タイトル: | 特許公報(B2)_低水分ジアミン/ジカルボン酸塩の製造 |
出願番号: | 1998538766 |
年次: | 2007 |
IPC分類: | C07C 51/41,C07C 55/14 |
ブレトスオス,アイオアニス,ヴィ. パパスパイリデス,コンスタンチン,ディー. JP 3939764 特許公報(B2) 20070406 1998538766 19980304 低水分ジアミン/ジカルボン酸塩の製造 インヴィスタ テクノロジー エスアエルエル 谷 義一 阿部 和夫 ブレトスオス,アイオアニス,ヴィ. パパスパイリデス,コンスタンチン,ディー. US 08/813,737 19970307 20070704 C07C 51/41 20060101AFI20070614BHJP C07C 55/14 20060101ALI20070614BHJP JPC07C51/41C07C55/14 C07C 51/41 C07C 55/14 C07C 55/02 特開昭49−093314(JP,A) 特表2001−506235(JP,A) 特開昭54−11288(JP,A) 特開昭54−12316(JP,A) 特開平08−003104(JP,A) 特開平03−099035(JP,A) 特開昭52−007913(JP,A) 3 US1998004245 19980304 WO1998039282 19980911 2001513820 20010904 8 20040413 守安 智 発明の属する技術分野本発明は、低い水分含量のジアミン/ジカルボン酸塩の直接製造に関する。発明の背景ポリ(ヘキサメチレンアジパミド)(ナイロン6,6)ポリマーは、典型的に、そのモノマーのヘキサメチレンジアミンおよびアジピン酸からの水性塩溶液を先ず作ることによって、商業的に製造される。ジアミンは、希釈水溶液として供給され、そして得られるヘキサメチレンジアンモニウムアジペート(ナイロン6,6塩)溶液は、通常約50重量%の範囲で水を含む。次いで、この溶液はナイロン6,6の溶液/溶融重合に対する出発材料および初期の反応媒体として用いられる。例えばこの溶液に、イソプロパノールのような塩に対する非溶剤を加える工程などによって溶液から塩を沈殿させる技術は知られているが、このような方法は、溶液から非溶剤の引き続きの回収を必要とする。発明の要旨本発明は、低い水分含有量を有するジアミン/ジカルボン酸塩の直接の製造方法を提供する。この方法は、ジアミンとジカルボン酸を接触させ、反応混合物を提供する工程を含んでおり、その反応混合物中でジアミンとジカルボン酸が反応しジアミン/ジカルボン酸塩を形成する。ジアミンとジカルボン酸との接触は、反応混合物の重量を基にして、2.0重量%から10重量%の水の存在下で行われ、その間、反応混合物が本質的に固形粒子形状であるような条件を反応混合物に付与する。好ましくは、ジアミンとジカルボン酸との接触は、反応混合物の重量を基にして、2重量%から5重量%の水の存在下で行われる。本発明の好ましい形態において、本質的に固形粒子形状に反応混合物を維持することは、反応混合物中のジアミン、ジカルボン酸、ジアミン/ジカルボン酸塩、および中間反応生成物の融点より低い周囲の温度に曝す時に、反応混合物からの十分な熱移動を与えることによって実行される。好ましくは、反応混合物は、周囲の温度にジカルボン酸を曝す工程と、引き続きの液体(溶融)状のジアミン、必要に応じて、ジアミンに組み合わされた約10%までの水を含めたジアミンを添加する工程とによって形成される。この方法は、低水分含有のジアミン/ジカルボン酸塩を直接に提供し、ナイロン66のようなポリアミドの製造の出発材料として用いるのに有利である。水分含有量が好ましい範囲以内であると、安定な易流動性の粉末として回収することができ、この粉末は遠隔の場所での使用に容易に船で運ぶことができる。ナイロン66の製造に対して、本発明によって製造された塩は、中温でジアミンを液体状態に保持しながらジアミンを船で運ぶための典型的な形状である約90%のヘキサメチレンジアミン溶液よりも危険性が少ない。この塩は、一般にアジピン酸より扱いがより容易である。発明の詳細な説明本発明は、ジアミン/ジカルボン酸塩を形成する、ジアミンとジカルボン酸との反応を含んでいる。広範囲のジアミン/ジカルボン酸塩のいずれもこの反応によって製造される。