タイトル: | 特許公報(B2)_ポリフェニル類またはポリナフチル類の製造方法 |
出願番号: | 1999032738 |
年次: | 2010 |
IPC分類: | C07C 2/84,C07C 15/14,C07C 15/24,C07B 61/00 |
伏見 則夫 高川 實 谷口 貢 JP 4412426 特許公報(B2) 20091127 1999032738 19990210 ポリフェニル類またはポリナフチル類の製造方法 三菱瓦斯化学株式会社 000004466 伏見 則夫 高川 實 谷口 貢 20100210 C07C 2/84 20060101AFI20100121BHJP C07C 15/14 20060101ALI20100121BHJP C07C 15/24 20060101ALI20100121BHJP C07B 61/00 20060101ALN20100121BHJP JPC07C2/84C07C15/14C07C15/24C07B61/00 300 C07C 2/84 C07C 15/14 C07C 15/24 C07B 61/00 特公昭38−009874(JP,B1) 特開昭61−283347(JP,A) 特開昭55−049324(JP,A) 特開平10−101585(JP,A) 特開平08−119883(JP,A) 特開平05−163173(JP,A) 特許第083839(JP,C2) 特公昭51−014495(JP,B1) 4 2000229891 20000822 5 20060127 松澤 優子 【0001】【発明の属する技術分野】本発明はベンゼン環またはナフタレン環をもつ芳香族炭化水素をカップリングさせ、ポリフェニルまたはポリナフチル類を製造する方法に関する。ポリフェニル類やポリナフチル類は高分子材料や熱媒等の重要な原料である。【0002】【従来技術】ベンゼンまたはアルキルベンゼンをカップリングさせポリフェニル類を製造する方法としては特公昭54-38094号に示されるような高温での加熱縮合による方法や、特公昭49-39984号に示されるようなパラジウム触媒を用いたカップリング方法が知られている。【0003】【発明が解決しようとする課題】特公昭54-38094号に示されるようなベンゼンの加熱縮合によりポリフェニルを製造する方法は、ポリフェニルの製造法として最も良く知られた手法の一つであるが、反応温度として800℃にも達する高温が必要とされる上、原料の転化率を低く抑制して反応を行う必要があり、プロセスの効率は良くない。また特公昭49-39984号のパラジウム触媒によりベンゼン類をカップリングする方法は触媒として高価なパラジウムを使用するにもかかわらず、反応成績が低く工業的に実施する場合には経済的とは言えない。本発明の目的は、ベンゼン環またはナフタレン環をもつ芳香族炭化水素をカップリングさせるに際して、高価な触媒を用いず温和な条件で反応を行い、ポリフェニルまたはポリナフチル類を工業的に有利に製造する方法を提供することである。【0004】【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、アルカリ金属またはアルカリ金属担持触媒を触媒として芳香族炭化水素をカップリングさせることにより、加熱縮合による方法のような高温を必要とせず、またパラジウムのような高価な触媒も使用することなく、目的とするジフェニル、ターフェニル等のポリフェニル類やビナフチル等のポリナフチル類を安価に効率良く得られることを見出し、本発明を完成させるに到った。【0005】即ち本発明は、アルカリ金属またはアルカリ金属担持触媒の存在下、ベンゼン環またはナフタレン環の核炭素に少なくとも一個の水素原子を有する芳香族炭化水素をカップリングさせることを特徴とするポリフェニル類またはポリナフチル類の製造方法である。【発明の実施の形態】【0006】本発明の原料となる芳香族炭化水素はベンゼン環またはナフタレン環の核炭素に少なくとも一個の水素原子を有するものであり、ベンゼン、トルエン、キシレン等のベンゼン類や、ナフタレン、メチルナフタレン、ジメチルナフタレン等のナフタレン類が挙げられる。【0007】本発明ではアルカリ金属またはアルカリ金属担持触媒を触媒として用いるが、本発明で使用するアルカリ金属担持触媒はアルカリ金属と担体とを加熱混合処理することにより得られる。用いる担体としてはアルカリ金属を分散担持できるものなら何でも良いが、酸化ナトリウム、酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の酸化物或いは炭酸塩、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化カルシウム等のアルカリ土類金属の炭酸塩或いは酸化物、アルミナ、酸化ジルコニウム及びこれらにアルカリ金属含有化合物を含浸担持したもの等が適当である。含浸担持する場合に用いられるアルカリ金属含有化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、アルミン酸カリウム等が適当である。これらの無機担体は単独で用いても、また2種以上の化合物を混合して用いてもよい。上記無機担体にアルカリ金属を熱処理することで本発明に用いられる触媒は調製されるが、その際に添加するアルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム等が用いられる。これらのうちではナトリウム、カリウムの使用が特に好ましい。