生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_フェノール性化合物の製造方法
出願番号:1998354046
年次:2008
IPC分類:C07C 37/50,C07C 37/84,C07C 39/23


特許情報キャッシュ

湯浅 照雄 小野 有三 JP 4041608 特許公報(B2) 20071116 1998354046 19981214 フェノール性化合物の製造方法 三井化学株式会社 000005887 苗村 新一 100076613 最上 正太郎 100075247 湯浅 照雄 小野 有三 20080130 C07C 37/50 20060101AFI20080110BHJP C07C 37/84 20060101ALI20080110BHJP C07C 39/23 20060101ALI20080110BHJP JPC07C37/50C07C37/84C07C39/23 C07C 37/50 C07C 37/84 C07C 39/23 特公昭61−015851(JP,B1) 特開平05−294879(JP,A) 特公昭56−019333(JP,B1) 特開平11−158100(JP,A) 特開平02−295935(JP,A) 国際公開第99/001415(WO,A1) 2 2000178218 20000627 7 20040804 中島 庸子 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、レジスト材、封止材等の原料として有用である他、各種のフェノール性化合物の原料、中間体として有用な5−ヒドロキシ−1,1,3−トリメチル−2−インデンの製造方法に関する。【0002】【従来の技術】5−ヒドロキシ−1,1,3−トリメチル−2−インデン(以下、ヒドロキシインデンと略称する)の製造方法としては、特公昭61−15851号公報記載の方法が知られている。この方法では、5−ヒドロキシ−3−(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,3−トリメチルインダン(以下p−イソプロペニルフェノールの環状二量体と略称する)の酸又はアルカリ触媒による熱分解反応、またはp−イソプロペニルフェノール単量体/または該オリゴマーないしポリマーを酸触媒により分子内環化反応した後、酸又はアルカリ触媒による熱分解反応、さらに同化合物を最初から酸触媒を用い加熱することによって、フェノールとヒドロキシインデンの混合留出物を得ている。ヒドロキシインデンの精製、単離に関しては、該混合留出物の蒸留による方法が挙げられている。【0003】しかし、高温下での熱分解反応および酸触媒反応では副生物が多く、簡単な蒸留では高純度のヒドロキシインデンは得られない。また、蒸留時の加熱によりヒドロキシインデンの一部が重合して収率が低くなり、経済的な製造方法とは言いがたい。更に、ヒドロキシインデンの融点が135℃と高い上、昇華性のため蒸留では受器温度の管理、ライン閉塞の対策が必要である。その上、受器から排出されるヒドロキシインデンは融点以下の温度では塊となり、扱いが困難という課題もある。【0004】【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、ヒドロキシインデンの高純度品を高収率で簡便に製造する方法を提供するものである。【0005】【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、p−イソプロペニルフェノールの環状二量体等を熱分解して得られるヒドロキシインデンとフェノール等の混合留出物を直接、再結晶すれば高純度のヒドロキシインデンが高収率で得られることを見出し、本発明に到った。【0006】即ち本発明は、5−ヒドロキシ−3−(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,3−トリメチルインダンを酸触媒またはアルカリ触媒の存在下に加熱分解して5−ヒドロキシ−1,1,3−トリメチル−2−インデンを製造する方法において、加熱分解して得られた5−ヒドロキシ−1,1,3−トリメチル−2−インデンとフェノールを含む混合物から再結晶することを特徴とする5−ヒドロキシ−1,1,3−トリメチル−2−インデンの製造方法である。