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タイトル:特許公報(B2)_透光性アルミナ焼結体の製造方法およびその用途
出願番号:1999022352
年次:2006
IPC分類:C04B 35/115,A61C 13/08,A61K 6/02,H01J 61/30,H01L 21/22


特許情報キャッシュ

渡邊 尚 内田 義男 JP 3783445 特許公報(B2) 20060324 1999022352 19990129 透光性アルミナ焼結体の製造方法およびその用途 住友化学株式会社 000002093 久保山 隆 100093285 渡邊 尚 内田 義男 20060607 C04B 35/115 20060101AFI20060518BHJP A61C 13/08 20060101ALI20060518BHJP A61K 6/02 20060101ALI20060518BHJP H01J 61/30 20060101ALI20060518BHJP H01L 21/22 20060101ALI20060518BHJP JPC04B35/10 CA61C13/08 ZA61K6/02H01J61/30 AH01L21/22 501M C04B 35/10 -35/119 特開平4−198060(JP,A) 特開平5−43308(JP,A) 特開平10−72684(JP,A) 特開平3−285865(JP,A) 特開平6−340469(JP,A) 特開昭57−129866(JP,A) 特公昭59−6831(JP,B1) 特公昭47−51801(JP,B1) 特開昭63−45167(JP,A) 13 2000219570 20000808 16 20021022 増山 淳子 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、直線透過率が高い透光性アルミナ焼結体およびその製造方法に関し、主にナトリウム放電ランプあるいはメタルハライドランプ用の発光管として、またはマイクロ波照射窓、ドライエッチャーチャンバー、搬送ハンド、真空チャック等の半導体製造装置部材、高温装置の測温窓等として、あるいは視覚的に透明感が要求される人工歯や、皿、カップ等の装飾品として、好適な透光性アルミナ焼結体の製造方法を提供することにある。【0002】【従来の技術】ナトリウム放電管等の用途においては、管を形成するアルミナ焼結体の透光性の向上がナトリウム放電ランプの輝度あるいは視認性に関係し商品価値を大きく左右する要因であることから、高透光性アルミナが要求され、従来より数々の検討がおこなわれている。(i)原料粉末;透光性アルミナの原料粉末はアルミニウム以外の元素化合物量、特に可視光を吸収する元素が少ないことが重要である。市販の原料としてはアルミニウムミョウバンの熱分解によって得られる純度99.9%以上の高純度アルミナ粉末が最も広く用いられている。また有機アルミニウムの加水分解によって得られる高純度アルミナ粉末も使われている。これらの粉末はBET比表面積が5〜50m2/gでレーザー回折散乱法による粒度分布の平均粒子径が0.5〜2.0μmであり比較的広い粒度分布を有している。通常これらの粉末に水等の溶媒、焼結助剤、有機バインダーを添加しスプレードライヤーにより造粒する。あるいはニーダーによりコンパウンドとする。【0003】(ii)焼結助剤;焼結助剤の検討は特に広く検討されている。アルミナの焼結には酸化マグネシウムを用いるのが最も一般的で、0.5重量%までの酸化マグネシウムを添加して水素雰囲気中で1750〜1900℃の範囲で焼成する技術が知られている(米国特許第3026210号明細書)。酸化マグネシウムは、焼結過程においてポアの消滅と異常粒成長を抑制し均一な結晶粒子を構成する効果を有する。しかし酸化マグネシウムの存在により焼結体粒径は小さくなる、あるいはアルミナ粒界にスピネル相を形成するために透光性が低下することが広く知られている。こうした問題に対し、酸化マグネシウムに加え、酸化ランタンをはじめとする希元素酸化物等を添加し、スピネル相の屈折率をアルミナに近づけて透光性を向上させる技術が知られている。しかしながらこの方法ではアルミニウムよりも重い微量成分を均一に分散させることが難しく、結果として焼結体組織が不均一になりやすいことや、これらの微量成分が光を吸収するために全光線透過率が低下することが問題であった。また酸化マグネシウムに加え、さらにアルミナの結晶成長を促進する効果のある酸化カルシウムを添加し、焼結体組織を大きくすることによって透光性を高める技術も知られている(特公昭54−148008号公報)。しかし組織の拡大とともに、機械的強度が低下するといった問題があった。また高純度アルミナ微粉末に酸化マグネシウムの他に酸化ジルコニウムと酸化ハフニウムを添加することによりアルミナ中への酸化マグネシウムの溶解度を促進させる方法も知られている(特公昭59−6831号公報)。【0004】(iii)製造工程;成形方法としてはプレス成形、押し出し成形が広く用いられ通常は中空管形状や平板状に成形されている。そして該成形体はまず有機添加物を除去するために空気中500〜1500℃の範囲で焼成される。さらに必要に応じて加工された後、水素あるいは水素・窒素混合ガス等の常圧還元雰囲気あるいは真空中1600〜1900℃の範囲で焼結される。また、1400〜1500℃の範囲で焼結することにより焼結体粒径を小さくし焼結体強度を高めるとともに、透光性を発現させるために熱間静水圧プレス(HIP)を用いる技術も知られている(再公表特許 国際公開番号WO95−06622)。