物の放出速度制御および標的化の最適化を可能にする技術である。「DDS製剤」とは、徐放化製剤、局所適用製剤(トローチ、バッカル錠、舌下錠など)、薬物放出制御製剤、腸溶性製剤および胃溶性製剤などを包含し、投与経路、バイオアベイラビリティー、副作用などを勘案した上で、最適の製剤形態にした製剤をいう。【0036】公知のDDS製剤として、グラデュメット型(Gradumet)、レペタブ型(Repetabs)、スパセタブ型(Spacetabs)、スパンタブ型(Spantabs)、ロンタブ型(Lontabs)、エクステンタブ型(Extentabs)およびタイムスパン型(Timespan)などがあり、これらの製造方法に準じて本発明の唾液分泌促進組成物をDDS製剤化することができる。【0037】DDS製剤の例としては、浸透圧による薬物放出制御型内服錠剤が挙げられる。浸透圧による薬物放出制御型内服錠剤は、半過性膜によって覆われた浸透圧性薬物核から構成される。半透過性膜表面にはレーザーで小孔をあける。投与後に、消化管内の水がこの半透過性膜を通過して錠剤中に入り、半透過性膜で覆われた内部の薬物が溶解されて飽和薬物溶液が生じ、この飽和薬物溶液が小孔を通って放出される。半透過性膜としては、例えば、エチレン・酢酸ビニル共重合体が使用され、その内部の浸透圧性薬物核中には、例えば、PAR-2を活性化させる成分(例えば、SLp-NH2(下記))、グルコースおよび結晶セルロースが含まれる。【0038】DDS製剤の別の例としては、口腔粘膜吸収製剤が挙げられる。口腔粘膜吸収製剤の1つの形態は、着色支持層および粘膜付着層から構成される。着色支持層は薬物を含まず、指をこの面に付けて装着する。着色支持層中には、例えば、赤色3号、結晶セルロース、ステアリン酸マグネシウム、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテートが含有される。粘膜付着層は主薬を含有し、粘膜に強く付着する。粘膜付着層中には、例えば、架橋ポリアクリルアミド、PAR-2を活性化させる成分(例えば、SLp-NH2)、結晶セルロース、ステアリン酸マグネシウムが含有される。口腔粘膜吸収製剤の別の形態は、層状に重ねられた、被膜(例えば、エチルセルロース)、被膜によって覆われた薬物貯蔵層(例えば、PAR-2を活性化させる成分(例えば、SLp-NH2)、エタノールおよび乳糖を含有する)、放出制御膜(例えば、酢酸セルロース)、接着層(例えば、ポリアクリル酸)ならびに接着時にはがす膜(例えば、ポリエチレン)から構成される。口腔粘膜吸収製剤のさらなる形態は、薬物放出を制御する重合膜(例えば、エチレン酢酸ビニル共重合体)および重合膜(例えば、架橋ポリアクリルアミド)によってはさまれた、口の中での製剤の位置を定めるための縁に結合された薬物貯槽(例えば、PAR-2を活性化させる成分(例えば、SLp-NH2)およびグルコースを含有する)から構成される。【0039】DDS製剤は、基本的に、有効成分としての薬物、および治療プログラムに基づいて選択される薬物放出モジュールから構成される。DDS製剤の各々の構成要素は、特に、放出を停止させた後に速やかに血中濃度が低下する、半減期の短い物質であることが好ましく、投与部位の生体組織と反応しないことが好ましい。治療プログラムは、設定された期間において最良の薬物濃度を維持するように設計するのが好ましい。薬物放出モジュールは、設計された治療プログラムを実現するように選択され、基本的に、薬物貯蔵庫、放出制御部、エネルギー源および放出孔または放出表面を有している。これらの基本的構成要素は全て揃っている必要はなく、適宜追加または削除などを行って、最良の形態を選択することができる。【0040】DDS製剤の薬物放出モジュールに使用できる材料としては、高分子、シクロデキストリン誘導体、レシチンなどがある。高分子には不溶性高分子(シリコーン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体、エチルセルロース、セルロースアセテートなど)、水溶性高分子およびヒドロキシルゲル形成高分子(ポリアクリルアミド、ポリヒドロキシエチルメタクリレート架橋体、ポリアクリル架橋体、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、水溶性セルロース誘導体、架橋ポロキサマー、キチン、キトサンなど)、徐溶解性高分子(エチルセルロース、メチルビニルエーテル・無水マレイン酸共重合体の部分エステルなど)、胃溶性高分子(ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルメロースナトリウム、マクロゴール、ポリビニルピロリドン、メタアクリル酸ジメチルアミノエチル・メタアクリル酸メチルコポリマーなど)、腸溶性高分子(ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、酢酸フタルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、カルボキシメチルエチルセルロース、アクリル酸系ポリマーなど)、生分解性高分子(熱凝固または架橋アルブミン、架橋ゼラチン、コラーゲン、フィブリン、ポリシアノアクリレート、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、ポリβヒドロキシ酢酸、ポリカプロラクトンなど)があり、剤型によって適宜選択することができる。【0041】特に、シリコーン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、メチルビニルエーテル・無水マレインサン共重合体の部分エステルは、薬物の放出制御に使用でき、セルロースアセテートは浸透圧ポンプの材料として使用でき、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロースは徐放性製剤の膜素材として使用でき、ポリアクリル架橋体は口腔粘膜付着剤として使用できる。【0042】医薬品製剤中にはその剤形に応じて、溶剤、賦形剤、コーティング剤、基剤、結合剤、滑沢剤、崩壊剤、溶解補助剤、懸濁化剤、粘稠剤、乳化剤、安定剤、緩衝剤、等張化剤、無痛化剤、保存剤、矯味剤、芳香剤、着色剤などの添加剤を加えて製造することができる。【0043】そのような添加剤を、それぞれ具体例を挙げて例示するが、これらに限定するものではない。溶剤:精製水、注射用水、生理食塩水、ラッカセイ油、エタノール、グリセリン、賦形剤:デンプン類、乳糖、ブドウ糖、白糖、結晶セルロース、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、タルク、酸化チタン、トレハロース、キシリトール、コーティング剤:白糖、ゼラチン、酢酸フタル酸セルロースおよび上記の高分子、基剤:ワセリン、植物油、マクロゴール、水中油型乳剤性基剤、油中水型乳剤性基剤、結合剤:デンプンおよびその誘導体、セルロースおよびその誘導体、ゼラチン、アルギン酸ナトリウム、トラガント、アラビアゴムなどの天然高分子化合物、ポリビニルピロリドンなどの合成高分子化合物、デキストリン、ヒドロキシプロピルスターチ、滑沢剤:ステアリン酸およびその塩類、タルク、ワックス類、コムギデンプン、マクロゴール、水素添加植物油、ショ糖脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール、崩壊剤:デンプンおよびその誘導体、寒天、ゼラチン末、炭酸水素ナトリウム、セルロースおよびその誘導体、カルメロースカルシウム、ヒドロキシプロピルスターチ、カルボキシメチルセルロースおよびその塩類ならびにその架橋体、低置換型ヒドロキシプロピルセルロース、溶解補助剤:シクロデキストリン、エタノール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、懸濁化剤:アラビアゴム、トラガント、アルギン酸ナトリウム、モノステアリン酸アルミニウム、クエン酸、各種界面活性剤、粘稠剤:カルメロースナトリウム、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、ホドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアルコール、トラガント、アラビアゴム、アルギン酸ナトリウム、乳化剤:アラビアゴム、コレステロール、トラガント、メチルセルロース、各種界面活性剤、レシチン、安定剤:亜硫酸水素ナトリウム、アスコルビン酸、トコフェロール、キレート剤、不活性ガス、還元性物質、緩衝剤:リン酸水素ナトリウム、酢酸ナトリウム、ホウ酸等張化剤:塩化ナトリウム、ブドウ糖、無痛化剤:塩酸プロカイン、リドカイン、ベンジルアルコール、保存剤:安息香酸およびその塩類、パラオキシ安息香酸エステル類、クロロブタノール、逆性石けん、ベンジルアルコール、フェノール、チロメサール、矯味剤:白糖、サッカリン、カンゾウエキス、ソルビトール、キシリトール、グリセリン、芳香剤:トウヒチンキ、ローズ油、着色剤:水溶性食用色素、レーキ色素。