タイトル: | 特許公報(B2)_新規アルカリリパーゼおよびその製造法 |
出願番号: | 1999165533 |
年次: | 2006 |
IPC分類: | C12N 9/20,C12N 1/20,C12R 1/465 |
森山 康司 満生 慎二 森松 秀子 清水 保広 杉山 敦史 上山 明代 JP 3823310 特許公報(B2) 20060707 1999165533 19990611 新規アルカリリパーゼおよびその製造法 東陶機器株式会社 000010087 中村 稔 100059959 大塚 文昭 100067013 宍戸 嘉一 100065189 竹内 英人 100096194 今城 俊夫 100074228 小川 信夫 100084009 村社 厚夫 100082821 箱田 篤 100084663 森山 康司 満生 慎二 森松 秀子 清水 保広 杉山 敦史 上山 明代 JP 1998163441 19980611 20060920 C12N 9/20 20060101AFI20060831BHJP C12N 1/20 20060101ALN20060831BHJP C12R 1/465 20060101ALN20060831BHJP JPC12N9/20C12N1/20 AC12N9/20C12R1:465C12N1/20 AC12R1:465 C12N 9/14-9/46 BIOSIS/WPI(DIALOG) JSTPlus(JDream2) J. Ferment. Bioeng., 1995, Vol.79, pages 433-8 7 FERM BP-6359 2000060544 20000229 10 20030114 松田 芳子 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、新規なアルカリリパーゼ、その製造法および該アルカリリパーゼ産生能を有する好アルカリ性放線菌に関する。【0002】【従来の技術】アルカリリパーゼは各種脂質および各種エステル化合物のエステル結合をアルカリ領域において特異的に加水分解する酵素であり、近年衣料用洗剤等に配合され始めている。リパーゼ自体は細菌、酵母、糸状菌等の微生物により広く生産されることが知られているが、その多くは最適pHが中性付近にあり、かつ界面活性剤の存在下においてその活性が強く阻害される。また、近年研究が盛んに行われている好アルカリ性細菌についても、アルカリリパーゼを生産するという報告は少なく(堀越弘毅:極限微生物、p62〜63、講談社)、さらに、好アルカリ性放線菌についてはアルカリリパーゼを生産するかどうかは全く知られていない。一方、洗剤配合用のリパーゼとして望ましいリパーゼは、洗浄条件下の洗剤溶液中においても充分な活性を維持するものである。すなわち、現状の洗剤等は配合組成の関係からそのpHがアルカリ領域にあることから、これらに配合する酵素はアルカリリパーゼが最適である。さらに、リパーゼの弱点とも言うべき各種界面活性剤の共存下においても、充分な活性を維持するアルカリリパーゼの開発が望まれている。【0003】【発明が解決しようとする課題】本発明は、アルカリ領域に最適pHを有し、かつ各種界面活性剤に対して耐性を有する新規なアルカリリパーゼを提供することを目的とする。また本発明は、上記アルカリリパーゼを生産する微生物を利用した上記アルカリリパーゼの製造法を提供することを目的とする。【0004】【課題を解決するための手段】上記のような観点から、本発明者らはアルカリ環境下で強力な脂肪分解力を有するアルカリリパーゼを生産する微生物を、主に好アルカリ性放線菌を中心として検索した結果、特願平10-163441号に記載の新規アルカリプロテアーゼ生産菌であるTOTO-9805株(FERM BP-6359)が、好気的培養により目的とする新規アルカリリパーゼを効率良く生産することを見い出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、下記の理化学的性質を有するアルカリリパーゼを提供する。(a) 作用および基質特異性:オリーブ油等のグリセリドに作用し、そのエステル結合を加水分解する。また、各種エステル化合物のエステル結合を加水分解し、アルコールと酸を生成する。(b) 最適pH:pH10.0〜11.0である。(c) 安定pH:37℃、1時間の条件でpH5.5〜12.0で安定である。(d) 最適温度:70〜75℃であり、100℃においても50%以上の相対活性を示す。