タイトル: | 特許公報(B2)_アルコキシドの精製方法 |
出願番号: | 1999069583 |
年次: | 2009 |
IPC分類: | C07C 29/80,C07C 29/76,C07C 31/28,C07C 31/32,H01L 21/31,H01L 21/316,C07F 7/04,C07F 7/28,C07F 9/00,C23C 16/18 |
高松 勇吉 米山 岳夫 石濱 義康 JP 4287942 特許公報(B2) 20090403 1999069583 19990316 アルコキシドの精製方法 日本パイオニクス株式会社 000229601 高松 勇吉 米山 岳夫 石濱 義康 JP 1998085014 19980316 20090701 C07C 29/80 20060101AFI20090611BHJP C07C 29/76 20060101ALI20090611BHJP C07C 31/28 20060101ALI20090611BHJP C07C 31/32 20060101ALI20090611BHJP H01L 21/31 20060101ALI20090611BHJP H01L 21/316 20060101ALI20090611BHJP C07F 7/04 20060101ALN20090611BHJP C07F 7/28 20060101ALN20090611BHJP C07F 9/00 20060101ALN20090611BHJP C23C 16/18 20060101ALN20090611BHJP JPC07C29/80C07C29/76C07C31/28C07C31/32H01L21/31 FH01L21/316 XC07F7/04 KC07F7/28 BC07F9/00 ZC23C16/18 C07C 29/80 C07C 29/76 C07C 31/28 C07C 31/32 H01L 21/31 H01L 21/316 C07F 7/04 C07F 7/28 C07F 9/00 C23C 16/18 特開平06−316585(JP,A) 特開平10−053594(JP,A) 特開平10−036299(JP,A) 特開平06−220069(JP,A) 特開平03−246239(JP,A) 特開平10−147545(JP,A) 5 1999335310 19991207 10 20051209 中島 庸子 【0001】【発明の属する技術分野】 本発明は、半導体製造プロセス等の高純度が要求される用途に使用するアルコキシドの精製方法に関し、さらに詳細には、粗アルコキシドに含まれるアルコール、アルコキシドの多量体、水、ハロゲン、ハロゲン化水素、酸素、二酸化炭素等の不純物を除去するアルコキシドの精製方法に関する。【0002】【従来の技術】半導体デバイスの絶縁薄膜においては、ゲート絶縁膜としてSiO膜2、キャパシタ絶縁膜としてSi3N4膜、層間絶縁膜としてPSG(リン・シリコン・ガラス)膜、BPSG(ボロン・リン・シリコン・ガラス)膜がある。従来よりこれらのCVD材料としては、SiH4、NH3、PH3、B2H6等の気体材料が用いられてきた。【0003】しかし、デバイスの三次元化や配線の多層化が進むにつれて、絶縁膜の平坦化に対する要求が高まってきており、ボイド等の欠陥が発生しにくく高品質の薄膜形成が可能な液体のCVD材料であるアルコキシドが使用され始めている。例えば、SiO2膜のCVD材料としてはテトラエトキシケイ素(Si(OC2H5)4)が、BPSG膜のCVD材料としてはトリメトキシホウ素(B(OCH3)3)、トリメトキシリン(P(OCH3)3)等が実用化されている。【0004】また、SiO2の数倍の高い誘電率を示すTa2O5膜、HfO2膜等の新しい種類の薄膜も開発され、Ta2O5膜はキャパシタ絶縁膜として使用され始めている。