生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_排泄物用経口消臭剤
出願番号:1999024009
年次:2006
IPC分類:A61K 31/35,A23K 1/16,A61K 31/00,A61K 36/07,A61P 1/00


特許情報キャッシュ

山越 純 片岡 茂博 細山 浩 有賀 敏明 JP 3815913 特許公報(B2) 20060616 1999024009 19990201 排泄物用経口消臭剤 キッコーマン株式会社 000004477 山越 純 片岡 茂博 細山 浩 有賀 敏明 JP 1998101720 19980331 20060830 A61K 31/35 20060101AFI20060810BHJP A23K 1/16 20060101ALI20060810BHJP A61K 31/00 20060101ALI20060810BHJP A61K 36/07 20060101ALI20060810BHJP A61P 1/00 20060101ALI20060810BHJP JPA61K31/35A23K1/16 302BA23K1/16 304CA61K31/00A61K35/84 AA61P1/00 A61K 31/35 A23K 1/16 CA(STN) REGISTRY(STN) JMEDPlus(JDream2) JST7580(JDream2) JSTPlus(JDream2) 特開平1−275522(JP,A) 特開平10−245343(JP,A) 特開平10−262571(JP,A) 国際公開第97/45023(WO,A1) 3 1999343237 19991214 9 20030212 齋藤 恵 【0001】【発明の属する技術分野】本発明はプロアントシアニジンを含有する、糞や尿等の排泄物の消臭に効果のある排泄物用経口消臭剤に関する。【0002】【従来の技術】現在、人、愛玩動物、家畜等から発する体臭、排泄物の消臭に対する関心が高まっている。例えば、室内で飼育する犬、猫等のペットの排泄物の臭いは飼い主に不快感を与え、また寝たきり老人等からの排泄物の臭いは、介護者への一層の負担を強いる等、社会問題ともなっている。【0003】このようなことからこれら排泄物の消臭については種々検討されており、例えば糞、尿等の排泄物に芳香剤をスプレーし、異臭・悪臭をマスキングする方法、活性炭で臭いを吸着させる方法、あるいはプロアントシアニジン等の特定化合物を異臭・悪臭の発生源に振りかける方法(特開昭60−160962)等である。しかしながらこれらの方法は、いずれも排泄されたものに対する手段で、いわば事後処理とでも称される方法である。一方経口的に服用し、糞、尿等の悪臭を減少させる目的の消臭剤も開発されており、例えばマッシュルーム抽出物(古泉巌、日本公衆衛生雑誌、第44巻、第1号、5〜11頁(1997))、緑茶抽出物(川上正子、New Food Industry、 Vol. 40、No.1、33〜40頁(1997))やタンニン酸(特開平4−117326)を有効成分とする経口消臭剤等が知られているが、効果の点で弱かったり、また、コストの点で実際の使用量が制限される等、必ずしも満足できる方法とはいいがたい。【0004】【発明が解決しようとする課題】したがって本発明の課題は、安価で効果の大きい新規な排泄物用経口消臭剤の提供である。【0005】【課題を解決するための手段】本発明者等は上記課題を解決するため鋭意研究を重ねたところ、驚くべきことに、プロアントシアニジンを服用することによって、排泄物の臭いが著しく減少し、しかも速効性、持続性があるという知見を得て本発明を完成した。すなわち本発明は、プロアントシアニジンを含有する排泄物用経口消臭剤である。【0006】【発明の実施の形態】以下本発明を具体的に説明する。本発明で用いられるプロアントシアニジンは、各種植物体中に存在する縮合型タンニン、すなわちフラバン−3−オールまたはフラバン−3,4−ジオールを構成単位として縮合もしくは重合により結合した化合物群であって、これらは酸処理によりシアニジン、デルフィニジン、ペラルゴニジン等のアントシアニジンを生成するところからこの名称が与えられているものであり、上記構成単位の2量体、3量体、4量体さらに10量体以上の高分子のプロシアニジン、プロデルフィニジン、プロペラルゴニジン等のプロアントシアニジンおよびそれらの立体異性体等を含むものである。