タイトル: | 特許公報(B2)_広い基質選択性を有する中性アミノ酸トランスポーター及びその遺伝子 |
出願番号: | 1999158571 |
年次: | 2009 |
IPC分類: | C07K 14/47,C12N 15/09,C12N 5/10,C12N 1/15,C12N 1/19,C12N 1/21,C07K 16/18,C12Q 1/02,G01N 33/15,G01N 33/50 |
遠藤 仁 金井 好克 JP 4326626 特許公報(B2) 20090619 1999158571 19990604 広い基質選択性を有する中性アミノ酸トランスポーター及びその遺伝子 独立行政法人科学技術振興機構 503360115 佐伯 憲生 100102668 遠藤 仁 金井 好克 20090909 C07K 14/47 20060101AFI20090820BHJP C12N 15/09 20060101ALI20090820BHJP C12N 5/10 20060101ALI20090820BHJP C12N 1/15 20060101ALI20090820BHJP C12N 1/19 20060101ALI20090820BHJP C12N 1/21 20060101ALI20090820BHJP C07K 16/18 20060101ALI20090820BHJP C12Q 1/02 20060101ALI20090820BHJP G01N 33/15 20060101ALI20090820BHJP G01N 33/50 20060101ALI20090820BHJP JPC07K14/47C12N15/00 AC12N5/00 AC12N1/15C12N1/19C12N1/21C07K16/18C12Q1/02G01N33/15 ZG01N33/50 Z C07K 14/47 GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq PubMed BIOSIS/WPI(DIALOG) JSTPlus(JDreamII) Biochem. Biophys. Res. Commun.,1999年 2月,Vol.255, NO.2,p.283-288 J. Biol. Chem.,1998年,Vol.273, No.37,p.23629-23632 The EMBO J.,1999年 1月,Vol.18, No.1,p.49-57 J. Biol. Chem.,1998年,Vol.273, No.49,p.32437-32445 20 2000342270 20001212 69 20060315 田中 晴絵 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、中性アミノ酸及びその類似物質の輸送に関与する新規な蛋白質、それをコードする遺伝子、及びそれを用いた薬物のその遺伝子がコードするタンパク質に関する。また、本発明は、当該タンパク質を用いて被検物質の細胞内への取り込み又は細胞外への放出についての動態を測定する方法、及び当該方法を用いた被検物質のスクリーニング方法に関する。【0002】【従来の技術】細胞は、栄養としてアミノ酸を常時取り込むことを必要するが、この機能は細胞膜に存在する膜タンパク質であるアミノ酸トランスポーターによって担われている。栄養としてアミノ酸を常時取り込むことがアミノ酸トランスポーターの元来の役割であるが、多細胞生物においてはアミノ酸トランスポーターが組織に組み込まれることにより、その組織の形態的特徴を反映した多彩な機能が賦与されている。例えば、上皮組織における上皮輸送と神経組織における放出された神経伝達物質の回収などが知られている。アミノ酸トランスポーターは、輸送するアミノ酸の種類に応じて、大きく塩基性アミノ酸トランスポーター、酸性アミノ酸トランスポーター、及び中性アミノ酸トランスポーターに分けられる。塩基性アミノ酸は主にNa+非依存性輸送系y+やb0,+によって、酸性アミノ酸はNa+依存性輸送系X−A,Gによって輸送される。多くのアミノ酸が属する中性アミノ酸では、Na+非依存性輸送系L、Na+依存性輸送系A、ASC及びB0が重要であるとされている。特に中性アミノ酸輸送系Lは、多くの必須アミノ酸の細胞への供給を担当することから、細胞栄養において最も重要な輸送機構のひとつであると同時に、腸管からの吸収、腎尿細管からの再吸収、血液・組織関門の通過においても重要な役割を果たしている。また、中性アミノ酸輸送系Lは、基質選択性が広いことから、中性アミノ酸類似物質もしくは中性アミノ酸類似の構造を有する薬物や毒物を輸送することでも知られていた。【0003】中性アミノ酸輸送系Lは、もともとは、腫瘍細胞株で始めて記載され、その後、培養細胞、膜小胞標本、摘出臓器標本もしくは生体内(in vivo)標本を用いて検討されてきた[Christensen, Physiol.Rev.,70,43 (1990)]。中性アミノ酸輸送系Lは、ナトリウム非依存的な、すなわちその機能にナトリウムイオンを必要としないトランスポーターである。その輸送基質選択性や輸送特性は、細胞や組織により多少の差異があることが知られていた。【0004】しかし、従来の方法では、中性アミノ酸及びその類似物質の輸送の詳細や、細胞の生存もしくは増殖に対する中性アミノ酸輸送系Lの役割を解析することは困難であり、中性アミノ酸輸送系Lの機能を担う中性アミノ酸トランスポーターの遺伝子を単離して詳細な機能解析を可能とすることが望まれていた。【0005】中性アミノ酸トランスポーターとしては、ナトリウム依存的なトランスポーターとして、ASCT1およびASCT2がクローニングされている[Kanai,Curr.Opin.Cell Biol., 9,565 (1997)]。しかし、これらは、アラニン、セリン、システイン、スレオニン、グルタミンを主な基質とするものであり、中性アミノ酸輸送系Lとは基質選択性が異なっている。また、グリシントランスポーターとプロリントランスポーターがクローニングされているが[Amara and Kuhar,Annu.Rev.Neurosci., 16,73 (1993)]、これも中性アミノ酸輸送系Lとは異なる。【0006】トランスポーター自体ではないが、アミノ酸トランスポーターの活性化因子であると考えられている膜貫通構造を一回しか持たない二型膜糖タンパク質であるrBAT及び4F2hc(4F2 heavy chain(腫瘍細胞や活性化リンパ球の細胞表面抗原として見出された。))のcDNAがクローニングされており、それらをアフリカツメガエル卵母細胞に発現させると中性アミノ酸とともに塩基性アミノ酸の取り込みを活性化することが知られている[Palacin,J., Exp. Biol., 196,123 (1994)]。【0007】中性アミノ酸輸送系Lの一つのアイソフォームとして中性アミノ酸トランスポーターLAT1がクローニングされた[Kanai, et al.,J.Biol.Chem., 273,23629 (1998)]。LAT1は、補助因子4F2hcと共存することによってのみ機能することが示された。LAT1はNa+に依存せず、ロイシン、イソロイシン、バリン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、メチオニン、ヒスチジンを輸送する交換輸送活性を示し、以前に腫瘍細胞で記載された輸送系Lの活性と類似の機能特性を示す。LAT1は培養腫瘍細胞株およびヒト悪性腫瘍組織で高発現する。また、LAT1は、グリシン、アラニン、セリン、システイン、スレオニンなどの小型の中性アミノ酸は輸送しない。