【0007】【発明の実施の形態】以下本発明を詳細に説明する。本発明において、熱分解反応に用いるp−イソプロペニルフェノールの環状二量体は、特公昭56−19333号公報、特公昭61−15851号公報記載の方法によって得られる。例えば、p−イソプロペニルフェノールおよびp−イソプロペニルフェノールの線状重合体で構成される化合物群の単独もしくは二種以上の混合物を原料とし、固体酸を触媒として液相で反応した後、固体酸を濾別、再結晶してp−イソプロペニルフェノールの環状二量体を製造する方法、同線状混合物を適当な温度に加熱、線状二量体をつくった後に酸触媒による分子内環化反応を行う方法が挙げられる。【0008】熱分解反応は、特公昭61−15851号公報記載の方法によって行われ、フェノールとヒドロキシインデンの混合留分を得ることができる。例えば、p−イソプロペニルフェノールの環状二量体に酸又はアルカリ触媒を添加して、150〜280℃の温度、加圧または減圧下で行う方法である。また、p−イソプロペニルフェノール単量体/または該オリゴマーないしポリマーに酸触媒を添加して、p−イソプロペニルフェノールの環状二量体をあらかじめ生成させた後、アルカリ触媒を添加して行うこともできる。更には一段で、すなわち、p−イソプロペニルフェノール単量体/または該オリゴマーないしポリマーを酸触媒下で熱分解反応を行い、フェノールとヒドロキシインデンの混合留出物を得ることもできる。【0009】酸触媒としては、硫酸、リン酸、トルエンスルホン酸等であり、アルカリ触媒としては水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム等が挙げられる。【0010】熱分解反応はメタノール、エタノール、オクタノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、フェノール、クレゾール等のフェノール性化合物、エチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール類およびそのエーテル類、その他ジフェニルエーテル、更に乳酸エチル等のエステル類及び水などの溶剤を用いて行うこともできる。これらの溶剤は2種以上混合して使用しても良く、その使用量は作業性によって選ばれ特に制限はない。【0011】熱分解反応から得られる混合留出物の溶剤を除いた組成はp−イソプロペニルフェノールの環状二量体が化学量論的に分解した場合は、フェノール35.1%とヒドロキシインデン64.9%であるが、高温での反応であるため不純物が含まれる。また精製を行わないp−イソプロペニルフェノールの環状二量体を熱分解したものは不純物が多くなる。【0012】高純度のヒドロキシインデンを高収率で得るために、熱分解反応から得られるヒドロキシインデンを含む混合留出物を徐々に冷却して晶析し、結晶を濾過、溶剤で洗浄を行い、乾燥する。【0013】本発明においてヒドロキシインデンを精製するに際し用いる熱分解反応からの混合留出物は、留出物が受器内で結晶化しない温度に加熱保持したものが効率上好ましいが、留出物を一端取り出し結晶させたもの、熱分解反応中に反応器〜受器で溶剤を用いて留出物と接触混合したもの、熱分解反応が終了した後に溶剤を添加したもの等いずれも使用できる。【0014】再結晶を行う時の温度は、通常ヒドロキシインデンの結晶が溶解する温度以上にして均一溶液とした後、冷却してフェノールの結晶が析出しない温度で行われる。不純物の含有量にもよるが、好ましくは15℃〜120℃であり、30℃〜100℃の範囲が更に好ましい。15℃未満ではフェノールの結晶化、不純物の取り込みが多く純度低下の原因となり、120℃以上では特に問題はないが冷却時間が長くなる。また、混合留出物に溶剤を含んだものは溶剤の種類、量にもよるが通常0℃〜溶剤の沸点未満の範囲で実施する。【0015】冷却時間は通常30分〜10時間の範囲が好ましく、1時間〜5時間が更に好ましい。30分未満では不純物が多くなり、10時間以上では効率が悪い。結晶の濾過は減圧、加圧濾過、遠心分離等いずれでも良い。【0016】結晶の洗浄に用いる洗浄剤としては、例えば水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、ヘプタン、ヘキサン等の脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素が挙げられる。