生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_アルコール成分としてエタノールを含んでいるカールフィッシャー試薬
出願番号:1998358637
年次:2010
IPC分類:G01N 27/44


特許情報キャッシュ

ヘルガ ホフマン JP 4440362 特許公報(B2) 20100115 1998358637 19981217 アルコール成分としてエタノールを含んでいるカールフィッシャー試薬 エルデーハー ラボルケミカリーン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディトゲゼルシャフト 598127387 石田 敬 100077517 吉田 維夫 100086276 戸田 利雄 100088269 西山 雅也 100082898 樋口 外治 100081330 ヘルガ ホフマン DE 198 03 425:3 19980129 DE 198 14 902:6 19980402 20100324 G01N 27/44 20060101AFI20100304BHJP JPG01N27/44 301 G01N 27/44 特開平03−057959(JP,A) 特開平03−015751(JP,A) 特開平04−218767(JP,A) 特開平05−010923(JP,A) 特開昭58−147650(JP,A) 特開昭60−055261(JP,A) 米国特許第02967155(US,A) 3 1999258207 19990924 9 20050809 大竹 秀紀 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、カールフィッシャー(KF)水分測定用の試薬であって、アルコール成分としてエタノールを含み、且つ、KF水分測定での使用においてエタノールを安定化または活性化するか、あるいは安定化および活性化する化合物を含んでいる前記試薬に関する。【0002】【従来の技術】KF滴定では、次の反応式に従った酸化還元滴定によって、水分を測定する。H2O + I2 + (RNH)SO3-R' + 2RN => (RNH)SO4 + 2(RNH)IRN=塩基、R'=アルキル(任意に置換される)本試薬においては、アルコールおよび二酸化イオウから、亜硫酸のアルキルエステルが形成される。このエステルは、ヨウ素によって酸化され、化学量論的な量の水を消費して、対応する硫酸のアルキルエステルになる。実際に主に用いるアルコール成分は、メタノールまたは2-メトキシエタノール(メチルグリコール)である(E.Scholz,"Karl-Fischer Titration" Springer Verlag,1984)。【0003】KF滴定には、4つの基本的な方法がある。すなわち、1構成品試薬を用いる容量測定式滴定、2構成品試薬を用いる容量測定式滴定、隔膜を用いる電量測定式滴定、および隔膜を用いない電量測定式滴定である。これらの4つの方法は、異なる試薬を必要とする。【0004】1構成品系滴定に必要な試薬は、1溶液内に、水に反応する全物質が含まれる。二酸化イオウ、ヨウ素および塩基が、アルコールに溶解されている。この溶液では、調製中においても、二酸化イオウとアルコールとが反応して、亜硫酸アルキルが生成する。遊離されたプロトンを、塩基が捉える。元来のKF試薬は、アルコールとしてメタノールを用いた。さらにメチルグリコールを用いることで、より安定な試薬が得られた。全ての1構成品試薬では、これの力価、すなわち活性ヨウ素の濃度は、時間と共に減少する。滴定容器に入れるサンプル用の操作媒体(operating medium)は、普通メタノールか、またはメタノールと他溶媒との混合液である。【0005】2構成品系滴定では、その名が示すとおり、2つの試薬を必要とする。用いる滴定液は、ヨウ素のメタノール溶液であり、用いる溶媒は、二酸化イオウおよび塩基のメタノール溶液である。この溶媒では、1構成品試薬の場合と同様に、亜硫酸アルキルが形成される。この場合、溶媒として常時メタノールを用いるので、亜硫酸メチルが形成される。最初に、溶媒構成品を滴定容器に入れて、そして滴定液構成品によって滴定を行う。滴定液構成品の力価は減少しない。【0006】電量測定式KF水分測定用の試薬の成分は、容量測定用の試薬のものと異なる。ヨウ素の代わりに、溶解性ヨウ化物を用いる。