タイトル: | 特許公報(B2)_突然変異させたOKT3抗体 |
出願番号: | 1998549816 |
年次: | 2009 |
IPC分類: | C12N 15/09,C07K 16/18,C12P 21/08,A61K 39/395,A61P 37/06,A61P 35/00 |
リトル,メルヴィン キプリヤノフ,セルゲイ モルデンハウエル,ゲルハルト JP 4276302 特許公報(B2) 20090313 1998549816 19980522 突然変異させたOKT3抗体 ドイチェス クレブスフォルシュンクスツェントルム スチフトゥング デス エッフェントリヒェン レヒツ 細田 芳徳 リトル,メルヴィン キプリヤノフ,セルゲイ モルデンハウエル,ゲルハルト DE 19721700.1 19970523 20090610 C12N 15/09 20060101AFI20090521BHJP C07K 16/18 20060101ALI20090521BHJP C12P 21/08 20060101ALI20090521BHJP A61K 39/395 20060101ALI20090521BHJP A61P 37/06 20060101ALI20090521BHJP A61P 35/00 20060101ALI20090521BHJP JPC12N15/00 AC07K16/18C12P21/08A61K39/395 UA61P37/06A61K39/395 TA61P35/00 C07K 1/00 - 19/00 C12N 15/00 - 15/90 C12P 21/08 CA/MEDLINE/BIOSIS/WPIDS(STN) JSTPlus(JDreamII) Genbank/EMBL/DDBJ/GeneSeq UniProt/GeneSeq Pubmed Journal of Immunological Methods, 1994年, Vol.175, p.89-95 Journal of Immunological Methods, 1996年, Vol.196, p.51-62 Protein Engineering, 1997年, Vol.10, No.4, p.445-453 10 DE1998001409 19980522 WO1998052975 19981126 2001527414 20011225 8 20050427 福澤 洋光 本発明は、位置H100Aで点突然変異させたOKT3抗体、その製造方法及びその使用に関する。OKT3は、マウス由来のモノクロナールIgG 2a−型抗体であり、これは、ヒトCD3複合体のε−サブユニットのエピトープを認識する(クン(Kung)ら、Science 206、347〜349頁(1979);バン・ウォーベ(Van Wauwe)ら、J.Immunol.124、2708〜2713頁(1980);トランシー(Transy)ら、Eur.J.Immunol、19、947〜950頁(1989))。対応するハイブリドーマからモノクロナール抗体を得る方法は、これらの刊行物に詳細に記載されている。さらに、OKT3産生ハイブリドーマ細胞株は、欧州特許第0018795号の所有者より、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション((the American Type Culture Collection)、メリーランド、20852、ロックビル、パークローン ドライブ 12301)に、ATCC番号CRL 8001で、1979年4月26日に寄託された。OKT3は、長い間、T細胞応答の抑制に使用されており、これにより、移植の拒絶反応が回避される(ジスレットウェイト(Thistlethwaite)ら、Transplantation 38、695〜701頁(1984);ウッドル(Woodle)ら、Transplantation 51、1207〜1212頁(1991))。一方、OKT3も、T細胞の活性化及び増殖の引き金となり得、それはエフェクター細胞を刺激し、それは癌養子免疫療法(Adoptive cancer immunotherapy)に使用し得る(ヤネリー(Yannelly)ら、J.Immunol.Meth.1、91〜100頁(1990))。OKT3は、腫瘍細胞又はウィルス感染細胞に対し細胞障害性T細胞を指向けるため、そのままで、また、二重特異性抗体の成分として使用された(ニッタ(Nitta)ら、Lancet 335、368〜376頁(1990);サンナ(Sanna)ら、Bio/Technology 13、1221〜1224頁(1995))。