この方法によれば酸化マグネシウムを添加しない透光性アルミナが作製できるが、▲1▼原料中もしくは仮焼体中の微量の不純物により著しく透光性が左右されるためにキレート剤による洗浄をおこなう必要があること、▲2▼添加物として高価な遷移金属元素酸化物が必要であること、▲3▼製造工程において大掛かりな高圧設備を必要とするHIPが必要であり、工程が複雑でコストが高くなること、などの問題がある。【0005】従来の高純度アルミナ粉末は一次粒子径が不定形状であり分散性が良くないために広い粒度分布であり、粗大粒子の空隙を微粒が充填するような成形体は作製できない。また従来の高純度アルミナ粉末は微粒子同士が凝集していたり、粗大粒子が不均一に存在しているため、焼結速度が不均一で粗大なポアが数多く残存する。数μm以上の粗大なポアは焼結助剤の最適化だけでは除去することが難しく、最終的な焼結体の直線透過率にも限界があった。高い透光性を得るためには、酸化マグネシウムに加え、例えば酸化ルテニウムあるいは酸化ランタンなどを添加し、粒界のスピネル相の屈折率をアルミナに近づけ、透光性を向上させる技術が知られている。しかしながらこの方法ではアルミニウムよりも重い微量成分をマトリックスに均一に分散させることが難しく、結果として焼結体組織が不均一になりやすいことや、これらの微量成分が光を吸収するために全光線透過率が低下することが問題であった。また酸化マグネシウム以外にアルミナの結晶成長を促進する効果のある酸化カルシウムを添加し、焼結体組織を大きくすることによって透光性を高める技術も知られている。しかし組織の拡大とともに、機械的強度が低下するといった問題があった。【0006】【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来と同等の結晶体組織を維持しつつ、従来よりも高い透光性を有する多結晶アルミナ焼結体を常圧還元雰囲気〜真空中で焼結することにより提供することを目的とし、詳細には該焼結体組織の平均粒径が20〜50μmで、肉厚0.85mmを通過する600nmの波長光の直線透過率が50〜70%の多結晶アルミナを提供することにあり、それによってナトリウム放電ランプあるいはメタルハライドランプ用の発光管として、またはマイクロ波照射窓等の半導体製造装置部材として好適なアルミナ焼結体の製造方法を提供することにある。【0007】【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、ある特定の実質的に破砕面を有さない、多面体一次粒子からなる、αアルミナ粉末に対して10重量%以下のBET比表面積が5〜200m2/gの微粒アルミナを添加し、さらに焼結助剤を添加した混合粉末を、成形し、常圧水素雰囲気〜真空中の条件下で1600〜1900℃の範囲で焼結することにより、目的の透光性アルミナ焼結体が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は下記の(1)〜(5)を提供する。【0008】(1)実質的に破砕面を有さない、多面体一次粒子からなるBET比表面積1〜7m2/gの純度99.99%以上のαアルミナ粉末に、該アルミナ粉末に対して10重量%以下(0を含まず)のBET比表面積が5〜200m2/gの微粒アルミナ(ただし、αアルミナの比表面積が微粒アルミナの比表面積より小さくなるように両アルミナを選択する。)、さらに焼結助剤を添加した混合粉末を、成形し、常圧水素雰囲気あるいは真空中の条件下で1600〜1900℃の範囲で焼結することを特徴とする透光性アルミナ焼結体の製造方法。(2)実質的に破砕面を有さない、多面体一次粒子からなるBET比表面積1〜7m2/gの純度99.99%以上のαアルミナ粉末に、該アルミナ粉末に対して10重量%以下(0を含まず)のBET比表面積が14〜120m2/gの微粒アルミナ、さらに焼結助剤を添加した混合粉末を、成形し、常圧水素雰囲気あるいは真空中の条件下で1600〜1900℃の範囲で焼結することを特徴とする透光性アルミナ焼結体の製造方法。(3)実質的に破砕面を有さない、多面体一次粒子からなるBET比表面積1〜7m2/gの純度99.99%以上のαアルミナ粉末に、該アルミナ粉末に対して10重量%以下(0を含まず)のBET比表面積が5〜200m2/gの微粒アルミナ(ただし、αアルミナの比表面積が微粒アルミナの比表面積より小さくなるように両アルミナを選択する。)、さらにアルミナ総量に対して、酸化物換算で10ppm以上300ppm未満のマグネシウム、あるいはさらに酸化物換算で1000ppm以下の元素周期率表の金属元素3A族元素および4A族元素から選ばれる1種類以上を添加した混合粉末を、成形し、常圧水素雰囲気あるいは真空中の条件下において1600〜1900℃の範囲で焼結して得られる透光性アルミナ焼結体の製造方法。(4)(I)上記(1)〜(3)のいずれかの混合粉末と、水あるいは有機溶媒、有機バインダー、可塑剤、分散剤、離型剤を混合し、スラリーを調整する工程、(II)該スラリーを用いて成形する工程、(III)該成形体を大気中で500〜1500℃の範囲で焼成した後、常圧水素雰囲気あるいは真空中の条件下で1600℃〜1900℃の範囲で焼結する工程、を含む上記(1)〜(3)のいずれかの透光性アルミナ焼結体の製造方法。(5)上記(1)〜(4)のいずれかに記載の方法で得られる焼結体組織の平均粒径が20〜50μmで、肉厚0.85mmを通過する600nmの波長光の直線透過率が50〜70%の多結晶アルミナ。前記多結晶アルミナを用いる各種ランプ用発光管または半導体製造装置用部材またはバイオセラミックス部材または装飾品。【0009】【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明する。