このようなジアミン/ジカルボン酸塩は、脂肪族または脂環式ジアミンモノマーと、脂肪族または脂環式ジカルボン酸モノマーとから作られる種類のポリアミド製造の出発材料として有用である。加えて、本発明は、芳香族であるジアミンまたはジカルボン酸成分を有するポリアミド製造のための塩の生成にも有用である。本発明に有用な芳香族ジアミンは、例えばイソフェニレンジアミンおよびパラフェニレンジアミンである。有用な芳香族二酸は、例えばイソフタル酸およびテレフタル酸である。本発明の方法に従って製造される塩は、一種類のジアミンと一種類のジカルボン酸のみが用いられたホモポリアミドの製造に有用でもある。二種類以上のジアミンの混合物が、一種類またはそれ以上の二酸の混合物と反応する場合、または二種類以上の二酸の混合物が、一種類またはそれ以上のジアミンの混合物と反応する場合の塩も本発明を用いて製造することができる。アミノカルボン酸、例えばアミノカプロン酸(ナイロン6モノマー単位)もまた、コポリアミドに用いられる。少量の一種以上のかかるアミノカルボン酸は反応混合物に加えられてもよい。所望するならば、トリス(2−アミノエチル)アミンのような少量の分岐剤を反応混合物に加えることによって、得られる塩に混合することもできる。本発明における方法に生じる原理的な反応は、下の式Iで概略できる。式中、Xは脂肪族、脂環式、または芳香族基であり、ジアミンは好ましくは炭素原子2から16を有する脂肪族、脂環式、および芳香族ジアミンよりなる群から選択される。Yも脂肪族、脂環式、および芳香族を表し、ジカルボン酸は好ましくは炭素原子2から16を有する脂肪族、脂環式、および芳香族ジカルボン酸からなる群より選択される。塩の最終用途に依存して、反応混合物に加えられたジアミンおよびジカルボン酸の相対モル量は、所望に応じて調整することができる。例えば、アニオン染料を使用して可染性を増加することが望ましい繊維製造に用いられるポリアミドの製造の塩に、追加のジアミンを混ぜることができる。本発明は、主に脂肪族または脂環式であるポリアミドの塩の製造に有利に用いられる。つまりその特徴として、二つの芳香環を結合するのは、得られるポリマーのアミド結合の15%未満である。係るポリアミドは、一般にナイロンといわれ、通常溶融加工可能である。そのようなポリアミドは、ポリ(ヘキサメチレンアジパミド)(ナイロン6,6)、ポリ(ブチレンアジパミド)(ナイロン4,6)、およびこれらのコポリマーのような脂肪族二酸と脂肪族ジアミンとから製造されるポリアミドを含む。特に好ましい塩は、ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸との反応から製造され、以下に記載する実施例においてナイロン6,6塩として表される。ジアミンとジカルボン酸との反応は、その反応混合物が本質的に固形粒子形状であるような条件下で行われる。ジアミンのジカルボン酸との反応が強度の発熱性であるため、温度を調節しないと、反応混合物は本質的に固形粒子形状に保つよりも、ペーストおよび凝集物から単一の塊を形成する傾向がある。「本質的に固形粒子形状」とは、顕著な凝集はないが、一時的には粒子の局在化したペースト形成または軟化があるかもしれないが、反応を通してばらばらの粒子が存在することをいう。ペーストの形成を促進する条件下で、モノマーは所望の塩を形成するよりオリゴマーを形成する反応を始めると信じられている。もし高温で行うと、分解または他の望ましくない反応が生じるかもしれない。本質的に固形粒子形状を保つことは、好ましくは反応混合物中のジアミン、前述のジカルボン酸、ジアミン/ジカルボン酸塩、および中間反応生成物の融点より低い周囲の温度に曝されたときに反応混合物から十分な熱移動を与えることによって達成される。このことは反応混合物を低温媒体(cryogenicmedium)と接触させることによるなど、室温より非常に低い温度を用いることによって有利に達成される。好ましい低温媒体としては、粒子ドライアイスおよび液体窒素が挙げられる。粒子形状に反応混合物を維持し、熱および物質移動を助けるため、混合物を撹拌する。早い速度で固形反応を進めるため、反応混合物中の粒子反応物が微細に分割されていることが好ましい。混合は、低温媒体への熱移動が、本質的にペースト形成を防ぐのに十分な速さで行う。約50重量%の水を含む水溶液で起こる慣用のジアミン/ジカルボン酸塩形成方法とは異なり、本発明の方法における反応混合物の水の含有量は非常に低い量で、反応混合物の重量を基にして2.0から10重量%である。