【0008】さらに、中性アミノ酸トランスポーターLAT1の類似蛋白質として、中性アミノ酸及び塩基性アミノ酸を輸送する輸送系y+Lの機能を有するy+LAT1とy+LAT2がクローニングされた[Torrents, et al.,J.Biol.Chem., 273,32437 (1998)]。また、y+LAT1、y+LAT2共に補助因子4F2hcと共存することによってのみ機能することが示された。y+LAT1とy+LAT2は、中性アミノ酸としてはグルタミン、ロイシン、イソロイシンを主に輸送し、中性アミノ酸に対する基質選択性は狭い。【0009】【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、広い基質選択性を有し、輸送系Lの機能を担う、LAT1とは異なる中性アミノ酸トランスポーターの遺伝子及びその遺伝子がコードするポリペプチドである中性アミノ酸トランスポーターを提供することにある。その他の目的については、以下の記載より明らかである。【0010】【課題を解決するための手段】本発明者らは、LAT1のcDNAの翻訳領域の塩基配列を用いてEST(expressed sequence tag)データベースを検索し、LAT1と類似の塩基配列を同定した。それに相当するプローブを作製してcDNAライブラリーをスクリーニングし、新規タンパク質をコードする遺伝子をクローニングした。さらに、この遺伝子の産物をアフリカツメガエルの卵母細胞に発現させて、この遺伝子の産物が機能を発揮するためには4F2hcが必須であること、及び発現する機能は、中性アミノ酸輸送系Lに相当するが、LAT1とは異なり広い基質選択性を有することを確認し、新規な中性アミノ酸トランスポーターLAT2を見出し、本発明を完成するにいたった。【0011】本発明は、中性アミノ酸トランスポーターであって、中性アミノ酸に対する広い基質選択性を有し、アミノ酸輸送活性化因子4F2hcにより活性化され、かつ非腫瘍性であるタンパク質、好ましくはさらに促通拡散型の中性アミノ酸トランスポーターであるタンパク質に関する。本発明のヒト由来のタンパク質のアミノ酸配列を配列表の配列番号6に示し、ラット由来のタンパク質のアミノ酸配列を配列表の配列番号2に示す。したがって、本発明は、前記した性質を有する配列番号2又は6で示されるアミノ酸配列、又は、配列番号2又は6で示されるアミノ酸配列において1もしくは2個以上のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなる前記した性質を有するタンパク質に関する。【0012】本発明は、前記したタンパク質をコードする遺伝子、それを含有するプラスミド、及び、当該プラスミドで形質転換された細胞に関する。本発明は、配列番号1又は5で示される塩基配列の中の連続する14塩基以上の部分配列もしくはその相補的な配列を含むヌクレオチド、及びその使用に関する。また、本発明は、前記したタンパク質に対する抗体に関する。【0013】さらに本発明は、前記したタンパク質又は当該タンパク質を含有する細胞を用いて、該タンパク質の有する中性アミノ酸及びその類似物質を輸送する能力に対する被検物質の基質としての作用を測定する方法、及び、それらを用いて被検物質の生体内における中性アミノ酸及びその類似物質を輸送する能力に対する体内動態を測定するための方法に関する。また、本発明は、これらの方法により、中性アミノ酸トランスポーターにより細胞に取り込まれ易い又は取り込まれにくい物質をスリーニングする方法に関する。【0014】本発明の中性アミノ酸を輸送する能力を有する新規タンパク質、すなわち中性アミノ酸トランスポーターLAT2(L-type amino acid transporter 2)は、アミノ酸輸送活性化因子4F2hcと共存することにより、グリシン、アラニン、セリン、システイン、スレオニン、グルタミン、アスパラギン、ロイシン、イソロイシン、バリン、メチオニン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、ヒスチジンなどの中性アミノ酸を輸送する(取り込む)能力を有する。本発明のLAT2は、さらにL−DOPAを受け入れることから、中性アミノ酸類似の構造を持つ薬物を輸送する広い基質選択性を有すると考えられる。【0015】また、本発明の広い基質選択性を有する中性アミノ酸トランスポーターLAT2は、生体内においては小腸、腎、胎盤、脳、精巣、骨格筋に主に発現している。しかし、LAT1の強発現の見られるラットC6グリオーマ細胞株には発現は認められない。LAT1が腫瘍細胞型の輸送系L中性アミノ酸トランスポーターであるのに対し、LAT2は非腫瘍細胞型の輸送系L中性アミノ酸トランスポーターである。さらに、アミノ酸及びそれと類似構造を持つ薬物、毒物、外来性異物の、腸管吸収、腎尿細管からの再吸収、血液・脳関門、胎盤関門、精巣関門の通過を担当する輸送系L中性アミノ酸トランスポーターであると考えられる。【0016】【発明の実施の形態】後記配列表の配列番号1は、ラット小腸由来の中性アミノ酸トランスポーター(ラットLAT2)の遺伝子の全長cDNA塩基配列(約4.1kbp)を示し、配列番号2にはその翻訳領域にコードされたタンパク質のアミノ酸配列(533アミノ酸)を示す。配列番号3は、ラットの4F2hcのcDNAの塩基配列(1940bp)を示し、配列番号4はそれによって翻訳される蛋白質(527アミノ酸)を示す。配列番号5はヒト腎由来の中性アミノ酸トランスポーター(ヒトLAT2)の遺伝子の全長cDNA塩基配列(約4.2kbp)を示し、配列番号6にはその翻訳領域にコードされたタンパク質のアミノ酸配列(535アミノ酸)を示す。配列番号7は、ヒト胎盤由来の4F2hc(ヒト4F2hc)の遺伝子の全長cDNA塩基配列(約1.9kbp)を示し、配列番号8にはその翻訳領域にコードされたタンパク質のアミノ酸配列(524アミノ酸)を示す。【0017】前記配列番号1、2、5及び6に示されるLAT2の塩基配列もしくはアミノ酸配列について、既知DNAデータベース(GenBankおよびEMBL)及びプロテインデータベース(NBRF及びSWISS−PROT)に含まれるすべての配列に対してホモロジー検索を行った結果、一致するものはなく、これらの配列は、新規なものであると考えられる。【0018】本発明のタンパク質としては、配列番号2又は6で示されたアミノ酸配列を有するもののほか、例えば配列番号2又は6で示されたアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸の欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列を有するタンパク質が挙げられる。アミノ酸の欠失、置換もしくは付加は、中性アミノ酸輸送活性が失われない程度であればよく、通常1〜約106個、好ましくは1〜約53個である。このようなタンパク質は、配列番号2又は6で示されたアミノ酸配列と通常、1〜80%、好ましくは1〜90%のアミノ酸配列のホモロジーを有する。【0019】また、本発明の遺伝子としては、配列番号1又は5で示された塩基配列を有するもののほか、配列番号1又は5で示された配列番号1又は5で示された塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし得るDNAを含むものが挙げられる。このようにハイブリダイズし得るDNAは、そのDNAにコードされるタンパク質が中性アミノ酸を輸送する能力を有するものであればよい。