(e) 安定温度:pH10.0、10分間の条件で55℃まで安定であるが、70℃においても60%の残存活性を示す。(f) 分子量:SDS-電気泳動法で約63,000ダルトンである。(g) 等電点:等電点電気泳動法でpI3.8〜4.5である。(h) 阻害:▲1▼Tween80、Span80又はSDSの界面活性剤を1%濃度で作用させても、70%以上の活性が保持される。▲2▼0.1%の次亜塩素酸ナトリウムでは全く阻害を受けず、0.5%濃度でも約90%の活性が保持される。▲3▼水系または10〜20%エタノール水溶液中において、酵素阻害剤であるEDTA、DFP、PMSF、PCMB又はヨード酢酸では阻害を受けない。また、本発明による上記新規アルカリリパーゼの製造法は、好アルカリ性ストレプトマイセス属に属し、上記アルカリリパーゼの産生能を有する微生物を培養する工程と、該工程で得られる培養物より該新規アルカリリパーゼを分離する工程を含んでなるもの、である。【0005】【発明の実施の形態】本発明によるアルカリリパーゼは、pH10以上の強いアルカリ環境下でかつ高濃度の界面活性剤存在下においても、脂肪およびエステル化合物を強力に加水分解する。したがって、衣料用洗剤および食器用洗剤に洗浄効果を高める目的で配合されたり、浴槽、風呂釜、浴室排水溝、循環浴槽の配管、便器、洗面化粧台ドレインなど、脂肪を含む汚れの発生しやすい場所用の洗剤に添加されれば、極めて効果的である。さらに本アルカリリパーゼは、医薬、試薬等を含む広範囲の工業分野で利用され得る。また、本発明による菌株は、上記アルカリリパーゼを効率良く菌体外に分泌するので、簡便な工程で高効率にその生産を行うことができる点で有利である。上記洗浄剤組成物としては、上記アルカリリパーゼ単独、又は公知の洗浄剤成分、例えば、各種界面活性剤、各種ビルダー(キレート剤、アルカリ剤など)、再汚染防止剤、漂白剤、上記アルカリリパーゼ以外の酵素(他のリパーゼ、プロテアーゼ、セルラーゼなど)、香料、色素などの一種又は2種以上を併用することができる。洗浄剤組成物などの形態は、液状、スラリー状、粉状、粒状、錠剤状など任意の形態とすることができる。洗浄剤組成物としては、衣料用、食器洗い用、台所用等種々の用途に用いられるが、食器洗い乾燥機用洗剤及び台所用洗剤として用いるのが好ましい。【0006】本発明による新規アルカリリパーゼは、微生物を用いて生産することができる。特に好ましくは、本発明によるアルカリリパーゼは、新規アルカリプロテアーゼの生産菌として特願平10-163441号に記載の、ストレプトマイセス エスピー(Streptomyces sp.)TOTO-9805株(FERM BP-6359)により生産される。この菌株は、TOTO- 9305株(FERM P−13640)の継代培養により得られた変異株である。この菌株は好アルカリ性放線菌であり、次の第1表及び第2表に示すように親株であるTOTO- 9305株と全く同様の菌学的性質を有する。なお、本菌株は好アルカリ微生物であり、通常の中性培地では生育しないか、あるいは生育が極めて不良であるため、第1表及び第2表の菌学的性質の検討に際しては0.5%Na2CO3添加のアルカリ性培地を用いた。本菌株TOTO-9805 株は第1表の結果より、形態学的に放線菌、ストレプトマイセス属の特徴を有する。また、細胞壁にL-L-ジアミノピメリン酸を含有する等のことから、本菌株はストレプトマイセス属に属する一菌種と分類される。TOTO-9805 株は、各種寒天培地上での気菌糸と胞子の色調から白色シリーズに属すること、胞子表面は平滑であること、胞子の連鎖はおおむね直状であること、メラニン色素は生成しないこと等の性質を有する。【0007】【表1】第1表 TOTO-9805 株の菌学的諸性質形態生理的性質各炭素源の同化性【0008】【表2】第2表 各培地における生育状況*1 メラニンなし【0009】本菌株は、親株であるTOTO- 9305株とは全く異なるプロテアーゼを産生する点で異なっている。従って、本菌株TOTO-9805 株は親株TOTO- 9305株の変異株と判断し、ストレプトマイセス エスピー TOTO-9805 (Streptomyces sp. TOTO-9805)と命名した。なお、本菌株は工業技術院生命工学工業技術研究所に寄託番号(FERM BP-6359)のもと寄託されている。培養条件上記菌株は好アルカリ性放線菌であるため、その培養はアルカリ領域で行う必要がある。