そしてこれらは各種植物体、例えばぶどう種子、クランベリー果実、りんご果実、小豆あるいは杉、桧、松の樹皮等から抽出して得ることができる。これらのプロアントシアニジンを主成分とする製品は市販もされており、例えばぶどう種子を原料とする「KPA」「グラヴィノール」(キッコーマン(株))、りんご未熟果を原料とする「アップルフェノン」(ニッカウヰスキー(株))、海岸松の樹皮を原料とする「ピクノジェノール」(ホーファーリサーチ社(スイス))等である。【0007】これらのプロアントシアニジンを有効成分とする排泄物用経口消臭剤の形態は、粉末、錠剤、カプセル、ドリンク等であり、また他の飲食品に添加して服用することもできる。例えばプロアントシアニジンを含有するブドウ種子抽出物粉末を、適宜の賦形剤と混合して錠剤としたり、糖や香料とともにカプセルに充填することにより、経口消臭剤とする。また公知の経口消臭剤と混合して用いてもよい。特にマッシュルーム抽出物と併用することにより、相乗的な消臭効果が認められる。マッシュルーム抽出物はマッシュルームを水あるいは有機溶媒で抽出し、これを濃縮、粉末化して得られるものであり、市販もされている。{リコム社製、シャンピニオンエキス(Bio−M)}【0008】本発明の排泄物用経口消臭剤のプロアントシアニジン摂取量は、体重60kgの人の場合、1日当たり全フラバノール(プロアントシアニジン量をバニリン法を用い(+)カテキン換算で全フラバノール量として算出)として50mg以上、好ましくは60〜400mgであり、これを1回〜数回に分けて服用すればよい。例えば、キッコーマン(株)の「グラヴィノール」を消臭剤として使用する場合、「グラヴィノール」はプロアントシアニジンが約40%含有されているので125mg以上、好ましくは150〜1000mgを1日に1回〜数回に分けて服用すればよい。また動物に与える場合は,他の飼料に全フラバノールとして0.01〜1%混合して投与すればよい。プロアントシアニジンとして例えばブドウ種子抽出物を用い、これとマッシュルーム抽出物とを併用する場合、両抽出物の配合割合は、1:0.05〜2.0であり、またその摂取量は、例えば体重60kgの人の場合、1日当たり、ブドウ種子抽出物を全フラバノールとして30mg以上、好ましくは50〜200mg、マッシュルーム抽出物を15mg以上、好ましくは20〜100mg摂取すればよい。【0009】【発明の効果】本発明による排泄物用経口消臭剤は、これを服用することにより排泄物の臭いが著しく低減し、しかも服用翌日にはその効果が現われる程の速効性があり、人は勿論のこと、家畜やペット等の飼料に混ぜることによって、これらの排泄物の消臭に効果がある。【0010】以下に実験例を示し、本発明の効果を明らかにする。実験例1(ラットによる実験)【0011】6週令、雄、Wistar系ラット(5匹/群)に、(a)〜(c)の飼料を各群ラットに自由摂取させた。各飼料投与後1日目、3日目、8日目に糞をサンプリングし、8名のパネルによる4段階評価(無臭:0、わずかに臭い:1、中程度に臭い:2、非常に臭い:3)による臭気官能試験を行なった。結果を表1に示す。数値は評価点の合計を示す。【0012】【0013】また投与後8日目の糞は密封容器ヘッドスペース中のメチルメルカプタン量をガスクロマトグラフィーで、またアンモニア量とメチルアミン量を北川式ガス検知管で測定した。結果を表2に示す。【0014】【0015】表1、2に示す結果から明らかなように、ブドウ種子抽出物添加飼料投与群{(b)群}は、投与後1日目から臭いが低く、その消臭効果はマッシュルーム抽出物添加飼料投与群{(c)群}に比べても強いものであった。また投与後8日目の(b)群の糞の悪臭物質(メチルメルカプタン、アンモニア、メチルアミン)は(c)群に比べ少なかった。【0016】実験例2(ブドウ種子抽出物とマッシュルーム抽出物の併用)【0017】15週令、雌、SD系ラット(5匹/群)に、(a)〜(c)の飼料を各群ラットに自由摂取させた。各飼料投与後1日目、3日目、8日目に糞をサンプリングし、実験例1と同様の方法で臭気官能試験を行なった。結果を表3に示す。【0018】【0019】また投与後8日目の糞のアンモニア量とメチルアミン量を実験例1と同様にして測定した。結果を表4に示す。