このようなDNAは配列番号1又は5で示された塩基配列と通常、70%以上、好ましくは80%以上の塩基配列のホモロジーを有する。このようなDNAとしては、自然界で発見される変異型遺伝子、人為的に改変した変異型遺伝子、異種生物由来の相同遺伝子等が含まれる。【0020】本発明において、ストリンジェントな条件下でのハイブリダイゼーションは、通常、ハイブリダイゼーションを、5×SSC又はこれと同等の塩濃度のハイブリダイゼーション溶液中、37〜42℃の温度条件下、約12時間行い、5×SSC又はこれと同等の塩濃度の溶液などで必要に応じて予備洗浄を行った後、1×SSC又はこれと同等の塩濃度の溶液中で洗浄を行うことにより実施できる。【0021】本発明の中性アミノ酸トランスポーター遺伝子は、適当な哺乳動物の組織や細胞を遺伝子源として用いてスクリーニングを行うことにより単離取得できる。哺乳動物としては、イヌ、ウシ、ウマ、ヤギ、ヒツジ、サル、ブタ、ウサギ、ラット及びマウスなどの非ヒト動物のほか、ヒトが挙げられる。遺伝子のスクリーニング及び単離は、ホモロジークローニング法などにより好適に実施できる。【0022】例えば、ラット小腸やヒト腎臓を遺伝子源として用い、これからmRNA(ポリ(A)+RNA)を調製する。これからcDNAライブラリーを構築し、EST(expressed sequence tag)データベースの検索によって得られる LAT1類似配列(例えば、GenBankTM/EBI/DDBJ accession No.N32639)に相当するプローブを用いてcDNA ライブラリーをスクリーニングすることによってLAT2遺伝子のcDNAを含むクローンを得ることができる。得られたcDNAについては、常法により塩基配列を決定し、翻訳領域を解析して、これにコードされるタンパク質、すなわち、LAT2のアミノ酸配列を決定することができる。【0023】得られたcDNAが、中性アミノ酸トランスポーター遺伝子のcDNAであること、すなわちはcDNAにコードされた遺伝子産物が中性アミノ酸トランスポーターであることは、例えば次のようにして検証することができる。すなわち、得られたLAT2遺伝子のcDNAから調製したこれに相補的なRNA(cRNA)(キャプ化されたもの)を4F2hcのcRNAとともに卵母細胞内に導入して発現させ、中性アミノ酸を細胞内へ輸送する(取り込む)能力を、前記と同様、適当な中性アミノ酸を基質とする通常の取り込み試験[Kanai and Hediger,Nature,360,467-471 (1992)]により、細胞内への基質の取り込みを測定することにより確認できる。【0024】得られたLAT2遺伝子のcDNAから調整した、これに相補的なRNA(cRNA)を用いて、インビトロ翻訳法[Hediger, et al.,Biochim.Biophys.Acta.,1064、360 (1991)]により、LAT2 タンパク質を合成し、電気泳動によりタンパク質のサイズ、糖付加の有無等を検討することができる。【0025】4F2hcの遺伝子のcDNAはすでに報告されている[Broer、et al.,Biochem.J.,312,863項 (1995)]ので、この配列情報から、PCR法などを用いて、容易に4F2hcの遺伝子を得ることが可能である。得られた4F2hcのcDNAから、cRNA(キャプ化されたもの)を合成できる。【0026】また、発現細胞について、同様の取り込み実験を応用して、LAT2の特性、例えば、LAT2がアミノ酸の促通拡散型の輸送を行っているという特性や、LAT2の基質選択性、pH依存性などを調べることができる。得られたLAT2遺伝子のcDNAを用いて、異なる遺伝子源で作製された適当なcDNAライブラリー又はゲノミックDNAライブラリーをスクリーニングすることにより、異なる組織、異なる生物由来の相同遺伝子や染色体遺伝子等を単離することができる。【0027】また、開示された本発明の遺伝子の塩基配列(配列番号1又は5に示された塩基配列、もしくはその一部)の情報に基づいて設計された合成プライマーを用い、通常のPCR(Polymerase Chain Reaction)法によりcDNAライブラリー又はゲノミックDNAライブラリーから遺伝子を単離することができる。【0028】cDNAライブラリー又はゲノミックDNAライブラリー等のDNAライブラリーは、例えば、「Molecular cloning」[Sambrook,J.,Fritsh,E.F.及びManitis,T.著、Cold Spring Harbor Pressより1989年に発刊]に記載の方法により調製することができる。あるいは、市販のライブラリーがある場合はこれを用いてもよい。【0029】本発明の広い基質選択性を有する中性アミノ酸トランスポーター(LAT2)は、例えば、それをコードするcDNAを用い、遺伝子組換え技術により生産することができる。例えば、LAT2をコードするDNA(cDNA等)を適当な発現ベクターに組み込み、得られた組換えDNAを適当な宿主細胞に導入することができる。ポリペプチド生産するための発現系(宿主−ベクター系)としては、例えば、細菌、酵母、昆虫細胞及び哺乳類細胞の発現系等が挙げられる。このうち、機能タンパクを得るためには、昆虫細胞及び哺乳類細胞を用いることが好ましい。【0030】例えば、ポリペプチドを哺乳類細胞で発現させる場合には、広い基質選択性を有する中性アミノ酸トランスポーターLAT2をコードするDNAを、適当な発現ベクター(例えば、アデノウイルス系ベクター、レトロウイルス系ベクター、パピローマウイルスベクター、ワクシニアウイルスベクター、SV40系ベクター等)中の適当なプロモーター(例えば、サイトメガロウイルスプロモーター、SV40プロモーター、LTRプロモーター、エロンゲーション1aプロモーター等)の下流に挿入して発現ベクターを構築する。次に、得られた発現ベクターで適当な動物細胞を形質転換し、形質転換体を適当な培地で培養することによって、目的とするポリペプチドが生産される。宿主とする哺乳動物細胞としては、サルCOS−7細胞、チャイニーズハムスターCHO細胞、又はヒトHeLa細胞などの細胞株などが挙げられる。【0031】広い基質選択性を有する中性アミノ酸トランスポーターLAT2をコードするDNAとしては、例えば、配列番号1又は5で示される塩基配列を有するcDNAを用いることができるほか、前記のcDNA配列に限定されることなく、アミノ酸配列に対応するDNAを設計し、ポリペプチドをコードするDNAとして用いることもできる。この場合、ひとつのアミノ酸をコードするコドンは各々1〜6種類知られており、用いるコドンの選択は任意で良いが、例えば発現に利用する宿主のコドン使用頻度を考慮して、より発現効率の高い配列を設計することができる。設計した塩基配列を持つDNAは、DNAの化学合成、前記cDNAの断片化と結合、塩基配列の一部改変等によって取得できる。人為的な塩基配列の一部改変、変異導入は、所望の改変をコードする合成オリゴヌクレオチドからなるプライマーを利用して部位特異的変異導入法(site specific mutagenesis)[Mark,D.F. et al., Proceedings of National Academy of Sciences U.S.A., 81,5662 (1984)]等によって実施できる。【0032】本発明の広い基質選択性を有する中性アミノ酸トランスポーター又はこれと免疫学的同等性を有するポリペプチドを用いて、その抗体を取得することができる。抗体は、広い基質選択性を有する中性アミノ酸トランスポーターの検出や精製などに利用できる。