培地をアルカリ性にするための方法としては格別である必要はなく、通常の培地中に例えば炭酸ナトリウムあるいは炭酸水素ナトリウムを添加するだけで良い。炭素源としてはオリーブ油等の脂質やステアリン酸等の脂肪酸、あるいはグルコース、グリセリン、可溶性デンプン、セルロース等の糖類などを用いることができる。窒素源としては、硝酸塩、アンモニウム塩などの無機物をはじめ、尿素、ペプトン、乾燥酵母、酵母エキス、ダイズ粉、コーンスチープリカー、カゼイン、肉エキス、アミノ酸などが用いられる。これらの炭素源や窒素源の他に各種無機塩、例えばマグネシウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩、リン酸塩などを必要に応じて添加しても良い。培地に加えるアルカリ源としては、0.5〜2.0%程度の炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等の炭酸塩あるいは水酸化ナトリウム、アンモニアなどが使用でき、培地のpHは8.0〜11.0程度が望ましい。培養は、このような培地中で培養温度20〜40℃、好ましくは25〜37℃で2日〜5日間好気的に撹袢または振とうしながら行う。本発明による新規なアルカリリパーゼは、上記のような培養条件のもとで、主として培養液中に分泌され、蓄積される。【0010】酵素の採取上記培養液から本発明による酵素を採取、精製するためには、既知の精製法を単独もしくは併用して利用することができる。本酵素は主として菌体外(培養液中)に分泌されるため、例えば濾過あるいは遠心分離で菌体を除去することにより容易に粗酵素液を得ることができる。この粗酵素は、さらに既知の精製法、例えば硫安などによる塩析;メタノール、エタノール、アセトンなどの有機溶媒による沈殿法;限外濾過;ゲル濾過クロマトグラフィー;イオン交換クロマトグラフィー;疎水クロマトグラフィー、アフィニテークロマトグラフィー、その他の各種クロマトグラフィーを、単独もしくは併用して、精製することができる。好ましい精製法を示せば以下の通りである。まず、培養濾液に60%飽和硫安を添加して塩析を行い、得られた沈殿を緩衝液に溶解する。次いでDEAE-Toyopearl 650M(東ソー社製)によるイオン交換クロマトグラフィー、ハイドロキシアパタイト(和光純薬製)によるクロマトグラフィー、Mono-Q(FPLC、ファルマシア製)によるイオン交換クロマトグラフィー、Superdex 75(FPLC、ファルマシア製)によるゲル濾過を順次行うことにより、SDS電気泳動的に均一な精製酵素を得ることができる。【0011】酵素の性質本発明によるアルカリリパーゼの性質は以下に示される通りである。なお、以下において活性測定法とは次の方法をいうものとする。(活性測定法)本来の基質であるオリーブ油を用いたアルカリ滴定法によりリパーゼ活性を確認の上、簡便性の点から合成基質を用いた活性(エステラーゼ活性)測定法を採用した。すなわち、パラニトロフェニルパルミチン酸15 mgに2-ブタノール5 mlを加えて溶解する。これに、デオキシコール酸およびアラビアゴムをそれぞれ0.1%、0.2%を含む50 mMグリシン緩衝液(pH 10.0)を45 mlを添加して基質とした。基質0.9 mlに適当に希釈した酵素液0.1 mlを加え、37℃で10分間反応させた。0.2 Mトリクロロ酢酸を0.5 ml加えて反応を停止させた後、1 mlの2 M炭酸ナトリウム溶液を添加して発色させた。これを0.2μmのフィルターで濾過後、410 nmの吸光度を測定した。酵素力価:1 Uは1分間に1μmolのパラニトロフェノールを遊離させる酵素量と定義した。【0012】(1) 作用および基質特異性オリーブ油等のグリセリドに作用し、そのエステル結合を加水分解する。また、各種エステル化合物のエステル結合を加水分解し、アルコールと酸を生成する。(2) 最適pHおよび安定pH上記の活性測定法にもとづき、本酵素に及ぼすpHの影響を調べた。なお、緩衝液としてKCl・HCl緩衝液(pH1.0〜2.0)、グリシン・HCl緩衝液(pH2.5〜3.5)、酢酸緩衝液(pH4.0〜5.5)、リン酸緩衝液(pH6.0〜7.0)、トリス塩酸緩衝液(pH7.0〜8.0)、ホウ酸緩衝液(pH8.0〜10.0)、グリシン・NaCl・NaOH緩衝液(pH10.0〜12.0)、KCl・NaOH緩衝液(pH12.5〜13.0)を使用した。図1に活性の最大値を100とした場合の各pHにおける相対活性を示した。