本発明のアルミナ原料として用いることのできるアルミナ原料、すなわち、実質的に破砕面を有さない、多面体一次粒子からなる、BET比表面積1〜7m2/gのαアルミナ粉末は、その原料に遷移アルミナまたは熱処理により遷移アルミナとなるアルミナ粉末を、塩化水素を含有する雰囲気ガス中にて焼成することにより得られるαアルミナ粉末を挙げることができ、特開平6−191833号公報あるいは特開平6−191836号公報等に記載のαアルミナの単結晶粒子よりなるアルミナ純度が99.99%以上の高純度であるアルミナ粉末の製法に準じて得られる。【0010】本発明のアルミナ原料として、例えば、住友化学工業(株)製のスミコランダムのAA03(1次粒径0.3μm)、AA04(一次粒径0.4μm)、AA05(一次粒径0.5μm)、AA07(一次粒径0.7μm)が挙げられる。これらの純度はすべて99.99wt%以上である。【0011】この本発明に用いるαアルミナは、純度が99.99%以上の高純度であることに加え、一次粒子が均質で内部に欠陥を有さず、多面体形状の、D/H比が0.5以上3.0以下の粒子で、一次粒子同士が凝集していない単一粒子粉末を原料とすると、粒度分布がシャープなために成形体中の粒子配列が均一であり粒子間の空隙サイズが均一である。【0012】【作用】本発明に用いるαアルミナは分散性が良好であるため、 BET比表面積が5〜200m2/gの微粒アルミナが均一に混合されて、αアルミナ粒子間の空隙を充填することが出来るため、成形体中に粗大なポアが少なく、焼結後に残存するポア数が少なく、またポアも小さくなるため、高い透光性が得られる。顆粒にした場合は添加した微粒アルミナが顆粒表面に偏析するが、これにより顆粒表面のバインダー等の有機物の偏析が抑制され、また成形体の脱脂後の空隙は微粒アルミナで充填されるため、残存する粗大なポアが少なく、高い透光性の焼結体が作製できる。【0013】 本発明の主原料とするアルミナ粒子はBET比表面積が1〜7m2/gであるが、BET比表面積が1m2/g未満では成形体中のポア径が0.15μmを越えるものが存在する為、焼結中に除去できない。また緻密化するための焼結温度が1900℃以上が必要であるため好ましくない。またBET比表面積が7m2/gを越えると粒子同士が凝集するため、粒度分布がブロードとなり、粗大なポアの残存や酸化マグネシウム等の焼結助剤の偏析、BET比表面積が5〜200m2/gの微粒アルミナの偏析の原因となり、局所的な粒成長が生じ、ポアが残存するため好ましくない。さらには純度が99.99%未満では不純物が光を吸収するため透光性が低下する、あるいは不純物による局所的な異常粒成長が進行しポアが残存するため好ましくない。【0014】上記のBET比表面積が1〜7m2/gのαアルミナ粉末は純度99.99%以上のものであるが、原料中に含まれている0.01重量%未満のアルミニウム以外の元素の酸化物あるいは塩類、または1000℃以下の焼成により原料中より除去できる1重量部未満の水、有機物、ハロゲンは本発明のアルミナ焼結体の特徴を損うものではなく、許容されるものである。【0015】上記のBET比表面積が1〜7m2/gのαアルミナ粉末は、αアルミナの六方格子面に平行な最大粒子径をD、六方細密格子面に垂直な粒子径をHとした場合に、D/H比が0.5以上2.0未満であるαアルミナ粒子からなり、該αアルミナ粒子の数平均粒径が0.01μm以上1.0μm以下であり、累積粒度分布の微粒側からの累積10%、累積90%の粒径をそれぞれD10、D90としたときにD90/D10の値が10以下の粒度分布を有する粉末が好ましい。【0016】 次に、本発明のアルミナ焼結体の製造方法について説明する。 本発明では、まず上記BET比表面積が1〜7m2/gのαアルミナ粉末に、該アルミナ粉末に対して10重量%以下(0を含まず)、好ましくは0.5〜7重量%、さらに好ましくは2〜5重量%のBET比表面積が5〜200m2/gの微粒アルミナ、酸化マグネシウム等の焼結助剤あるいはさらに酸化ジルコニウムを添加した混合粉末に、溶媒、有機バインダー、可塑剤、分散剤を混合し、スラリーを調整する。次に該スラリーを用いて成形し、必要に応じ該成形体を大気中で500〜1500℃の範囲で焼成した後、得られた成形体を常圧水素雰囲気あるいは真空中の条件下で1600〜1900℃の範囲で焼結して目的とするアルミナ焼結体を製造する。【0017】本発明において添加するBET比表面積が5〜200m2/gの微粒アルミナは必ずしもα相でなくとも良い。好ましくは14〜120m2/gであり、例えば、大明化学社製のTM―DAR(BET比表面積14.4m2/g)やデグッサ社製のAl2O3−c(BET比表面積110m2/g)を挙げることができる。また特に高純度な微粒アルミナとして住友化学工業社製のAKP−30(BET比表面積6.8m2/g)を挙げることができるが、本発明はこれに限定されるものではない。【0018】焼結助剤としては、マグネシウム化合物に加えさらに、元素周期率表の金属元素3A族化合物および4A族化合物から選ばれる1種類以上を混合する。化合物としては、酸化物、硝酸塩、酢酸塩、水酸化物、塩化物等が挙げられるが、大気中での焼結時、1200℃以下で酸化物になる化合物であればよくこれに限定されない。具体的には、マグネシウム、スカンジウム、イットリウム、ジルコニウム、ハフニウム、ランタンが挙げられる。焼結助剤としては、特にマグネシウム化合物およびジルコニウム化合物が好ましく、さらには酸化マグネシウムおよび酸化ジルコニウムが好ましい。これらは、大気中での焼結時に酸化物となり焼結助剤として効果を発現する。通常、該アルミナ粉末に焼結助剤を酸化物換算で総計10ppm以上1000ppm以下、好ましくは10ppm以上300ppm未満添加する。