タイトル: | 特許公報(B2)_高用量フック効果を示す側流サンドイッチ免疫検定で分析対象物濃度を測定する方法 |
出願番号: | 1999207240 |
年次: | 2010 |
IPC分類: | G01N 33/543 |
ハイ−ハン・コー リサ・エー・メリット JP 4454071 特許公報(B2) 20100212 1999207240 19990722 高用量フック効果を示す側流サンドイッチ免疫検定で分析対象物濃度を測定する方法 バイエルコーポレーション 391007079 津国 肇 100078662 篠田 文雄 100075225 ハイ−ハン・コー リサ・エー・メリット US 09/122736 19980727 20100421 G01N 33/543 20060101AFI20100401BHJP JPG01N33/543 521G01N33/543 515AG01N33/543 515D G01N 33/543 特開平05−005743(JP,A) 特開平08−240591(JP,A) 特表2001−509253(JP,A) 9 2000046831 20000218 16 20060526 赤坂 祐樹 【0001】免疫クロマトグラフィー試験片フォーマットは、目視検出方式を使用する定量的及び半定量的検定にとってますます一般的になった。このタイプの免疫検定は、検出すべき分析対象物を含有する疑いのある流体試料を免疫クロマトグラフィー試験片の適用区域に適用することを含む。試験片は、流体試験媒体及びその中に懸濁もしくは溶解した分析対象物が、毛管作用により、適用区域から、検出可能な信号又はその不在が分析対象物の有無を示す捕捉区域まで貫流する(flow through)ことができるマトリックス材料で構成されている。通常、試験片は、検出すべき分析対象物を、検出可能な標識を担持するその特異的結合相手と免疫特異的に結合させるための手段を含む。米国特許第4,446,232号明細書に開示されている一つのそのような方式では、試験片は、試験片のうち試料適用区域から下流の区域にある、酵素標識された可動性(移動性)の、分析対象物に対する結合相手を含む。分析対象物が試料中に存在するならば、その標識された結合相手と結合して複合体を形成し、その複合体が試験片に沿って流れて、酵素標識の存在で色応答を発することができる、酵素標識の基質を含有する検出区域に達する。試験片は、試料中に十分な分析対象物が存在しないために分析対象物と結合しない標識化結合相手が捕捉され、それにより、検出区域に達することを妨げられるよう、分析対象物が固定される別の区域を含む。この技術の多様な変形が発表されており、それらはすべて、試料中の分析対象物の存在又は不在が、捕捉区域中の標識化結合相手の検出又はその不在によって決定される、競合特異的結合系を含む。【0002】遊離の標識抗体を検出する、上述した免疫測定検定に代わるものは、捕捉区域が、分析対象物の、標識抗体が特異性を示すエピトープとは異なるエピトープに対する固定化抗体を含有する、いわゆるサンドイッチフォーマットである。このフォーマットでは、固定化抗体と標識化抗体との間に分析対象物を挟んだサンドイッチが形成され、したがって、これは、結合した標識抗体種を検出する免疫測定検定である。このタイプの免疫試験片フォーマットは、比較的低濃度の分析対象物の分析に関してはうまく働くが、高濃度の分析対象物を含有する流体の分析には限られた用途しかない。この不都合な作用は、試料中に自由な分析対象物が過剰に存在し、それが、試験片の捕捉バンド中の固定化抗体との結合を求めて、試験片のうち捕捉区域から上流の部分での相互作用によって標識抗体と結合した分析対象物とで競合することによって引き起こされる。この競合の結果、より少ない分析対象物/標識抗体複合体しか捕捉抗体によって捕捉することができず、したがって、試料中の分析対象物がより少なかった場合に検出されるであろうよりも少ない信号しか捕捉区域中で検出されない。このタイプの試験片を使用して作成される用量応答曲線は、分析対象物濃度が固定化捕捉抗体と分析対象物/標識抗体複合体との相互作用を阻止し始める点まで分析対象物の増加とともに増大する信号を示す。この点を超えると、試験流体中の分析対象物の増大が信号の減少をもたらし、その結果、用量応答曲線が、分析対象物の増加とともに減少する信号を示す。この種の用量応答曲線のスロープは、フック効果として知られる、この現象の原因であるフックにいくらか類似している。従来、フック効果が見られる、又は疑われるとき、結果の妥当性を保証するため、流体試料を数希釈度に希釈する。