【0044】上記のように、徐放化製剤、腸溶性製剤または薬物放出制御製剤などのDDS製剤化することにより、薬物の有効血中濃度の持続化、バイオアベイラビリティーの向上などの効果が期待される。しかし、PAR-2を活性化させる成分は生体内で失活化または分解され、その結果、所望の効果が低下または消失する可能性がある。例えば、PAR-2を活性化させる成分がペプチドである場合、そのようなペプチドの多くは生体内においてアミノペプチダーゼにより分解されることが知られている(Godin, D. et al., Eur. J. Pharmacol., 253, 225-30, 1994)。従って、PAR-2を活性化させる成分を失活化または分解する物質を阻害する物質(例えば、アミノペプチダーゼを阻害する物質)を本発明の唾液分泌促進組成物と併用することにより、成分の効果をさらに持続化させ得る。【0045】アミノペプチダーゼ阻害薬としては、アマスタチン、アファメニンA、アファメニンBおよびベスタチンなどが知られている。これらの化合物を製剤中に配合してもよく、または別々に投与してもよい。上記成分がペプチドでない場合、当業者は適切に、この成分を失活化または分解する物質を同定し、これを阻害する物質を選択することができる。【0046】本発明の唾液分泌促進組成物は、医薬部外品または口腔用組成物であってもよい。例えば、PAR-2を活性化させる成分を、歯磨中に含有させることにより唾液分泌を促進させ、容易なブラッシングを可能にすることができる。あるいは、この成分を義歯安定剤中に含有させることにより、適度な唾液分泌量を維持させることができ、その結果、義歯のズレによる痛みが無くなり、さらにフィット感が増大する。【0047】本発明の唾液分泌促進組成物を、例えば、歯磨、洗口剤、口腔用軟膏、うがい用錠剤、トローチ、咀嚼錠、口腔スプレー、人工唾液、貼布剤、パッチ剤、舌下錠、徐放化製剤などとして、口腔内で適用することにより、唾液の分泌を促進させることができる。【0048】医薬部外品または口腔用組成物には、上記の添加物以外に、通常の口腔用組成物に使用されている成分を含めることができる。これらの成分の添加量は、本発明の成分による唾液分泌促進作用を妨げない範囲で、通常使用される量とすることができる。【0049】歯磨類の場合には、上記成分に加えて、研磨剤、粘結剤、粘稠剤、界面活性剤、流動性促進剤、甘み剤、香料、着色剤、殺菌剤、pH調製剤などの各種添加物を配合することができ、これらの成分を水と混合して製造することができる。【0050】そのような添加物を、それぞれ具体例を挙げて例示するが、これらに限定するものではない。研磨剤:沈降性シリカ、シリカゲル、アルミノシリケート、ジルコノシリケートなどのシリカ系研磨剤、リン酸カルシウム第二水和物または無水和物、ピロリン酸カルシウム、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、アルミナ、炭酸マグネシウム、第三リン酸マグネシウム、ゼオライト、ケイ酸ジルコニウム、ハイドロキシアパタイト、合成樹脂系研磨剤、粘結剤:カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、カラギーナン、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、カーボポール、グアガムおよびトラガントガムなどのガム類、モンモリロナイト、ゼラチン、メチルセルロースなどのセルロース誘導体、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルピロリドン、シリカゲル、粘稠剤:グリセリン、ソルビット、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、キシリット、マルチット、ラクチット、エチレングリコール、界面活性剤:アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、具体的には、ラウリル硫酸ナトリウム、α−オレフィンスルホン酸ナトリウム、N−アシルサルコシネート、N−アシルグルタメート、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、N−アシルタウレート、ショ糖脂肪酸エステル、アルキロールアマイド、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プルロニック、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、大豆レシチン、ポリソルベート80、流動性促進剤:軽質無水ケイ酸、乾燥水酸化アルミニウムゲル、合成ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、甘み剤:サッカリンナトリウム、ステビオサイド、ステビアエキス、パラメトキシシンナミックアルデヒド、ペリラルチン、ネオヘスペリジルジヒドロカルコン、香料:1−メントール、カルボン、アネトール、リモネンなどのテルペン類またはその誘導体、着色剤:青色1号、黄色4号、二酸化チタン、赤色3号、赤色102号、コチニール色素、ベンガラ、赤色3号アルミニウムレーキ、殺菌剤:塩化セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム、塩酸クロロヘキシジン、グルコン酸クロロヘキシジン、塩化デカリニウム、塩化ベンゼトニウム、臭化ドミフェン、トリクロサン、オイゲノール、チモール、アパタイト、ゼオライト、抗菌物質、pH調製剤:炭酸ナトリウムおよび炭酸水素ナトリウムなどの炭酸塩類、塩化カルシウムおよびグリセロリン酸カルシウムなどの無機性カルシウム化合物、乳酸カルシウムおよびクエン酸カルシウムなどの有機酸カルシウム化合物、リン酸化合物などの緩衝剤。【0051】上記の添加剤以外に、公知の有効成分を添加することもできる。そのような有効成分としては、例えば、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化アンモニウム、フッ化第1スズ、モノフルオロリン酸ナトリウムなどのフッ化物、水溶性リン酸化物、アラントインクロルヒドロキシアルミニウム、ヒノキチオール、アスコルビン酸、塩化リゾチーム、グルタミン酸、グリチルリチン酸およびその塩類、塩化ナトリウム、硝酸カリウム、トラネキサム酸、イプシロンアミノカプロン酸、酢酸トコフェロール、各種ビタミン類、アズレン、銅クロロフィリンナトリウム、グルコン酸銅などの銅化合物、乳酸アルミニウム、塩化ストロンチウム、硝酸カリウム、ベルベリン、ヒドロキサム酸およびその誘導体、トリポリリン酸ナトリウム、ゼオライト、デキストラナーゼ、ムタナーゼ、アミラーゼ、プロテアーゼ、溶菌酵素、スーパーオキシドディスムターゼ、メトキシエチレン、無水マレイン酸共重合体、ポリビニルピロリドン、エピジヒドロコレステリン、ジヒドロコレステロール、クエン酸亜鉛、トウキ、オウバク、チョウジ、グリチルリチン酸類、ローズマリー、オウゴン、ベニバナなどの抽出物、α−ビサボロール、クロルヘキシジン塩類、塩化ベンゼトニウム、塩化セチルピリジニウム、トリクロロカルバニリド、ハイドロキシアパタイトなどが挙げられる。【0052】義歯安定剤として使用する場合には、義歯を固定するための主剤、本発明の成分および添加剤に加えて、必要に応じて適宜他の成分を添加することができる。例えば、他の成分としては、無毒性油脂・ワックス類、乳化剤、水不溶性粉体、湿潤剤、剥離性改良材、pH調製剤、防腐剤、着色剤、香料などが挙げられる。それらに水などを加え、粉末状、ゴム状、ペースト状、液状、シート状などの種々の剤形に加工することができる。【0053】そのような主剤および他の成分を、それぞれ具体例を挙げて例示するが、これらに限定するものではない。