これらのCVD材料としては、ペンタエトキシタンタル(Ta(OC2H5)5)、テトラ tert-ブトキシハフニウム(Hf(OC(CH3)3)4)が用いられている。上記アルコキシドのような液体のCVD材料は、絶縁膜の高品質化をはかるために、極めて高純度のものが要求される。そのため、アルコキシドは、CVD材料として使用する前に、蒸留によりアルコール、アルコキシドの多量体、水等の不純物を除去している。【0005】【発明が解決しようとする課題】 しかしながら、従来の方法では高純度に蒸留した液体アルコキシドをCVD材料として使用しても、気体材料を使用した場合に比べてボイド等の欠陥の発生は減少するものの、絶縁膜の高品質化は充分になされなかった。高品質の絶縁膜が得られない原因としては、アルコキシドの液中にハロゲン、ハロゲン化水素、酸素、二酸化炭素等の揮発性不純物が存在すると、気化の際の加熱によりアルコキシドの多量体化、変質が起こり、これが気相成長に悪影響を及ぼしていると推測されているが、その対策については明確な方法は報告されていない。従って、本発明が解決しようとする課題は、絶縁膜の高品質化が可能なアルコキシドの精製方法を提供することである。【0006】【課題を解決するための手段】 本発明者らは、これらの課題を解決すべく鋭意検討した結果、アルコキシドの液中に溶存するハロゲン、ハロゲン化水素、酸素、二酸化炭素等の揮発性不純物は蒸留によっても充分に除去できないこと、及びアルコキシドの液中に不活性ガスを通気するとともに超音波振動を与えれば、液中に溶存する微量の揮発性不純物をほぼ完全に除去することができることを見い出し本発明に到達した。【0007】 すなわち本発明は、化学式M(OCmH2m+1)nまたはMO(OCmH2m+1)nで表わされる粗アルコキシドを蒸留した後、該蒸留したアルコキシドの液中に不活性ガスを通気するとともに超音波振動を与えてストリッピングを行なうことを特徴とするアルコキシドの精製方法である。(式中のMは金属、mは1〜4の整数、nは3〜5の整数を表わす)【0008】【発明の実施の形態】本発明は、半導体製造プロセス等の高純度が要求される用途に使用するアルコキシドに適用される。本発明におけるアルコキシドは、アルコール類の水酸基の水素を金属で置換した化合物であり、半導体製造プロセスで絶縁薄膜形成のためのCVD材料等として使用されるものである。それらは、化学式がM(OCmH2m+1)n またはMO(OCmH2m+1)nで表わされる化合物である(式中のMは金属、mは1〜4の整数、nは3〜5の整数を表わす)。具体的には、テトラiso-プロポキシチタン(Ti(OCH(CH3)2)4)、テトラn-プロポキシチタン(Ti(OC3H7)4)、テトラ tert-ブトキシジルコニウム(Zr(OC(CH3)3)4)、テトラn-ブトキシジルコニウム(Zr(OC4H9)4)、テトラ tert-ブトキシハフニウム(Hf(OC(CH3)3)4)、テトラメトキシバナジウム(V(OCH3)4)、トリメトキシバナジルオキシド(VO(OCH3)3)、ペンタエトキシニオブ(Nb(OC2H5)5)、ペンタエトキシタンタル(Ta(OC2H5)5)、トリメトキシホウ素(B(OCH3)3)、トリiso-プロポキシアルミニウム(Al(OCH(CH3)2)3)、テトラエトキシケイ素(Si(OC2H5)4)、テトラエトキシゲルマニウム(Ge(OC2H5)4)、テトラメトキシスズ(Sn(OCH3)4)、トリメトキシリン(P(OCH3)3)、トリメトキシホスフィンオキシド(PO(OCH3)3)、トリエトキシヒ素(As(OC2H5)3)、トリエトキシアンチモン(Sb(OC2H5)3)を例示することができる。【0009】 以下に本発明のアルコキシドの精製方法について詳細に説明する。本発明のアルコキシドの精製方法は、粗アルコキシドを蒸留した後、その液中に不活性ガスを通気するとともに超音波振動を与えながらストリッピングを行なうことを特徴とする。