滴定の間、陽極において、このヨウ化物が酸化されてヨウ素が生成し、これが、前記反応式と相同に反応する。この試薬の他の成分は、容量測定用の試薬のものと同じで、すなわち二酸化イオウ、塩基およびアルコールであり、これらが前期同様反応して、亜硫酸アルキルが生成し、これがヨウ素および水と反応する。電量測定では、同様にメタノールが好まれて用いられ、場合によっては、他の溶媒、例えばクロロホルムと混合したメタノールが用いられる。いわゆる隔膜のあるセルでは、陰極室と陽極室とが、隔膜によって分けられている。これによって、陰極で生じた酸化物質による妨害が抑制される。両室は、別個に試薬を満たす必要がある。陰極室には、通常、特別な陰極試薬を用いる。【0007】隔膜を用いない電量測定式滴定では、陰極室と陽極室とを分ける必要がない。陰極の特別な構造が、酸化物質の形成を抑制するからである。この場合、1つの容器だけに試薬を満たす必要がある。【0008】用いる溶媒には、いくつかの機能があるので、適する溶媒の数は限られる。溶媒は、反応性成分であり、すなわち二酸化イオウと反応してエステルを形成できるものである必要がある。この様な理由で、アルコールか、またはアルコールと他の溶媒との混合液のみが適当である。溶媒は、KF試薬の他の成分、および反応で生成する化合物を溶解するものでなければならない。溶媒は、測定サンプルを溶解するのに適していなければならない。本溶媒によって調製したKF試薬は、十分に安定していなければならず、すなわち溶媒は、いかなる妨害的な複反応を起こしてもいけない。電量測定式滴定においては、溶媒は、これに含まれる塩によって、適当な導電率を生じることが必要である。さらに、これは、KF滴定において一般的であるデッドストップ表示(dead-stop indication)を可能にするものである必要がある。【0009】アルコール性の操作媒体としては、メタノールが好ましい。これまで、メタノールが、KF試薬用に、そしてKF滴定において用いられてきたほとんど唯一のものであった。1935年に、カールフィッシャーによって、KF試薬のオリジナル成分として薦められて以来、これは未だに、測定サンプル用の溶媒として好まれている。KF試薬における溶媒または操作媒体として、メタノールには、多くの利点があり、特に、上記に要約した必要条件を、ほとんど制限なしに満たす。【0010】しかしメタノールには、アルコール成分としてメタノールを用いた1構成品KF試薬の安定性が、比較的低いという欠点がある。メタノールの別の欠点は、長鎖の有機化合物および脂質を溶解する能力が十分ではないことである。メタノールの別の欠点は毒性であり、この欠点は最近ますます顕著になってきた。【0011】対照的に、他の溶媒が用いられる程度は、限られている。Peters and Jungnickel(Analen der Chemie,Vol.27,pages450-453)は、溶媒としてメチルグリコールを導入した。最近は、類似のグリコールエーテルも使われている。これらを用いた1構成品KF試薬の力価の安定性は良い。しかしグリコールエーテルは、測定サンプル用の操作媒体としては適していない。なぜならKF反応があまりに遅すぎて、表示の問題が起きるからである。しかも、メチルグリコールも、毒物学上、問題がないわけではない。この場合も、サンプル用の溶媒としては、メタノールが好ましい。【0012】測定サンプルを溶解する能力を改善するために、多くの場合メタノールに他の溶媒、例えばクロロホルム、プロパノール、ブタノールまたはキシレンを加える(Scholz,Ioc.Cit.,pages58-61)。ケトンをKF水分測定する場合、サンプルを溶解するために、ハロゲン置換したアルコールを使用することが、EP-B 0 135 098に記載されている。【0013】【発明が解決しようとする課題】前記要約した従来技術から明らかに、今日まで使われてきたアルコールは、研究業務上、問題がないわけではない。メタノールは、毒性があり、引火性が高く、そしてメチルグリコールは、催奇性および胎児毒性がある。メチルグリコールは1構成品試薬用に用いられるが、ここでもやはり、滴定セル内の操作媒体として主に信頼できるものは、メタノールである。なぜなら、操作媒体がメチルグリコールである場合、通常のKF滴定器による滴定は、非常に遅くなるからである。滴定を可能にする他の溶媒もまた、健康上の問題がある。