生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_N−モノブロモイソシアヌル酸金属塩水和物及びその製造法
出願番号:1999019217
年次:2010
IPC分類:C07D 251/36


特許情報キャッシュ

鈴木 秀雄 橋場 功 嶋田 雅夫 杉山 泰久 JP 4479863 特許公報(B2) 20100326 1999019217 19990128 N−モノブロモイソシアヌル酸金属塩水和物及びその製造法 日産化学工業株式会社 000003986 鈴木 秀雄 橋場 功 嶋田 雅夫 杉山 泰久 20100609 C07D 251/36 20060101AFI20100520BHJP JPC07D251/36 Z C07D251/36 CAPLUS/REGISTRY(STN) 特開昭53−015391(JP,A) 国際公開第97/007188(WO,A1) 特開昭59−033272(JP,A) 特開昭51−118782(JP,A) 米国特許第03147254(US,A) ポーランド国特許第163441号明細書 GOTTARDI,W.,Reaction of bromine with alkali cyanurates,Monatshefte fuer Chemie,1967年,Vol.98, No.2,p.507-12 3 2000219681 20000808 5 20060117 榎本 佳予子 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、式(1)【0002】【化2】【0003】(式中、Mはアルカリ金属、nは0.1〜3を表す。)で表されるN−モノブロモイソシアヌル酸金属塩水和物及びその製造法に関する。N−モノブロモイソシアヌル酸金属塩水和物は、工業有機化学品を選択的に臭素化する試剤として有用である。また、工業用殺菌剤や消毒剤として有用である。【0004】【従来の技術】従来、イミド型ブロム化剤としては、N−ブロモコハク酸(NBS)や、1,3−ジブロモ−5,5−ジメチルヒダントインが知られている。しかし、これらは、ラジカル反応型臭素化剤のため臭素化位置選択性が必ずしも好ましくない。【0005】また、ポーランド特許163441号に記載のN−モノブロモイソシアヌル酸ナトリウムは、臭素化反応の選択性は、改善されるものの、無水物であることから、吸水性があり、実用的には、保存安定性に問題があった。【0006】【発明が解決しようとする課題】芳香環やヘテロ環の特定の位置を臭素化する際にはイオン反応型臭素化剤が必要であり、本発明者らは上記の課題を解決するために種々の臭素化剤について鋭意研究した結果、高い位置選択性で臭素化するイオン型臭素化剤を見出し、本発明を完成した。【0007】本発明の目的は、芳香環やヘテロ環の臭素化を高い位置選択性で行うことができるイオン型臭素化剤の提供にある。【0008】【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を解決するため、鋭意研究を行った結果本発明を完成するに至った。即ち本発明は、式(1)【0009】【化3】【0010】(式中、Mはアルカリ金属、nは0.1〜3を表す。)で表されるN−モノブロモイソシアヌル酸金属塩水和物に関する。また、シアヌル酸のアルカリ性水溶液に臭素を10〜50℃で反応させた後、二酸化炭素で中和し、析出した沈殿を濾取し、水洗後、20〜60℃で乾燥することを特徴とする前記式(1)で表されるN−モノブロモイソシアヌル酸金属塩水和物(以下SMBIと略記する。)の製造法に関する。以下、本発明を詳細に説明する。【0011】【発明の実施の形態】上記した本発明の化合物及びその製造法は次の反応式によって示される。【0012】【化4】【0013】(式中、Mはアルカリ金属、nは0.1〜3を表す。)即ち、シアヌル酸(以下CAと略記する。)をアルカリ金属水酸化物の水溶液に溶かし、シアヌル酸トリアルカリ金属塩(以下[中1]と略記する。)を得る。アルカリ金属塩の種類としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及び水酸化セシウムが挙げられる。好ましくは、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムである。アルカリ金属の使用量は、CAに対して3.0〜3.3当量、より好ましくは3.0〜3.1当量である。【0014】次に、得られた[中1]の水溶液中に臭素を滴下し、N−ブロモイソシアヌル酸二アルカリ金属塩(以下[中2]と略記する。)を得る。臭素の量は、CAに対して1.0〜1.1当量、より好ましくは1.0〜1.05当量である。