タイトル: | 特許公報(B2)_パーハロゲン化シクロペンタンの製造方法 |
出願番号: | 1999053127 |
年次: | 2006 |
IPC分類: | C07C 17/354,B01J 23/60,B01J 23/644,B01J 23/652,B01J 23/89,C07C 17/20,C07C 23/08,C07B 61/00 |
佐久 冬彦 高田 直門 古俣 武夫 金 伊男 山田 俊郎 杉本 達也 JP 3794859 特許公報(B2) 20060421 1999053127 19990301 パーハロゲン化シクロペンタンの製造方法 セントラル硝子株式会社 000002200 日本ゼオン株式会社 000229117 西 義之 100108671 佐久 冬彦 高田 直門 古俣 武夫 金 伊男 山田 俊郎 杉本 達也 20060712 C07C 17/354 20060101AFI20060622BHJP B01J 23/60 20060101ALI20060622BHJP B01J 23/644 20060101ALI20060622BHJP B01J 23/652 20060101ALI20060622BHJP B01J 23/89 20060101ALI20060622BHJP C07C 17/20 20060101ALI20060622BHJP C07C 23/08 20060101ALI20060622BHJP C07B 61/00 20060101ALN20060622BHJP JPC07C17/354B01J23/60 XB01J23/64 101XB01J23/64 103XB01J23/89 XC07C17/20C07C23/08C07B61/00 300 C07C 17/354 C07C 17/20 C07C 23/08 CAplus(STN) CASREACT(STN) REGISTRY(STN) 特開平01−287044(JP,A) 国際公開第99/033771(WO,A1) 特開平06−087771(JP,A) 米国特許第3567788(US,A) 特開平08−012603(JP,A) 3 2000247912 20000912 11 20020517 松本 直子 【0001】【発明の属する技術分野】 本発明は、冷媒、発泡剤、溶剤として有用な化合物である1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタンの製造方法に関するものである。【0002】【従来の技術】 1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタンを得る方法としては、オクタフルオロシクロペンテンを0.1%パラジウム担持アルミナを触媒として175〜200℃で水素により水素化することで1,2−ジヒドロオクタフルオロシクロペンタンと共に少量成分として得る方法が英国特許第1046095号明細書に記載されている。【0003】【本発明が解決しようとする課題】 本発明の目的は、新規な1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタンの製造方法を提供することにあり、とりわけ、高収率、特に高選択率で1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタンを製造する方法を提供することにある。【0004】【課題を解決するための手段】 発明者らは、上記課題を解決すべく検討を重ねた結果、1−クロロヘプタフルオロシクロペンテンを特定の触媒の存在下に水素で還元することで炭素−炭素二重結合の水素化と炭素−塩素結合の水素化分解反応を同時に起こすことができ、目的とする1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタンを収率並びに選択率よく得ることができることを見いだし、本発明を完成するに至った。【0005】また、この反応の原料化合物を製造する前工程を含めた一連の反応工程の構築についても検討し、工業的に有利な製造プロセスを開発することに成功して、本発明を完成するに至った。【0006】 すなわち、本発明は1−クロロヘプタフルオロシクロペンテンを水素化触媒の存在下水素により還元して1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタンを製造する方法であって、該水素化触媒がパラジウムに、ビスマス、銅、亜鉛、およびモリブデンから成る群から選ばれる少なくとも1種の金属を添加してなる水素化触媒である、1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタンの製造方法である。