テトラヒドロフルフリルアルコールは、有害物質に分類され、そしてN-メチルホルムアミドは、胎児毒性がある。【0014】KF滴定におけるアルコールの別の欠点は、ある種のサンプルとの副反応が起きて、滴定結果を誤らせることである。メタノールは、ケトンおよびアルデヒドと反応して、各々ケタールおよびアセタールが生成する。この反応で水が形成される。さらにアルデヒドは、メタノールおよびメチルグリコールの存在下に、二酸化イオウによって、重亜硫酸エステル付加を受ける。この反応は水を消費するので、同様に分析を誤らせる。これらの副反応は、滴定容器内の溶媒として2-クロロエタノールを用いることで回避することができる。しかしこの物質は、毒性が非常に高く、多くのハロゲン化化合物と同様に分解し難い。【0015】現在常用されているKF試薬を、大幅に改善するためには、極性物質を溶解する能力、電量測定のために導電率の生成、および反応速度に関してできるだけ前記記載事項に類似し、一方副反応は、実質上大きく抑制される適当なアルコールを用いた配合品を見つける必要がある。しかし最も重要な判定基準は、利用者および環境に対する、本試薬に起因する潜在的な有害性である。安全性の点から、毒性試薬は、日常研究業務において禁止されるべきである。分解し難い試薬は、長期間環境を汚染する。従って、結論として、前記記載の溶媒、特にメタノールに代えて、同様な適性があり、そして明らかに潜在的な有害性を低減した溶媒を用いる必要性が非常に高い。【0016】メタノールの代わりにエタノールを用いることは、とにかく後者の判定基準を満たすと思われる。エタノールは今日まで実際に用いられていない。しかしエタノールは、いくつかの以前の特許出願および特許において、理論的に可能性のある溶媒として記載されていて、例えばDE-C 39 23 883, DE-C 39 04 992およびEP-B 0 135 098においては、多くの潜在的な溶媒候補の中の1つとして記載されている。【0017】エタノールが、これまで実際に用いられなかった理由は、純粋なエタノールを用いた場合の以下の欠点にある:1.通常の予備滴定の終点の到達(操作媒体からの水の除去)が、遅く、そして不正確である。これは、次のKF水分測定を誤らせる。2.通常の表示方法、例えば分極電位差計(bipotentiometry) または分極電流計(biamperometry) (デッドストップ表示とも云う)を用いた場合、終点表示が減少する。これによって過剰滴定に至る。3.エタノールを基にしたヨウ素含有滴定液の力価は、安定しない。例えば2構成品試薬における滴定液成分として用いるヨウ素のエタノール溶液の力価は、ゆっくりだが、連続して下がる。従って、本発明は、改良されたKF試薬、特に毒性学的な問題がより少ないKF試薬を提供するという目的に基づいている。【0018】【課題を解決するための手段】当業者に知られている様に、エタノールに前記の欠点があるにもかかわらず、これに関して研究を行い、溶媒としてエタノールを用いたいくつかの実験を行った。これらの実験から、アルコール成分としてエタノールを含んでいるKF試薬に、適当な添加剤、すなわち安定化または活性化するか、あるいは安定化および活性化する添加剤を加えることによって、前記の欠点を、驚くほどに取り除くことができることが示された。この様な添加剤の添加によって、通常の予備滴定における滴定速度を増加させ、そして分極電位差計または分極電流計による測定方法を用いて、終点表示を確実にすることができるようになる。本発明の添加剤の使用によって、滴定液は安定化するので、力価の低下は明らかにより遅くなる。【0019】従って、本発明は、水分測定用のKF試薬であって、アルコール成分としてエタノールを含み、並びに、KF水分測定での使用においてエタノールを安定化または活性化するか、あるいは安定化および活性化する化合物を少なくとも1つ含んでいることを特徴とする、前記試薬に関する。【0020】【発明の実施の形態】原則的には、本特性に従う全ての化合物を、「KF水分測定での使用においてエタノールを安定化または活性化するか、あるいは安定化および活性化する化合物」として用いることが可能である。【0021】KF水分測定での使用においてエタノールを安定化または活性化するか、あるいは安定化および活性化する化合物は、好ましくは、無機酸または有機酸と、無機塩基または有機塩基との塩、およびこれらの塩を2つ以上組み合わせたものの群中から選択される。