タイトル: | 特許公報(B2)_アクテオシドの抽出法 |
出願番号: | 1999114968 |
年次: | 2007 |
IPC分類: | C07H 15/18,A61K 36/18 |
渡辺 純 葛西 浩一 鐘ヶ江 亮太 有賀 敏明 戸邉 光一朗 JP 3925828 特許公報(B2) 20070309 1999114968 19990422 アクテオシドの抽出法 キッコーマン株式会社 000004477 渡辺 純 葛西 浩一 鐘ヶ江 亮太 有賀 敏明 戸邉 光一朗 20070606 C07H 15/18 20060101AFI20070517BHJP A61K 36/18 20060101ALN20070517BHJP JPC07H15/18A61K35/78 C C07H 15/18 A61K 36/18 CAPLUS(STN) REGISTRY(STN) MEDLINE(STN) BIOSIS(STN) EMBASE(STN) 特開平3-271227(JP,A) 特開平8-59685(JP,A) 特開平7-223964(JP,A) 2 2000302797 20001031 4 20030212 伊藤 幸司 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、アクテオシドの抽出法に関するものである。【0002】【従来の技術】アクテオシド(1−O−α−L−ラムノピラノシル−(1→3)−β−D−(4−カフェオイル)−グルコピラノシド)は、植物中に広く含まれている化合物の一種で、ホスホリパーゼA2阻害作用(特開平7−223964号公報)、5−リポキシゲナーゼ阻害作用(特開平8−59685号公報)等の生理作用を有することが知られており、免疫抑制剤、抗アレルギー剤、抗糖尿病剤としての応用が期待されている。【0003】アクテオシドの合成は、極めて困難であることから、その生産は、植物等からの抽出に限定されている。従来、生薬である地黄(特開平3−271227号公報)、シソ科植物のチョロギ(薬学雑誌、1990年、110巻、932−935頁)、ハマウツボ科植物のホンオニク(Biol.Pharm.Bull.、1996年、19巻、1580−1585頁)等からアクテオシドが得られている。しかしながら、その含有量は、0.002%〜0.08%と極微量である。【0004】【発明が解決しようとする課題】本発明は、効率的なアクテオシドの抽出法を提供することを目的としてなされたものである。【0005】【課題を解決するための手段】そこで本発明者等は、前記した課題を解決するため、鋭意研究した結果、コショウ科コショウ属植物中に多量のアクテオシドが存在していることを見い出し、この知見に基づき本発明を完成した。即ち本発明は、コショウ科コショウ属植物原料からアクテオシドを抽出することを特徴とするアクテオシドの抽出法である。【0006】【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明する。本発明においてアクテオシドの抽出に用いられる植物原料としては、コショウ科コショウ属植物に属するマティコ(Piper aduncum)、コショウ(Piper nigrum)、キンマ(Piper betle)、フウトウカズラ(Piper kadsura)、インドナガコショウ(Piper longum)、カバ(Piper methysticum)、ジャワナガコショウ(Piper retrofractum)等が挙げられる。そして、アクテオシドを抽出するには、前記植物体原料の如何なる部分を用いてもよく、その含有量の点で、例えば、マティコ地上部が特に好ましい。【0007】前記植物体原料からアクテオシドを抽出するには、前記植物体原料そのまま、もしくはその粉砕物(それらは、生、乾燥物の何れでもよい)を、水もしくは有機溶剤等の溶媒またはそれらの混合溶媒を用いて抽出することによって行なうことができる。その有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトン、酢酸エチル、クロロホルム、ジクロロメタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等が挙げられる。これらの溶媒の中でも、水もしくはエタノール等の親水性有機溶剤、または水と親水性有機溶剤との混合溶媒が好ましく、また、抽出率及び安全性の点で水が特に好適である。【0008】前記した溶媒を用いてアクテオシド抽出物を得るには、如何なる方法を用いてもよく、例えば、前記した植物体を原料とし、これを破砕した後、それらの破砕物を前記した溶媒で公知の方法を用いて処理することにより得ることができる。具体的には、原料の1〜100倍量(重量比)、好ましくは3〜20倍量(重量比)の溶媒で、温度0℃以上、好ましくは10℃〜その溶媒の沸点以下の温度条件下で、攪拌しつつ1分間〜8週間、好ましくは10分〜1週間抽出処理をすることにより得ることができる。また、必要により加熱還流しながら抽出する方法を用いてもよい。【0009】上記のアクテオシド抽出物からアクテオシドを精製するには、公知の天然有機化合物類の分離または精製に用いられる方法を用いることができる。例えば、活性炭、シリカゲル、化学修飾シリカゲル、ポリマー系担体等を用いた脱吸着、あるいはクロマトグラフィー、液−液抽出、分別沈殿等の手法により、アクテオシドを精製することができる。また必要により、適宜抽出液から溶媒を除去した残渣をそのまま、または水に溶解して石油エーテル、エーテル、クロロホルム等の有機溶剤で抽出し、得られた有機溶剤に移行する脂溶性成分を除去してもよい。具体的には、例えば、前記粗抽出物をODS−カラムクロマトグラフィーに供し、22.5%(v/v)エタノール−水混合溶媒で溶出する。クロマトグラフィーによって分離された目的画分を集め、濃縮・乾固すると、純度約95%のアクテオシド画分が得られる。得られたアクテオシド画分をさらに35%(v/v)アセトニトリル−水混合溶媒を溶出溶媒としたODS−HPLCに供し、目的画分を集め、濃縮・乾固することにより、高純度のアクテオシドを得ることができる。【0010】【実施例】以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。実施例(マティコからのアクテオシドの抽出)乾燥したマティコ地上部4kgを25Lの水に加え、攪拌下、90℃に加熱しながら1時間抽出処理した。不溶物をグラスフィルターを用いた吸引濾過により除去し、濾液を得た。濾液を減圧濃縮し、内容量18LのYMC GEL ODS-AM120-S50(YMC社製)カラムクロマトグラフィーに付し、10%(v/v)エタノール−水混合溶媒で不要な成分を溶出させた後、22.5%(v/v)エタノール−水混合溶媒で溶出し、目的の成分を含む画分を得、ロータリーエバポレーターにより濃縮後、凍結乾燥して純度約95%のアクテオシド40gを得た。前記の如くして得られたアクテオシド1gを水に溶解し、TSK GEL ODS-80(東ソー社製)の内径20mm×25cmのカラムを用いたHPLCに供し、35%(v/v)アセトニトリル−水混合溶媒で溶出し、ロータリーエバポレーターにより濃縮後、凍結乾燥して純度99.8%のアクテオシド890mgを得た。このものの理化学的性質は、Chem.Pharm.Bull.、1984年、32巻、3009頁記載のアクテオシドの理化学的性質と一致した。【0011】【発明の効果】本発明によれば、アクテオシドを効率よく抽出することができるので、本発明は、産業上極めて有用である。 コショウ科コショウ属植物原料からアクテオシドを抽出することを特徴とするアクテオシドの抽出法。 コショウ科コショウ属植物原料がマティコである請求項1記載のアクテオシドの抽出法。