また、用途により高純度の焼結体、例えば、99.99wt%以上が必要な場合、該アルミナ粉末に焼結助剤を酸化物換算で10〜100ppm、さらには、10〜50ppm添加することが好ましい。これらの焼結助剤が密度を上げる機構としては、明らかではないが粒界に異相として存在し粒界の成長を抑制、ポアが除外されやすくなる、また、液相を形成、それを通じてポアが除外されやすくなる等が考えられる。【0019】焼結助剤として添加するマグネシウムは加水分解あるいは焼成中に酸化物となるマグネシウム源であればどんなものでも使用することが出来るが、最も好適なものとして硝酸マグネシウムを挙げることが出来る。同様に、添加するジルコニウムは加水分解あるいは焼成中に酸化物となるジルコニウム源であればどんなものでも使用することができるが、最も好適なものとしてオキシ塩化ジルコニウムを挙げることができる。【0020】有機バインダーとしては、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、各種アクリル系ポリマー、メチルセルロース、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルブチラール系、各種ワックス、各種多糖類を用いることができるが本発明はこれらに限定されるものではない。【0021】溶媒としては使用するバインダーの種類や成形方法によって異なるが、スプレードライヤーにより顆粒を製造する場合に用いる、ポリビニルアルコールでは水が主に用いられる。処方によっては各種有機溶媒も用いることができる。【0022】分散剤としては、溶媒が水の場合は主にポリアクリル酸アンモニウム塩[例えば商品名;SN−D5468、サンノプコ(株)品]が用いられる。また有機溶媒の場合にはオレイン酸エチル、ソルビタンモノオレート、ソルビンタントリオレート、ポリカルボン酸系等が用いられるが、特に本発明で原料とするアルミナ原料粉末には、ポリエステル系[商品名;テキサホール3012、サンノプコ(株)品]が好ましいが、これらに限定されるものではない。併用する有機バインダーによっては、分散剤を用いない方が粘度の低いスラリーが作製できる。【0023】可塑剤は用いる有機バインダーによって異なるが、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチエレングリコール、グリセリン、ポリグリセリン、各種エステル系等が用いられる。特に有機溶媒を用いる場合には、ジブチルフタレート、フタル酸ジエチルヘキシル等が用いられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。【0024】本発明において、その他の添加剤として、離型剤や凝集剤やpH調整剤を添加することもできるが、アルミナ以外の溶媒や添加物中にアルミニウム以外の無機不純物がないことが重要である。【0025】次にスラリーの作製法および成形法について説明すると、まず前記アルミナ原料粉末、溶媒、分散剤を適量配合し、機械的な撹拌混合を行う。このときにボールミルによる混合は広く一般におこなわれていることであるが、本発明において原料とするアルミナ粉末は、凝集が少なく粒子形状ならびに粒子径が揃った粉末であるため、超音波槽を用いて外部より超音波を照射する、あるいは超音波ホモジナイザーにより超音波を照射することによって、溶媒中で容易に分散し、均一なスラリーとなることが特徴である。セラミックスボール等のメディアを使用しない分散方法は、アルミニウム以外の酸化物あるいは塩類の混入を避ける意味で好ましい。超音波は槽容量40リットルの場合、10キロヘルツ以上好ましくは25キロヘルツ以上の照射能力が望ましい。撹拌混合時間は該スラリーの容量によって異なるが、例えばスラリー量が10リットルの場合、30分以上おこなうことが望ましい。このように原料粉末を充分に分散させた後、有機バインダーを混合する。この混合は、例えばスラリー量が10リットルの場合、1時間以上おこなうことが望ましい。【0026】前記のように調整したスラリーを減圧下において、脱泡してもよい。また各種消泡剤を用いてもよい。またその後の成形方法によって、各種pH調整剤や凝集剤の添加により粘度を50〜10000センチポイズとしてもよい。たとえばスプレードライヤーによる造粒では球形の顆粒を作製するために、アルミナスラリーの粘度は塩酸水溶液やアンモニア水等によるpH調整で、300〜400センチポイズに調整することが好ましい。さらには静置沈降や遠心分離やロータリーエバポレーター等による減圧濃縮等により、スラリー中のアルミナ濃度を高めることもできる。【0027】本発明において、成形方法としては、前記スラリーを用いて、スリップキャスト法、遠心キャスト成形法、押出し成形法等慣用の方法を用いることができる。また前記スラリーをスプレードライ等により顆粒状とした後、プレス成形や冷間静水圧プレス成形することができる。【0028】冷間静水圧プレス成形の場合、前記スラリーをスプレードライ等により顆粒状とし、この顆粒を50〜500Kg/cm2、好ましくは200〜300kg/cm2の圧力で一軸プレス成形した後、冷間静水圧プレス成形機にて0.5〜3t/cm2、好ましくは1.0〜1.5t/cm2で等方的に加圧し、得られた成形体を所定の形状に加工する。【0029】上記の成形法で得られた成形体は、500〜1500℃の範囲で1時間以上、好ましくは900〜1200℃の範囲で3時間以上焼成し、脱脂する。その後、常圧還元雰囲気あるいは真空中で温度範囲が1600〜1900℃、好ましくは1750〜1850℃、さらに好ましくは1780〜1820℃で焼結して目的とするアルミナ焼結体を製造する。