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タイトル:特許公報(B2)_新規な4,4−ジフルオロベンゾアゼピンケタール誘導体、およびそれを経由する4,4−ジフルオロベンゾアゼピン−5−オン誘導体の製造方法
出願番号:1999007760
年次:2009
IPC分類:C07D 223/16


特許情報キャッシュ

田村 龍比古 向野 孝元 河田 恒佐 荒井 昭治 JP 4374088 特許公報(B2) 20090911 1999007760 19990114 新規な4,4−ジフルオロベンゾアゼピンケタール誘導体、およびそれを経由する4,4−ジフルオロベンゾアゼピン−5−オン誘導体の製造方法 東ソ−・エフテック株式会社 591180358 アステラス製薬株式会社 000006677 岸田 正行 100067541 高野 弘晋 100103506 田村 龍比古 向野 孝元 河田 恒佐 荒井 昭治 20091202 C07D 223/16 20060101AFI20091112BHJP JPC07D223/16 A C07D 223/16 WPI CAplus(STN) REGISTRY(STN) CASREACT(STN) 特開平08−231512(JP,A) 国際公開第95/006035(WO,A1) Journal of the American Chemical Society,1990年,112(23),8563-75 Journal of the American Chemical Society,1980年,102(14),4845-6 7 2000212165 20000802 13 20051202 岡部 佐知子 【0001】【産業上の利用分野】 アルギニンバゾプレシン拮抗薬は、高血圧の治療薬として重要な医薬品である。本発明は、アルギニンバゾプレシン拮抗薬の出発物質として有用なジフルオロメチレン基を有する4,4−ジフルオロベンゾアゼピン−5−オン誘導体の製造方法に関するものである。さらに、詳しくは4,4−ジフルオロベンゾアゼピン−5−オン誘導体の前駆体として新規な4,4−ジフルオロベンゾアゼピンケタール誘導体及びその製造方法、さらには4,4−ジフルオロベンゾアゼピンケタール誘導体から容易に導かれる4,4−ジフルオロベンゾアゼピン−5−オン誘導体の製造方法に関するものである。【0002】【従来の技術】 医農薬をはじめとする各種生理活性物質にフッ素原子を導入すると、フッ素原子の持つ強い電子吸引性効果や脂溶性効果が反映され、活性の増強や持続のみならず、しばしば新たな薬理活性が発現することが見出されるようになった。このため、含フッ素有機化合物の合成研究は、近年ますます活発に行われるようになってきている。【0003】 含フッ素有機化合物を合成する方法として、親電子的なフッ素化剤、例えば、N−フルオロピリジニウム塩を用いて、フッ素原子を導入する方法(例えば、J.Am.Chem.Soc. 1990,112,8563−8575)が有効な手段のひとつであることは良く知られている。特開平8−231512には、アルギニンバゾプレシン拮抗薬の原料として極めて重要な、4,4−ジフルオロベンゾアゼピン−5−オン誘導体を合成する方法として、親電子型フッ素化剤としてN−フルオロピリジニウム塩を用いた製造方法について記載されている。【0004】 しかしながら、本発明者らが特開平8−231512に記載の方法を忠実に追試した結果、本引例は、1)高価なフッ素化剤を原料に対して多量に使用しなければならないこと、2)目的物の収率が30%以下と極めて低いこと、3)目的物の精製にカラムクロマトグラフィーを使用しなくてはならないこと、4)反応時間が極めて長く、7日以上必要なこと等、必ずしも工業的に優れた製造方法であるとは言い難いことが明らかとなった。【0005】【発明が解決しようとする課題】 アルギニンバゾプレシン拮抗薬の原料として極めて重要な、4,4−ジフルオロベンゾアゼピン−5−オン誘導体の従来の製造方法は、高価なフッ素化剤を大量に使用する必要があったり、目的とする化合物の収率が低く、目的物の精製にカラムクロマトグラフィーを使用しなくてはならなかったり、反応時間が頗る長いなど工業的に大量に製造するには幾つかの致命的な欠陥を有していた。【0006】 そこで、本発明が解決しようとする課題は、前述の問題がなく、工業的な大量合成が可能な4,4−ジフルオロベンゾアゼピン−5−オン誘導体の製造方法を提供することにある。【0007】【課題を解決するための手段】 本発明者らは、前述の現状に鑑み、4,4−ジフルオロベンゾアゼピン−5−オン誘導体の製造方法について鋭意検討を行った。