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タイトル:特許公報(B2)_四級アルキルアンモニウム塩の製造方法
出願番号:1999027179
年次:2006
IPC分類:C07C 211/63,C07C 209/12,H01M 6/16,H01M 10/40


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佐藤 高潮 西村 隆 高橋 清文 中濱 哲朗 JP 3821977 特許公報(B2) 20060630 1999027179 19990204 四級アルキルアンモニウム塩の製造方法 三菱レイヨン株式会社 000006035 佐藤 高潮 西村 隆 高橋 清文 中濱 哲朗 20060913 C07C 211/63 20060101AFI20060824BHJP C07C 209/12 20060101ALI20060824BHJP H01M 6/16 20060101ALN20060824BHJP H01M 10/40 20060101ALN20060824BHJP JPC07C211/63C07C209/12H01M6/16 AH01M10/40 A C07C209/12 C07C211/63 C07F 5/02 特開2000−026473(JP,A) 1 2000226360 20000815 7 20020723 関 美祝 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は電解コンデンサー、あるいは電池用電解液の電解質として有用な四級アルキルアンモニウムテトラフルオロボレート塩の製造方法に関する。【0002】【従来の技術】従来、四級アルキルアンモニウムテトラフルオロボレート塩は、三級アミンとハロゲン化アルキルの反応で製造したハロゲン化四級アルキルアンモニウム塩結晶を単離し十分に乾燥した後これに、特開平5−286981号の方法ではフッ化水素を反応させ更に三フッ化ホウ素を反応させることにより、特開平10−87574号の方法ではホウフッ化リチウムを反応させることにより製造している。【0003】【発明が解決しようとする課題】これらの方法はいずれもハロゲン化四級アルキルアンモニウム塩を一度分離し十分に乾燥してから次の工程を行っているが、ハロゲン化四級アルキルアンモニウム塩分離時に有効成分がろ液中に溶出するため、結果として四級アルキルアンモニウムテトラフルオロボレート塩の取得収率が低下するばかりでなく、ハロゲン化四級アルキルアンモニウム塩は吸湿性が強いためにより厳しい条件での乾燥が必要であった。また乾燥した結晶も低湿度の条件下で取り扱わないと短時間に吸湿し潮解するという欠点を有しており、四級アルキルアンモニウムテトラフルオロボレート塩の製造には設備的、および取り扱い操作的に種々の制約が必要とされていた。さらに、従来ハロゲン化四級アルキルアンモニウム塩を原料とした四級アルキルアンモニウムテトラフルオロボレート塩の製造では副生するハロゲンイオンの除去が難しいとされていた。そこで、副生したハロゲンイオン除去のために、例えば特開平5−286981号ではハロゲン化四級アルキルアンモニウム塩に大過剰のフッ化水素を反応させた後、副生や過剰のハロゲン化水素を蒸発させて除き、更に三フッ化ホウ素を反応させた後も蒸発により残存のハロゲン化水素を除いている。しかしながら、フッ化水素は工業的に容易に取り扱える化合物とは言い難く、かつ、フッ化水素を含むハロゲン化水素の蒸発においては安全、装置の腐食等に細心の注意を払う必要がある。また、特開平10−87574号ではハロゲン化四級アルキルアンモニウム塩にホウフッ化リチウムを反応させ、ハロゲンイオンを有機溶剤に対する溶解度が高いハロゲン化リチウムとする方法でのハロゲンイオンの除去方法を開示しているがホウフッ化リチウムは安価とは言い難い。従って、四級アルキルアンモニウムテトラフルオロボレート塩の製造においては、ハロゲン化四級アルキルアンモニウム塩の強い吸湿性への対策を必要とすることなく容易、安全、安価に製造しうる方法の開発が望まれていた。【0004】【課題を解決するための手段】本発明者らは前記の状況に鑑み、工業的に簡易に高純度の四級アルキルアンモニウムテトラフルオロボレート塩を製造する方法を鋭意検討した結果、三級アミンにハロゲン化アルキルを反応させた反応液からハロゲン化四級アルキルアンモニウム塩を単離せずに反応液、あるいはスラリーにそのままホウフッ化水素酸を反応させる方法でも高純度の四級アルキルアンモニウムテトラフルオロボレート塩を安全、容易、安価に、しかも高収率で製造できる方法を見出し、本発明を完成した。