抗体は、本発明の広い基質選択性を有する中性アミノ酸トランスポーター、その断片、またはその部分配列を有する合成ペプチドなどを抗原として用いて製造できる。ポリクロナール抗体は、宿主動物(例えば、ラットやウサギ等)に抗原を接種し、免疫血清を回収する、通常の方法により製造することができ、モノクロナール抗体は、通常のハイブリドーマ法などの技術により製造できる。【0033】本発明の広い基質選択性を有する中性アミノ酸トランスポーターLAT2、その遺伝子およびその発現細胞は、LAT2により輸送される薬物(例えば、L−DOPA等)の、細胞膜通過や、LAT2が存在すると予想される部位(例えば小腸上皮、腎尿細管上皮、血液・脳関門、胎盤関門もしくは精巣関門など)での透過効率についての、インビトロでの試験に使用できる。また、LAT2を発現する細胞膜や、LAT2が存在すると予想される部位(例えば小腸上皮、腎尿細管上皮、血液・脳関門、胎盤関門もしくは精巣関門など)を効率良く透過する薬物の開発に使用できる。さらに、LAT2を発現する細胞膜や、LAT2が存在すると予想される部位(例えば小腸上皮、腎尿細管脳皮、血液・脳関門、胎盤関門もしくは精巣関門など)での薬物間相互作用のインビトロでの試験に使用できる。【0034】本発明の広い基質選択性を有する中性アミノ酸トランスポーターLAT2、その遺伝子およびその発現細胞は、LAT2により輸送される毒物(例えば、メチル水銀のシステイン抱合体等)や外来性異物の、細胞膜通過や、LAT2が存在すると予想される部位(例えば小腸上皮、腎尿細管上皮、血液・脳関門、胎盤関門もしくは精巣関門など)での透過効率についての、インビトロでの試験に使用できる。【0035】本発明の広い基質選択性を有する中性アミノ酸トランスポーターLAT2を抑制することにより、LAT2を発現する細胞膜や、LAT2が存在すると予想される部位(例えば小腸上皮、腎尿細管上皮、血液・脳関門、胎盤関門もしくは精巣関門など)の毒物(例えば、メチル水銀のシステイン抱合体等)や外来性異物の透過を制限することができる。また、本発明の広い基質選択性を有する中性アミノ酸トランスポーターLAT2、その遺伝子およびその発現細胞は、LAT2により輸送される毒物(例えば、メチル水銀のシステイン抱合体等)や外来性異物の、細胞膜通過や、LAT2が存在すると予想される部位(例えば小腸上皮、腎尿細管上皮、血液・脳関門、胎盤関門もしくは精巣関門など)の透過を制限する薬物(LAT2の特異的なインヒビター等)の開発に使用できる。【0036】また、本発明の広い基質選択性を有する中性アミノ酸トランスポーターLAT2は非腫瘍細胞に発現するため、これと腫瘍細胞型中性アミノ酸トランスポーターLAT1とを用いて、腫瘍細胞の中性アミノ酸トランスポーターを抑制し、かつ非腫瘍細胞の中性アミノ酸トランスポーターは抑制しない薬物を開発することができる。腫瘍細胞型LAT1の抑制薬は、腫瘍細胞増殖抑制効果を有するため、非腫瘍細胞LAT2を用いることにより、正常細胞に対する作用(副作用)の少ない薬物を開発することができる。【0037】したがって、本発明は、本発明の前記したタンパク質又は当該タンパク質を含有する細胞を用いて、該タンパク質の有する中性アミノ酸及びその類似物質を輸送する能力に対する被検物質の基質としての作用を測定する方法、又は、本発明の前記したタンパク質又は当該タンパク質を含有する細胞を用いて、被検物質の生体内における中性アミノ酸及びその類似物質を輸送する能力に対する体内動態を測定するための方法を提供するものである。本発明の前記したタンパク質を含有する細胞としては、本発明のタンパク質を細胞系に賦与して製造してもよく、また本発明のタンパク質をコードするDNAを含有する遺伝子を用いて形質転換した細胞により製造してもよく、さらに、本発明の前記したタンパク質を含有する生体の細胞を使用することもできる。【0038】さらに、本発明は、前記した方法により、中性アミノ酸トランスポーターにより細胞に取り込まれ易い又は取り込まれにくい物質をスリーニングする方法を提供するものであり、本発明のスクリーニング方法により薬物又は毒物の臓器又は組織に対する特異性をスクリーニングすることができる。例えば、腫瘍細胞型中性アミノ酸トランスポーターLAT1との対比を行うことのより、腫瘍細胞に特異的に取り込まれる薬物又は毒物をスクリーニングすることができる。また、血液・脳関門、胎盤関門もしくは精巣関門などの生体内の各種関門に対する特異性をスクリーニングすることができる。【0039】【実施例】以下、実施例をもって本発明をさらに詳しく説明するが、これらの実施例は本発明を制限するものではない。【0040】なお、下記実施例において、各操作は特に明示がない限り、「Molecular cloning」[Sambrook,J.,Fritsh,E.F.及びManitis,T.著、Cold Spring Harbor Pressより1989年に発刊]に記載の方法により行うか、または、市販の試薬やキットを用いる場合には市販品の指示書に従って使用した。【0041】実施例1 ラット中性アミノ酸トランスポーターLAT2のcDNAのクローニング(1)ラット4F2hcのcDNAの単離とcRNAの調製cDNAライブラリーはラット肝から精製したポリ(A)+RNAから、cDNA合成用キット(商品名:Superscript Choice System、ギブコ社製)を使用して作製し、ファージベクターλZipLox(ギブコ社製)の制限酵素EcoRI切断部位に組み込んだ。PCR法にて、ラット4F2hc遺伝子[Broer, et al., Biochem.J., 312, 863 (1995)]の第135−580番目の塩基に相当するセグメントを増幅し、これを32P−dCTPでラベルしてプローブとして用いて、ラット肝cDNAライブラリーをスクリーニングした。ハイブリダイゼーションは、37℃のハイブリダイゼーション用溶液中一晩行い、フィルター膜は、37℃で0.1xSSC/0.1%SDSで洗浄した。ハイブリダイゼーション用溶液としては、5xSSC、3xデンハード液(Denhard’s液)0.2%SDS、10%硫酸デキストラン、50%ホルムアミド、0.01%Antiform B(商品名、シグマ社)(消泡剤)、0.2mg/mlサーモン精子変性DNA、2.5mMピロリン酸ナトリウム、25mM MESを含むpH6.5の緩衝液を用いた。cDNAを組み込んだλZipLoxファージのcDNA部分を、プラスミドpZL1に組み込み、さらにプラスミドpBluescript II SK−(Stratagene社製)へサブクローン化した。【0042】得られたクローンすなわち、ラット4F2hcのcDNAを含むクローンについて、塩基配列決定のための合成プライマー、塩基配列決定用キット(商品名:Sequenase ver.2.0、アマシャム社製)を用いてダイデオキシ法により、cDNAの塩基配列を決定した。これにより、クローニングしたcDNAがラット4F2hc遺伝子のものであることが確認できた。得られた4F2hcの塩基配列を後記配列表の配列番号3に示した。そのアミノ酸配列を配列番号4に示した。【0043】上記より得られたラット4F2hcのcDNAを含むプラスミドから、T7RNAポリメラーゼを用いて。cRNA(cDNAに相補的なRNA)調製した。