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タイトル:特許公報(B2)_尿素窒素測定方法および尿素窒素測定用試薬
出願番号:1998376480
年次:2008
IPC分類:C12Q 1/58,G01N 33/62


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藤井 隆行 JP 4194158 特許公報(B2) 20081003 1998376480 19981225 尿素窒素測定方法および尿素窒素測定用試薬 株式会社三菱化学ヤトロン 000138277 森田 憲一 100090251 山口 健次郎 100139594 藤井 隆行 20081210 C12Q 1/58 20060101AFI20081120BHJP G01N 33/62 20060101ALI20081120BHJP JPC12Q1/58G01N33/62 A C12Q 1/00-3/00 G01N 33/48-33/98 PubMed JSTPlus(JDreamII) MEDLINE/CAplus/BIOSIS/WPIDS(STN) 特開平05−161500(JP,A) 特開昭53−013489(JP,A) 特開平05−196616(JP,A) Robert M. Rosenberg, Richard M. Herreid, George J. Piazza, Marion H. O'Leary,Indicator Assay for Amino Acid Decarboxylases,Analytical Biochemistry,米国,Academic Press, Inc.,1989年,181,p.59-65 2 2000189196 20000711 7 20040715 佐々木 大輔 【0001】【産業上の利用分野】本発明は、尿素窒素(以下、UNともいう)測定方法および尿素窒素測定用試薬に関する。【0002】【従来の技術】近年、病院の検査室や検査センターで使用されている臨床検査薬は、作業効率向上の為、安定な酵素の開発や、不安定な試薬組成物を安定化するための各種添加剤、pH条件が検討され、溶液状態で長期間安定な測定試薬が開発されている。さらに、定量範囲の拡大、共存物質による影響の回避、再現性を向上させることにより再検率を低下させる事は作業効率の向上に欠かせない。また、低コスト化を目指し、より安価な試薬の開発が望まれている。【0003】現在、UN測定試薬は試料をα−ケトグルタル酸またはその塩、及び還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(以下NADHともいう)あるいは還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(以下NADPHともいう)の存在下に、グルタミン酸脱水素酵素を作用させ、微量の(内因性)アンモニアを予め除去する工程と、ウレア−ゼを加え試料中の尿素をアンモニアに分解し、このアンモニアの生成量に対応するNADHまたはNADPH[以下、両者を総じてNAD(P)Hともいう]の減少速度を測定する工程(手順)を順次経て測定されるNAD(P)Hの減少速度から尿素窒素を求める方法が良く用いられている。この方法は共存物質の影響が少なく、定量範囲が広く(以下、直線性ともいう)、同時再現性にも優れている。さらに近年、長期間安定な試薬や検体由来アンモニアの影響を受けない試薬が開発されている。【0004】【発明が解決しようとする問題点】しかしながら、長期間安定化させるために各種添加剤や精製度の高い原料が必要になり、製造コストが大きくなる。また、検体由来アンモニアの影響を受けなくするためには、アンモニアを消去する反応系が必要となり、これもまた製造コストが大きくなる。他の反応系、例えば、ウレアーゼの作用で生じたアンモニアをベルテロー(Berthelot)反応で発色させ測定するウレアーゼ−インドフェノール法は、安価ではあるが直線性が悪く、共存物質による影響がある。ウレアーゼの作用で生じたアンモニアによるpH上昇をpH指示薬により比色定量するウレアーゼ−pH指示薬法も安価ではあるが直線性が悪い。