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タイトル:特許公報(B2)_スルホアルキルエーテルシクロデキストリンと治療剤との物理的混合物を含有する固形製剤
出願番号:1998548136
年次:2006
IPC分類:A61K 47/40,A61K 9/28


特許情報キャッシュ

ステラ,ヴァレンティーノ・ケイ マギニティー,ジェイムズ・ダブルユー ラージェウスキ,ロジャー・エイ JP 3745382 特許公報(B2) 20051202 1998548136 19980420 スルホアルキルエーテルシクロデキストリンと治療剤との物理的混合物を含有する固形製剤 サイデックス・インコーポレイテッド 高木 千嘉 西村 公佑 ステラ,ヴァレンティーノ・ケイ マギニティー,ジェイムズ・ダブルユー ラージェウスキ,ロジャー・エイ US 08/851,006 19970505 20060215 A61K 47/40 20060101AFI20060126BHJP A61K 9/28 20060101ALI20060126BHJP JPA61K47/40A61K9/28 A61K 9/00 - 9/72 A61K 47/00 - 47/48 特表平05−504783(JP,A) 特開平04−234316(JP,A) 特開平03−72425(JP,A) 特開平02−149518(JP,A) 19 US1998008221 19980420 WO1998050077 19981112 2002503267 20020129 38 20000907 小堀 麻子 本発明はシクロデキストリンをベースとする固形製剤に関する。さらに詳しく云えば、本発明はスルホアルキルエーテルシクロデキストリン(SAE-CD)をベースとする製剤であって、その製剤中治療剤の大部分はSAE-CDと複合(complexed)していない製剤に関する。発明の背景米国特許第5,134,127号はスルホアルキルエーテルシクロデキストリン(SAE-CD)誘導体に関する。そのSAE-CD誘導体は、種々の医薬剤形における難水溶性または不水溶性薬剤のための可溶化剤として使用することが提案されている。シクロデキストリン/薬剤の複合体は、それらを製剤で使用する前に典型的には形成される。上記米国特許第5,134,127号は、クラスレイト/薬剤複合体またはその包接複合体を形成させるためにSEA-CD誘導体に複合した薬剤を含有する組成物および製剤に関する。そこに意図された製剤はクラスレイト複合体および医薬的に許容し得る担体を含む製剤に関する。SAE-CD/薬剤クラスレイト複合体は、所望の製剤に配置する前に別個に調製される。このような製剤の調製方法は多くの操作上の監視または調製を要する各工程を含み、それ自体処方操作を複雑にすることがある。製薬工業において簡素化された操作は複雑なものより好ましく、シクロデキストリン含有、特にSEA-CD含有組成物に関しては、簡素化された組成物およびその調製方法の必要がなお存在している。シクロデキストリンを難水溶性薬剤と一緒に物理的混合物ないしクラスレイト複合体として処方するための努力が従来なされてきた。Muranushi氏等(1988)はニートのベネキセート、ベネキセート/シクロデキストリンの物理的混合物およびベネキセート−シクロデキストリンの複合体の溶解プロフィルについて比較している。彼等は物理的混合物またはニート形態に対して複合形態で調製した場合に、ベネキセートの溶解性が有意に増加したことを報告した。同様の結果はJ.J. Torres-Labandeira氏等(1994)によっても報告されたが、そこではグリボルヌリド−β−シクロデキストリン複合体の生物学的利用能がグリボルヌリド−β−シクロデキストリンの物理的混合物よりも2〜3倍優れていることが見いだされた。D. Peri氏等(1994)もまた、トルナフェートについて薬剤−β−シクロデキストリン複合体はその物理的混合物または遊離薬剤よりも改善された溶解性を示すことを報告した。ナプロキセンおよびβ−シクロデキストリンを試験した場合に、それぞれの包接複合体はその物理的混合物の溶解性よりも5分で6〜9倍増加する溶解性を有することが見いだされている(Otero-Espinar et al., 1991)。さらに、アセトアミノフェン、インドメタシン、ピロキシカムおよびワルファリンのβ−シクロデキストリン複合体および物理的混合物を試験した場合に、薬剤−β−シクロデキストリン包接複合体は対応する物理的混合物よりも有意に改善された溶解プロフィルを有するという証拠もLin氏等(1989)により報告された。McClelland氏等の米国特許第4,946,686号には実例では示されていないが、薬剤/シクロデキストリンの物理的混合物の別の応用例を開示している。その組成物は薬剤の制御された放出についてのみ設計されており、そこでは溶解性調整単位が薬剤賦形剤の混合物の全体にわたって分散された徐放性粒子として存在している。各成分の全ては次いで微孔性の水不溶性壁により取り囲まれる。すなわち、本技術分野で一般的に教示されるところによれば、薬剤−シクロデキストリンの複合体はそれのそれぞれの物理的混合物よりも有意に優れた溶解性、溶解プロフィルおよび生物学的利用能を有するであろうということにある。製薬技術の分野ではそれぞれの製剤−シクロデキストリン複合体の特性にほぼ等しい溶解プロフィル、生物学的利用能および溶解性を有する薬剤/シクロデキストリンの物理的混合物を含有する製剤の必要性がなお存在しているのである。発明の概要本明細書中、用語「1つ(a)」は特記しない限り、1種またはそれ以上を意味するものと解される。本発明は治療剤/シクロデキストリンの物理的混合物を含有する知られた固形製剤に固有の欠点を克服することを目的とする。本発明は簡素化された、スルホアルキルエーテル−シクロデキストリンを含有する固形の医薬組成物および製剤、および治療剤のデリバリーのためのそれらの調製方法に関する。ここでの製剤は製剤調製の前に、治療剤とのSAE-CD複合体をあらかじめ形成することを必要としない簡素化された方法によって有利に調製される。該製剤は、水または体液に曝されると治療剤−スルホアルキルエーテル−シクロデキストリン複合体を形成する治療剤/スルホアルキルエーテル−シクロデキストリンの物理的混合物からなる固形コアを取り囲むフイルムコーティングを含有する。治療剤/スルホアルキルエーテル−シクロデキストリンの物理的混合物を含有する製剤は、それぞれの包接複合体の製剤に近似する安定性、溶解プロフィルおよび/または生物学的利用能を有する。したがって、一つの特徴において、本発明はフイルムコーティングおよび固形コアからなる固形製剤を提供する。その際そのフイルムコーティングはフイルム形成剤と細孔形成剤からなり、そして固形コアは医薬的に許容し得る担体並びに治療的に有効な量の治療剤とスルホアルキルエーテル−シクロデキストリン(SAE-CD)の物理的混合物からなるが、ここで治療剤の大部分はSAE-CDに複合していない。本発明の製剤は簡素化された方法で調製される簡単な組成物である。また本発明により、独得の特徴を有する広範囲の剤形の調製が可能になる。一つの態様において、前記スルホアルキルエーテル−シクロデキストリンは式(I):[式中、nは4、5または6であり;R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8およびR9はそれぞれ独立して、-O-または-O-(C2-C6アルキレン)-SO3-基であり、ここでR1およびR2のうちの少なくとも一つは独立して、-O-(C2-C6アルキレン)-SO3-基、好ましくは-O-(CH2)mSO3-基(ここでmは4である)(例えば-OCH2CH2CH2SO3-または-OCH2CH2CH2CH2SO3-)であり;そしてS1、S2、S3、S4、S5、S6、S7、S8およびS9はそれぞれ独立して、医薬的に許容し得る陽イオン例えばH+、アルカリ金属(例えばLi+、Na+、K+)、アルカリ土類金属(例えばCa+2、Mg+2)アンモニウムイオンおよびアミン陽イオン例えば(C1-C6)アルキルアミン、ピペリジン、ピラジン、(C1-C6)アルカノールアミンおよび(C4-C8)シクロアルカノールアミンであり、ここで治療剤の大部分はスルホアルキルエーテル−シクロデキストリン誘導体と複合していない]で表される化合物である。フイルムコーティングは、固形コアからの治療剤とスルホアルキルエーテル−シクロデキストリン(SAE-CD)の放出を制御するのに役立つ。フイルム形成剤はフイルムコーティングの主要成分であり、一般には治療剤および/またはSEA-CDの放出を遅らせるのに役立つ。細孔形成剤は、細孔を形成することにより、またはフイルム形成剤により形成されたフイルム中に高められた水浸透性の領域を提供することにより浸透性を増大させるのに役立つ。本発明の記載する製剤は、本技術分野で知られているものから選択することができる1種以上の追加の補助剤および/または活性成分、例えばフレーバー、希釈剤、着色剤、結合剤、充填剤、界面活性剤、崩壊剤、生体接着剤、浸透強化剤、プロテアーゼインヒビター安定剤および圧密ビヒクルをさらに含有することができる。さらに別の特徴において、本発明はスルホアルキルエーテル−シクロデキストリン誘導体を含有する固形製剤の簡素化された調製方法である。すなわち、本発明は以下の工程:式(I)のスルホアルキルエーテル−シクロデキストリン誘導体、製薬担体および有効量の治療剤(ここで治療剤の大部分はスルホアルキルエーテル−シクロデキストリン誘導体に複合していない)の物理的混合物からなる固形コアを形成し、次いでその固形コアを、フイルム形成剤および細孔形成剤からなるフイルムコーティングで被覆して医薬的に許容し得る固形剤形を得る、上記工程からなるSAE-CD含有の医薬固形剤形の調製方法を提供する。本発明方法はスルホアルキルエーテル−シクロデキストリン/治療剤の複合体が形成されることを必要としない。すなわち、治療剤の大部分は最終の剤形中で複合されないままである。さらに別の本発明の特徴は治療剤の生物学的利用能および/または生体吸収速度を調整する方法である。すなわち、一つの態様において、本発明は以下の工程:スルホアルキルエーテル−シクロデキストリンおよび治療剤(ここで治療剤の大部分はスルホアルキルエーテル−シクロデキストリン誘導体に複合していない)を提供し、次いで患者にスルホアルキルエーテル−シクロデキストリンおよび治療剤を投与し、該スルホアルキルエーテル−シクロデキストリンが該治療剤のバイオアベイラビリティーまたは生体吸収速度を調整する、上記工程からなる治療剤の生物学的利用能および/または生体吸収速度を調整する方法を提供する。スルホアルキルエーテル−シクロデキストリンおよび治療剤は同一の剤形に存在することが考えられる。患者への投与後にSAE-CDと治療剤が複合するようになることだけが必要である。適当な剤形は、その剤形中にある間のSAE-CD−治療剤の物理的混合物の水和がSAE-CD:治療剤の複合体の適切な形成を保証することを可能にする。広範囲の治療剤、例えば水溶性、親水性および難水溶性、疎水性の治療剤を本発明製剤に使用することができる。本発明の他の性質、利点および態様は下記の記述、実施例および添付請求の範囲から当業者に自明であろう。【図面の簡単な説明】以下の図面は本明細書の一部分であり、本発明の一定の特徴をさらに説明するのに包含されている。本発明は、ここに提供されている具体的態様の詳細な記述と組み合わされた一つ以上の図面を参照することで、よりよく理解することができる。図1.メチルプレドニソロンおよびSBE7β-CD含有製剤の放出プロフィル。図2a.メチルプレドニソロンおよびSBE7β-CD含有の物理的混合物および凍結乾燥複合体製剤の放出プロフィル。図2b.メチルプレドニソロン物理的混合物および凍結乾燥複合体製剤のSBE7β-CD−放出プロフィル。図3aおよび図3b.200μフイルムコーティングを有する物理的混合物および凍結乾燥複合体製剤からのメチルプレドニソロン(MP)およびSBE7β-CDの放出プロフィル。図4aおよび図4b.フイルムコーティング錠剤処方でのMPおよびSBE7β-CDの放出プロフィルにおけるフイルム厚さの効果。図5.物理的混合物錠剤処方からのMPおよびSBE7β-CDに関する放出速度とフイルム厚さの逆数との間の関係。図6.凍結乾燥複合体または物理的混合物からなるコーティングされていない錠剤コアからのMP放出におけるSBE7β-CDの効果。SBE7β-CDが存在しない対照も描かれている。図7aおよび図7b.物理的混合物または凍結乾燥複合体からなるフイルムコーティング錠剤コアからのMP放出におけるMP/SBE7β-CDのモル比の影響。図7cおよび図7d.物理的混合物または凍結乾燥複合体からなるフイルムコーティング錠剤コアからのSBE7β-CDの放出プロフィルにおけるMP/SBE7β-CDのモル比の効果。図8.テストステロン/SBE7β-CDの制御放出錠剤製剤の放出プロフィル。図9.ジピリダモル(DP)およびSBE7β-CDの物理的混合物からなるEUDRAGIT-Lと尿素の膜(120μの厚さ)でコーティングされた錠剤コアからのDPの遅延放出製剤の放出プロフィル。