【0010】粗アルコキシドには、アルコール、アルコキシドの多量体、水、ハロゲン、ハロゲン化水素、酸素、二酸化炭素等が不純物として含まれている。例えば、通常、粗アルコキシドには、酸素、ハロゲンまたはハロゲン化水素等がそれぞれ少なくとも数百ppm含まれている。本発明の精製方法における粗アルコキシドの蒸留は、アルコキシドをアルコール類等の低沸点化合物及びアルコキシドの多量体等の高沸点化合物と分離するためのものであり、アルコキシドの分解あるいは変質を生じることがなく効率よく分離し得る方法であればいかなる方法も用いることができる。しかし、加圧蒸留では高温での操作となりアルコキシドの多量体化、分解、変質を生じる恐れがあるため、減圧または常圧で蒸留を行なうことが好ましい。【0011】粗アルコキシドの液中のハロゲン、ハロゲン化水素、酸素、二酸化炭素等の揮発性不純物は、蒸留によって完全に除去することは不可能で、例えば酸素は蒸留後も数百ppm程度アルコキシドに残存する。不純物として酸素を含有するアルコキシドM(OCmH2m+1)n またはMO(OCmH2m+1)nを加熱すると、アルコキシドの多量体である(CmH2m+1O)n−1 MOM(OCmH2m+1)n−1等が生成する(Mは金属を表わす)。該多量体が気化アルコキシドの気相中に不純物として含有すると、半導体製造において薄膜の成長層に欠陥が発生する。【0012】本発明におけるアルコキシドのストリッピングは、このような揮発性不純物をほとんど完全に除去するためのものであり、超音波振動子を装着したストリッピング容器中に、蒸留したアルコキシドを入れ、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスを微細な気泡となるように通気するとともに超音波振動を与えてストリッピングを行なう。該ストリッピングにより、例えば酸素の濃度を0.15ppm以下にすることが可能である。なお、ストリッピングにおいて、超音波の振動を与えない場合は、揮発性不純物を充分に除去することができない。【0013】ストリッピング容器の形状としては、不活性ガスが効果的にアルコキシドと接触するように、液深が深くなるように作ることが好ましく、さらに、不活性ガスの通気により液状のアルコキシドが容器内で効果的に撹拌されるような形状とすることが好ましい。また、不活性ガスが微細な気泡となって分散するように不活性ガスの吹き込みノズル部分は多孔構造とすることが好ましい。ストリッピング容器及び超音波振動子等の付属機器のアルコキシドの接触する部分の材質は上記目的を達成し得るものであれば特に限定されないが、耐食性、及び容器からの脱ガス、あるいは不純物の溶出によるアルコキシドの純度低下を防ぐために通常は、タンタル、チタン、電解研磨済SUS316、電解研磨済SUS316L等の耐食性金属等が好ましい。【0014】ストリッピングは、通常、室温〜80℃、好ましくは40℃〜50℃程度で10分間〜10時間行われる。超音波振動は周波数が30〜200kHz、出力がアルコキシド1L当たり0.05〜100wであることが好ましく、50〜60kHz、アルコキシド1L当たり0.5〜10wであることが特に好ましい。ストリッピングのために導入される不活性ガスとしては不活性ガス自体からの不純物混入を防ぐために高純度に精製されたガスが用いられる。不活性ガスの通気量は特に限定はないが、ストリッピング効果が得られる通気量であるとともにアルコキシドの液面が突沸したり、激しく飛沫を生じることのない程度が好ましく、ストリッピング容器の大きさ形状、アルコキシドの液深等に応じて適宜設定される。通常は、液深方向に垂直な面の単位面積当たり0.05〜5.0cc/sec.cm2であることが好ましい。【0015】また、ストリッピング容器の上部には、ストリッピング中不活性ガスに同伴されるアルコキシドの捕集をはかるために、アルコキシドの蒸気圧及び融点に応じて冷却された還流冷却器を取り付けることが好ましい。このようにストリッピングを行なうことにより、蒸留の際、アルコキシドと分離された低沸点化合物の一部がアルコキシドの凝縮液化の際に再度アルコキシドに溶解し、そのままアルコキシド中に残存していたような不純物を効果的に除去することができる。【0016】このようにして得られた本発明の精製アルコキシド中の不純物の濃度は、酸素が0.15ppm以下、好ましくは0.05ppm以下、ハロゲンまたはハロゲン化水素が0.1ppm以下、好ましくは0.05ppm以下、アルコール類が10ppm以下、好ましくは1ppm以下、アルコキシドの多量体が100ppm以下、好ましくは10ppm以下、水が10ppm以下、好ましくは1ppm以下、二酸化炭素が0.1ppm以下、好ましくは0.05ppm以下である。【0017】以上のようなアルコキシドの蒸留及びストリッピングを行なうために、例えば図1のような構成の精製装置を使用することができる。アルコキシドの精製装置は、主に蒸留缶1、蒸留塔3、冷却器4、中間槽6、ヒーター8により構成され、アルコキシドのストリッピング装置は、主にストリッピング容器10、超音波振動子12、精製不活性ガス吹き込み管13、還流冷却器16、精製アルコキシド貯槽18により構成される。尚、圧送用ガス供給管9は、蒸留されたアルコキシドを中間槽6からストリッピング容器10へ送液するため、及びストリッピングを終了したアルコキシドをストリッピング容器10から精製アルコキシド貯槽18へ送液するために設けられたものである。【0018】 本発明による精製アルコキシドを半導体製造装置に気化供給する方法については特に限定はないが、本発明による精製アルコキシドを変質させることなく供給することが好ましい。このような気化供給装置としては、例えば図2に示すような液体流量制御部20、逆止弁21、キャリヤガス供給ライン25、及び超音波振動子22を内蔵する気化器26とから成る装置を例示することができる。【0019】【実施例】次に、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明がこれらにより限定されるものではない。(実施例1)アルコキシドの精製装置として図1に示すものを製作した。蒸留装置は200mm長のウイットマー式蒸留塔の付いた石英製の常圧蒸留器を用いた。また、ストリッピング容器は60kHz、1wの超音波を発する超音波振動子を備え、外周部に加熱ジャケットを有し、加熱保温できるようにした電解研磨済のSUS316L製、内容積1リットルのものを用いた。ストリッピング容器の内部には精製不活性ガスを吹き込む不活性ガス吹き込み管が底部まで挿入されており、ストリッピング容器の上部には不活性ガスに同伴するアルコキシドを冷却液化、還流させるための還流冷却器が設けられ、還流冷却器から排出ガス用の配管が設けられている。また、精製アルコキシド貯槽はSUS316L電解研磨製、内容積1リットルのものである。【0020】次に、市販のペンタエトキシタンタルを入手し、イオンクロマトグラフによる分析を行なった結果、塩素または塩化水素を約1000ppm含んでいた。また、四重極質量分析計による分析を行なった結果、酸素は約950ppm含まれていた。また、ICP質量分析計による分析では、珪素、アルミニウム、ホウ素、カルシウ ム、コバルト、鉄、クロム、ニッケル、カリウム、ナトリウム、亜鉛、マグネシウム、マンガンの合計の含有量は1ppm以下であった。【0021】この市販のペンタエトキシタンタルを常圧で蒸留した。蒸留した後のペンタエトキシタンタルに溶存する塩素または塩化水素の濃度は約500ppm、酸素の濃度は約800ppmであった。次に蒸留されたペンタエトキシタンタルを精製アルゴンガスの圧力により中間槽からストリッピング容器中に0.5リットル導入した。