塩形成反応は、反応混合物に水を加えない程度に生じるが、本発明においての水の量は、塩の形成に好ましく、その均一性を改善する。好ましくは、水の含有量は、2から5重量%である。水含有量が好ましい範囲内であるとき、ジアミン/ジカルボン酸塩は、易流動性の粉末として好ましくは回収され、次の取り扱いを容易にする。本発明を行うのに特に好ましいやり方は、低い周囲温度に粉末形状でジカルボン酸を曝す、すなわち低温媒体に粉末形状のジカルボン酸を接触させ、引き続き液体(溶融)形状のジアミン、または必要に応じてジアミンに組み合わされた約10%以下の水を含めたジアミンを加える。これは、ヘキサメチレンジアミンのようなジアミンが、例えば91.3%の濃厚溶液で市販されており、これは反応混合物に好ましい量の水を付与するので特に有利である。このようなアミン溶液を用いる場合、もし必要なら、反応混合物に添加を容易にするために、これらの溶液をわずかに加熱する必要がある。さらに、液体ジアミンの添加の速度は、熱移動条件に合うように容易に調節される。すなわち液体添加は、ペーストの形成を妨げるのに十分に遅い速度に調整される。ジアミン/ジカルボン酸塩は、低水含有で貯蔵され、船で輸送され、ポリアミドポリマーの製造の有用な開始材料である。塩は、今まではポリアミドポリマーの製造に知られた商業的方法での使用に対して約50重量%の水を有する慣用の水溶液を製造していた。塩は、ここで参照し、本発明の一部を構成する米国特許第5,403,910号に示唆されているように、低温重合方法にも用いられる。以下の実施例は、本発明を説明するものであり、記載された実施例に本発明を制限するものではない。パーセントは断りのない限り重量によるものである。反応混合物中の水のパーセントは、水の存在を含む反応混合物の総重量、ただし反応混合液と接触する低温媒体を除く重量を基にした重量で報告されている。実施例1バッチ手順を、Werner and Pfleiderer(663East Cresent Avenue, Ramsey, New Jersey, 07446)(「Werner」)市販のシグマブレードを具えた二本羽混練ミキサを用いたナイロン66塩の製造に用いた。このミキサは、この工程の要求(混合室:1.50L)に合うように、圧力に対する抵抗を増加させ、ヘキサメチレンジアミンの蒸発を防ぐようにゴムガスケットによって適切に調節され、そしてこのミキサは、用いられた反応物のより好ましい均質化に効果のあるように必要とされるトルクを生み出す容量で用いられた。表1に記載されたように、いくつかの試験を行った。試験1〜4の製造は、ミキサにアジピン酸粉末146g(1モル)と(使用するのなら)低温媒体とを投入する工程を含む。91.3%HMDを含む水溶液127g(116g(1モル)のHMDと11gの水)を45℃に加熱し、15分間にわたってミキサ中に煙突を通して加えた。得られる混合物を1時間にわたってブレンドした。反応混合物の水含有量は、約4%である。試験5において、反応混合物に水を加えず、粉末状の等モル量のジアミンを、既にミキサーに投入してあるジカルボン酸とドライアイスとに加えた。表1に生成物のアミンおよびカルボキシル末端、カルボキシル末端およびアミン末端間の差異、加えた水の割合、使用された低温媒体、および生成物の形状(粉末またはペースト)を報告している。生成物のサンプルの均一性を5pH測定(9.5%水溶液で決定されたpH)の標準偏差を取ることによって評定していた。試験1は、本発明の実施例ではない。その理由は、この試験は低温媒体を用いずに行われており、易流動性の粉末よりペーストが形成するという結果が生じるからである。均一性は、pH測定のパーセント標準偏差を基にして、良好ではない(パーセント標準偏差(p.s.d.)=19.5%)。2〜4に番号付けられた試験は、本発明の方法の例である。試験2および試験3において、ドライアイスを、低温媒体として用いた。試験2において、ドライアイスの量を、アジピン酸のグラムの半分の量、即ち73gに任意に選択した。試験3において、二倍量のドライアイス、つまり146gを用いた。試験4において、液体窒素を(混合室の半分)用いた。これらの3つの試験において、ジアミン水溶液をドライアイスまたは液体窒素と既にブレンドされたアジピン酸粉末の混合物に加えた。アミンおよびカルボン酸基分析を基にして、試験2および試験3は、実際に均衡した塩を、採用された条件下で製造することを示している。