図10.DPおよびSBE7β-CDの物理的混合物からなる錠剤コアからのEUDRAGIT-Lと尿素の膜を介してのDP放出におけるフイルム厚さの効果。図11.DPおよびSBE7β-CDの物理的混合物からなる錠剤コアを取り囲む180μ厚さのEUDRAGIT-Sと尿素のフイルムコーティングを介してのDPの放出プロフィル。図12.90μ厚さのセルロースアセテート(CA)とヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP)フイルムでコーティングされたDPおよびSBE7β-CDの物理的混合物からなる錠剤コアからのDPの放出プロフィル。図13.CAおよびHPMCP(50:50)フイルムにより取り囲まれたDPおよびSBE7β-CDの物理的混合物からなる錠剤コアからのDP放出におけるフイルム厚さの影響。図14.遅延放出と制御放出を一緒に有する錠剤製剤からのDPの放出プロピル並びにフイルム厚さおよびその上のフイルム組成の効果。発明の詳述本発明は治療剤/シクロデキストリンの物理的混合物を含有する知られた製剤に固有の欠点を、製造が容易であり、しかもそれの個々の治療剤−シクロデキストリン複合体を含有する製剤のものに近い治療剤の溶解性、溶解プロフィルおよび/または生物学的利用能を有する製剤を提供することにより克服する。本発明はここに記載の広範囲の製剤を調製するのにスルホアルキルエーテル−シクロデキストリン(SAE-CD)誘導体を用いる。本発明は広範囲の治療剤の迅速な、制御された、遅延された、好時期の、脈打つようなおよび持続されたデリバリーのために使用することができる。これらの製剤はまた、ここに記載の多種の剤形に包含できる。スルホアルキルエーテル−シクロデキストリン誘導体本明細書中に記載の用語“アルキレン”および“アルキル”(例えば-O-(C2-C6−アルキレン)SO3-基またはアルキルアミン中の)は、それぞれに線状、環状および分枝状の飽和または不飽和の(すなわち1個の二重結合を含有する)2価アルキレン基および1価アルキル基を包含する。この明細書中での用語“アルカノール”は、アルカノール基のうちに線状、環状および分枝状の飽和または不飽和のアルキル成分を同様に包含し、そこでそのアルキル部分のいずれかの位置にヒドロキシル基が存在することができる。“シクロアルカノール”の用語は、非置換のまたは置換された(例えばメチルまたはエチルで)環状アルコールを包含する。本発明は式(I)に記載の構造を有するシクロデキストリン誘導体の混合物を含有する組成物を提供する。その組成物は全体に、1個のシクロデキストリン分子当たり平均少なくとも1個ないし3n+6個までのアルキルスルホン酸部分を含有する。本発明はまた、単一型のシクロデキストリン誘導体または少なくとも50%の単一型のシクロデキストリン誘導体を含有する組成物も提供する。本発明のシクロデキストリン誘導体は第1級ヒドロキシル基の少なくとも1個で置換されている(すなわちR1〜R3のうちの少なくとも1つは置換基である)か、またはそれらは第1級ヒドロキシル基と3−位ヒドロキシル基の両方で置換されている(すなわちR1〜R3のうちの少なくとも1つ並びにR4、R6およびR8のうちの少なくとも1つの両方が置換基である)。2−位ヒドロキシル基での置換は、本発明者等の研究からは理論的には可能だが、本発明の生成物では実質的ではないようである。本発明のシクロデキストリン誘導体は精製された組成物、すなわちシクロデキストリン分子の1級ヒドロキシル基で少なくとも生じる置換(すなわち式(I)のR1、R2またはR3)を伴ったシクロデキストリン誘導体少なくとも95重量%を含有する組成物として得られる。好ましい態様では、少なくとも98重量%のシクロデキストリン誘導体を含有する精製組成物を得ることができる。本発明組成物のある場合には、未反応シクロデキストリンは実質的に除去され、残留する不純物(すなわち組成物の<5重量%)がシクロデキストリン誘導体含有組成物の性能に重大な影響を及ぼした。ここで使用するシクロデキストリンは一般的には米国特許第5,134,127号に記載のようにして調製することができ、この特許は参照により本明細書中に具体的に組み込まれる。その調製方法はシクロデキストリンを適当な温度例えば70〜80℃においてできるだけ最高の濃度で塩基水溶液中に溶解することからなる。例えば、ここでのシクロデキストリン誘導体を調製するには、存在する第1級CDヒドロキシル基のモル数に相当する適当なアルキルスルホンの量を激しく撹拌しながら加えて、不均質相の最大接触を確実にさせる。評価した種々のSAE-CD誘導体にはSBE4β、SBE7β、SBE11βおよびSBE4γがあるが、それらは式Iにおいてそれぞれnは5、5、5および6であり;mは4であり;そして4、7、11および4個のスルホアルキルエーテル置換基が存在するSAE-CD誘導体に相当する。本発明によれば、これらのSAE-CD誘導体は難水溶性薬剤の溶解性を種々の程度に増大させることが見いだされた。例えば、下記の表にはいくつかのSAE-CD(25℃で0.1M)およびメチルプレドニソロンについて観察された結合定数および溶解性が要約されている。別の態様において、本発明はその遊離塩基が難水溶性(25℃で3.6μg/ml)であり、しかも生物学的利用能が低くかつ変わり易い塩基性薬剤(pka=6.28)のジピリダモル(DP)を用いた。SBE7βはDPの溶解性を極めて顕著に増大させることが見いだされた。下記の表には種々のpH値におけるSBE7β-CDの存在下または不在下でのDPの溶解性が要約されている。上記態様は本発明が意図するSAE-CD誘導体のいくつかを説明しているが、それらは本発明の範囲を限定するものとして考えるべきではない。スルホアルキルエーテルシクロデキストリン含有製剤許容し得る溶解性、溶解プロフィルおよび生物学的利用能の特徴を有するシクロデキストリン製剤を得るためには、本技術分野では一般的に、シクロデキストリンと治療剤のクラスレイトまたは包接複合体は、それを含有する製剤を調製する前に別途に形成されなければならないと一般には認められていた。しかし、本発明者等はSAE-CD:治療剤の複合体を別に形成することは不必要であるということを見いだした。本発明のSAE-CD含有製剤は、前記式(I)のSAE-CD誘導体、製薬担体、治療剤および場合により、さらに別の補助剤および活性剤からなるが、ここでその治療剤の大部分はSAE-CD誘導体に複合していない。本発明製剤に含まれる治療剤の大部分はSAE-CDと複合していないことが意図されているが、いくらかのSAE-CD/治療剤の複合体の存在は可能である。本発明製剤中におけるSAE-CD:治療剤の複合体の存在は意図的であってもそうでなくてもよい。すなわち、複合体はStella氏等の特許により別々に調製され次いで製剤中に包含されることができるか、または複合体は本発明製剤の調製中に形成されたものでもよい。“SAE-CD/治療剤の複合体”は一般的には式(I)のスルホアルキルエーテル−シクロデキストリン誘導体と治療剤とのクラスレイトまたは包接複合体を意味する。複合体中に存在するSAE-CD:治療剤の割合は変わりうるが、しかし一般的にはそれぞれモル基準で約1:2〜約2:1であり、好ましくは約1:1である。“複合された”とは“クラスレイトまたは包接複合体の一部分である”を意味する。すなわち複合された治療剤は、スルホアルキルエーテル−シクロデキストリン誘導体とのクラスレイトまたは包接複合体の一部分である。“大部分”とは治療剤の少なくとも約50重量%を意味する。すなわち、本発明の製剤は約50重量%より多くはSAE-CDと複合していない治療剤を含有する。種々の態様において、治療剤の好ましくは60重量%より多く、より好ましくは75重量%より多く、さらに好ましくは90重量%より多く、そして最も好ましくは95重量%より多くが製剤中でSAE-CDと複合していない状態にある。本発明組成物を含有する剤形を患者に投与し、組成物が体液にさらされると、治療剤はSAE-CDと複合し始めることが意図される。例えば、治療剤とSAE-CDの粉末を含有するカプセル剤を患者に経口投与する場合、カプセル剤は溶解し、胃液が治療剤とSAE-CDに接触してSAE-CD/治療剤の複合体が形成される。適当な剤形は、剤形からの放出前に物理的混合物を水和状態になることを可能ならしめて適切な複合体の形成を確実にする。製剤中に存在するSAE-CD:治療剤の割合は、多くの因子例えば剤の固有溶解度、剤の予想投与量および特定の薬(剤)と特定のSAE-CDとの間の包接複合体の結合定数に左右される。一緒になったこれらの因子が剤形に必要とされるSAE-CDの量、すなわちSAE-CD:治療剤の割合を決定する。大抵のSAE-CDの分子量は約2,000であり、大抵の治療剤は20〜500の分子量を有し、そして大抵の薬剤はSAE-CDとの1:1の包接複合体を形成する。これらの分子量の差のために、必要とされるSAE-CDの量は最小でも治療剤の4〜10倍である。これは、1モルのCDが1モルの薬剤を安定化するということを想定させる。しかし、下記から分かるように、これは薬剤とCDとの間の非常に高い結合定数をも想定させる。大抵の固形剤形の場合、全重量が1グラムより少ない錠剤を有することが最良であり、しかも錠剤内における他の賦形剤の必要性のために500mgよりも少ないCDを含有すべきである。従って、この簡単な想定に基づけば、SAE-CDとともに処方できる薬剤の量は50mgより少ない。大抵の薬剤はSAE-CDと非常に高い結合定数をもたないので、処方され得る薬剤の全投与量は<50mgである。さらに詳しく云えば、各剤はSAE-CDとともに弱い包接複合体から非常に強い包接複合体を形成することができる。非常に弱い包接複合体は結合定数が約500M-1より小さいものであり、弱い定数は結合定数が約500〜約1,000M-1であるものであり、中程度の結合剤は約1,000〜約5,000M-1の結合定数を有し、強い結合剤は約5,000〜約20,000M-1の結合定数を有するものであり、そして非常に強い結合剤は約20,000M-1より大きい結合定数を有する。SAE-CDの存在下での難溶性薬剤の溶解度の相対的な増加は、存在するSAE-CDの結合定数とモル濃度の結果である。非常に弱く結合した薬剤の場合には、1モル基準で、SAE-CDと薬剤との間に100:1の比率が必要であることがある。このような場合には、製剤中の薬剤の量は1mg程度の少量でなければならない。SAE-CDと薬剤との間の結合定数が非常に強い場合には、約1:1の比率が許される。そのような場合には、その薬剤の固有溶解度が適当であるならば50mg程度の多量の薬剤投与量を使用できる。多くの薬剤で現実的である結合定数、10,000M-1の結合定数を有する薬剤を考慮されたい。0.1MのSAE-CDの存在下で薬剤の溶解度は、SAE-CDの不在下での溶解度よりも約1,000倍増加する。薬剤の固有溶解度が約1μg/mlであるならば、0.1MのSAE-CDの存在下で約1μg/mlの溶解度のみが可能であるだけである。しかし、薬剤の固有溶解度が約10μg/mlであるならば、0.1NのSAE-CDの存在下で約10mg/mlの溶解度が可能でありうる。本特許出願に記載の剤形では、SAE-CD:治療剤の比率は1モル基準で、一般的には100:1〜約1:1、好ましくは20:1〜約1:1である。すなわち一般的にはSAE-CDは、いくつかの剤に関しては過剰の治療剤の存在下で存在するが、一方その他の剤では最小過剰で存在する。過剰の量は剤の固有溶解度、剤の予想投与量および特定の薬(剤)と特定のSAE-CDとの間の包接複合の結合定数により決定される。種々の治療剤/SAE-CDの物理的混合物を含有する製剤、すなわち浸透性ポンプ錠剤、層状錠剤、コーティング錠剤、コーティングペレット、再構製用粉末、カプセル剤、コーティング顆粒および熱融解押出しフイルムが本発明により意図される。本発明のコーティング錠剤、顆粒およびペレットはフイルムコーティングおよび固形コアからなる。フイルムコーティングはフイルムコーティング剤と細孔形成剤とからなる。フイルムコーティングは複数のフイルム形成剤および/または細孔形成剤からなり、例えば各フイルム形成剤の組み合わせを特定のフイルムコーティングに使用することができる。“フイルム形成剤”および“放出制御剤”はここでは相互に交換可能なものとして用いられており、製剤の固形コアの周りにフイルムコーティングを形成するポリマー化合物(天然、合成、半合成または遺伝子工学的供給源の)を含有し、そのコアからの治療剤またはSAE-CDの放出を制御するかまたは放出速度をおとすをすることを意図している。本発明により考えられるフイルム形成剤については本明細書中にさらに記述し、特定の態様に関して例示する。その方法については実施例1に詳記している図1は、SAE-CDと治療剤との複合においてのみ相違する浸透性ポンプ錠剤を含有する2種のメチルプレドニソロン(MP)の放出プロフィルを記載するものである。