生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_マルチチャンネルQCMセンサデバイス
出願番号:1999089410
年次:2007
IPC分類:G01N 5/02


特許情報キャッシュ

小山 昇 立間 徹 渡辺 能仁 波戸崎 修 北寄崎 薫 羽場 方紀 野口 卓孝 JP 3933340 特許公報(B2) 20070330 1999089410 19990330 マルチチャンネルQCMセンサデバイス 小山 昇 599037366 株式会社明電舎 000006105 橋本 剛 100096459 小山 昇 立間 徹 渡辺 能仁 波戸崎 修 北寄崎 薫 羽場 方紀 野口 卓孝 20070620 G01N 5/02 20060101AFI20070531BHJP JPG01N5/02 A G01N 5/02 特開2000−258324(JP,A) 特開平06−245754(JP,A) 特開平02−118434(JP,A) 特開平04−289438(JP,A) 特開平06−194290(JP,A) 特開平07−190916(JP,A) 特開平08−075628(JP,A) 特開平08−193854(JP,A) 特開平09−126979(JP,A) 特開平09−145583(JP,A) 特開昭58−092908(JP,A) 特表2002−532717(JP,A) 国際公開第00/026636(WO,A1) 米国特許第04596697(US,A) 立間徹、渡邉能仁、小山昇、北寄崎薫、羽場方紀,マルチチャンネルQCMの開発(1),電気化学会大会講演要旨集,社団法人電気化学会,1999年 3月24日,Vol.66,Page.261 2 2000283905 20001013 11 20041126 秋田 将行 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、水晶振動子の電極表面を試料ガスや試料溶液に晒したときの水晶振動子の発振周波数やインピーダンス等の電気的特性の変化から電極表面での試料の成分を検知・定量するQCM(Quartz Crystal Microbalance)センサデバイスに係り、特に同じ試料から複数の成分を同時に検知・定量するのに適したマルチチャンネルQCMセンサデバイスに関する。【0002】【従来の技術】化学・生化学の分野において、反応量や生成物質量を定量することは重要なことであるが、極めて微量の反応量に対して十分な検出感度を得ることは難しかった。【0003】近年、ATカット水晶振動子を用いてマイクロバランス原理を応用したケミカル及びバイオセンサが注目を集めている。ATカット水晶振動子は、その主共振周波数が振動子の板厚と反比例する。この場合、水晶振動子の電極面に試料成分が成膜したり、あるいは物質の吸着が起きると表面に存在する物質の単位平面積当たりの重量に対応した周波数のシフトが起きる。【0004】QCMセンサは、上記の周波数シフト現象を応用したもので、ATカット水晶振動子は広い温度範囲において周波数が安定しているため、安定した検出感度が期待でき、条件が揃えば1〜10ngの吸着物質の検出がリアルタイムで可能である。以下に吸着物質量と周波数のシフト量の関係を示す。【0005】まず、ATカット水晶振動子の共振周波数は、下記の(1)、(2)式で表わされる。【0006】【数1】【0007】ここで、f0:水晶振動子の主共振周波数、ν:水晶中での音速、tq:水晶の厚さ、μq:せん断弾性定数、ρq:水晶の密度である。【0008】この主共振周波数f0を持つ水晶振動子の表面に生じる質量変化Δmは、主共振周波数と水晶の厚さの関係式を展開してSauerbreyの(3)式のようになる。【0009】上記の(3)式において、Δfは質量付加による周波数変化、Apiezoは電気的有効面積、Cfは全体感度である。