【0044】(2)ラット中性アミノ酸トランスポーターLAT2のcDNAの単離とcRNAの調製LAT1の翻訳領域の塩基配列を用いたEST(expressed sequence tag)データベースの検索によって得られたLAT1類似配列 GenBankTM/EBI/DDBJ accession No.N32639の35−54bpに相当するセンスプライマー(5'-ctcttcacatgcatctccac-3')と、397−416bpに相当するアンチセンスプライマー(5'-ggtacacgaccacacacatc-3')、およびIMAGE(Integrated and Molecular Analysis of Genoms and their Expression)cDNA クローン No.267666をテンペレートとして用い、DNA断片をPCR法によって増幅した。得られた DNA断片を32P−dCTPでラベルしてプローブとして用いて、ラット小腸cDNAライブラリーをスクリーニングした。【0045】cDNAライブラリーはラット小腸由来ポリ(A)+RNAから、cDNA合成用キット(商品名:Superscript Choice System、ギブコ社製)を使用して作製し、ファージベクターλZipLox(ギブコ社製)の制限酵素EcoRI切断部位に組み込んだ。32P−dCTPでラベルしてプローブによるハイブリダイゼーションは、37℃のハイブリダイゼーション用溶液中一晩行い、フィルター膜は、37℃で0.1×SSC/0.1%SDSで洗浄した。ハイブリダイゼーション用溶液としては、5×SSC、3×デンハード液(Denhard’s液)0.2%SDS、10%硫酸デキストラン、50%ホルムアミド、0.01%Antiform B(商品名、シグマ社)(消泡剤)、0.2mg/mlサーモン精子変性DNA、2.5mMピロリン酸ナトリウム、25mM MESを含むpH6.5の緩衝液を用いた。cDNAを組み込んだλZipLoxファージのcDNA部分を、プラスミドpZL1に組み込み込んだ。【0046】得られたクローンすなわち、ラットLAT2のcDNAを含むクローンについて、塩基配列決定のための合成プライマーを用いてダイターミネーターサイクルシーケンシング法(Applied Biosystems社)により、cDNAの塩基配列を決定した。これにより、ラットLAT2遺伝子の塩基配列が得られた。また、cDNAの塩基配列を常法により解析して、cDNAの翻訳領域とそこにコードされるLAT2のアミノ酸配列を決定した。これらの配列を、後記配列表の配列番号1に示した。そのアミノ酸配列を配列番号2に示した。【0047】LAT2はラットLAT1と50%のアミノ酸配列の相同性を有していた。また、中性および塩基性アミノ酸輸送系y+Lに相当するヒトトランスポーターy+LAT1と47%、y+LAT2と45%の相同性を有していた。これらのアミノ酸配列の比較を図1に示した。【0048】図1は、本発明のラットLAT2と、公知のラットLAT1、ヒトy+LAT1およびヒトy+LAT2のアミノ酸配列の比較を示したものである。SOSUIアルゴリズム[Hirokawa,T., et al., Bioinformatics, 14, 378 (1998年)]により、LAT2のアミノ酸配列を解析した結果、図1に示したように、12個の膜貫通領域(membrane-spanning domain)が予想された(図1に付線を付した部分。)。また、第2の親水性ループにチロシンリン酸化部位、N−末端細胞内領域、第8の親水性ループ、およびC−末端細胞内領域にプロテインキナーゼC依存性のリン酸化部位と考えられる部位があった。【0049】(3)インビトロ翻訳による、LAT2タンパク質の解析インビトロ翻訳法[Hediger, et al., Biochim.Biophys.Acta., 1064, 360 (1991)]により、LAT2のcRNAからLAT2タンパク質を合成し、電気泳動を行った。その結果、49kDaのバンドが得られ、イヌ膵臓ミクロゾーム画分(Microsomes)の存在下で糖付加を受けず、糖鎖分解酵素エンドグリコシダーゼH(EndoH)によってバンドのサイズは変化しなかった(図2参照)。したがって、LAT2は、糖付加部位を持たないタンパク質であることが示された。【0050】(4)ラットの種々の組織におけるLAT2遺伝子および4F2hc遺伝子の発現(ノーザンブロッティングによる解析)LAT2遺伝子の第1126−1591番目の塩基に相当するcDNA断片を制限酵素HincIIで切り出し、32P−dCTPでラベルしてプローブとして用いて、ラットの種々の組織及びラット由来の培養腫瘍細胞株C6グリオーマ細胞から抽出したRNAに対してノーザンブロッティングを以下のようにして行った。3μgのポリ(A)+RNAを1%アガロース/ホルムアルデヒドゲルで電気泳動したのち、ニトロセルロースフィルターにトランスファーした。このフィルターを42℃で、32P−dCTPでラベルしたLAT2cDNA断片を含んだハイブリダイゼーション液で1晩ハイブリダイゼーションを行った。フィルターを、65℃にて、0.1%SDSを含む0.1×SSCで洗浄した。【0051】ノーザンブロッティングの結果(図3のa)、小腸、腎、胎盤、精巣、脳、骨格筋において4.4 kb付近にバンドが検出された。ラット腫瘍細胞株C6グリオーマ細胞では、LAT2の発現は検出されなかった。さらに長時間感光で、肺および大腸において、4.4kb付近にLAT2のかすかなバンドが検出された。【0052】4F2hc遺伝子の第211−656番目の塩基に相当するcDNA断片をPCR法で増幅し、32P−dCTPでラベルしてプローブとして用いて、ラットの種々の組織及びラット由来の培養腫瘍細胞株C6グリオーマ細胞から抽出したRNAに対してノーザンブロッティングを以下のようにして行った。3μgのポリ(A)+RNAを1%アガロース/ホルムアルデヒドゲルで電気泳動したのち、ニトロセルロースフィルターにトランスファーした。このフィルターを42℃で、32P−dCTP でラベルした4F2hcのcDNA断片を含んだハイブリダイゼーション液で1晩ハイブリダイゼーションを行った。フィルターを、65℃にて、0.1%SDSを含む0.1×SSCで洗浄した。【0053】ノーザンブロッティングの結果(図3のb)、あらゆる臓器に2.2kb付近にバンドが検出された。特に、腎、小腸、大腸、胎盤、脾臓において強い発現が検出された。【0054】実施例2 中性アミノ酸トランスポーターLAT2の特徴づけ(1)LAT2の輸送活性における4F2hcの役割ラットLAT2遺伝子cRNAを単独で卵母細胞に発現させた場合と、ラットLAT2遺伝子cRNAとラット4F2hc遺伝子cRNAを共に卵母細胞に発現させた場合のロイシンの取り込みを比較した。ラットLAT2遺伝子cRNA 17ng、ラット4F2hc遺伝子cRNA8ng、もしくはラットLAT2遺伝子cRNA17ng/ラット4F2hc遺伝子cRNA8ngを、卵母細胞に注入することによって発現させ3日間培養した。【0055】LAT2遺伝子cRNA、4F2hc遺伝子cRNA、もしくはLAT2遺伝子cRNAと4F2hc遺伝子cRNAを注入した卵母細胞について、基質としてロイシンを用い、基質の取り込み実験を金井らの方法(Kanai and Hediger, Nature, 360, 467-471 (1992))に準じて以下のように行った。基質として14C−ロイシン(50μM)を含むNaイオンを含まない取り込み用溶液(Na+−free uptake solution)[100mM塩化コリン、2mM塩化カリウム、1.8mM塩化カルシウム、1mM塩化マグネシウム、5mM HEPES、pH7.4]中にて卵母細胞を15分間放置して、細胞内に取り込まれた放射能のカウントで基質の取り込み率を測定した。【0056】その結果を図4に示す。