さらに、COS細胞で発現させた、OKT3−モノクロナール抗体をヒト化したものも知られている(ウッドル(Woodle)ら、J.Immunol,148、2756〜2763頁(1992);アデア(Addair)ら、Human.Antibod.Hybridomas、41〜47頁(1994))。これまで、OKT3は、十分な安定性がなく、特に、公知の組換え発現系において安定な形で十分な量を発現させることができないという問題がある。したがって、本発明の目的は、OKT3を組換え的に発現させ、満足のいく安定性を有する抗体を得ることであった。この目的は、請求の範囲に規定される主題により達成される。本発明者らは、OKT3のアミノ酸配列の位置H100Aにおいて点突然変異を導入することにより、安定性が何倍も増大することを見出した。この点突然変異は、OKT3のアミノ酸配列において、システインを他の極性アミノ酸、好ましくはセリンに置換することに関連する。本発明の抗体の製造のために、新たにサブクローニングしたOKT3のハイブリドーマ細胞からのmRNAを、ベースとして使用した。cDNAは、当業者に知られた方法により作製され、それは、例えば、デューベル(Duebel)ら、J.Immunol.Methods 175、89〜95頁(1994)に記載された。軽鎖の可変ドメインをコードするDNAは、好適なプライマーを用いて、例えば、κ−鎖の定常ドメインのアミノ−末端部及びκ−鎖の可変ドメインのフレームワーク1(FR1)領域にハイブリダイズする、プライマーBi5及びBi8によるPCRによって作製することができる(デューベル(Duebel)ら、上記参照のこと)。重鎖の可変ドメインをコードするDNAの増幅には、例えば、γ−鎖の定常ドメイン1のアミノ−末端部にハイブリダイズするプライマーBi4(デューベル(Duebel)ら、上記参照のこと)及び重鎖のFR1領域にハイブリダイズするプライマーBi3f(ゴッター(Gotter)ら、Tumor Targeting 1、107〜114頁(1995))を使用することができる。その後、当業者によく知られているようにして、増幅DNAを、配列決定及び部位特異的突然変異誘発に適合したベクターに挿入する。例えば、ストラタジーン(Stratagene)社により販売されているベクターpCR−Skript SK(+)を使用することができる。突然変異は、部位特異的突然変異誘発により、OKT3由来のVHドメインに挿入される。当業者は、この目的に必要な条件に精通しており、それらは、例えば、クンケル(Kunkel)ら、Meth.Enzymol.154、367〜382頁(1987)にも記載されている。OKT3の位置H100Aにおけるアミノ酸の置換(システインの置換)は、この位置でセリンへの置換を行う場合、プライマーSK1 5’−GTAGTCAAGGCTGTAATGATCATCを用いて好適に行われる。次いで、このように修飾されたDNAを、ベクター及び発現ベクターのそれぞれに、クローニングすることができる。当業者は、その例に精通している。発現ベクターの場合、これらは、pGEMEX、pUC誘導体又はpET3bである。酵母での発現には、例えば、pY100及びYcpad1をあげるべきであるが、動物細胞での発現には、例えば、pKCR、pEFBOS、cDM8及びpCEV4があげられる。バキュロウィルス発現ベクターpAcSGHisNT−1は、昆虫細胞での発現に特に好適である。本発明によれば、大腸菌(E.coli)での発現が好ましく、その目的には、好ましくは、図1に示すベクターpHOG21(キプリヤノフ(Kipriyanov)ら、J.Immunol.Methods 196、51〜62頁(1996)が使用され、それには、突然変異させたOKT3単鎖(ScFv)遺伝子が、NcoI/BamHI DNA断片として挿入される。位置100A(カバット ナンバリング システム(Kabat numbering system))で突然変異させた単鎖抗体OKT3は、発現され、図2に示す配列を有する。当業者は、発現ベクターに存在するDNAの発現に適合する細胞に精通している。かかる細胞例には、大腸菌株HB101、DH1、x1776、JM101、JM109、BI21及びSG13009、酵母菌株サッカロミセス セレビシエ(Sacchromyces cerevisiae)及び動物細胞3T3、FM3A、CHO、COS、Vero及びHeLa、ならびに昆虫細胞sf9が含まれる。