その結果、2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾアゼピン−5−オン誘導体から合成される一般式(2)【0008】【化9】【0009】(ここで、R1はアルキル基であり、R3はアミノ基の保護基であり、R4は水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基、低級アルケニル基、低級アルコキシ基、保護基で保護されたアミノ基またはアリール基を表わす)で表される5−アルコキシベンゾアゼピン誘導体を、酸の存在下に親電子型フッ素化剤でフッ素化した後、加水分解することにより得られる、新規な一般式(1)【0010】【化10】【0011】(ここで、R2は水素原子、R1、R3およびR4は前記定義に同じ)で表される4,4−ジフルオロベンゾアゼピンケタール誘導体を得て、更にこれを加水分解すると、対応する一般式(4)【化11】(ここで、R3、R4は前記定義に同じ)で表される4,4−ジフルオロベンゾアゼピン−5−オン誘導体が、短時間の内に高収率で得られることを見出し、本発明を完成するに至った。【0012】 すなわち、請求項1に記載した本発明は、前記一般式(1)【0013】【化12】【0014】(ここで、R1はアルキル基であり、R2は水素原子、R3はアミノ基の保護基であり、R4は水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基、低級アルケニル基、低級アルコキシ基、保護基で保護されたアミノ基またはアリール基である)で表される新規な4,4−ジフルオロベンゾアゼピンケタール誘導体に関するものである。【0015】 請求項2に記載した本発明は、前記一般式(2)【0016】【化13】【0017】(ここで, R1、R3、R4は、対応する一般式(1)と同一の意味を表す)で表される5−アルコキシベンゾアゼピン誘導体を親電子型フッ素化剤によりフッ素化し、しかる後に加水分解することを特徴とする、前記一般式(1)で表される4,4−ジフルオロベンゾアゼピンケタール誘導体の製造方法に関するものである。【0018】 請求項3に記載した本発明は、親電子型フッ素化剤が、 N−フルオロピリジニウム塩であることを特徴とする、請求項2に記載の4,4−ジフルオロベンゾアゼピンケタール誘導体の製造方法に関するものである。【0019】 請求項4に記載した本発明は、酸の存在下にフッ素化することを特徴とする請求項2または請求項3に記載の4,4−ジフルオロベンゾアゼピンケタール誘導体の製造方法に関するものである。【0020】 請求項5に記載した本発明は、使用するフッ素化剤の量が2.0ないし3.0当量である、請求項2ないし請求項4に記載の4,4−ジフルオロベンゾアゼピンケタール誘導体の製造方法に関するものである。【0021】 請求項6に記載した本発明は、前記一般式(1)で表される4,4−ジフルオロベンゾアゼピンケタール誘導体を加水分解することを特徴とする、一般式(4)で表される4,4−ジフルオロベンゾアゼピン−5−オン誘導体の製造方法に関するものである。【0022】 請求項7に記載した本発明は、前記一般式(2)で表される5−アルコキシベンゾアゼピン誘導体を、酸の存在下に2.0ないし3.0当量のNーフルオロピリジニウム塩によりフッ素化し、前記一般式(1)で表される4,4−ジフルオロベンゾアゼピンケタール誘導体とした後、これを単離することなく加水分解することを特徴とする、前記一般式(4)で表される4,4−ジフルオロベンゾアゼピン−5−オン誘導体の製造方法に関するものである。【0023】【発明の実施の形態】 本発明によれば、5−アルコキシベンゾアゼピン誘導体(2)を、2.0ないし3.0当量の親電子型フッ素化剤によりフッ素化した後、加水分解することによって得られる新規な4,4−ジフルオロベンゾアゼピンケタール誘導体(1)を更に加水分解することによって、アルギニンバゾプレシン拮抗薬の原料として極めて重要な4,4−ジフルオロベンゾアゼピン−5−オン誘導体(4)が、短時間の内に高収率で得られる。【0024】 以下、本発明を詳細に説明する。【0025】 本発明の新規な4,4−ジフルオロベンゾアゼピンケタール誘導体は、前記一般式(1)で表される化合物である。4,4−ジフルオロベンゾアゼピンケタール誘導体(1)の原料となる5−アルコキシベンゾアゼピン誘導体(2)は、例えば、特開平8−231512に記載されているように、例えば、2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾアゼピン−5−オン誘導体をDMF中、水素化ナトリウムで処理した後、ジメチル硫酸でメチル化する等により容易に合成することができる。【0026】 前記一般式(1)における置換基としては、R1のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基などを挙げることができる。 R3のアミノ基の保護基としては、一般的に用いられるアミノ基の保護基であれば特に限定はされないが、たとえば、P−トルエンスルホニル基、アセチル基、トリフルオロアセチル基、ベンゾイル基、t−ブトキシカルボニル基、メトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基などを挙げることができる。 R4のハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を挙げることができる。低級アルキル基とは、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基などを挙げることができる。