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タイトル:特許公報(B2)_第三級アルコール有機カルボン酸エステルの製造方法
出願番号:1999126703
年次:2008
IPC分類:C07C 67/08,C07C 69/013,C07C 69/24,C07C 69/54,C07C 69/56,C07C 69/78


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西口 貴広 茶本 茂廊 森川 敏行 JP 4140743 特許公報(B2) 20080620 1999126703 19990507 第三級アルコール有機カルボン酸エステルの製造方法 ヤスハラケミカル株式会社 000117319 白井 重隆 100085224 西口 貴広 茶本 茂廊 森川 敏行 20080827 C07C 67/08 20060101AFI20080807BHJP C07C 69/013 20060101ALI20080807BHJP C07C 69/24 20060101ALI20080807BHJP C07C 69/54 20060101ALI20080807BHJP C07C 69/56 20060101ALI20080807BHJP C07C 69/78 20060101ALI20080807BHJP JPC07C67/08C07C69/013 BC07C69/013 CC07C69/24C07C69/54 ZC07C69/56C07C69/78 C07C 1/00-409/44 C07B 61/00 CAplus(STN) CASREACT(STN) REGISTRY(STN) 特開昭55−162741(JP,A) 特開平02−295948(JP,A) 特開平08−310995(JP,A) Wright, S. W. et.al.,Convenient Preparations of t-Butyl Esters and Ethers from t-Butanol,Tetrahedron Letters,1997年,38(42),7345-7348 1 2000319226 20001121 12 20051108 齋藤 恵 【0001】【発明の属する技術分野】 本発明は、1−アルキル−1−シクロヘキサノールおよび/またはジヒドロ−4−ターピネオールから誘導される特定の第三級アルコール有機カルボン酸エステルの製造方法に関する。【0002】【従来の技術】従来、第一級および第二級アルコールは、エステル合成に関して、反応性に優れており、酸触媒もしくはアルカリ触媒を用いることにより、目的とする有機カルボン酸と容易に反応し、有機カルボン酸エステルを生成する。しかしながら、t−ブタノール以外の第三級アルコールは、エステル合成に関して反応性に乏しく、酸触媒もしくはアルカリ触媒を用いても、目的とする有機カルボン酸と反応せず、第三級アルコール有機カルボン酸エステルを生成しないことが知られている(第4版実験化学講座22「有機合成IV」−酸・アミノ酸・ペプチド−、43〜49頁、丸善株式会社、平成4年11月30日発行)。第三級アルコールのうち、t−ブタノールについては、脱水剤としてトリフルオロ酢酸無水物を添加することによって、目的とする有機カルボン酸と反応し、t−ブチル有機カルボン酸エステルを生成することが知られている〔R.C.Parish and L.M.Stock,J.Org.Chem.,30,927(1965)〕。一方、1−メチル−1−シクロヘキサノール、1−エチル−1−シクロヘキサノールおよびジヒドロ−4−ターピネオールなどで代表される第三級アルコールの有機カルボン酸エステルの製造方法としては、第三級アルコールと(メタ)アクリル酸クロライドなどの有機カルボン酸クロライド、または第三級アルコールと(メタ)アクリル酸無水物などのカルボン酸無水物との反応が古くから知られている(第4版実験化学講座22「有機合成IV」−酸・アミノ酸・ペプチド−、50〜51頁、丸善株式会社、平成4年11月30日発行)。