焼成温度が1600℃より低いと充分緻密化せず、また、1900℃よりも高い温度で焼成すると、焼結体粒径が大きくなり、ポアが残存したり焼結体の機械的強度が低下するため好ましくない。【0030】本発明の焼結体組織の平均粒径は20〜50μmであり、肉厚0.85mmを通過する600nmの波長光の直線透過率は50〜70%の多結晶アルミナである。本発明の焼結体はこれにより、例えば乾式成形後に水素雰囲気中で焼結する等の通常の方法により作製することにより、ナトリウム放電ランプあるいはメタルハライドランプ用の発光管として、またマイクロ波照射窓等の半導体製造装置部材、高温装置の測温窓等として、あるいは視覚的に透明感が要求される人工歯や、皿、カップ等の装飾品として、好適に用いることができる。【0031】【実施例】次に本発明の実施例を挙げ、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。【0032】なお本発明に於ける各種の測定は次のようにしておこなった。(1)BET比表面積の測定島津製作所フローソーブ2300により測定した。(2)直線透過率の測定両面をダイヤモンドスラリーを用いて鏡面研磨した厚み0.85mmの円形ペレットを島津製作所UV−1200を使用し波長600nmの透過率(スリット径0.55mm)を測定した。アルミナ透光体の焼結体組織の観察(2)で透過率測定に使用したペレットを空気中1650℃で1時間焼成し、該表面を光学顕微鏡(株式会社ニコン:T−300)を使用して倍率50倍の写真を撮影した。その写真から切片法により組織粒径を計測した。【0033】なお、比較例には、純度99.99%ではあるが、破砕面を有する多面体形状ではないアルミナ粉末として、住友化学工業(株)製のAKP−20(BET比表面積;4.2m2/g)を用いた。【0034】実施例1実質的に破砕面を有さないαアルミナとして、住友化学工業株式会社製αアルミナ粉末(商品名スミコランダムAA04)を用いた。該アルミナ粉末は8〜20面を有する多面体粒子よりなり、D/Hは1であった。BET比表面積は3.5m2/gであった。この粉末のレーザー回折散乱法による平均粒径は0.52μmであった。AA04粉末;4750g、水(溶媒);3100g、硝酸マグネシウム六水和物(試薬特級);6.4g(全アルミナ粉末に対し、酸化マグネシウムとして200ppm)、分散剤ポリカルボン酸アンモニウム40重量%水溶液((株)サンノプコ品;商品名SN−D5468);125g、さらにBET比表面積110m2/gの微粒アルミナ(デグッサ社品;商品名Al2O3−c);250gを超音波を照射しながら、30分間撹拌混合をおこなった。その後有機バインダーとしてポリビニルアルコール((株)クラレ品;商品名PVA−205C)の10重量%溶液を1000gと、可塑剤としてポリエチレングリコール#400(試薬特級)を10g添加し、60分間撹拌混合してスラリーを調製した。このスラリーを、スプレードライヤーにより噴霧乾燥し顆粒を作製した。この顆粒を含水率0.5重量%に調湿した後、金型に充填し、油圧式一軸プレス成形機で0.3t/cm2の荷重で、さらに冷間静水圧プレスにより1.5t/cm2の荷重で、直径;20mm、高さ;5mmの円柱成形体を作製した。次にこの成形体を大気中900℃で3時間焼成し、有機バインダーを除去した後、水素中(露点0℃)1800℃で4時間焼成した。得られた焼結体の透過率は54%であった。焼結体組織の平均粒径は36μmであった。【0035】実施例2実施例1に記載のAA04粉末;4900g、水;3100g、硝酸マグネシウム六水和物;6.4g、分散剤SN−D5468;125g、さらにBET比表面積14.4m2/gの微粒アルミナ(大明化学社品;商品名TM−DAR);100gを超音波を照射しながら、30分間撹拌混合をおこなった。その後有機バインダーとしてPVA205Cの10重量%溶液を1000gと、可塑剤としてポリエチレングリコール#400を10g添加し、60分間撹拌混合してスラリーを調製した。このスラリーを、スプレードライヤーにより噴霧乾燥し顆粒を作製した。この顆粒を含水率0.5重量%に調湿した後、金型に充填し、油圧式一軸プレス成形機で0.3t/cm2の荷重で、さらに冷間静水圧プレスにより1.0t/cm2の荷重で、直径;20mm、高さ;5mmの円柱成形体を作製した。次にこの成形体を大気中900℃で3時間焼成し、有機バインダーを除去した後、水素中1800℃で4時間焼成した。得られた焼結体の透過率は52%であった。焼結体組織の平均粒径は40μmであった。【0036】実施例3実施例1に記載のAA04粉末;4900g、水;3100g、硝酸マグネシウム六水和物;4.8g、オキシ塩化ジルコニウム;3.9g(全アルミナ粉末に対し、酸化ジルコニウムとして300ppm)、分散剤SN−D5468;125g、さらにBET比表面積14.4m2/gの微粒アルミナ(大明化学社品;商品名TM−DAR);100gを超音波を照射しながら、30分間撹拌混合をおこなった。その後有機バインダーとしてPVA205Cの10重量%溶液を1000gと、可塑剤としてポリエチレングリコール#400を10g添加し、60分間撹拌混合してスラリーを調製した。このスラリーを、スプレードライヤーにより噴霧乾燥し顆粒を作製した。この顆粒を含水率0.5重量%に調湿した後、金型に充填し、油圧式一軸プレス成形機で0.3t/cm2の荷重で、さらに冷間静水圧プレスにより1.5t/cm2の荷重で、直径;20mm、高さ;5mmの円柱成形体を作製した。次にこの成形体を大気中900℃で3時間焼成し、有機バインダーを除去した後、水素中(露点;0℃)1820℃で4時間焼成した。