これを液中で使用する際に、Δfは液の粘度と密度にも影響されるため、(4)式のように書き直される。【0010】ここで、ηLは溶液の粘性率、ρLは溶液の密度、ω0=2πf0である。また、全体感度Cfは(5)式で表わされる。【0011】上記の(5)式から分るように、全体感度Cfを上げるには主共振周波数f0を上げることが重要となる。また、全体感度Cf自身も周波数の関数であるから、実際に周波数のずれ量Δfは主共振周波数f0の3/2乗に依存することになる。【0012】従って、センサとして用いる水晶振動子の主共振周波数を高くするほど、高感度のセンサとすることができる。例えば、図5は、15wt%(重量パーセント)のグルコース溶液に浸した水晶振動子の周波数シフト量Δfを主共振周波数f0の変化に対してプロットしたものである。主共振周波数f0が高ければ同じ電極表面の吸着量に対して共振周波数のずれが大きく取れることが分る。【0013】上記のように、ATカット水晶振動子は、厚みすべりのモードを使用しているため、主共振周波数f0はその厚みtqと反比例する。また、水晶振動子は、十分なγ値(水晶振動子の等価回路では並列容量と直列容量の比、通常はATカットで250ぐらいで少ない程よい)を得るためには電極有効面積も周波数に比例して小さくする必要がある。以上の理由で高周波用の水晶振動子は電極面積が小さく、しかも水晶厚の薄いものが必要となる。【0014】一方、QCMセンサを実現するには、共振周波数を正確に測り、なおかつ振動子表面は試料ガスあるいは試料溶液に晒すという条件を満たすため、図6に示すように、水晶振動子1を容器2内に保持させ、試料に晒す振動子表面のみを露出させてその周辺をOリング3等でシールし、水晶振動子の電極1A,1Bからリード線を使って発振回路またはインピーダンス測定回路4に接続する装置構成になる。【0015】上記のような構成になるQCMセンサは、その水晶振動子を高周波に対応した薄い水晶基板とする場合、シール部にかかる応力により基板が歪んだり割れたりするため、高周波のセンサデバイスは実用化が難しかった。しかし、Zuxuan Lin等により単一セルでエッチングにより基板の中央部のみを薄くする方法でQCMセンサデバイスを作製する方法が提案されている。この場合、水晶振動子の枠にあたる部分は従来用いられていた5〜6MHz相当(0.3mm程度)の厚みを持っており、シールによって大きな歪みを発生することもない。また、薄板化された部分は電極面積を十分に小さく取ってエネルギートラップが起こっているため、枠の影響を受けにくくすることができる。【0016】【発明が解決しようとする課題】以上のような方法でセンサ感度を上げるQCMセンサが実現されるが、従来のQCMセンサデバイスは何れも1セル内に1つのセンサしか配置されていない。したがって、従来のQCMセンサは、1サンプルから一度に1つの成分の測定しか行なえない。【0017】このことは、例えば、複数の成分を含む試料溶液から各成分を検知・定量するには、成分毎にそれを検知・定量できるセルを用意し、1セル1サンプルという制約された測定になり、複数の成分測定にはそれだけ測定時間が長くかかるし、測定コストも高くなるという問題がある。【0018】測定時間を短縮しようとするものとして、マルチチャンネルタイプのQCMセンサがある。このセンサは、基板ホルダーに複数の水晶振動子を取り付け、各水晶振動子上にプローブを移動操作し、各水晶振動子での試料成分のデータを得る装置構成になる。【0019】しかし、このマルチチャンネルタイプのQCMセンサは、プローブの移動操作による電界印加になり、プローブと各水晶振動子の相対位置のずれが発振周波数やインピーダンスを変化させてしまう。このため、従来のマルチチャンネルタイプQCMセンサは、水晶振動子の共振周波数等の測定条件を正確に維持するための装置構成が難しく、結果的に安定した測定が望めないという問題がある。