生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_ベタインエステル含有混合物の製法
出願番号:1999047642
年次:2009
IPC分類:C07C 227/12,C07C 229/12


特許情報キャッシュ

寺▲崎▼ 博幸 藤生 明 福原 和久 北原 善久 JP 4219466 特許公報(B2) 20081121 1999047642 19990225 ベタインエステル含有混合物の製法 花王株式会社 000000918 古谷 聡 100087642 古谷 馨 100063897 溝部 孝彦 100076680 持田 信二 100091845 寺▲崎▼ 博幸 藤生 明 福原 和久 北原 善久 20090204 C07C 227/12 20060101AFI20090115BHJP C07C 229/12 20060101ALI20090115BHJP JPC07C227/12C07C229/12 C07C 227/12 CA(STN) REGISTRY(STN) 特開平09−295960(JP,A) 特開平10−109967(JP,A) 3 2000247936 20000912 9 20050907 野口 勝彦 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、ベタインエステル含有混合物及びその製法並びに該混合物を含有する毛髪化粧料に関する。【0002】【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】毛髪に対し良好な柔軟性や平滑性、更に油性感を付与する際、セタノール等の長鎖アルコールを界面活性剤でゲル状に乳化させた剤形が使用される。界面活性剤としては陽イオン界面活性剤が適しており、その中でもベタインエステルは、特に湿潤時に柔軟性、平滑性、更には油性感を付与できる界面活性剤である。【0003】このベタインエステルの製造法としては特開昭49-76818号公報にグリシンベタインとアルコールを、トルエン等の脱水溶媒とスルホン酸系の酸触媒とを用いて反応させる製造方法が、特開昭58-157750 号公報にモノクロロ酢酸エステルとトリメチルアミンをジアルキルケトン溶媒で反応させる製造方法が報告されている。しかし、これらの方法は安全性の面から溶媒を除去する必要があるため、製造上のプロセスが長くなるという問題がある。【0004】また、ハロゲン化合物とアミン化合物とを反応させて4級化反応を行い、反応終了物から溶媒を除去せずそのまま用いる場合は、溶媒として水やエタノールが用いられる。しかし、これらが用いられると加水分解やエタノールとのエステル交換等が起こりベタインエステルが減少するので、反応終了物をそのまま用いた場合、長鎖アルコールをゲル状に乳化できず、毛髪に対する柔軟性、平滑性、更には油性感が得られないという問題がある。【0005】本発明の課題は、反応終了物をそのまま用いても長鎖アルコールをゲル状に乳化でき、毛髪に対して十分な柔軟性、平滑性、更には油性感を付与することができるベタインエステル混合物の製法を提供することにある。【0006】【課題を解決するための手段】本発明は、モノハロゲンカルボン酸アルキルエステルと第3級アミンとを、一般式(1)【0007】【化3】【0008】〔式中、R6は炭素数1〜5の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基、あるいはR8-O-(AO)n-CH2−(R8は炭素数1〜40の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基、A は炭素数2〜4のアルキレン基、nは平均値で0〜50の数)で示される基を示し、R7は炭素数1〜40の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を示す。但し、R6が炭素数1〜5の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基の時は、R6とR7の炭素数の合計は2〜6である。〕で表される2級アルコール〔以下2級アルコール(1) という〕を反応溶媒として反応させることにより、一般式(2)【0009】【化4】【0010】〔式中、R1は炭素数8〜40の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基、R2は炭素数1〜5の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基、R3, R4及びR5は同一もしくは異なって炭素数1〜24の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基、アルケニル基又はヒドロキシアルキル基、X はハロゲン原子を示す。