【0005】 すなわち、本発明は、「三級アミンにハロゲン化アルキルを反応させた後、生成したハロゲン化四級アルキルアンモニウム塩を単離せずに、引き続きホウフッ化水素酸を反応させることを特徴とする四級アルキルアンモニウムテトラフルオロボレート塩の製造方法。」を要旨とする。【0006】【発明の実施の形態】本発明の原料となる三級アミンとしては、下記一般式(1)【化3】(式中、R1 ,R2 ,R3 はそれぞれ互いに異なってもよい炭素数1〜4のアルキル基を示す)で表される脂肪族アルキルアミン又は無置換もしくは環上にメチル基1個を有する窒素含有6員環化合物を挙げることができる。具体的には、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、ピリジン、α−ピコリン、β−ピコリン、γ−ピコリンなどを挙げることができる。【0007】また、ハロゲン化アルキルとしては、下記一般式(2)【化4】(式中、R4 は炭素数1〜4のアルキル基又はベンジル基、Xは塩素又は臭素を示す)で表されるハロゲン化アルキルを挙げることができる。具体的には、メチルクロライド、エチルクロライド、プロピルクロライド、ブチルクロライド、ベンジルクロライド、メチルブロマイド、エチルブロマイド、プロピルブロマイド、ブチルブロマイド、ベンジルブロマイドなどが挙げられる。【0008】反応溶媒としてはハロゲン化四級アルキルアンモニウム塩を単離する必要がないので、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、トルエン、キシレン、水、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトニトリル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、アミルアルコール、ヘキサノール、さらには原料のハロゲン化アルキル等、工業的に使用されているほとんどの溶剤が使用できるが、得られた四級アルキルアンモニウムテトラフルオロボレート塩は結晶として取得し、湿粉は乾燥する必要があることを考慮するとあまり蒸発し難い溶剤や四級アルキルアンモニウムテトラフルオロボレート塩を溶解しやすい溶剤は好ましくない。なお、これらの溶剤は必要により混合して使用しても差し支えない。また、三級アミンの四級化、及びハロゲン化四級アルキルアンモニウム塩のハロゲンと四フッ化ホウ素との交換、さらには四級アルキルアンモニウムテトラフルオロボレート塩結晶の取得工程で、これらの溶剤のうち同一または異なる種類のものを順次追加、あるいは濃縮した後に追加することもできる。【0009】ハロゲン化四級アルキルアンモニウム塩のハロゲンと四フッ化ホウ素との交換反応ではハロゲン化四級アルキルアンモニウム塩にホウフッ化水素酸を反応させるが、ハロゲン化四級アルキルアンモニウム塩は溶液状態でもスラリー状態でも撹拌可能な状態なら特に問題はない。【0010】本発明の方法では、まず既知の方法で三級アミンにハロゲン化アルキルを反応させるが、この工程ではハロゲン化四級アルキルアンモニウム塩結晶を単離する必要がないので、通常工業的に使用されている溶剤であれば反応溶媒として使用可能である。三級アミンに対するハロゲン化アルキルのモル比は、三級アミンとハロゲン化アルキルの沸点、原料の一方を反応溶媒に使用するか否か等の条件にもよるが0.1〜10.0、三級アミンが過剰になるとホウフッ化水素酸を反応させた時にホウフッ化水素酸の三級アルキルアンモニウム塩が生成することを考慮すると0.9〜5.0が好ましい。【0011】反応は反応溶媒、原料の反応性の影響も受け一般的に−20〜200℃で行われるが反応速度、圧力を考慮すると30〜80℃が好ましい。このようにして得られた反応液、あるいはスラリーはハロゲン化四級アルキルアンモニウム塩を取り出すことなく、また濃縮することもなく次工程の反応に使用することができるが、必要に応じ濃縮したり、濃縮した後、他の溶剤を加えることもできる。【0012】ハロゲン化四級アルキルアンモニウム塩にホウフッ化水素酸を反応させる場合のホウフッ化水素酸のモル比はハロゲン化四級アルキルアンモニウム塩化反応に用いた三級アミンに対し0.8〜3.0であるが、本工程は反応が定量的に進むことを考慮すると1.0〜1.2が好ましい。本工程での反応温度は原料及び生成物の分解が少なく、かつ低温でも反応が進むことより−20〜200℃までの範囲で行うことができるが安全性、操作の容易さを考慮すると20〜80℃で行うのが好ましい。