【0020】したがって、本発明は、センサ部をマルチチャンネル化しながら安定した測定を可能にし、しかもセンサ部の主共振周波数を高周波化することにより高精度測定を可能にしたマルチチャンネルQCMセンサデバイスを提供することを目的とする。【0021】【課題を解決するための手段】従来の技術で述べたように、高感度なセンサを得るためには、基板厚を薄くした高周波振動子を用いる必要があるが、機械的強度から薄板化が制約される。例えば、5MHz位の主共振周波数を持つものでは、図6のように、試料雰囲気を測定回路部分から分離を行なうためにシールドを施す場合、水晶基板の割れや歪みを少なくするためには、少なくとも0.25mm以上の基板厚が必要となる。【0022】また、従来のQCMセンサデバイスは1サンプルから一度に1つの成分の測定しか行なえない。【0023】このような課題を解決するQCMセンサデバイスとして、本願出願人等はマルチチャンネル化したQCMセンサデバイスを既に提案している。【0024】このマルチチャンネルQCMセンサデバイスは、図7に平面図(a)と断面図(b)で示すように、水晶基板10の周辺部は厚くしてその機械強度を確保し、4チャンネル分の電極11A,11B,11C,11Dとそれらの裏面電極12A,12B,12C,12Dが形成される振動子部分を水晶基板10の両面からエッチング処理で薄くした構造とすることで高周波化を図る。【0025】例えば、5MHZ位の主共振周波数をもつ厚みにした1インチ角の基板の両面に、各電極膜の形成部分を主共振周波数が10MHZ以上になる厚みにまでエッチングした構造とする。【0026】また、上記のマルチチャンネル構造の各電極11A〜11Dには、検知・定量しようとするサンプルの成分毎に異なるレセプターを固定化することにより、1サンプルで電極別に異なる成分を一度に検知・定量することを可能にし、しかも、従来のプローブの移動操作機構を不要にする。【0027】例えば、試料に晒される側の電極11A〜11Dの表面には、試料から検知・定量しようとする成分に応じた互いに異なるレセプターが形成される。例えば、電極11Aには「はしか」のウイルスを検知・定量するための「抗はしかウイルス抗体」が固定化され、電極11Bにはインフルエンザの抗体を検知・定量するためのインフルエンザ抗原が固定化されることで、異なるウイルスの検知・定量を一度に行うことができる。【0028】ここで、QCMセンサデバイスは、電極面を試料溶液に晒して検知・定量測定を行った後、次回の測定に備えて試料に晒された電極をもつ基板面の洗浄を必要とする。この洗浄は、例えば、電解液から銀等を電極面に析出させた場合、析出したときと逆方向に電流を流し、析出した物質等を電極面から離脱させる。その後、酸性溶液(例えばフッ酸)により水晶基板面を洗浄する。【0029】この洗浄において、上記のマルチチャンネルQCMセンサデバイスは、電極11A〜11D部が掘り下げられた構造のため、前回の測定に使用された試料溶液や試料ガス及び析出された試料成分を完全に除去するのが難しくなる。特に、マルチチャンネルQCMセンサデバイスでは、多チャンネル化を図るほど、基板面に多数箇所で凹凸部が形成され、完全な洗浄が一層難しくなる。これら電極面等への成分の残留は次回の測定精度に影響を及ぼす恐れがある。【0030】そこで、本発明は、マルチチャンネルQCMセンサデバイスにおいて、試料に晒される基板面を平坦構造とすることでその面の洗浄を確実、容易にしたもので、以下の構成を特徴とする。【0031】 (第1の発明) 水晶基板の表面に複数の電極を隣接させて形成し、各電極の裏面に対向電極を形成し、水晶基板の一方の面の電極表面を試料ガスや試料溶液に晒したときの各電極別の主共振周波数の変化またはインピーダンスの変化から試料の成分を各電極別に検知・定量するマルチチャンネルQCMセンサデバイスにおいて、 前記水晶基板は、試料に晒される面を縁部を残して掘り下げ、その外周部が電極形成部よりも高くなる平坦面を有し、この平坦面に複数の電極を形成し、この掘り下げた平坦面を試料溜めとした構造とし、この裏面の対向電極が形成される面を掘り下げた凹部をもつ構造としたことを特徴とする。