主剤:酢酸ビニル樹脂、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カラヤガム、アラビアガム、トラガントガム、タマリンドガム、ローカストビーンガム、グアガム、キサンタンガム、カラギーナン、ペクチン、ゼラチン、グルコマンナン、アルギン酸の塩およびプロピレングリコールエステル、ポリアクリル酸の金属塩、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、低級アルキルビニルエーテル/無水マレイン酸共重合体およびその誘導体、無毒性油脂・ワックス類:ワセリン、流動パラフィン、ポリブテンなどの炭化水素類、植物性硬化油、ミツロウ、キャンデリラワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンロウ、カルナウバロウ、乳化剤:ステアリン酸グリセリド類、ステアリン酸誘導体、ショ糖脂肪酸エステル、不溶性粉体:炭酸カルシウム、酸化チタン、リン酸水素カリウム、シリカ、タルク、ゼオライト、ポリエチレンおよびポリプロピレンなどのプラスチックパウダー、セルロースパウダー、湿潤剤:エタノール、プロパノール、プロピレングリコール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ジアセチルグリセリン、糖アルコール、剥離改良剤:ポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、アクリル系共重合体、無毒性油脂・ワックス類。【0054】本発明の唾液分泌促進組成物は、食品であってもよい。唾液分泌促進作用が所望される食品としては、例えば、キャンディー、チューインガムなどの菓子類などが挙げられる。特に、のど飴にPAR-2を活性化させる成分を含有させることにより、咽全体を潤すことができ、のど飴の効果が増大する。【0055】チューインガム組成物には、公知のガムベース原料および添加物を使用することができる。チクル、ジェルトン、ソルバ、酢酸ビニル樹脂、ポリイソブチレン、エステルガムなどの樹脂、ライスワックス、カルナバワックス、マイクロワックスなどの天然ワックス、硬化油、炭酸カルシウム、タルクなどの充填剤、脂肪酸グリセリンエステル、ソルビタンエステル、シュガーエステルなどの乳化剤を使用することができる。また、メントールおよびメントール配糖体も使用することができる。さらに、グルコース、マンノース、ソルビトール、パラチノース、セロビオース、アスパルテーム、サッカリンナトリウム、キシリトールなどの各種甘み剤、ペパーミント油、ハッカ油、ローズマリー油、ペパー油、ジャスミン油などのフレーバー、クエン酸、リンゴ酸、酢酸などの酸味剤、カロチノイド系、フラボノイド系、ポリフィリン系などの着色剤、その他フラボノイド、クロロフィルなどを使用してもよい。【0056】【実施例】以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は、これらに限定されるものではない。【0057】実施例1各種ペプチドの合成方法実施例に用いた各種ペプチド(Ser-Phe-Leu-Leu-Arg-NH2(配列番号1)、Phe-Ser-Leu-Leu-Arg-NH2(配列番号2)、Thr-Phe-Leu-Leu-Arg-NH2(配列番号3)、Ser-Leu-Ile-Gly-Arg-Leu-NH2(配列番号4)、Leu-Ser-Ile-Gly-Arg-Leu-NH2(配列番号5)、Ser-Leu-Ile-Gly-Arg-Leu-OH(配列番号6)、trans-シンナモイル-Leu-Ile-Gly-Arg-Leu-オルニチン-NH2(配列番号7))は、公知の方法(Carpino, L. A. et al., J. Org. Chem., 37, 3404-3409, 1972)に準じて合成した。【0058】Ser-Phe-Leu-Leu-Arg-NH2(SFp-NH2、配列番号1)の合成方法Fmoc-PAL-PEG-PS-resin(PEバイオシステムズ)を1.33g(0.17meq/g)秤取し、これにジメチルホルムアミド10mLを加えて2〜3時間放置し、樹脂を膨張させた後、ペプチド合成用のカラムに充填した。【0059】Fmoc-L-Arg(Pbf)-OH 519mg(PEバイオシステムズ)、Fmoc-L-Leu-OH 283mg(和光純薬工業)、Fmoc-L-Leu-OH 283mg(和光純薬工業)、Fmoc-L-Phe-OH 305mg(和光純薬工業)、Fmoc-L-Ser(tBu)-OH 307mg(PEバイオシステムズ)を試験管に秤量し、これにHATU(0-(7-Azabenzotriazol-1-yl)-1,1,3,3-tetramethyl uronium hexafluorophosphate)(PEバイオシステムズ)を各380mg加えた。上記のアミノ酸をC末端から順に並べ、ペプチド合成機PIONEER(PEバイオシステムズ)を用いて合成を行った。合成したペプチド−樹脂をTFA-H20-phenol-triisopropylsilane(8.8:0.5:0.5:0.2)の混合溶液で3時間処理した後、樹脂を濾過し、濾液をエーテルで再結晶し、粗ペプチドを得た。次に、この粗ペプチドをHPLC(A:H2O中0.02%TFA、B:50%CH3CN中0.02%TFA)に供し精製した。得られた画分を凍結乾燥して、Ser-Phe-Leu-Leu-Arg-NH2を得た。【0060】Phe-Ser-Leu-Leu-Arg-NH2(FSp-NH2、配列番号2)の合成方法上記方法に準じてペプチド合成用カラムを作製し、Fmoc-L-Arg(Pbf)-OH 519mg(PEバイオシステムズ)、Fmoc-L-Leu-OH 283mg(和光純薬工業)、Fmoc-L-Leu-OH 283mg(和光純薬工業)、Fmoc-L-Ser(tBu)-OH 307mg(PEバイオシステムズ)、Fmoc-L-Phe-OH 305mg(和光純薬工業)を試験管に秤量し、これにHATUを各380mg加えた。上記のアミノ酸をC末端から順に並べ、ペプチド合成機PIONEERを用いて合成を行った。合成したペプチド−樹脂から上記方法により粗ペプチドを得、その後HPLCに供し精製した。得られた画分を凍結乾燥して、Phe-Ser-Leu-Leu-Arg-NH2を得た。【0061】Thr-Phe-Leu-Leu-Arg-NH2(TFp-NH2、配列番号3)の合成方法上記方法に準じてペプチド合成用カラムを作製し、Fmoc-L-Arg(Pbf)-OH 519mg(PEバイオシステムズ)、Fmoc-L-Leu-OH 283mg(和光純薬工業)、Fmoc-L-Leu-OH 283mg(和光純薬工業)、Fmoc-L-Phe-OH 305mg(和光純薬工業)、Fmoc-L-Thr-OH 318mg(PEバイオシステムズ)を試験管に秤量し、これにHATUを各380mg加えた。上記のアミノ酸をC末端から順に並べ、ペプチド合成機PIONEERを用いて合成を行った。合成したペプチド−樹脂から上記方法により粗ペプチドを得、その後HPLCに供し精製した。得られた画分を凍結乾燥して、Thr-Phe-Leu-Leu-Arg-NH2を得た。【0062】Ser-Leu-Ile-Gly-Arg-Leu-NH2(SLp-NH2、配列番号4)の合成方法上記方法に準じてペプチド合成用カラムを作製し、Fmoc-L-Leu-OH 283mg(和光純薬工業)、Fmoc-L-Arg(Pbf)-OH 519mg(PEバイオシステムズ)、Fmoc-L-Gly-OH 238mg(BACHEM)、Fmoc-L-Ile-OH 283mg(和光純薬工業)、Fmoc-L-Leu-OH 283mg(和光純薬工業)、Fmoc-L-Ser(tBu)-OH 307mg(PEバイオシステムズ)を試験管に秤量し、これにHATU各380mg加えた。上記のアミノ酸をC末端から順に並べ、ペプチド合成機PIONEERを用いて合成を行った。合成したペプチド−樹脂から上記方法により粗ペプチドを得、その後HPLCに供し精製した。得られた画分を凍結乾燥して、Ser-Leu-Ile-Gly-Arg-Leu-NH2を得た。