タイトル: | 特許公報(B2)_有機メルカプト化合物の製造方法 |
出願番号: | 1999212419 |
年次: | 2010 |
IPC分類: | C07C 319/20,C07C 319/02,C07C 323/03 |
岡崎 光樹 隈 茂教 金村 芳信 JP 4426017 特許公報(B2) 20091218 1999212419 19990727 有機メルカプト化合物の製造方法 三井化学株式会社 000005887 宮崎 昭夫 100123788 緒方 雅昭 100127454 金田 暢之 100088328 石橋 政幸 100106138 伊藤 克博 100106297 岡崎 光樹 隈 茂教 金村 芳信 20100303 C07C 319/20 20060101AFI20100210BHJP C07C 319/02 20060101ALI20100210BHJP C07C 323/03 20060101ALI20100210BHJP JPC07C319/20C07C319/02C07C323/03 C07C 319/02 C07C 323/03 CA(STN) 特開昭60−161962(JP,A) 特開平10−330352(JP,A) 特開平07−252207(JP,A) 特開平02−270859(JP,A) 特開平10−095827(JP,A) 特開平09−263575(JP,A) 特開平09−052931(JP,A) 特開平01−268673(JP,A) 特開昭63−174966(JP,A) 特公昭40−017008(JP,B1) 3 2001039944 20010213 8 20060707 品川 陽子 【0001】【発明の属する技術分野】本発明はプラスチックレンズ用モノマー、ポリウレタン樹脂用原料、エポキシ硬化剤、塗料硬化剤、合成樹脂の加硫剤等の多種多様な用途で使われている有機メルカプト化合物の製造方法に関する。【0002】【従来の技術】有機メルカプト化合物の製造方法としては、従来より、数多くの方法が知られている。例えば、ジスルフィド結合を還元する方法、有機ハロゲン化物に水硫化ナトリウム、硫化ナトリウム、水硫化カリウム等の水硫化または硫化アルカリ金属塩を反応させる方法、有機ハロゲン化物またはアルコール類にチオ尿素を反応させてイソチウロニウム塩を生成させて、それを塩基で加水分解する方法、ブンテ塩を経由する方法、ジチオカルバミン酸エステルを経由する方法、Grignard試薬と硫黄を用いる方法、スルフィドのC−S結合を開裂させる方法、エピスルフィド基を開環させる方法、カルボニル基を持つ化合物を出発化合物として最終的に硫化水素を反応させる方法、アルケンに硫化水素またはチオ酢酸を付加させる方法等が挙げられる。【0003】中でも,有機ハロゲン化物またはアルコール類からイソチウロニウム塩を経由して有機メルカプト化合物を製造する方法は、その他の製造方法と比較して、収率が良く、副生物が少なく、操作性に優れ、得られた製品の品質が良い場合が多く、一般的に、最もよく用いられている製造方法の一つとなっている。【0004】イソチウロニウム塩を経由する有機メルカプト化合物の製造は、通常、以下のように行われている。【0005】先ず、出発原料が、分子内に塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子を結合させた有機ハロゲン化物の場合、直接チオ尿素を反応させてイソチウロニウム塩を生成せしめ、次いで水酸化ナトリウム水、水酸化カリウム水、アンモニア水、ヒドラジン水、炭酸ナトリウム水等の塩基で加水分解して目的とする有機メルカプト化合物を製造する。【0006】一方、出発原料が、分子内にヒドロキシ基を結合させたアルコール類の場合、当量以上の塩酸、臭化水素酸等のハロゲン化水素酸の存在下で、チオ尿素を反応させてイソチウロニウム塩を生成せしめ、上記と同様に加水分解する。【0007】しかしながら、これら従来のイソチウロニウム塩を経由する製造方法で、有機メルカプト化合物の製造を行った場合、収率が不充分な場合があったり、目的とする有機メルカプト化合物によっては、殆ど目的物が得られなかったり、目的物が得られても反応が完結せずに中間体等の不純物が多かったり、大量のタール生成よって、配管が詰まったり、分液洗浄ができなかったり等、さまざまな問題が発生する場合あった。