十分な標識化抗体又は捕捉抗体が検定媒体中に存在するならば、高用量フック効果は起こらないかもしれない。普通、この効果の存在を立証するためには、完全な用量応答曲線(低濃度から高濃度の分析対象物)が必要である。したがって、試料の希釈は一般に、検定がフック効果を示すことを予期する理由があるときに実施される。本発明の目的は、効力が試料中の高い分析対象物濃度によって影響されず、したがって、高濃度の分析対象物を含有する試料の希釈又は試料の再検定を要しない、免疫クロマトグラフィー試験片を使用するサンドイッチタイプ検定法を提供することである。この方法は、少なくとも二つの捕捉バンドと、場合によっては、分析対象物とで複合体を形成しなかった標識化抗体を拘束し、それにより、捕捉バンドの一つにおけるその捕捉を容易にする、標識化抗体の結合相手が固定されている捕集バンドとを試験片に設けることを含む。捕集バンドは、検定法がサンドイッチフォーマットで作用するには必要ないため、場合によって用いられる。しかし、捕集バンドを含有する試験片を使用することにより、各試料測定は、より多くの情報を提供し、それにより、検定の感度及び/又は精度が改善される。【0003】欧州公開特許第0462376号公報には、免疫クロマトグラフィー試験片の捕捉部位及び接合体捕集部位における信号を検出し、回収部位の信号に対する捕捉部位の信号の強さによって分析対象物濃度を測定する手法が開示されている。同じくこれに関連するものは、米国特許第5,569,608号明細書である。【0004】同時係属出願(第08/900,586号)には、捕捉区域及び捕集区域における検出可能な標識からの信号を測定し、特定の検定に適した方法で選択されるアルゴリズム及び多数の信号を使用して最終的な応答信号を決定して分析対象物濃度の値を提供する、多数の捕捉及び/又は捕集部位を有する免疫クロマトグラフィー試験片を使用する検定が開示されている。【0005】本発明は、流体試験媒体中の分析対象物の濃度を測定する方法である。この方法は、以下の工程を含む。【0006】a)分析対象物を含有する疑いのある試験流体が毛管作用によって貫流することができる多孔質材料の試験片を提供する工程(試験片は、分析対象物の第一のエピトープに対して特異的な抗体が固定されている少なくとも二つの別々の捕捉領域を有している。また、検出可能な標識を担持し、試験片の、少なくとも二つの別々の捕捉区域の第一の区域から上流に適用されると、流体試験媒体とともに試験片を貫流することができる、分析対象物の第二のエピトープに対して特異的な抗体が用意されている)。【0007】b)流体試験媒体を試験片に適用し、それを、標識化抗体を担持する試験片に沿って流れさせ、それにより、別々の捕捉領域中の固定化抗体と接触させる工程{流体試験媒体が試験片に沿って流れるとき接触する少なくとも第一の別々の捕捉領域中で、固定化抗体と分析対象物の第一のエピトープとの結合を部分的に妨げるのに十分な分析対象物が流体試験媒体中に存在するとき、流体試験媒体が分析対象物を運んで通過する別々の捕捉領域中に、固定化抗体と、分析対象物と、標識化抗体とのサンドイッチ(そのサンドイッチの量は、固定化抗体の部分的妨害によって制限される)が形成される}。【0008】c)サンドイッチが形成した別々の捕捉領域それぞれにおける標識化抗体上の標識から発される信号を定量的に検出する工程(これは、流体試験媒体中の分析対象物の濃度にユニークな信号パターンを提供する)。【0009】d)ユニークな信号セットを数学的に合わせて単調用量応答曲線を生成して、固定化抗体と分析対象物の第一のエピトープとの結合の妨害をファクタから外す工程。【0010】【発明の実施の形態】本発明は、まず、流体試料が毛管作用によって貫流することができるところの試験マトリックスを提供することによって実施される。通常、マトリックスは、試験流体が水平方向に流れる試験片の形態にある。マトリックスは、試験流体が垂直方向に上から下又はその逆に流れることができる積層フォーマットに組み立てることもできるが、以下の記載は、好ましい試験片フォーマットを中心に述べる。【0011】試験片は、試験流体及びその中に含まれる分析対象物が毛管作用によって貫流することができ、非吸収の側流(non-bibulous lateral flow)を支持することができる材料からなることができるいかなるマトリックス材料から調製することもできる。