【0063】Leu-Ser-Ile-Gly-Arg-Leu-NH2(LSp-NH2、配列番号5)の合成方法上記方法に準じてペプチド合成用カラムを作製し、Fmoc-L-Leu-OH 283mg(和光純薬工業)、Fmoc-L-Arg(Pbf)-OH 519mg(PEバイオシステムズ)、Fmoc-L-Gly-OH 238mg(BACHEM)、Fmoc-L-Ile-OH 283mg(和光純薬工業)、Fmoc-L-Ser(tBu)-OH 307mg(PEバイオシステムズ)、Fmoc-L-Leu-OH 283mg(和光純薬工業)を試験管に秤量し、これにHATU各380mg加えた。上記のアミノ酸をC末端から順に並べ、ペプチド合成機PIONEERを用いて合成を行った。合成したペプチド−樹脂から上記方法により粗ペプチドを得、その後HPLCに供し精製した。得られた画分を凍結乾燥して、Ser-Leu-Ile-Gly-Arg-Leu-NH2を得た。【0064】Ser-Leu-Ile-Gly-Arg-Leu-OH(SLp-OH、配列番号6)の合成方法Fmoc-L-Leu-PEG-PS-resin(PEバイオシステムズ)を1.00g(0.21meq/g)秤取し、これにジメチルホルムアミド10mLを加えて2〜3時間放置し、樹脂を膨張させた後、ペプチド合成用のカラムに充填した。【0065】Fmoc-L-Arg(Pbf)-OH 519mg(PEバイオシステムズ)、Fmoc-L-Gly-OH 238mg(BACHEM)、Fmoc-L-Ile-OH 283mg(和光純薬工業)、Fmoc-L-Leu-OH 283mg(和光純薬工業)、Fmoc-L-Ser(tBu)-OH 307mg(PEバイオシステムズ)を試験管に秤量し、これにHATU各380mg加えた。上記のアミノ酸をC末端から順に並べ、ペプチド合成機PIONEERを用いて合成を行った。合成したペプチド−樹脂から上記方法により粗ペプチドを得、その後HPLCに供し精製した。得られた画分を凍結乾燥して、Ser-Leu-Ile-Gly-Arg-Leu-OHを得た。【0066】trans-シンナモイル-Leu-Ile-Gly-Arg-Leu-オルニチン-NH2(tcLp-NH2、配列番号7)米国カルガリー大学医学部のHollenberg, M. D.教授より御供与いただいた。【0067】以下、実施例に用いたペプチドおよび他の薬物について説明する。【0068】既に報告されているヒトPAR-1アミノ酸配列(Vu, T. K. et al., Cell, 64 (6), 1057-1068, 1991)に基づいて、ヒトPAR-1に対するアゴニスト作用を有するSer-Phe-Leu-Leu-Arg-NH2ペプチド(配列番号1)(以下、「SFp-NH2」)(Hollenberg, M.D., Trends Pharmacol. Sci., 17, 3-6, 1996;Hollenberg, M.D., Molec. Pharmacol., 43, 921-930, 1993)を合成した。このペプチド配列のSerとPheとを入れ替えることにより不活性体となったPhe-Ser-Leu-Leu-Arg-NH2ペプチド(配列番号2)(以下、「FSp-NH2」)(Kawabata, A. et al., J. Pharmacol. Exp. Ther., 288, 358-70, 1999;Hollenberg, M.D., Molec. Pharmacol., 43, 921-930, 1993)を合成した。SFp-NH2はPAR-2に対し弱いアゴニスト作用を示すことが知られているため(Kawabata, A. et al., J. Pharmacol. Exp. Ther., 288, 358-70, 1999)、SerをThrに置換することによりPAR-1に対する特異性を高めたThr-Phe-Leu-Leu-Arg-NH2ペプチド(配列番号3)(以下、「TFp-NH2」)(Kawabata, A. et al., J. Pharmacol. Exp. Ther., 288, 358-70, 1999)を合成した。【0069】ラットPAR-2のアミノ酸配列(Saifeddine, M. et al., Br. J. Pharmacol., 118 (3), 521-530, 1996)に基づいて、ラットPAR-2に対するアゴニスト作用を有するSer-Leu-Ile-Gly-Arg-Leu-NH2ペプチド(配列番号4)(以下、「SLp-NH2」)(Hollenberg, M.D., Trends Pharmacol. Sci., 17, 3-6, 1996;Nystedt, S. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 91, 9208-12, 1994)を合成した。このペプチド配列のSerとLeuとを入れ替えることにより不活性体となったLeu-Ser-Ile-Gly-Arg-Leu-NH2ペプチド(配列番号5)(以下、「LSp-NH2」)(Hollenberg, M.D.; Trends Pharmacol. Sci., 17, 3-6, 1996;Nystedt, S. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 91, 9208-12, 1994)を合成した。SLp-NH2のC末端がアミド化されていないSer-Leu-Ile-Gly-Arg-Leu-OHペプチド(配列番号6)(以下、「SLp-OH」)を合成した。【0070】さらに、PAR-2を特異的に活性化することが報告されているtrans-シンナモイル-Leu-Ile-Gly-Arg-Leu-オルニチン-NH2ペプチド(配列番号7)(以下、「tcLp-NH2」)(Hollenberg, M. D. et al., Can J Physiol Pharmacol, 75, 832-41, 1997)を使用した。【0071】実施例8以降に示す各種ペプチドは、個別特記しない限り実施例1に準じて合成し得られたものである。【0072】使用した他の薬物は、アマスタチン(図中「Amastatin」、ペプチド研)、アトロピン(図中「Atr」、Sigma社製)、フェントラミン(図中「Phe」、Sigma社製)、プロプラノロール(図中「Pro」、Sigma社製)、インドメタシン(図中「Ind」、Sigma社製)、カルバコール(Sigma社製)、トリプシン(図中「Trypsin」、Sigma社製)およびトロンビン(図中「Thrombin」、Sigma社製)である。【0073】実施例2使用動物実験には6週齢のWistar系雄性ラットおよび6週齢のICR系またはddY系雄性マウスを使用した。各動物は室温23±2℃、湿度50±5%および12時間の明暗サイクル(明期:07:00〜19:00)の環境下で1週間の予備飼育の後、実験に供した。予備飼育期間および実験期間中は、水および固型飼料を自由に摂取させた。【0074】実施例8〜15の実験には1群あたり4〜5匹を用い、結果を平均値±標準誤差で示した。実施例17の結果は、4〜9回行った試験を、平均値±標準誤差で示した。有意差検定はTukeyの多重比較検定で行った。【0075】実施例3各種薬物の調製方法および投与方法動物に投与した各種ペプチドおよび薬物などは、個別特記しない限り尾静脈内投与した。ペプチドは生理食塩液に用事溶解した。実施例8〜15に示す各種ペプチドの調製および投与は、個別特記しない限り実施例3に準じて行った。【0076】実施例4唾液分泌量の測定方法唾液量の測定は既報の方法(Takeda, Y. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 86, 392-396, 1989;Snider, R. M. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 88, 10042-10044, 1991)に準じて行った。マウスまたはラットをウレタンで麻酔し(1.5 mg/kg)、口腔内にあらかじめ重量を測定しておいたボール状の脱脂綿を挿入した。一定時間放置した後、その脱脂綿を回収し、重量を測定し、挿入前と挿入後の重量差を唾液量とした。唾液量の測定は各種ペプチドおよび薬物などを静脈内投与した直後から1分間隔で5分間測定した。実施例8〜15に示す唾液分泌量の測定方法は、個別特記しない限り実施例4に準じて測定した。【0077】実施例5唾液中に含まれるイオン濃度およびアミラーゼ活性の測定方法ナトリウムイオンおよびカリウムイオンは、自動分析装置(664, Chiron, U.S.A.)を用いてイオン選択電極法にて測定した。アミラーゼ活性は、アミラーゼBテストワコー(和光純薬工業)を用いて測定した。