〕で表されるベタインエステル〔以下ベタインエステル(2) という〕と、2級アルコール(1) とを含有するベタインエステル含有混合物を製造する方法、及びこの方法によって得られるベタインエステル含有混合物及び該混合物を含有する毛髪化粧料を提供する。【0011】【発明の実施の形態】ベタインエステル(2) において、R1は炭素数10〜36、特に炭素数12〜22の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基が好ましく、R2はメチレン基、エチレン基、n−プロピレン基が好ましく、R3, R4及びR5はメチル基、エチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基が好ましい。X は塩素原子が好ましい。【0012】本発明で用いられるモノハロゲンカルボン酸アルキルエステルは、式(3)R1-O-CO-R2-X (3)(式中、R1, R2及びX は前記の意味を示す。)で表され、アルコールをモノハロゲンカルボン酸もしくはその低級アルキルエステル、酸クロライド、酸無水物等を用いてエステル化したものである(以下カルボン酸エステル(3) という)。カルボン酸エステル(3) として、モノクロロ酢酸セチルエステル、モノクロロ酢酸ステアリルエステル、モノブロモ酢酸テトラデシルエステル、モノクロロプロピオン酸セチルエステル等が挙げられ、モノクロロ酢酸セチルエステルが好ましい。【0013】本発明で用いられる第3級アミンは、式(4)【0014】【化5】【0015】(式中、R3, R4及びR5は前記の意味を示す。)で表される(以下アミン(4) という)。アミン(4) として、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジメチルエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、ジメチルプロパノールアミン、トリエタノールアミン等が挙げられ、トリメチルアミン、ジメチルエチルアミンが好ましい。【0016】2級アルコール(1) において、R6が炭素数1〜5の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基の時は、R7はメチル基が好ましく、R6とR7がともにメチル基であるイソプロピルアルコールが汎用で経済的であるためさらに好ましい。また、R6がR8-O-(AO)n-CH2−で示される基の時は、R8は炭素数1〜20、特に1〜18の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基が好ましく、A はエチレン基、プロピレン基が好ましく、nは0〜30、特に3〜30が好ましく、R7は炭素数1〜5の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基が好ましく、メチル基がさらに好ましい。R7がメチル基の場合は、アルコールにアルキレンオキサイドを付加後、1モル以上のプロピレンオキサイドを付加させて、末端水酸基にプロピレン基を隣接させて製造することができる。この場合2級アルコール(1) は炭素数8〜18の高級アルコールのプロピレンオキサイド付加物がさらに好ましい。【0017】4級化の際のカルボン酸エステル(3) とアミン(4) のモル比は収率向上の観点から、(3) :(4) =1:1〜1:1.5 が好ましく、1:1.01〜1:1.2 がより好ましい。また、ベタインエステル含有混合物中のベタインエステル(2) と2級アルコール(1) との重量比 (2):(1) は、反応終了物の融点が100 ℃以下になるように、好ましくは5:95〜95:5、より好ましくは20:80〜90:10、特に好ましくは50:50〜90:10である。【0018】本発明方法によりベタインエステル含有混合物を製造するには、例えばカルボン酸エステル(3) と2級アルコール(1) との混合物中に、0.1 〜1.0MPaの加圧下、アミン(4) を全量添加後、40〜 100℃の反応温度で1〜5時間反応させる。また、アミン(4) を徐々に添加しながら反応させることもできる。【0019】このようにして得られたベタインエステル含有混合物をそのまま用いて、他の原料と配合し、ゲル状に乳化させて毛髪化粧料を得ることができる。また、必要によってはカルボン酸エステル(3) 、アミン(4) 又は2級アルコール(1) のいずれかを除去した後、配合することもできる。更に配合にあたり更に低融点のものが必要とされる場合は、例えばプロピレングリコール等を添加して融点を低下させておいてから、配合することも可能である。【0020】なお、本発明のベタインエステル含有混合物からベタインエステル(2) を分離して種々の用途に用いることもできるが、その際、2級アルコール(1) が安全面で残存が許容できる場合には、精製が簡単でよいか又は不要となり効率的にベタインエステル(2) を得ることができ、有利である。【0021】本発明の毛髪化粧料中のベタインエステル(2) の含有量は0.1 〜20重量%が好ましく、1〜10重量%がより好ましい。