【0022】さらに好ましくは、ハロゲン化水素酸、硫酸、亜硫酸、硫酸水素エチル、亜硫酸水素エチルもしくはカルボン酸と、有機アミンとの塩、4級アンモニウム化合物との塩、もしくは無機陽イオンとの塩か、またはこれらの塩を2つ以上組み合わせたものが用いられる。【0023】これに関して詳細を明記する。ハロゲン化水素酸、亜硫酸、硫酸、前記酸とエタノールとの反応生成物、例えば亜硫酸水素エチルまたは硫酸水素エチル、リン酸、カルボン酸、およびスルホン酸と、2級および3級アミンとの塩、環状アミンとの塩、および窒素含有複素環との塩。さらに前記酸と4級アンモニウムとの塩、およびグアニジン化合物。【0024】2級および3級アミン、環状アミンおよび窒素含有複素環の例は、特に、ジエチルアミン、ジエタノールアミン、エチルブチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、エチルジエタノールアミン、N,N-ジエチルアニリン、ジメチルドデシルアミン、ジメチルデシルアミン、ジエチルオクチルアミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ピリジン、2-メチルピリジン、4-(ジエチルアミノ)ピリジン、ジピリジルプロパン、N,N-ジピリジルエチレンアミン、ピロール、イミダゾール、2-メチルイミダゾール、N-エチルイミダゾール、ベンズイミダゾール、トリアゾール、オキサゾール、チアゾール、およびグアニジン、特に、ピリジン、モルホリン、イミダゾール、ジエタノールアミン、または、これらの2つ以上の組み合わせである。【0025】4級アンモニウム化合物の例は、テトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、ジメチルジオクチルアンモニウム、およびコリンの塩である。【0026】特に適する酸の例は、ヨウ化水素酸、塩化水素酸、臭化水素酸、亜硫酸および硫酸、並びにこれらとエタノールの反応生成物、例えば亜硫酸水素エチルまたは硫酸水素エチル、スルホン酸、リン酸、プロピオン酸、2-エチルヘキサン酸、安息香酸、およびサリチル酸である。【0027】エタノールへの溶解性が十分である場合には、無機塩、例えば、ヨウ化リチウムもまた適当である。【0028】前記の塩を試薬調製中に直接に加えてもよいし、前記塩が試薬調整中に生成されてもよいし、または実際の使用前に副反応によって生成されてもよい。例えば, ヨウ素および二酸化イオウは水と反応して、ヨウ化水素酸および、硫酸または硫酸水素エチルを生成する。これらは、さらに塩基と反応して、各々の塩を生成する。これに必要な水は、用いる原料中に存在する場合もあるし、または後から加えてもよい。【0029】安定化または活性化するか、あるいは安定化および活性化する本化合物の濃度は、使用条件に応じて、0.01 mol/l と4 mol/l との間でよい。滴定装置、表示系、および必要とする使用目的によって、この範囲内で、本化合物は役割を果たす。本発明において用いる塩は、単独で用いてもよいし、または別の塩と組み合わせて用いてもよい。【0030】本発明はまた、KF水分測定での使用においてエタノールを安定化または活性化するか、あるいは安定化および活性化する化合物として、無機酸または有機酸と、無機塩基または有機塩基との塩、あるいはこれらの塩を2つ以上組み合わせたものを使用することにも関する。この目的で、ハロゲン化水素酸、硫酸、亜硫酸、硫酸水素エチル、亜硫酸水素エチルおよびカルボン酸と、有機アミン、4級アンモニウム化合物、および無機陽イオンとの塩、並びにこれらの塩を2つ以上組み合わせたものを用いることが、特に好ましい。【0031】さらに、1構成品試薬、2構成品系KF滴定用の溶媒または滴定液の成分、あるいは電量測定式KF水分測定用の陽極液または陰極液において、エタノールを安定化または活性化するか、あるいは安定化および活性化するために、本発明の化合物を用いることが可能である。【0032】本発明のKF試薬は、メタノールを基にした従来の試薬と比べて、いくつかの利点がある。エタノールは、有害物質の規制において低いクラスに位置付けられていて、すなわち毒性ではなくて、単に引火性によって分類されている。よって、安定化または活性化するか、あるいは安定化および活性化する本発明の化合物が、エタノールに含まれている限り、従来用いられてきたメタノールの大部分を、エタノールに置き換えることができる。