図1により、本酵素の最適pHは37℃において10.0〜11.0であることが分かる。同様に本酵素のpH安定性について図2に示した。本酵素を各pHの緩衝液中に37℃で1時間保持した後、その活性を未処理(4℃で1時間放置)の酵素活性を100とした残存活性として示した。図2から、本酵素は上記処理条件下においてpH5.5〜12.0までの極めて広範囲のpH域で安定であることが分かる。【0013】(3) 最適温度および安定温度上記活性測定法に準じて、本酵素に及ぼす温度の影響を調べた。図3に最大活性を100とした場合の各温度における相対活性を示した。図3から、本酵素の最適温度は70〜75℃であることが分かる。さらに、本酵素は100℃においても50%以上の相対活性を示すことが分かった。また、本酵素を100 mMトリス塩酸緩衝液(pH7.0)に添加し、40〜80℃の範囲の各条件下で10分間保持した後、その残存活性を測定した。その結果を図4に示した。図4により、本酵素は上記条件下で55℃まで安定であることが分かる。さらに、本酵素は70℃においても60%以上の残存活性を示した。(4) 分子量本酵素の分子量をSDS電気泳動法により測定したところ、分子量は約63,000ダルトンであった。(5) 等電点本酵素の等電点を等電点電気泳動法により測定したところ、等電点は約3.8〜4.5であった。【0014】(6) 阻害上記活性測定法に準じて、各種金属イオンの活性に対する影響を検討した。その結果、本酵素はMg2+、Pb2+、Zn2+イオンの存在により中程度の活性阻害を受けた。また、本酵素は本酵素以外のリパーゼと同様に、2価、3価の鉄イオンにより強く阻害された。一方、やはり本酵素以外の多くのリパーゼが阻害を受けるTween80、Span80、SDSに対しては1%濃度においても70%以上の活性を維持していた。さらに、一般的な酵素阻害剤である、EDTA(エチレンジアミン四酢酸) 、ヨード酢酸、DFP(ジイソプピルフルオロフォスフェート)およびPMSF(フェニルメタンスルフオニルフルオライド)について、これらが本酵素の活性に及ぼす影響を調べた。各阻害剤を所定濃度となるように50mMトリス塩酸緩衝液(pH9.0)、および同緩衝液にエタノールを10%または20%濃度となるように添加したエタノール性緩衝液にそれぞれ溶解し、本酵素を適当量添加して37℃で5分間処理を行った。次いで処理溶液より一定量を分取して上記活性測定法に準じて、その残存活性を測定した。その結果、本酵素は水系、エタノール系のいずれの環境下においてもEDTA、ヨード酢酸、DFP、およびPMSFによる阻害を受けなかった。一般にリパーゼの活性中心はセリンプロテアーゼのそれと良く類似していることが知られており、特にアルコール系の環境下においてPMSFにより阻害を受ける。一方、本酵素はいずれの環境下においてもPMSFによる阻害を受けなかったことから、本酵素は極めて特異なアルカリリパーゼであることが判明した。【0015】【実施例】次に本発明を以下の実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。実施例1 粗酵素粉末の調製ストレプトマイセス エスピー TOTO-9805株の前培養液100ml(37℃、4日間振とう培養)を、ステアリン酸0.8%、コーンスチープリカー0.5%、NaNO3 0.1%、K2HPO4 0.1%、MgSO4・7H2O 0.05%および、別殺菌して添加したNa2CO3 1.0%を含有する培地(pH9.0)4,500 mlを入れた小型ジャーファーメンターに植菌し、37℃で4日間、通気量1 v/v/min、回転数200rpmで培養を行った。培養終了後、培養液をハイフロスーパーセルで濾過して菌体を除去した。これにより、約0.15 U/mlの粗酵素液約3,900 mlを得た。【0016】実施例2 精製酵素の調製実施例1と同様の培地10,000 mlを入れた小型ジャーファーメンターに、ストレプトマイセス エスピー TOTO-9805株の前培養液200 mlを植菌した。これを実施例1と同様に培養した後、遠心分離により培養上清8,900 mlを得た。この上清液のpH10.5におけるリパーゼ活性は0.156 U/mlであった。次いで、この上清液に硫安粉末を60%飽和になるまで加え、1昼夜5℃で暗所に静置後8000 rpmで遠心分離を行い、沈殿を回収した。この沈殿を少量の蒸留水に溶解した後、フイルター(アドバンテックトーヨー、No.1)で濾過して粗酵素液とした。