得られた焼結体の透過率は63%であった。焼結体組織の平均粒径は40μmであった。【0037】実施例4実質的に破砕面を有さないαアルミナとして、住友化学工業株式会社製αアルミナ粉末(商品名スミコランダムAA07)を用いた。該アルミナ粉末は8〜20面を有する多面体粒子よりなり、D/Hは1であった。BET比表面積は2.8m2/gであった。この粉末のレーザー回折散乱法による平均粒径は0.78μmであった。AA07粉末;4900g、水(溶媒);3100g、硝酸マグネシウム六水和物;6.4g、分散剤SN−D5468;125g、さらにTM−DAR;100gを超音波を照射しながら、30分間撹拌混合をおこなった。その後有機バインダーとしてPVA−205Cの10重量%溶液を1000gと、可塑剤としてポリエチレングリコール#400を10g添加し、60分間撹拌混合してスラリーを調製した。このスラリーを、スプレードライヤーにより噴霧乾燥し顆粒を作製した。この顆粒を含水率0.5重量%に調湿した後、金型に充填し、油圧式一軸プレス成形機で0.3t/cm2の荷重で、さらに冷間静水圧プレスにより1.5t/cm2の荷重で、直径;20mm、高さ;5mmの円柱成形体を作製した。次にこの成形体を大気中900℃で3時間焼成し、有機バインダーを除去した後、水素中(露点0℃)1820℃で4時間焼成した。得られた焼結体の透過率は55%であった。焼結体組織の平均粒径は38μmであった。【0038】実施例5実施例1のAA04粉末;4900g、水(溶媒);3100g、硝酸マグネシウム六水和物;6.4g、分散剤SN−D5468;125g、さらにBET比表面積6.8m2/gの微粒アルミナ(住友化学社品;商品名AKP−30);100gを超音波を照射しながら、30分間撹拌混合をおこなった。その後有機バインダーとしてPVA−205Cの10重量%溶液を1000gと、可塑剤としてポリエチレングリコール#400を10g添加し、60分間撹拌混合してスラリーを調製した。このスラリーを、スプレードライヤーにより噴霧乾燥し顆粒を作製した。この顆粒を含水率0.5wt%に調湿した後、金型に充填し、油圧式一軸プレス成形機で0.3t/cm2の荷重で、さらに冷間静水圧プレスにより1.5t/cm2の荷重で、直径;20mm、高さ;5mmの円柱成形体を作製した。次にこの成形体を大気中900℃で3時間焼成し、有機バインダーを除去した後、水素中(露点0℃)1820℃で4時間焼成した。得られた焼結体の透過率は51%であった。焼結体組織の平均粒径は35μmであった。【0039】実施例6実施例3の円柱成形体を大気中900℃で3時間焼成した後、真空中(10-2torr)1800℃で4時間焼成した。得られた焼結体の透過率は53%であった。焼結体組織の平均粒径は44μmであった。【0040】実施例7実施例1のAA04粉末;98g、エタノール(溶媒);100g、硝酸マグネシウム六水和物(試薬特級);0.096g(全アルミナ粉末に対し、酸化マグネシウムとして150ppm)、オキシ塩化ジルコニウム;0.078g(全アルミナ粉末に対し、酸化ジルコニウムとして300ppm)、さらにTM−DAR;2gを超音波を照射しながら、30分間撹拌混合をおこなった。その後ロータリーエバポレーターにより、エタノールを除去し、得られたケーキを150℃で熱風乾燥した。乾燥物を乳鉢で解砕し、アルミナ粉末を得た。この粉末を油圧式一軸プレス成形機で0.3t/cm2の荷重で、さらに冷間静水圧プレスにより0.7t/cm2の荷重で、直径;20mm、高さ;5mmの円柱成形体を作製した。次にこの成形体を大気中900℃で3時間焼成した後、水素中(露点0℃)1820℃で4時間焼成した。得られた焼結体の透過率は65%であった。焼結体組織の平均粒径は36μmであった。【0041】実施例8実質的に破砕面を有さないαアルミナとして、住友化学工業株式会社製αアルミナ粉末(商品名スミコランダムAA03)を用いた。該アルミナ粉末は8〜20面を有する多面体粒子よりなり、D/Hは1であった。BET比表面積は4.5m2/gであった。この粉末のレーザー回折散乱法による平均粒径は0.45μmであった。AA03粉末;4900g、水(溶媒);3100g、硝酸マグネシウム六水和物;4.8g、オキシ塩化ジルコニウム;3.9g、分散剤SN−D5468;125g、さらにTM−DAR;100gを超音波を照射しながら、30分間撹拌混合をおこなった。その後有機バインダーとしてPVA−205Cの10重量%溶液を1000gと、可塑剤としてポリエチレングリコール#400を10g添加し、60分間撹拌混合してスラリーを調製した。このスラリーを、スプレードライヤーにより噴霧乾燥し顆粒を作製した。この顆粒を含水率0.5重量%に調湿した後、金型に充填し、油圧式一軸プレス成形機で0.3t/cm2の荷重で、さらに冷間静水圧プレスにより1.5t/cm2の荷重で、直径;20mm、高さ;5mmの円柱成形体を作製した。次にこの成形体を大気中900℃で3時間焼成し、有機バインダーを除去した後、水素中(露点0℃)1800℃で4時間焼成した。得られた焼結体の透過率は58%であった。焼結体組織の平均粒径は40μmであった。【0042】比較例1実施例1のAA04粉末;5000g、水(溶媒);3100g、硝酸マグネシウム六水和物;6.4g、分散剤SN−D5468;125g、を超音波を照射しながら、30分間撹拌混合をおこなった。その後有機バインダーとしてPVA−205Cの10重量%溶液を1000gと、可塑剤としてポリエチレングリコール#400を10g添加し、60分間撹拌混合してスラリーを調製した。このスラリーを、スプレードライヤーにより噴霧乾燥し顆粒を作製した。