このタイプの流れは、マトリックス材料が成分の1種以上を吸収することができる場合に当てはまるであろう1種以上の成分の優先的保持とは対照的に、液体の溶解又は分散した成分すべてが実質的に等しい速度かつ比較的弱められない流れでマトリックス中を運ばれる液流として米国特許第4,943,522号明細書に記載されている。そのような材料の例は、Porex Technologies社から得ることができる高密度又は超高分子量ポリエチレンシート材料である。クロマトグラフィー試験片を製造することができるマトリックスとして等しく適したものは、吸収性材料、たとえば紙、ニトロセルロース及びナイロンである。【0012】本発明の好ましい実施態様では、領域2(図1)を有するニトロセルロースの試験片を含む試験具が提供される。領域2は、検出可能な標識を担持し、試料を吸収パッドに適用し、それを試験片に沿って領域2まで流れさせたとき、吸水パッド1に適用された流体試料中に存在する分析対象物と反応して分析対象物/標識化結合相手の複合体を形成することができる、分析対象物に対する可動性の特異的結合相手を含む。領域2では、試料中の分析対象物が、分析対象物に特異的な標識化抗体と結合し、標識化抗体が特異性を示すものとは別の分析対象物のエピトープに特異的な固定化抗体を含有する二つ以上の捕捉バンド3′を含有する区域3に流れて、一つ以上の捕捉バンドの中で固定化結合相手/分析対象物/標識化結合相手のサンドイッチを形成する。試験流体中の分析対象物レベルが低いとき、サンドイッチは、干渉なしで、第一の別々の捕捉領域で形成され、標識化抗体からの信号をさらなる工程なしで読み取ることができる。しかし、過剰な分析対象物が存在するとき、固定化抗体上のいくつかの結合部位のブロックが起こり、それにより、第一の捕捉領域におけるサンドイッチ形成を減らす。この状況で、結合していない分析対象物−標識化抗体の結合体は、第一の捕捉領域の中を流れ、第二の捕捉領域で捕捉される。分析対象物濃度が第二の捕捉領域における結合部位をブロックするのに十分なほど高いとき、分析対象物−標識化抗体の結合体の捕捉は、第三又はおそらくはその後の捕捉領域で起こる。【0013】捕捉バンドの数は一般に、分析対象物の濃度範囲、各バンド中の固定化抗体の量及び必要な区別のレベルによって決まる。理論的には、必要であり、試験片上に十分な空間が利用できる限り、捕捉バンドの数に制限はない。典型的には、大部分の検定で十分な能力を提供するため、最大で三つの捕捉バンド3′が試験片の捕捉領域3に含まれるであろう。標識化抗分析対象物抗体は、通常、領域2に加えられるが、試料中に存在すると予想されるすべての分析対象物とで結合体を形成するのに必要であるよりも過剰には加えられない。過剰な標識化抗体/分析対象物の結合体は、区域4の捕集バンドで、標識化抗体の捕集手段、たとえば固定化IgGによって捕捉されるか、中間又は高分析対象物濃度ですべてが捕捉バンドに結合することもでき、その場合、結合体は捕捉バンドには達しない。捕集バンドは、検定の内部対照として働くこともできるし、分析対象物濃度の計算に関与することもできる。後者の実施態様の場合、よりよい分析対象物測定のために、試験片上に二つ以上の捕集バンドを有して検定性能を改善することが可能である。試験片は、場合によっては、乾燥させた吸収パッド5を含んでもよい。このパッドは、試験片を通過する試験流体の毛管流を促進するための液だめとして働く。パッド中の乾燥剤は、試験片の一番上に達した液体を効果的に吸収することにより、工程を増強する。【0014】分析対象物を含有する流体試料を適用することによって試験片を展開させると、捕捉バンド及び場合によって使用される捕集バンドの各々中で標識によって発される信号を、たとえば反射分光計の使用によって定量的に検出して、流体試験媒体中の分析対象物の濃度にユニークである信号のパターンを得る。次に、この信号パターンを数学的に合わせて単調な(分析対象物濃度とともに連続的に上昇する)用量応答曲線を作成する。この曲線は、検定応答と分析対象物濃度との間に1対1の関係を設けることによって達成される、固定化抗体と分析対象物の第一のエピトープとの間の結合のフック効果ブロックをファクタから外すように作成される。フック効果によって生じる問題は、二つ以上の分析対象物濃度から同じ検定応答が生じうるということである。単調用量応答曲線がこの問題を軽減し、その結果、1回の試料測定によって明瞭な結果を得ることができる。多数の捕捉バンドを有するC反応性タンパク質(CRP)を検出するための免疫試験片が、Labmedica, April/May 1990に開示されているが、捕捉バンドからの信号を数学的に合わせるという提案はない。