粗酵素液をあらかじめ20 mMトリス・塩酸緩衝液(pH 8.0)で平衡化しておいたPD10(ファルマシア製)により脱塩と緩衝液交換を行った。この液を同緩衝液で平衡化したDEAE-Toyopearl 650Mカラムに通じて酵素を吸着させ、0〜0.8 MのNaCl濃度勾配で溶出させた。活性画分を20 mMリン酸緩衝液(pH 8.0)により平衡化したPD10により脱塩、緩衝液交換を行った。次いで、同緩衝液で平衡化したハイドロキアパタイトカラムに通じて活性画分を吸着させ、20〜200 mMのリン酸緩衝液の濃度勾配法により吸着画分を溶出した。活性画分をPD10により20 mMトリス・塩酸緩衝液(pH 8.0)に置換して、同緩衝液で平衡化したMono-Q(FPLC)によるイオン交換クロマトグラフィーに供した。吸着した活性画分を0〜1.0 Mの食塩濃度勾配法で溶出し、さらにPD10により脱塩後、同緩衝液で平衡化したSuperdex 75カラム(FPLC)によりゲル濾過を行った。上記一連の精製により、約1.70 U/mlの精製アルカリリパーゼ31 mlを得た。本画分はSDS電気泳動的にもゲル濾過的にも、それぞれ単一バンドおよび単一ピークを示し、酵素タンパク質として均一であることが確認された。【0017】配合例1:食器洗い乾燥機用洗剤・本酵素の粗酵素粉末(1,000U/g)1〜5重量部・炭酸ナトリウム10〜30重量部・硫酸ナトリウム10〜30重量部・過炭酸ナトリウム5〜10重量部・クエン酸ナトリウム1〜5重量部・ポリオキシエチレンアルキルエーテル(AE)1〜10重量部・効果−油汚れの洗浄【0018】配合例2:台所用洗剤・粗酵素粉末(1,000U/g)1〜5重量部・▲1▼直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(LAS)と▲2▼アルキルエーテル硫酸エステルナトリウム(AES)の混合系界面活性剤20〜50重量部、又は▲1▼を30重量部まで▲2▼を20重量部まで・エタノール1〜5重量部・カルボキシメチルセルロース(CMC)0.1〜1.0重量部・効果−油汚れの洗浄【図面の簡単な説明】【図1】図1は、本発明によるアルカリリパーゼの最適pHを示すグラフである。【図2】図2は、本発明によるアルカリリパーゼの安定pHを示すグラフである。【図3】図3は、本発明によるアルカリリパーゼの最適温度を示すグラフである。【図4】図4は、本発明によるアルカリリパーゼの安定温度を示すグラフである。 下記の理化学的性質を有するアルカリリパーゼ。(a) 作用および基質特異性:グリセリドに作用し、そのエステル結合を加水分解する。また、各種エステル化合物のエステル結合を加水分解し、アルコールと酸を生成する。(b) 最適pH:作用最適pHは、10.0〜11.0である。(c) 安定pH:37℃、1時間の処理条件でpH5.5〜12.0で安定である。(d) 最適温度:作用最適温度は70〜75℃であり、100℃においても50%以上の相対活性を示す。(e) 安定温度:pH10.0、10分間の処理条件で55℃まで安定であるが、70℃においても60%の残存活性を示す。(f) 分子量:SDS電気泳動法で63,000ダルトンである。(g) 等電点:等電点電気泳動法で3.8〜4.5である。(h) 阻害:1) Tween80、Span80又はSDSの界面活性剤を1%濃度で作用させても、70%以上の活性が保持される。2) 0.1%の次亜塩素酸ナトリウムでは全く阻害を受けず、0.5%濃度でも90%の活性が保持される。3) 水系または10〜20%エタノール水溶液中において、酵素阻害剤であるEDTA、DFP、PMSF、PCMB又はヨード酢酸では阻害を受けない。 好アルカリ性放線菌ストレプトマイセス(Streptomyces)属菌から得られる請求項1記載のリパーゼ。 ストレプトマイセス エスピー(Streptomyces sp.)TOTO-9805株から得られる請求項1記載のリパーゼ。 好アルカリ性ストレプトマイセス属に属し、請求項1〜3記載のいずれか1項記載のアルカリリパーゼの産生能を有する微生物を培養する工程と、該工程で得られた培養物より該アルカリリパーゼを分離する工程とを含んでなる、アルカリリパーゼの製造法。 前記微生物の培養がpH8.0〜13.0のアルカリ性で行われる請求項4記載の製造法。 前記微生物がストレプトマイセス エスピー TOTO-9805株である請求項4記載のアルカリリパーゼの製造法。 請求項1〜3のいずれか1項記載のアルカリリパーゼを含有する洗浄剤組成物。