【0003】しかしながら、(メタ)アクリル酸クロライドなどの有機カルボン酸クロライドは、非常に高価であるという問題点と、不安定な物性のため取り扱いにくく、分解すると塩化水素を発生し地球環境に悪影響をあたえるという問題点がある。また、(メタ)アクリル酸無水物などのカルボン酸無水物を用いる方法においては、使用するカルボン酸無水物が非常に高価であり、さらに反応の副生成物として(メタ)アクリル酸などのカルボン酸1分子が遊離し、このカルボン酸を再使用のための無水物に変換することは極めて困難であるなどの様々な欠点を有している。【0004】【発明が解決しようとする課題】 本発明の目的は、上記第三級アルコール有機カルボン酸エステルを1段階の反応プロセスで、かつ高収率で経済的に製造する新規な方法を提供することにある。【0005】 本発明の方法でエステル化する第三級アルコールは、1−アルキル−1−シクロヘキサノールおよび/またはジヒドロ−4−ターピネオールである。ここで、1−アルキル−1−シクロヘキサノールのアルキルは、メチルあるいはエチルである。【0006】【課題を解決するための手段】 本発明は、1−アルキル−1−シクロヘキサノールおよび/またはジヒドロ−4−ターピネオールからなる第三級アルコールを有機カルボン酸と反応させて第三級アルコール有機カルボン酸エステルを製造するに当たり、上記第三級アルコールを、(a)トリエチルアミンの存在下、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、プロピオン酸、安息香酸のうちから選ばれた少なくとも1種の有機カルボン酸および(b)無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸、無水フタル酸、無水マレイン酸のうちから選ばれた少なくとも1種のカルボン酸無水物と反応させることを特徴とする第三級アルコール有機カルボン酸エステルの製造方法である。【0007】【発明の実施の形態】 本発明において使用する原料である1−アルキル−1−シクロヘキサノール、ジヒドロ−4−ターピネオール、トリエチルアミン、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、プロピオン酸、安息香酸および無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸、無水フタル酸、無水マレイン酸は、特に精製の必要はなく、一般的な試薬純度のものをそのまま使用しても何ら差し支えない。【0008】 本発明で原料として使用する第三級アルコールは、1−メチル−1−シクロヘキサノール、1−エチル−1−シクロヘキサノールおよび/またはジヒドロ−4−ターピネオールである。【0009】また、本発明において使用する原料の炭素数3〜54のアミン化合物には、トリエチルアミン、ピリジン、ジメチルアニリン、4−ジメチルアミノピリジン、4−ピロリジノピリジン、ジアザビシクロウンデセンなどが挙げられる。好ましくはトリエチルアミンである。しかしながら、本発明のアミン化合物は、これらアミン化合物のみに限定されるものではない。アミン化合物の炭素数は、3〜54、好ましくは3〜24、さらに好ましくは6〜12である。炭素数1や2では、沸点が低く扱いにくい。一方、炭素数55以上では、分子量が大きすぎて、反応性が低く、十分な収率が得られない。【0010】 さらに、本発明において他の原料として使用する有機カルボン酸は、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、プロピオン酸、安息香酸である。これらは単独で使用しても2種以上併用してもよい。【0011】 さらに、本発明においてもう1つの原料として使用するカルボン酸無水物は、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸、無水フタル酸、無水マレイン酸である。これらも単独で使用しても2種以上併用してもよい。