タイトル: | 特許公報(B2)_光重合開始剤および光重合性開始剤組成物 |
出願番号: | 1998339915 |
年次: | 2008 |
IPC分類: | C08F 2/50,C07C 409/38,C07C 409/40,G02B 5/20,G02F 1/1335,G03F 7/028 |
佐藤 弘幸 福村 隆徳 加藤 隆 大泉 史貴 JP 4164919 特許公報(B2) 20080808 1998339915 19981130 光重合開始剤および光重合性開始剤組成物 チッソ株式会社 000002071 佐藤 弘幸 福村 隆徳 加藤 隆 大泉 史貴 20081015 C08F 2/50 20060101AFI20080925BHJP C07C 409/38 20060101ALI20080925BHJP C07C 409/40 20060101ALI20080925BHJP G02B 5/20 20060101ALI20080925BHJP G02F 1/1335 20060101ALI20080925BHJP G03F 7/028 20060101ALI20080925BHJP JPC08F2/50C07C409/38C07C409/40G02B5/20 101G02F1/1335 505G03F7/028 C08F 2/00-2/50 CA(STN) 特開平10−062619(JP,A) 特開平10−301276(JP,A) 特開平04−173804(JP,A) 特開平06−348010(JP,A) 特開平10−208542(JP,A) 特開平10−045927(JP,A) 13 2000159827 20000613 13 20051111 ▲吉▼澤 英一 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は光重合開始剤、光重合性開始剤組成物、あるいはカラー液晶表示素子、カラー固体撮像素子などにおいて用いられるカラーフィルターを製造するための感光性着色組成物、それを用いたカラーフィルターおよび液晶表示素子に関する。【0002】【従来の技術】ビニル基等の重合性不飽和基を有するモノマー、オリゴマーを重合させ、塗膜を硬化させる場合に光重合開始剤の存在下、光を照射する重合方法は、他の方法に比較して速い硬化速度、低温での硬化が可能といった利点を有していることから、塗料、レジスト等に広く利用されている。硬化の速度は光重合開始剤に依存するため、これまで各種の光重合開始剤が開発されてきた。【0003】例えばドイツ特許1694149号にはベンゾインエーテル類、米国特許404803号にはアセトフェノン誘導体が開示されている。またこれ以外にも、アリルジアゾニウム塩やハロゲン化炭化水素等の光ラジカル発生剤が知られている。またある種の有機過酸化物も光重合開始剤として有用なことが知られており、これらの重合系についても多くの研究がなされている。具体的には米国特許4171252号、4416826号および4752649号には、特定のt−ブチルペルオキシエステルを有する芳香族化合物が開示されている。【0004】さらに、ジャーナル オブ オーガニック ケミストリーの44巻4123頁(1979年)やジャーナル オブ ポリマー サイエンス ケミストリーの21巻3129頁(1983年)には4,4´−ジ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン等の、過酸エステルを1〜2個有するベンゾフェノン誘導体の合成とビニルモノマーの重合について検討されている。【0005】しかし、これらの化合物のうち過酸エステルが1個のものについては光重合活性が低く、過酸エステルが2個のものについては有機溶剤で希釈溶解して冷蔵保存していると結晶が析出しやすい、原料が高価であり製造コストが高いという欠点があった。また特公平3−60322号公報には過酸エステルを4個有するベンゾフェノン誘導体が開示されているが、この化合物は光重合活性は良好であり原料も安価であるが、有機溶剤で希釈溶解して冷蔵保存していると結晶が析出するという欠点があった。さらに特開平10−17547号公報に開示されている過酸エステルは有機溶剤で希釈溶解して冷蔵保存しても結晶の析出がなく、高感度であるが、製造プロセスが長く、困難な反応を伴うために製造コストが高いという欠点があった。【0006】【発明が解決しようとする課題】以上詳述したように、本発明の目的は高感度かつ安価で、有機溶剤で希釈溶解して冷蔵保存したときに結晶の析出のない光重合開始剤を提供することである。また、この光重合開始剤を使用した光重合性開始剤組成物、感光性着色組成物、カラーフィルターを提供する。【0007】【課題を解決するための手段】すなわち、本発明の第一は、下記一般式(1)で表わされる構造からなる光重合開始剤である。 ーーー(1)(式中R1およびR2はそれぞれ独立に炭素数4〜15の3級アルキル基または炭素数9〜15の3級アラルキル基を表し、X1およびX2はそれぞれ独立に−O−または−NH−を表し、R3は炭素数1〜30の有機基でX1と結合する原子が酸素原子でないものを表し、R4は炭素数1〜30の有機基でX2と結合する原子が酸素原子でないものまたは炭素数4〜15の3級アルコキシ基または炭素数9〜15の3級アラルキルオキシ基を表す)。