ストラタジーン(Stratagene)社により販売されているXL1−Blue 大腸菌細胞の使用が好ましい。DNAを発現ベクターに挿入する方法は、当業者には既知である。また、当業者は、このDNAを、他のタンパク質及びペプチドのそれぞれをコードするDNAと組み合わせて挿入することができ、それにより、このDNAを融合タンパク質の形で、例えば、His融合タンパク質の形で発現させることができるという事実に精通している。この目的のために必要な情報は、好ましく使用されるプラスミドpHOG21に含まれる。さらに、OKT3の突然変異型は、二重特異性抗体の形で、例えば、ヒトCD19複合体に対する抗体との組み合わせで存在し得る。かかる二重特異性抗体の配列を図3に示す。本発明による抗体は、組換え法により十分な量で製造され、突然変異されていないモノクロナール抗体OKT3と比較してより大きな安定性を有するという点で特徴的である。この安定性は、例えば、突然変異された抗体は、PBS中4℃で1ヶ月保存した後でさえ、初期の結合親和性をほとんど失わないが、OKT3は、このような条件下において結合親和性が顕著に低下する(46%)という点において表れる。さらに、本発明による抗体は、単鎖抗体(ScFv)として、より迅速に血液から排除され、かつ、より良好な腫瘍貫通を行うという利点を有する。さらに、ScFvは、医薬(pharmacons)、毒素又は放射性核種の腫瘍部位への輸送に非常に有用な分子であり、それは、腫瘍の診断及び腫瘍の治療のために重要である。本発明を図により、さらに説明する。図1:プラスミドpHOG21本明細書で使用される略語は以下の意味を有する;ApR:アンピシリン耐性遺伝子c−myc:モノクロナール抗体9E10(ケンブリッジリサーチバイオケミカルズ、英国、ケンブリッジ)により認識されるエピトープをコードする配列ColEl:DNA複製起点f1 IG:f1ファージの遺伝子間領域His6:6個のヒスチジン残基をコードする配列リンカー:VH及びVLドメインに連結する17個のアミノ酸をコードする配列pelB:細菌性ペクチン酸リアーゼをコードするシグナルペプチド配列P/O:野生型lacプロモーター/オペレーター図2:突然変異させたOKT3単鎖抗体のヌクレオチド配列及び誘導アミノ酸配列図3:突然変異させたOKT3及び抗−CD19からなる二重特異性抗体本発明を、実施例により、より詳細に説明する。実施例 1: 本発明による抗体の製造「デューベル(Duebel)ら、J.Immunol.Methods 175 89〜95頁(1994)」に記載されているようにして、新たにサブクローニングしたOKT3のハイブリドーマ細胞からmRNAを単離し、cDNAの合成を行った。軽鎖の可変ドメインをコードするDNAを、κ−鎖の定常ドメインのアミノ−末端部及びκ−鎖の可変ドメインのフレームワーク1(FR1)領域にハイブリダイズするプライマーBi5及びBi8を用いてPCRにより作製した。(デューベル(Duebel)ら、上記参照)。γ−鎖の定常ドメイン1のアミノ−末端部にハイブリダイズするプライマーBi4(デューベル(Duebel)ら、上記参照)、及び重鎖のFR1領域にハイブリダイズするプライマーBi3f(ゴッター(Gotter)ら、Tumor Targeting 1、107〜114頁(1995))を、重鎖の可変ドメインをコードするDNAの増幅に使用した。50μlの反応混合物は、10pmolの各プライマー及び50ngのハイブリドーマcDNA、100μMの各dNTP、1×ベント(vent)緩衝液(Boehringer Mannheim)、5μgのBSA及び1U Vent DNAポリメラーゼを含むものとした。PCRサーモサイクラーにおいて、1サイクル95℃で1分、55℃で1分、75℃で2分を、30サイクル行った。増幅DNAを、QIAクイックPCR精製キット(キアゲン、ヒルデン(Quiagen,Hilden))で、精製した。その後、増幅DNAを、SrfI制限酵素で開裂させたストラタジーン(Stratagene)社により販売されているベクターpCR−Skript SK(+)に「平滑末端」でライゲートした。突然変異を、部位特異的突然変異誘発により、OKT3由来のVHドメインに挿入した(クンケル(Kunkel)ら、Meth.Enzymol.154、367〜382頁(1987))。OKT3の位置H100Aにおけるアミノ酸の置換(システインのセリンへの置換)を、プライマーSK1 5’−GTAGTCAAGGCTGTAATGATCATCを用いることにより行った。