この参考文献に記載された試験片における多数の捕捉バンドは、試験片上の可視バンドの数に比例する分析対象物濃度レベルを示すために使用されると思われる。この検定は、遊離の分析対象物をブロックすることなく、捕捉区域における分析対象物−標識化抗体の複合体の逐次的含浸に基づくため、これら多数のバンドは、フック効果が起こる範囲の分析対象物を測定するようには設計されていない。これは、本発明における信号パターンの数学的処理と対照的である。この参考文献に記載された免疫試験片とは異なり、本検定システムは、フック効果が生じるレベルを超える分析対象物濃度を直接測定するように設計されている。検定によって発生する信号パターンの数学的処理は、フック効果によって課される制限を超える分析対象物濃度を評価するための独特なrevenus(単調な用量応答曲線)を提供する。【0015】本発明を実施する好ましい方法では、抗体標識が所定の波長の光を反射することができ、反射の強さの検出器を、展開した試験片及び検出器を互いに対して動かすための手段、たとえば、試験片が配置され、検出器の読取りヘッドの下で横方向に動かすことができる試料テーブルとともに有する反射分光計が得られる。検出器に対する試験片の位置をマイクロプロセッサによって制御することができ、所望の領域の反射率を測定し、プログラムされたソフトウェアを使用して合成して単調用量応答曲線を提供することができるため、この技術は、正確な定量を提供するのに役立つ。標識に不可欠な唯一の性質は、それが定量的に検出されうるということであるため、他の標識、たとえば放射性同位体及び酵素が適当である。【0016】試験片が三つの捕捉領域及び一つの捕集領域を含む本発明の好ましい実施態様では、独特な信号パターンは、i)第一の捕捉領域の信号に対する第二及び第三の捕捉領域の信号の比率を決定する工程と、ii)二つの比率を、捕集領域からの信号と同じ大きさの範囲にある数で乗じる工程と、iii)捕集領域からの信号を、工程iiで導出した二つの積の和から減じる工程と、によって合わされる。【0017】【実施例】本発明を実施する方法を以下の例によってさらに説明する。例Iモノクロナールマウス抗C反応性タンパク質(CRP)抗体の三つの試験バンド及びポリクロナールロバ抗ヤギ抗体(IgG)の一つの対照バンドを含む側流ニトロセルロース試験片を使用して本発明の多バンド免疫試験片フォーマットを実証した。試験片は次のようにして調製した。【0018】pH7.0の緩衝液中の既知の濃度の親和力精製したCRPを含有するCRP較正基準を、青ラテックス粒子で標識されたポリクロナールヤギ抗CRP抗体0.04%(w/v)を含有するpH8.2の検定水溶液0.2%(w/v)BSA、0.05%(w/v)Triton X-100、0.75%(w/v)グリシン、5.85%(w/v)NaCl及び0.2%(w/v)NaN3と混合したのち、それを、ニトロセルロース試験片を含有するカセットにピペットで移すことにより、検定を実施した。5分後、CLINITEK(登録商標)50反射分光計を使用して、捕捉バンド及び捕集バンドにおける反射率の変化を測定した。ΔR(ΔR=捕捉(試験)又は捕集(対照)バンド付近の絶対バックグラウンド反射率読み取り値−試験又は対照バンドの絶対反射率読取り値)を含む異なるデコード計算を使用することにより、検定開始後5分で両方の反射率読取り値を得た。図2及び3に示すような二つの用量応答曲線を得た。第一の試験バンドの反射率変化から第一の曲線を導出した。すなわち、デコード1=第一の試験バンドのΔR。図3の曲線は、すべて三つの捕捉バンド及び捕集バンドからの反射率における変化を利用して分析対象物濃度を計算するデータ計算法によって作成した。すなわち、【0019】【数3】【0020】式中、T1=第一の捕捉バンドのΔRT2=第二の捕捉バンドのΔRT3=第三の捕捉バンドのΔRCL=捕集バンドのΔR【0021】既知の分析対象物濃度に対し、計算したデコード値(全検定応答)をプロットし、曲線当てはめによって用量応答曲線(図3)を作成した。この曲線は以下の式によって表される。【0022】【数4】【0023】未知の濃度の分析対象物を含有する試験流体を使用して捕捉バンド及び捕集バンドから得られた検定応答でこの式を解くことにより、未知の分析対象物濃度を次のように計算した。【0024】【数5】【0025】図2の第一の用量応答曲線によって示すように、一つのバンドしか読み取られない検定の動的範囲は、高用量フック効果によって制限される。すなわち、一定のしきい値を超える分析対象物濃度は、応答信号の減少のため、試料を希釈せずには測定することができない。