タイトル: | 特許公報(B2)_寄生虫の駆除方法 |
出願番号: | 1999146354 |
年次: | 2010 |
IPC分類: | A61K 31/341,A61P 33/00,A61P 33/14,C07D 307/14 |
千保 聡 JP 4538863 特許公報(B2) 20100702 1999146354 19990526 寄生虫の駆除方法 住友化学株式会社 000002093 中山 亨 100113000 坂元 徹 100151909 千保 聡 JP 1998159260 19980608 20100908 A61K 31/341 20060101AFI20100819BHJP A61P 33/00 20060101ALI20100819BHJP A61P 33/14 20060101ALI20100819BHJP C07D 307/14 20060101ALN20100819BHJP JPA61K31/341A61P33/00A61P33/14C07D307/14 A01N1/00-65/48,A01P1/00-23/00, A61K31/00-31/80,A61P1/00-43/00, C07D213/38,213/75,277/18, C07D307/14,401/06,409/06 CAplus (STN), REGISTRY(STN), PubMed 米国特許第04742060(US,A) 米国特許第04849432(US,A) 国際公開第98/019532(WO,A1) 欧州特許出願公開第00682869(EP,A1) 特開平10−510252(JP,A) 国際公開第97/037544(WO,A1) 欧州特許出願公開第00428941(EP,A1) 欧州特許出願公開第00268915(EP,A1) 特開平10−139604(JP,A) 特開平7−179448(JP,A) 3 2000063271 20000229 7 20060328 澤田 浩平 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、外部寄生虫を駆除する方法およびそのための寄生虫駆除剤に関するものである。【0002】【従来の技術および発明が解決しようとする課題】ある種の化合物を動物に非全身的に処理することにより、外部寄生虫による感染を防除できることは、特開平8−92091号公報等で知られている。しかしながらかかる方法は、処理部以外、特に処理部から離れた部分における効果の発現が遅い、あるいは水浴や、体毛、体表の洗浄等によって効果が低下したり効果が安定しない等、即効性や残効性の点では必ずしも満足できるものではなかった。【0003】【課題を解決するための手段】かかる状況下、本発明者らは鋭意研究を行った結果、本発明において規定するネオニコチノイド系化合物を投与することにより、外部寄生虫を血液を介して動物の全身から効果的に駆除できることを見出し、本発明に至った。即ち、本発明は、下記一般式(1)、(2)または(3)(式中、Aは6−クロロ−3−ピリジニル基、2−クロロ−5−チアゾリル基、テトラヒドロフラン−2−イル基、テトラヒドロフラン−3−イル基、5−メチルテトラヒドロフラン−3−イル基、3−ピリジニル基、6−ブロモ−3−ピリジニル基、3−シアノフェニル基、2−メチル−5−チアゾリル基、2−フェニル−5−チアゾリル基または2−ブロモ−5−チアゾリル基を表わし、R1は水素原子、メチル基、エチル基、ホルミル基またはアセチル基を表わし、R2はメチル基、アミノ基、メチルアミノ基、N,N−ジメチルアミノ基、エチルアミノ基、N,N−ジエチルアミノ基、N −メチル−N−エチルアミノ基、1−ピロリジニル基、(6−クロロ−3−ピリジニル)メチルアミノ基またはN−メチル−N−(6−クロロ−3−ピリジニル)メチルアミノ基を表わし、R3及びR4はメチル基、エチル基、プロピル基、プロペニル基またはプロピニル基を表わし、Yはシアノ基、ニトロ基またはトリフルオロアセチル基を表わし、ZはNH基またはイオウ原子を表わし、mは0または1を表わし、nは2または3を表わす)で示されるネオニコチノイド系化合物(以下、本化合物と記す。)より選ばれる1種以上を、宿主動物に投与することを特徴とする該宿主動物の血液を介して該宿主動物の全身から外部寄生虫を駆除する方法およびそのための寄生虫駆除剤を提供するものである。