一般式(1)において−X1−R3及び−X2−R4が独立にメタノール、エタノール、2−プロパノール、1−ブタノール若しくはベンジルアルコールのアルコール残基であるアルコキシ基である場合、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート若しくはヒドロキシブチル(メタ)アクリレートのアルコール残基であるアルコキシ基である場合、またはジメチルアミノエタノール若しくはジエチルアミノエタノールのアルコール残基であるアルコキシ基である場合等が好ましい態様である。【0008】本発明の第二は、下記一般式(2)で表わされる構造からなる光重合開始剤である。 ーーー(2)(式中R5、R7、R8、R9、R10、R11、はそれぞれ独立に炭素数4〜15の3級アルキル基または炭素数9〜15の3級アラルキル基を表し、R6、R12はそれぞれ独立に炭素数4〜15の3級アルコキシ基または炭素数9〜15の3級アラルキルオキシ基または炭素数1〜30の有機基でX3と結合する原子が酸素原子でないものを表し、X3は−O−または−NH−を表し、R13は炭素数2〜8のアルキレン基を表し、mは1〜30の整数を表し、nは0〜30の整数を表す)。一般式(2)において−X3−R6及び−X3−R12が独立にメタノール、エタノール、2−プロパノール、1−ブタノール若しくはベンジルアルコールのアルコール残基であるアルコキシ基である場合、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート若しくはヒドロキシブチル(メタ)アクリレートのアルコール残基であるアルコキシ基である場合、またはジメチルアミノエタノール若しくはジエチルアミノエタノールのアルコール残基であるアルコキシ基である場合等が好ましい態様である。【0009】本発明の第三は、一般式(1)または(2)で表わされる構造を有する光重合開始剤の1種または2種以上を使用した光重合性開始剤組成物である。本発明の第四は、一般式(1)と(2)以外の光重合開始剤または増感色素の1種または2種以上を、それぞれ光重合開始剤と増感色素の合計量の1〜80重量%(以後%は重量%を表わす)使用した、前記光重合性開始剤組成物である。この場合、好ましい添加量10〜70%である。本発明の第五は、第三の発明の光重合性開始剤組成物に色素を混合した感光性着色組成物である。【0010】本発明の第六は、前記に記載の感光性着色組成物を使用して製造されるカラーフィルターである。本発明の第七は、前記カラーフィルターを使用して製造される液晶表示素子である。【0011】【発明の実施の形態】本発明の構成と効果について以下に詳細に説明する。本発明で用いられる一般式(1)で表わされる化合物は、ベンゾフェノン構造を有するテトラカルボン酸無水物、例えば3,3´,4,4´−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物に1級アミンを反応させるか、あるいは、ピリジン、トリエチルアミン等の第三アミンの存在下、1級アルコールまたは2級アルコールあるいはフェノール類を反応させ、生成したカルボキシル基を塩化チオニル、五塩化リン、ホスゲン等を用いてカルボン酸塩化物とした後、水酸化ナトリウム、トリエチルアミン、ピリジン等の塩基性化合物の存在下ヒドロキシペルオキシドと反応させて得ることができる。【0012】この反応で用いる1級アミンあるいは1級アルコールあるいは2級アルコールあるいはフェノール類としては、メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、iso−プロピルアミン、n−ブチルアミン、iso−ブチルアミン、sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、1−(2−アミノエチル)−2−ピロリドン、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、シクロヘキサノール、2−エチルヘキシルアルコール、オクチルアルコール、ラウリルアルコール、ステアリルアルコール、1−(2−ヒドロキシエチル)−2−ピロリドン、3−シクロヘキセン−1−メタノール、フェノール、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコールをε−カプロラクトンで変性した化合物、ベンジルアルコール、ジメチルアミノエタノール、ジエチルアミノエタノール等をあげることができる。【0013】製造コストの面からはメタノール、エタノール、2−プロパノール、1−ブタノール、ベンジルアルコールが安価であり特に好ましい。光重合開始剤の感度の面からは2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートが特に好ましい。これは、過酸エステルと(メタ)アクリロイル基が近接しているため、重合開始剤としての効率が高くなるためである。【0014】また、ジメチルアミノエタノール、ジエチルアミノエタノールを使用した場合も、アミンの効果で感度が向上する。光重合性開始剤組成物の現像特性の面からはテトラヒドロフルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコールをε−カプロラクトンで変性した化合物が現像時のパターン形状が良好で特に好ましい。