pH測定のパーセント標準偏差は、試験2および3の生成物が均一であることを示している(試験2はp.s.d.=3.6%、試験3はp.s.d.=1.5%)。生成物の赤外分光学は、2200cm-1に非常に特徴的なピークを含むナイロン塩6,6の典型的スペクトルを表す。試験4は、液体窒素を低温媒体として用いることができることを表している。この採用された手順において、アジピン酸および液体窒素を、選択された室で急速にブレンドし、ジアミン水溶液を加えた。しかし、採用した条件下で、いくらかのアジピン酸粉末は液体窒素が激しく蒸発したときに、室からなくなった。このことは、最終生成物のカルボキシル基濃度の減少した値を説明する。しかしながら、pH測定の標準偏差は均一生成物(p.s.d.=0.6)も表している。生成物の赤外線スペクトルは、ナイロン6,6塩の典型的スペクトルを示している。試験5は比較例であり、これは固体のヘキサメチレンジアミンをモルタルおよび乳棒で粒子に粉砕し、シグマミキサにドライアイス(146g)とアジピン酸とのブレンドに加えたものである。この場合、水は全く加えなかった。pHの標準偏差(p.s.d=20.7%)および赤外分光学より、生成物が不均一であることがわかり、アミンおよびカルボキシル基分析も、不均衡な塩構造を示している。試験方法「乾燥サンプル」は、以下の試験方法、つまり乾燥が2時間にわたって50℃にてサンプルを加熱することによって実行されたものをいう。「湿ったサンプル」は、乾燥を行っていない反応生成物の試料のことをいう。サンプルは、反応塊が蓄積する傾向がある混合室の「デッド」ポイントを避けるように、特に低温媒体の不在下に置かれる。アミンと酸の末端基を、受け取るときの充填溶液(AgClで飽和した4MのKCl)を用いて、ベックマン・フツラ・プラス(BECKMAN FUTURA PLUS)連結電極を有するメトローム670チトプロセッサー(METROHM 670 TITROPROCESSOR)を用いた電位差滴定によって決定した。0.1グラムの乾燥サンプルを、ポリテトラフルオロエチレンでコートされた(ポリテトラフルオロエチレンは登録商標TEFLONでDuPontより市販されている)撹拌棒と、75体積%のエタノール/水100mlを加えた150mlビーカーで秤量した。溶液を、サンプルが溶解するまで撹拌した。その溶液を、アミンが切断される前の少なくとも1mlまで0.1Nの塩酸でアミン末端を滴定した。次いで同じ溶液を酸末端基に対して0.1Nの水酸化ナトリウムを用いて二つの終点を通して逆滴定した。ブランクは、75体積%のエタノール/水の100mlを用いて両方の滴定に対して行った。アミン末端および酸末端を下記の式に基づいて計算した。pH測定は、9.5%の水溶液を製造するのに十分な量の湿ったサンプルを用いてなされた。標準偏差に対し、サンプルの数は、n=5である。赤外分光学を、nujol内の乾燥サンプルにおいて行った。 ジアミンをジカルボン酸に接触させ反応混合物を提供する工程を具えるジアミン/ジカルボン酸塩の製造方法であって、前記ジアミンと前記ジカルボン酸を反応させてジアミン/ジカルボン酸塩を形成し、前記接触する工程は反応混合物の重量を基にして2.0重量%から10重量%の水の存在下で行われ、前記反応混合物中の前記ジアミン、前記ジカルボン酸、前記ジアミン/ジカルボン酸塩、および中間反応生成物の融点より低い周囲の温度に曝されたときに反応混合物を低温媒体と接触させることにより前記反応混合物からの十分な熱移動を提供することによって、接触する工程の間、前記反応混合物中においてその反応混合物が固形粒子形状であるような条件を前記反応混合物に提供すること、を特徴とするジアミン/ジカルボン酸塩の製造方法。 さらに、前記反応混合物をドライアイス粒子と接触させる工程、または前記反応混合物を液体窒素中で形成する工程を具えることを特徴とする請求項1に記載のジアミン/ジカルボン酸塩の製造方法。 前記ジアミンは、2から16の炭素原子を有する脂肪族、脂環式、および芳香族ジアミンよりなる群から選択され、前記ジカルボン酸は、2から16の炭素原子を有する脂肪族、脂環式、および芳香族ジカルボン酸よりなる群から選択され、さらに前記ジアミン/ジカルボン酸塩を易流動性の粉末として前記工程から回収する工程を備えることを特徴とする請求項1に記載のジアミン/ジカルボン酸塩の製造方法。