【0004】【発明の実施の形態】本化合物のうち、一般式(1)の化合物としては、例えばN1−〔(6−クロロ−3−ピリジニル)メチル〕−N2−シアノ−N1−メチルアセトアミジン、1−(6−クロロ−3−ピリジニル)メチル−3−メチル−2−シアノグアニジン、1−(6−クロロ−3−ピリジニル)メチル−1,3−ジメチル−2−シアノグアニジン、1−(6−クロロ−3−ピリジニル)メチル−1−エチル−3−メチル−2−シアノグアニジン、1−(6−クロロ−3−ピリジニル)メチル−1,3−ジメチル−3−(6−クロロ−3−ピリジニル)メチル−2−シアノグアニジン、1−(6−クロロ−3−ピリジニル)メチル−3−メチル−2−ニトログアニジン、1−(6−クロロ−3−ピリジニル)メチル−3,3−ジメチル−2−ニトログアニジン、1−(6−クロロ−3−ピリジニル)メチル−1−メチル−2−ニトログアニジン、1−(6−クロロ−3−ピリジニル)メチル−1,3−ジメチル−2−ニトログアニジン、1−(6−クロロ−3−ピリジニル)メチル−3−エチル−2−ニトログアニジン、1−(6−クロロ−3−ピリジニル)メチル−3−(6−クロロ−3−ピリジニル)メチル−2−ニトログアニジン、1−(6−クロロ−3−ピリジニル)メチル−1−エチル−3−メチル−2−ニトログアニジン、1−(6−クロロ−3−ピリジニル)メチル−1,3,3−トリメチル−2−ニトログアニジン、1−(6−クロロ−3−ピリジニル)メチル−2−ニトログアニジン、1−(6−クロロ−3−ピリジニル)メチル−1−エチル−2−ニトログアニジン、1−(3−ピリジニル)メチル−3−メチル−2−ニトログアニジン、1−(6−ブロモ−3−ピリジニル)メチル−3−メチル−2−ニトログアニジン、1−(2−クロロ−5−チアゾリル)メチル−3−メチル−2−ニトログアニジン、1−(3−シアノフェニル)−3−メチル−2−ニトログアニジン、1−(4−クロロフェニル)メチル−3−メチル−2−ニトログアニジン、1−(6−クロロ−3−ピリジニル)メチル−3,3−ジメチル−1−ホルミル−2−ニトログアニジン、1−(6−クロロ−3−ピリジニル)メチル−3,3−ジメチル−1−アセチル−2−ニトログアニジン、1−(6−クロロ−3−ピリジニル)−3−メチル−2−シアノグアニジン、1−(2−クロロ−5−チアゾリル)メチル−3,3−ジメチル−2−ニトログアニジン、1−(2−クロロ−5−チアゾリル)メチル−1−エチル−3−メチル−2−ニトログアニジン、1−(2−クロロ−5−チアゾリル)メチル−1−アセチル−3,3−ジメチル−2−ニトログアニジン、1−(2−クロロ−5−チアゾリル)メチル−1,3−ジメチル−2−ニトログアニジン、1−(2−クロロ−5−チアゾリル)メチル−1−メチル−2−ニトログアニジン、1−(5−チアゾリル)メチル−3−メチル−2−ニトログアニジン、1−(2−メチル−5−チアゾリル)メチル−3,3−ジメチル−2−ニトログアニジン、1−(2−メチル−5−チアゾリル)メチル−3−メチル−2−ニトログアニジン、1−(2−フェニル−5−チアゾリル)メチル−3−メチル−2−ニトログアニジン、1−(2−クロロ−5−チアゾリル)メチル−3,3−ジエチル−2−ニトログアニジン、1−(2−クロロ−5−チアゾリル)メチル−3−メチル−3−エチル−2−ニトログアニジン、1−(2−クロロ−5−チアゾリル)メチル−3−(1−ピロリジニル)−2−ニトログアニジン、1−(2−クロロ−5−チアゾリル)メチル−1,3,3−トリメチル−2−ニトログアニジン、1−(2−ブロモ−5−チアゾリル)メチル−3−メチル−2−ニトログアニジン、1−(2−ブロモ−5−チアゾリル)メチル−3,3−ジメチル−2−ニトログアニジン、1−(2−クロロ−5−チアゾリル)メチル−3−メチル−2−シアノグアニジン、1−(テトラヒドロフラン−3−イル)メチル−3−メチル−2−ニトログアニジン、1−(テトラヒドロフラン−2−イル)メチル−3−メチル−2−ニトログアニジン等を挙げることができる。【0005】一般式(2)の化合物としては例えば、1−(2−クロロ−5−ピリジルメチル)−2−シアノイミノチアゾリン、1−[(6−クロロ−3−ピリジニル)メチル]−N−ニトロテトラヒドロピリミジン−2−イミン等を挙げることができる。