この場合、アルコール中の水素のε−カプロラクトンに対する付加反応により生成する水酸基含有化合物、更に、その化合物のε−カプロラクトンに対する同様な付加反応により生成する化合物等を含む。しかしR3若しくはR4において炭素数の上限が30個以下であると言う制約が有る。【0015】酸塩化物と反応させるヒドロキシペルオキシドとしては、t−ブチルハイドロパーオキサイド、t−アミルハイドロパーオキサイド、t−ヘキシルハイドロパーオキサイド、t−オクチルハイドロパーオキサイド、t−クミルハイドロパーオキサイド等をあげることができる。製造コストの面からはt−ブチルハイドロパーオキサイドが特に好ましい。【0016】本発明で用いられる一般式(2)で表わされる化合物は、ベンゾフェノン構造を有するテトラカルボン酸二無水物、例えば3,3´,4,4´−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物に、ピリジン、トリエチルアミン等の第三アミンの存在下、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等を反応させ、以後(1)と同様にカルボン酸塩化物とした後、ヒドロキシペルオキシドと反応させて得ることができる。【0017】更に、R5,R7,R8,R9,R10は式(1)におけるR1,R2と同様であり、X3は式(1)におけるX1,X2と同様であり、R6,R12は式(1)におけるR3,R4と同様であり、それぞれにおいて同様な原料を用いることにより製造することができる。【0018】一般式(2)の化合物は1分子中に多数の過酸エステル構造を有するため、高感度である。また、アルキル鎖長を調整することで、硬化塗膜の物性をコントロールできるので、非常に有用である。【0019】また、構造が複雑になるので一般式としては表せないが、グリセリン、トリエタノールアミンを上記酸無水物と反応させてもよい。この場合は、モル比をコントロールしないと超高分子量となって取り扱いが困難になる危険があるため、注意が必要である。【0020】このようにして得られた本発明の光重合開始剤は製造コストが安価で、感度が高く、溶媒に希釈溶解して冷蔵保存しても結晶の析出が起こらない、光重合性開始剤組成物の原料として優れた特性を持つものである。本発明の光重合開始剤とバインダーポリマー、光重合性モノマー、溶媒を混合、溶解すると、光重合性開始剤組成物を得ることができる。本発明の光重合開始剤は、単独ではi線、h線、g線への感度が低いため、これらの光線を使う場合は、他の光重合開始剤や増感色素と併用することが望ましい。【0021】他の光重合開始剤や増感色素の具体例としては、ベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、4,4´−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、キサントン、チオキサントン、イソプロピルキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−エチルアントラキノン、アセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−4´−イソプロピルプロピオフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、イソプロピルベンゾインエーテル、イソブチルベンゾインエーテル、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、ベンジル、カンファーキノン、ベンズアントロン、2−メチル−1− [4−(メチルチオ)フェニル ]−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4,4´−ジ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,4,4´−トリ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3´,4,4´−テトラ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3´,4,4´−テトラ(t−ヘキシルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−フェニルフォスフィン酸メチルエステル、2,4,6−トリメチルベンゾイル−フェニルフォスフィン酸エチルエステル、2,4−ジクロルベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイド、2,6−ジクロルベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイド、2,3,5,6−テトラメチルベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイド、3,4−ジメチルベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド、4−[p−N,N−ジ(エトキシカルボニルメチル)]−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、1,3−ビス(トリクロロメチル)−5−(2´−クロロフェニル)−s−トリアジン、1,3−ビス(トリクロロメチル)−5−(4´−メトキシフェニル)−s−トリアジン、2−(p−ジメチルアミノスチリル)ベンズオキサゾール、2−(p−ジメチルアミノスチリル)ベンズチアゾール、3,3´−カルボニルビス(7−ジエチルアミノクマリン)等をあげることができる。