0.1 重量%以上で良好な感触が得られ、20重量%以下では保存時における沈澱、固化、分層等の製品の安定性上の問題がない。【0022】本発明のベタインエステル含有混合物を用いた毛髪化粧料は、必要であれば更に長鎖アルコール、エステル油等の油剤やシリコーンを用いることができる。長鎖アルコールとしては、炭素数8〜40、好ましくは12〜26の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を有する長鎖アルコール及びこれらの混合物が挙げられ、ミリスチルアルコール、セタノール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、アラキルアルコール、ベヘニルアルコール、カラナービルアルコール、セリルアルコールが好ましく、セタノールが特に好ましい。尚、本発明でいうセタノールとは、セチルアルコールを主成分とし、ステアリルアルコール、オレイルアルコール等の長鎖アルコールを含有するものである。エステル油としては、脂肪酸の低級アルキルエステル等が挙げられ、パルミチン酸イソプロピルが好ましい。【0023】シリコーンとしては、(A) ジメチルポリシロキサン、(B) メチルフェニルポリシロキサン、(C) アミノ変性シリコーン〔アミノ変性シリコーンを水性乳濁液として用いる場合、該水性乳濁液中に含有されるアミノ変性シリコーンの量は20〜60重量%が好ましく、30〜50重量%が更に好ましい。好ましいアミノ変性シリコーン水性乳濁液としては、SM8704C(トーレ・シリコーン株式会社製)やDC939 (ダウ・コーニング株式会社製)等が挙げられる。〕、(D) 脂肪酸変性ポリシロキサン、(E) アルコール変性シリコーン、(F) 脂肪族アルコール変性ポリシロキサン、(G) ポリエーテル変性シリコーン、(H) エポキシ変性シリコーン、(I) フッ素変性シリコーン、(J) 環状シリコーン、(K) アルキル変性シリコーン等が挙げられる。【0024】本発明の毛髪化粧料中の油剤の含有量は 0.1〜30重量%が好ましく、1〜20重量%がより好ましい。0.1 重量%以上で柔軟性、しっとり感が発揮され、30重量%以下では製品の安定性上の問題がない。シリコーンの含有量は、0.01〜20重量%が好ましく、0.1 〜10重量%がより好ましい。0.01重量%以上でシリコーン特有の感触が発揮され、20重量%以下では製品の安定性上の問題がない。なおシリコーンが水性乳濁液の場合は前記含有量は固形分である。【0025】本発明の毛髪化粧料には、ベタインエステル(2) 以外の陽イオン界面活性剤や陰イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、両性界面活性剤等の界面活性剤、炭化水素、ラノリン誘導体、高級脂肪酸類、油脂類、グリセリン、保湿剤、カチオン性ポリマー、多糖類、ポリペプタイド、パール化剤、溶剤、液晶形成基剤、芳香族スルホン酸類、色素、香料、噴射剤、キレート剤、pH調整剤、防腐剤、抗フケ剤等を本発明の目的を損なわない範囲内で適宜配合することができる。【0026】本発明の毛髪化粧料は、へアリンス、へアコンディショナー、へアトリートメント、へアパック、へアクリーム等に用いることができる。【0027】【発明の効果】本発明の製造法により得られたベタインエステル含有混合物は、溶媒として用いた2級アルコール(1) を除去することなく使用が可能であり、収率の低下もなく、また溶媒の除去や回収の必要性もない簡易な製造フローで製造が可能である。更に、本製造法によって製造された混合物を含有する毛髪化粧料は、油剤等の乳化性がよく、毛髪に対しても良好な柔軟性や平滑性並びに油性感を付与することができる。【0028】【実施例】例中の%は重量%である。【0029】実施例1モノクロロ酢酸のセチルエステル 150.0gとイソプロピルアルコール76.2gをオートクレーブに仕込み、トリメチルアミン33.4gを圧入して、50℃で3時間反応させた。反応終了後、過剰のトリメチルアミンを減圧下で留去し、グリシンベタインセチルエステル混合物(以下、混合物1という) 249.0gを得た。混合物1を液体クロマトグラフィーで分析したところ、グリシンベタインセチルエステル70%、イソプロピルアルコール30%であった。以下の実施例、比較例の混合物の組成も同様にして求めた。【0030】実施例2モノクロロ酢酸のセチルエステル 150.0gとミリスチルアルコールのプロピレンオキサイド5モル付加物79.0gをオートクレーブに仕込み、ジメチルエチルアミン41.3gを圧入して、60℃で5時間反応させた。反応終了後、過剰のジメチルエチルアミンを減圧下で留去し、グリシンベタインセチルエステル混合物(以下、混合物2という) 260.8gを得た。混合物2の組成はグリシンベタインセチルエステル70%、ミリスチルアルコールのプロピレンオキサイド5モル付加物30%であった。