ストリッピング容器中のペンタエトキシタンタルを50℃に加熱し、超音波の発振を開始するとともに、不活性ガス吹き込み管より、精製アルゴンガスを500cc/minの流量でペンタエトキシタンタルの液中を通気させた。また、還流塔には、冷媒として水を流し、還流塔部温度が25℃となるように制御した。【0022】このようにして、ストリッピングを4時間行なった後、ストリッピング容器を放冷し、精製アルゴンガスの圧力によりペンタエトキシタンタルを精製アルコキシド貯槽に移送し、精製ペンタエトキシタンタルを得た。この精製ペンタエトキシタンタルを光電離検出器付きガスクロマトグラフにより分析を行なった結果、精製ペンタエトキシタンタル中の塩素または塩化水素は1.0ppmに低減されていた。また、酸素は70ppbに低減されていた。また、ICP質量分析計による分析では、珪素、アルミニウム、ホウ素、カルシウ ム、コバルト、鉄、クロム、ニッケル、カリウム、ナトリウム、亜鉛、マグネシウム、 マンガンの合計の含有量は、蒸留前の1/10以下に低減されていた。【0023】(実施例2)市販のテトラエトキシケイ素を入手し、イオンクロマトグラフによる分析を行なった結果、塩素または塩化水素を約800ppm含んでいた。また、四重極質量分析計による分析を行なった結果、酸素は約1200ppm含まれていた。このテトラエトキシケイ素を実施例1と同様にして、図1に示すアルコキシドの精製装置を用いて精製した。その結果、蒸留した後のテトラエトキシケイ素に溶存する塩素または塩化水素の濃度は約400ppm、酸素の濃度は約900ppmであった。また、精製アルゴンガスを通気させるとともに超音波振動を与えてストリッピングを行なった後のテトラエトキシケイ素中の塩素または塩化水素の濃度は1.0ppmに、酸素の濃度は120ppbに低減されていた。【0024】(実施例3)市販のテトラiso-プロポキシチタンを入手し、イオンクロマトグラフによる分析を行なった結果、塩素または塩化水素を約700ppm含んでいた。また、四重極質量分析計による分析を行なった結果、酸素は約1100ppm含まれていた。このテトラiso-プロポキシチタンを実施例1と同様にして、図1に示すアルコキシドの精製装置を用いて精製した。その結果、蒸留した後のテトラiso-プロポキシチタンに溶存する塩素または塩化水素の濃度は約650ppm、酸素の濃度は約1050ppmであった。また、精製アルゴンガスを通気させるとともに超音波振動を与えてストリッピングを行なった後のテトラiso-プロポキシチタン中の塩素または塩化水素の濃度は0.8ppmに、酸素の濃度は150ppbに低減されていた。(実施例4)【0025】アルコキシドの気化供給装置として図4に示すものを製作した。液体流量制御部は、2連式ベローズポンプであり、吐出側に5kgf/cm2で作動する逆止弁が用いられている。気化器は外径57mmの球形で、中心部に超音波振動子があり、その下に水平方向に厚さ0.5mm、10mm間隔で直径3mmの孔をもつ多孔板が設置されている。また、キャリアーガスがマスフローコントローラー、加熱器を経由して気化器の上部に入るようにキャリアーガス導入口が取り付けられている。気化器は形状に合わせたブロックヒーターで覆われている。【0026】このような装置で実施例1で得られた精製ペンタエトキシタンタルを用いて、以下のようにして窒化チタン膜で被覆された基盤上に酸化タンタル膜を形成した。気化器及び気化器からCVD装置間を1torrに保持し、120℃に加熱したアルゴンキャリアーガスを100ml/minの流量でキャリヤーガス導入口から供給した。次に精製アルコキシド貯槽中のペンタエトキシタンタルを精製アルゴンガスの圧力にて液体流量制御部まで送液し、0.1cc/minの流量で気化器に供給するとともに超音波振動を与えて、ペンタエトキシタンタルの霧化、気化を行なった。また、気化器とCVD装置との間で、高純度の酸素ガスを600ml/min、希釈ガスとしてアルゴンガスを300ml/min添加した。