もちろん2種以上を混合して用いることも有効である。【0022】なかでも4,4´−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2−メチル−1− [4−(メチルチオ)フェニル ]−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1が好ましい。特に4,4´−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンと2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1を組み合わせて使用した場合、あるいは4,4´−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンと2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1と2−メチル−1− [4−(メチルチオ)フェニル ]−2−モルホリノプロパン−1−オンを組み合わせて使用した場合に感度が高く、樹脂との相溶性が高く、保存安定性が高く、パターンエッジ形状も良好で、非常に好ましい。【0023】本発明の光重合性開始剤組成物における光重合開始剤と増感色素の混合割合は、バインダーポリマーと光重合性モノマーの合計量に対して光重合開始剤と増感色素の合計が2〜100%が好ましい。2%より少ないと実用的な感度が得られず、100%を超えると感度は頭打ちになりコスト的に割高になる。【0024】本発明の光重合性開始剤組成物に使用するバインダーポリマーは特に限定しないが、(メタ)アクリル樹脂、ポリエステル、ポリイミド、ポリスチレン、エポキシ樹脂、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ブチラール樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルホルマール、ポリビニルアルコール、ポリアミド、フェノール樹脂、ポリウレタン、セルロース系ポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレンイミン、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等を使用することができる。【0025】近年は未露光部分をアルカリ液で除去し、任意のパターンを得ることができる高機能光重合性開始剤組成物の需要が増加しているが、この用途には(メタ)アクリル樹脂、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール、フェノール樹脂、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールが好適である。特にアルカリ現像特性をコントロールしやすい(メタ)アクリル樹脂、スチレン−無水マレイン酸共重合体が好適である。バインダーポリマーの混合割合は、光重合性開始剤組成物全量に対し1〜70%が好ましいが、用途によってはこの範囲以外の混合割合、たとえばバインダーポリマーを全く使用しないなど、でもよい。【0026】本発明の光重合性開始剤組成物に使用する光重合性モノマーは特に限定しないが、(メタ)アクリル酸や、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエトキシエチル、(メタ)アクリル酸3−メトキシブチル、(メタ)アクリル酸フェノキシエチル、(メタ)アクリル酸セチル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート四級化物、(メタ)アクリル酸モルホリノエチル、(メタ)アクリル酸トリメチルシロキシエチル、【0027】大阪有機化学(株)製ビスコート#193、ビスコート#320、ビスコート#2311HP、ビスコート#220、ビスコート#2000、ビスコート#2100、ビスコート#2150、ビスコート#2180、ビスコート3F、ビスコート3FM、ビスコート4F、ビスコート4FM、ビスコート6FM、ビスコート8F、ビスコート8FM、ビスコート17F、ビスコート17FM、ビスコートMTG、東亜合成(株)製M−101、M−102、M−110、M−113、M−117、M−120、M−5300、M−5600、M−5700、TO−850、TO−851、TO−1248、TO−1249、TO−1301、TO−1317、TO−1315、TO−981、TO−1215、TO−1316、TO−1322、TO−1342、TO−1340、TO−1225、シクロヘキセン−3,4−ジカルボン酸−(2−モノ(メタ)アクリロイルオキシ)エチル、3−シクロヘキセニルメチル(メタ)アクリレート、2−テトラヒドロフタルイミドエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、スチレン、α−メチルスチレン、無水マレイン酸、N−ビニルピロリドン、4−アクリロイルモルホリン等の単官能モノマーや、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリス(メタ)アクリロイルオキシエチルフォスフェート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、イソシアヌール酸エチレンオキシド変性トリ(メタ)アクリレート、イソシアヌール酸エチレンオキシド変性ジ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ジグリセリンテトラ(メタ)アクリレート等の多官能モノマーをあげることができる。もちろん2種以上のモノマーを混合して使用することもできる。【0028】なかでもペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートが感度が高く好ましい。特にジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートは光重合硬化後の塗膜表面の耐スパッタ性も良好でより一層好ましい。【0029】また、未露光部分をアルカリ液で除去し、任意のパターンを得ることができる高機能光重合性開始剤組成物の用途では、パターンエッジの形状をコントロールするために、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、フタル酸モノヒドロキシエチルアクリレート、日本化薬(株)製KAYARAD TC−110S、同KAYARAD R−712、同KAYARAD R−551、同KAYARAD R−684等の単官能モノマーや2官能モノマーを混合して使用することも有効である。光重合性モノマーの混合割合は特に限定しないが、通常光重合性開始剤組成物の全体量の、1〜90%である。【0030】本発明の光重合性開始剤組成物に使用する溶媒は、光重合開始剤、バインダーモノマー、光重合性モノマーを溶解するものであれば特に限定しないが、例えば水、エタノール、2−プロパノール、2−ブタノン、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トルエン、キシレン、γ−ブチロラクトン、N,N−ジメチルアセトアミド等を使用することができる。【0031】なかでもプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、トルエンが塗布時の膜厚の均一性の面からより一層好ましい。もちろん2種以上の混合溶媒として使用することもできる。または、溶媒を全く使用しない無溶剤型光重合性開始剤組成物とすることも、環境への影響の面から好ましい。【0032】本発明の光重合性開始剤組成物に、シランカップリング剤、レベリング剤、界面活性剤、接着剤等を添加するのも、各種特性を向上させるのに有効である。本発明の光重合性開始剤組成物に色素を混合すると、感光性着色組成物を得ることができる。【0033】色素の具体例としては、アゾ染料、アントラキノン染料、トリフェニルメタン染料、ポリメチン染料、金属錯塩染料、ビスアゾ染料、トリスアゾ染料、硫化染料、インジゴイド染料等の合成染料や、C.I.ピグメントイエロー12、13、14、17、20、24、31、55、83、93、109、110、137、139、150、153、154、166、168、173、C.I.ピグメントオレンジ36、43、51、C.I.ピグメントレッド9、97、122、123、149、176、177、180、215、254、C.I.ピグメントバイオレット19、23、29、C.I.ピグメントブルー15、15:3、15:6、C.I.ピグメントグリーン7、36、C.I.ピグメントブラウン28、C.I.ピグメントブラック1、7等の有機顔料をあげることができる。【0034】近年需要の増加しているカラーフィルター用の感光性着色組成物の用途では、耐熱性、耐光性の面から有機顔料が好ましい。さらに、C.I.ピグメントレッド177、254、C.I.ピグメントイエロー139,150、C.I.ピグメントグリーン36、C.I.ピグメントブルー15、15:6が色純度と透過率の面から特に好ましい。これらの色素の混合割合は特に限定しないが、通常感光性着色組成物の全量に対し、1〜50%である。以下実施例により本発明をさらに説明する。【0035】【実施例】実施例13,3´,4,4´−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物50g、ピリジン25g、メタノール20g、トルエン100gを混合し、80℃で10hr反応させた。過剰なメタノールを留去した後、30℃で塩化チオニル60gをゆっくり滴下した。滴下終了後30℃で1hr攪拌し、さらに50℃に昇温して2hr攪拌した。反応終了後、減圧下で未反応の塩化チオニルとトルエンを除去し、粗酸塩化物を得た。残査をトルエンに再溶解し、水で1回洗浄後、有機層を分取した。