2種の組成物、すなわちメチルプレドニソロン/SBE7βCDの物理的混合物を含有する第1組成物およメチルプレドニソロン−SBE7β-CDの複合体を含有する第2組成物は実施例1により制御性放出の浸透性ポンプ錠剤に処方される。製薬担体と一緒のMPとSBE7β-CD(1:7のモル比で存在する)を圧縮して固形コアにし、それにエチルセルロース、PEG3350、PEG400およびエタノールからなる混合物を噴霧コートして、固形コアの周りに140μm厚さのフイルムコーティングを形成する。その溶解プロフィルを、メチルプレドニソロン(MP)のための米国薬局方(USP)溶解装置II(100rpm、37℃)およびHPLC分析を用いて測定した。2,6−トルイジノナフタレンスルホネート(2,6-TNS)を用いる蛍光分析はSAE-CDを定量化するのに開発された。○で図1に示された第1製剤は、別々にあらかじめ形成したMP-SBE7β-CDの凍結乾燥複合体を含有する。●で示された第2製剤は、複合していないMPの大部分をSBE7β-CDとの物理的混合物として含有する。■で示された第3製剤は、ラクトース、フルクトースおよびMPの物理的混合物を含有する。あらかじめ形成した複合体および物理的混合物に相当するカーブの類似性から、後者の物理的混合物が前者の複合体と同様であるかまたは実質的に類似している放出プロフィルを有することは明らかである。この特定の剤形では、MPとSBE7β-CDが実質的に同一の放出プロフィルを有することに注目すべきである。その結果は図2aおよび2bに、それぞれMPおよびSBE7β-CDについて描かれている。治療剤がテストステロン(TST)である場合、SBE7β-CDとTSTの物理的混合物の製剤はそれぞれの凍結乾燥混合物と同じ放出プロフィルを示した(図8)。その錠剤の固形コアは1:1モル比のTSTとSBE7β-CDからなった。この錠剤のフイルムコーティングはソルビトール、PEG400およびセルロースアセテートからなった。物理的混合物と複合体製剤の放出プロフィルは、TST/フルクトース−ラクトース製剤の基準線のプロフィルと比較した。MPとSBE7β-CDの物理的混合物または凍結乾燥複合体のいずれかからなる錠剤コアを取り囲んでいるフイルムコーティングまたは膜の厚さが200μmに増加した場合には、物理的混合物対凍結乾燥複合体の放出プロフィルに若干の差が注目されたが、しかしSBE7β-CDはMPの場合と実質的に同様の放出プロフィルを有した。これらの結果は図3aおよび3b中にそれぞれMPおよびSBE7β-CDについて描かれている。さらに別の例としてのフイルムの厚さ38、89、137、198および234μmを有するフイルムコーティング錠剤を調製し、前述のように評価した。図4aおよび4bに描かれたこれらの結果は、SBE7β-CDがこれら剤形の各々においてMPと実質的に同じ放出プロフィルを示すことを指摘した。234μmフイルムの態様では、凍結乾燥複合体はMPよりも速くSBE7β-CDを放出するように思われるが、しかし図4aおよび4bの物理的混合物態様での放出速度をフイルム厚さの逆数に対してプロットすると、それらの結果はSBE7β-CDがMPと実質的に同様の放出を有することを示した(図5)。フイルム厚さは所定の剤形の放出プロフィルに有意の影響を有しない。図10はフイルム厚さが、EUDRAGIT-L/尿素フイルムコーティングとジピリダモル/SBE7β-CDの物理的混合物の固形コアからなる遅延性放出製剤に及ぼす効果を示している。結果はこの態様に関して、DPの放出プロフィルはフイルム厚さには無関係であるが、しかし溶液のpHに左右されることを示している。フイルムコーティング組成をEUDRAGIT-Sおよび尿素に変えることにより、pH約6.8よりもpH約7.2でDPを放出する遅延性放出製剤を調製することができる(図11)。比較的塩基性のpHは患者の下方の小腸または大腸中に見いだされるpHに相当する。従って、固形コアとフイルムコーティングからなる治療剤の腸または結腸直腸放出用の遅延性放出製剤を調製することができ、その固形コアは治療剤とSAE-CDからなり、そしてフイルムコーティングはpH依存性の溶解性を有するポリマーであるフイルム形成剤からなる。固形コアを取り囲むフイルムはMPおよびSBE7β-CDの放出に影響する。コアを取り囲むフイルムがない場合の本発明の態様では、SBE7β-CDとMPとの物理的混合物からなるコアは、それと同一の複合体からなるコアとして同一のまたは実質的に同一の放出特性を有することができる。図6は凍結乾燥複合体(●)、物理的混合物(○)およびフルクトース−ラクトース−MPの物理的混合物(■)からなる各固形コアからのMPの放出プロフィルを示す。この例では、フルクトース−ラクトース混合物は溶解剤よりもむしろ浸透剤として働いている。この物理的混合物は複合体と実質的に同じ放出プロフィルを示す。MP/SBE7β-CDのモル比は一定の剤形の放出プロフィルに影響を及ぼすことができる。図7a〜7dは物理的混合物(図7aおよび7c)、および凍結乾燥複合体(7bおよび7d)としてのMPおよびSBE7β-CDからなるフイルムコーティング錠剤からのMPおよびSBE7β-CDの放出プロフィルを示しており、そこでMP/SBE7β-CDモル比は1/10、1/7および1/3(w/w)である。これらの結果は、SBE7β-CDの相対的量を減少させることがMPの観測放出プロフィルを減少させることを示している。すなわち、種々の放出プロフィルを有する剤形はMP/SBE7β-CDの比率を制御することにより製造することができる。これらの結果もまた、物理的混合物および凍結乾燥複合体が実質的に同一の放出特性を有することを示している。用いるフイルムコーティングはpH依存性の溶解性を有するポリマーからなることができる。図9は錠剤コアおよびフイルムコーティングからなる遅延性放出製剤の放出プロフィルを示す。錠剤コアはSBE7β-CDとジピリダモール(DP)の物理的混合物からなる。フイルムコーティング(150μm)はpH依存性の溶解性を有するEUDRAGIT-Lからなる。錠剤が浸されている溶液のpHが2時間後に1.5〜6.8に上昇した時に、SBE7β-CDとDPは実質的に同じ放出プロフィルを示した。2時間の遅延は患者の回腸または空腸中のDPの大部分を放出する剤形に相当する。本発明のフイルムコーティングまたは膜はフイルム形成剤の組み合わせからなることができる。図12はフイルムコーティングがセルロースアセテート(CA)とヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP)の1:1混合物からなり、固形コアはSBE7β-CDとDPからなる。フイルム形成剤のこの組み合わせは遅延性および制御性放出が組合わされた治療剤を提供する。90μm〜170μmのフイルム厚さを変えることは、pH依存性の溶解性を有するフイルム形成剤を用いるDPの放出プロフィルに実質的に影響するようには見えなかった。すなわち、この態様において、本発明はフイルム厚さにほんの僅かだけ依存する放出プロフィル有する遅延性および制御性放出製剤を提供する(図13)。本発明の特定の態様では、遅延性放出、遅延性と制御性が組合わされた放出、および制御された放出のみを示すものを調製することができる。図14の態様では、錠剤コアを含有するDP/SBE7β-CDを種々の比率およびフイルム厚さで存在するCA:HPMCPでコートした。■により示された遅延性放出態様は、1:1比率のCA:HPMCPからなる90μmフイルムコーティングからなった。◇により示された遅延性と制御性が組合わされた放出態様は6:4比率のCA:HPMCPからなる105μmフイルムコーティングからなった。すなわち、CA:HPMCPの比率を変えることにより、剤形の全放出プロフィルに対する制御性および遅延性放出の相対的寄与を調整することができる。本発明のSAE-CDがない場合には、ここに例示した治療剤について適当な薬剤放出プロフィルを得ることができない。例えば、CA:HPMCP(50:50)120μm厚さのフイルムにより取り囲まれたDP、クエン酸およびフルクトース−ラクトースからなる錠剤コアではDPの放出は全く得られなかった。同一の錠剤コアがEUDRAGIT-Lおよび尿素(50:50)の120μm厚さのフイルムにより取り囲まれているさらに別の実施例では、DPの不完全な放出が観察された。従って、本発明はまた錠剤コアおよびその錠剤コアの周りのフイルムコーティングからなる遅延性放出、制御性放出または遅延性と制御性が組合わされた放出、のプロフィルを有する製剤でもあり、ここでその錠剤コアは治療剤とSAE-CDとの物理的混合物からなり、フイルムコーティングは各フイルム形成剤の組み合わせからなる。さらに別の浸透性ポンプ錠剤を実施例2により調製し、それらの溶解特性を評価した。これらの錠剤はセルロースアセテート、エチルセルロース、ワックス、EUDRAGIT E100、EUDRAGIT RSおよびEUDRAGIT RLおよびEUDRAGIT L、EUDRAGIT S、セルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートおよびHPMCアセテートスクシネートの1種以上からなるフイルムコーティングにより取り囲まれたDP/SAE-CD含有錠剤を含んだ。評価した細孔形成剤はポリ(エチレングリコール)3350(PEG 3350)、ソルビトール、スクロースおよび尿素を含んだ。本明細書中で用いる“細孔形成剤”の用語は、本発明のフイルムコーティングにおける細孔の形成を助ける剤を記載し、フイルムの水浸透性を改善する。このような細孔形成剤の例としては炭水化物例えばラクトース、デキストロース、フルクトース、スクロース、マンノース;α−ヒドロキシル酸例えばクエン酸、酒石酸、フマール酸、コハク酸、グリコール酸、乳酸、それらの組み合わせおよびそれらの塩;ハライド対イオン例えばブロミド、フルオリド、ヨージドおよびクロリド;2価金属陽イオン例えばマグネシウムおよびカルシウム;陰イオン性剤例えばホスフェート、スルフェート、スルホネート、ナイトレート、ビカーボネート、それらの組み合わせおよびそれらの塩;セルロース類例えばHPC、HPMC、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース;ポリ(エチレンオキシド);ポリ(ビニルピロリドン);ガム類およびゲル化剤例えばグアール、キサンタンガム、アルギン酸、アカシア、トラガカント、それらの組み合わせおよびそれらの塩;粘土類例えばモンモリロナイト粘土、ベントナイト、ビーガム(Veegum)、カオリン粘土;その他の粘土例えばケイソウ土、マグネシウムシリケート、ベントン、ヘクトライト、PLURONICS、親水性表面活性剤;ポリオール類例えばソルビトール、マンニトール、キシリトール;タンパク質例えばアルブミン、コラーゲン、ゼラチン;水溶性アミノ酸;崩壊剤例えばデンプン、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスカルメロース;および水溶性有機化合物;およそそれらの混合物を挙げることができる。水透過性である細孔形成剤はフイルム透過性を改善する。本発明の製剤は体中流体にさらされるとSAE-CD複合体を形成するものである。特定の態様において、本発明剤形は治療剤放出の前のSAE-CD/治療剤の物理的混合物の水和が複合体形成を助けることができる。生物学的利用能および生体吸収速度の調節方法生物学的利用能がよくない難水溶性、疎水性薬剤について、本発明は水溶解性を強めそして生物学的利用能および/または患者の生体吸収速度を調整する方法を提供するのに有利である。非常に高い生物学的利用能を有する水溶性、疎水性薬剤の場合、本発明は患者の生体吸収速度を調節する方法を提供する。“難水溶性”および“疎水性”の用語は、治療剤が中性の水において20℃で約1mg/mlより低い溶解度を有することを意味する。“水溶性”および“親水性”の用語は、治療剤が中性の水において20℃で約1mg/mlより高い溶解度を有することを意味する。いくつかの態様において、治療剤の生物学的利用能または吸収速度を調節するための本発明方法は、治療剤とスルホアルキルエーテル−シクロデキストリン誘導体の組み合わせを提供し、次いでその組み合わせを患者に投与することからなる。生物学的利用能および/または生体吸収速度を調節する”とは、SAE-CDとの組み合わせで投与する場合の治療剤の生物学的利用能および/または生体吸収速度が、単独で投与する場合のその生物学的利用能および/または生体吸収速度とは相異なっている(または変変更されている)ことを意味する。他の態様において、本発明はスルホアルキルエーテル−シクロデキストリン誘導体と未複合治療剤との両方を一緒に単独の製薬的に許容し得る剤形に処方する工程およびその剤形を患者に投与する工程からなる。メカニズムに拘束されるものではないが、それはSAE-CDが患者の体液にさらされた後にそれとクラスレイトまたは包接複合体を形成することにより治療剤の生物学的利用能および/または吸収速度を変更させるものであると信じられる。SAE-CD/治療剤の組み合わせは以下に詳細に記載する多種の方法で処方することができる。SAE-CDは、製剤を服用する患者において治療剤との複合を可能にするのに十分な量で存在することが必要なだけである。