【0008】【発明が解決しようとする課題】そのため、これらのイソチウロニウム塩法における、このような問題の発生を極力抑えて、目的とする有機メルカプト化合物を、従来より高収率で、効率的に、安価に製造できる製造法の開発が強く望まれていた。【0009】本発明の目的は、このイソチウロニウム塩を経由する有機メルカプト化合物の製造方法を、改良するものである。【0010】【課題を解決するための手段】本発明者らは、かかる課題に鑑み、イソチウロニウム塩を経由する有機メルカプト化合物の製造方法について、鋭意検討した結果、驚くべきことに、有機ハロゲン化物またはアルコール類をチオ尿素と反応させる際に、硫酸を加えてイソチウロニウム塩化反応を行い、その後に加水分解を行うと、上記の問題は殆ど解消され、目的とする有機メルカプト化合物を、高収率で、効率的に、安価に製造できるようになる事を見出し、本発明に到達した。【0011】即ち、本発明は、有機ハロゲン化物またはアルコール類をチオ尿素と反応させて得られるイソチウロニウム塩を加水分解して相当する有機メルカプト化合物を製造する方法において、硫酸を加えてイソチウロニウム塩化反応を行い、その後に加水分解すこと事を特徴とする有機メルカプト化合物の製造方法である。【0012】【発明の実施の形態】本発明において、イソチウロニウム塩化反応に加えられる硫酸量は、原料である有機ハロゲン化物またはアルコール類に対しておおよそ0.01〜20wt%の範囲、好ましくは0.1〜10wt%の範囲、さらに好ましくは0.3〜5wt%の範囲である。0.01wt%未満では効果が小さく、20wt%を超えた場合は逆にタール化が進む場合があり、あまり好ましくない。【0013】硫酸を加えて行われる本発明に関わるイソチウロニウム塩化反応の反応温度は、有機ハロゲン化物に結合しているハロゲン原子の種類、またはアルコール類の構造等によって大きく異なる場合があるので、厳密には限定できないが、おおよそ0〜200℃の範囲で、好ましくは20〜150℃の範囲である。【0014】原料の有機ハロゲン化物としては、分子内に1個以上の塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子を結合させた有機化合物であり、例えば、ビス(2,3−ジクロロプロピル)スルフィド、1,1,1−トリス(クロロメチル)プロパン、1,1,1−トリス(ブロモメチル)プロパン、2,5−ビス(クロロメチル)−1,4−ジチアン、2,5−ビス(ブロモメチル)−1,4−ジチアン、1,2,6,7−テトラブロモ−4−チアヘプタン、1,2,6,7−テトラクロロ−4−チアヘプタンなどが挙げられるが、本発明は、これらに限定されるものではない。【0015】又、原料のアルコール類としては、分子内にヒドロキシ基を結合させた化合物であり、例えば、ペンタエリスリトール、1,5,9−トリヒドロキシ−3,7−ジチアノナン、1,5,9,13−テトラヒドロキシ−3,7,11−トリチアトリデカンなどが挙げられるが、本発明は、これらに限定されるものではない。【0016】本発明においては、溶媒中で反応させるのが好ましく、その際使用する溶媒は、水、或いは原料以外のアルコール類、有機ハロゲン化物である。【0017】アルコール類としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、メトキシエタノール等が好ましく用いられる。【0018】有機ハロゲン化物としては、例えば、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等が挙げられる。【0019】原料としてアルコール類を用いた場合は、化合物の構造によっては、イソチウロニウム塩が結晶として析出する場合がある。【0020】このような場合、この結晶を濾過で取り出して、改めて加水分解しても良いし、取り出さずにそのまま加水分解しても良いが、最終目的物の純度をより向上させたい場合は、この結晶を濾過で取り出して改めて加水分解した方が、より好ましい結果を与える場合がある。【0021】引き続き行われる本発明に関わる加水分解は、従来の方法と同様に、通常の塩基水を用いて行われる。使用される塩基水の種類としては、例えば、水酸化ナトリウム水、水酸化カリウム水、アンモニア水、ヒドラジン水、炭酸ナトリウム水等の塩基水が挙げられ、中でもアンモニア水を用いた場合、好ましい結果を与える場合がある。