【0012】 本発明における上記第三級アルコール、トリエチルアミン化合物、上記有機カルボン酸および上記カルボン酸無水物を用いて第三級アルコール有機カルボン酸エステルを合成する反応は、常圧、減圧、加圧の何れの条件においても実施することが可能である。反応方式としては、特に限定されるものではなく、連続方式でもバッチ式でもセミバッチ式でも実施することができる。【0013】本発明を実施する際に、反応系に重合禁止剤を添加させてもよい。具体的には、重合禁止剤としては、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、メチルハイドロキノン、フェノチアジンなどが挙げられる。好ましくは、ハイドロキノン、フェノチアジンなどであるが、本発明は、これらの重合禁止剤に限定されるものではない。【0014】本発明を実施するにあたり、重合禁止剤、原料および生成物に対して不活性な溶媒を添加させてもよい。具体的には、n−ブタン、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタンなどの脂肪族飽和炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類などを、溶媒もしくは希釈剤として使用することも可能であるが、本発明はこれらに限定されるものではない。【0015】 本発明を実施する際に、上記エステル化反応に供する、上記第三級アルコール、トリエチルアミン化合物、上記有機カルボン酸、上記カルボン酸無水物の仕込み割合については特に限定されないが、トリエチルアミン化合物/上記第三級アルコールの量比は、モル比にして0.1〜100の範囲が好ましい。より好ましくは、0.5〜50、特に好ましくは0.6〜30の範囲である。仕込み割合が0.1(モル比)未満の場合は、反応の進行が遅くなり、一方、100(モル比)を超えると、反応は充分進行するが経済的な観点などから好ましくない。【0016】 また、上記有機カルボン酸/上記第三級アルコールの量比は、モル比にして0.1〜100の範囲が好ましいが、より好ましくは0.5〜50、特に好ましくは0.6〜30の範囲である。仕込み割合が0.1(モル比)未満の場合は、反応の進行が遅くなり、一方、100(モル比)を超えると、反応は充分進行するが経済的な観点などから好ましくない。【0017】 また、上記カルボン酸無水物/上記第三級アルコールの量比は、モル比にして0.1〜100の範囲が好ましいが、より好ましくは0.5〜50、特に好ましくは0.6〜30の範囲である。仕込み割合が0.1(モル比)未満の場合は、反応の進行が遅くなり、一方、100(モル比)を超えると、反応は充分進行するが経済的な観点などから好ましくない。【0018】 本発明を実施するに際し、原料などの仕込み方法は特に限定はされなく、トリエチルアミン化合物、上記有機カルボン酸、および上記カルボン酸無水物、ならびに上記第三級アルコールなどを同時に仕込んでも差し支えなく、反応前にあらかじめトリエチルアミン化合物、上記有機カルボン酸を混合状態としたのち、これに上記第三級アルコールを添加する方法、或いは、あらかじめ上記第三級アルコール、トリエチルアミン化合物、上記カルボン酸無水物を混合したのち、上記有機カルボン酸を添加するなどの方法も採用することができる。【0019】本発明において、その実施する反応温度は特に限定されることはなく、広範な温度範囲で実施することが可能であるが、通常0〜300℃の範囲で、好ましくは20〜150℃、さらに好ましくは40〜120℃、特に好ましくは70〜90℃で実施されることが推奨される。0℃未満で実施すれば、反応速度が低下し、一方、300℃を超える温度で実施すれば、原料の熱安定性の低下や重合などをもたらし経済的ではない。反応時間は、反応温度に依存するが、高温度にすれば短時間、低温度にすれば長時間である。通常、70〜90℃において2〜18時間である。反応終了後、目的生成物は通常の蒸留操作などの分離操作によって取得することができる。