低級アルケニル基としては、ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基などを挙げることができる。低級アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基などを挙げることができる。保護基で保護されたアミノ基としては、 P−トルエンスルホニル基、アセチル基、トリフルオロアセチル基、ベンゾイル基、t−ブトキシカルボニル基、メトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基などで保護されたアミノ基を挙げることができる。アリール基としては、フェニル基、ナフチル基などを挙げることができる。【0027】 一般式(1)で示される新規な4,4−ジフルオロベンゾアゼピンケタール誘導体は、5−アルコキシベンゾアゼピン誘導体(2)を親電子型フッ素化剤でフッ素化し、次いで水を用いて加水分解することによって得られる。【0028】 5−アルコキシベンゾアゼピン誘導体(2)のフッ素化に使用するフッ素化剤は、スルホニルアミド類、トリエチレンジアミン塩類、ハイポフロライド類およびN−フルオロピリジニウム塩類などの親電子型フッ素化剤であれば特に限定されない。これらのうち、一般式(5)【0029】【化14】【0030】〔式中、R5〜R9は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、ニトロ基、シアノ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アシルチオ基、アミド基、アルカンスルホニルオキシ基、またはアレーンスルホニルオキシ基であり、X-はブレンステッド酸の共役塩基(但し、F-、Cl-、Br-、およびI-は除く)である〕で示されるN−フルオロピリジニウム塩を用いるのが好ましい。【0031】 N−フルオロピリジニウム塩の具体例としては、例えば、N−フルオロピリジニウムトリフラート(5a)、N−フルオロピリジニウムテトラフルオロボラート(5b)、 N−フルオロ−2,6−ジクロロピリジニウムトリフラート(5c)、N−フルオロ−2,6−ジクロロピリジニウムテトラフルオロボラート(5d)、N−フルオロ−2,4,6−トリメチルピリジニウムトリフラート(5e)、N−フルオロ−2,4,6−トリメチルピリジニウムテトラフルオロボラート(5f)等を挙げることができる。【0032】 フッ素化反応に用いる溶媒の種類は、使用する親電子型フッ素化剤と反応しないものであれば制限されるものではなく、例えばハロゲン化炭化水素(例えばクロロホルム、1,2−ジクロロエタン等)、エーテル(例えばジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等)、アルカン(例えばヘキサン、オクタン、シクロヘキサン等)、アルケン(例えばベンゼン、トルエン等)、ニトリル(例えばアセトニトリル、プロピオニトリル等)等、またはこれらの混合物を用いることができる。中でもハロゲン化炭化水素、ニトリルもしくはこれらの混合物が好ましい。【0033】 本反応に用いる親電子型フッ素化剤の量は特に限定されないが、理論的には、原料である5−アルコキシベンゾアゼピン誘導体(2)に対して少なくとも2等量が必要である。通常、フッ素化剤は3モル以上多量に用いることが必要とされるが、フッ素化反応を酸の存在下に行う場合は、好ましくは、更には2.0〜3.0等量の範囲で選択することが好ましい。3.0モル以上では、高価なフッ素化剤が多量に必要となり、経済性が失われ、一方、2.0モル以下では目的の化合物が収率よく得られない。【0034】 5−アルコキシベンゾアゼピン誘導体(2)のフッ素化反応にN−フルオロピリジニウム塩を用いる場合は、 酸の存在下にフッ素化を行うことが好ましい。【0035】 本反応に使用する酸の種類としては、特に限定はされない。例えば、好適な酸の例としてスルホン酸類(メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸等)や、カルボン酸類(ギ酸、酢酸、プロピオン酸等)を挙げることができる。用いる酸の量は特に限定されないが、原料である5−アルコキシベンゾアゼピン誘導体(2)に対して少なくとも等量以上が好ましく、更には1〜2.0等量の範囲で選択することが好ましい。【0036】 本反応における反応温度は、0℃〜150℃の範囲を適宜選択することができるが、反応を収率良く、かつ効率的に進行させるためには30℃〜100℃が好ましい。30℃未満では反応速度が遅く、100℃を超えるとフッ素化剤の安定性や選択性が小さくなり、経済性が失われる。【0037】 フッ素化反応後、4,4−ジフルオロベンゾアゼピンケタール誘導体(1)を得るための加水分解に用いる「水」の使用量は特に限定されないが、原料である5−アルコキシベンゾアゼピン誘導体(2)に対して少なくとも等量以上が好ましい。【0038】 4,4−ジフルオロベンゾアゼピンケタール誘導体(1)は、加水分解後に反応液を水中にあけ、通常の抽出操作を行って得られる、粗生成物をカラムクロマトグラフィーによって精製することによって単離できる。