【0007】また、本発明は1−クロロヘプタフルオロシクロペンテンを水素化触媒の存在下水素により還元して1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタンを製造する上記の方法であって、1−クロロヘプタフルオロシクロペンテンが下記の前工程により製造されたものであることを特徴とする、1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタンの製造方法である。【0008】前工程:1,2−ジクロロヘキサフルオロシクロペンテンをアルカリ金属フッ化物でフッ素化して1−クロロヘプタフルオロシクロペンテンに転化させる工程。【0009】 以下、本発明について詳細に説明する。【0010】本発明における水素化触媒は、パラジウムに、ビスマス、銅、亜鉛、およびモリブデンから成る群から選ばれる少なくとも1種の金属を添加してなる水素化触媒である。一般的に合金触媒においては、合金組成に応じてその成分元素の特性が出現するといわれており、添加金属成分の量はパラジウム100重量部に対して0.01〜500重量部、特には0.1〜300重量部がパラジウムの特性を活かす意味で好適である。【0011】 上記の水素化触媒は、硝酸パラジウムや塩化パラジウム塩等のパラジウム塩の水溶液と、添加金属の塩の水溶液を所望の割合、濃度で混合し、担体をその水溶液に含浸させた後に乾燥させ、さらに100℃以上600℃以下の高温で処理することにより調製できる。このとき、必要により水素等の還元性物質を供給しながら行うこともできる。【0012】 合金の各種担体への担持濃度としては0.05〜10%と幅広いものが使用可能であるが、通常0.5〜5%担持品が推奨される。本発明において合金触媒の担体としては、例えば、活性炭、アルミナ、ジルコニア、チタニア等が好適である。担体の形状は粉末でも粒状物であってもよい。また担体の粒径は、ほとんど反応に影響を及ぼさないが、好ましくは、0.1〜100mmが好適である。【0013】1−クロロヘプタフルオロシクロペンテンの還元反応において、水素と原料の割合は大幅に変動させ得る。しかしながら、通常少なくとも化学量論量の水素を使用して炭素−炭素二重結合の水素化と炭素−塩素結合の水素化分解をする。出発物質の1モルに対して、化学量論量よりかなり多い量、例えば3モルまたはそれ以上の水素を使用し得る。反応圧力については常圧または常圧以上の圧力が使用し得る。【0014】水素化反応の方式としては、液相反応または気相反応が可能である。液相反応では溶媒を用いることができる。気相反応では希釈剤を必要により用いることができる。【0015】液相反応で使用する溶剤は、特に制限がなく、脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類、ハイドロフルオロカーボン類、アルコール類、エーテル類、ケトン類、エステル類、水などが挙げられる。【0016】脂肪族炭化水素類は、その炭素数が通常4〜15であればよく、具体例としては、n−ブタン、n−ペンタン、n−ヘキサン、シクロペンタン、シクロヘキサンなどが挙げられる。芳香族炭化水素の具体例としては、ベンゼン、トルエン、トリフルオロメチルベンゼンなどが挙げられる。ハイドロフルオロカーボンの具体例としては、ペンタフルオロエタン、ペンタフルオロプロパン、ヘキサフルオロブタン、デカフルオロペンタンなどが挙げられる。【0017】アルコール類は、その炭素数が通常1〜10であればよく、好ましくは1〜6である。アルコール類の具体例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、シクロペンタノールなどが挙げられる。エーテル類はその炭素数が通常4〜10であればよく、好ましくは4〜6である、エーテル類の具体例としては、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテルなどが挙げられる。【0018】ケトン類はその炭素数が通常3〜10であればよく、好ましくは4〜8である。ケトン類の具体例としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルブチルケトン、シクロペンタノンなどが挙げられる。エステル類はその炭素数が通常4〜10であればよく、好ましくは4〜8である。エステル類の具体例としては、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸プロピル、プロピオン酸メチル、酪酸メチル、吉草酸メチルなどが挙げられる。【0019】これらの溶剤は単独で使用してもよく、2種以上組合せて使用してもよい。溶剤の使用量は、特に制限がなく、原料化合物100重量部に対して、通常、0〜500重量部、好ましくは0〜200重量部である。【0020】気相反応の際に使用する希釈剤としては、本水素化反応に不活性なガスであればよく、例えば、窒素ガス、希ガス、炭化水素ガス、ハイドロフルオロカーボンガスなどが挙げられる。