一般説明本発明方法に包含され得る治療剤は水溶解度、生物学的利用能および親水性について広範囲の値を有することができる。すなわち、本発明は式(I)のSAE-CD誘導体とクラスレイトまたは包接複合体を形成するいずれもの治療剤を意図する。本発明が特に適している治療剤は難水溶性、疎水性治療剤および水溶性、親水性治療剤である。本発明は約500mgより少ない、特に約150mgより少ない、より好ましくは約50mgより少ない治療剤を含有する単位投与量の製剤に使用することができる。本発明製剤中に配合される治療化合物の量は、知られている製薬の原則にしたがって選択することができる。治療化合物の治療的に有効な量が具体的には考えられる。“治療的に有効な量”の用語は、例えば医薬に関して医薬的に有効な量を意味すると理解される。医薬的に有効な量とは、必要とされるまたは所望の治療反応を発揮するのに十分な薬剤または医薬的に活性な物質の量、すなわち患者に投与した場合に適当な生物学的反応を発揮するのに十分な量である。ビタミンまたはミネラルについて用いられている“有効量”の用語は、患者当たり特定の成分についての米国推奨の一日当たりの許可量(“RDA”)の少なくとも約10%の量を意味する。例えば、意図する成分がビタミンCである場合、その有効量はRDAの10%またはそれ以上を与えるのに十分なビタミンCの量を意味する。典型的には、錠剤がミネラルまたはビタミンを含有する場合、それは適用可能なRDAのより高い量、好ましくは約100%またはそれ以上を配合するであろう。治療化合物は溶解速度を増加させるために一般的には、微粉化形態すなわち粉末または顆粒で使用される。溶解速度を増加させるためには、微粉化された治療化合物を使用するのが好ましい。より好ましくは、治療化合物はそれの80%より少ない、望ましくは90%より少ないものが100メッシュ(150ミクロン)篩を通過させることができる。配合できる治療化合物の量は、組成物を基準にして通常約0.1〜50重量%、好ましくは約1〜25重量%であるが、その割合は用いる治療化合物により適当に変更してよい。治療剤としては難水溶性ピリドン−カルボン酸タイプの合成抗菌剤例えばベノフロキサシン、ナリジキシン酸、エノキサシン、オフロキサシン、アミフロキサシン、フルメキン、トスフロキサシン、ピロミジン酸、ピペミジン酸、ミロキサシン、オキソリン酸、シノキサシン、ノルフルオキサシン、シプロフロキサシン、ペルフロキサシン、ロメフロキサシン、エンロフロキサシン、ダノフロキサシン、ビンフロキサシン、サラフロキサシン、イバフロキサシン、ジフロキサシンおよびその塩を使用することができる。その他の治療剤としてはペニシリン、テトラサイクリン、セファロスポリン類および他の抗生物質、抗菌性物質、抗ヒスタミン類およびうっ血除去剤、抗炎症剤、抗寄生剤、抗ウイルス剤、局所麻酔剤、抗真菌剤、殺アメーバ剤または殺トリコマナス剤、鎮痛剤、抗関節炎剤、抗喘息剤、抗凝固剤、抗痙攣剤、抗鬱剤、抗糖尿病剤、抗新生物剤、抗精神病剤、抗高血圧剤および筋肉弛緩剤を挙げることができる。代表的な抗菌物質はβ−ラクタム抗生物質、テトラサイクリン、クロラムフェニコール、ネオマイシン、グラミシジン、バシトラシン、スルホンアミド、ニトロフラゾン、ナリジキシン酸および類似体およびフルダラニン/ペンチジドンの抗微生物性組み合わせである。代表的な抗ヒスタミン剤およびうっ血除去剤はペリラミン、クロルフェニラミン、テトラヒドロゾリンおよびアンタゾリンである。代表的な抗炎症剤はコルチソン、ヒドロコルチソン、ベタメサソン、デキサメタソン、フルオコルトロン、プレドニソロン、トリアムシノロン、インドメタシン、スリンダックおよびその塩および対応するスルフィドである。代表的な抗寄生性化合物はイベルメクチンである。代表的な抗ウイルス剤はアシクロビルおよびインターフェロンである。代表的な鎮痛剤はジフルニサル、アスピリンまたはアセトアミノフェンである。代表的な抗関節炎はフェニルブタゾン、インダメタシン、シリンダック、その塩および対応するスルフィド、デキサメタソン、イブプロフェン、アロプリノル、オキシフェンブタゾンまたはプロベネシドである。代表的な抗凝固剤はビスヒドロキシクマリンおよびワルファリンである。代表的な抗痙攣剤はジフェニルヒダントインおよびジアゼパムである。代表的な抗鬱剤はアミトリプチリン、クロルジアゼポキシド、ペルフェナジン、プロトリプチリン、イミプラミンおよびドキセピンである。代表的な抗糖尿病剤はインスリン、ソマトスタチンおよびその類似体、トルブタミド、トルアザミド、アセトヘキサミドおよびクロルプロパミドである。代表的な抗新生物剤はアドリアマイシン、フルオロウラシル、メトトレキセートおよびアスパラギナーゼである。代表的な抗精神病剤はプロクロルペラジン、チオリダジン、モリンドン、フルフェナジン、トリフルオペラジン、ペルフェナジン、アミトチプチリンおよびトリフルオプロマジンである。代表的な抗高血圧剤はスピロノラクトン、メチルドーパ、ヒドラジン、クロニジン、クロロチアジド、デセルピジン、チモロール、プロパノロール、メトプロロール、プラゾシン塩酸塩およびレセルピンである。代表的な筋肉弛緩剤はスクシニルコリンクロリド、ダンブロレン、シクロベンザプリン、メトカルバモールおよびジアゼパムである。使用できる治療剤のいくつかの他の具体例としては、以下に限定されるものではないが、アジフェニン、アロバルビタール、アミノ安息香酸、アモバルビタール、アンピシリン、アネソール、アスピリン、アゾプロパゾン、アザレンバルビツール酸、ベクロメタソン、ベクロメタソンジプロプロネート、ベンシクラン、ベンズアルデヒド、ベンゾカイン、ベンゾジアゼピン、ベンゾチアジド、ベタメタソン、ベタメタソン17−バレレート、ブロモ安息香酸、ブロモイソバレリル尿素、ブチル−p−アミノベンゾエート、クロラル水和物、クロラムブシル、クロラムフェニコール、クロロ安息香酸、クロルプロマジン、ケイ皮酸、クロフィブレート、補酵素A、コルチソン、コルチソンアセテート、シクロバルビタール、シクロヘキシルアントラニレート、デオキシコリン酸、デキサメタソン、デキサメタソンアセテート、ジアゼパム、ジギトキシン、ジゴキシン、エステラジオール、フルフェナミン酸、フルオシノロンアセトニド、5−フルオロウラシル、フルルビプロフェン、グリセオフルビン、グアイアズレン、ヒドロコルチソン、ヒドロコルチソンアセテート、イブプロフェン、インジカン、インドメタシン、ヨウ素、ケトプロフェン、ランカシジン群抗生物質、メフェナミン酸、メナジオン、メホバルビタール、メタルビタール、メチシリン、メトロニダゾール、マイトマイシン、ニトラゼパム、ニトログリセリン、ニトロソ尿素、パラメタソン、ペニシリン、ペントバルビタール、フェノバルビタール、フェノバルビトン、フェニル酪酸、フェニル吉草酸、フェニトイン、プレドニソロン、プレドニソロンアセテート、プロゲステロン、プロピルパラベン、プロシラリジン、プロスタグランジンA系、プロスタグランジンB系、プロスタグランジンE系、プロスタグランジンF系、キノロン抗微生物剤、レセルピン、スピロノラクトン、スルファセトアミドナトリウム、スルホンアミド、テストステロン、タリドミ、チアミンジラウリルスルフェート、チアムフェニコールパルミテート、チオペンタール、トリアムシノロン、ビタミンA、ビタミンD3、ビタミンE、ビタミンK3およびワルファリンを挙げることができる。製剤内に含有される治療化合物は、その医薬的に許容し得る塩として処方することができる。本明細書中で使用する“医薬的に許容し得る塩”とは、治療化合物がその酸または塩基の塩を製造することにより変形されている開示化合物の誘導体を意味する。医薬的に許容し得る塩の例としては、塩基性残基例えばアミン類の無機酸塩または有機塩塩;酸性残基例えばカルボン酸のアルカリ塩または有機塩等があるが、これらに限定されるものではない。医薬的に許容し得る塩には、例えば無毒性の無機酸または有機酸から形成される原化合物の慣用の無毒性塩または第4級アンモニウム塩がある。例えば、このような慣用の無毒性塩としては無機酸例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルホン酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸等から誘導される塩;および有機酸例えばアミノ酸、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パモン酸、マイレン酸、ヒドロキシマイレン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、スルファニル酸、2−アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸、イセチオン酸等から製造される塩を挙げることができる。本発明の医薬的に許容し得る塩は、塩基性または酸性部分を有する原治療化合物から慣用の化学的方法で合成することができる。一般的に、このような塩は水、有機溶媒または両者の混合物中でこれら化合物の遊離酸形態または塩基形態をあらかじめ決められた量の適当な塩基または酸と反応させることにより製造することができる。一般的には、非水溶性媒体が好ましい。適当な塩の掲載はRemington's Pharmaceutical Science, 18thed., Mack Publishing Company, Easton, PA, 1990, chpt.40に見いだされ、その開示は参照によりここに組み込まれる。“医薬的に許容し得る”の表現は、利益/危険の適切な比率を基準として過剰の毒性、刺激、アレルギー反応またはその他の問題点または合併症をもたずに、健全な医薬的判断の範囲内においてヒトおよび動物の組織との接触に使用するのに適当である化合物、物質、組成物および/または剤形を意味するのに本明細書中では用いられている。本明細書中で使用する“活性成分”は、フレーバー剤(flavoring agent)、甘味剤、ビタミン、ミネラルおよびその他の製剤適用のために用いるような化合物として定義される。本発明製剤はまた、補助剤例えば着色剤、崩壊剤、潤滑剤、生体接着剤等を含有することもできる。崩壊剤としてはテンプン例えばコーンスターチ、馬鈴薯デンプン、あらかじめゼラチン化ないし調整したそれらのテンプン、セルロース性剤例えばAc-di-sol、モントモリロナイト粘土、架橋PVP、甘味剤、ベントナイトおよびVEEGUMTM、微結晶性セルロース、アルギネート、デンプングリコール酸ナトリウム、ガム類例えばグアール、イナゴマメ、カラヤ(karaya)、ペクチンおよびトラガカントがある。特定の態様では、本発明錠剤はその中のSAE-CD/治療剤の物理的混合物が水和する程迅速に溶解しない。本発明製剤中に含まれるプロテアーゼインヒビターとしては、限定するものではないが、例としては挙げればアンチパイン、ロイペプチン、キモスタチン、アミスタチンおよびプロマイシンがある。本発明製剤中に含まれる浸透強化剤としては、限定するものではないが、例としては挙げればカルシウムキレーター例えばEDTAおよびポリカルボン酸;界面活性剤例えばラウリル硫酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウムおよびツイーン;胆汁酸塩例えばタウロコール酸ナトリウム;脂肪酸例えばオレイン酸およびリノール酸;および非界面活性剤例えばAZONEおよびジアルキルスルホキシドがある。組成物中に混入させるフレーバーは合成フレーバー油およびフレーバー付与芳香物質および/または天然油、植物、葉、花、果実からの抽出物等およびそれらの組み合わせから選択することができる。これらはシナモン油、ヒメコウジの油、ペパーミント油、ハトノキ油、ベイ油、アニス油、ユーカリノキ油、タイム油、シーダー葉の油、ナツメグ油、セージ油、苦扁桃油およびトンキンニッケイ油であることができる。フレーバーとしてはまた、バニラ、柑橘油例えばレモン、オレンジ、ブドウ、ライムおよびグレープフルーツ、および果物のエッセンス例えばリンゴ、ナシ、モモ、イチゴ、キイチゴ、チェリー、プラム、パイナップル、アプリコット等も有用である。特に有用であることが分かったフレーバーとしては商業的に入手し得るオレンジ、ブドウ、チェリーおよびバブルガムのフレーバー並びにそれらの混合物がある。フレーバーの量は多くの因子例えば所望される器官感覚受容性作用に左右されることがある。特に好ましいフレーバーはブドウおよびチェリーのフレーバー並びにオレンジのような柑橘フレーバーである。本発明製剤中に混入すべき物質は、顆粒形成のために前処理することができる。この方法は造粒法として知られている。一般に定義されるように、“造粒法”は小粒子を一緒に集めてより大きな永久凝集体にして、適当なコンシステンシーを有する自由流動性組成物を得るためのサイズ拡大のいずれかの方法である。このような顆粒化された組成物は、乾燥型砂の場合と同様のコンシステンシーを有することができる。造粒法は混合装置中での振とうによりまたは圧密充填、押出しまたはアグロメレーションにより成就できる。