先行技術としてウレアーゼ、緩衝剤及び変色域の異なる2種以上のpH指示薬を含む、尿素濃度の変動の幅の大きい検体にも有効に使用できる方法があるが(特開平05−161500号公報)、pH指示薬は種類によってpHによる変色域、吸収特性、塩や蛋白による影響が一様ではなく、検体種、検体中夾雑物により測定値への影響がみられる。また、直線性を向上させるために脱カルボン酸反応に於いて、pH指示薬と緩衝液が同じpKaであれば定量性よく測定可能であると紹介されている(Analytical Biochemistry 181,59−65(1989))。確かに使用する緩衝液の緩衝能のあるpH域では同じpKaのpH指示薬との組み合わせにより定量性は向上するが、同じpKaのpH指示薬と緩衝液であっても滴定曲線の形状は異なるため緩衝能からはずれたpH域では定量性は得られない。よって、従来からある測定方法では長期間安定で、定量範囲が広い、より安価な試薬の開発は困難だと思われた。従って、本願の目的は、長期間安定で、定量範囲が広い、より安価なUN測定試薬を供することにある。【0005】【問題点を解決するための手段】本発明は、少なくとも2種類の緩衝液が含まれている液相中で、pH指示薬の存在下で尿素とウレアーゼを反応させて、生成するアンモニアによる液相のpH変化を光学的に検出することを特徴とする尿素窒素の測定方法、に関する。また本発明は、少なくともpH指示薬を含有する少なくとも2種類の緩衝液からなる第一試薬、及び少なくともウレアーゼを含有する溶液からなる第二試薬とからなる尿素窒素測定用試薬、にも関する。【0006】以下、本発明を詳述する。長期間安定で、定量範囲が広い、より安価なUN測定用試薬を供するため鋭意検討した結果、尿素がウレアーゼにより加水分解されて生じるアンモニア量に依存して変化するpHをpH指示薬由来のシグナルを検出することでUNを定量するために、尿素とウレアーゼとの反応を2種類以上の緩衝液中で行い、そこに1種類のpH指示薬を存在させることで、定量的にUNを測定することができる方法を確立した。pH指示薬と緩衝液の選択はpH指示薬の滴定曲線(X軸:アンモニア量、Y軸:吸光度)がアンモニア量に依存して吸光度も定量的に変化するような2種類以上の緩衝液と1種類のpH指示薬を選択、使用することにより目的は達成される。【0007】本発明のUN測定方法の基本は、使用するpH指示薬のpKa付近のpH域で使用する緩衝液の緩衝能を高く、pKaから離れたpH域で緩衝能を低くするような2種類以上の緩衝液を組み合わせることにある。しかし、試薬を構成する成分は、共存物質による影響を回避するためや、再現性を向上するため、保存安定性を向上するために各種添加剤を添加するのが一般的であり、添加剤の中にはpH指示薬の滴定曲線を変化させることがあるため、これらの添加物が添加された条件でのpH指示薬の滴定曲線(X軸:アンモニア量、Y軸:吸光度)がアンモニア量に依存して吸光度も定量的に変化するように2種類以上の緩衝液を選択する。一般に緩衝液はpHを変動させないように用いるものであって、緩衝能のないpH域での使用はされない。しかしながら、本願は緩衝能のある領域から、緩衝能の弱い領域までの広範囲のpH域も使用することによりpH指示薬の広範囲な変色域を利用できる。緩衝能の弱いpH域での呈色測定はpHが安定しないため正確な測定ができないと予想されたが、意外にも緩衝能の弱いpH域も含む広範囲な測定域で再現性良く測定できることが確認され、本願を完成するに至った。【0008】本発明に用いることができるpH指示薬としては、ウレアーゼ活性の発現できるpH域で変色するpH指示薬であれば良い。例えば、テトラ・ブロム・フェノールブルー、ブロム・フェノールブルー、メチルオレンジ、ブロム・クレゾールグリーン、メチルレッド、クロルフェノールレッド、P−ニトロフェノール、ブロム・クレゾールパープル、ブロム・チモールブルー、フェノールレッド、クレゾールレッド、クレゾールベンゼイン、メタ・クレゾールパープル、プロピル−α−ナフトールオレンジ、O−クレゾールフタレインコンプレクソンが好適に使用でき、これらの水溶性を高めるために塩(塩とはナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、塩酸塩等をいう)や水和物を用いることができるが、これらのpH指示薬に限定されるものではない。