【0022】塩基の使用量は、有機ハロゲン化物に結合しているハロゲン原子数+アルコール類の場合によく使用されるハロゲン化水素酸量+硫酸量に対して、おおよそ1〜3当量の範囲がよく用いられ、1.2〜2当量の範囲がさらによく用いられる。【0023】加水分解反応の反応温度は、用いる塩基水の種類によってかなり異なる為、限定は難しいが、おおよそ0〜100℃の範囲で、好ましくは20〜70℃の範囲である。【0024】加水分解に使用する溶媒は、水、またはメタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、メトキシエタノール等のアルコール類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒類、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等のハロゲン系溶媒類等が好ましく用いられる。【0025】前工程のイソチウロニウム塩化反応を水溶媒で行い、反応物を取り出さずにそのまま加水分解する場合は、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒類を加えて2層系で加水分解を行った方が、その後に行われる洗浄操作等が効率的かつ短時間で行える場合があるため、比較的好ましい。【0026】こうして得られた本発明に関わる有機メルカプト化合物を含む反応液は、通常、酸洗、塩基洗、水洗等必要に応じさまざまな洗浄が行われ、脱溶媒後、濾過して製品が得られる。また、蒸留、カラムクロマトグラフィー、または再結晶等のその他のさまざまな精製方法によって精製されてもよい。【0027】本発明に関わる有機メルカプト化合物とは、分子内にメルカプト基を一個以上持つ有機化合物である。【0028】本発明の有機メルカプト化合物の製造方法は、メルカプト基が一個のモノチオールの場合よりも、メルカプト基が二個以上のポリチオールの方が、効果が顕著に表れる場合がある。中でも、例えば、以下のような化合物の場合には、より効果的になる事がある。【0029】例えば、1,1,1−トリス(メルカプトメチル)プロパン、ペンタエリスリチオール、4−(メルカプトメチル)−3,6−ジチアオクタン−1,8−ジチオール、4,8−ビス(メルカプトメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン−1,11−ジチオール、2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアン、1,1,3,3−テトラキス(メルカプトメチル)−2−チアプロパン等が挙げられる。尚、本発明はこれら列記化合物のみに限定されるものではない。【0030】本発明の製造方法で得られた有機メルカプト化合物は、プラスチックレンズ用モノマーとして使用する以外に、ポリウレタン樹脂用原料、エポキシ硬化剤、塗料硬化剤、合成樹脂の加硫剤等の多種多様な用途にも好適に使用できる。【0031】その中から、ポリウレタン系プラスチックレンズへの応用例について、簡単に述べる。本発明の製造法で得られた有機メルカプト化合物、ポリイソシアナート、必要に応じてその他のモノマーと添加剤を、混合均一化し、減圧撹拌等によって脱泡を行なう。【0032】その後、主にガラスモールドと樹脂製のガスケット又はテープからなる成型モールドに脱泡液を注入し、主に熱によって硬化させる。【0033】加熱条件は、おおよそ0〜200℃の温度範囲で低温から高温まで徐々に昇温し、おおよそ1〜100時間で終了させる。【0034】その他のモノマーに放射線重合性モノマーを用いた場合、放射線照射を併用しても良い。放射線を照射する場合は、主に400nm以下の紫外線が良く用いられる。紫外線の照射条件は、おおよそ1〜1000mJ/secの強度で1〜7200sec照射される場合が多く、時には除熱や、光学的に均一な成型物を得る目的で、照射前に冷却したり、照射を数回に分けて行ったりする場合もある。【0035】本発明の応用例の一つとして用いられるポリイソシアナートとは、分子内に二個以上のイソシアナト基をもつ有機化合物であり、例えば、以下の化合物が挙げられる。【0036】例えば、m−キシリレンジイソシアナート、α,α,α’,α’−テトラメチル−m−キシリレンジイソシアナート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、イソホロンジイソシアナート、ビス(4−イソシアナトシクロヘキシル)メタン、ヘキサメチレンジイソシアナート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアナート、ビス(イソシアナトメチル)ノルボルナン、ビス(イソシアナトメチルチオ)メタン等が挙げられる。