ロイシンの取り込みは、LAT2のみを発現させた卵母細胞では、対照として水を注入した卵母細胞と同レベルであったが、LAT2と4F2hcを共に発現させた卵母細胞では大きなロイシンの取り込みを示しており、LAT2が機能を発揮するためには、4F2hcが必要であると考えられた。【0057】(2)LAT2の輸送活性の塩依存性ラットLAT2遺伝子cRNAと4F2hc遺伝子cRNAを共に注入した卵母細胞によるロイシン取り込み実験において培地に添加する塩の影響を調べた。ロイシンの取り込み実験は、ラットLAT2遺伝子cRNAとラット4F2hc遺伝子cRNAを共に注入した卵母細胞を用い、前記実施例2(1)に記載の方法に準じて実施した。但し、取り込み用溶液は、ナトリウムイオンの影響をみる場合は、Naイオンを含まない取り込み用溶液(Na+−free uptake solution)にかえて、標準取り込み用溶液(uptake solution)[100mM塩化コリンを100mM塩化ナトリウムに変えたもの]を用いた。塩素イオンの影響をみる場合は、標準取り込み用溶液(uptake solution)にかえて、グルコン酸取り込み用溶液(uptake solution)[100mM塩化ナトリウムを100mMグルコン酸ナトリウムに変えたもの]を用いた。【0058】その結果を図5に示す。細胞外のコリンをナトリウムに変えても、細胞外の塩素イオンをグルコン酸イオンに変えても、ロイシン取り込みに何ら影響を与えなかった。このことから、LAT2はナトリウムイオン及び塩素イオンに非依存的に働くトランスポーターであることが示された。【0059】(3)LAT2のミカエリス−メンテン動力学試験広い基質選択性を有する中性アミノ酸トランスポーターLAT2のミカエリス−メンテン動力学試験を行った。基質ロイシンの濃度の違いによるロイシン取り込み率の変化を調べることにより、LAT2のミカエリス−メンテン動力学試験を行った。ロイシンの取り込み実験は、ラットLAT2遺伝子cRNAとラット4F2hc遺伝子cRNAを共に注入した卵母細胞を用い、前記実施例2(1)記載方法に準じて実施した。その結果を図6に示す。これに基づいてKm値を算出すると、119.7±33.6μM(平均±標準誤差、n=4)であった。ロイシン以外のLAT2の基質となるアミノ酸においても同様にミカエリス−メンテン動力学試験を行い、Km値とVmax値を算出し、表1に示した。【0060】【表1】表1は、ラットLAT2遺伝子のcRNA及びラット4F2hc遺伝子のcRNAを注入した卵母細胞によるアミノ酸取り込みのKm値とVmax値をまとめて示したものである。表1中の各々のVmax値は、ロイシンのVmax値を1.00とした場合の比率で示されている。【0061】(4)LAT2の基質選択性(アミノ酸及びその類似物質添加による阻害実験)ラットLAT2遺伝子cRNAとラット4F2hc遺伝子cRNAを共に注入した卵母細胞によるロイシンの取り込み実験において、系への各種アミノ酸及びその類似物質添加の影響を調べた。ロイシンの取り込み実験は、ラットLAT2遺伝子cRNAとラット4F2hc遺伝子cRNAを共に注入した卵母細胞を用い、前記実施例2(1)記載方法に準じて実施した。但し、Naイオンを含まない取り込み用溶液(Na+−free uptake solution)を用い、5mMの各種化合物(非標識)の存在下及び非存在下で、14C−ロイシン(50μM)の取り込みを測定した。【0062】その結果を図7に示す。グリシンおよび各種の中性L−アミノ酸で、cis−阻害効果が観察された。特に、アラニン、セリン、スレオニン、システイン、アスパラギン、グルタミン、メチオニン、ロイシン、イソロイシン、バリン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、ヒスチジンはLAT2を介した14C−ロイシンの取り込みを強く阻害した。【0063】同様な方法により、D−アミノ酸を検討した。結果を図8に示す。D−アミノ酸のうち、D−セリン、D−システイン、およびD−アスパラギンは、LAT2を介する14C−ロイシンの取り込みを中等度に阻害した。【0064】同様な方法により、アミノ酸類似物質を検討した。結果を図9及び図10に示す。図9中における、BCHは2−アミノ−2−ノルボルナン−カルボン酸(2-amino-2-norbornane-carboxylic acid)を示し、AIBは2−アミノイソ酪酸(2-aminoisobutyric acid)を示し、MeAIBはα−(メチルアミノ)イソ酪酸(α-(methylamino)isobutyric acid)を示す。標準アミノ酸以外の物質でも、中性アミノ酸取り込み阻害薬として知られていたBCHもLAT2を介した14C−ロイシンの取り込みを阻害した。また、アミノ酸類似薬物であるL−DOPA(パーキンソン病治療薬)も、LAT2を介した14C−ロイシンの取り込みを阻害した(図10参照)。酸性アミノ酸、塩基性アミノ酸は、LAT1を介した14C−ロイシンの取り込みに影響を与えなかった(図7参照)。【0065】(5)LAT2の基質選択性(各種アミノ酸及びその類似物質を基質とする取り込み試験)各種アミノ酸及びその類似物質を基質として、LAT2による取り込みを調べた。各種アミノ酸及びその類似物質の取り込み実験は、ラットLAT2遺伝子cRNAとラット4F2hc遺伝子cRNAを共に注入した卵母細胞を用い、前記実施例2(1)記載方法に準じて実施した。但し、基質としては、14C−ロイシンに変えて、放射能ラベルされた各種の化合物を用いた。【0066】その結果を図11に示す。グリシン(14C化合物)、L−アラニン(14C化合物)、L−セリン(14C化合物)、L−スレオニン(14C化合物)、L−システイン(14C化合物)、L−アスパラギン(14C化合物)、L−グルタミン(14C化合物)、L−メチオニン(14C化合物)、L−ロイシン(14C化合物)、L−イソロイシン(14C化合物)、L−バリン(14C化合物)、L−フェニルアラニン(14C化合物)、L−チロシン(14C化合物)、L−トリプトファン(14C化合物)、L−ヒスチジン(14C化合物)を基質とした場合に、卵母細胞への取り込みが認められた。L−アスパラギン酸(14C化合物)、L−グルタミン酸(14C化合物)、L−リジン(14C化合物)、L−アルギニン(14C化合物)、L−プロリン(14C化合物)、L−シスチン(14C化合物)、D−ロイシン(14C化合物)、D−フェニルアラニン(14C化合物)、D−セリン(14C化合物)に関しては、有意な取り込みは認められなかった。【0067】(6)LAT2の輸送活性のpH依存性ラットLAT2遺伝子cRNAと4F2hc遺伝子cRNAを共に注入した卵母細胞によるロイシン取り込み実験においてpHの影響を調べた。ロイシンの取り込み実験は、ラットLAT2遺伝子cRNAとラット4F2hc遺伝子cRNAを共に注入した卵母細胞を用い、前記実施例2(1)に記載の方法に準じて実施した。その結果を図12に示す。pH6.25においてロイシン取り込みが最大となり、LAT2の機能はpHに依存することが明らかとなった。図12中における*印は、有意差(p<0.05)があることを示す。【0068】さらに、pH6.25とpH7.5においてロイシン取り込みの濃度依存性を比較した。結果を図13に示す。図13中の●はpH7.5の場合における、また▲はpH6.25の場合におけるロイシン取り込みの濃度依存性を示す。pHを下げることにより、Vmaxは変化せずKmが低下する(pH7.5におけるKmは96.6μM、Vmaxは6.7pmol/oocyte/minであり、pH6.25におけるKmは57.2μM、Vmaxは7.0pmol/oocyte/min)、すなわち親和性が増加すことによりロイシン取り込みが増加することが明らかとなった。