使用できる濃度は、反応時や保存中に塩析しない濃度であれば良く、10μMから10mMが好ましい。【0009】本発明における緩衝液は、UN測定用試薬を完成させるために必要な各種添加剤を添加した条件において、使用するpH指示薬の滴定曲線(X軸:吸光度、Y軸:pH)と同じ形状の滴定曲線(X軸:酸またはアルカリ添加量、Y軸:pH)となるように、2種類以上の緩衝液を適宜組み合わせて使用すればよい。グッド緩衝液(例えば、MES、Bis−Tris、ADA、PIPES、ACES、MOPSO、BES、MOPS、TES、HEPES、DIPSO、TAPSO、POPSO、HEPPSO、EPPS、Tricine、Bicine、TAPS、CHES)、トリエタノールアミンあるいはその塩酸塩、トリスヒドロキシメチルアミノメタン、グリシルグリシン、リン酸緩衝液、酢酸緩衝液等、緩衝液の種類は限定されない。使用できる濃度は、ウレアーゼの作用で生じたアンモニアによりpHが上昇できる緩衝能を持つ濃度でpH指示薬の滴定曲線(X軸:吸光度、Y軸:pH)と同じ形状の滴定曲線(X軸:酸またはアルカリ添加量、Y軸:pH)となるように緩衝液を組み合わせることが必要である。使用できる濃度は、反応時や保存中に塩析しない濃度であれば良く、0.1mMから100mMが好ましい。【0010】ウレアーゼは、検体中の尿素を所望の反応時間内にアンモニアに加水分解できる活性が必要である。使用できる活性濃度は0.01U/ml以上であれば良く、0.1U/mlから10U/mlが好ましい。ウレアーゼの由来は特に限定されないが、ナタマメやバクテリア由来が好適に使用できる。【0011】pH指示薬を含有する2種類以上の緩衝液である第一試薬のpHは、中性付近が好ましく、特にpH6.0から8.0が好ましい。また、検体中の共存物質による影響を回避する為や、再現性を向上させる為に各種添加剤を使用することができる。乳び検体による影響の回避や同時再現性の向上には、非イオン性界面活性剤が好適に使用できる。使用できる濃度は、0.1%から3.0%が好ましい。ビリルビン検体による影響の回避にはアルブミンが好適に使用できる。使用できる濃度は、0.02%から1.0%が好ましい。溶血検体による影響の回避には、還元剤(例えば、アスコルビン酸、塩酸ヒドロキシルアミン、亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸カリウム)が好適に使用できる。トリンダー試薬を使用した測定試薬は、還元剤の添加により測定値への影響が見られるが、本発明においては還元剤による測定値への影響を受けないという点で優れている。使用できる濃度は、0.01mM以上で使用でき、0.02mMから1.0mMが好ましい。検体中の蛋白による影響は、塩類(例えば塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム)により回避される。使用できる濃度は0.01M以上で使用でき、0.05Mから0.5Mが好ましい。【0012】ウレアーゼを含有する溶液からなる第二試薬のpHは中性付近が好ましく、特にpH6.0から8.0が好ましい。ウレア−ゼを安定化するためにN−アセチルシステイン、アルブミン、キレート剤(例えば、EDTA、NTA、CyDTA、DTPA、EDTA−OH、GEDTA、TTHA、DHEG、IDA、EDDA、DPTA−OH、NTP、Methyl−EDTA、HIDA、EDDP、EDTPO、NTPO、BAPTA、CN)、アセトヒドロキサム酸と共存させても良い。【0013】上記試薬を尿素を含む試料と混合、反応させると、ウレアーゼの作用によってアンモニアが生成される。このアンモニア量依存的に反応の液相のpHが高くなり、ここにある種のpH指示薬を存在させておけば、このpH指示薬による液相の変色は尿素窒素の量を反映させるものとなる。従って、この変化を光学的(例えば、比色法)に検出することで、尿素窒素の含有量を定量することができる。【0014】【実施例】次に、本発明を実施例により具体的に説明する。(1)試薬1は以下に示す6種類を作製した。