【0027】予め、窒化チタン膜で被覆された基盤がセットされ、600℃に加熱されていたCVD装置に、上記のようにペンタエトキシタンタルの気化ガスと酸素ガスを含むガスを供給し、窒化チタン膜で被覆された基盤の上に酸化タンタル膜を堆積させた。その後、膜厚の測定により1000〜2000Åの酸化タンタルの析出が確認された。得られた酸化タンタル薄膜をオージエ分光により測定した結果、遊離Cl2の濃度は1.0ppm以下であった。【0028】(実施例5)実施例4で使用した気化供給装置と同様の気化供給装置で、実施例2で得られた精製テトラエトキシケイ素を用いて、以下のようにしてシリコン基盤上に酸化ケイ素膜を形成した。気化器及び気化器からCVD装置間を760torrに保持し、170℃に加熱したアルゴンキャリアーガスを5000ml/minの流量でキャリヤーガス導入口から供給した。次に精製アルコキシド貯槽中のテトラエトキシケイ素を精製アルゴンガスの圧力にて液体流量制御部まで送液し、1.0cc/minの流量で気化器に供給するとともに超音波振動を与えて、テトラエトキシケイ素の霧化、気化を行なった。また、気化器とCVD装置との間で、高純度の酸素ガスを8000ml/min、希釈ガスとしてアルゴンガスを42000ml/min添加した。【0029】予め、シリコン基盤を550℃に加熱したCVD装置に、上記のようにテトラエトキシケイ素の気化ガスと酸素ガスを含むガスを供給し、シリコン基盤上に酸化ケイ素膜を堆積させた。その後、膜厚の測定により1000〜2000Åの酸化ケイ素の析出が確認された。得られた酸化ケイ素薄膜をオージエ分光により測定した結果、遊離Cl2の濃度は1.0ppm以下であった。【0030】(実施例6)実施例4で使用した気化供給装置と同様の気化供給装置で、実施例3で得られた精製テトラiso-プロポキシチタンを用いて、以下のようにしてシリコン基盤上に酸化ケイ素膜を形成した。気化器及び気化器からCVD装置間を760torrに保持し、160℃に加熱したアルゴンキャリアーガスを5000ml/minの流量でキャリヤーガス導入口から供給した。次に精製アルコキシド貯槽中のテトラiso-プロポキシチタンを精製アルゴンガスの圧力にて液体流量制御部まで送液し、0.5cc/minの流量で気化器に供給するとともに超音波振動を与えて、テトラiso-プロポキシチタンの霧化、気化を行なった。また、気化器とCVD装置との間で、高純度の酸素ガスを400ml/min、希釈ガスとしてアルゴンガスを35000ml/min添加した。【0031】予め、シリコン基盤を680℃に加熱したCVD装置に、上記のようにテトラiso-プロポキシチタンの気化ガスと酸素ガスを含むガスを供給し、シリコン基盤上に酸化チタン膜を堆積させた。その後、膜厚の測定により500〜1000Åの酸化チタンの析出が確認された。得られた酸化チタン薄膜をオージエ分光により測定した結果、遊離Cl2の濃度は1.0ppm以下であった。【0032】(比較例1)ストリッピングにおいて超音波の振動を与えないほかは、実施例1と同様にして、市販のペンタエトキシタンタルを精製した。得られたペンタエトキシタンタルに溶存する塩素または塩化水素の濃度は約470ppm、酸素の濃度は約900ppmであった。また、ICP質量分析計による分析では、珪素、アルミニウム、ホウ素、カルシウム、コバルト、鉄、クロム、ニッケル、カリウム、ナトリウム、亜鉛、マグネシウム、マンガンの濃度は蒸留前の濃度の1/10以下に低減されていた。【0033】(比較例2)ストリッピングにおいて超音波の振動を与えないほかは、実施例2と同様にして、市販のテトラエトキシケイ素を精製した。得られたテトラエトキシケイ素に溶存する塩素または塩化水素の濃度は約310ppm、酸素の濃度は約850ppmであった。【0034】(比較例3)ストリッピングにおいて超音波の振動を与えないほかは、実施例3と同様にして、市販のテトラiso-プロポキシチタンを精製した。