【0006】一般式(3)の化合物としては例えば、3,5−ジメチル−1−[(6−クロロ−3−ピリジニル)メチル]−N−ニトロヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン−2−イミン、3,5−ジメチル−1−[(2−クロロ−5−チアゾリル)メチル]−2−ニトロイミノヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン、3−エチル−5−メチル−1−[(6−クロロ−3−ピリジニル)メチル]−N−ニトロヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン−2−イミン、3−n−プロピル−5−メチル−1−[(6−クロロ−3−ピリジニル)メチル]−N−ニトロヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン−2−イミン、3−n−プロピル−5−メチル−1−[(2−クロロ−5−チアゾリル)メチル]−N−ニトロヘキサヒドロ-1,3,5−トリアジン−2−イミン、3−(2−プロペニル)−5−メチル−1−[(6−クロロ−3−ピリジニル)メチル]−N−ニトロヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン−2−イミン、3−(2−プロピニル)−5−メチル−1−[(6−クロロ−3−ピリジニル)メチル]−N−ニトロヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン−2−イミン等を挙げることができる。【0007】本発明の駆除法においては、本化合物を宿主動物の体重1kgあたり、通常0.01mgから1000mg、好ましくは0.1mgから100mgの用量にて投与する。【0008】宿主動物への投与方法としては、最終的に本化合物が動物の血液に移行する投与方法である。例えば経口投与、非経口投与、移植による投与等を挙げることができる。【0009】経口投与としては、例えば予め本化合物を混合した飼料を動物に与える方法や、ビスケット、ウェハー、錠剤、液剤、カプセル等動物が飲み易い剤として投与する方法が挙げられる。これらの剤型の適当な担体としては、乳糖、ショ糖、マニトール、ソルビトール、セルロース及びその誘導体等の糖類、リン酸カルシウム等の賦形剤;トウモロコシ、小麦、米、ジャガイモの澱粉を使用した澱粉ペースト、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、寒天、アルギン酸、アルギン酸塩等の結合剤;シリカ、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸塩等の滑剤;アラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、二酸化チタン等を含有する糖液からなる糖剤コアー等が挙げられる。また適宜、着色剤、調味料を添加することも可能である。更に経口投与可能な剤として、例えば、本化合物、ラクトース等の賦形剤、澱粉等の結合剤、タルク、ステアリン酸マグネシウム等の滑剤、安定剤等からなる混合物をゼラチンからなる乾燥カプセルに充填した乾燥カプセル剤や、本化合物を適当な液体、例えば脂肪油、パラフィン油、液体ポリエチレングリコール中に溶解または懸濁し、必要により安定剤を添加して得られる混合物を、ゼラチン及び可塑剤(グリセロール、ソルビトール等)から成るソフトカプセルに充填した密封ソフトカプセル剤等を挙げることができる。【0010】非経口投与としては、例えば経皮吸収剤などを用いる経皮投与、皮下注射用の注射剤を用いる皮下投与、筋肉注射用注射剤を用いる筋肉内投与、静脈注射用注射剤を用いる静注投与する方法、坐剤を用いた肛門投与等が挙げられる。経皮投与および注射投与の場合は本化合物の溶液、懸濁液、乳濁液が用いられる。溶媒としては水、生理食塩液、リンゲル液等の水性溶媒や、脂肪油、ゴマ油、コーン油、合成脂肪酸エステル等の親油性溶媒を挙げることができる。水性溶媒を用いる水性溶液の場合は通常、本化合物の水溶性塩が用いられる。坐剤では、カカオ脂、ラウリル脂、硬化油、半合成油脂基剤(Witepsol, Suppocire, ファーマゾール等)等の油脂性基剤、あるいはマクロゴール基剤、グリセロゼラチン基剤、ゲル基剤(主にメチルセルロースやカルボキシメチルセルロースナトリウムより成る)等の水溶性基剤を基剤とし、本化合物と混和して用いられる。【0011】また本化合物を樹脂片等に塗布または練り込んだ形態の製剤を、宿主動物に移植する方法も挙げることができる。【0012】また本発明の駆除方法においては、本化合物の他に、一般的に知られている他の殺虫成分を加えることが可能である。他の殺虫成分としては、例えば、ピリプロキシフェン、メトプレン、ハイドロプレン、ルフエヌロン、クロルフルアズロン、フルフェノクスロン、ヘキサフルムロン、ジフルベンズロン、1−(2,6−ジフルオロベンゾイル)−3−[2−フルオロ−4−(1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロプロポキシ)フェニル]ウレア、シロマジン、テブフェノゾイド等の昆虫成長制御物質;N−フェニルピラゾール系化合物等の殺虫剤;ミルベマイシン、アバメクチン、イベルメクチン等の動物内部寄生虫駆除薬等を挙げることができる。