【0020】本発明を実施するための具体的な態様として、以下の3方法を挙げることができるが、これら3方法に限定されるものではない。(1)攪拌装置と還流器を取り付けたガラス製のフラスコ中に所定量の上記第三級アルコール、トリエチルアミン化合物、上記有機カルボン酸および上記カルボン酸無水物を、必要であるならば、重合禁止剤、溶媒などの希釈剤とともに入れ、加熱攪拌反応を行う方法。(2)オートクレーブ中に所定量の上記第三級アルコール、トリエチルアミン化合物、上記有機カルボン酸および上記カルボン酸無水物を、必要であるならば重合禁止剤、窒素またはアルゴンなどの不活性媒体とともに入れたのち、加熱攪拌反応を行う方法。(3)あらかじめ、所定温度、所定圧力に保たれた反応器中に所定量の上記第三級アルコール、トリエチルアミン化合物、上記有機カルボン酸および上記カルボン酸無水物を、必要であるならば重合禁止剤、溶媒などの希釈剤とともに連続的に導入し反応を行う方法。【0021】反応終了後、反応混合物からの目的生成物の単離は、例えば、以下のように行う。反応終了後の反応液を炭酸水素ナトリウム水溶液および水で洗浄したのち、低沸点成分を減圧除去することにより高純度の粗製品が高収率で得られる。さらに必要であれば、粗製品を減圧蒸留することにより、さらに高純度の製品を得ることができる。【0022】 特に、得られる上記第三級アルコール有機カルボン酸エステルの中でも、(メタ)アクリル酸エステルは重合性が高いため、できる限り短時間で蒸留を行うことが好ましい。反応・蒸留の際、重合禁止剤を添加して行ってもよい。重合禁止剤としては、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、メチルハイドロキノン、フェノチアジンなどが挙げられ、これらの単独または2種以上を併用することができる。【0023】 本発明の方法により製造される第三級アルコール有機カルボン酸エステルとしては、具体的には、1−メチル−1−シクロヘキシルアクリレートまたはメタクリレート、1−エチル−1−シクロヘキシルアクリレートまたはメタクリレートおよびジヒドロ−4−ターピニルアクリレートまたはメタクリレートなどが挙げられる。1−メチル−1−シクロヘキシルアクリレートは下記(化1)〔一般式(I)〕で、1−メチル−1−シクロヘキシルメタクリレートは下記(化2)〔一般式(II)〕で、1−エチル−1−シクロヘキシルアクリレートは下記(化3)〔一般式(III)〕で、1−エチル−1−シクロヘキシルメタクリレートは下記(化4)〔一般式(IV)〕で、ジヒドロ−4−ターピニルアクリレートは下記(化5)〔一般式(V)〕で、ジヒドロ−4−ターピニルメタクリレートは下記(化6)〔一般式(VI)〕で、各々示される構造を有する。【0024】【化1】【0025】【化2】【0026】【化3】【0027】【化4】【0028】【化5】【0029】【化6】【0030】 上記の如き本発明の方法により製造される上記第三級アルコール有機カルボン酸エステルは、高分子材料、ポリマー原料、ポリマー改質剤、香料、顕色剤、帯電防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、洗浄剤、界面活性剤、乳化剤、殺虫剤、農薬、殺菌剤、忌避剤、除草剤、染料、医薬品、ゴム用薬品、安定剤、着色剤、難燃剤、可塑剤、結晶核剤、相溶化剤、滑剤、硬化剤、皮なめし剤、接着剤、粘着付与剤、粘着付与剤、改質剤、結合剤、油脂、塗料、塗料改質剤、トラフィックペイント、インキ、インキ改質剤、トナー、糊剤、サイズ剤、ゴム改質剤、繊維処理剤、光硬化反応性希釈剤、架橋剤、可塑剤、紙コーティング剤、紫外線・電子線硬化型モノマー、フォトレジストなどの原料または材料として使用される。【0031】本発明の第三級アルコール有機カルボン酸エステルの製造方法は、従来法で使用する非常に高価、不安定で、環境汚染問題を生じる酸クロライドを原料とせず、1段階の反応プロセスで、かつ高収率で経済的に製造する方法である。そして、製造された第三級アルコール有機カルボン酸エステルは、半導体素子などの製造工程における微細加工に用いられる高性能フォトレジストの材料として使用されるほか、ポリマー材料、光学材料、塗料などに有用である。