本発明の開示で使用する“ビタミン”の用語は、食事に必要とされる痕跡量の有機物質を意味する。本発明の目的において、“ビタミン”の用語は、限定されるものではないが、チアミン、リボフラビン、ニコチン酸、アスコルビン酸、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンEおよびビタミンKを包含する。また“ビタミン”の用語にはそれらの補酵素類も包含される。補酵素はビタミンの特異的な化学形態である。補酵素としては例えばチアミンピロホスフェート(TPP)、フラビンモノヌクレオチド(FMM)、フラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドホスフェート(NADP)、補酵素A(CoA)、ピリドキサルホスフェート、ビオシチン、テトラヒドロ葉酸、補酵素B12、リポイルリジン、11−シス−レチナル、および1,25−ジヒドロキシコレカルシフェロールを挙げることができる。“ビタミン”の用語はまた、コリン、カルニチン並びにα,βおよびα−カロチンも包含する。本発明の開示で使用する“ミネラル”の用語は、ヒトの食物に必要とされる無機物質、金属等を意味する。すなわち、ここで使用する“ミネラル”の用語は、限定されるものではないが、カルシウム、鉄、亜鉛、セレン、銅、ヨウ素、マグネシウム、リン、クローム等およびそれらの混合物を包含する。本明細書中で使用する“栄養補助剤”の用語は、少量で投与するとかなりの栄養効果がある物質を意味する。この栄養補助剤としては、限定されるものではないが、ミツバチの花粉、ブラン、コムギ麦芽、ケルプ、魚肝油、チョウセンニンジン、魚油、アミノ酸、タンパク質およびそれらの混合物を挙げることができる。認められているように、栄養補助剤はビタミンおよびミネラルを混入していることもある。生体接着剤もまた本発明製剤中に含まれる。生体接着剤は粘膜または皮膚組織のような生体表面に接着する物質として定義される。生体接着剤は剤形を粘膜上に接着させて局在化させる。好ましい生体接着剤は繊維質または微粒子状で、水膨潤性だが水不溶性である。生体接着剤対その他成分の適切な比率が、強力な生体接着力を与える。本発明で使用できる生体接着性ポリマーとしては親水性および水分散性ポリマーがあり、遊離カルボキシル基および比較的高い塩基結合力を有する。これらのポリマーおよび親水性セルロース性物質はポリカルボキシル化されたビニルポリマーおよびポリアクリル酸ポリマーである。いくつかの親水性多糖類ガム例えばグアールガム、イナゴマメガム、オオバコ種子ガム等も製剤中で使用するのに適当である。生体接着剤対活性成分の重量比は非常に広範である。実際には、生体接着剤対活性成分の重量比は約1:10〜約10:1であることができる。本発明のSAE-CD含有製剤は、適当な製品を得るために特定の疎水性または親水性結合剤を必要とすることがある。適当な疎水性結合剤としてはセルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースプロピオネート高分子量物(200,000)、セルロースプロピオネート中分子量物(75,000)、セルロースプロピオネート低分子量物(25,000)、セルロースアセテート、セルロースナイトレート、エチルセルロース、ポリビニルアセテート等がある。適当な親水性結合剤としてはポリビニルピロリドン、ビニルアルコールポリマー、ポリエチレンオキシド、水溶性または水膨潤性セルロースおよびデンプン誘導体等がある。フイルム形成剤として適当なその他の化合物にはセルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースプロピオネート、HPMC、カラゲーナン、セルロースアセテート、セルロースナイトレート、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルアセテートおよびラテックス分散液、アカシア、トラガカント、グアールガム、ゼラチンおよびそれらの組み合わせがある。製剤に添加可能なその他の結合剤の例としては、例えばアカシア、トラガカント、ゼラチン、デンプン、セルロース物質例えばメチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロースナトリウム、アルギン酸およびその塩、ポリエチレングリコール、グアールガム、多糖類、糖、転化糖、ポロキソマー(PLURONIC F68, PLURONIC F127)、コラーゲン、アルブミン、ゼラチン、非水溶性溶媒中のセルロース性物質、あらかじめゼラチン化されたデンプン、デンプンペーストおよびそれらの混合物等を挙げることができる。その他の結合剤としては、例えばポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレン−ポリプロピレンコポリマー、ポリエチレンエステル、ポリエチレンソルビタンエステル、ポリエチレンオキシドまたはそれらの組み合わせ等がある。これらの結合剤の融点および/または軟化点温度は通常、それらの分子量の増加とともに上昇する。約150℃より高い融点または軟化点温度を有する結合剤は、適当な剤形の調製中に結合剤の融点または軟化点温度が150℃より低くなるように可塑剤の使用を必要とする。結合剤は粉末、顆粒、フレークまたは熱溶融液体のようないずれかの形態で使用することができる。本明細書中で使用する“可塑剤”の用語は、本発明で使用する結合剤を可塑化することができる全ての化合物を含む。可塑剤は結合剤の溶融温度またはガラス転移温度(軟化点温度)を低くすることができる。例えば低分子量PEGのような可塑剤は、一般的に、結合剤の平均分子量を大きくし、それによりそのガラス転移温度または軟化点は低くなる。可塑剤はまた、一般的に、ポリマーの粘度を減少させる。可塑剤が本発明製剤にある種の特に有利な物理的性質を付与することは可能である。本発明で有用な可塑剤は、限定ではなくて例示として挙げれば、低分子量ポリマー、オリゴマー、コポリマー、油状物、小有機分子、脂肪族ヒドロキシルを有する低分子量ポリオール、エステル型可塑剤、グリコールエーテル、ポリ(プロピレングリコール)、多ブロックポリマー、単一ブロックポリマー、低分子量ポリ(ポリエチレングリコール)、クエン酸エステル、トリアセチン、プロピレングリコールフタル酸エステル、リン酸エステル、セバシン酸エステル、グリコール誘導体、脂肪族エステルおよびグリセリンがある。このような可塑剤はまたエチレングリコール、1,2−ブチレングリコール、2,3−ブチレングリコール、スチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコールおよびその他のポリ(エチレングリコール)化合物、モノプロピレングリコールものイソプロピルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ソルビトールラクテート、エチルラクテート、ブチルラクテート、エチルグリコレート、ジブチルセバケート、ジメチルセバケート、ジ−2−エチルヘキシルセバケート、トリクレシルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、アセチル化モノグリセリド、鉱油、ヒマシ油、グリセリルトリアセテート、ブチルステアレート、グリセロールモノステアレート、ブトキシエチルステアレート、ステアリルアルコール、シクロヘキシルエチルフタレート、シクロヘキシルメチルジブチルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジイソプロピルフタレート、ジメチルフタレート、ジオクチルフタレート、アセチルトリブチルシトレート、トリエチルシトレート、アセチルトリエチルシトレート、トリブチルシトレートおよびアリルグリコレートであることもできる。全てのこのような可塑剤は例えばAldrich社またはSigma Chemical社またはMorflex社のような供給元から商業的に入手できる。可塑剤の組み合わせを本発明で使用できることも考えられ、本発明の範囲内である。本発明製剤は一般的に、前記の式Iのスルホアルキルエーテル−シクロデキストリン、医薬的に許容し得る担体および治療的に有効な量の治療剤を含有する固形コアからなり、その治療剤の大部分はそのスルホアルキルエーテル−シクロデキストリンと複合していない。固形コアはフイルムコーティングにより取り囲まれている。これらの製剤は、限定されるのではなくて例示として挙げれば、食用の棒、カプセル、繊維、フイルム、ゲル、顆粒、チューインガム、インプラント、インサート、ペレット、粉末、錠剤、テープ、トローチ、ピル、スティック、ストリップおよびウエファーのような剤形中に含有させることができる。意図される投与経路には経口、非経口、口内、鼻内、インプラント、直腸、膣内、舌下、耳内および尿道投与経路がある。本発明製剤は医薬的に許容し得る担体または希釈剤と一緒に投与でき、その割合および性質は選択する治療剤の溶解性および化学的性質、選択する剤形および標準薬事業により決定される。固形の経口形態は慣用の賦形剤例えばラクトース、スクロース、ステアリン酸マグネシウム、樹脂等の物質、フレーバー剤、着色剤、緩衝剤、保存剤または安定化剤を含有することができる。これらの製剤はまた、水を錠剤コア中に抜き取ることができる吸湿剤を含有することが可能である。このような吸湿剤としては、剤形内の浸透圧を増加させて水を引き抜くことができる水溶性電解質、小有機化合物、浸透圧調整剤を挙げることができる。本明細書中で使用する“患者”の用語は哺乳類のような温血動物例えばネコ、イヌ、ハツカネズミ、モルモット、ウマ、雄ウシ、雌ウシ、ヒツジおよびヒトを意味するものと解される。本明細書中で使用する“単位剤形”の用語は、一定量の活性成分および希釈剤または担体を含有する1回または多数回投与用剤形を意味し、該量は1つまたはその以上のあらかじめ決められた単位が1回の治療投与に通常、必要とされるような量である。多数回投与用剤形例えば液体または刻み目をつけた錠剤の場合には、そのあらかじめ決められた単位は多数回投与用剤形の刻み目をつけた錠剤の半分または4分の1のような一つのフラクションである。いずれもの患者に具体的な投与量は、種々の因子例えば治療されている疾病、用いる治療剤、治療剤の活性、疾病の重度、患者の健康状態、年齢、性別、体重、食事および薬理反応、用いる特定の剤形およびその他のかかる因子に左右されることが理解されよう。種々の成分または化合物は、本発明の適当な剤形の調製を促進するのに使用できる。そのような成分または化合物としては、限定するものではないが、例えば酸性化剤、アルカリ性化剤、吸収剤、抗真菌保存剤、抗酸化剤、緩衝剤、着色剤、カプセル化剤、フレーバー剤、硬化剤、坐薬基剤、甘味剤、錠剤用抗接着剤、錠剤用結合剤、錠剤およびカプセル剤用希釈剤、錠剤コーティング剤、錠剤用直接圧縮賦形剤、錠剤用崩壊剤、錠剤用滑沢剤、錠剤用潤滑剤、錠剤/カプセル剤用不透明剤および錠剤用研磨剤がある。本明細書中で使用する“酸性化剤”の用語は、生成物安定のために酸性媒体を提供するのに用いる化合物を意味する。そのような化合物は、限定ではなくて例示として挙げれば、酢酸、クエン酸、フマル酸、塩酸および硝酸等がある。本明細書中で使用する“アルカリ性化剤”の用語は、生成物安定のためにアルカリ性媒体を提供するのに用いる化合物を意味する。そのような化合物は、限定ではなくて例示として挙げれば、アンモニア溶液、炭酸アンモニウム、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、水酸化カリウム、硼酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、トリエタノールアミンおよびトロルアミン(trolamine)等がある。本明細書中で使用する“吸収剤”の用語は、物理的または化学的(化学吸着)手段によりその表面上にその他の分子を保持できる剤を意味する。そのような化合物は、限定ではなくて例示として挙げれば、粉末化ないし活性化木炭等がある。本明細書中で使用する“保存剤”の用語は、微生物の増殖を防止するのに用いる化合物を意味する。そのような化合物は、限定ではなくて例示として挙げれば、ベンズアルコニウムクロリド、ベンゼトニウムクロリド、ベンジルアルコール、セチルピリジニウムクロリド、クロロブタノール、フェノール、フェニルエチルアルコール、フェニル水銀硝酸塩およびチメロサル等がある。本明細書中で使用する“抗酸化剤”の用語は、酸化を抑制しそしてそれ故にその酸化工程により製剤の劣化を防止するのに使用するための剤を意味する。そのような化合物は、限定ではなくて例示として挙げれば、アスコルビン酸、アスコルビルパルミテート、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、次亜リン酸、モノチオグリセロール、プロピルガレート、アスコルビン酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、ホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウムおよびメタ重亜硫酸ナトリウム等がある。