この顆粒を含水率0.5重量%に調湿した後、金型に充填し、油圧式一軸プレス成形機で0.3t/cm2の荷重で、さらに冷間静水圧プレスにより1.5t/cm2の荷重で、直径;20mm、高さ;5mmの円柱成形体を作製した。次にこの成形体を大気中900℃で3時間焼成し、有機バインダーを除去した後、水素中(露点0℃)1820℃で4時間焼成した。得られた焼結体の透過率は42%であった。焼結体組織の平均粒径は35μmであった。【0043】比較例2比較例1の円柱成形体を大気中900℃で3時間焼成した後、真空中(10ー2torr)1800℃で4時間焼成した。得られた焼結体の透過率は40%であった。焼結体組織の平均粒径は40μmであった。【0044】比較例3実施例1のAA04粉末;5000g、水(溶媒);3100g、硝酸マグネシウム六水和物;4.8g、オキシ塩化ジルコニウム;3.9g、分散剤SN−D5468;125g、を超音波を照射しながら、30分間撹拌混合をおこなった。その後有機バインダーとしてPVA−205Cの10重量%溶液を1000gと、可塑剤としてポリエチレングリコール#400を10g添加し、60分間撹拌混合してスラリーを調製した。このスラリーを、スプレードライヤーにより噴霧乾燥し顆粒を作製した。この顆粒を含水率0.5重量%に調湿した後、金型に充填し、油圧式一軸プレス成形機で0.3t/cm2の荷重で、さらに冷間静水圧プレスにより1.5t/cm2の荷重で、直径;20mm、高さ;5mmの円柱成形体を作製した。次にこの成形体を大気中900℃で3時間焼成し、有機バインダーを除去した後、水素中(露点0℃)1820℃で4時間焼成した。得られた焼結体の透過率は45%であった。焼結体組織の平均粒径は38μmであった。【0045】比較例4本比較例4では、純度99.99%のアルミナ原料粉末(住友化学工業(株)商品名;AKP−20)を使用した。このアルミナ粉末の一次粒子は多面体形状ではない不定形粒子であり、D/Hが2より大きかった。またこの粒子のBET比表面積は4.2m2/gであった。この粉末のレーザー回折散乱法による平均粒子径は0.54μmであった。AKP−20粉末;5000g、水;3100g、硝酸マグネシウム6水和物;6.4g(全アルミナ粉末に対し、酸化マグネシウムとして200ppm)、さらにBET比表面積110m2/gの微粒アルミナ(デグッサ社品;商品名Al2O3−c);250gを添加し、超音波を照射しながら30分間撹拌混合をおこなった。この後さらに有機バインダーとしてPVA205cの10重量%溶液を1000g、可塑剤としてポリエチレングリコール(重合度400)を10gを添加し、60分間攪拌混合してスラリーを調製した。このスラリーをスプレードライヤーにより噴霧乾燥し、顆粒を作製した。この顆粒を含水率0.5重量%に調湿した後、金型に充填し、油圧式一軸プレス成形機で0.7t/cm2の荷重で、さらに冷間静水圧プレスで1.5t/cm2の荷重で、直径;20mm、高さ;10mmの円柱成形体を作製した。次にこの成形体を大気中900℃で3時間焼成した後、水素中(露点;0℃)にて1820℃で4時間焼成した。得られた焼結体は白濁しており透光性は得られなかった。焼結体組織の平均粒径は35μmであった。焼結体中には1μmを越えるポアが多数残存していた。また50μmを越える粗大な組織も観察された。【0046】比較例5比較例4のAKP−20粉末;5000g、水;3100g、硝酸マグネシウム6水和物;6.4g、さらにBET比表面積14.4m2/gの微粒アルミナ(大明化学社品;商品名TM−DAR);100gを超音波を照射しながら30分間撹拌混合をおこなった。その後鉄球入りプラスチックボールをメディアとして3時間ボールミルをおこなった。この後さらに有機バインダーとしてPVA205cの10重量%溶液を1000g、可塑剤としてポリエチレングリコール(重合度400)を10gを同時に添加し、3時間ボールミルをおこないスラリーを調製した。このスラリーをスプレードライヤーにより噴霧乾燥し、顆粒を作製した。この顆粒を含水率0.5重量%に調湿した後、金型に充填し、油圧式一軸プレス成形機で0.7t/cm2の荷重で、さらに冷間静水圧プレスで1.5t/cm2の荷重で、直径;20mm、高さ;10mmの円柱成形体を作製した。次にこの成形体を大気中1200℃で3時間焼成した後、水素中(露点;0℃)にて1820℃で4時間焼成した。得られた焼結体の透過率は10%であった。焼結体組織の平均粒径は35μmであった。【0047】比較例6比較例1のAKP−20;4900g、水(溶媒);5000g、硝酸マグネシウム6水和物;4.8g、オキシ塩化ジルコニウム;3.9g、さらにBET比表面積14.4m2/gの微粒アルミナ(TM−DAR);100gを超音波を照射しながら、30分間撹拌混合をおこなった。その後鉄球入りプラスチックボールをメディアとして、3時間ボールミルをおこなった。この後さらに有機バインダーとしてPVA205cの10重量%溶液を1000g、可塑剤としてポリエチレングリコール(重合度400)を10gを同時に添加し、3時間ボールミルをおこないスラリーを調製した。このスラリーをスプレードライヤーにより噴霧乾燥し、顆粒を作製した。この顆粒を含水率0.5重量%に調湿した後、金型に充填し、油圧式一軸プレス成形機で0.7t/cm2の荷重で、さらに冷間静水圧プレスで1.5t/cm2の荷重で、直径;20mm、高さ;10mmの円柱成形体を作製した。次にこの成形体を大気中900℃で3時間焼成した後、水素中(露点;0℃)にて1820℃で4時間焼成した。得られた焼結体の透過率は15%であり、焼結体組織は38μmであった。【0048】比較例7比較例6の円柱成形体を大気中900℃で3時間焼成した後、真空中(10ー2torr )1800℃で4時間焼成した。