単一バンド試験とは対照的に、多バンド検定は、1試験あたり二つ以上の結果を出し、分析対象物濃度レベルごとにユニークなバンド信号パターンを表示する。これらのパターンは、評価のために直接使用することもできるし、定量的又は半定量的評価のために、図3の用量応答曲線のように数値的に表すこともできる。動的範囲(ダイナミックレンジ)とは、最大検定応答と最小検定応答との間の範囲である。図3では、動的範囲は約−60〜70である。【0026】例II一つの用量応答曲線による分析対象物測定に加えて、多バンド検定は、多曲線分析対象物計算の選択肢を提供する。この計算方法は、全分析対象物濃度範囲を、多様な信号の組み合わせから導出される用量応答曲線によって支配されるいくつかの部分に分割する。これは、指定された濃度領域の各用量応答曲線のもっとも高感度の部分を利用し、いかなるレベル(高、中又は低)の分析対象物をも最小限の誤差で測定することができるように設計されている。各バンドからの信号に基づくアルゴリズムを使用して、得られた各検定応答をデータ処理にとって正しい濃度領域に向ける。【0027】二つの用量応答曲線を使用する多曲線分析対象物計算の例を以下のアルゴリズムによって示す。【0028】【表1】【0029】このアルゴリズムは、実験データを比較することによって経験的に導出した。アルゴリズムは、本発明にしたがって多曲線分析対象物計算を実施する方法を実証するために設計されている。ステップCL>80?、|T1−T2|<3CL?、T2>3CL?を含む決定ルーチンが、試料の分析対象物濃度が、図4及び5に示す用量応答曲線によって支配される二つの領域の境界であった250ng/mlを上回ったか下回ったかを決定する一つの方法である。デコードは、用量応答曲線に基づいて分析対象物濃度を計算するために、捕捉及び捕集バンドの反射率変化から導出される値を表す。デコードとは、CLINITEK(登録商標)計器によって測定される、試薬からの色の反射率を表す数である。【0030】この実験はまた、既知の分析対象物濃度の較正基準を使用して実施した。検定応答を、それらの対応する分析対象物濃度を基準にして二つの群に分割した。低い分析対象物濃度(0〜250mg/ml)を有する群の場合、所定のデコード3式デコード3=Clによって検定応答を数学的に合わせた。デコード3=CLの用量応答曲線を図4に示す。捕捉バンドは濃度範囲の下端で有意なレベルの区別を示さなかったため、この式は捕集バンドからの応答のみを含む。そして、既知の分析対象物濃度に対してデコード値をプロットし、それを使用して、曲線当てはめによって用量応答曲線を生成した(図4)。曲線の数式を以下の式によって表した。【0031】【数6】【0032】デコード4=T1/CL+10*T2/T1+100*T3/T1の用量応答曲線を図5に示す。結果及びデコード値を既知の分析対象物濃度に対してプロットして、曲線当てはめによって用量応答曲線を得た。そして、いくつかの信号の組み合わせ(デコード計算)を使用して、異なる分析対象物濃度領域で感度を示す(分析対象物濃度が変化すると検定応答が有意に変化する)用量応答曲線の群(たとえば図4及び5)を生成した。【0033】【数7】【0034】を所定のデコード4式と合わせて、【0035】【数8】【0036】を得た。【0037】次に、この式を、【0038】【数9】【0039】に変形し、これを使用して、試料の未知の分析対象物濃度を測定した。【0040】試料を多バンド免疫フォーマットによって検定するとき、個々のバンドの反射率変化を使用して分析対象物濃度を推定した。これは、分析対象物評価のための確立された群における適切な用量応答曲線(推定濃度領域でもっとも高感度であるもの)を示唆するスクリーニングアルゴリズム(経験的又は理論的に開発したもの)を使用することによって実施される。確立された群とは、種々の信号組み合わせ(デコード計算)によって生成され、異なる分析対象物濃度領域で感度を示す、前段落に記載した用量応答曲線の群である。本例では、確立された群は、図4及び5に示す用量応答曲線からなる。スクリーニング過程は、三つの連続決定ステップによって達成される。第一のステップでは、捕集バンドの反射率変化を評価する。80よりも大きいならば、デコード3式及び図4に示す用量応答曲線を使用して分析対象物濃度を計算する。80以下ならば、スクリーニング過程は第二のステップに続き、第一の捕捉バンドと第二の捕捉バンドとの反射率変化の差の絶対値を捕捉バンドの反射率変化×3の積と比較する。前者が後者よりも小さい(|T1−T2|<3CL)ならば、分析対象物濃度は、デコード4式及び図5に示す用量応答曲線による。