【0033】 (第2の発明) 水晶基板の表面に複数の電極を隣接させて形成し、各電極の裏面に対向電極を形成し、水晶基板の一方の面の電極表面を試料ガスや試料溶液に晒したときの各電極別の主共振周波数の変化またはインピーダンスの変化から試料の成分を各電極別に検知・定量するマルチチャンネルQCMセンサデバイスにおいて、 前記水晶基板は、試料に晒される面を縁部を残して掘り下げ、その外周部が電極形成部よりも高くなる平坦面を有し、この掘り下げた平坦面を試料溜めとした構造とし、この裏面の対向電極が形成される面を掘り下げた凹部をもつ構造とし、一方の面に形成する電極を1つの共通電極としたことを特徴とする。【0035】【発明の実施の形態】図1は、本発明の実施形態を示すマルチチャンネルQCMセンサデバイスの平面図(a)と断面図(b)であり、4チャンネル構成の場合である。【0036】水晶基板20は、4角形で一様な厚みを持つATカット水晶で構成される。水晶基板20の表裏面には、その四方に対向して円形の電極(金や白金など)21A〜21Dと、その裏面電極22A〜22Dが形成され、各電極21A〜21D、22A〜22Dはそれぞれリード線23A〜23D等で基板周辺の端子に引き出される。【0037】なお、水晶基板20の電極形成面の厚みは、前記の式(1)(2)に従った主共振周波数f0(5MHZや10MHZ)に応じて決定される。また、電極の面積は前記の式(3)〜(5)での感度を決める要素として決定される。【0038】このような構造のセンサデバイスを使ったマルチチャンネルQCMセンサを構成するには、前記の図6と同様に、一方の面を試料に晒す構造にされる。この試料に晒される側の電極21A〜21Dの表面には、試料から検知・定量しようとする成分に応じた互いに異なるレセプターが形成される。【0039】また、各電極21A〜21D、22A〜22Dから引き出された端子は、個別の発振回路またはインピーダンス測定回路に接続または1つの発振回路またはインピーダンス測定回路に時分割で切り替え接続され、電極21A〜21D側が試料に晒された場合の発振周波数変化またはインピーダンス変化が個々に計測される。【0040】ここで、本実施形態のマルチチャンネルQCMセンサデバイスが図7と異なる部分は、試料に晒される電極21A〜21Dを形成する水晶基板面は平坦にされ、裏面に形成する電極22A〜22D側の水晶基板面は主振動周波数の関係から掘り下げた凹部をもつ構造にされる。【0041】この構造により、マルチチャンネルQCMセンサデバイスを使った測定では、水晶基板20は電極21A〜21Dの形成面が試料に晒される。そして、測定後の水晶基板20の洗浄は、電極21A〜21Dの形成面に対して行う。この洗浄に際して、電極21A〜21Dの形成面は、凹凸部のない平坦構造になるため、試料成分等の残留物を完全に取り除くのが容易になる。【0042】図2は、本発明の他の実施形態を示すマルチチャンネルQCMセンサデバイスの平面図(a)と断面図(b)であり、4チャンネル構成の場合である。【0043】同図が図1と異なる部分は、試料に晒される水晶基板面に形成する電極を1つの共通電極21とした点にある。【0044】この共通電極21は、一か所のリード線23で基板周辺の端子に引き出される。また、共通電極21は、その裏面電極22A〜22Dに対向する部分に、試料から検知・定量しようとする成分に応じた互いに異なるレセプターが境界を有して形成される。【0045】本実施形態においても、前記の図1のものと同様に、洗浄に際して、共通電極21の形成面は、凹凸部のない平坦構造になるため、試料成分等の残留物を完全に取り除くのが容易になる。【0046】これに加えて、本実施形態では、水晶基板面に電極を形成するのに、一方の面には1つの共通電極21の形成で済み、製造が容易になる。