尚、本発明はこれら列記化合物のみに限定されるものではない。【0037】必要に応じて加えられるその他のモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル化合物、アリルまたはビニル化合物、(チオ)エポキシ化合物等が挙げられる。【0038】(メタ)アクリル化合物としては、例えば、エチレングリコールジ[(メタ)アクリレート]、ジエチレングリコールジ[(メタ)アクリレート]、ブタンジオールジ[(メタ)アクリレート]、ネオペンチルグリコールジ[(メタ)アクリレート]、トリメチロールプロパントリス[(メタ)アクリレート]、ペンタエリスリトールトリス[(メタ)アクリレート]、ペンタエリスリトールテトラキス[(メタ)アクリレート]、ジペンタエリスリトールヘキサ[(メタ)アクリレート]、2,2−ビス[(メタ)アクリロイルエトキシエトキシフェニル]プロパン、2,2−ビス[(メタ)アクリロイルエトキシフェニル]プロパン、ビス[(メタ)アクリロイルエトキシエトキシフェニル]メタン、ビス[(メタ)アクリロイルエトキシフェニル]メタン、ビス[(メタ)アクリロイルメチル]トリシクロデカン、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、エタンジチオールジ[(メタ)アクリレート]、3−チアヘプタン−1,5−ジチオールジ[(メタ)アクリレート]、2,5−ビス[(メタ)アクリロイルチオメチル]−1,4−ジチアン等が挙げられる。尚、本発明はこれら列記化合物のみに限定されるものではない。【0039】アリル又はビニル化合物としては、例えば、ジエチレングリコールビス(アリルカーボネート)、ジアリルスルフィド、スチレン、イソプロペニルベンゼン、ジビニルベンゼン、ビニルシクロヘキセンオキサイド、ジイソプロペニルベンゼン、3−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアナート等が挙げられる。尚、本発明はこれら列記化合物のみに限定されるものではない。【0040】(チオ)エポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールAビス[3−グリシジルオキシ−2−ヒドロキシ−1−プロピルエーテル]、3,4−エポキシシクロヘキシルカルボン酸−3,4−エポキシシクロヘキシメチルエステル、1,4−ブタンジカルボン酸−ジ(3,4−エポキシシクロヘキシメチルエステル)、ビニルシクロヘキセンジオキサイド、ジグリシジルスルフィド、ビス(エピチオプロピル)スルフィド、ビス(エピチオプロピル)ジスルフィド等が挙げられる。尚、本発明はこれら列記化合物のみに限定されるものではない。【0041】応用例の一つとして挙げたプラスチックレンズの製造において、必要に応じて、熱触媒、光触媒、紫外線吸収剤、内部離型剤、酸化防止剤、重合禁止剤、油溶染料、充填剤、可塑剤等の公知の添加削を加えてもよい。【0042】さらに、このプラスチックレンズおよびその樹脂は、注型重合時のモールドを変更することによって、種々の成型体に変化させることができ、眼鏡レンズ、カメラレンズ、発光ダイオード等の光学材料に好適に応用できる。【0043】また、得られた光学材料及びプラスチックレンズ等は、必要に応じ反射防止、高硬度付与、耐磨耗性向上、耐薬品性向上、防曇性付与、あるいはファッション性付与等の改良を行うため、表面研磨、帯電防止処理、ハードコート処理、無反射コート処理、調光処理等の物理的あるいは化学的処理を施すことができる。【0044】【実施例】以下、本発明を実施例及び比較例により具体的に説明する。なお、得られたプラスチックレンズの屈折率、アッベ数は、以下の試験方法により評価した。【0045】屈折率、アッベ数;プルフリッヒ屈折計を用い、20℃で測定した。耐熱性;TMAによって測定した。【0046】実施例1(ポリチオールの製造)ジアリルスルフィドに塩素を反応させて得られたビス(2,3−ジクロロプロピル)スルフィド247.8g(0.968モル)に、チオ尿素368.4g(4.84モル)、水500ml、95wt%硫酸3g(1.2wt%対ビス(2,3−ジクロロプロピル)スルフィド)を加えて、加熱撹拌還流下(105〜110℃)3時間イソチウロニウム塩化反応を行った。