【0033】さらに、エタノールは、メタノールに比べて毒性学上の利点があるだけではなく、長鎖の炭化水素を溶解する能力に関してより優れているという特徴がある。従って、本発明のKF試薬によって、メタノール性の試薬の場合に比べて、この様な物質をより容易に滴定することができる。【0034】本発明における、他のいくつかの個別の点を、実施例を参照しながら、以下に詳細に記載する。本発明は、エタノール、並びに少なくとも1つの、KF水分測定での使用においてエタノールを安定化または活性化するか、あるいは安定化および活性化する化合物から成る、1構成品試薬を用いるKF水分測定用の操作媒体、および2構成品系KF滴定における溶媒構成品にも関する。【0035】これらを、1構成品KF試薬による滴定用の標準操作媒体として、メタノールの代わりに用いることができる。KF水分測定での使用においてエタノールを安定化または活性化するか、あるいは安定化および活性化する化合物を、塩基および酸から、例えば実施例1に示すとおりイミダゾールおよび二酸化イオウから、その場で(in situ) 得ることもできる。安定化または活性化するか、あるいは安定化および活性化する本化合物を、この様にして加えることもできる。【0036】別の実施例では、本発明は、エタノール、ヨウ素、並びに少なくとも1つの、KF水分測定での使用においてエタノールを安定化または活性化するか、あるいは安定化および活性化する化合物から成る、2構成品系KF滴定における滴定液成分に関する。これまで、滴定液成分は、実質上全面的にメタノールを用いて調製されてきた。少数の単独の事例ではあるが、メタノール以外に、芳香族溶媒も用いられた。この場合も、エタノールによって置き換えることができる。この場合、例えば、イミダゾールヨウ化水素酸塩を加えることで、滴定液成分の安定性が改善され、これの力価の減少は、純粋なエタノールを用いた場合よりも、明らかに小さくなる。この様な滴定液成分を実施例3に示す。【0037】さらに、本発明はまた、エタノール、塩基、二酸化イオウ、ヨウ素、および、KF水分測定での使用においてエタノールを安定化または活性化するか、あるいは安定化および活性化する化合物から成る、KF水分測定用の1構成品KF試薬にも関する。この場合も、これの力価の減少は、純粋なエタノールを用いた場合よりも、明らかに小さくなる。この様な試薬を、実施例4および5に示す。これらの各試薬は、安定化用添加剤としてヨウ化水素酸塩を含んでいる。【0038】KF水分測定の従来の方法において、本発明のKF試薬を用いる。最初に、適当な操作媒体または溶媒構成品、例えば、エタノールを基にした本発明の操作媒体または溶媒構成品、あるいは従来の溶媒、例えば、メタノールまたは別の溶媒混合液を、滴定セルに入れる。入れた溶液を、本発明の滴定液によって、無水分になるまで滴定する。それから、水分含有量を測定しようとするサンプルを計量し、従来の方法で滴定する。【0039】別の実施例では、本発明はまた、エタノール、塩基、二酸化イオウ、および、KF水分測定での使用においてエタノールを安定化または活性化するか、あるいは安定化および活性化する化合物から成る、電量測定式KF水分測定用の陽極液、並びに、エタノール、および、KF水分測定での使用においてエタノールを安定化または活性化するか、あるいは安定化および活性化する化合物から成る、電量測定式KF水分測定用の陰極液にも関する。【0040】陽極液の配合品を、実施例6に示す。陰極液の配合品を、実施例7に示す。陽極液の場合、エタノールを安定化または活性化するか、あるいは安定化および活性化する化合物として、再び、イミダゾールヨウ化水素酸塩を加え、一方、陰極液には、その様な化合物としてジエタノールアミン塩化水素酸塩を加える。【0041】本発明の試薬と、従来のKF試薬および従来の全溶媒、例えば、他のアルコール、グリコール、ハロゲン化炭化水素、および芳香族炭化水素との、組み合わせもまた可能である。しかし、その中に含有されるアルコール成分の含有量は、常に毒性学上問題がない範囲内である。メタノールとの組み合わせもまた可能であるが、この場合、アルコール成分中のメタノール含有量は、重量で19%以下、好ましくは重量で15%以下であるべきである。【0042】【実施例】本発明を、本発明の実施例およびその使用実施例によって説明する。