【0078】実施例6RT-PCR法ラットを放血致死させた後、耳下腺および膵臓を取り出しTRIzol試薬(Life technologies. Inc.)を用いて全RNAを抽出した。この全RNAからmRNA purification kit(宝酒造)を用いてmRNAを精製し、このmRNAを用いてHollenbergらの方法(Hollenberg, M. D. et al., Mol. Pharmacol., 49, 229-233)に準じてRT-PCRを行った。すなわち、RNA LA PCR kit(AMV)ver.1(宝酒造)を用いて42℃で50分間逆転写反応を行った後、PAR-1、PAR-2およびβ-アクチン(コントロール)を特異的に増幅するように設計した下記プライマー対を用いてPCRを行い、PAR-1およびPAR-2の発現について検討した。【0079】PAR-1センスプライマー:5'-CCCGCTCATTTTTTCTCAGGA-3'(配列番号8)アンチセンスプライマー:5'-GCCAATCGGTCGCGGAGAAGT-3'(配列番号9)PAR-2センスプライマー:5'-CACCAGTAAAGGGAGAAGTCT-3'(配列番号10)アンチセンスプライマー:5'-GGGCAGCACGTCGTGACAGGT-3'(配列番号11)β-アクチンセンスプライマー:5'-GTGGGGCGCCCCAGGCACCA-3'(配列番号12)アンチセンスプライマー:5'-GTCCTTAATGTCACGCACGATTTC-3'(配列番号13)【0080】実施例7ラット耳下腺のスライス作製方法およびアミラーゼ量測定方法ラット耳下腺スライスからのアミラーゼ分泌に対するPAR-2関連アゴニストの作用は、Jahn, Rらの方法(Jahn, R., Eur.J.Biochem., 112, 345-352 (1980))に準じて行った。ラットをペントバルビタールで麻酔し、ラット耳下腺を取り出し、これを95%酸素−5%二酸化炭素ガスを通気したKrebs-Henseleit栄養液で洗浄し、脂肪および結合組織を除去した。その後、耳下腺を1mm3の大きさに細切し、その100mgを95%酸素−5%二酸化炭素ガスを通気した37℃のKrebs-Henseleit栄養液3mLに浮遊させ30分間インキュベートした。インキュベーション後、栄養液30μLを採取し、アミラーゼ分泌量を測定した(自発分泌量)。その後、PAR-2アゴニストを添加し、10分間インキュベートし、栄養液30μLを採取して、アミラーゼ分泌量を測定した。PAR-2アゴニスト添加後のアミラーゼ分泌量から自発分泌量を差し引いた値を、PAR-2アゴニストの作用によるアミラーゼ分泌量とした。アミラーゼの測定はアミラーゼBテストワコー(和光純薬工業)を使用して測定した。【0081】実施例8インビボにおけるPAR-1およびPAR-2関連ペプチドのマウス唾液分泌に対する影響を検討した(図1)。【0082】PAR-1に対する活性を有し、PAR-2に対しても若干の活性を示すことが知られているSFp-NH2(50μmole/kg)の投与によって、唾液分泌促進が観測された。しかし、SFp-NH2に対する不活性なコントロールペプチドであるFSp-NH2(50μmole/kg)の投与では何ら変化が見られなかった。PAR-1に対する特異性がより高く、PAR-2に対する活性を有しないTFp-NH2(50μmole/kg)の投与によっては全く唾液分泌は促進されなかった。【0083】PAR-2アゴニストペプチドであるSLp-NH2(50μmole/kg)の投与によって強い唾液分泌促進が観察された。SLp-NH2に対する不活性なコントロールペプチドであるLSp-NH2(50μmole/kg)の投与によっては全く唾液分泌促進が起こらなかった。図中Vehicleは、陰性対照として溶媒を使用した実験の結果を示す。【0084】これらの結果から、PAR-1ではなくPAR-2の特異的な活性化によって唾液分泌促進が引き起こされることが示唆された。【0085】実施例9インビボにおけるPAR-2アゴニストペプチドによるマウス唾液分泌促進作用の経時変化について検討した(図2)。【0086】SLp-NH2(5μmole/kg)(■)の投与によって、投与直後から唾液分泌が促進され、投与1分後に唾液分泌量が最大となった。その後、急速に唾液分泌量は減少した。しかし、SLp-NH2に対する不活性なコントロールペプチドであるLSp-NH2(5μmole/kg)(○)の投与によっては全く唾液分泌は促進されなかった。図中Vehicle(●)は、陰性対照として溶媒を使用した実験の結果を示す。【0087】実施例10インビボにおけるPAR-2アゴニストペプチドによるマウス唾液分泌促進作用の用量依存性について検討した(図3)。【0088】SLp-NH2(○)は、0.5〜5μmole/kgの範囲の用量において用量依存的にマウス唾液分泌を促進した。SLp-NH2のC末端がアミド化されていないペプチドであるSLp-OH(△)もマウス唾液分泌を用量依存的に促進したが、その作用はSLp-NH2に比べて弱かった。PAR-2を特異的に活性化することが知られている別のペプチド、tcLp-NH2(□)を使用しても唾液分泌促進作用が観測された。LSp-NH2(●)は不活性なコントロールペプチドである。【0089】実施例11PAR-2アゴニストペプチドの多くはアミノペプチダーゼによって分解されることが知られている(Godin, D. et al., Eur. J. Pharmacol., 253, 225-30, 1994)。そこで、PAR-2アゴニストペプチドのマウス唾液分泌促進作用に対する、アミノペプチダーゼ阻害薬であるアマスタチンの影響について検討した(図4)。【0090】アマスタチンはSLp-NH2投与1分前に静脈内投与した。実施例10の結果と一致して、低用量(0.5μmol/kg)での単独投与(○)では、SLp-NH2は唾液分泌促進作用を示さなかったが、アマスタチン(84μmol/kg)を静脈内に前投与することにより、唾液分泌が有意に促進された(■)。さらに、アマスタチンと組み合わせての投与は、SLp-NH2単独の投与に比較して、その作用の持続性が認められた(実施例9を参照のこと)。図中Vehicle(●)は、陰性対照として溶媒を使用した実験の結果を示す。【0091】実施例12PAR-2アゴニストペプチドのマウス唾液分泌促進作用に及ぼすアマスタチンの影響についてさらに検討した(図5)。【0092】アマスタチンはSLp-NH2投与1分前に静脈内投与した。SLp-NH2(0.5μmol/kg)単独投与では対照群(Vehicle、溶媒)と同程度の唾液分泌量が観察されたが、アマスタチン(Amastatin、84μmol/kg)を静脈内に前投与することにより、唾液分泌量は顕著に増加した。【0093】実施例13アマスタチン存在下におけるPAR-2アゴニストによるマウス唾液分泌促進作用のメカニズムについて検討した(図6)。【0094】アトロピン(Atr、副交感神経遮断薬)、フェントラミン(Phe、交感神経α受容体遮断薬)、プロプラノロール(Pro、交感神経β受容体遮断薬)、インドメタシン(Ind、プロスタグランジン生合成阻害薬)およびコントロールとしての生理食塩水(Saline)を、SLp-NH2静脈内投与の25分前に腹腔内投与した。また、アマスタチンはSLp-NH2投与1分前に静脈内投与した。その結果、SLp-NH2(0.5μmol/kg)による唾液分泌促進作用は、アトロピン5mg/kg(7.2μmol/kg)、フェントラミン5mg/kg(15.7μmol/kg)、プロプラノロール5mg/kg(16.9μmol/kg)およびインドメタシン10mg/kg(28μmol/kg)によって何ら作用を受けなかった。【0095】これらの結果から、PAR-2による唾液分泌促進作用は、自律神経系(交感神経および副交感神経)またはプロスタグランジン系を介したものでないことが示唆された。【0096】実施例14SLp-NH2およびカルバコール(ムスカリン様作用を介して唾液分泌を促進することが知られている)の刺激により分泌されたマウスの唾液の性質について比較検討した(表1)。アミラーゼ活性、ナトリウムイオンおよびカリウムイオンの測定は実施例5に準じて行った。【0097】【表1】【0098】SLp-NH2(5μmol/kg)と同程度の唾液分泌量を生じる0.08μmol/kgのカルバコールを用いた。両者の刺激によって分泌された唾液は、ほぼ同様の性質を有していた。