すなわち、電極の形成は、水晶基板の一面に金を蒸着した後、フォトリソグラフィー法や化学エッチング法などにより各チャンネルのパターニングを行うが、共通電極の形成にはパターニングが不要となり、裏面電極のみパターニングすることで済む。【0047】また、本実施形態では、測定に際して、電極から引き出された端子を、個別の発振回路またはインピーダンス測定回路に接続または1つの発振回路またはインピーダンス測定回路に時分割で切り替え接続するのに、共通電極21から引き出された端子は1カ所になり、これら接続又は切り替え接続が容易になる。【0048】さらにまた、本実施形態では、試料に晒される水晶基板面のほぼ全面が共通電極(金電極)21で覆われているため、試料と水晶基板が直接に接触することがなく、水晶基板をその汚染や腐食から保護することが可能である。【0049】以上のような構造(図1、図2)としたマルチチャンネルQCMセンサデバイスは、試料に晒される面が平坦構造になるため、図7の構造に比べてその洗浄が容易であるが、平坦構造であるがために振動が基板面全体に伝搬し、チャンネル間の干渉の有無やチャンネル毎の定量性が低下することが予想されるが、これら干渉の発生や定量性の低下は起きないことを実験で確認した。【0050】この実験に使用したマルチチャンネルQCMセンサデバイスは、図7及び図1、図2の4チャンネル構造で、水晶基板20の厚さは227μm、電極形成部(凹部)の厚さが167μmで直径が8mm、電極の直径が4.5mm(共通電極は全面)とし、各チャンネルの共振周波数が10MHZのものとした。【0051】そして、各チャンネルに水を滴下したり、あるいは電解液中で銀を電気化学的に析出させるなどしてチャンネル間の干渉の有無や定量性について調べた。このためのインピーダンス測定はネットワークアナライザを用い、発振周波数については発振器と周波数カウンタを用いた。以下、チャンネル間の干渉等について個別に説明する。【0052】(1)チャンネル間の干渉図7及び図1、図2の構造で、上記の形状のセンサデバイスについて、チャンネルA〜Dのいずれかに水を滴下したときの、チャンネルAのインピーダンス特性の変化を観測した。その結果、下記の表に示すように、チャンネルAに水を滴下したときのみ、共振周波数の変化ΔF及び等価回路の抵抗値の変化ΔR1などにノイズレベルを越える変化がみられ、他のチャンネルに水を滴下した場合にはチャンネルAには変化が見られなかった。また、図1および図2のセンサデバイスは、図7のものとでは差異が少なく、振動が他のチャンネルに伝搬せず、チャンネル間の干渉がないことが確認された。【0053】【表1】【0054】(2)チャンネル毎の定量性0.2M過塩素酸を含む1mM硝酸銀水溶液中で、チャンネルA〜Dのいずれかに銀を析出させ(定電流:1μA)、チャンネルAにおけるインピーダンス特性、あるいは発振周波数の変化を測定した。【0055】その結果、図3に示すように、チャンネルAに電解析出させたときのみ、周波数等の変化を観測することができた。また、このときの周波数変化は、Sauerbreyの式から予測される値(理論値)とほぼ一致した。【0056】これらのことから、図1、図2の構造のセンサデバイスは、図7のものと同様に、各チャンネルは独立した振動子として質量変化の定量的評価に使用できることが確認された。【0057】図4は、本発明の他の実施形態を示すマルチチャンネルQCMセンサデバイスの平面図(a)と断面図(b)であり、4チャンネル構成の場合である。【0058】同図が図1と異なる部分は、試料に晒される側の水晶基板面を縁部を残して掘り下げた平坦面に電極21A〜21Dを形成した点にある。【0059】本実施形態は、水晶基板の表裏面に対向させて形成する電極のうち、試料に晒される電極の形成部分を掘り下げた構造とし、この掘り下げ部分を試料溜めにするものである。