【0013】反応終了後はスラリー液から四級アルキルアンモニウムテトラフルオロボレート塩を取得する。これまでの工程の結果、スラリーの液体部の組成が四級アルキルアンモニウムテトラフルオロボレート塩の溶解度が高くなっていたり、ハロゲン化水素酸やホウフッ化水素酸の三級アルキルアンモニウム塩、ハロゲン化四級アルキルアンモニウム塩、ハロゲン化水素酸、ホウフッ化水素酸あるいはハロゲン化アルキル等の不純物の溶解度が低くなっている場合には、濃縮、置換等の方法により液組成を四級アルキルアンモニウムテトラフルオロボレート塩の溶解度が低く、かつ、ハロゲン化水素酸やホウフッ化水素酸の三級アルキルアンモニウム塩、ハロゲン化四級アルキルアンモニウム塩、ハロゲン化水素酸、ホウフッ化水素酸あるいはハロゲン化アルキル等の溶解度が高くなるよう変換する。ろ過後は四級アルキルアンモニウムテトラフルオロボレート塩の溶解度が低く、かつ、ハロゲン化水素酸やホウフッ化水素酸の三級アルキルアンモニウム塩、ハロゲン化四級アルキルアンモニウム塩、ハロゲン化水素酸、ホウフッ化水素酸あるいはハロゲン化アルキルなどに対する溶解度が高い溶剤で洗浄する。これらの条件を満たす溶剤としては、エタノール、プロピルアルコール、ブタノール、アミルアルコール、ヘキサノール等の溶剤が挙げられるが、これらの溶剤は混合して使用してもなんら差し支えない。【0014】このようにして取得した湿粉を通常の方法で乾燥することにより、使用目的に対し十分な純度を有する四級アルキルアンモニウムテトラフルオロボレート塩結晶を高収率で取得することができるが、必要に応じ再結晶、あるいはリパルプ洗浄することにより、さらに高純度の結晶を得ることが出来る。【0015】【実施例】以下、本発明の代表的例を実施例により更に具体的に説明する。【0016】実施例1撹拌機、温度計、圧力ゲージ、フィード管を設けた1.5Lの耐圧フッ素樹脂被覆フラスコにトリエチルアミン101gとノルマルブタノール400gを仕込み、エチルクロライド71gを50〜70℃で4時間かけてフィードした。同じ温度で更に2時間熟成した後、42%ホウフッ化水素酸水溶液220gを20〜30℃で2時間かけてフィードし、更に30〜40℃で2時間熟成した。反応液を減圧下で濃縮後、ノルマルブタノール400gをフィードし、室温で2時間撹拌した。次いでろ過し400gのイソプロピルアルコールでリンスした。取得した湿粉を乾燥し、塩素分を含まない純度99.5%以上のテトラエチルアンモニウムテトラフルオロボレート塩結晶206g(収率95%)を得た。【0017】実施例2ピリジン79gとノルマルブチルアルコール400gを仕込んだ実施例1と同様の反応容器にエチルブロマイド115gを50〜70℃で5時間かけてフィードした。同じ温度で更に2時間熟成した後、42%ホウフッ化水素酸水溶液220gを20〜30℃で2時間かけてフィードした。30〜40℃で2時間熟成した後、減圧下で濃縮した。濃縮後、ノルマルブタノール400gをフィードし、室温で2時間撹拌した後にろ過し、400gのノルマルブタノールでリンスした。取得した湿粉を乾燥し、臭素分を含まない純度99.5%以上のエチルピリジニウムテトラフルオロボレート塩結晶181g(収率93%)を得た。【0018】実施例3実施例1で用いたと同様の反応容器にイソプロピルアルコール600gとトリノルマルブチルアミン185gを仕込み、ノルマルブチルクロライド102gを60〜70℃で5時間かけてフィードした。同じ温度で更に3時間熟成した後、42%ホウフッ化水素酸水溶液220gを30〜40℃で4時間かけてフィードした。同じ温度で1時間熟成した後、減圧下で濃縮した。濃縮後、イソプロピルアルコール600gをフィードし、室温で2時間撹拌した後ろ過し、次いで600gのイソプロピルアルコールでリンスした。取得した湿粉を乾燥し、塩素分を含まない純度99.5%以上のテトラノルマルブチルアンモニウムテトラフルオロボレート塩結晶306g(収率93%)を得た。【0019】実施例4ノルマルブチルアルコール500gとα−ピコリン93gを仕込んだ1.5Lのフッ素樹脂製フラスコにノルマルブチルクロライド107gを50〜70℃で5時間かけてフィードした。同じ温度で更に2時間熟成した後、42%ホウフッ化水素酸水溶液220gを30〜40℃で4時間かけてフィードした。同じ温度で1時間熟成した後、減圧下で濃縮した。濃縮後、イソプロピルアルコール500gをフィードし、室温で2時間撹拌した後にろ過し、次いで400gのノルマルブタノールでリンスした。