【0013】本発明の駆除方法により防除される外部寄生虫としては、特に牛、羊等の家畜やイヌ、ネコ等のペットの外部寄生虫であるノイエバエ(Musca hervei),クロイエバエ(Musca bezzii),ノサシバエ(Haematobia irritans),ツメトゲブユ(Simulium iwatens),ウシヌカカ(Culicoides oxystoma),ウシアブ(Tabanus chrysurus)、アカイエカ(Culex pipiens)、ヒトスジシマカ(Aedes albopictus)等の双翅目害虫、ウシジラミ(Haematopinus eurysternus),ヒツジジラミ(Damalinia ovis)等のシラミ目害虫、フタトゲチマダニ(Haemaphyxalis longicornis),オウシマダニ(Boophilus microplus)等のダニ目害虫、ネコノミ(Ctenocephalides felis),イヌノミ(Ctenocephalides canis)、ケオプスネズミノミ(Xenopsylla cheopis)等のノミ目害虫等が挙げられる。また、対象とする動物としては、家畜やペット等が含まれ、例えば牛、羊等の家畜、ペットとしては例えばマウス、ラット、ハムスター、リス等のげっ歯目、ウサギ等のウサギ目、イヌ、ネコ、フェレット等の食肉目、アヒル、ニワトリ、ハト等の鳥類等が含まれる。【0014】【実施例】次に、実施例にて本発明を更に詳細に説明する。製剤例11−(テトラヒドロフラン−3−イル)メチル−3−メチル−2−ニトログアニジン30mg、デキストリン70g、ジャガイモデンプン20g、動物用粉末飼料(オリエンタル酵母製、CE−2)6g、ゴマ油2g、水2gを混合、混練し、得られた粉末1gを金型に入れ、約8tonの圧力を加えて、錠剤を得る。製剤例21−(テトラヒドロフラン−3−イル)メチル−3−メチル−2−ニトログアニジン7.2g、ホスコS−55(丸石製薬株式会社製、C12からC18までの飽和脂肪酸のモノ、ジトリグリセリド混合物)92.8gを100℃下で溶融混和し、坐剤型に注いで、冷却固化して坐剤を得る。【0015】試験例11−(テトラヒドロフラン−3−イル)メチル−3−メチル−2−ニトログアニジン(表中、化合物Aと記す)0.1gを0.05%メチルセルロース水100mlに溶解または懸濁させ、ゾンデを用いてマウス(生体重約30g)に対して、体重1kg当たり10mlの割合にて経口投与した。このマウスを金網にて挟み、固定した後、900mlガラス瓶の中に入れた。この中に未吸血のネコノミ成虫20頭を放った。投与24時間後のノミ成虫の致死率を調べた。試験は3反復実施した。試験結果を表1に示す。なお、比較例としてコーン油にて希釈したシフェノトリン(表中、比較化合物1と記す)を25mg/kgでマウスに与える以外は前記と同様にして、24時間後のネコノミ成虫の致死率を調べた。試験結果を表1に示す。【0016】【表1】【0017】比較試験例1−(テトラヒドロフラン−3−イル)メチル−3−メチル−2−ニトログアニジン(表中、化合物Aと記す)を含有したアセトン溶液を有効成分が所定の処理薬量となるように、ろ紙に処理した。このろ紙上にネコノミ成虫20頭を強制的に接触させ、24時間後に致死数を数えた。試験は3反復実施した。試験結果を表2に示した。また比較例としてシフェノトリン(表中、比較化合物1と記す)を同様に処理したろ紙にネコノミを接触させた際の致死を観察した。試験は3反復実施した。試験結果を表2に示した。【0018】【表2】【0019】【発明の効果】本発明によれば、外部寄生虫を動物の全身から効果的に駆除できる。 1−(テトラヒドロフラン−3−イル)メチル−3−メチル−2−ニトログアニジンを、非ヒト宿主動物に投与することを特徴とする該非ヒト宿主動物の血液を介して該非ヒト宿主動物の全身から外部寄生虫を駆除する方法。 1−(テトラヒドロフラン−3−イル)メチル−3−メチル−2−ニトログアニジンの投与量が、非ヒト宿主動物の体重1kgあたり0.1〜100mgである請求項1に記載の方法。 1−(テトラヒドロフラン−3−イル)メチル−3−メチル−2−ニトログアニジンを含有することを特徴とする非ヒト宿主動物の血液を介して該非ヒト宿主動物の全身から外部寄生虫を駆除するための寄生虫駆除剤。