【0060】本実施形態は、測定対象試料が溶液になる場合に適用できるものであり、電極21A〜21Dの形成部に試料溜めができるよう基板面を縁部を残して掘り下げ、その外周部が電極形成部よりも高くなる構造としている。【0061】以上の構造になるマルチチャンネルQCMセンサデバイスにおいては、前記の実施形態の構造に比べて、試料に晒される面には基板周辺部で凹部が形成されるが、電極間には凹凸部がなく、図7のものに比べてその洗浄が容易になる。【0062】しかも、縁部の作用により、基板上の試料溶液が基板周辺に流れ出すことを防止できる。また、基板周辺に付着する電極接着剤等が試料溶液に混入したり反応するのを防止できる。【0063】なお、試料溜めをもつ構造は、図2の構造のものにも適用できる。つまり、共通電極21を形成する面を試料溜めができる深さまで掘り下げた構造とすることができる。【0064】以上までの各実施形態において、試料に晒されない電極側を1つの共通電極にして同等の作用効果を得ることができる。例えば、図1の構造において裏面電極22A〜22Dを1つの共通電極とすること、図2の構造において試料に晒される面にチャンネル毎の電極を設け、裏面電極を1つの共通電極とすること、図4の構造において裏面電極22A〜22Dを1つの共通電極とすることができる。【0065】また、実施形態では、4チャンネルの場合を示すが、9チャンネルなど多チャンネルQCMセンサデバイスとすることができる。【0066】【発明の効果】以上のとおり、本発明によれば、試料に晒される電極形成部の面を平坦構造にしたため、試料に晒された電極形成部の洗浄が確実、容易になり、しかも、平坦構造にしてチャンネル間の干渉が発生することなく、定量性にも影響なく、各チャンネルを独立した振動子とすることができ、高精度の繰り返し測定が可能となる。【図面の簡単な説明】【図1】本発明の実施形態を示すマルチチャンネルQCMセンサデバイス。【図2】本発明の他の実施形態を示すマルチチャンネルQCMセンサデバイス。【図3】実施形態における周波数変化の測定結果。【図4】本発明の他の実施形態を示すマルチチャンネルQCMセンサデバイス。【図5】QCMセンサによる周波数シフト特性の例。【図6】QCMセンサデバイスの収納装置の例。【図7】本発明に係るマルチチャンネルQCMセンサデバイス。【符号の説明】10、20…水晶基板11A〜11D、21A〜21D…試料に晒される電極12A〜12D、22A〜22D…裏面電極21…共通電極 水晶基板の表面に複数の電極を隣接させて形成し、各電極の裏面に対向電極を形成し、水晶基板の一方の面の電極表面を試料ガスや試料溶液に晒したときの各電極別の主共振周波数の変化またはインピーダンスの変化から試料の成分を各電極別に検知・定量するマルチチャンネルQCMセンサデバイスにおいて、 前記水晶基板は、試料に晒される面を縁部を残して掘り下げ、その外周部が電極形成部よりも高くなる平坦面を有し、この平坦面に複数の電極を形成し、この掘り下げた平坦面を試料溜めとした構造とし、この裏面の対向電極が形成される面を掘り下げた凹部をもつ構造としたことを特徴とするマルチチャンネルQCMセンサデバイス。 水晶基板の表面に複数の電極を隣接させて形成し、各電極の裏面に対向電極を形成し、水晶基板の一方の面の電極表面を試料ガスや試料溶液に晒したときの各電極別の主共振周波数の変化またはインピーダンスの変化から試料の成分を各電極別に検知・定量するマルチチャンネルQCMセンサデバイスにおいて、 前記水晶基板は、試料に晒される面を縁部を残して掘り下げ、その外周部が電極形成部よりも高くなる平坦面を有し、この掘り下げた平坦面を試料溜めとした構造とし、この裏面の対向電極が形成される面を掘り下げた凹部をもつ構造とし、一方の面に形成する電極を1つの共通電極としたことを特徴とするマルチチャンネルQCMセンサデバイス。


ページのトップへ戻る

生命科学データベース横断検索へ戻る