【0099】実施例15アマスタチン存在下におけるSLp-NH2によるラットにおける唾液分泌促進作用を検討した(図7)。【0100】アマスタチンはSLp-NH2投与1分前に静脈内投与した。SLp-NH2(2.5μmol/kg)(●)の投与によって唾液分泌促進作用が観察されたが、コントロールペプチドであるLSp-NH2(◆)の投与によっては、その作用は認められなかった。図中Vehicle(○)は、陰性対照として溶媒を使用した実験の結果を示す。これらの結果から、PAR-2アゴニストによる唾液分泌促進作用が、マウスと同様にラットにおいても有効であることが示された。【0101】実施例16ラット耳下腺におけるRT-PCR法によるPAR-1およびPAR-2のmRNA発現の検討を行った(図8)。RT-PCR法は実施例6に準じて行った。増幅反応液を2%アガロースで電気泳動し、ゲルを臭化エチジウムを用いて染色し、バンドをUVによって可視化した。【0102】その結果、PAR-1(P-1)およびPAR-2(P-2)が発現していることが公知である、陽性対照として使用した膵臓(Pancreas)と同様に、耳下腺(Parotid gland)においてもPAR-1およびPAR-2のmRNAが共に発現していることが明らかとなった。β−アクチン(図中「A」)は陽性対照である。この結果によって、ラットにおけるPAR-1およびPAR-2遺伝子の発現が初めて確認された。【0103】実施例17ラット耳下腺のスライスを作製し、インビトロにおけるアミラーゼ分泌に及ぼすPAR-2アゴニストの影響を検討した(図9)。耳下腺のスライス作製方法およびアミラーゼ分泌量(総アミラーゼ量に対する重量百分率で表す)の測定方法は実施例7に準じて行った。【0104】SLp-NH2およびtcLp-NH2を用いた場合、10〜100μmol/kgの用量範囲で用量依存的にアミラーゼ分泌促進作用が認められた。PAR-2活性化酵素であるトリプシン(Trypsin)もアミラーゼ分泌促進作用を示した。TFp-NH2およびトロンビン(Thrombin、PAR-1、PAR-3およびPAR-4の活性化酵素である)はアミラーゼ分泌に対して影響を与えなかった。図中Cは、陰性対照として溶媒を使用した実験の結果を示す。これらの結果は、耳下腺におけるアミラーゼ分泌が、PAR-2の活性化によって誘発され、PAR-1、PAR-3およびPAR-4はこの作用に関与しないことが示された。【0105】実施例18常法に従って製造した錠剤の組成を表2に示す。【0106】【表2】結晶セルロース 18mgSLp-NH2 15mg低置換度ヒドロキシプロピルセルロース 12mgヒドロキシプロピルメチルセルロース 10mgステアリン酸マグネシウム 1mg乳糖 適量合計 100mg【0107】実施例19常法に従って製造した錠剤の組成を表3に示す。【0108】【表3】アマスタチン 20mg結晶セルロース 18mgSLp-NH2 15mg低置換度ヒドロキシプロピルセルロース 12mgヒドロキシプロピルメチルセルロース 10mgステアリン酸マグネシウム 1mg乳糖 適量合計 100mg【0109】実施例20常法に従って製造したカプセル剤の組成を表4に示す。【0110】【表4】SLp-NH2 15mg低置換度ヒドロキシプロピルセルロース 15mg架橋型カルボキシメチルセルロースナトリウム 5mgステアリン酸マグネシウム 2mg乳糖 63mg合計 100mg【0111】実施例21常法に従って製造したカプセル剤の組成を表5に示す。【0112】【表5】SLp-NH2 15mg低置換度ヒドロキシプロピルセルロース 15mgアマスタチン 5mg架橋型カルボキシメチルセルロースナトリウム 5mgステアリン酸マグネシウム 2mg乳糖 63mg合計 100mg【0113】実施例22常法に従って製造した注射剤の組成を表6に示す。【0114】【表6】ブドウ糖 10mgSLp-NH2 1mgアマスタチン 1mg注射用精製水 適量合計 200ml【0115】実施例23常法に従って製造した練歯磨の組成を表7に示す。【0116】【表7】炭酸カルシウム 52.0%グリセリン 20.0%ショ糖モノラウレート 2.0%カルボキシメチルセルロース 1.0%ラウリルジエタノールアマイド 1.0%香料 1.0%カラギーナン 0.5%SLp-NH2 0.5%サッカリンナトリウム 0.1%水 適量合計 100.0%【0117】実施例24常法に従って製造した練歯磨の組成を表8に示す。【0118】【表8】第2リン酸カルシウム・2水和物 52.0%グリセリン 22.0%カルボキシメチルセルロース 2.0%ラウリル硫酸ナトリウム 2.0%SLp-NH2 1.0%香料 1.0%サッカリンナトリウム 0.1%水 適量合計 100.0%【0119】実施例25常法に従って製造した練歯磨の組成を表9に示す。【0120】【表9】水酸化アルミニウム 45.0%ソルビット 20.0%ゲル化シリカ 3.0%カルボキシメチルセルロース 2.0%ラウリル硫酸ナトリウム 2.0%アマスタチン 1.0%SLp-NH 2 0.5%サッカリンナトリウム 0.1%水 適量合計 100.0%【0121】実施例26常法に従って製造した練歯磨の組成を表10に示す。【0122】【表10】沈降性シリカ 28.0%グリセリン 23.0%ソルビット 22.0%ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート 2.0%ラウロイルグリセリンエステル 1.0%SLp-NH2 1.0%香料 1.0%サッカリンナトリウム 0.2%水 適量合計 100.0%【0123】実施例27常法に従って製造した練歯磨の組成を表11に示す。【0124】【表11】無水ケイ酸 15.0%グリセリン 10.0%ソルビトール 10.0%キシリトール 5.0%プロピレングリコール 3.0%アマスタチン 2.0%カルボキシメチルセルロース 1.5%ラウリル硫酸ナトリウム 1.0%SLp-NH2 1.0%香料 1.0%水酸化ナトリウム 0.3%ラウロイルザルコシン酸ナトリウム 0.3%フッ化ナトリウム 0.2%サッカリンナトリウム 0.1%トラネキサム酸 微量塩化カルシウム 微量水 適量合計 100.0%【0125】実施例28常法に従って製造した練歯磨の組成を表12に示す。【0126】【表12】グリセリン 23.0%塩化ナトリウム 15.0%無水ケイ酸 15.0%プロピレングリコール 3.0%マンニトール 2.0%SLp-NH2 1.5%キサンタンガム 1.2%ラウリル硫酸ナトリウム 1.2%香料 1.0%水酸化ナトリウム 0.5%サッカリンナトリウム 0.1%グリチルリチン酸ジカリウム 微量水 適量合計 100.0%【0127】実施例29常法に従って製造した練歯磨の組成を表13に示す。【0128】【表13】ソルビトール 28.0%無水ケイ酸 25.0%重曹 12.0%イノシトール 5.0%プロピレングリコール 2.0%SLp-NH2 1.5%ラウリル硫酸ナトリウム 1.5%キサンタンガム 1.0%カラギーナン 1.0%香料 1.0%サッカリンナトリウム 0.2%塩化カリウム 0.1%イプシロンアミノカプロン酸 微量水 適量合計 100.0%【0129】実施例30常法に従って製造した練歯磨の組成を表14に示す。【0130】【表14】無水ケイ酸 20.0%グリセリン 20.0%キシリトール 10.0%重曹 5.0%プロピレングリコール 4.0%ラウリル硫酸ナトリウム 1.5%SLp-NH2 1.5%カルボキシメチルセルロース 1.2%香料 1.0%カラギーナン 0.3%水酸化ナトリウム 0.1%塩化カルシウム 0.1%トラネキサム酸 0.1%サッカリンナトリウム 0.1%水 適量合計 100.0%【0131】実施例31常法に従って製造した練歯磨の組成を表15に示す。【0132】【表15】リン酸カルシウム2水塩 38.0%キシリトール 15.0%増粘性シリカ 10.0%グリセリン 8.0%プロピレングリコール 3.0%ラウリル硫酸ナトリウム 1.5%カルボキシメチルセルロースナトリウム 1.2%SLp-NH2 1.0%モノフルオロリン酸ナトリウム 1.0%ペパーミント油 1.0%p−ヒドロキシ安息香酸メチル 0.5%サッカリンナトリウム 0.1%アネトール 0.1%メントン 0.1%アニス油 0.1%水 適量合計 100.0%【0133】実施例32常法に従って製造した練歯磨の組成を表16に示す。