特に(メタ)アクリル酸エステルは、KrFおよびArFエキシマレーザー用フォトレジスト、光学材料、UVインキ、UV塗料、コーティング剤などのポリマー材料として特に有用である。【0032】【実施例】以下、実施例を挙げ、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例および比較例中の部および%は、特に断らない限り、重量基準である。また、生成物の同定は、沸点および赤外線吸収スペクトル分析(株式会社島津製作所製、FTIR−8100Mで測定)で行った。【0033】実施例1攪拌装置および還流冷却器を取り付けた2,000mlの四つ口フラスコ中にアクリル酸296.9g(4.0モル、純度97%)、無水酢酸206.0g(2.0モル、純度99%)、トリエチルアミン306.0g(3.0モル、純度99%)および1−エチル−1−シクロヘキサノール130.6g(1.0モル、純度98%)を入れ、70℃で12時間加熱攪拌し、反応を実施した。冷却後、反応液をn−ヘキサン中に投入し、5%炭酸水素ナトリウム水溶液で2回、上水で2回洗浄後、減圧蒸留することにより、1−エチル−1−シクロヘキシルアクリレート126.3g(沸点65℃/3mmHg、1−エチル−1−シクロヘキサノール基準で収率68%、純度98%)を得た。原料として使用した1−エチル−1−シクロヘキサノールおよび得られた1−エチル−1−シクロヘキシルアクリレートのIRチャートを、図1および図2に示す。【0034】実施例2攪拌装置および還流冷却器を取り付けた2,000mlの四つ口フラスコ中にクロトン酸351.0g(4.0モル、純度98%)、無水酢酸206.0g(2.0モル、純度99%)、トリエチルアミン306.0g(3.0モル、純度99%)および1−エチル−1−シクロヘキサノール130.6g(1.0モル、純度98%)を入れ、80℃で12時間加熱攪拌し、反応を実施した。冷却後、反応液をn−ヘキサン中に投入し、5%炭酸水素ナトリウム水溶液で2回、上水で2回洗浄後、減圧蒸留することにより、1−エチル−1−シクロヘキシルクロトネート136.6g(沸点72℃/3mmHg、1−エチル−1−シクロヘキサノール基準で収率69%、純度98%)を得た。【0035】実施例3攪拌装置および還流冷却器を取り付けた2,000mlの四つ口フラスコ中に、プロピオン酸305.2g(4.0モル、純度97%)と無水酢酸206.0g(2.0モル、純度99%)、トリエチルアミン306.0g(3.0モル、純度99%)および1−エチル−1−シクロヘキサノール130.6g(1.0モル、純度98%)を入れ、90℃で20時間加熱攪拌し、反応を実施した。冷却後、反応液をn−ヘキサン中に投入し、5%炭酸水素ナトリウム水溶液で2回、上水で2回洗浄後、減圧蒸留することにより、1−エチル−1−シクロヘキシルプロピオネート94.8g(沸点67℃/3mmHg、1−エチル−1−シクロヘキサノール基準で収率50%、純度97%)を得た。【0036】実施例4攪拌装置および還流冷却器を取り付けた2,000mlの四つ口フラスコ中に、安息香酸498.0g(4.0モル、純度98%)、無水酢酸206.0g(2.0モル、純度99%)、トリエチルアミン306.0g(3.0モル、純度99%)および1−エチル−1−シクロヘキサノール130.6g(1.0モル、純度98%)を入れ、90℃で12時間加熱攪拌し、反応を実施した。冷却後、反応液をn−ヘキサン中に投入し、5%炭酸水素ナトリウム水溶液で2回、上水で2回洗浄後、減圧蒸留することにより、1−エチル−1−シクロヘキシルベンゾエート132.6g(沸点98℃/3mmHg、1−エチル−1−シクロヘキサノール基準で収率56%、純度98%)を得た。【0037】実施例5攪拌装置および還流冷却器を取り付けた2,000mlの四つ口フラスコ中に、アクリル酸296.9g(4.0モル、純度97%)、ハイドロキノン0.3g、無水酢酸206.0g(2.0モル、純度99%)、トリエチルアミン306.0g(3.0モル、純度99%)および1−エチル−1−シクロヘキサノール130.6g(1.0モル、純度98%)を入れ、80℃で8時間加熱攪拌し、反応を実施した。