本明細書中で使用する“緩衝剤”の用語は、酸またはアルカリの希釈または添加後のpH変化に抵抗するのに用いる化合物を意味する。そのような化合物は、限定ではなくて例示として挙げれば、メタリン酸カリウム、リン酸カリウム、一塩基性の酢酸ナトリウムおよびクエン酸ナトリウムの無水物および二水和物等がある。本明細書中で使用する“着色剤”の用語は、固形(例えば錠剤およびカプセル剤)製剤に色を付与するのに用いる化合物を意味する。そのような化合物は、限定ではなくて例示として挙げれば、FD&C 赤色 No.3、FD&C 赤色 No.20、FD&C 黄色 No.6、FD&C 青色 No.2、D&C 緑色 No.5、D&C 橙色 No.5、D&C 赤色 No.8、カラメル、および酸化第2鉄、レッド等がある。着色剤はまた、二酸化チタン、天然着色剤例えばブドウ皮の抽出物、ビートの赤色粉末、β−カロチン、アナットー、カルミン、ウコン、パプリカ等も包含できる。本明細書中で使用する“カプセル化剤”の用語は、投与を容易にするために薬剤物質または薬剤製剤をカプセル化する目的で薄い殻を形成するのに用いる化合物を意味する。そのような化合物は、限定ではなくて例示として挙げれば、ゼラチン、ナイロン、生分解性ポリエステル、D,L−ポリ(乳酸)、ポリラクチド-コ-グリコール酸、セルロースアセテートフタレート等がある。本明細書中で使用する“フレーバー剤”の用語は、製剤に気持ちのよい香りおよび多くの場合には匂いも付与するのに用いる化合物を意味する。そのような化合物は、限定ではなくて例示として挙げれば、アニス油、シナモン油、ココア、メンソール、オレンジ油、ペパーミント油およびバニラ等がある。本明細書中で使用する“甘味剤”の用語は、製剤に甘味を付与するのに用いる化合物を意味する。そのような化合物は、限定ではなくて例示として挙げれば、アスパルテーム、デキストロース、グリセリン、マンニトール、サッカリンナトリウム、ソルビトール、スクロース等がある。本明細書中で使用する“錠剤抗接着剤”の用語は、製造中に錠剤機のパンチおよびダイスに錠剤の製剤成分が粘着するのを防止する剤を意味する。そのような化合物は、限定ではなくて例示として挙げれば、ステアリン酸マグネシウム、コーンスターチ、二酸化ケイ素、タルク等がある。本明細書中で使用する“錠剤結合剤”の用語は、錠剤顆粒化中に粉末粒子を接着させるのに用いる物質を意味する。そのような化合物は、限定ではなくて例示として挙げれば、アカシア、アルギン酸、カルボキシメチルセルロースナトリウム、圧縮性糖(例えばNuTab)、エチルセルロース、ゼラチン、液体グルコース、メチルセルロース、ポビドンおよびあらかじめゼラチン化されたデンプン等がある。本明細書中で使用する“錠剤およびカプセル剤用希釈剤”の用語は、錠剤およびカプセル剤の調製中、所望のバルク、流動性および圧縮特性を得るために充填剤として用いる不活性物質を意味する。そのような化合物は、限定ではなくて例示として挙げれば、二塩基性リン酸カルシウム、カオリン粘土、フルクトース、スクロース、デキストロース、タクトース、マンニトール、微結晶性セルロース、粉末状セルロース、凝結した炭酸カルシウム、ソルビトール、硫酸カルシウム、デンプン等がある。本明細書中で使用する“錠剤コーティング剤”の用語は、投与後の薬剤物質の所望の放出パターンを得るために、薬剤物質の味および匂いを遮蔽するために、または美的目的のために、大気の酸素または湿度による薬剤分解からの保護のために、形成した錠剤を被覆するのに用いる化合物を意味する。コーティングは種々のタイプ例えば糖コーティング、フイルムコーティングまたは腸溶コーティングであることができる。糖コーティングは水ベースであり、形成された錠剤の周りに厚くなったカバーを生成する。糖コーティング錠剤は一般に胃腸の比較的高いpH値で溶解する。フイルムコートは形成された錠剤またはビーズの周りの薄いカバーである。腸溶コーティングの錠剤またはビーズは胃を通過し、腸の中で分解する。水不溶性であるいくつかのコーティング(例えばエチルセルロース)は、錠剤が胃腸管を通過するにつれて薬剤を徐放できる錠剤またはビーズをコーティングするのに使用できる。コーティング用のこのような化合物は、限定ではなくて例示として挙げれば、液体のグルコースおよびスクロースが糖コーティング剤の例であり、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース(例えばメトセル)およびエチルセルロース(例えばエトセル)がフイルムコーティングの例であり;そしてセルロースアセテートフタレートおよびシェラック(アルコール中の35%、“製薬用つや出し剤”)が腸溶コーティング等の例である。本明細書中で使用する“錠剤用直接圧縮賦形剤”の用語は、直接圧縮錠剤製剤に用いる化合物を意味する。そのような化合物は、限定ではなくて例示として挙げれば、二塩基性リン酸カルシウム(例えばDitab)、微結晶性セルロース、アビセル(Avicel)、デキストラン(EMDEX)、スクロース(NUTAB)等がある。本明細書中で使用する“錠剤用滑沢剤”の用語は、錠剤圧縮中の摩擦を減少させるために錠剤およびカプセル製剤に用いる剤を意味する。そのような化合物は、限定ではなくて例示として挙げれば、コロイド性または燻蒸したシリカ、ステアリン酸マグネシウム、コーンスターチ、タルク等がある。本明細書中で使用する“錠剤用潤滑剤”の用語は、錠剤圧縮中の摩擦を減少させるために錠剤製剤に用いる物質を意味する。そのような化合物は、限定ではなくて例示として挙げれば、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、鉱油、ステアリン酸、水添植物油、安息香酸、ポリ(エチレングリコール)、NaCl、PRUV、ステアリン酸亜鉛等がある。本明細書中で使用する“錠剤/カプセル剤用不透明化剤”の用語は、カプセル剤または錠剤のコーティングを不透明にするために用いる化合物を意味する。それは単独でまたは着色剤との組み合わせで用いてもよい。そのような化合物は、限定ではなくて例示として挙げれば、二酸化チタン等がある。本明細書中で使用する“錠剤用研磨剤”の用語は、コーティング錠剤に魅力的な光沢を付与するのに用いる化合物を意味する。そのような化合物は、限定ではなくて例示として挙げれば、カルナウバワックスおよび白色ワックス等がある。治療剤/SAE-CDの物理的混合物を含有する本発明製剤は治療剤例えばシムバスタチン、クリプトフィシン、ジャスパミド、アムブロシン、ブスルファン、プロパノロール、エトポシド、タクソール、ブレフェルジンA、ブレフェルジンAプロドラッグ(NSC#D656202)、9−アミノ−20(S)−カンプトセシン、カンプトセシン、プレドニソロンアセテート、プレドニソロン、パンクレアスタチン、リゾキシン、ブリオスタチン1、タキソテレO6−ベンジルグアニン、アンドロスタン、グアニン、クロラムフェニコール、ダプソン、スルファコン、ベンクロメタソンジプロピオネート、メナジオン、タモキシフェンシトレート、コレステロール、エストロン、ベラプミルHCl、エキリン、ワルファリン、インドメタシン、フェニトイン、シナリジン、アミオダロンHCl、ナプロキセン、ピロキシカム、チアベンダゾール、パパベリン、ミコナゾール(遊離塩基)、ニフェジピン、テストステロン、プロゲステロン、カルバマゼピン、メチルプレドニソロン、デキサメタソン、ヒドロコルチソンおよびミコナゾールナイトレートに特に適していることが見いだされた。以下に、本発明をより理解するために本発明製剤の調製のための一定の操作を詳記する実施例を記載する。これらの実施例に記載の全ての参考文献は説明のためである。これらの実施例は本発明の範囲および本質を限定するものとして見なすべきではない。実施例 1テストステロン−(SBE)7-β-CDの持続性放出製剤本実施例は、生理学的に活性な剤を有する持続性放出製剤の調製についてかかる剤の一つの例としてテストステロンを用いて本発明の有用性を証明する。相溶解性の調査過剰量のテストステロンを0.0〜0.05モル/lの(SBE)7-β-CD溶液0.25mlに加えた。その分散液を最低24時間振とう水浴(100spm, 25℃)中に放置して平衡状態にした。その分散液を2500rpmで10分間遠心分離にかけ、上澄み液20μlをガスもれのしない構造の100μlシリンジ(Hamilton Co., NV)で試料として採取し、移動相で希釈し、次いで溶液中のテストステロンの濃度をHPLCにより分析した。次いでこのテストステロン−(SBE)7-β-CDの結合定数K1:1をHiguchiとConnorsによるタイプALダイアグラムの方法で測定した。錠剤コアの調製錠剤コアは1/1モル比のテストステロン/(SBE)7-β-CDで調製した。この錠剤コアは、テストステロン−(SBE)7-β-CDの複合体またはこれら2種の化合物の物理的混合物から成った。複合体はテストステロン−(SBE)7-β-CD溶液((SBE)7m-β-CD中の5〜15%)を凍結乾燥することにより調製した。(SBE)7-β-CDを含まない錠剤もまた調製した。それらは1/1の比率の、テストステロン:フルクトースとラクトースの50:50(w/w)混合物(Fischer Scientific, NJ)から成った。上記混合物をモルタル中で粉砕し、低湿度条件下で200メッシュ(75μm)スクリーンに通して篩分けした。その混合物は使用しないときにはデシケータ中に保存した。約120mgの各錠剤をカルバーラボラトリープレス(Fred S. Carver Inc., NJ)を用いて1トンで1分間溶解ダイス(dissolution die)中で圧縮した。半透性膜の調製コーティング製剤は1.0%のソルビトール(Sigma, MO)を3.7%の二重に蒸留した水と0.4%のPEG 400(Sigma, MO)中に溶解することにより調製した。その溶液中に2.0%のセルロースアセテート(CA-398-10, Eastman Chemical Co., TN)を懸濁し、その混合物に55.7%のメチレンクロリドおよび37.2%のメタノールを加えた。分散液を振とうし、各固形成分が完全に溶解するまで超音波処理した。コーティング溶液を一定の空気流の下で(40℃)ステンレス鋼表面に噴霧した(Airbrush, Paasche)。次いで、それらを室温で24時間放置した。各膜を表面から剥がし、光学顕微鏡(X70)の下で裂け目およびきずを調べ、それらの厚さをマイクロメーター(Ames, MA)で測定した。次いで、各膜を錠剤を含有する溶解ダイス上に、鋼の上で噴霧されたその面が錠剤表面と接触するようにして固定した。インビトロ放出の調査放出調査は、その溶解ダイスを37℃、100rpmで水900mlを含有する米国薬局方の分離装置II(Vanderkamp 600, VanKel Industries Inc.)中に置くことにより実施した。試料は種々の時点で集めた。100%放出は、膜をダイスから除去し、薬剤の溶解を完全ならしめることにより測定された。各試料をテストステロン濃度についてHPLCで分析した。テストステロンのHPLCによる検出テストステロンは、15cmのODS Hypersilカラム次いで238nmでのUV検出(Shimazu scientific Instrsuments, Inc., Japan)を用いて検出した。移動相は60%アセトニトリルおよび40%二重蒸留水から成った。実施例 2ジピリダモル−(SBE)7-β-CDの遅延性放出製剤分析操作ジピリダモルは、15cmのODS Hypersilカラムを用いて分析した。試料の容量は20μlであり、UV検出の波長は285nm(Shimazu 6A, Shimazu, Japan)であった。70%メタノールおよび30%リン酸アンモニウムバッファー(pH5.0)から成る移動相を1.5ml/分の流速でカラムに通過させた。(SBE)7m-β-CDは蛍光分析で検出した。試料0.8mlに対して2,6−トルイジノナフタレン−スルホネートの1mM溶液0.2mlを用いた。次いでパーキン−エルマー(Perkin-Elmer, CT)蛍光検出器を用いてこの溶液を325nmで励起させ、放射蛍光を455nmで検出した。相溶解性の実験(SBE)7-β-CD(0〜0.1M)溶液はpH4.0〜7.0の種々のバッファー溶液(pH4&5の場合にはクエン酸塩;pH6&7の場合にはリン酸塩)で調製した。これらの溶液0.25mlに過剰量のジピリダモルを加え、最低24時間25℃の振とう水浴中に放置して平衡状態にした(予備実験では平衡溶解性は24時間以内に達成されたことが示された)。それらの溶液を2500rpmで10分間遠心分離にかけ、上澄み液20μlを対ガス構造のハミルトンの100μlシリンジ(Hamilton Co., NV)で注意深く試料として採取し、移動相で希釈し、次いでHPLCで分析した。次いで溶解度データを用いて、ALタイプ相様式のHiguchiとConnorsによる方法で結合定数を測定した。物理的混合物の調製:ジピリダモル(SIGMA, MO)、(SBE)7-β-CDおよびクエン酸(SIGMA, MO)(1:9:3のモル比)を物理的に混合し、モルタルと乳棒を用いて手で粉砕した。