他の場合(|T1−T2|≧3CL|)には、第二の捕捉バンドの反射率変化が捕集バンドの反射率変化×3の積よりも大きいかどうかを審査することにより、第三のスクリーニング工程を実施する。大きいならば(T2>3CL)、デコード4式を含む数学的方法を分析対象物評価に使用する。そうでなければ、デコード3式及びその対応する用量応答曲線を用いる。この方法の利点は、全分析対象物濃度範囲にわたって高感度の用量応答曲線を使用することにより、分析対象物測定における誤差を減らすことにある。単一バンド免疫フォーマットは、多数の用量応答曲線を生成することができないため、この利点を提供することができない。【0041】例IIIこれは、一つの捕捉バンドを有する免疫フォーマットと、多数の捕捉バンドを有する免疫フォーマットとを使用して分析対象物のサンドイッチ検定を実施する一般化した例である。一つの捕捉バンドを有する典型的なサンドイッチ免疫フォーマットの場合、用量応答曲線は次のように確立される。【0042】【表2】【0043】式中、式Y=f(X)は、曲線当てはめによって得られる最良当てはめ用量応答曲線である。【0044】本発明は、多数の捕捉バンドを有するサンドイッチ免疫フォーマットの使用を含む。既知の分析対象物濃度の較正基準で検定を実施することにより、二つ以上の用量応答曲線(捕捉バンドごとに1本)を作成する。試料の分析対象物濃度は、それぞれが個々の用量応答曲線を表す多数の数式を同時に解くことによって計算される。この複雑な手順を簡素化する一つの方法は、捕捉バンドの応答と捕集バンドの応答とを所定の式(以下、デコード式という)によって数学的に合わせて、一つの捕捉バンドを有する免疫フォーマットの応答に類似した全検定応答(以下、デコードという)を生成する方法である。データ処理工程を次のように示す。【0045】1)用量応答曲線の確立【0046】【表3】【0047】式中、gは、Y1、Y2、Y3、……を合わせる方法を記載する数学的関数である。【0048】【表4】【0049】式中、h=曲線当てはめによって得られる最良当てはめ用量応答曲線である。【0050】2)未知の分析対象物濃度の計算【0051】【表5】【0052】デコード式Y=g(Y1、Y2、Y3、……)と用量応答曲線式y=h(x)とを合わせると、g(y1、y2、y3、……)=h(x)を得ることができ、したがって、未知の分析対象物濃度の計算は次のようになる。【0053】【表6】【0054】例I及びIIの両方で、用量応答曲線の確立及び未知の分析対象物濃度の計算を含むこれらのデータ処理ステップを踏襲した。【図面の簡単な説明】【図1】本発明に有用である検定装置を表す図である。【図2】一つの捕捉バンドしか有しない免疫試験片の反射率変化を示す用量応答曲線のグラフである。【図3】本発明にしたがって組み合わされた三つの捕捉バンド及び一つの捕集バンドを有する免疫試験片の反射率変化を示す完全用量応答曲線のグラフである。【図4】多数の数学的方法によって組み合わされた三つの捕捉バンド及び一つの捕集バンドを有する免疫試験片の反射率変化を示す部分的用量応答曲線のグラフである。【図5】多数の数学的方法によって組み合わされた三つの捕捉バンド及び一つの捕集バンドを有する免疫試験片の反射率変化を示す部分的用量応答曲線のグラフである。【符号の説明】1: 吸収パッド2: 標識化抗体含有バンド3′: 別々の捕捉バンド(下から順に、第一、第二及び第三)4: 捕捉領域5: 捕集バンド6: 吸収パッド 流体試験媒体中の分析対象物の濃度を測定する方法において、 a)分析対象物を含有する疑いのある試験流体が毛管作用によって貫流することができる多孔質材料の試験片であって、分析対象物の第一のエピトープに対して特異的な抗体が固定されている少なくとも二つの別々の(distinct)捕捉領域と、試験片に対するその適用の際、流体試験媒体とともに試験片を貫流することができる、分析対象物の第二のエピトープに対して特異的な標識化抗体とを有する試験片を提供する工程; b)流体試験媒体を試験片に適用し、それを、標識化抗体をそれとともに有する試験片に沿って流れさせ、それにより、別々の捕捉領域中の固定化抗体と接触させ、そして、流体が試験片に沿って流れるとき接触する少なくとも第一の捕捉領域中で、固定化抗体と分析対象物の第一のエピトープとの結合を部分的にブロックするのに十分な分析対象物が流体試験媒体中に存在するとき、流体試験媒体が分析対象物を運んで通過する別々の捕捉領域中で、固定化抗体と、分析対象物と、標識化抗体とのサンドイッチを形成し、そのサンドイッチ形成の量は、固定化抗体の部分的ブロックによって制限される工程; c)サンドイッチが形成した別々の捕捉領域それぞれにおける標識化抗体上の標識からの信号を定量的に検出して、流体試験媒体中の分析対象物の濃度に対し特異的(ユニーク)である信号パターンを得る工程;及び