【0039】 一般式(4)で示される4,4−ジフルオロベンゾアゼピン−5−オン誘導体は、4,4−ジフルオロベンゾアゼピンケタール誘導体(1)を、無溶媒もしくは溶媒の存在下に、(1)に対して少なくとも1等量以上の水で加水分解することにより容易に得られる。 本加水分解反応に使用できる溶媒の種類は特に限定されないが、好ましくは、4,4−ジフルオロベンゾアゼピンケタール誘導体(1)を溶解することのできる溶媒が良く、更に好ましくは(1)を溶解することのできる水溶性の溶媒が良い。一方、4,4−ジフルオロベンゾアゼピン−5−オン誘導体(4)は、一般式(2)で表される5−アルコキシベンゾアゼピン誘導体を、酸の存在下に2.0等量ないし3.0当量のNーフルオロピリジニウム塩でフッ素化した後、4,4−ジフルオロベンゾアゼピンケタール誘導体(1)を単離することなく、反応系内に水を加えて直接加水分解することによっても得ることができる。【0040】 本加水分解反応における反応温度は、室温〜150℃の範囲で選択することができるが、より好ましくは60℃〜100℃の範囲である。【0041】 以下、本反応を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれら実施例にのみ限定されるものではない。【0042】【実施例】実施例1 窒素雰囲気下、5−メトキシ−1−(4−メチルベンゼンスルフォニル)−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾアゼピン−5−オン(2a)1.64g(5.0mmol)の1,2−ジクロロエタン10ml溶液に、N−フルオロピリジニウムトリフラート(3a)3.71g(15.0mmol)を加え、撹拌しながら16時間、80℃で加熱してフッ素化した後、反応液に水1.35mlとアセトン1.35mlの混合液を加え、さらに6時間加熱還流を行った。反応液をクロロホルム20mlで希釈し、有機層を水20mlで2回水洗した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、無水硫酸マグネシウムをろ別除去し、溶媒を留去して得られる粗成生物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、n−ヘキサン:クロロホルム:アセトニトリルの混合溶媒(50:10:1)による溶出液から、5−メトキシ−5−ヒドロキシ−4,4−ジフルオロ−1−(4−メチルベンゼンスルフォニル)−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾアゼピン(1a)を得た。1H−nmr;(δppm in CDCl3、TMS) 1.50 (1H br ), 2.10 ( 1H m ), 2.50 ( 3H s ), 3.02 ( 1H m ), 3.22 ( 1H m), 3.30( 3H s ), 4.12 (1H m ), 7.16-7.85 ( 8H)19F−nmr;(δppm in CDCl3、CFCl3) -111.6 (1F dmJ=254Hz), -113.4 (1FdmJ=254Hz)。【0043】実施例2 窒素雰囲気下、5−メトキシ−1−(4−メチルベンゼンスルフォニル)−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾアゼピン−5−オン(2a)1.64g(5mmol)の1,2−ジクロロエタン10ml溶液に、N−フルオロピリジニウムトリフラート(3a)3.09g(12.5mmol)と酢酸0.3g(5mmol)を加え、撹拌しながら16時間、80℃で加熱してフッ素化した後、反応液をクロロホルム20mlで希釈し、有機層を水20mlで2回水洗した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、無水硫酸マグネシウムをろ別除去し、溶媒を留去して得られる粗成生物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、n−ヘキサン:クロロホルム:アセトニトリルの混合溶媒(50:10:1)による溶出液から、5−メトキシ−5−ヒドロキシ−4,4−ジフルオロ−1−(4−メチルベンゼンスルフォニル)−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾアゼピン(1a)を得た。【0044】実施例3 5−メトキシ−5−ヒドロキシ−4,4−ジフルオロ−1−(4−メチルベンゼンスルフォニル)−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾアゼピン(1a)0.43g(1.1mmol)のアセトン1ml溶液に、水0.1mlを加え、8時間加熱還流を行った。反応液を水中にあけクロロホルムで抽出した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を留去して得られる粗成生物をトルエンで再結晶して、4,4−ジフルオロ−1−(4−メチルベンゼンスルフォニル)−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾアゼピン−5−オン(4a)0.35g(収率:88.4%)を得た。