冷却後、反応液をn−ヘキサン中に投入し、5%炭酸水素ナトリウム水溶液で2回、上水で2回洗浄後、減圧蒸留することにより、1−エチル−1−シクロヘキシルアクリレート148.6g(沸点65℃/3mmHg、1−エチル−1−シクロヘキサノール基準で収率80%、純度98%)を得た。【0038】実施例6攪拌装置および還流冷却器を取り付けた2,000mlの四つ口フラスコ中に、メタクリル酸354.6g(4.0モル、純度97%)、ハイドロキノン0.3g、無水酢酸206.0g(2.0モル、純度99%)、トリエチルアミン306.0g(3.0モル、純度99%)および1−エチル−1−シクロヘキサノール130.6g(1.0モル、純度98%)を入れ、80℃で8時間加熱攪拌し、反応を実施した。冷却後、反応液をn−ヘキサン中に投入し、5%炭酸水素ナトリウム水溶液で2回、上水で2回洗浄後、減圧蒸留することにより、1−エチル−1−シクロヘキシルメタクリレート76.0g(沸点75℃/3mmHg、1−エチル−1−シクロヘキサノール基準で収率38%、純度98%)を得た。【0039】実施例7攪拌装置および還流冷却器を取り付けた2,000mlの四つ口フラスコ中に、アクリル酸296.9g(4.0モル、純度97%)、フェノチアジン0.3g、無水酢酸206.0g(2.0モル、純度99%)、トリエチルアミン306.0g(3.0モル、純度99%)および1−メチル−1−シクロヘキサノール116.3g(1.0モル、純度98%)を入れ、85℃で8時間加熱攪拌し、反応を実施した。冷却後、反応液をn−ヘキサン中に投入し、5%炭酸水素ナトリウム水溶液で2回、上水で2回洗浄後、減圧蒸留することにより、1−メチル−1−シクロヘキシルアクリレート142.8g(沸点60℃/3mmHg、1−メチル−1−シクロヘキサノール基準で収率85%、純度98%)を得た。【0040】実施例8攪拌装置および還流冷却器を取り付けた2,000mlの四つ口フラスコ中に、アクリル酸296.9g(4.0モル、純度97%)、ハイドロキノン0.3g、無水酢酸206.0g(2.0モル、純度99%)、トリエチルアミン306.0g(3.0モル、純度99%)およびジヒドロ−4−ターピネオール159.2g(1.0モル、純度98%)を入れ、90℃で12時間加熱攪拌し、反応を実施した。冷却後、反応液をn−ヘキサン中に投入し、5%炭酸水素ナトリウム水溶液で2回、上水で2回洗浄後、減圧蒸留することにより、ジヒドロ−4−ターピネルアクリレート150.0g(沸点80℃/3mmHg、ジヒドロ−4−ターピネオール基準で収率70%、純度98%)を得た。【0041】実施例9攪拌装置および還流冷却器を取り付けた2,000mlの四つ口フラスコ中に、アクリル酸296.9g(4.0モル、純度97%)、ハイドロキノン0.3g、無水プロピオン酸265.3g(2.0モル、純度98%)、トリエチルアミン306.0g(3.0モル、純度99%)および1−エチル−1−シクロヘキサノール130.6g(1.0モル、純度98%)を入れ、80℃で8時間加熱攪拌し、反応を実施した。冷却後、反応液をn−ヘキサン中に投入し、5%炭酸水素ナトリウム水溶液で2回、上水で2回洗浄後、減圧蒸留することにより、1−エチル−1−シクロヘキシルアクリレート144.9g(沸点65℃/3mmHg、1−エチル−1−シクロヘキサノール基準で収率78%、純度98%)を得た。【0042】実施例10攪拌装置および還流冷却器を取り付けた2,000mlの四つ口フラスコ中に、アクリル酸296.9g(4.0モル、純度97%)、ハイドロキノン0.3g、無水酪酸322.4g(2.0モル、純度98%)、トリエチルアミン306.0g(3.0モル、純度99%)および1−エチル−1−シクロヘキサノール130.6g(1.0モル、純度98%)を入れ、80℃で8時間加熱攪拌し、反応を実施した。