これを無水硫酸ナトリウムで乾燥後、乾燥剤をろ別し、減圧濃縮して淡黄色水飴状の酸塩化物を得た。この化合物のテトラメチルシランを基準物質としたプロトンNMRのチャートを図1に示した。これによると8ppm前後のベンゼン環の水素原子に基づくピーク、4ppm前後のメチル基に基づくピークの強度比6.000/6.135=6/6から所望の化合物である事が明らかである。尚、7.5ppm近辺のピーク、及び3ppmのピークは反応溶媒であるトルエンに基づくピークである。次に、t−ブチルハイドロパーオキサイドの10%トルエン溶液100gとトリエチルアミン10gを混合冷却し、5℃で上記酸塩化物のトルエン溶液をゆっくり滴下し、脱塩酸反応を行なった。滴下終了後、5℃で1hr、引き続き室温で3hr攪拌した。ろ過でトリエチルアミン塩酸塩を除いた後、水洗を2回行い、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下でトルエンを留去して下記構造からなる光重合開始剤の25%トルエン溶液42gを得た。光重合開始剤の濃度は乾燥減量から求めた。但し、3,3',4,4'-位に接続した4個のカルボニル基に接続したt−ブチルハイドロパーオキサイド基とメトキシ基は3−位と4−位、若しくは3‘−位と4’−位、相互に入れ替わっているものも含む場合もある。この光重合開始剤の25%トルエン溶液を5℃で3ヶ月間保存したが、結晶の析出はみられなかった。【0036】比較例13,3´,4,4´−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノンの25%トルエン溶液を5℃で3ヶ月間保存したところ、結晶の析出がみられた。【0037】実施例23,3´,4,4´−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物50g、ピリジン25g、エチレングリコール9gを混合し、80℃で10hr反応させた。30℃に冷却し、塩化チオニル60gをゆっくり滴下した。滴下終了後30℃で1hr攪拌し、さらに50℃に昇温して2hr攪拌した。反応終了後、減圧下で未反応の塩化チオニルとトルエンを除去し、粗酸塩化物を得た。残査をトルエンに再溶解し、水で1回洗浄後、有機層を分取した。これを無水硫酸ナトリウムで乾燥後、乾燥剤をろ別し、減圧濃縮して淡黄色水飴状の酸塩化物を得た。これを実施例1と同様の方法でt−ブチルハイドロパーオキサイドと反応させ、一般式(2)に相当する光重合開始剤の25%トルエン溶液を得た。これを5℃で3ヶ月間保存したが、結晶の析出はみられなかった。【0038】実施例3〜9実施例1のメタノールを、エタノール、n−ブチルアミン、1−ブタノール、ベンジルアルコール、2−ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアルコールに変更して、各試薬のモル比が実施例1と同様になるようにして合成を行った。これらの光重合開始剤の25%トルエン溶液を5℃で3ヶ月間保存したが、結晶の析出はみられなかった。【0039】実施例10実施例1のt−ブチルハイドロパーオキサイドを、t−ヘキシルハイドロパーオキサイドに変更して、各試薬のモル比が実施例1と同様になるようにして合成を行った。この光重合開始剤の25%トルエン溶液を5℃で3ヶ月間保存したが、結晶の析出はみられなかった。【0040】実施例11ベンジルメタクリレート/メチルメタクリレート/2−ヒドロキシエチルメタクリレート/メタクリル酸四元共重合体(モル比46:16:13:25、GPCで求めたポリエチレンオキシドを標準とする重量平均分子量7,000)0.50g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート2.00g、東亜合成(株)製M−400 0.40g、東亜合成(株)製M−240 0.10g、4,4´−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン0.05g、実施例1で合成した光重合開始剤の25%トルエン溶液0.20g、ビックケミー・ジャパン(株)製BYK−300 0.002gを加えて混合攪拌し、光重合性開始剤組成物を得た。光重合性開始剤組成物をガラス基板上に1200rpmで5秒間スピンコートし、90℃のホットプレート上で1分間乾燥した。このときの膜厚は1.36μmであった。この基板をウシオ(株)製UI−501C超高圧水銀灯で20μmのストライプパターンのマスクを介して、空気中、ギャップ100μmで露光した。露光量はウシオ(株)製積算光量計UIT−102、受光器UVD−365PDで測定した。露光後のガラス基板を、純水5000gに炭酸水素ナトリウム5gと炭酸ナトリウム2.5gを溶解した現像液でシャワー現像を行い、未露光部を除去し、得られたパターンの膜厚を測定した。膜厚が飽和する露光量は15mj、このときの膜厚は1.31μmであった。【0041】実施例12実施例2で合成した光重合開始剤を使用して、実施例11と同様に光重合性開始剤組成物を調製した。露光前の膜厚は1.40μm、膜厚が飽和する露光量は10mj、このときの膜厚は1.36μmであった。【0042】実施例13プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート20gにゼネカ(株)製ソルスパーズ5gを溶解し、C.I.