希ガスの具体例としては、アルゴンガスやヘリウムガスなど;炭化水素ガスの具体例としては、メタンガス、エタンガス、プロパンガス、ブタンガスなど;ハイドロフルオロカーボンガスの具体例としては、ペンタフルオロエタン、ペンタフルオロプロパン、ヘキサフルオロブタン、デカフルオロペンタンなどが挙げられる。【0021】これらの希釈剤は単独で使用してもよく、または2種以上組合せて使用してもよい。希釈剤の使用量は特に制限はなく、例えば原料化合物100重量部に対して、通常、0〜500重量部、好ましくは0〜200重量部である。【0022】 本水素化反応の反応温度は0〜450℃、好ましくは50〜300℃である。接触時間は、反応を気相流通法で行う場合には通常0.1〜300秒、特には1〜100秒である。気相回分法(バッチ法)で行う場合は、通常、0.1〜10時間、好ましくは0.2〜5時間である。液相で反応を行う場合には、反応時間は通常0.1〜50時間、好ましくは0.5〜25時間である。【0023】本発明の水素化反応は回分(バッチ)反応、または原料を連続的に反応器へ供給し、反応生成物を連続的に反応器から抜出す連続(流通)反応が採用される。使用する反応器は回分反応の場合圧力容器であり、連続反応では直列に連結した1個またはそれ以上の反応器、例えばカスケード式反応器を使用することができる。反応容器の材料としては、例えばステンレススチールなどが適している。【0024】本反応では塩化水素ガスなどの酸性成分が副生成物として発生する。この酸性成分は必要に応じて、反応中または反応後に吸収または中和して除去するのが好ましい。反応終了後は、蒸留などの通常の精製方法によって目的物を単離することができる。【0025】次に本発明の1−クロロヘプタフルオロシクロペンテンの製造方法(前工程)について説明する。【0026】本化合物の製造方法は、1,2−ジクロロヘキサフルオロシクロペンテンを反応溶媒中においてアルカリ金属フッ化物でフッ素化することからなる。原料である1,2−ジクロロヘキサフルオロシクロペンテンは、工業的に通常用いられる方法で製造されるが、オクタクロロシクロペンテンのジクロロメチレン基の塩素原子が適宜フッ素原子で置換したシクロペンテン類、例えば、トリクロロペンタフルオロシクロペンテン、テトラクロロテトラフルオロシクロペンテン、ペンタクロロトリフルオロシクロペンテン、ヘキサクロロジフルオロシクロペンテン、ヘプタクロロモノフルオロシクロペンテンなどを含有していてもよい。【0027】 本発明で用いるアルカリ金属フッ化物は、特に限定されないが、例えばフッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化セシウム、フッ化ルビジウムなどが挙げられる。好ましくはフッ化カリウム、フッ化セシウムである。アルカリ金属フッ化物の使用量は、通常、原料である1,2−ジクロヘキサフルオロシクロペンテン1モルに対して1モル程度用いるのが好ましい。1モルよりも著しく少ない場合には反応が十分に進まないので好ましくない。一方、1モルよりもかなり多くするとオクタフルオロシクロペンテンの生成量が増加するので好ましくない。しかしながら、オクタフルオロシクロペンテンも本発明の方法で水素化することで目的とする1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタンが得られるので、オクタフルオロシクロペンテンの副生は大きな問題にはならない。【0028】 本反応の反応溶媒は、通常、非プロトン性極性溶媒が用いられる。かかる非プロトン性極性溶媒の具体例としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどの酸アミド類、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシドなどのスルホキシド類などを挙げることができる。これらの溶媒は単独で使用しても、2種以上組合せて使用してもよい。また、必要に応じて上記の酸アミド類、スルホキシド類などと相溶性のあるベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレンなどの芳香族炭化水素類を添加することができる。溶媒の使用量は特に限定されないが、原料100重量部に対して、通常、0〜1000重量部である。反応温度は、通常200℃以下、好ましくは60〜180℃、さらに好ましくは80〜150℃の範囲である。反応時間は使用するアルカリ金属フッ化物の種類により適宜選択されるが、通常は24時間以内である。【0029】本発明のフッ素化反応では、フッ化カリウムなどのアルカリ金属化合物を使用するので、塩化カリウムなどのアルカリ金属塩化物が反応副生成物として生じる。この副生成物は、必要に応じて濾過や水洗浄により除去することができる。