冷却後、反応液をn−ヘキサン中に投入し、5%炭酸水素ナトリウム水溶液で2回、上水で2回洗浄後、減圧蒸留することにより、1−エチル−1−シクロヘキシルアクリレート139.3g(沸点65℃/3mmHg、1−エチル−1−シクロヘキサノール基準で収率75%、純度98%)を得た。【0043】実施例11攪拌装置および還流冷却器を取り付けた2,000mlの四つ口フラスコ中に、アクリル酸296.9g(4.0モル、純度97%)、ハイドロキノン0.3g、無水フタル酸298.8g(2.0モル、純度99%)、トリエチルアミン306.0g(3.0モル、純度99%)および1−エチル−1−シクロヘキサノール130.6g(1.0モル、純度98%)を入れ、86℃で12時間加熱攪拌し、反応を実施した。冷却後、反応液をn−ヘキサン中に投入し、5%炭酸水素ナトリウム水溶液で2回、上水で2回洗浄後、減圧蒸留することにより、1−エチル−1−シクロヘキシルアクリレート111.4g(沸点65℃/3mmHg、1−エチル−1−シクロヘキサノール基準で収率60%、純度98%)を得た。【0044】実施例12攪拌装置および還流冷却器を取り付けた2,000mlの四つ口フラスコ中に、アクリル酸296.9g(4.0モル、純度97%)、ハイドロキノン0.3g、無水マレイン酸198.0g(2.0モル、純度99%)、トリエチルアミン306.0g(3.0モル、純度99%)および1−エチル−1−シクロヘキサノール130.6g(1.0モル、純度98%)を入れ、70℃で12時間加熱攪拌し、反応を実施した。冷却後、反応液をn−ヘキサン中に投入し、5%炭酸水素ナトリウム水溶液で2回、上水で2回洗浄後、減圧蒸留することにより、1−エチル−1−シクロヘキシルアクリレート122.6g(沸点65℃/3mmHg、1−エチル−1−シクロヘキサノール基準で収率66%、純度98%)を得た。【0045】比較例1攪拌装置および還流冷却器を取り付けた2,000mlの四つ口フラスコ中に、アクリル酸296.9g(4.0モル、純度97%)、トリエチルアミン306.0g(3.0モル、純度99%)および1−エチル−1−シクロヘキサノール130.6g(1.0モル、純度98%)を入れ、70℃で12時間加熱攪拌し、反応を実施した。しかしながら、反応終了後、洗浄、減圧蒸留して得られたものは、未反応の原料であり、1−エチル−1−シクロヘキシルアクリレートは得られなかった。【0046】比較例2攪拌装置および還流冷却器を取り付けた2,000mlの四つ口フラスコ中に、アクリル酸296.9g(4.0モル、純度97%)、無水酢酸206.0g(2.0モル、純度99%)、および1−エチル−1−シクロヘキサノール130.6g(1.0モル、純度98%)を入れ、70℃で12時間加熱攪拌し、反応を実施した。しかしながら、反応終了後、洗浄、減圧蒸留して得られたものは、未反応の原料であり、1−エチル−1−シクロヘキシルアクリレートは得られなかった。【0047】比較例3攪拌装置および還流冷却器を取り付けた2,000mlの四つ口フラスコ中に、1−エチル−1−シクロヘキサノール130.6g(1.0モル、純度98%)トルエン400g、ハイドロキノン0.3g、およびトリエチルアミン306.0g(3.0モル、純度99%)を入れて攪拌しながら40℃に加熱し、そこへアクリル酸クロライド142.9g(1.5モル、純度95%)を2時間かけて滴下し反応を実施した。冷却後、反応液を5%炭酸水素ナトリウム水溶液で2回、上水で2回洗浄後、減圧蒸留することにより、1−エチル−1−シクロヘキシルアクリレート120.7g(沸点65℃/3mmHg、1−エチル−1−シクロヘキサノール基準で収率65%、純度98%)を得た。【0048】比較例4アクリル酸クロライドのかわりに、メタクリル酸クロライド165.0g(1.5モル、純度95%)を用いた以外は、比較例3と同様の方法を用いた。その結果、1−エチル−1−シクロヘキシルメタクリレート130.0g(沸点75℃/3mmHg、1−エチル−1−シクロヘキサノール基準で収率65%、純度98%)を得た。