得られたテトラiso-プロポキシチタンに溶存する塩素または塩化水素の濃度は約280ppm、酸素の濃度は約500ppmであった。【0035】(比較例4)比較例1で得られた精製ペンタエトキシタンタルを用いて、実施例4と同様にして、窒化チタン膜で被覆された基盤の表面に酸化タンタルの薄膜を堆積させた。得られた薄膜の膜厚の測定により1000〜2000Åの酸化タンタルの析出が確認された。また、薄膜をオージエ分光により測定した結果、遊離Cl2の濃度は約500ppmであった。【0036】(比較例5)比較例2で得られた精製テトラエトキシケイ素を用いて、実施例5と同様にして、シリコン基盤の表面に酸化ケイ素の薄膜を堆積させた。得られた薄膜の膜厚の測定により1000〜2000Åの酸化ケイ素の析出が確認された。また、薄膜をオージエ分光により測定した結果、遊離Cl2の濃度は約300ppmであった。【0037】(比較例6)比較例3で得られた精製テトラiso-プロポキシチタンを用いて、実施例6と同様にして、窒化チタン膜で被覆された基盤の表面に酸化チタンの薄膜を堆積させた。得られた薄膜の膜厚の測定により500〜1000Åの酸化チタンの析出が確認された。また、薄膜をオージエ分光により測定した結果、遊離Cl2の濃度は約300ppmであった。【0038】【発明の効果】 本発明のアルコキシドの精製方法により、従来の蒸留精製では除去することができなかったアルコキシドの多量体化あるいは変質の原因となっているハロゲン、ハロゲン化水素、酸素、二酸化炭素等の揮発性不純物を、極めて低濃度まで除去することが可能となった。【図面の簡単な説明】【図1】 本発明のアルコキシドの精製方法を実施するための装置の例を示す構成図【図2】 本発明の精製アルコキシドの気化供給を行なうための装置の例を示す構成図【符号の説明】1 蒸留缶2 粗アルコキシド3 蒸留塔4 冷却器5 バルブ6 中間槽7 蒸留されたアルコキシド8 ヒーター9 圧送用ガス供給管10 ストリッピング容器11 蒸留されたアルコキシド12 超音波振動子13 精製不活性ガス吹き込み管14 精製不活性ガス供給管15 排ガスライン16 還流冷却器17 ヒーター18 精製アルコキシド貯槽19 精製アルコキシド20 液体流量制御部21 逆止弁22 超音波振動子23 ガス加熱器24 ガス流量制御器25 キャリヤーガス供給ライン26 気化器27 CVD装置28 ブロックヒーター 化学式M(OCmH2m+1)nまたはMO(OCmH2m+1)nで表わされる粗アルコキシドを蒸留した後、該蒸留したアルコキシドの液中に不活性ガスを通気するとともに超音波振動を与えてストリッピングを行なうことを特徴とするアルコキシドの精製方法。(式中のMは金属、mは1〜4の整数、nは3〜5の整数を表わす) 不活性ガスの微細気泡によりアルコキシド液が攪拌されるように不活性ガスを通気する請求項1に記載のアルコキシドの精製方法。 不活性ガスの通気量が、アルコキシド液の液深方向に垂直な面の単位面積当たり0.05〜5.0cc/sec.cm2である請求項2に記載のアルコキシドの精製方法。 超音波の振動数が30〜200kHzであり、超音波出力がアルコキシド1L当たり0.05〜100wである請求項1に記載のアルコキシドの精製方法。 アルコキシドが、テトラiso-プロポキシチタン、テトラn-プロポキシチタン、テトラtert-ブトキシジルコニウム、テトラn-ブトキシジルコニウム、テトラ tert-ブトキシハフニウム、テトラメトキシバナジウム、トリメトキシバナジルオキシド、ペンタエトキシニオブ、ペンタエトキシタンタル、トリメトキシホウ素、トリiso-プロポキシアルミニウム、テトラエトキシケイ素、テトラエトキシゲルマニウム、テトラメトキシスズ、トリメトキシリン、トリメトキシホスフィンオキシド、トリエトキシヒ素またはトリエトキシアンチモンである請求項1に記載のアルコキシドの精製方法。