取得した湿粉を乾燥し、塩素分を含まない純度99.5%以上のノルマルブチルα−ピコリニウムテトラフルオロボレート塩結晶225g(収率95%)を得た。【0020】実施例5メチルエチルケトン300gとトリエチルアミン101gを仕込んだ1.5Lのフッ素樹脂製耐圧フラスコにエチルクロライド68gを50〜70℃で5時間かけてフィードした。同じ温度で更に2時間熟成した後、42%ホウフッ化水素酸水溶液220gを30〜40℃で4時間かけてフィードした。同じ温度で1時間熟成した後に濃縮し、ノルマルブタノール500gをフィード後、再度濃縮した。濃縮後更にノルマルブタノール500gをフィードし、室温で2時間撹拌した後ろ過し、次いで400gのノルマルブタノールでリンスした。取得した湿粉を乾燥し、塩素分を含まない純度99.5%以上のテトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレート塩結晶206g(収率95%)を得た。【0021】比較例1トリエチルアミン202gとアセトン550gを仕込んだ、1.5Lのフッ素樹脂製フラスコにメチルクロライド133gを40〜50℃で4時間かけてフィードした。50〜60℃で4時間熟成した後、室温に冷却し遠心分離によりメチルトリエチルアンモニウムクロライド湿粉309gを取得した。湿粉を60℃で2時間送風乾燥したところ水分が4.5%であった。この結晶をさらに室温で真空乾燥したところ、結晶は20%がブロック化し一部黄色に着色していた。【0022】比較例2トリエチルアミン202gとアセトン550gを仕込んだ1.5Lのフッ素樹脂で被覆されたフラスコにエチルブロマイド240gを40〜50℃で4時間かけてフィードした。50〜60℃で4時間熟成した後、室温に冷却し、遠心分離し200gのアセトンでリンスし、テトラエチルアンモニウムブロマイド湿粉420gを取得した。取得した湿粉を100℃で一夜真空乾燥し、水分0.1%のテトラエチルアンモニウムブロマイド乾燥結晶382g(収率91%)を得た。テトラエチルアンモニウムブロマイド乾燥結晶315gをフッ素樹脂で被覆された1.5Lフラスコに仕込み氷−水で冷却しながら液体HF740mLを徐々にフィードした。反応で副生したHBrの白煙の発生量が少なくなった後、徐々に170℃まで昇温し、副生したHBrと過剰のHFを除去し、更に残存している少量のHBrとHFを同じ温度で乾燥窒素ガスを12時間吹き込む事により追い出し、固形物270gを得た。引き続き固形物に含量51%のBF3 のメタノール溶液200gを室温でフィードした。同じ温度で2時間熟成した後、フラスコを150℃のオイルバスに浸し、大部分のメタノールとHFを留去した。150℃のオイルバスに浸したまま更に窒素ガスを吹き込んで残留揮発成分を完全に追い出し、テトラエチルアンモニウムテトラフルオロボレート塩結晶310gを得た。取得した結晶はメタノール1.4Lに加温溶解した後、0℃まで冷却して晶析させ、結晶を取得した。乾燥によりテトラエチルアンモニウムテトラフルオロボレート塩結晶292g(トリエチルアミンベースの収率82%)を得た。【0023】比較例3トリエチルアミン202gとアセトン550gを仕込んだ1.5Lのフッ素樹脂で被覆された耐圧フラスコにエチルクロライド150gを40〜50℃で4時間かけてフィードした。50〜60℃で4時間熟成した後、室温に冷却し、遠心分離し、200gのアセトンでリンスし、テトラエチルアンモニウムクロライド湿粉343gを取得した。取得した湿粉を100℃で一夜真空乾燥し、水分0.1%のテトラエチルアンモニウムクロライド乾燥結晶305g(収率92%)を得た。上記で用いたフラスコにテトラエチルアンモニウムクロライド乾燥結晶166gとメタノール400gを仕込み、これにホウフッ化リチウム94gをメタノール400gに溶解した液を室温でフィードした。1時間熟成した後、吸引ろ過し80gのメタノールで3回リンスした。乾燥後、テトラエチルアンモニウムテトラフルオロボレート塩結晶152g(トリエチルアミンベースの収率64%)を得た。【0024】【発明の効果】本発明の方法によれば、電解コンデンサー、あるいは電池用電解液の電解質として有用な四級アルキルアンモニウムテトラフルオロボレート塩を安全、容易、安価に、しかも高収率で製造できる。 三級アミンにハロゲン化アルキルを反応させた後、生成したハロゲン化四級アルキルアンモニウム塩を単離せずに、引き続きホウフッ化水素酸を反応させることを特徴とする四級アルキルアンモニウムテトラフルオロボレート塩の製造方法。


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