これらの溶剤は2種以上混合して使用することもできる。洗浄剤の使用量は、結晶の純度によって異なるが、通常、結晶に対して0.1〜5倍(重量比)を用いて繰り返される。【0017】尚、再結晶によって得られるヒドロキシインデンは、さらさらとした粒状の結晶であり、取扱いが容易である。【0018】【実施例】以下、実施例を示して本発明について更に詳細に説明する。尚、実施例に示した百分率は重量百分率である。また、各種分析結果は下記方法により測定した値である。(1)ガスクロマトグラフ(株)島津製作所製ガスクロマトグラフ(形式:GC−9A)で、カラムとしてSE−30[(株)日立製作所製]を用いて分析した。分析用の試料は内部標準物質としてナフタリンを用いて、ピリジン、無水酢酸によりアセチル化して調製した。(2)高速液体クロマトグラフ(株)日本分光製高速液体クロマトグラフ(形式:JASCO GULLIVER SERIES)で、カラムとしてKF−804、803、802、802[(株)昭和電工製]の4本直列継ぎを用いて、溶離液としてテトラヒドロフランを使用して、面積百分率法で分析した。【0019】調製例1温度計、攪拌機付き3000mlセパラブルフラスコに、p−イソプロペニルフェノール及びそのオリゴマー混合物[三井化学(株)製、商品名:パーマノール200、組成:p−イソプロペニルフェノール0.5重量%、同線状二量体76.1重量%、同線状三量体7.0重量%、同線状四量体2.6重量%のトータル86.2%が有効成分、その他13.8重量%]2000gと市販の活性白土7gを装入し昇温した。内容物が完全に溶解した後、かきまぜながら180℃に昇温し1時間反応を行った。次いで6gの活性白土を添加して180℃で1時間反応を行った。更に7gの活性白土を追加、同温度で2時間反応した後、反応物をステンレス製皿に排出した。ガスクロマトグラフ分析の結果、この反応物には72.5%のp−イソプロペニルフェノールの環状二量体が含まれた。【0020】調製例2調製例1で得られた反応物1000gを室温で3700gのメタノールに溶解した後、活性白土を濾過して除いた。濾液を72℃で1450gまで濃縮した後2時間かけて晶析しながら室温まで冷却した。結晶を濾過して470gのメタノールで洗浄、次いで真空乾燥して純度99.2%のp−イソプロペニルフェノールの環状二量体676gを得た。【0021】実施例1温度計、窒素挿入管、蒸留カラム(内径25mm、長さ100mm、ステンレス製金網充填)付500mlセパラブルフラスコに、調製例1で得られた反応物200gと48%NaOH水溶液4.2gを仕込み昇温した。190℃で内容物が溶解後窒素バブリングを開始した。内温が223℃に達してから、5.3kPaの減圧にすると液の留出が始まった。その後内温を260℃まで昇温し、同時に減圧度を1.9kPaまで上げて熱分解反応を続けた。約4時間後に留出は完了し、159.4gの留出物を得た。留出物の組成はフェノール33.5%、ヒドロキシインデン52.7%、その他13.8%であった。留出物を98℃に加熱溶解した後、かきまぜながら3.5時間かけて室温まで徐々に冷却しながら結晶を析出させた。結晶を濾過した後56gのトルエンを用いて2回洗浄した。次いで減圧下、100℃で乾燥して純度99.5%のヒドロキシインデン63.2gを得た。【0022】実施例2調製例1で得られた反応物300gと33%NaOH水溶液9gを用いた以外は実施例1と同様にして239.2gの留出物を得た。留出物の組成はフェノール33.9%、ヒドロキシインデン54.2%、その他11.9%であった。留出物を96℃に加熱溶解した後、かきまぜながら3.5時間かけて室温まで徐々に冷却しながら結晶を析出させた。結晶を濾過した後75gのトルエンを用いて2回洗浄した。次いで減圧下、100℃で乾燥して純度99.4%のヒドロキシインデン96.9gを得た。【0023】実施例3実施例1と同じ装置で、調製例2で得られたp−イソプロペニルフェノールの環状二量体200gとフェノール39.7gと20%NaOH水溶液10gを仕込み昇温した。187℃で内容物が溶解した後窒素バブリングを開始した。内温が223℃に達してから、5.3kPaの減圧にすると留出が始まった。