得られた突然変異させたDNAの発現には、突然変異させたOKT3単鎖(scFv)遺伝子がNcoI/BamHI DNA断片として挿入されている、図1に示すベクターpHOG21(キプリヤノフ(Kipriyanov)ら、J.Immunol.Methods 196、51〜62頁(1996))を使用した。XL1−Blue大腸菌細胞(ストラタジーン(Stratagene))を、この発現ベクターで形質転換し、50μg/mlのアンピシリン及び100mMのグルコース(2×YTGA)を含む2×YT培地にて、37℃で、一晩培養した。2×YTGAにおける一夜培養物の希釈物(1:50)を、37℃で振とうしながら、37℃で培養した。培養物がOD600=0.8に達したらすぐに、20℃で10分間、1,500gで遠心分離することにより、細菌をペレット化し、50μg/mlのアンピシリン及び0.4Mのスクロースを含む同容量の新しい2×YT培地に再懸濁した。IPTGを終濃度が0.1mMとなるまで加え、室温で20時間、培養を継続した。4℃で10分間、5,000gで遠心分離することにより、細胞を回収した。培養物の上清み液を氷上に保存した。可溶性ペリプラズムタンパク質を単離するため、ペレット化した細菌を、氷冷した50mMトリス−HCl、20%スクロース、1mM EDTA、pH8.0(初期容量の5%)に取り込んだ。ときどき攪拌しながら氷上で1時間インキュベーションした後、スフェロプラストを、4℃で30分間、30,000gで遠心分離し、可溶性スフェロプラスト抽出物を上清みとして、スフェロプラスト及び不溶性ペリプラズム物質をペレットとして得た。氷上に保存した上述の培養物の上清み、及び可溶性ペリプラズム抽出物を合わせ、さらに遠心分離(30,000g、4℃、40分間)することにより、清澄にした。孔サイズ10〜16μmのグラスフィルターで、さらに孔サイズ0.2μmのグラスフィルターで濾過した後、Amicon YM10膜(アミコン社、ウィッテン(Amicon company,Witten)により、10倍に濃縮した。濃縮した上清みを遠心分離により清澄にし、4℃で、50mMトリス−HCl、1M NaCl、pH7.0に対し透析した。固定化金属アフィニティークロマトグラフィー(IMAC)は、キレート化セファロースの5ml容カラム(ファルマシア社)を用い、4℃でNi3+をチャージし、50mMトリス−HCl、1M NaCl、pH7.0(初発緩衝液)で平衡化した。カラムに吸着された物質を、50mMトリス−HCl、1M NaCl、250mM イミダゾール、pH7.0で溶出した。緩衝液を、50mM MES、pH6.0に変え、タンパク質を、mono Sイオン交換カラム(ファルマシア社)でさらに精製した。本発明による精製scFv抗体を、PBS(15mM リン酸ナトリウム、0.15M NaCl、pH7.4)に透析した。比較的長期間の保存のため、抗体をBSA(終濃度10mg/ml)の存在下で凍結し、−80℃で保存した。 本名称で知られるOKT3抗体のカバット ナンバリング システムに従う位置H100Aにおけるシステインの他の極性アミノ酸への置換を特徴とする、モノクロナール抗体OKT3に由来する抗体。 極性アミノ酸がセリンであることを特徴とする請求項1記載の抗体。 以下:に示す配列を含むことを特徴とする請求項1又は2記載の抗体。 scFv抗体であることを特徴とする、請求項1〜3いずれか記載の抗体。 a) 新たにサブクローニングしたOKT3のハイブリドーマ細胞からmRNAを得てcDNAに転写する工程、b) 好適なプライマーを用いてPCRにより軽鎖及び重鎖の可変ドメインをコードするDNAを増幅する工程、c) 部位特異的突然変異誘発に適合したベクターへのb)で得たDNAのクローニング、ならびに好適なプライマーを用いて所望の突然変異を導入する工程、d) c)で得た突然変異DNAを発現ベクターに挿入し、好適な発現系にて発現させる工程、を特徴とする、請求項1〜4いずれか記載の抗体の製造方法。 プライマーSK1 5’−GTAGTCAAGGCTGTAATGATCATCを工程c)で用いる請求項5記載の方法。 工程d)で用いる発現ベクターがpHOG21である請求項5または6記載の方法。 発現を、XL1−Blue大腸菌(E.coli)細胞で行う請求項5〜7いずれか記載の方法。 臓器移植のレシピエントによる移植拒絶を低減又は排除するための医薬の製造における請求項1〜4いずれか記載の抗体の使用。 腫瘍の診断又は腫瘍の治療のための医薬の製造における請求項1〜4いずれか記載の抗体の使用。