1H−nmr;(δppm in CDCl3、TMS) 2.40 ( 2H m ), 2.42 ( 3H s ), 4.09 ( 2H m ), 7.20-7.59 ( 8H)19F−nmr;(δppm in CDCl3、CFCl3) -104.5 (2F tJ=14.7Hz)。【0045】実施例4 窒素雰囲気下、5−メトキシ−1−(4−メチルベンゼンスルフォニル)−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾアゼピン−5−オン(2a)1.64g(5mmol)の1,2−ジクロロエタン10ml溶液に、N−フルオロピリジニウムトリフラート(3a)4.94g(20.0mmol)を加え、撹拌しながら16時間、80℃で加熱してフッ素化した後、この反応液に、水1.35mlとアセトン1.35mlの混合液を加え、同温度で40時間、加水分解を行った。反応液をクロロホルム20mlで希釈し、有機層を水20mlで2回水洗した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。無水硫酸マグネシウムをろ別除去し、溶媒を留去して得られる粗生成物をトルエンで再結晶して、4,4−ジフルオロ−1−(4−メチルベンゼンスルフォニル)−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾアゼピン−5−オン(4a)1.11g(収率:63.0%)を得た。【0046】実施例5 窒素雰囲気下、5−メトキシ−1−(4−メチルベンゼンスルフォニル)−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾアゼピン−5−オン(2a)1.64g(5mmol)の1,2−ジクロロエタン10ml溶液に、N−フルオロピリジニウムトリフラート(3a)3.09g(12.5mmol)と酢酸0.3g(5mmol)を加え、撹拌しながら16時間、80℃で加熱してフッ素化した後、この反応液に、水1.35mlとアセトン1.35mlの混合液を加え、同温度で40時間、加水分解を行った。反応液をクロロホルム20mlで希釈し、有機層を水20mlで2回水洗した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。無水硫酸マグネシウムをろ別除去し、溶媒を留去して得られる粗生成物をトルエンで再結晶して、4,4−ジフルオロ−1−(4−メチルベンゼンスルフォニル)−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾアゼピン−5−オン(4a)1.14g(収率:65.0%)を得た。【0047】実施例6 窒素雰囲気下、フッ素化剤としてN−フルオロピリジニウムテトラフルオロボラート(3b)2.31g(12.5mmol)、溶媒としてアセトニトリル10mlを使用した以外は、実施例3と同様の操作を行い、4,4−ジフルオロ−1−(4−メチルベンゼンスルフォニル)−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾアゼピン−5−オン(4a)1.08g(61.5%)を得た。【0048】実施例7 テフロンコート製の反応器中、100℃で8時間加熱撹拌してフッ素化した後、この反応液に、水1.35mlとアセトン1.35mlの混合液を加え、100℃で更に8時間加水分解を行った以外は、実施例3と同様の操作を行い、4,4−ジフルオロ−1−(4−メチルベンゼンスルフォニル)−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾアゼピン−5−オン(4a)1.15g(65.5%)を得た。【0049】比較例1 特開平8−231512に記載の方法に従い、窒素雰囲気下、5−メトキシ−1−(4−メチルベンゼンスルフォニル)−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾアゼピン−5−オン(2a)213mg(0.64mmol)の1,2−ジクロロエタン6ml溶液に、N−フルオロピリジニウムトリフラート(1a)480mg(1.94mmol)を加え、80℃で16時間加熱撹拌した。反応液に水を加え、反応液をクロロホルム20mlで希釈し、有機層を水20mlで2回水洗した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。無水硫酸マグネシウムをろ別除去し、溶媒を留去して得られる残留物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、n−ヘキサン:クロロホルム:アセトニトリルの混合溶媒(50:10:1)の溶出液から、4,4−ジフルオロ−1−(4−メチルベンゼンスルフォニル)−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾアゼピン−5−オン(4a)66mg(29.4%)を得た。