【0069】(7)LAT2を介するアミノ酸の放出試験ラットLAT2遺伝子cRNAと4F2hc遺伝子cRNAを共に注入した卵母細胞において、前負荷した14C−ロイシンのLAT2を介する放出を調べた。ラットLAT2遺伝子cRNAと4F2hc遺伝子cRNAを共に注入した卵母細胞を150μMの14C−ロイシンを含むNaイオンを含まない取り込み用溶液(Na+−free uptake solution)中に30分間放置することにより14C−ロイシンを取り込ませ、氷冷のロイシンを含まないNaイオンを含まない取り込み用溶液(Na+−free uptake solution)で洗浄した後、室温(18℃〜22℃)のロイシン(100μMあるいは1mM)添加あるいは未添加のNaイオンを含まない取り込み用溶液(Na+−free uptake solution)に移し、細胞外に放出される14C−ロイシンの量を測定した。また、ラットLAT1遺伝子cRNA と4F2hc遺伝子cRNAを共に注入した卵母細胞[Kanai, et al., J. Biol.Chem., 273, 23629 (1998)]を20μMの14C−ロイシンを含むNaイオンを含まない取り込み用溶液(Na+−free uptake solution)中に30分間放置することにより14C−ロイシンを取り込ませ、氷冷のロイシンを含まないNaイオンを含まない取り込み用溶液(Na+−free uptake solution)で洗浄した後、室温(18℃〜22℃)のロイシン(100μM)添加あるいは未添加のNaイオンを含まない取り込み用溶液(Na+−free uptake solution)に移し、細胞外に放出される14C−ロイシンの量を測定した。【0070】その結果を図14(LAT2の場合)及び図15(LAT1の場合)に示す。図14の◯印はNaイオンを含まない取り込み用溶液(Na+−free uptake solution)へのロイシン未添加の場合を、▲印はロイシン100μM添加の場合を、■印はロイシン1mM添加の場合を示す。図15の◯印はロイシン未添加の場合を、▲印はロイシン100μM添加の場合を示す。交換輸送型トランスポーターであるLAT1においては細胞外にロイシンを添加した場合のみロイシンの放出が観察されたが(図15参照)、LAT2においては細胞外にロイシンを添加するしないにかかわらずロイシンの放出が生じることが明らかになり、LAT2は促通拡散型のトランスポーターであることが示された(図14参照)。【0071】実施例3 広い基質選択性を有する中性アミノ酸トランスポーターのヒトcDNAのクローニング及び機能の確認(1)ヒトLAT2のcDNAの単離とcRNAの調製cDNAライブラリーはヒト腎由来ポリ(A)+RNA(クロンテック社から購入)から、cDNA合成用キット(商品名:Superscript Choice System、ギブコ社製)を使用して作製し、ファージベクターλZipLox(ギブコ社製)の制限酵素EcoRI切断部位に組み込んだ。実施例1(2)で使用したプローブを用いて、ヒト腎cDNAライブラリーをスクリーニングした。ハイブリダイゼーションは、37℃のハイブリダイゼーション用溶液中一晩行い、フィルター膜は、37℃で0.1×SSC/0.1%SDSで洗浄した。ハイブリダイゼーション用溶液としては、5×SSC、3×デンハード液(Denhard’s液)0.2%SDS、10%硫酸デキストラン、50%ホルムアミド、0.01%Antiform B(商品名、シグマ社)(消泡剤)、0.2mg/mlサーモン精子変性DNA、2.5mMピロリン酸ナトリウム、25mM MESを含むpH6.5の緩衝液を用いた。cDNAを組み込んだλZipLoxファージのcDNA部分を、プラスミドpZL1に組み込んだ。【0072】得られたクローンすなわち、ヒトLAT2のcDNAを含むクローンについて、塩基配列決定のための合成プライマーを用いてダイターミネーターサイクルシーケンシング法(Applied Biosystems社)により、cDNAの塩基配列を決定した。得られたヒトLAT2の塩基配列を後記配列表の配列番号5に、そのアミノ酸配列を配列番号6にそれぞれ示した。上記より得られたヒトLAT2のcDNAを含むプラスミドから、SP6 RNAポリメラーゼを用いて、cRNA(cDNAに相補的なRNA)を調製した。【0073】(2)ヒト4F2hcのcDNAの単離とcRNAの調製cDNAライブラリーはヒト胎盤由来ポリ(A)+RNA(Clontech社から購入)から、cDNA合成用キット(商品名:Superscript Choice System、ギブコ社製)を使用して作成し、ファージベクターλZipLox(ギブコ社製)の制限酵素EcoRI切断部位に組み込んだ。PCR法にて、ラット4F2hc遺伝子[Broer, et al., Biochem. J., 312, 863 (1995)]の第135−580番目の塩基に相当するセグメントを増幅し、これを32P−dCTPでラベルしてプローブとして用いて、ヒト胎盤cDNAライブラリーをスクリーニングした。ハイブリダイゼーションは、37℃のハイブリダイゼーション用溶液中一晩行い、フィルター膜は、37℃で0.1×SSC/0.1%SDSで洗浄した。ハイブリダイゼーション用溶液としては、5×SSC、3xデンハード液(Denhard’s液)0.2%SDS、10%硫酸デキストラン、50%ホルムアミド、0.01%Antiform B(商品名、シグマ社)(消泡剤)、0.2mg/mlサーモン精子変性DNA、2.5mMピロリン酸ナトリウム、25mMMESを含むpH6.5の緩衝液を用いた。cDNAを組み込んだλZipLoxファージのcDNA部分を、プラスミドpZL1に組み換えた。【0074】得られたクローンすなわち、ヒト4F2hcのcDNAを含むクローンについて、塩基配列決定のための合成プライマーを用いてダイターミネーターサイクルシーケンシング法(Applied Biosystems社)により、cDNAの塩基配列を決定した。これにより、クローニングしたcDNAがヒト4F2hc遺伝子のものであることが確認できた。得られたヒト4F2hcの塩基配列を後記配列表の配列番号7に、アミノ酸配列を配列番号8にそれぞれ示した。上記より得られたヒト4F2hcのcDNAを含むプラスミドから、T7RNAポリメラーゼを用いてcRNA(cDNAに相補的なRNA)を調製した。【0075】(3)ヒトLAT2の機能の確認ヒトLAT2遺伝子cRNAを単独で卵母細胞に発現させた場合と、ヒトLAT2遺伝子cRNAとヒト4F2hc遺伝子cRNAを共に卵母細胞に発現させた場合のロイシンの取り込みを比較した。ヒトLAT2遺伝子cRNA 17ng、ヒト4F2hc遺伝子cRNA 8ng、もしくはヒトLAT2遺伝子cRNA 17ng/ヒト4F2hc遺伝子cRNA 8ngを、卵母細胞に注入することによって発現させ3日間培養した。LAT2遺伝子cRNA、4F2hc遺伝子cRNA、もしくはLAT2遺伝子cRNAと4F2hc遺伝子cRNAを注入した卵母細胞について、基質としてロイシンを用い、基質の取り込み実験を実施例2(1)に準じて行った。【0076】その結果、ロイシンの取り込みは、ラットと同様、LAT2のみを発現させた卵母細胞では、対照として水を注入した卵母細胞と同レベルであったが、LAT2と4F2hcを共に発現させた卵母細胞では大きなロイシンの取り込みが観察された。よって、ヒトLAT2もラットLAT2と同様、4F2hcと共存することにより始めて機能を発揮することが示された。