【0134】【表16】キシリトール 30.0%シリカ 20.0%増粘性シリカ 20.0%ポリエチレングリコール 5.0%ソルビット 5.0%カルボキシメチルセルロースナトリウム 1.0%ラウリル硫酸ナトリウム 1.3%SLp-NH2 1.5%スペアミント油 1.5%フッ化ナトリウム 0.5%p−ヒドロキシ安息香酸メチル 0.2%二酸化チタン 0.3%アネトール 0.2%メントン 0.1%水 適量合計 100.0%【0135】実施例33常法に従って製造した液状歯磨の組成を表17に示す。【0136】【表17】グリセリン 40.0%水酸化アルミニウム 25.0%ソルビット 15.0%カルボキシメチルセルロース 2.2%ラウリル硫酸ナトリウム 1.5%SLp-NH2 1.0%プロピレングリコール 1.0%モノラウリン酸デカグリセリル 1.0%香料 1.0%サッカリンナトリウム 0.1%水 適量合計 100.0%【0137】実施例34常法に従って製造した液状歯磨の組成を表18に示す。【0138】【表18】沈降性シリカ 35.0%ソルビット 30.0%グリセリン 20.0%SLp-NH2 2.0%プロピレングリコール 2.0%モノラウリン酸デカグリセリル 2.0%ラウリル硫酸ナトリウム 1.5%香料 1.0%キサンタンガム 0.2%サッカリンナトリウム 0.1%水 適量合計 100.0%【0139】実施例35常法に従って製造したガム状義歯安定剤の組成を表19に示す。【0140】【表19】酢酸ビニル樹脂 55.0%SLp-NH2 3.0%軽質炭酸カルシウム 3.0%ミツロウ 3.0%ポリプロピレングリコール 3.0%水 適量合計 100.0%【0141】実施例36常法に従って製造した粉末状義歯安定剤の組成を表20に示す。【0142】【表20】カルボキシメチルセルロースナトリウム 74.0%ポリエチレンオキサイド 24.0%SLp-NH2 2.0%合計 100.0%【0143】実施例37常法に従って製造したペースト状義歯安定剤の組成を表21に示す。【0144】【表21】ワセリン 40.0%カルボキシメチルセルロースナトリウム 30.0%ポリエチレンオキサイド 10.0%SLp-NH2 2.0%香料 0.3%pH調製剤 0.2%防腐剤 微量色素 微量流動パラフィン 適量合計 100.0%【0145】実施例38常法に従って製造したシート状義歯安定剤の組成を表22に示す。【0146】【表22】カルボキシセルロースナトリウム 30.0%ポリエチレングリコール 20.0%ポリエチレンオキサイド 10.0%SLp-NH2 2.0%香料 0.3%防腐剤 微量色素 微量ワセリン 適量合計 100.0%【0147】実施例39常法に従って製造した液状義歯安定剤の組成を表23に示す。【0148】【表23】カルボキシメチルセルロースナトリウム 45.0%ポリエチレンオキサイド 15.0%SLp-NH2 1.0%pH調製剤 0.2%香料 0.2%防腐剤 微量色素 微量流動パラフィ ン 適量合計 100.0%【0149】実施例40常法に従って製造した口腔用軟膏の組成を表24に示す。【0150】【表24】流動パラフィン 20.0%グリセリン 15.0%セタノール 10.0%ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル 5.0%アマスタチン 2.0%SLp-NH2 1.0%香料 0.5%サッカリンナトリウム 0.1%水 適量合計 100.0%【0151】実施例41常法に従って製造した口腔用軟膏の組成を表25に示す。【0152】【表25】流動パラフィン 20.0%グリセリン 15.0%セタノール 10.0%ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル 5.0%SLp-NH2 1.0%香料 0.5%サッカリンナトリウム 0.1%水 適量合計 100.0%【0153】実施例42常法に従って製造した洗口液の組成を表26に示す。【0154】【表26】エタノール 20.0%SLp-NH2 5.0%香料 1.0%ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 0.3%モノフルオロリン酸ナトリウム 0.1%サッカリンナトリウム 0.1%水 適量合計 100.0%【0155】実施例43常法に従って製造した洗口液の組成を表27に示す。【0156】【表27】エタノール 10.0%キシリトール 5.0%グリセリン 5.0%SLp-NH2 2.0%ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 1.0%香料 0.5%安息香酸ナトリウム 0.3%塩化カルシウム 0.1%水酸化ナトリウム 0.1%サッカリンナトリウム 0.1%水 適量合計 100.0%【0157】実施例44常法に従って製造した洗口液の組成を表28に示す。【0158】【表28】エタノール 15.0%グリセリン 10.0%重曹 8.0%マンニトール 5.0%ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 1.2%SLp-NH2 0.5%香料 0.5%塩化カリウム 0.5%アラントイン 0.5%安息香酸ナトリウム 0.3%サッカリンナトリウム 0.1%水 適量合計 100.0%【0159】実施例45常法に従って製造した洗口液の組成を表29に示す。【0160】【表29】キシリトール 20.0%エタノール 10.0%スペアミント油 1.0%SLp-NH2 5.0%フッカナトリウム 0.2%ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 0.1%アネトール 0.1%メントン 0.1%水 適量合計 100.0%【0161】実施例46常法に従って製造した洗口液の組成を表30に示す。【0162】【表30】エタノール 13.0%ソルビット液 7.0%SLp-NH2 0.5%ステビオサイド 0.5%フッ化ナトリウム 0.5%安息香酸ナトリウム 0.1%パラオキシ安息香酸プロピル 0.1%ラウリル硫酸ナトリウム 0.1%スペアミント油 0.1%水 適量合計 100.0%【0163】実施例47常法に従って製造したうがい用錠剤の組成を表31に示す。【0164】【表31】炭酸水素ナトリウム 50.0%クエン酸 21.0%無水硫酸ナトリウム 10.8%第2リン酸ナトリウム 10.0%ポリエチレングリコール 5.0%SLp-NH2 2.0%香料 1.0%モノフルオロリン酸ナトリウム 0.1%オレイン酸 0.1%合計 100.0%【0165】実施例48常法に従って製造したトローチの組成を表32に示す。【0166】【表32】キシリトール 68.3%SLp-NH2 20.0%アラビアガム 5.0%クエン酸 4.0%タルク 2.0%ステアリン酸マグネシウム 0.7%合計 100.0%【0167】実施例49常法に従って製造したトローチの組成を表33に示す。【0168】【表33】ポリエチレングリコール 2.0%ヒドロキシプロピルセルロース 1.5%無水ケイ酸 1.0%ステアリン酸マグネシウム 1.0%タルク 0.5%SLp-NH2 0.1%マンニット 適量合計 100.0%【0169】実施例50常法に従って製造した咀嚼錠の組成を表34に示す。【0170】【表34】エリスリトール 71.0%SLp-NH2 20.0%馬鈴薯デンプン 4.0%タルク 3.5%ステアリン酸マグネシウム 1.5%合計 100.0%【0171】実施例51常法に従って製造した人工唾液の組成を表35に示す。【0172】【表35】SLp-NH2 1.0%塩化ナトリウム 0.6%ムチン 0.2%リン酸二水素カリウム 0.1%塩化カルシウム 微量水 適量合計 100.0%【0173】実施例52常法に従って製造した人工唾液の組成を表36に示す。【0174】【表36】アマスタチン 1.0%SLp-NH2 1.0%塩化ナトリウム 0.6%ムチン 0.2%リン酸二水素カリウム 0.1%塩化カルシウム 微量水 適量合計 100.0%【0175】実施例53常法に従って製造した人工唾液用スプレーの組成を表37に示す。【0176】【表37】SLp-NH2 5.0%塩化ナトリウム 0.4%リン酸二水素カリウム 0.1%塩化カルシウム 微量塩化マグネシウム 微量水 適量合計 100.0%【0177】実施例54常法に従って製造したキャンディーの組成を表38に示す。【0178】【表38】砂糖 50.0%水飴 33.0%SLp-NH2 5.0%リンゴ酸 3.0%香料 0.2%水 適量合計 100.0%【0179】実施例55常法に従って製造したチューインガムの組成を表39に示す。