実施例1(1構成品KF試薬による滴定用の操作媒体)イミダゾール15 gおよび二酸化イオウ9gを、エタノール1Lに溶解した。この配合品を、1構成品KF試薬による滴定における、サンプル用の操作媒体として用いた。【0043】実施例2(2構成品系KF滴定用の溶媒成分)ジエタノールアミン52 g(0.5mol)を、エタノール1Lに溶解した。次に二酸化イオウ32 g(0.5mol)を通じた。【0044】実施例3(2構成品系KF滴定用の滴定液成分)ヨウ素75 gおよびイミダゾールヨウ化水素酸塩137gを、エタノール1Lに溶解した。実施例2および3の2つの配合品を一緒に用いて、水分測定した。これを使用実施例2に記載する。【0045】実施例4(1構成品KF試薬)ピリジン316gを、エタノール600 mlに溶解した。次に二酸化イオウ96 gを通じた。続いてピリジンヨウ化水素酸塩60 gおよびヨウ素75 gを加えた。この混合液にエタノールを加えて1Lにした。【0046】実施例5(1構成品KF試薬)ジエタノールアミン126g(1.2 mol) 、イミダゾール68 g(1mol)、およびイミダゾールヨウ化水素酸塩60 g(0.3 mol) を、エタノール600 mlに溶解した。次に二酸化イオウ96 gを通じ、そしてヨウ素75 gを加えた。この混合液にエタノールを加えて1Lにした。【0047】実施例6(電量測定式KF水分測定用の陽極液)イミダゾール68 g(1mol)を、エタノール1Lに溶解した。次に二酸化イオウ32 gを通じた。最後にイミダゾールヨウ化水素酸塩40 gを加えて溶解した。この溶液を、電量測定式KF滴定用の陽極液として用いた。【0048】実施例7(電量測定式KF水分測定用の陰極液)ジエタノールアミン塩化水素酸塩210gを、エタノール1Lに溶解した。この溶液を、電量測定式KF滴定用の陰極液として用いた。【0049】使用実施例1実施例1の作業溶液25mlを、容量測定式KF滴定器の滴定セルに入れた。そしてDAB10 に従って、1構成品試薬による滴定によって、無水分になるまで滴定した。次に測定サンプルを加えた。それから同滴定液によって、その水分含有量を滴定した。実施例1の本発明の溶媒を用いて、使用実施例1において、無水分まで滴定するのに、約1分を要した。純粋な無水エタノールを用いた滴定を、使用実施例1の滴定と比較すると、この場合、無水分になるまでの滴定の進行が極端に遅いことが判明した。さらにこの場合、次の水分測定を誤らせる様な、非常に不確かな終点を決定した可能性があった。【0050】使用実施例2実施例2の溶媒30mlを、容量測定用の滴定セルに入れて、実施例3の滴定液によって無水分になるまで滴定した。次に測定サンプルを加えた。同滴定液によって、その水分含有量を滴定した。【0051】使用実施例3実施例2の溶媒成分50mlを、容量測定式KF滴定器の滴定セルに入れた。RDH Laborchemikalien GmbH & CoKG社の市販品Hydranal滴定液を用いて、完全に無水分になるまで滴定した。次に測定サンプルを加えた。それからHydranal滴定液によって、その水分含有量を滴定した。【0052】使用実施例42つの区分された室を有する市販のKF用電量測定計Kyoto MKC-210 を用いて、実施例6の試薬を、電量測定用の滴定セルの陽極室に入れ、そして実施例7の試薬を陰極室に入れた。それから水分測定を行った。【0053】使用実施例51つの室を有する市販のKF用電量測定計Metrohm 684 を用いて、実施例6の試薬を、電量測定用の滴定セルに入れた。それから水分測定を行った。 カールフィッシャー試薬中のアルコール成分としてのエタノールを安定化または活性化するか、あるいは安定化および活性化する方法であって、ジエタノールアミン、ピリジン、イミダゾール、またはこれらの2つ以上の組み合わせから選択される塩基の塩をエタノールと接触させることを特徴とする、方法。 前記塩が、ヨウ化水素酸、塩化水素酸、硫酸、亜硫酸、硫酸水素エチル、亜硫酸水素エチル、またはこれらの2つ以上の組み合わせの塩である、請求項1に記載の方法。 前記カールフィッシャー試薬が、1成分試薬、1成分試薬用の滴定溶剤、2成分カールフィッシャー滴定用の溶媒または滴定剤成分、電量測定式カールフィッシャー水分測定用の陽極液または陰極液である、請求項1または2に記載の方法。


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