得られた焼結体は白濁しており透光性は得られなかった。この焼結体の組織は40μmであった。焼結体中には1μmを越えるポアが多数残存していた。また50μmを越える粗大な組織も観察された。【0049】比較例8比較例1のAKP−20;4900g、水(溶媒);5000g、硝酸マグネシウム6水和物;6.4g、さらにBET比表面積6.8m2/gの微粒アルミナ(AKP−30);100gを超音波を照射しながら、30分間撹拌混合をおこなった。その後鉄球入りプラスチックボールをメディアとして、3時間ボールミルをおこなった。この後さらに有機バインダーとしてPVA205cの10重量%溶液を1000g、可塑剤としてポリエチレングリコール(重合度400)を10gを同時に添加し、3時間ボールミルをおこないスラリーを調製した。このスラリーをスプレードライヤーにより噴霧乾燥し、顆粒を作製した。この顆粒を含水率0.5重量%に調湿した後、金型に充填し、油圧式一軸プレス成形機で0.7t/cm2の荷重で、さらに冷間静水圧プレスで1.5t/cm2の荷重で、直径;20mm、高さ;10mmの円柱成形体を作製した。次にこの成形体を大気中900℃で3時間焼成した後、水素中(露点;0℃)にて1820℃で4時間焼成した。得られた焼結体の透過率は10%であり、焼結体組織の平均粒径は35μmであった。【0050】以上、実施例1〜8と比較例1、2、3をみると、破砕面を有さない多面体一次粒子からなるαアルミナ粉末に微粒アルミナを添加すると焼結体の直線透過率が向上することがわかる。実施例1〜8と比較例4〜8をみると、破砕面を有し、多面体一次粒子ではないαアルミナ粉末に微粒アルミナを混合しても、焼結体の直線透過率は向上せず、逆に低下する傾向にあることがわかる。以上の結果を下表に示す。【0051】【表1】【0052】【発明の効果】本発明の製造方法により、直線透過率が高い透光性アルミナ焼結体を取得でき、該アルミナ焼結体は、主にナトリウム放電ランプあるいはメタルハライドランプ用の発光管として、または半導体製造装置部材、高温装置の測温窓等に用いることができる。 実質的に破砕面を有さない、多面体一次粒子からなるBET比表面積1〜7m2/gの純度99.99%以上のαアルミナ粉末に、該アルミナ粉末に対して10重量%以下(0を含まず)のBET比表面積が5〜200m2/gの微粒アルミナ(ただし、αアルミナの比表面積が微粒アルミナの比表面積より小さくなるように両アルミナを選択する。)、さらに焼結助剤を添加した混合粉末を、成形し、常圧水素雰囲気あるいは真空中の条件下で1600〜1900℃の範囲で焼結することを特徴とする透光性アルミナ焼結体の製造方法。 実質的に破砕面を有さない、多面体一次粒子からなるBET比表面積1〜7m2/gの純度99.99%以上のαアルミナ粉末に、該アルミナ粉末に対して10重量%以下(0を含まず)のBET比表面積が14〜120m2/gの微粒アルミナ、さらに焼結助剤を添加した混合粉末を、成形し、常圧水素雰囲気あるいは真空中の条件下で1600〜1900℃の範囲で焼結することを特徴とする透光性アルミナ焼結体の製造方法。 焼結助剤がマグネシウム化合物である請求項1または2記載の透光性アルミナ焼結体の製造方法。 焼結助剤がマグネシウム化合物に加えさらに、元素周期率表の金属元素3A族化合物および4A族化合物から選ばれる1種類以上である請求項1〜3のいずれかに記載の透光性アルミナ焼結体の製造方法。 マグネシウム化合物の添加量がアルミナ総量に対して、酸化物換算で10ppm以上300ppm未満である請求項3または4記載の透光性アルミナ焼結体の製造方法。 実質的に破砕面を有さない、多面体一次粒子からなるBET比表面積1〜7m2/gの純度99.99%以上のαアルミナ粉末に、該アルミナ粉末に対して10重量%以下(0を含まず)のBET比表面積が5〜200m2/gの微粒アルミナ(ただし、αアルミナの比表面積が微粒アルミナの比表面積より小さくなるように両アルミナを選択する。)、さらにアルミナ総量に対して、酸化物換算で10ppm以上300ppm未満のマグネシウム、あるいはさらに酸化物換算で1000ppm以下の元素周期率表の金属元素3A族元素および4A族元素から選ばれる1種類以上を添加した混合粉末を、成形し、常圧水素雰囲気あるいは真空中の条件下において1600〜1900℃の範囲で焼結して得られる透光性アルミナ焼結体の製造方法。 αアルミナに対して、0.5〜7重量%の微粒アルミナ(ただし、αアルミナの比表面積が微粒アルミナの比表面積より小さくなるように両アルミナを選択する。)を添加する請求項1〜6のいずれかに記載の透光性アルミナ焼結体の製造方法。 (1)請求項1〜7のいずれかに記載の混合粉末と、水あるいは有機溶媒、有機バインダー、可塑剤、分散剤、離型剤を混合し、スラリーを調整する工程、(2)該スラリーを用いて成形する工程、(3)該成形体を大気中で500〜1500℃の範囲で焼成した後、常圧水素雰囲気あるいは真空中の条件下で1600℃〜1900℃の範囲で焼結する工程、を含む請求項1〜7のいずれかに記載の透光性アルミナ焼結体の製造方法。 請求項1〜8のいずれかに記載の方法で得られる焼結体組織の平均粒径が20〜50μmで、肉厚0.85mmを通過する600nmの波長光の直線透過率が50〜70%の多結晶アルミナ。 請求項9記載の多結晶アルミナを用いるランプ用発光管。 請求項9記載の多結晶アルミナを用いる半導体製造装置用部材。 請求項9記載の多結晶アルミナを用いるバイオセラミックス部材。 請求項9記載の多結晶アルミナを用いる装飾品。


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