d)ユニークな信号パターンを数学的に合わせて単調用量応答曲線を作り出して、固定化抗体と分析対象物の第一のエピトープとの結合のブロックをファクタから外す(factor out)工程を含み、 前記試験片が、三つの捕捉領域及び標識化抗体の捕集手段が固定されている一つの捕集領域を有し、 ユニークな信号パターンを、 i)第一の捕捉領域の信号に対する第二及び第三の捕捉領域の信号の比率を決定するステップと、 ii)二つの比率を、捕集領域の信号と同じ大きさの範囲にある数で乗じるステップと、 iii)捕集領域の信号を、工程iiで得た二つの積の和から減じるステップと、によって合わせる ことを特徴とする方法。 捕集手段がIgGである、請求項1記載の方法。 標識化抗体が、所定の波長の光を反射することができる物質で標識されており、試料を適用したのち捕捉領域及び捕集領域からの反射率(ΔR)の変化を反射分光計によって測定することにより、標識化抗体からの信号を定量的に検出する、請求項1記載の方法。 流体試験媒体中の分析対象物の濃度を測定する方法において、 a)分析対象物を含有する疑いのある試験流体が毛管作用によって貫流することができる多孔質材料の試験片であって、分析対象物の第一のエピトープに対して特異的な抗体が固定されている少なくとも二つの別々の(distinct)捕捉領域と、試験片に対するその適用の際、流体試験媒体とともに試験片を貫流することができる、分析対象物の第二のエピトープに対して特異的な標識化抗体とを有する試験片を提供する工程; b)流体試験媒体を試験片に適用し、それを、標識化抗体をそれとともに有する試験片に沿って流れさせ、それにより、別々の捕捉領域中の固定化抗体と接触させ、そして、流体が試験片に沿って流れるとき接触する少なくとも第一の捕捉領域中で、固定化抗体と分析対象物の第一のエピトープとの結合を部分的にブロックするのに十分な分析対象物が流体試験媒体中に存在するとき、流体試験媒体が分析対象物を運んで通過する別々の捕捉領域中で、固定化抗体と、分析対象物と、標識化抗体とのサンドイッチを形成し、そのサンドイッチ形成の量は、固定化抗体の部分的ブロックによって制限される工程; c)サンドイッチが形成した別々の捕捉領域それぞれにおける標識化抗体上の標識からの信号を定量的に検出して、流体試験媒体中の分析対象物の濃度に対し特異的(ユニーク)である信号パターンを得る工程;及び d)ユニークな信号パターンを数学的に合わせて単調用量応答曲線を作り出して、固定化抗体と分析対象物の第一のエピトープとの結合のブロックをファクタから外す(factor out)工程を含み、 前記試験片が、三つの捕捉領域及び標識化抗体の捕集手段が固定されている一つの捕集領域を有し、 標識化抗体が、所定の波長の光を反射することができる物質で標識されており、試料を適用したのち捕捉領域及び捕集領域からの反射率(ΔR)の変化を反射分光計によって測定することにより、標識化抗体からの信号を定量的に検出し、 試験片上に三つの捕捉領域及び一つの捕集領域があり、式(式中、T1=第一の捕捉領域のΔR T2=第二の捕捉領域のΔR T3=第三の捕捉領域のΔR CL=捕集領域のΔR)を解くことにより、分析対象物濃度を決定することを特徴とする方法。 流体試験媒体中の分析対象物の濃度を測定する方法において、 a)分析対象物を含有する疑いのある試験流体が毛管作用によって貫流することができる多孔質材料の試験片であって、分析対象物の第一のエピトープに対して特異的な抗体が固定されている少なくとも二つの別々の(distinct)捕捉領域と、試験片に対するその適用の際、流体試験媒体とともに試験片を貫流することができる、分析対象物の第二のエピトープに対して特異的な標識化抗体とを有する試験片を提供する工程; b)流体試験媒体を試験片に適用し、それを、標識化抗体をそれとともに有する試験片に沿って流れさせ、それにより、別々の捕捉領域中の固定化抗体と接触させ、そして、流体が試験片に沿って流れるとき接触する少なくとも第一の捕捉領域中で、固定化抗体と分析対象物の第一のエピトープとの結合を部分的にブロックするのに十分な分析対象物が流体試験媒体中に存在するとき、流体試験媒体が分析対象物を運んで通過する別々の捕捉領域中で、固定化抗体と、分析対象物と、標識化抗体とのサンドイッチを形成し、そのサンドイッチ形成の量は、固定化抗体の部分的ブロックによって制限される工程; c)サンドイッチが形成した別々の捕捉領域それぞれにおける標識化抗体上の標識からの信号を定量的に検出して、流体試験媒体中の分析対象物の濃度に対し特異的(ユニーク)である信号パターンを得る工程;及び