次いで粉砕した物理的混合物を200メッシュ(75μm)スクリーンに通して篩分けした。この操作を2回繰り返した。この混合物は使用しない時には常にゲシケータ中に保存した。溶解ダイスの記述および錠剤の調製:溶解ダイスは円筒状のステンレス鋼センターピース、ステンレス鋼プラットフォーム、ステンレス鋼トップカバー、2個のテフロンシート(頂上と底)およびテフロンインサートからなる。円筒状のステンレス鋼センターピースはセンターに穴(半径=7.5mm)を有し、そこで錠剤は圧縮される。ステンレス鋼トップカバーと頂上のテフロンシートは両方とも、センターと同じ半径の穴を有する。センターピースは反転され、プラットフォーム上に取り付けられた。薬剤、(SBE)7-β-CDおよびクエン酸を含有する物理的混合物約120mgを円筒状の穴の中に注ぎ、パンチをその中にしっかりと置いた。錠剤コアをカーバープレス(Fred Carver Inc., NJ)を用いて1分間1トンの力で圧縮した。パンチをリバースハンマーを用いてセンター−ピースから慎重に取り除いた。フイルムコーティングポリマー溶液の調製オイドラギット(Eudragit)コーティングは、5%(w/w)のEudragit RまたはS(Huls America, NJ)、5%の尿素(SIGMA, MO)またはポリエチレングリコール(PEG 3350, SIGMA, MO)および0.75%のクエン酸トリエチル(TEC, SIGMA, MO)を89.25%エタノール中に溶解することにより調製した。これは透明な溶液が得られるまで実施した。セルロースアセテート(CA-320S Eastman Chemical Co., TN)およびヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP,Eastman Chemical Co., TN)のポリマー溶液は、等量のメチレンクロリドとメタノールを含有する94%の溶媒中に5%のポリマーおよび1%のTECを溶解することにより調製した。CA:HPMCPの比率は50:50〜75:25で変化するが、ポリマーの全量は常に5%に維持された。溶解は透明な溶液が得られるまで実施された。錠剤コーティング次いでこのコーティング溶液を一定の空気流(70℃)の下で錠剤表面に直接噴霧した。そのコーティング錠剤を同じ空気流の下で15分間さらに乾燥した。これらの錠剤を室温で12〜16時間さらに乾燥した。膜の厚さはコーティングの前と後の錠剤の厚さの差であると想定した。厚さの測定はスクリューゲージマイクロメーターを用いて実施した。インビトロ放出の調査Eudragit LおよびCA:HPMCPで被覆された錠剤の放出調査は、その溶解ダイスを450mlのHCl(pH1.5, 37℃および100 r.p.m.)を含有する米国薬局方の溶解装置II(Vanderkamp 600, Vankel Industries Inc.)中に置くことにより実施した。2時間後にダイスを慎重に除去し、450mlのリン酸塩バッファー(pH1.5, 37℃および100 r.p.m.)中に置き、次いで溶解実験を続けた。各試料1.5mlを定期的に集め、等量の溶解媒質を溶解容器に戻した。CA:HPMCPで被覆された錠剤の場合、100%放出は、膜をダイスから除去し、薬剤の溶解を完全ならしめることにより測定された。Eudragit Sで被覆された錠剤についての放出実験は、同様に450mlのHCl中で2時間実施し、次いでリン酸塩バッファー(pH6.4)中にさらに5時間置き、さらにリン酸塩バッファー(pH7.2)中に置いた。この放出条件および操作は前述と同様であった。0.5mlの試料を移動相中で半分だけ希釈し、その希釈した試料を次にHPLC分析で分析して後述のように薬剤の濃度を測定した。残りの試料は、PVDF膜(Fischer Scientific, NJ)に通してろ過し、次いで薬剤を含まない試料を前述の蛍光分析を用いて(SBE)7-β-CDについて分析した。実施例 3メチルプレドニソロン−(SBE)7-β-CDの持続性放出製剤相溶解性の調査過剰量のメチルプレドニソロン(MP)を0.0〜0.2モル/lの(SBE)7-β-CD溶液0.25mlに加えた。その分散液を最低24時間振とう水浴(100spm, 25℃)中に放置して平衡状態にした。その分散液を2500rpmで10分間遠心分離にかけ、上澄み液20μlを対ガス構造の100μlシリンジ(Hamilton Co., NV)で試料として採取し、移動相で希釈し、次いで溶液中のメチルプレドニソロンの濃度をHPLCにより分析した。次いでこのメチルプレドニソロン−(SBE)7-β-CDの結合定数K1:1をHiguchiとConnorsによるタイプALダイアグラムの方法で測定した。錠剤コアの調製錠剤コアは1/7モル比のメチルプレドニソロン/(SBE)7-β-CDで調製した。この比率は存在するメチルプレドニソロン全てを溶解するのに十分な(SBE)7-β-CDを錠剤コア中に有するようにあらかじめ決められた結合定数を用いて計算した。1/3〜1/10の比率を有する錠剤コアもまた、メチルプレドニソロン/(SBE)7-β-CDの比率の放出に及ぼす影響を調査するために調製した(結果4参照)。この錠剤コアはメチルプレドニソロン−(SBE)7-β-CD複合体から成るかまたはこれら2種の化合物の物理的混合物から成った。この複合体はメチルプレドニソロン−(SBE)7-β-CD溶液((SBE)7-β-CD中の5〜15%)を凍結乾燥することにより調製した。(SBE)7-β-CDを含まない錠剤もまた調製した。それらは1/7比率のメチルプレドニソロン:フルクトースとラクトースの50:50(w/w)混合物(Fischer Scientific, NJ)から成った。上記混合物はモルタル中で粉砕し、低湿度条件下で200メッシュ(75μm)スクリーンに通して篩分けした。その混合物は使用しないときにはデシケータ中に保存した。約150mgの各錠剤をカルバーラボラトリープレス(Fred S. Carver Inc., NJ)を用いて1トンで1分間溶解ダイス中で圧縮した。半透膜の調製コーティング製剤は4.5%のエチルセルロース(Ethocel Standard 10 Premium, Dow Chemicals, MI)を等量のポリ(エチレングリコール)3350(PEG 3350, Sigma, MO)と混合することにより調製した。その混合物に0.9%のPEG 400(Sigma, MO)と90.1%の無水エタノールを加えた。その分散液を振とうし、各固形成分が完全に溶解するまで超音波処理した。コーティング溶液を一定の空気流の下で(40℃)テフロン表面に噴霧した(Airbrush, Paasche)。次いで、それらを室温で24時間放置した。各膜をテフロン表面から剥がし、光学顕微鏡(X70)の下で裂け目およびきずを調べ、それらの厚さをマイクロメーター(Ames, MA)で測定した。次いで、各膜を錠剤を含有する溶解ダイス上に、テフロンの上で噴霧されたその面が錠剤表面と接触するようにして固定した。インビトロ放出の調査放出調査は、その溶解ダイスを37℃、100rpmで水350mlを含有する米国薬局方の溶解装置II(Vanderkamp 600, VanKel Industries Inc.)中に置くことにより実施した。試料は種々の時点で集めた。100%放出は、膜をダイスから除去し、薬剤の溶解を完全ならしめることにより測定された。各試料をメチルプレドニソロンおよび(SBE)7-β-CDの濃度についてそれぞれHPLCおよび蛍光分析で分析した。メチルプレドニソロンのHPLCによる検出メチルプレドニソロンは、15cmのODS Hypersilカラム次いで254nmでのUV検出(LC-10AT, Shimazu Scientific Instrsuments, Inc., Japan)を用いて検出した。移動相は30%アセトニトリルおよび70%のpH4.7アセテートバッファーから成った。(SBE)7-β-CDの蛍光測定による検出(SBE)7-β-CDは、2,6−トルイジノ−ナフタレン−スルホネートの1E−3モル/lの溶液0.2mlを試料0.8mlに加えることにより検出した。その溶液を325nmで励起させ、放射した蛍光を455nmで検出した(65040蛍光分光光度計、Perkin-Elmer, CT)。実施例 4(SBE)7-β-CDおよび治療剤からなる錠剤本発明の錠剤は一般に以下のようにして調製することができる。治療剤および(SBE)7-β-CDを約10分間乾燥ブレンドする。残りの各成分を加え、その混合物を約10分間乾燥ブレンドする。次いで錠剤を約8〜10Kgの硬さに圧縮する。本発明の剤形を調製するには以下の処方を用いることができる。インドメタシン製剤上記各成分を用いて、迅速放出プロフィルを有する錠剤コア600mgを調製する。各成分の傍の数は一般的な添加順序を意味する。各グループの成分を加えた後に、その混合物を5〜10分間乾燥ブレンドする。すなわち、PRUVとコーンスターチは他の成分とは別に加え(工程3)、さらに5分の乾燥ブレンド工程をその一般操作に加える。ジピリダモル製剤上記各成分を用いて、迅速放出プロフィルを有する錠剤コア555mgを調製する。各成分の傍の数は一般的な添加順序を意味する。各グループの成分を加えた後に、その混合物を5〜10分間乾燥ブレンドする。すなわち、PRWとAc-Di-Solは他の成分とは別に加え(工程3)、さらに5分の乾燥ブレンド工程をその一般操作に加える。ピロキシカム製剤上記各成分を用いて、迅速放出プロフィルを有する錠剤コア257mgを調製する。各成分の傍の数は一般的な添加順序を意味する。各グループの成分を加えた後に、その混合物を5〜10分間乾燥ブレンドする。すなわち、PRUVとクロスカルメロースナトリウムは他の成分とは別に加え(工程3)、さらに5分の乾燥ブレンド工程をその一般操作に加える。ジルチアゼム製剤上記各成分を用いて、迅速放出プロフィルを有する錠剤コア600mgを調製する。各成分の傍の数は一般的な添加順序を意味する。各グループの成分を加えた後に、その混合物を5〜10分間乾燥ブレンドする。すなわち、PRUVとデンプングリコレール酸ナトリウムは他の成分とは別に加え(工程3)、さらに5分の乾燥ブレンド工程をその一般操作に加える。ワルファリン製剤上記各成分を用いて、迅速放出プロフィルを有する錠剤コア315mgを調製する。各成分の傍の数は一般的な添加順序を意味する。各グループの成分を加えた後に、その混合物を5〜10分間乾燥ブレンドする。すなわち、PRUVは他の成分とは別に加え(工程3)、さらに5分の乾燥ブレンド工程をその一般操作に加える。メチルプレドニソロン製剤上記各成分を用いて、迅速放出プロフィルを有する錠剤コア560mgを調製する。各成分の傍の数は一般的な添加順序を意味する。各グループの成分を加えた後に、その混合物を5〜10分間乾燥ブレンドする。すなわち、PRUVは他の成分とは別に加え(工程3)、さらに5分の乾燥ブレンド工程をその一般操作に加える。インドメタシンミニ錠剤−ゼラチンカプセル製剤上記各成分を用いて、本発明の3×200mgのフイルムコーティングミニ錠剤を含有する600mgのハードゼラチンカプセルを調製する。コーティングされていないミニ錠剤コアは迅速な放出を有する。各成分の脇の数は一般的な添加順序を意味する。各グループの成分を加えた後に、その混合物を5〜10分間乾燥ブレンドする。すなわち、PRUVおよびコーンスターチは他の成分とは別に加え(工程3)、さらに5分の乾燥ブレンド工程をその一般操作に加える。次いでこの混合物を3個の等しい部分に分け、各部分を圧縮してミニ錠剤にする。この錠剤コアを下記実施例にしたがって本発明のフイルム形成剤でコーティングした後に、そのコーティングミニ錠剤をハードゼラチンカプセル内に入れる。前記実施例のいくつかにおいて、例えばEMDEXおよびpolyox-0.4Mのような結合剤は、例えばHPMC、HPC、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、カラゲーナン、セルロースアセテート、セルロースナイトレート、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルアセテート、ラテックス分散液、アカシア、トラガカント、グアールガム、ゼラチン等のような放出制御剤で置き換えることができる。すなわち、制御性または持続性の放出プロフィルを有するコーティングされていない錠剤コアを調製し、さらに本発明のフイルム形成剤でコーティングして、遅延ないし制御性または持続性の放出プロフィルの組み合わせを有する錠剤を得ることができる。すなわち、胃腸管のあらかじめ決められた部分に到達すると同時に、その錠剤のフイルムは多孔性になって、治療剤が制御または持続性放出様式で錠剤コアから放出され得るようになる。持続性または制御性放出の錠剤コアは、非常に水溶性のフイルム形成剤、非常に多孔性のフイルム、多量の浸透性剤または可溶化剤およびその他のこのような状態を含む錠剤の処方に適当である。