【0049】比較例51−エチル−1−シクロヘキサノールのかわりに、1―メチル―1−シクロヘキサノール116.3g(1.0モル、純度98%)を用いた以外は、比較例3と同様の方法を用いた。その結果、1−メチル−1−シクロヘキシルアクリレート100.8g(沸点60℃/3mmHg、1−メチル−1−シクロヘキサノール基準で収率60%、純度98%)を得た。【0050】比較例61−エチル−1−シクロヘキサノールのかわりに、ジヒドロ−4−ターピネオール159.2g(1.0モル、純度98%)を用いた以外は比較例3と同様の方法を用いた。その結果、ジヒドロ−4−ターピニルアクリレート117.8g(沸点80℃/3mmHg、ジヒドロ−4−ターピネオール基準で収率55%、純度98%)を得た。【0051】比較例7攪拌装置および還流冷却器を取り付けた2,000mlの四つ口フラスコ中に、アクリル酸296.9g(4.0モル、純度97%)、酸触媒として硫酸0.05g、および1−エチル−1−シクロヘキサノール130.6g(1.0モル、純度98%)を入れ、70℃で2時間加熱攪拌し、反応を実施した。しかしながら、1−エチル−1−シクロヘキサノールは脱水反応をおこし、1−エチル−1−シクロヘキセンとなり、1−エチル−1−シクロヘキシルアクリレートは得られなかった。【0052】上記実施例の結果、本発明の第三級アルコール有機カルボン酸エステルの製造方法は、いずれも、収率50%以上で、純度97%以上のものが安定して得られた。一方、比較例1は、本発明のカルボン酸無水物がない例であり、対応する実施例1では得られた目的物が得られなかった。比較例2は、本発明のアミン化合物がない例であり、対応する実施例1では得られた目的物が得られなかった。比較例3〜6は、従来例の、有機カルボン酸〔(メタ)アクリル酸〕に比べ非常に高価で不安定な有機酸クロライド〔(メタ)アクリル酸クロライド〕と第3級アルコールとをアミン化合物存在下で反応させる例であり、そのほとんどが対応する実施例よりも収率が低かった。比較例7は、従来例の、硫酸触媒存在下でのエステル化の例であり、対応する実施例1では得られたエステル化合物が得られなかった。【0053】【発明の効果】本発明によれば、1−メチル−1−シクロヘキサノール、1−エチル−1−シクロヘキサノールおよびジヒドロ−4−ターピネオールなどを代表とする炭素数4〜30の第三級アルコールを炭素数3〜54のアミン化合物の存在下、安価な(メタ)アクリル酸などを代表とする炭素数2〜18の有機カルボン酸および無水酢酸のような炭素数2〜36のカルボン酸無水物と反応させ、第三級アルコール有機カルボン酸エステルを1段階の反応プロセスで、かつ高い収率で経済的に製造することができ、その工業的価値は高い。得られた第三級アルコール有機カルボン酸エステル、特に第三級アルコール(メタ)アクリレートは、KrFおよびArFエキシマレーザー用フォトレジスト、UVインキ、UV塗料、コーティング剤、接着剤など幅広い用途に供される。【図面の簡単な説明】【図1】実施例1で用いた1−エチル−1−シクロヘキサノールのIRチャートである。【図2】実施例1で得られた1−エチル−1−シクロヘキシルアクリレートのIRチャートである。 1−アルキル−1−シクロヘキサノールおよび/またはジヒドロ−4−ターピネオールからなる第三級アルコールを有機カルボン酸と反応させて第三級アルコール有機カルボン酸エステルを製造するに当たり、上記第三級アルコールを、トリエチルアミンの存在下、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、プロピオン酸、安息香酸のうち少なくとも1種の有機カルボン酸および無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸、無水フタル酸、無水マレイン酸のうち少なくとも1種のカルボン酸無水物と反応させることを特徴とする第三級アルコール有機カルボン酸エステルの製造方法。


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