その後内温を251℃まで昇温し、同時に減圧度を1.9kPaまで上げて熱分解反応を続けた。約3.5時間後に留出は完了し、221.9gの留出物を得た。留出物の組成はフェノール46.7%、ヒドロキシインデン51.2%、その他2.1%であった。留出物を90℃に加熱溶解した後、かきまぜながら3.5時間かけて室温まで徐々に冷却しながら結晶を析出させた。結晶を濾過した後55gのトルエンを用いて3回洗浄した。次いで減圧下、100℃で乾燥して純度99.2%のヒドロキシインデン90.9gを得た。【0024】実施例4調製例2で得られたp−イソプロペニルフェノールの環状二量体200gと実施例3の釜残19.9gと20%NaOH水溶液5gを用いた以外は、実施例3と同様にして204.8gの留出物を得た。留出物の組成はフェノール31.8%、ヒドロキシインデン62.5%、その他5.7%であった。留出物に水6.3gを添加して、95℃で加熱溶解した後、かきまぜながら3時間かけて室温まで徐々に冷却しながら結晶を析出させた。結晶を濾過した後60gのトルエンを用いて2回洗浄した。次いで減圧下、100℃で乾燥して純度99.3%のヒドロキシインデン114gを得た。【0025】実施例5調製例2で得られたp−イソプロペニルフェノールの環状二量体200gと実施例4の釜残15.3gと20%NaOH水溶液4.9gと留出物の捕集用に219gのエチレングリコールを用いた以外は、実施例3と同様にして387.1gの留出物を得た。留出物の組成はフェノール15.7%、ヒドロキシインデン27.8%であった。留出物を85℃で加熱溶解した後、かきまぜながら3時間かけて室温まで徐々に冷却しながら結晶を析出させた。結晶を濾過した後50gの水を用いて3回洗浄した。更に濾液と洗浄水を混合して60℃で加熱溶解した後、かきまぜながら3時間かけて室温まで徐々に冷却しながら結晶を析出させた。結晶を濾過した後約30gの水で2回洗浄した。二つの結晶を合わせて減圧下、100℃で乾燥して純度98.8%のヒドロキシインデン98.1gを得た。【0026】比較例調製例1で得られた反応物300gと33%NaOH水溶液9.95gを用いた以外は実施例1と同様にして239.7gの留出物を得た。留出物の組成はフェノール33.9%、ヒドロキシインデン54.1%、その他12.0%であった。得られた留出物を蒸留カラム(内径25mm、長さ250mm、ステンレス製金網充填)を用いて蒸留し、低沸点留分として89.6gおよび高沸点部の151〜157℃/2.9kPaの留分として純度93.6%のヒドロキシインデン124.1gを得た。留分に186gのトルエンと31gのメタノールを添加して、60℃で加熱溶解した後、かきまぜながら3時間かけて室温まで徐々に冷却しながら結晶を析出させた。結晶を濾過した後約100gのトルエンで2回洗浄した。次いで減圧下、100℃で乾燥して純度99.8%のヒドロキシインデン87.1gを得た。【0027】【発明の効果】本発明は、レジスト材、封止材等の原料として有用である他、各種のフェノール性化合物の原料、中間体として有用なヒドロキシインデンを効率良く得ることができる。 5−ヒドロキシ−3−(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,3−トリメチルインダンを酸触媒またはアルカリ触媒の存在下に加熱分解して5−ヒドロキシ−1,1,3−トリメチル−2−インデンを製造する方法において、加熱分解して得られた5−ヒドロキシ−1,1,3−トリメチル−2−インデンとフェノールを含む混合物から再結晶することを特徴とする5−ヒドロキシ−1,1,3−トリメチル−2−インデンの製造方法。 5−ヒドロキシ−3−(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,3−トリメチルインダンが、p−イソプロペニルフェノール及び/又はそのオリゴマーないしポリマーを酸触媒の存在下で反応して得られた5−ヒドロキシ−3−(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,3−トリメチルインダン含む反応混合物である請求項1記載の5−ヒドロキシ−1,1,3−トリメチル−2−インデンの製造方法。


ページのトップへ戻る

生命科学データベース横断検索へ戻る