【0047】室温まで冷却後、トルエン500mlを加え、さらに注意深く25wt%アンモニア水395.0g(5.80モル)を加えて、60℃で3時間加水分解を行った。撹拌を停止して下層の廃水を分液廃棄し、室温まで冷却した有機層を、35wt%塩酸100ml、水100mlで4回順次洗浄を行い、得られた有機層を減圧下60℃で脱溶媒した。溶媒に留出が殆ど無くなったところで真空度を上げて(0.4〜0.7kPa)そのままトッピングを5時間行った。最後に、残渣を室温まで冷却して3ミクロンフィルターで濾過を行い、透明の1,1,3,3−テトラキス(メルカプトメチル)−2−チアプロパンを229.5g(粗収率=96.2%)を得た。【0048】得られた製品のSH価は15.4meq/g(理論値16.23meq/g)であった。【0049】比較例1硫酸を加えずに、実施例1と同様に試験を行ったところ、イソチウロニウム塩化反応がおおよそ2時間を過ぎようとした頃に、急に大量の塊状不溶物が生成し、撹拌すら困難になった。無理やり不溶物を系外に除去し、残液をそのまま加水分解したが、目的物は殆ど得られなかった。【0050】比較例2硫酸を加えずに、イソチウロニウム塩化反応時間を1時間に短縮して、実施例1と同様に試験を行った。結果、1,1,3,3−テトラキス(メルカプトメチル)−2−チアプロパンを218.8g(粗収率=91.7%)を得た。【0051】得られた製品のSH価は14.6meq/g(理論値16.23meq/g)で、SHへの転化がまだ若干不足していた。【0052】参考例1(プラスチックレンズの製造)実施例1で得られた1,1,3,3−テトラキス(メルカプトメチル)−2−チアプロパン19.6g(0.080モル)、ビス(イソシアナートメチルチオ)メタン30.4g(0.160モル)、触媒としてジブチル錫ジクロライド2.5mg(50ppm)、紫外線吸収剤として2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール25mg(500ppm)、内部離型剤としてジ(1,4,7−トリメチル−3,6,9−トリオキサトリデシル)燐酸を75mg(1500ppm)混合溶解し、減圧下で混合脱泡を行った。脱泡終了後、あらかじめ用意しておいた成型モールドに注入し、室温から120℃まで徐々昇温し、20時間かけて加熱硬化させた。冷却後、離型して得られたレンズは透明で、屈折率Nd=1.694、アッベ数νd=33、耐熱性112℃であった。【0053】参考例2比較例2で得られた1,1,3,3−テトラキス(メルカプトメチル)−2−チアプロパンを用いて、実施例2と同様にプラスチックレンズの製造を行った。その結果、得られたレンズは透明であったが、屈折率Nd=1.685、アッベ数νd=33、耐熱性103℃であった。参考例1と比較して、屈折率と耐熱性が低下していた。【0054】【発明の効果】本発明によれば、イソチウロニウム塩を経由する有機メルカプト化合物の製造方法において、イソチウロニウム塩化反応を硫酸の存在下に行うことで、従来より高収率で、効率的に、安価に目的の有機メルカプト化合物を製造できる。【0055】又、本発明により製造される有機メルカプト化合物は、目的とする高いSH価を有し、プラスチックレンズ用モノマーとして好適であり、得られたレンズはモノマー本来の高屈折率、高耐熱性の寄与を享受することができる。 ビス(2,3−ジクロロプロピル)スルフィド、1,1,1−トリス(クロロメチル)プロパン、1,1,1−トリス(ブロモメチル)プロパン、2,5−ビス(クロロメチル)−1,4−ジチアン、2,5−ビス(ブロモメチル)−1,4−ジチアン、1,2,6,7−テトラブロモ−4−チアヘプタンおよび1,2,6,7−テトラクロロ−4−チアヘプタンから選択される有機ハロゲン化物をチオ尿素と反応させて得られるイソチウロニウム塩を加水分解して相当する有機メルカプト化合物を製造する方法において、硫酸を加えてイソチウロニウム塩化反応を行い、その後に加水分解すること事を特徴とする有機メルカプト化合物の製造方法。 硫酸量が、原料である有機ハロゲン化物に対して0.01〜20wt%である請求項1記載の有機メルカプト化合物の製造方法。 有機ハロゲン化物がビス(2,3−ジクロロプロピル)スルフィドである請求項1又は2に記載の有機メルカプト化合物の製造方法。