【0050】比較例2 窒素雰囲気下、5−メトキシ−1−(4−メチルベンゼンスルフォニル)−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾアゼピン−5−オン(2a)1.64g(5mmol)の1,2−ジクロロエタン10ml溶液に、N−フルオロピリジニウムトリフラート(3a)3.70g(15.0mmol)を加え、80℃で加熱撹拌しながら、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで反応を追跡し、4,4−ジフルオロ−1−(4−メチルベンゼンスルフォニル)−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾアゼピン−5−オン(4a)のピークがそれ以上増加しなくなるまで170時間、加熱反応を続けた。反応液をクロロホルム20mlで希釈し、有機層を水20mlで2回水洗した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。無水硫酸マグネシウムをろ別除去し、溶媒を留去して得られる粗成生物をトルエンで再結晶して、4,4−ジフルオロ−1−(4−メチルベンゼンスルフォニル)−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾアゼピン−5−オン(4a)0.79g(収率:45.1%)を得た。【0051】【発明の効果】 2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾアゼピン−5−オン誘導体から合成される5−アルコキシベンゾアゼピン誘導体(2)を、親電子型フッ素化剤でフッ素化した後、加水分解することにより得られる新規な4,4−ジフルオロベンゾアゼピンケタール誘導体(1)を更に加水分解する本発明により、アルギニンバゾプレシン拮抗薬の原料として極めて重要な4,4−ジフルオロベンゾアゼピン−5−オン誘導体(4)が、短時間の内に高収率で合成可能となった。本発明によって、一般式(1)で示される4,4−ジフルオロベンゾアゼピンケタール誘導体が、4,4−ジフルオロベンゾアゼピン−5−オン誘導体(4)の原料として有用であることが明らかとなった。 一般式(1)(ここで、R1はアルキル基であり、R2は水素原子、R3はアミノ基の保護基であり、R4は水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基、低級アルケニル基、低級アルコキシ基、保護基で保護されたアミノ基またはアリール基を表わす)で表される新規な4,4−ジフルオロベンゾアゼピンケタール誘導体。 一般式(2)(ここで、R1はアルキル基であり、R3はアミノ基の保護基であり、R4は水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基、低級アルケニル基、低級アルコキシ基、保護基で保護されたアミノ基またはアリール基を表わす)で表される5−アルコキシベンゾアゼピン誘導体を親電子型フッ素化剤によりフッ素化し、加水分解することを特徴とする、一般式(1)(ここで、R2は水素原子、R1、R3およびR4は前記定義に同じ)で表される4,4−ジフルオロベンゾアゼピンケタール誘導体の製造方法。 親電子型フッ素化剤が、N−フルオロピリジニウム塩であることを特徴とする、請求項2に記載の4,4−ジフルオロベンゾアゼピンケタール誘導体の製造方法。 酸の存在下にフッ素化することを特徴とする請求項2または請求項3に記載の4,4−ジフルオロベンゾアゼピンケタール誘導体の製造方法。 使用するフッ素化剤の量が2.0ないし3.0当量である、請求項2ないし請求項4のいずれか1項に記載の4,4−ジフルオロベンゾアゼピンケタール誘導体の製造方法。 一般式(1)(ここで、R1はアルキル基であり、R2は水素原子、R3はアミノ基の保護基であり、R4は水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基、低級アルケニル基、低級アルコキシ基、保護基で保護されたアミノ基またはアリール基を表わす)で表される4,4−ジフルオロベンゾアゼピンケタール誘導体を加水分解することを特徴とする、一般式(4)(ここで、R3、R4は前記定義に同じ)で表される4,4−ジフルオロベンゾアゼピン−5−オン誘導体の製造方法。 一般式(2)(ここで、R1はアルキル基であり、R3はアミノ基の保護基であり、R4は水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基、低級アルケニル基、低級アルコキシ基、保護基で保護されたアミノ基またはアリール基を表わす)で表される5−アルコキシベンゾアゼピン誘導体を、酸の存在下に、フッ素化剤として2.0ないし3.0当量のN−フルオロピリジニウム塩によりフッ素化した後、加水分解し、一般式(1)(ここで、R2は水素原子、R1、R3およびR4は前記定義に同じ)で表される4,4−ジフルオロベンゾアゼピンケタール誘導体とし、さらに、これを単離することなく加水分解することを特徴とする一般式(4)(ここで、R3、R4は前記定義に同じ)で表される4,4−ジフルオロベンゾアゼピン−5−オン誘導体の製造方法。


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