【0008】アルカリ金属と担体との混合による触媒の調製は、不活性気体下、アルカリ金属の融点以上の温度で加熱混合して行われる。ここで云う不活性気体とは、触媒調製条件下において調製される触媒と実質的に反応しない気体であり、具体的には窒素、ヘリウム、アルゴン等があげられる。但し、アルカリ金属としてリチウムを使用する場合は窒素と反応性があるのでその使用は好ましくない。本発明の触媒調製温度は、アルカリ金属の融点以上500℃以下、より好ましくは300℃以下の範囲が好ましく、また加熱処理の時間は、通常5分から300分の範囲である。アルカリ金属の融点よりも低い温度ではアルカリ金属が融解しないために、アルカリ金属を担体と混合する際に均一に分散させ有効に接触させることが難しく、調製に時間がかかるために実用的とは云えない。一方、500℃以上の温度でも触媒は調製できるが、高温下での発火性の物質の取り扱いは工業的な実施において好ましいものとは云えない。用いるアルカリ金属の量は、無機担体1重量部に対して0.01〜1、好ましくは0.02〜0.5の範囲である。この範囲を外れる場合には充分な触媒性能が得られず、必要な触媒活性を得るためには大量の触媒を用いる必要が生じ好ましくない。本発明の方法において用いる触媒の量は、原料の芳香族炭化水素に対して重量で0.01%以上、好ましくは0.05%以上である。【0009】本発明の方法におけるカップリング反応の温度は、150〜350℃、好ましくは180〜300℃の範囲である。これより低い場合にも反応は起こるが充分な反応速度が得られず、これより温度が高い場合にはタール分等の副生物が多くなり好ましくない。反応圧力は、反応条件下で原料芳香族炭化水素、生成物が実質的に液体として存在するに必要な圧力で充分であり、0.1〜5MPaの範囲である。【0010】本発明の触媒を反応に使用する当っては、種々の反応方式が採られる。例えば、触媒を仕込んだ反応器に原料をバッチ方式にて供給する方法、または反応器に触媒および原料を連続的に供給する完全混合流通方式、或いは触媒を反応器に充填し原料を流通させる固定床流通方式等が採用できる。触媒を懸濁させて反応を行う場合には、反応後における反応液と触媒の分離は沈降、遠心分離、濾過等の一般的な方法で容易に行うことが出来る。分離された触媒は反応系に循環してもよく、また付着した有機物の空気燃焼による除去や水による洗浄等の必要な処理を行った後に触媒調製工程に循環してもよい。【0011】【実施例】以下実施例にて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。【0012】触媒調製例(触媒A)水酸化カリウム22.3gを含有する水溶液100mLに炭酸マグネシウム粉末50gを加え、80℃で1時間撹拌、混合した。140℃で一晩乾燥した後、さらに空気中 500℃で焼成した。この混合焼成品 10gを窒素雰囲気下 200℃で攪拌し、そこへ金属Na 1.0gを加えた後、その温度で60分攪拌して触媒Aを得た。(触媒B)炭酸マグネシウムの代わりに水酸化マグネシウム粉末35gを加える以外は、触媒Aと同様な方法で調製することにより触媒Bを得た。(触媒C)炭酸マグネシウムの代わりにアルミナ粉末20gを使用する以外は、触媒Aと同様な方法で調製することにより触媒Cを得た。【0013】実施例1内容積2000mLのSUS316製攪拌式オートクレーブに窒素気流下で、触媒A10gとモレキュラーシーブを用いて脱水したベンゼン 1000gとを仕込み250℃に加熱した。2時間攪拌後反応を停止し、冷却後イソプロピルアルコールを加えて触媒を失活させた後、反応液の一部を採りガスクロマトグラフにより分析した。その結果、ベンゼン転化率7.8%、ビフェニル選択率90.2%、ターフェニル選択率8.8%という反応成績が得られた。【0014】実施例2〜4触媒種および触媒量を変えて実施例1と同様に反応を行った。結果を表1に示す。【表1】【0015】実施例5内容積2000mLのSUS316製攪拌式オートクレーブに窒素気流下で、金属ナトリウム20gとナフタレン400gとを仕込み250℃に加熱した。4時間攪拌後反応を停止し、冷却後イソプロピルアルコールを加えて触媒を失活させた後、反応液の一部を採りガスクロマトグラフにより分析した。その結果、ナフタレン転化率18.0%、ビナフチル選択率75.4%という反応成績が得られた。【0016】実施例6〜8触媒種および触媒量を変えて実施例5と同様に反応を行った。結果を表2に示す。【表2】【0017】【発明の効果】以上の実施例からも明らかなように、本発明の方法により芳香族炭化水素をカップリングさせることで、工業的に有用なポリフェニル類やポリナフチル類を、安価な触媒を用い温和な反応条件で、効率良く得られ、工業的有利に製造することができる。従って本発明の工業的意義は大きい。 アルカリ金属またはアルカリ金属担持触媒の存在下、ベンゼン環またはナフタレン環の核炭素に少なくとも一個の水素原子を有する芳香族炭化水素を、窒素下で、カップリングさせることを特徴とするポリフェニル類またはポリナフチル類の製造方法。 芳香族炭化水素がベンゼン、トルエン、キシレンまたはナフタレンである請求項1に記載のポリフェニル類またはポリナフチル類の製造方法。 アルカリ金属がナトリウムまたはカリウムである請求項1に記載のポリフェニル類またはポリナフチル類の製造方法。 カップリング反応の温度が、150〜350℃であり、カップリング反応圧力が、0.1〜5MPaの範囲である請求項1に記載のポリフェニル類またはポリナフチル類の製造方法。