【0077】【発明の効果】本発明の広い基質選択性を有する中性アミノ酸トランスポーターLAT2およびその遺伝子は、薬物や毒物の細胞膜通過や血液・組織関門通過のインビトロでの解析など、薬物動態や毒物動態の分子レベルでの解明、および細胞膜や血液・組織関門を効率良く透過する薬物や、毒物の透過を抑制する薬物の開発に有用と考えられる。さらに、腫瘍細胞型トランスポーターでLAT1の抑制薬に細胞増殖抑制効果があることから、LAT1を抑制し、非腫瘍細胞型トランスポーターLAT2を抑制しない化合物を見い出すことにより、副作用の少ない抗腫瘍薬を開発し得ると考えられる。【配列表】【図面の簡単な説明】【図1】図1は、ラットLAT2とラットLAT1、ヒトy+LAT1およびヒトy+LAT2のアミノ酸配列の比較を示す。ラットLAT2の予想される膜貫通部位を付線で示している。【図2】図2は、ラットLAT2 のインビトロ翻訳の結果を示す図面に代わる写真である。左側は分子量を示す。Microsomesは、イヌ膵臓ミクロゾーム画分であり、EndoHは糖鎖分解酵素エンドグリコシダーゼHであり、+は存在を−は非存在を示す。【図3】図3は、ラットの各臓器組織におけるLAT2遺伝子mRNAの発現(a)および4F2hc遺伝子mRNAの発現(b)をノーザンブロッティングにより解析した結果を示した図面に代わる写真である。【図4】図4は、ラットLAT2遺伝子のcRNA及び/又はラット4F2hc遺伝子のcRNAを注入した卵母細胞によるロイシン取り込み実験の結果を示す。【図5】図5は、ラットLAT2遺伝子のcRNA及びラット4F2hc遺伝子のcRNAを注入した卵母細胞によるロイシン取り込み実験において添加する塩の影響を調べた結果を示す。【図6】図6は、ラットLAT2遺伝子のcRNA及びラット4F2hc遺伝子のcRNAを注入した卵母細胞によるロイシン取り込み実験において基質ロイシンの濃度の影響を調べた結果を示す。【図7】図7は、ラットLAT2遺伝子のcRNA及びラット4F2hc遺伝子のcRNAを注入した卵母細胞によるロイシン取り込み実験において、系へのグリシンおよびL−アミノ酸添加の影響を調べた結果を示す。【図8】図8は、ラットLAT2遺伝子のcRNA及びラット4F2hc遺伝子のcRNAを注入した卵母細胞によるロイシン取り込み実験において、系への各種D−アミノ酸添加の影響を調べた結果を示す。【図9】図9は、ラットLAT2遺伝子のcRNA及びラット4F2hc遺伝子のcRNAを注入した卵母細胞によるロイシン取り込み実験において、系へのアミノ酸類似化合物添加の影響を調べた結果を示す。【図10】図10は、ラットLAT2遺伝子のcRNA及びラット4F2hc遺伝子のcRNAを注入した卵母細胞によるロイシン取り込み実験において、系へのL−DOPAの影響を調べた結果を示す。【図11】図11は、ラットLAT2遺伝子のcRNA及びラット4F2hc遺伝子のcRNAを注入した卵母細胞による放射能標識アミノ酸の取り込みを調べた結果を示す。【図12】図12は、ラットLAT2遺伝子のcRNA及びラット4F2hc遺伝子のcRNAを注入した卵母細胞によるロイシン取り込み実験においてpHの影響を調べた結果を示す。【図13】図13は、pH7.5(●印)とpH6.25(▲印)におけるロイシン取り込みの濃度依存性を比較した結果を示す。【図14】図14は、ラットLAT2遺伝子のcRNA及びラット4F2hc遺伝子のcRNAを注入した卵母細胞による14C−ロイシンの放出を調べた結果を示す。◯印はNaイオンを含まない取り込み用溶液(Na+−free uptake solution)へのロイシン未添加の場合を、▲印はロイシン100μM添加の場合を、■印はロイシン1mM添加の場合を示す。【図15】図15は、ラットLAT1遺伝子のcRNA及びラット4F2hc遺伝子のcRNAを注入した卵母細胞による14C−ロイシンの放出を調べた結果を示す。◯印はロイシン未添加の場合を、▲印はロイシン100μM添加の場合を示す。 中性アミノ酸トランスポーターであって、中性アミノ酸であるグリシン、アラニン、セリン、システイン、スレオニン、グルタミン、アスパラギン、ロイシン、イソロイシン、バリン、メチオニン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、ヒスチジンに対する広い基質選択性を有し、アミノ酸輸送活性化因子4F2hcにより活性化され、配列番号2又は6で示されるアミノ酸配列、又は、配列番号2又は6で示されるアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質。 促通拡散型の中性アミノ酸トランスポーターである請求項1に記載のタンパク質。 ヒト又はラット由来である請求項1又は2に記載のタンパク質。 臓器、組織、もしくは培養細胞由来である請求項1〜3のいずれかに記載のタンパク質。 請求項1〜4のいずれかに記載のタンパク質をコードする遺伝子。 配列番号1又は5で示される塩基配列、又は、哺乳動物由来であり配列番号1又は5で示される塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし得る80%以上の塩基配列のホモロジーを有する塩基配列からなり、中性アミノ酸であるグリシン、アラニン、セリン、システイン、スレオニン、グルタミン、アスパラギン、ロイシン、イソロイシン、バリン、メチオニン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、ヒスチジンに対する広い基質選択性を有し、アミノ酸輸送活性化因子4F2hcにより活性化されるタンパク質をコードする遺伝子。 ヒト又はラット由来である請求項5又は6に記載の遺伝子。 臓器、組織、もしくは培養細胞由来である請求項7に記載の遺伝子。 請求項5〜8のいずれかに記載の遺伝子もしくは該遺伝子の中のタンパク質をコードする遺伝子を含むプラスミド。 プラスミドが、発現プラスミドである請求項9に記載のプラスミド。 請求項9又は10に記載のプラスミドで形質転換された宿主細胞。 配列番号1又は5で示される塩基配列の中の連続する14塩基以上の部分配列もしくはその相補的な配列を含み、請求項5〜8のいずれかに記載の遺伝子を検出するためのプローブとして使用するヌクレオチド。 配列番号1又は5で示される塩基配列の中の連続する14塩基以上の部分配列もしくはその相補的な配列を含み、請求項5〜8のいずれかに記載の遺伝子の発現を変調させるために使用するヌクレオチド。 請求項1〜4のいずれかに記載するタンパク質に対する抗体。 請求項1〜4のいずれかに記載のタンパク質又は当該タンパク質を含有する細胞を用いて、該タンパク質の有する中性アミノ酸及びその類似物質を輸送する能力に対する被検物質の基質としての作用を測定する方法。 輸送活性化因子4F2hcを併用する請求項15に記載の方法。 被検物質が薬物又は毒物若しくは外来性異物である請求項15又は16に記載の方法。 請求項15〜17のいずれかに記載の方法により、腫瘍細胞型中性アミノ酸トランスポーターLAT1と対比して、請求項1〜4のいずれかに記載の非腫瘍細胞型中性アミノ酸トランスポーターにより細胞に取り込まれ易い又は取り込まれにくい物質をスクリーニングする方法。 腫瘍細胞型中性アミノ酸トランスポーターLAT1には取り込まれ易いが、請求項1〜4のいずれかに記載の非腫瘍細胞型中性アミノ酸トランスポーターLAT2には取り込まれにくい物質をスクリーニングする請求項18に記載の方法。 脳、胎盤もしくは精巣におけるスクリーニングである請求項18に記載の方法。