【0030】反応終了後、粗生成物を蒸留等の通常の精製をするか、またはそのまま乾燥させることにより1−クロロヘプタフルオロシクロペンテンを得ることができる。【0031】【実施例】 次に実施例をもって本発明を説明するが、実施態様はこれに限られない。有機物の分析はガスクロマトグラフにより行い、組成は面積%で示す。【0032】 [調製例1]水素化触媒(A)500mlナス型フラスコに活性炭(武田薬品工業(株)製粒状白鷺G2X−4/6)を100g秤取り、そこに約20%硝酸水溶液を約150ml添加して、約3時間静置し、活性炭の硝酸処理を行った。別に、300mlビーカーで硝酸ビスマス(III)五水和物Bi(NO3 )3 5H2 Oを2.321gと約30%硝酸水溶液200mlを混合し、湯浴中で完全に溶解した。また、別に塩化パラジウム(II)PdCl2 8.335gを24%塩酸50gに溶解し、PdCl2 塩酸溶液を調製した。調製された硝酸ビスマス水溶液と塩化パラジウム溶液を混合した後、混合溶液を活性炭の入った上記フラスコに注入し2日間静定した。【0033】 2日間静定した金属含浸活性炭をエバポレーターにてバス温を150℃まで上げて減圧乾燥した。次いで、乾燥された金属含浸活性炭を反応管(25mmφ×400mm容量約200ml)に充填し、窒素を200〜300ml/minの流量で流しながら、150℃から300℃まで50℃刻みに昇温して焼成した。300℃で1時間焼成し、設定温度を150℃に下げ窒素を100ml/min、水素を300ml/minの流量で流しながら300℃まで30℃刻みに再び昇温して還元を行い、水素化触媒を調製した。パラジウムとビスマスはそれぞれ活性炭重量の5%、1%である。これを水素化触媒Aとする。【0034】[調製例2、3]水素化触媒(B)〜(C)調製例1と同様にしてパラジウムとビスマスがそれぞれ活性炭重量の5%、3%(水素化触媒B)、パラジウムとビスマスがそれぞれ活性炭重量の2.5%、1%(水素化触媒C)を調製した。【0035】[調製例4]水素化触媒(D) 活性炭としてモレキュラーシビングカーボン(武田薬品工業製、モルシーボン5A)を使用して調製例1と同様にパラジウムとビスマスがそれぞれ活性炭重量の5%、1%である水素化触媒(D)を調製した。【0036】 [実施例1]気相流通式の水素化反応水素化触媒Aを120ml充填したSUS304製反応管(25mmφ×400mm容量約200ml)に、窒素100ml/min、水素340ml/minを導入しながら反応管温度を85℃に設定して昇温を始めた。設定温度に達した反応管に、反応管上部に横型に設置した110℃に設定した有機物気化器(18mmφ×300mm)でガス化させた原料有機物1−クロロヘプタフルオロシクロペンテンを0.2g/minの流量で導入した。反応管の内温は95℃であった。反応生成ガスは、ガスクロマトグラフィーによって分析したところ、1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタンが92.0%(面積%、以下同じ)、1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロシクロペンタンが0.5%であった。結果を表1に示した。【0037】【表1】【0038】 [実施例2〜8]気相流通式の水素化反応水素化触媒A、B、C、Dを用いて表1に示す条件(温度は内温で示す)で実施例1と同一の反応、分析を行い結果を表1に示した。【0039】[実施例9]フッ素化反応1,2−ジクロロヘキサフルオロシクロペンテン(254g、1.04モル)、フッ化カリウム(66g、1.14モル)およびN,N−ジメチルホルムアミド150mlを上部に蒸留塔を装備した500mlのガラス製フラスコに入れ、攪拌下に内温で110℃に加熱した。加熱開始後0.5時間経過後より生成物の流出が始まった。生成物は蒸留塔の塔頂より、還流比10:1で抜出しを開始し、氷水およびドライアイスアセトン浴に浸した受器に捕集した。生成物の抜き出しを継続しながら徐々に加熱温度を上げ、蒸留塔の塔頂温度がN,N−ジメチルホルムアミドの沸点に達したところで停止した。得られた粗生成物の収量は225gであった。ガスクロマトグラフィーにて分析した結果、1−クロロ−2,3,3,4,4,5,5−ヘプタフルオロシクロペンテンが98.8%、1,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロシクロペンテンが1.2%含まれていた。次いで、粗生成物を理論段数8段の精留塔で蒸留し、沸点が56℃/760mmHg(1.013×105Pa)の留分を捕集した結果、純度が99.9%の1−クロロ−2,3,3,4,4,5,5−ヘプタフルオロシクロペンテンが197g得られた(収率89%)。