【0180】【表39】SLp-NH2 25.0%ガムベース 27.5%砂糖 20.0%グルコース 10.0%水飴 16.0%香料 0.5%クエン酸 1.0%合計 100.0%【0181】実施例56常法に従って製造したチューインガムの組成を表40に示す。【0182】【表40】粉糖 50.0%ガムベース 20.0%ブドウ糖 10.0%水飴 18.0%SLp-NH2 1.0%香料 1.0%合計 100.0%【0183】実施例57常法に従って製造したチューインガムの組成を表41に示す。【0184】【表41】キシリトール 60.0%ガムベース 20.0%SLp-NH2 11.9%シロップ 5.0%グリセリン 2.0%スペアミント油 1.0%アネトール 0.1%合計 100.0%【0185】実施例58常法に従って製造したチューインガムの組成を表42に示す。【0186】【表42】キシリトール 55.0%ガムベース 20.0%SLp-NH2 11.9%アマスタチン 5.0%シロップ 5.0%グリセリン 2.0%スペアミント油 1.0%アネトール 0.1%合計 100.0%【0187】実施例59常法に従って製造したガムベースの組成を表43に示す。【0188】【表43】マイクロワックス 20.0%酢酸ビニル樹脂 15.0%エステルガム 15.0%ポリイソブチレン 10.0%充填剤 10.0%チクル 10.0%ソルバ 10.0%ジェルトン 5.0%天然ゴム 3.0%脂肪酸モノグリセライド 2.0%合計 100.0%【0189】実施例60常法に従って製造したガムベースの組成を表44に示す。【0190】【表44】酢酸ビニル樹脂 30.0%マイクロワックス 25.0%ポリイソブチレン 20.0%エステルガム 10.0%天然ゴム 3.0%脂肪酸モノグリセライド 2.0%合計 100.0%【0191】実施例61常法に従って製造したタブレットの組成を表45に示す。【0192】【表45】キシリトール 65.0%ソルビトール 29.0%SLp-NH2 3.0%スペアミント油 1.5%潤沢剤 1.0%アネトール 0.2%メントン 0.3%合計 100.0%【0193】【発明の効果】本発明の唾液分泌促進組成物は優れた唾液分泌促進作用を有し、薬剤の副作用、疾患あるいは唾液腺の機能低下などによる口腔乾燥症に対し、優れた治療薬となる。また、これにより口腔内乾燥に伴う不快感、灼熱感、会話の困難さ、口臭発生、歯周疾患、粘膜の感染症、不潔などの症状を予防あるいは治療することもできる。【0194】また、本発明の唾液分泌促進組成物を歯磨剤中に含有させることにより、ブラッシングを容易にらなしめることができる。さらに、本発明の唾液分泌促進組成物を義歯安定剤中に含有させることにより、口腔乾燥を防ぎ、義歯固定力が向上し、噛み合わせによる疼痛が減少させることができる。【0195】配列表フリーテキストSEQ ID NO:1Designed peptide having PAR-1 and PAR-2 agonist activity. The C-terminal amino acid residue is amidated.SEQ ID NO:2Designed peptide lacking agonist activity. The C-terminal amino acid residue is amidated.SEQ ID NO:3Designed peptide having PAR-1 agonist activity. The C-terminal amino acid residue is amidated.SEQ ID NO:4Designed peptide having PAR-2 agonist activity. The C-terminal amino acid residue is amidated.SEQ ID NO:5Designed peptide lacking agonist activity. The C-terminal amino acid residue is amidated.SEQ ID NO:6Designed peptide having PAR-2 agonist activity. The C-terminal amino acid residue is hydroxylated.SEQ ID NO:7Designed peptide having PAR-2 agonist activity. Xaa at 1 is trans-cynnamoyl-Leu. Xaa at 6 is Orn. The C-terminal amino acid residue is amidated.SEQ ID NO:8Designed oligonucleotide primer to amplify PAR-1 mRNA.SEQ ID NO:9Designed oligonucleotide primer to amplify PAR-1 mRNA.SEQ ID NO:10Designed oligonucleotide primer to amplify PAR-2 mRNA.SEQ ID NO:11Designed oligonucleotide primer to amplify PAR-2 mRNA.SEQ ID NO:12Designed oligonucleotide primer to amplify β-actin mRNA.SEQ ID NO:13Designed oligonucleotide primer to amplify β-actin mRNA.【0196】【配列表】【図面の簡単な説明】【図1】 インビボにおけるPAR-1およびPAR-2アゴニストペプチドのマウス唾液分泌に対する作用を示す図である。**P<0.01 vs溶媒(Vehicle)、††P<0.01 vs FSp-NH2、¶¶P<0.01 vs LSp-NH2(Tukeyテスト)。【図2】 インビボにおけるPAR-2アゴニストペプチドによるマウス唾液分泌促進作用の経時変化の検討を示す図である。**P<0.01 vs溶媒(Vehicle)、††P<0.01 vs LSp-NH2(Tukeyテスト)。【図3】 インビボにおけるPAR-2アゴニストペプチドによるマウス唾液分泌促進作用の用量依存性を示す図である。【図4】 インビボにおけるPAR-2アゴニストペプチドによるマウス唾液分泌促進作用に対するアマスタチンの影響の経時変化を示す図である。**P<0.01 vs溶媒(Vehicle)、††P<0.01 vs SLp-NH2単独(Tukeyテスト)。【図5】 インビボにおけるPAR-2アゴニストペプチドによるマウス唾液分泌促進作用に対するアマスタチンの影響を示す図である。**P<0.01 vs溶媒(Vehicle)、††P<0.01 vs SLp-NH2単独(Tukeyテスト)。【図6】 アマスタチン存在下におけるPAR-2アゴニストペプチドによるインビボマウス唾液分泌促進作用に対するアトロピン(Atr)、フェントラミン(Phe)、プロプラノロール(Pro)およびシンドメタシン(Ind)の作用を示す図である。【図7】 アマスタチン存在下におけるPAR-2アゴニストペプチドによるインビボラット唾液分泌促進作用の経時変化を示す図である。**P<0.01 vs溶媒(Vehicle)(Tukeyテスト)。【図8】 RT-PCR法を使用してラット耳下腺におけるPAR-1およびPAR-2 mRNA発現を示す電気泳動図である。【図9】 インビトロにおけるラット耳下腺スライスからのアミラーゼ分泌に対するPAR-2アゴニストペプチドの作用を示す図である。*P<0.05および**P<0.01 vsコントロール。 Ser-Leu-Ile-Gly-Arg-Leu-NH2(配列番号4)、Ser-Leu-Ile-Gly-Arg-Leu-OH(配列番号6)およびtrans-シンナモイル-Leu-Ile-Gly-Arg-Leu-オルニチン-NH2(配列番号7)からなる群より選択されるペプチドを含むことを特徴とする唾液分泌促進組成物。 トリプシンおよび/またはトリプターゼを含むことを特徴とする唾液分泌促進組成物(但し、食品は除く)。 アマスタチンを併用および/または配合することを特徴とする請求項1または2に記載の唾液分泌促進組成物。


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