ピグメントレッド254を12gとC.I.ピグメントイエロー139を3g加えて3本ロールミルで混練した後、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート60gと直径0.5mmのジルコニアビーズ400gを加えてサンドミルで20hr攪拌した。この液を孔径1μmのテフロン製メンブレンフィルターでろ過して赤色分散液95gを得た。赤色分散液2gに実施例12で調製した光重合性開始剤組成物の全量を攪拌しながらゆっくり滴下して、赤色感光性着色組成物を得た。これを実施例11と同様の評価を行った。露光前の膜厚は1.29μm、膜厚が飽和する露光量は25mj、このときの膜厚は1.23μmであった。得られたパターンを200℃10分ポストベイクした後、250℃で1hr加熱して色の変化をみたところ、ΔEは0.31であり耐熱性は良好であった。【0043】比較例23,3´,4,4´−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノンの25%トルエン溶液を使用して実施例11と同様に光重合性開始剤組成物を調製し、さらに実施例13と同様に感光性着色組成物とし、同様の評価を行った。露光前の膜厚は1.28μm、膜厚が飽和する露光量は45mj、このときの膜厚は1.21μmであった。ΔEは0.30であり耐熱性は良好であった。【0044】【発明の効果】本発明によれば、高感度で、保存安定性の高い、安価な光重合開始剤を得ることができる。この光重合開始剤を使用した光重合性開始剤組成物は高感度であり、さらに顔料等の色素を混合した感光性着色組成物も、高感度、高耐熱性を示し、カラーフィルターを製造するための材料として優れた特性を示すものである。【図面の簡単な説明】【図1】 3,3‘,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物をメトキシ化し、且つ、カルボン酸を塩素化した化合物のプロトンNMRチャートである。 下記一般式(1)で表わされる構造からなる光重合開始剤。(式中R1およびR2はそれぞれ独立に炭素数4〜15の3級アルキル基または炭素数9〜15の3級アラルキル基を表し、−X1−R3及び−X2−R4が独立にメタノール、エタノール、2−プロパノール、1−ブタノール若しくはベンジルアルコールのアルコール残基であるアルコキシ基である)。 一般式(1)において−X1−R3及び−X2−R4が独立に2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート若しくはヒドロキシブチル(メタ)アクリレートのアルコール残基であるアルコキシ基である請求項1に記載の光重合開始剤。 一般式(1)において−X1−R3及び−X2−R4が独立にジメチルアミノエタノール若しくはジエチルアミノエタノールのアルコール残基であるアルコキシ基である請求項1に記載の光重合開始剤。 一般式(1)において−X1−R3及び−X2−R4が独立にテトラヒドロフルフリルアルコール若しくはテトラヒドロフルフリルアルコールをε−カプロラクトンに付加して得られるモノアルコールのアルコール残基であるアルコキシ基である請求項1に記載の光重合開始剤。 一般式(2)で表わされる構造からなる光重合開始剤。ーーー(2)(式中R5、R7、R8、R9、R10、R11、はそれぞれ独立に炭素数4〜15の3級アルキル基または炭素数9〜15の3級アラルキル基を表し、−X3−R6及び−X3−R12が独立にメタノール、エタノール、2−プロパノール、1−ブタノール若しくはベンジルアルコールのアルコール残基であるアルコキシ基であり、mは1〜30の整数を表し、nは0〜30の整数を表す)。 一般式(2)において−X3−R6及び−X3−R12が独立に2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート若しくはヒドロキシブチル(メタ)アクリレートのアルコール残基であるアルコキシ基である請求項5に記載の光重合開始剤。 一般式(2)において−X3−R6及び−X3−R12が独立にジメチルアミノエタノール若しくはジエチルアミノエタノールのアルコール残基であるアルコキシ基である請求項5に記載の光重合開始剤。 一般式(2)において−X3−R6及び−X3−R12が独立にテトラヒドロフルフリルアルコール若しくはテトラヒドロフルフリルアルコールをε−カプロラクトンに付加して得られるモノアルコールのアルコール残基であるアルコキシ基である請求項5に記載の光重合開始剤。 請求項1〜4のいずれかに記載の一般式(1)または請求項5〜8のいずれかに記載の一般式(2)で表わされる構造からなる光重合開始剤の1種または2種以上を含有する光重合開始剤組成物。 一般式(1)及び(2)以外の光重合開始剤または増感色素の1種または2種以上をそれぞれ光重合開始剤と増感色素の合計量の1〜80重量%使用してなる、請求項9に記載の光重合開始剤組成物。 請求項9に記載の光重合開始剤組成物に色素を混合してなる感光性着色組成物。 請求項11に記載の感光性着色組成物を使用して製造されるカラーフィルター。 請求項12に記載のカラーフィルターを使用して製造される液晶表示素子。