(試薬1−A)0.04% フェノールレッド2.0 % ポリオキシエチレンオレイルエーテル(花王株式会社製、商品名エマルゲン420)(以下同様)0.05M 塩化ナトリウムを含む10mM HEPES(pH6.7)(試薬1−B)0.04% フェノールレッド2.0 % ポリオキシエチレンオレイルエーテル0.05M 塩化ナトリウムを含む10mM Tricine(pH6.7)(試薬1−C:本発明)0.04% フェノールレッド2.0 % ポリオキシエチレンオレイルエーテル0.05M 塩化ナトリウムを含む1mM HEPES、10mM Tricine(pH6.7)(試薬1−D)0.1 mM O−クレゾールフタレインコンプレクソン1.0 % ポリオキシエチレンオレイルエーテル5.0 mM 塩化カルシウム2水和物0.05M 塩化ナトリウムを含む20mM EPPS(pH7.6)(試薬1−E)0.1 mM O−クレゾールフタレインコンプレクソン1.0 % ポリオキシエチレンオレイルエーテル5.0 mM 塩化カルシウム2水和物0.05M 塩化ナトリウムを含む20mM TAPSO(pH7.6)(試薬1−F:本発明)0.1 mM O−クレゾールフタレインコンプレクソン1.0 % ポリオキシエチレンオレイルエーテル5.0 mM 塩化カルシウム2水和物0.05M 塩化ナトリウムを含む10mM TAPSO、10mM EPPS(pH7.6)(2)試薬20.4mg/ml ウレアーゼ(ナタマメ由来、東洋紡績株式会社)水溶液(3)検体尿素を用いて、尿素窒素量が0,50,100,200,300,400,500mg/dlとなるように調製した各希釈列水溶液。(4)測定方法各希釈列水溶液12μlに各試薬1を240μl加え攪拌し、37℃、5分間加温した後、それぞれに試薬2を60μl加え攪拌し、37℃、5分間加温し、波長570nmにおける吸光度を測定した。結果を図1及び図2に示す。図1〜図2において、◇は試薬1−A、□は試薬1−B、○は試薬1−C(本発明)、◆は試薬1−D、■は試薬1−E、そして●は試薬1−F(本発明)を用いた場合を示す。【0015】図1及び図2によれば1種類の緩衝液からなる試薬1−A(図1内の◇)、試薬1−B(図1内の□)、試薬1−D(図2内の◆)及び試薬1−E(図2内の■)を用いた場合では、その検量線は直線性が得られていない。これに対し、本発明の試薬1−C(図1内の○)及び試薬1−F(図2内の●)によれば、少なくとも尿素窒素濃度が0〜500mg/dlまでの間において、その検量線は原点を通る直線性を示し、尿素窒素の定量法として用いることができる。【0016】【発明の効果】本発明によれば、尿素窒素の濃度が低値から高値に渡り広い範囲で尿素窒素を定量することができる。また、従来法と比較して高価な酵素を用いず、安価な試薬を提供することができる。更に、これらの試薬は液状試薬として長期間安定的に使用できる。本発明はかかる格段の効果を有するものである。【図面の簡単な説明】【図1】従来法と本発明方法による検量線を示すグラフである。【図2】従来法と本発明方法による検量線を示すグラフである。 pH指示薬の存在下で尿素とウレアーゼを反応させて、生成するアンモニアによる液相のpH変化を光学的に検出する尿素窒素の測定方法であって、測定試薬系が少なくとも2種類の緩衝液を含んでいること、及び前記測定試薬系において、吸光度をX軸としpH値をY軸とする前記pH指示薬の滴定曲線と、酸又はアルカリ添加量をX軸としpH値をY軸とする前記測定試薬系の滴定曲線とが同じ形状となり、酸又はアルカリ添加量をX軸とし吸光度をY軸とする検量線が原点を通る直線性を示すように前記緩衝液を組み合わせること、を特徴とする尿素窒素の前記測定方法。 少なくともpH指示薬を含有する第一試薬、及び少なくともウレアーゼを含有する第二試薬とからなる尿素窒素測定用試薬であって、前記第一試薬が少なくとも2種類の緩衝液を含んでいること、及び前記第一試薬及び第二試薬を混合した条件において、吸光度をX軸としpH値をY軸とする前記pH指示薬の滴定曲線と、酸又はアルカリ添加量をX軸としpH値をY軸とする前記混合液の滴定曲線とが同じ形状となり、酸又はアルカリ添加量をX軸とし吸光度をY軸とする検量線が原点を通る直線性を示すように前記緩衝液を組み合わせること、を特徴とする前記尿素窒素測定用試薬。


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