臭素の添加速度は、滴下した臭素が脱色するのを確認して行うのが好ましい。反応時間は、滴下した臭素の色がほぼ消えた時間で反応終了とする。【0015】更に[中2]に二酸化炭素を挿入し中和して、目的のSMBIが得られる。二酸化炭素の量は、CAに対して1〜1.5当量、好ましくは1.1〜1.2当量である。反応温度は、5〜40℃、好ましくは10〜30℃である。【0016】次に、このスラリー液を濾過した後、結晶を水洗及び減圧乾燥する。温度は、20〜60℃、より好ましくは40〜60℃間で恒量になるまで行う。この温度で乾燥することにより付着水は除去され、SMBIの3/2水和物で一定になる。この水和物は、室温解放系で静置させても吸湿することなく安定であった。この水分量は、N2気流中120℃でのカールフィッシャー法による測定と、TG熱分析での測定値から確認された。【0017】SMBI製品が、付着水を含んで良い場合は、20〜60℃での乾燥を完全にせず、水分含量を3/2水和物以上することもできる。例えば付着水と結晶水を合わせてSMBI・3水和物とすることができる。また、60℃を越えた高い温度で減圧乾燥した場合は、結晶水含量をが3/2水和物以下から無水物まで減少させることもできる。例えばSMBI・0.1水和物にすることもできる。但し、この場合は、大気下で吸湿性となり3/2水和物に戻って安定となる。【0018】従って、実用的には、付着水を除いて、結晶水のみとしたSMBI・3/2水和物まで乾燥することが製品管理上好ましい。生成物のSMBI・水和物の有効臭素量は、ヨウ素滴定法によって容易に測定することができる。尚、本製造法は、連続法で実施することもできる。【0019】【実施例】以下に実施例を挙げ、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。実施例1水155mLに水酸化ナトリウム12g(0.3モル)を溶解後、25℃でシアヌル酸(CA)12.9g(0.1モル)を撹拌下に添加溶解させた。続いて、反応器を20℃に冷却し、臭素8.0g(0.1モル)を30分かけて滴下した。その後、更に25℃で3時間撹拌を継続し、臭素の色が完全に退色するのを確認した。次に、反応器を再び20℃にやや冷却してから二酸化炭素ガス2.46L(0.11モル)を30分間で送入した。二酸化炭素ガスの送入終了後、25℃で1時間撹拌してから析出した白色結晶を濾過した。このケーキを水30mLで3回洗浄した後、45℃で10時間減圧乾燥し、白色結晶25.6gを得た。この白色結晶の分析を以下の通り行った。【0020】SMBI純度:ヨウ素滴定法:電位差自動滴定装置(京都電子工業社製)(電極:#100−M111白金電極、#100−R116複合ガラス電極、滴定液:1/10Na2S2O4水溶液)純度91.0%水分:カールフィシャー、120℃昇温法(乾燥空気気流下)(京都電子工業社製 MKC−210)9.0%(3/2水和物)TG−DTA:150.2〜174℃間に9.3重量%の重量減少が見られた。【0021】従って、N−ブロモイソシアヌル酸ナトリウム3/2水和物が収率99.5%で得られた。このものは、60℃で6時間再度減圧乾燥した。しかし重量減少は認められなかった。【0022】参考例1実施例1で得られたN−ブロモイソシアヌル酸ナトリウム・3/2水和物10.0gを120℃の油浴で6時間減圧乾燥すると結晶重量は9.10gで恒量になった。この乾燥品9.10gをシャーレに採り、25℃で20時間、開放下で静置した結果、重量が10.0gとなった。さらに2日間静置しても変わらなかった。【0023】参考例2実施例1で得られたN−ブロモイソシアヌル酸ナトリウム・3/2水和物10.0gを参考例1と同様にシャーレに採り、25℃で20時間、開放下で静置した。しかし重量の変化は認められなかった。即ち、N−ブロモイソシアヌル酸ナトリウム無水物は、大気下に於いて容易に吸水するが、3/2水塩は、解放放置しても安定であった。【0024】【発明の効果】本発明のN−モノブロモイソシアヌル酸金属塩水和物は、保存安定性に優れた化合物であり、高い位置選択性で臭素化するイオン型臭素化剤である。 式(1)で表されるN−モノブロモイソシアヌル酸金属塩水和物。 シアヌル酸の水酸化ナトリウム水溶液に臭素を10〜50℃で反応させた後、二酸化炭素で中和し、析出した沈殿を濾取し、水洗後、20〜60℃で乾燥することを特徴とする請求項1記載の式(1)で表されるN−モノブロモイソシアヌル酸金属塩水和物の製造法。 該水酸化ナトリウム水溶液で、水酸化ナトリウムの量がシアヌル酸に対して3.0〜3.3当量である請求項2記載のN−モノブロモイソシアヌル酸金属塩水和物の製造法。


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