【0031】比較例1イソプロピルアルコールの代わりにエタノール177.8 gを用いた以外は、実施例1と同様にしてグリシンベタインセチルエステル混合物(以下、比較混合物1という)を得た。比較混合物1の組成がグリシンベタインセチルエステル70%、エタノール30%となる仕込みであったが、エタノールによるエステル交換のため、グリシンベタインセチルエステルは50%に達しなかった。【0032】比較例2ミリスチルアルコールのプロピレンオキサイド5モル付加物の代わりに水79.0gを用い、反応温度を50℃とした以外は、実施例2と同様にしてグリシンベタインセチルエステル混合物(以下、比較混合物2という)を得た。比較混合物2の組成がグリシンベタインセチルエステル70%、水30%となる仕込みであったが、水による加水分解のため、グリシンベタインセチルエステルは50%に達しなかった。【0033】実施例3〜4及び比較例3〜4混合物1〜2及び比較混合物1〜2を用い、表1の組成を有するヘアリンス剤を常法により製造した。これらのヘアリンス剤について、目視で乳化状態を観察し、更に下記の方法により柔軟性等を官能評価した。結果を表1に示す。【0034】<評価方法>コールドパーマ等の化学処理をしたことのない日本人女性の毛髪20g(長さ20cm、平均直径60μm)を束ね、シャンプー5gを用いて洗浄した。このシャンプーの組成は、ポリオキシエチレンアルキル(炭素数12)エーテル硫酸ナトリウム(エチレンオキシド平均付加モル数2.5 )15%、ジエタノールアミド3%、残部水である。その後前記で調製したヘアリンス剤 2.0gを均一に塗布し、30秒間40℃の流水ですすいだ。このすすぎ時の毛髪の柔軟性、平滑性、油性感について、専門パネラー1人が下記の基準に従って評価した。◎:非常に良好、○:良好、×:不良【0035】【表1】【0036】注)*:花王株式会社製、カルコール6870、以下同様実施例5下記組成のヘアリンス剤を製造した。混合物2 2.0 %セタノール 4.0 %パルミチン酸イソプロピル 0.5 %ジメチルポリシロキサン(平均分子量9000) 1.5 %ポリエーテル変性シリコーン 0.5 %プロピレングリコール 2.0 %50%クエン酸水溶液 0.06%香料、メチルパラベン 適量精製水 バランスこのリンス剤は、ゲル状に乳化し、すすぎ時の毛髪の柔軟性、平滑性、油性感が非常に良好であった。【0037】実施例6下記組成のヘアトリートメントを製造した。混合物1 2.1 %セタノール 4.0 %ジメチルポリシロキサン(平均分子量9000) 5.0 %モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン 0.5 %(エチレンオキサイド平均付加モル数20)ベヘン酸 1.0 %ジプロピレングリコール 6.0 %グリセリン 10.0 %50%クエン酸水溶液 0.6 %香料、メチルパラベン 適量精製水 バランスこのヘアトリートメントは、ゲル状に乳化し、すすぎ時の毛髪の柔軟性、平滑性、油性感が非常に良好であった。 モノハロゲンカルボン酸アルキルエステルと第3級アミンとを、一般式(1)〔式中、R6は炭素数1〜5の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を示し、R7は炭素数1〜5の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を示す。但し、R6とR7の炭素数の合計は2〜6である。〕で表される2級アルコールを反応溶媒とし、モノハロゲンカルボン酸アルキルエステルと2級アルコールとの混合物中に、0.1 〜1.0MPaの加圧下、第3級アミンを、モノハロゲンカルボン酸アルキルエステルと第3級アミンとのモル比が、モノハロゲンカルボン酸アルキルエステル:第3級アミン=1:1〜1:1.5となる割合で全量添加して、反応させることにより、一般式(2)〔式中、R1は炭素数8〜40の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基、R2は炭素数1〜5の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基、R3, R4及びR5は同一もしくは異なって炭素数1〜24の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基、アルケニル基又はヒドロキシアルキル基、X はハロゲン原子を示す。〕で表されるベタインエステルと、一般式(1) で表される2級アルコールとを、一般式(2)で表されるベタインエステルと一般式(1)で表される2級アルコールとの重量比 (2):(1)=50:50〜70:30の割合で含有するベタインエステル含有混合物を製造する方法。 請求項1記載の方法により得られるベタインエステル含有混合物。 請求項2記載のベタインエステル含有混合物を含有する毛髪化粧料。


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