錠剤コアを調製する別法としては、例えば乾式造粒法、湿式造粒法および圧縮−粉砕−再圧縮法を挙げることができる。したがって、乾式造粒法はSAE-CDを除く全ての錠剤成分で錠剤またはスラッグをあらかじめ形成し、その形成された錠剤またはスラッグを粉砕し、粉砕した物質をSAE-CDと混合し、次いでその混合物を再圧縮して所望の錠剤を形成することからなる。インドメタシンの制御性または持続性放出錠剤コアの処方上記各成分を用いて、制御性または持続性放出プロフィルを有する錠剤コア525mgを調製する。各成分の傍の数は一般的な添加順序を意味する。各グループの成分を加えた後に、その混合物を5〜10分間乾燥ブレンドする。すなわち、PRUVとコーンスターチは他の成分とは別に加え(工程3)、さらに5分の乾燥ブレンド工程をその一般操作に加える。実施例 5SBE7-βCDおよび治療剤からなる顆粒から調製した錠剤コア本発明の錠剤は顆粒を含有することができ、以下のように湿式造粒法により調製できる。示されている%は最終製剤重量を基準とする重量%である。この実施例はメチルプレドニソロン(MP)の10mg投与量をベースとしている。治療剤(20%)とSBE7-βCD(375)を乾燥ブレンドする。ラクトース(40%)とデキストロース(8%)を2重量%の増加が得られるまでPVP水性懸濁液(4%)で湿式造粒して、所望の顆粒を形成する。NaHCO3(3.5%)、PRUV(4.5%)、SiO2(0.5%)およびキシリトール(2%)をこの顆粒とともに乾燥ブレンドし、最終混合物を約8〜10Kgの硬さまで圧縮して錠剤を得る。実施例 6錠剤フイルムコーティング本発明の錠剤フイルムコーティングは下記の成分および条件を用いて調製することができる。フイルムコーティングは水溶液および/または溶媒例えばアルコールをベースとすることができる。一般的には、フイルム形成剤を見積もられた溶液容量の約1/2中に溶解または懸濁し、その他の成分を加える。次いでその混合物をさらに所望の水または溶媒を加えることにより最終容量にする。得られた溶液または懸濁液を前述のようにして調製した錠剤コアを被覆するために実施例7にしたがって使用する。下記に詳記するフイルムコーティングは最終の溶液または懸濁液の容量100mlを基準とする。EUDRAGIT RSフイルム製剤:EUDRAGIT RSは製造元から30重量%の懸濁液として得られる。EUDRAGIT RS(フイルム形成剤)を水(50ml)中に撹拌しながら溶解し、引き続きTEC、タルクおよびHPMC(孔形成剤)を加える。最終溶液の容量をさらに水を添加することにより100mlにする。その他の孔形成剤およびフイルム形成剤を使用することができる。EUDRAGIT RL 100フイルム製剤:EUDRAGIT RLはイソプロパノール(IPA)中で処理することができる。EUDRAGIT RLをIPA(50ml)中に撹拌しながら溶解し、引き続きTEC、タルクおよびHPMCを加える。最終溶液の容量をさらに別のIPAを添加することにより100mlにする。EUDRAGIT RS/EUDRAGIT RLフイルム製剤:EUDRAGIT RLとEUDRAGIT RSを水(50ml)中で撹拌しながら混合し、引き続きTEC、タルクおよびHPMCを加える。最終溶液の容量をさらに別の水を添加することにより100mlにする。EUDRAGIT RLはフイルムとしてEUDRAGITの水浸透性を改善するのに役立つ。エチルセルロースフイルム製剤:エチルセルロースを水(50ml)中に撹拌しながら溶解し、引き続きセバシン酸ジブチル、タルクおよびHPMC E5を加える。最終溶液の容量をさらに別の水を添加することにより100mlにする。水の代わりにIPAを、そしてHPMC E5の代わりにHPC(1.0g)を使用してこの同じ操作を行うことができる。セルロースアセテートフイルム製剤:セルロースアセテートを水(50ml)中に撹拌しながら溶解し、引き続きTEC、タルクおよびラクトースを加える。最終溶液の容量をさらに別の水を添加することにより100mlにする。このフイルム製剤を使用する場合には、ハイコーター(Hi-Coater)を45℃以上で操作することが必要であることがある。EUDRAGIT RSとEUDRAGIT L 100フイルム製剤:各EUDRAGITポリマーを水(50ml)中に撹拌しながら溶解または懸濁し、引き続きTECおよびタルクを加える。最終溶液の容量をさらに別の水を添加することにより100mlにする。その他のフイルム形成剤、例えばセルロースアセテートおよびHPMCPをこれらの組み合わせフイルム製剤中に使用することができる。EUDRAGIT Lフイルム製剤:EUDRAGIT Lを水(50ml)中に撹拌しながら溶解または懸濁し、引き続きTECおよびタルクを加える。最終溶液の容量をさらに別の水を添加することにより100mlにする。このフイルムを使用して、腸溶性放出錠剤製剤を得ることができるし、かつ本発明の他のフイルムコーティングで既に被覆した錠剤をコーティングすることもできる。得られた錠剤製剤は、錠剤コアからの治療剤の遅延、制御性放出または持続性放出を有する製剤を提供する。実施例 7フイルム形成剤による錠剤コアのコーティングフイルムコーティング錠剤の処方は一般的には以下のようにして行うことができる。本発明製剤の調製では過度の実験なしで、当業者に知られた他の同様の条件および装置を使用できることが考えられる。ベクターハイコーター(Vector Hi-Coater)(パーホレーテッドパンタブレットコーター)は下記条件の下で使用する。入口温度 65〜75℃出口温度 30〜35℃噴霧速度 2〜3g/分錠剤荷重 300g回転速度 20rpm.フイルム形成剤および他の成分を含有する溶液または懸濁液の調製(実施例6による)に続いて、錠剤コアをHi-Coater内に置き、約100〜125μm厚さのフイルムが形成するまでフイルムコーティングを実施する。被覆された錠剤を約40℃で一夜乾燥する。錠剤の厚さおよびフイルム組成は所望により変更することができる。本発明の方法は水溶液または溶媒をベースとするフイルムコーティング組成物に使用できる。前記は本発明の特定の態様についての詳細な記述である。当業者ならば、本発明の開示から、本発明の趣旨および範囲を逸脱せずに、ここに開示された態様の自明な変更を行うことが可能であることが分かるであろう。ここに開示され、特許請求されている実施態様の全ては、本発明の開示から過度の実験なしで実施することができる。本発明の全範囲は後記の特許請求の範囲およびそれらに相当する記載中に記載されている。したがって、特許請求の範囲および明細書は、本発明に与えられるべき保護の全範囲を不当に狭くするように解釈すべきではない。参考文献下記の参考文献は、本明細書中の記載を補うための例示的操作またはその他の詳細を提供する程度までに、参照により本質的に本明細書中に組み込まれる。 医薬的に許容し得る固形担体並びにスルホアルキルエーテル−シクロデキストリン誘導体と治療的に有効な量の治療剤との固形物理的混合物からなるが、そこで該治療剤の50重量%より多くはスルホアルキルエーテル−シクロデキストリン誘導体に複合していない医薬組成物。 スルホアルキルエーテル−シクロデキストリン誘導体は式(I)[式中、nは4、5または6であり;R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8およびR9はそれぞれ独立して、-O-または-O-(C2-C6アルキレン)-SO3-であり、ここでR1およびR2のうちの少なくとも一つは独立して、-O-(C2-C6アルキレン)-SO3-であり;そしてS1、S2、S3、S4、S5、S6、S7、S8およびS9はそれぞれ独立して、医薬的に許容し得る陽イオンである]で表される化合物または化合物の混合物であり、そこで治療剤の50重量%より多くは複合していない請求項1記載の医薬組成物。 R1およびR2のうちの少なくとも1つは-O-(CH2)m-SO3-であり;そしてmは2、3、4、5または6である請求項2記載の医薬組成物。 S1、S2、S3、S4、S5、S6、S7、S8およびS9は独立して、アルカリ金属陽イオン、アルカリ土類金属陽イオン、第4級アンモニウム陽イオン、第3級アンモニウム陽イオンおよび第2級アンモニウム陽イオンからなる群より選択される請求項3記載の医薬組成物。 治療剤の75%より多くは複合していない請求項3記載の医薬組成物。 治療剤の95%より多くは複合していない請求項4記載の医薬組成物。 スルホアルキルエーテル−シクロデキストリン誘導体、固形の製薬担体および有効量の治療剤の固形物理的混合物(ここで該治療剤の50重量%より多くは該スルホアルキルエーテル−シクロデキストリン誘導体に複合していない)からなる固形コアを形成し、次いでその固形コアを、フイルム形成剤および孔形成剤からなるフイルムコーティングで被覆して医薬的に許容し得る固形剤形を得る、上記工程からなるスルホアルキルエーテル−シクロデキストリン含有の医薬剤形の調製方法。 スルホアルキルエーテル−シクロデキストリン誘導体は式(I)[式中、nは4、5または6であり;R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8およびR9はそれぞれ独立して、-O-または-O-(C2-C6アルキレン)-SO3-であり、ここでR1およびR2のうちの少なくとも一つは独立して、-O-(C2-C6アルキレン)-SO3-であり;そしてS1、S2、S3、S4、S5、S6、S7、S8およびS9はそれぞれ独立して、医薬的に許容し得る陽イオンである]で表される化合物であり、そこで治療剤の50重量%より多くは複合していない請求項7記載のスルホアルキルエーテル−シクロデキストリン含有固形剤形の調製方法。 式(I)のスルホアルキルエーテル−シクロデキストリン誘導体は下記の定義:nは4、5または6であり;R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8およびR9はそれぞれ独立して、-O-または-O-(C2-C6アルキレン)-SO3-であり、ここでR1およびR2のうちの少なくとも1つは独立して、-O-(C2-C6アルキレン)-SO3-であり;そしてS1、S2、S3、S4、S5、S6、S7、S8およびS9はそれぞれ独立して、医薬的に許容し得る陽イオンである、を有する請求項8記載の方法。 式(I)のスルホアルキルエーテル−シクロデキストリン誘導体は下記の定義:R1、R2およびR3はそれぞれ独立して、-O-(C2-C6アルキレン)-SO3-である、を有する請求項8記載の方法。 式(I)のスルホアルキルエーテル−シクロデキストリン誘導体は下記の定義:R4、R6およびR8の少なくとも1つは独立して、-O-(C2-C6アルキレン)-SO3-であり、そしてR5、R7およびR9は全て-O-である、を有する請求項8記載の方法。 式(I)のスルホアルキルエーテル−シクロデキストリン誘導体は下記の定義:R4、R6およびR8はそれぞれ独立して、-O-(C2-C6アルキレン)-SO3-である、を有する請求項7記載の方法。 フイルムコーティングおよび固形コアからなる固形製剤であって、ここでフイルムコーティングはフイルム形成剤および孔形成剤からなり、そして固形コアは医薬的に許容し得る固形担体並びに治療的に有効な量の治療剤とスルホアルキルエーテル−シクロデキストリン(SAE-CD)との固形物理的混合物(ここで該治療剤の50重量%より多くは該SAE-CDに複合していない)からなる上記製剤。 フイルム形成剤はセルロースアセテート、エチルセルロース、メチルセルロース、ワックス、ジメチルアミノエチルメタクリレートおよび中性メタクリルエステルからなる陽イオンコポリマー、第4級アンモニウム基を低量含むジメチルアミノエチルメタクリレートおよび中性メタクリルエステルからなる陽イオンコポリマー、メタクリル酸およびメチルメタクリレートからなる陰イオンコポリマー、セルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースプロピオネート、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カラゲーナン、セルロースナイトレート、ヒドロキシエチルセルロース、ポリ(ビニルアセテート)、アカシア、トラガカント、グアールガム、ゼラチンおよびそれらの組み合わせからなる群より選択される請求項13記載の固形製剤。 孔形成剤は、製剤が水にさらされるとフイルムコーティングにおいて孔形成を促進する請求項13記載の固形製剤。 孔形成剤はフイルムコーティングの水浸透性を増加させる請求項13記載の固形製剤。 製剤は錠剤、ミニ錠剤、顆粒、ペレット、粉剤または結晶である請求項13記載の固形製剤。 製剤は治療剤およびスルホアルキルエーテル−シクロデキストリンに対して遅延性、持続性または制御性の放出プロフィルを示す請求項13記載の固形製剤。 製剤は治療剤およびスルホアルキルエーテル−シクロデキストリンに対して実質的に同一の放出プロフィルを示す請求項18記載の固形製剤。


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