【0020】表3,4,に示すようにブドウ種子抽出物とマッシュルーム抽出物を併用した(c)群は、消臭効果が著しく高かった。【0021】実験例3(豚による実験)【0022】12頭の子豚(4頭/群)に、(a)〜(c)の飼料を3週間、自由摂取させた。その後糞をサンプリングし、実験例1と同様の方法で臭気官能検査を行なった。結果を表5に示す。【0023】この結果、用量依存性の消臭効果が認められた。【0024】実験例4(人による実験)成人(35〜45才)、男子を3名1群とし、(a)群にはブドウ種子抽出物(キッコーマン(株)製、グラヴィノール)を、(b)群には実験例1で使用したと同じマッシュルーム抽出物を朝、晩、各250mg(計500mg)、4日間内服してもらい、毎日各自の糞を実験例1と同様の方法で臭気官能検査した。また(a)、(b)群から各1名を選び、毎日の糞をサンプリングし臭気物質を実験例1と同様の方法で測定した。結果を表6、表7に示す。なお臭気物質の測定は実験例1と同様の方法で行なった。【0025】【0026】【0027】表6、表7から、ブドウ種子抽出物を内服した(a)群は内服翌日には、非常に強い糞の消臭効果が現われ、また内服を中止しても2日間効果が持続することが確認される。【0028】実験例5(人による実験)成人(35〜45才)、男子を9名1群とし、(a)群にはブドウ種子抽出物(キッコーマン(株)製、グラヴィノール、全フラバノ−ルとして500mg当り200mg含有))を、(b)群には緑茶抽出物(太陽化学(株)製、サンフラボンHG、全フラバノ−ルとして500mg当り250mg含有)を朝、晩、各250mg(計500mg)、14日間内服してもらい、内服前日、内服2日目、7日目、14日目の糞を実験例1と同様の方法で臭気官能検査した。特に、ブドウ種子抽出物内服前日と内服14日目の便についてビフィダス菌数の測定及び腸内腐敗産物(フェノ−ル、p−クレゾ−ル、4E−フェノ−ル、インド−ル、スカト−ル)の測定を行った。結果を表8と図1に示す。なお、被験者には試験期間中、抗生物質の内服、お茶(緑茶、ウーロン茶等)、乳酸菌食品(ヨーグルト等)、オリゴ等入り食品、食物繊維強化食品、納豆、ポリフェノール入り食品、赤ワインの飲食は控えるように指示した。【0029】ビフィダス菌数(log CFU/g 糞便)は内服前で9.6±0.3であったのに対して、ブドウ種子抽出物内服14日目で10.1±0.3と有意に(危険率5%で有意差あり)増加した。 また、腸内腐敗産物量(μg/g)の測定で、フェノ−ルは内服前で10.1±17.1であったのに対して内服14日目で0.5±0.5に、p−クレゾ−ルは同様に31.7±28.9から16.4±8.5に、4E−フェノ−ルは0.2±0.5から0に、インド−ルは19.5±8.3から14.2±5.0に、スカト−ルは2.5±3.7から0.6±1.2にいずれも減少し、これらの総量も内服前で63.9±25.0であったのに対して内服14日目で31.8±12.5と有意に(危険率5%で有意差あり)減少した。 これらのことから、ブドウ種子抽出物の消臭効果はビフィダス菌数の増加による腸内腐敗産物の減少に起因すると考えられる。【0030】【実施例】以下に実施例を示す。実施例1ブドウ種子抽出物(キッコーマン(株)、グラヴィノール) 10%乳糖 80%ステアリン酸マグネシウム 10%以上を混合後、通常の方法で打錠し、300mg/錠の錠剤タイプ排泄物用経口消臭剤を製造した。【0031】実施例2ドライタイプ猫用ペットフード製造の際に、ブドウ種子抽出物(キッコーマン(株)KPA−40)を0.05%混合し、排泄物用経口消臭剤配合のペットフードを製造した。【0032】実施例3ブドウ種子抽出物(グラヴィノール、キッコーマン(株)製)とマッシュルーム抽出物(シャンピニオンエキス、BX100FPD、リコム社製)とを2:1の割合で混合した。これを以下の配合で混合し、実施例1と同様に打錠し経口消臭剤とした。【図面の簡単な説明】【図1】 実験例5の表8を図示したものである。 プロアントシアニジンを含有する排泄物用経口消臭剤。 プロアントシアニジンとマッシュルーム抽出物を含有する排泄物用経口消臭剤。 プロアントシアニジンがブドウの種子又は皮の抽出物である請求項1又は請求項2記載の排泄物用経口消臭剤。


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