d)ユニークな信号パターンを数学的に合わせて単調用量応答曲線を作り出して、固定化抗体と分析対象物の第一のエピトープとの結合のブロックをファクタから外す(factor out)工程を含み、 前記試験片が、三つの捕捉領域及び標識化抗体の捕集手段が固定されている一つの捕集領域を有し、 標識化抗体が、所定の波長の光を反射することができる物質で標識されており、試料を適用したのち捕捉領域及び捕集領域からの反射率(ΔR)の変化を反射分光計によって測定することにより、標識化抗体からの信号を定量的に検出し、 試験片上に三つの捕捉領域及び一つの捕集領域があり、a)式(式中、T1=第一の捕捉領域のΔR T2=第二の捕捉領域のΔR T3=第三の捕捉領域のΔR CL=捕集領域のΔR)を解いてデコード値を決定し、b)用量応答曲線上でデコード値を分析対象物濃度に対してプロットして分析対象物濃度を得ることにより、分析対象物濃度を決定することを特徴とする方法。 全分析対象物濃度範囲が、種々の信号の組み合わせから導出される複数の用量応答曲線によって支配される複数の部分に分割されている多曲線計算により、分析対象物濃度を決定する、請求項1記載の方法。 流体試料が尿を含む、請求項1記載の方法。 流体試験媒体中の分析対象物の濃度を測定する方法において、 a)分析対象物を含有する疑いのある試験流体が貫流することができる多孔質材料の試験片であって、分析対象物の第一のエピトープに対して特異的な抗体が固定されている少なくとも二つの別々の捕捉バンドを有し、捕捉バンドの上流に、分析対象物の第二のエピトープに対して特異的であり、試験片に対するその適用の際、流体試験媒体とともに試験片を貫流することができる標識化抗体を有する試験片を提供する工程; b)流体試験媒体を試験片に適用し、それを、標識化抗体をそれとともに有する試験片に沿って流れさせ、それにより、捕捉バンド中の固定化抗体と接触させ、そして、流体試験媒体が試験片中を流れるとき接触する第一の捕捉バンド中で、固定化抗体と分析対象物の第一のエピトープとの結合を部分的にブロックするのに十分な分析対象物が流体試験媒体中に存在するとき、流体試験媒体が分析対象物を運んで通過する別々の捕捉領域中で、固定化抗体と、分析対象物と、標識化抗体とのサンドイッチを形成し、そのサンドイッチ形成の量は、固定化抗体の部分的ブロックによって制限される工程; c)サンドイッチが形成した別々の捕捉バンドそれぞれにおける標識化抗体上の標識からの信号を定量的に検出して、流体試験媒体中の分析対象物の濃度に対してユニークである信号パターンを得る工程; d)各捕捉バンドからの信号を数学的に合わせて式Y=g(Y1、Y2、Y3、……)(式中、Yは、全検定応答であり、gは、Y1、Y2、Y3、……を合わせる方法を記載する数学的関数であり、各Y1、Y2、Y3、……は、個々の捕捉バンドそれぞれからの個々の応答である)にする工程; e)X(Xは、既知の分析対象物濃度の較正基準値である)に対するYのプロットを提供し、式Y=h(x)(式中、h=曲線当てはめによって得られる最適当てはめ用量応答曲線)を解いて用量応答曲線を得ることによって最適当てはめ用量応答曲線を生成する工程;及び f)捕捉バンドからの結果を数学的に合わせて全検定応答Y=y1+y2+……を得、式Y=h(X)を解くことによって分析対象物濃度Xを計算することによって流体試料中の分析対象物の濃度を計算する工程 を含み、 前記試験片が、三つの捕捉領域及び標識化抗体の捕集手段が固定されている一つの捕集領域を有し、 ユニークな信号パターンを、 i)第一の捕捉領域の信号に対する第二及び第三の捕捉領域の信号の比率を決定するステップと、 ii)二つの比率を、捕集領域の信号と同じ大きさの範囲にある数で乗じるステップと、 iii)捕集領域の信号を、工程iiで得た二つの積の和から減じるステップと、によって合わせる ことを特徴とする方法。 試験片が、二つの捕捉バンドと、標識化抗体の捕集手段が固定されている一つの捕集領域とを含み、標識化抗体からの信号を定量的に検出し、式Y=y1+y2−y3(式中、y1及びy2は、二つの捕捉バンドからの信号であり、y3は、捕集領域からの信号である)を解くことによってYを決定する、請求項8記載の方法。