【0040】[調製例5]水素化触媒(E−1) 一晩純水に含浸したアルミナ20gに、塩化パラジウム1.5g(パラジウム含有量0.9g)の酸性溶液と酸化銅0.125g(銅含有量0.1g)を含有する金属塩水溶液を加え、一晩含浸した。水を減圧留去したのち、真空下にて200℃で5時間乾燥した。続いて350℃で5時間水素還元し、さらに窒素気流下350℃で2時間乾燥して水素化触媒(E)を調製した。パラジウムと銅はそれぞれアルミナ重量の4.5%、0.5%である。【0041】[調製例6]水素化触媒(E−2)調製例5のアルミナを活性炭に変えた以外は、調製例5と同様に行い、水素化触媒(E−2)を調製した。パラジウムと銅はそれぞれ活性炭重量の4.5%、0.5%である。【0042】[調製例7]水素化触媒(F)調製例5の酸化銅を塩化亜鉛0.208g(亜鉛含有量0.1g)に変えた以外は、調製例5と同様に行い、水素化触媒(F)を調製した。パラジウムと亜鉛はそれぞれアルミナ重量の4.5%、0.5%である。【0043】[調製例8]水素化触媒(G)調製例5の酸化銅をモリブデン酸カリウム0.248g(モリブデン含有量0.1g)に変えた以外は、調製例5と同様に行い、水素化触媒(G)を調製した。パラジウムとモリブデンはそれぞれアルミナ重量の4.5%、0.5%である。【0044】[調製例9]水素化触媒(H−1)調製例5の酸化銅を硝酸ビスマス・五水和物0.232g(ビスマス含有量0.1g)に変えた以外は、調整例5と同様に行い、水素化触媒(H−1)を調製した。パラジウムとビスマスはそれぞれアルミナ重量の4.5%、0.5%である。【0045】[調製例10]水素化触媒(H−2)調製例5のアルミナを活性炭に変え、酸化銅を硝酸ビスマス・五水和物0.232g(ビスマス含有量0.1g)に変えた以外は、調製例5と同様に行い、水素化触媒(H−2)を調製した。パラジウムとビスマスはそれぞれ活性炭重量の4.5%、0.5%である。【0046】[調製例11]水素化触媒(H−3)調製例10の塩化パラジウムを硫酸パラジウム1.03g(パラジウム含有量0.54g)に変え、硝酸ビスマス・五水和物の量を0.125g(ビスマス含有量0.06g)に変えた以外は、調製例10と同様に行い、水素化触媒(H−3)を調製した。パラジウムとビスマスはそれぞれ活性炭重量の2.7%、0.3%である。【0047】[実施例10〜16] 気相バッチ式の水素化反応内容積150mlのステンレス製オートクレーブに調製例5〜11で得た水素化触媒(E−1)〜(H−3)0.5gと実施例9で得た1−クロロ−2,3,3,4,4,5,5−ヘプタフルオロシクロペンテンを所定量(1.0〜1.5g)加えた。これに水素(6.5kg/cm2)(6.37×105Pa)を導入した。オートクレーブを150℃の油浴中に頚部まで浸して一定時間(1〜2h)加熱した。なお、この反応条件では原料および生成物(中間体および副生成物を含む)は気体状態となり、自然拡散によりオートクレーブ内底部の触媒上で反応が進行する。【0048】反応終了後、オートクレーブを室温まで冷却し、生成物を減圧下に取り出した。副生する塩化水素を除去するために水で数回洗浄した。油層を分離しガスクロマトグラフィーで分析した。各実施例の反応条件と生成物の分析結果を表2に示す。【0049】【表2】【0050】【発明の効果】 本発明の方法は、1−クロロヘプタフルオロシクロペンテンから極めて高い選択率で1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタンを製造できるという効果を奏する。 1−クロロヘプタフルオロシクロペンテンを水素化触媒の存在下水素により還元して1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタンを製造する方法であって、該水素化触媒がパラジウムに、ビスマス、銅、亜鉛、およびモリブデンから成る群から選ばれる少なくとも1種の金属を添加してなる水素化触媒である、1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタンの製造方法。 水素化触媒が金属成分を担体に担持した担持触媒である請求項1に記載の1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタンの製造方法。 請求項1または2に記載の1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタンの製造方法において、1−クロロヘプタフルオロシクロペンテンが、1,2−ジクロロヘキサフルオロシクロペンテンをアルカリ金属フッ化物でフッ素化して1−クロロヘプタフルオロシクロペンテンに転化させる工程により得られたものである、1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタンの製造方法。