タイトル: | 特許公報(B2)_新規ジピリルメテン化合物及びその製造方法 |
出願番号: | 1998315366 |
年次: | 2009 |
IPC分類: | C07D 403/06 |
中辻 慎一 池上 良成 横山 嘉人 別所 秀規 安川 岳志 JP 4223601 特許公報(B2) 20081128 1998315366 19981020 新規ジピリルメテン化合物及びその製造方法 赤穂化成株式会社 592015802 児玉 喜博 100105061 中辻 慎一 池上 良成 横山 嘉人 別所 秀規 安川 岳志 20090212 C07D 403/06 20060101AFI20090122BHJP JPC07D403/06 C07D 401/00-421/14 REGISTRY (STN) CAplus (STN) MARPAT (STN) 特開平11−34500(JP,A) 特開平10−226172(JP,A) 米国特許第4774339(US,A) 4 2000128876 20000509 8 20051011 瀬下 浩一 【0001】【発明の属する利用分野】本発明は、複素環式化合物である、新規なジピリルメテン系化合物に関するものである。特に、本発明は、新規なシクロヘキサン環が縮合したジピリルメテン化合物及びその塩類並びにその製造方法に関する。【0002】【従来の技術】ジピリルメテン化合物は、ジピロメテン化合物とも称され、式(4)で示されるもので、2個のピロ−ル構造、即ち、窒素原子を1個有す不飽和5員環が2個、メチレン基により結合されており、ジピロメテンそのものと簡単な置換体は不安定なために知られていない。【0003】【化4】【0004】ジピリルメテン系化合物は、ホルミルピロ−ル類とピロ−ル類を縮合反応させる合成法やピロ−ル類を蟻酸−臭化水素酸の混合液とともに沸騰させる方法等により製造される。ジピリルメテン系化合物は、金属錯塩としての顔料やポルフィリンの合成の出発物質として重要なものである。【0005】最近では、ジピリルメテン系金属キレ−ト化合物がレ−ザ−光記録媒体として有用であり(特開平10−226172号公報)、フォトクロミック化合物やその中間生成物としても有用であること(特表平9−502432号公報)が開示されている。また、ジピリルメテン系化合物として、式(5)で示されるシクロプロジギオシンがあり、シクロプロジギオシンは、V−ATPase脱共役H+ ポンプ阻害作用(特開10−120562号公報)や免疫抑制作用(特開平10−120563号公報)を持つ生理活性物質として知られ、さらに、それらの生理活性の向上を目的に様々な誘導体が合成されている。例えば、その合成に使用される化合物として、式(5)の環A、環B及び環Cの内、環Aと環Bを組み合わせたジピロール化合物が公知であり、代表的には4-メトキシ- 2,2 ' ジピロール-5- カルボキサルデヒドが報告されている[ジャーナル オブ オーガニック ケミストリー(Journal of Organic Chemistry) VoL.53,No.7,1405 ]。【0006】【化5】【0007】【発明が解決すべき課題】上記シクロプロジギオシンは、生理活性物質として医学的に重要な化合物であるが、このシクロプロジギオシンをより効率良く合成すべき方法が求められており、そのための適当な合成中間物質が必要とされている。また、ジピリルメテン系化合物において、医薬的に重要な新規な化合物の開発も期待されている。【0008】【発明を達成するための手段】本発明者は、これらの課題のもとに、産業上有用なジピリルメテン系の新規な化合物を探索し、本発明を創作するに到った。本発明は、新規なジピリルメテン系化合物及びその製造方法を開示するもので、本発明の化合物はこれまで合成されていない新規物質で、ジピリルメテンにシクロヘキサン環が縮合したものであって、シクロヘキサ[c] ピロールとピロール-2- カルボキサルデヒドとから合成される。本発明の化合物は、生理活性物質として知られている、式(5)で示されるシクロプロジギオシンの関連物質として医薬的に有用な新規化合物である。【0009】本発明は、基本的に次の▲1▼〜▲4▼から構成されるものである。▲1▼式(1)で示されるジピリルメテン化合物とその塩類。【0010】【化1】式中、R1 は水素原子、水酸基又はアルコキシ基、R2 、R3 は水素原子又はアルキル基、Xは陰イオンを表わす。【0011】▲2▼式(1)中のR1 がメトキシ基、R2 、R3 がメチル基、Xが塩化物イオンであるジピリルメテン化合物とその塩類。▲3▼式(2)で示されるピロール-2- カルボキサルデヒドと式(3)で示されるシクロヘキサ[c] ピロールとを、塩酸の存在下に反応させることを特徴とする、ジピリルメテン化合物とその塩類の製造方法。【0012】【化2】式中、R1 は水素原子、水酸基又はアルコキシ基を表わす。【0013】【化3】式中、R2 、R3 は水素原子又はアルキル基を表わす【0014】▲4▼ 3-メトキシピロール-2- カルボキサルデヒドと1,4-ジメチル-4,5,6,7- テトラヒドロイソインドールを塩酸の存在下で反応させることを特徴とする、式(1)中のR1 がメトキシ基、R2 、R3 がメチル基、Xが塩化物イオンであるジピリルメテン化合物とその塩類の製造方法。【0015】本発明の化合物は、ジピリルメテン化合物とその塩類から構成されるが、通常は塩類の形態の方が安定な状態で存在し得る。本発明の化合物の、式(1)で示されるジピリルメテン化合物とその塩類において、式中のR1 は水素原子、水酸基又はアルコキシ基、R2 、R3 は水素原子又はアルキル基、Xは陰イオンを表わす。アルコキシ基は代表的にメトキシ基又はエトキシ基であり、アルキル基は代表的にメチル基又はエチル基であり、Xは代表的に塩素原子又は臭素原子である。したがって、R1 、R2 、R3 及びXは、種々の組み合わせの形態となる。【0016】【化1】【0017】本発明の代表的な化合物の例として、3-ヒドロキシピロール-2- カルボキサルデヒドと2-メチル−シクロヘキサ[c] ピロールとから合成される、3-ヒドロキシ-2-(1'-(3-メチル-4',5',6',7'- テトラヒドロイソインドリノ)メチリデン)ピロール及び3-メトキシピロール-2- カルボキサルデヒドと1,4-ジメチル-4,5,6,7- テトラヒドロイソインドールとから合成される3-メトキシ-2-(1'-(3',7'-ジメチル-4',5',6',7'- テトラヒドロイソインドリノ)メチリデン)ピロール等が挙げられる。【0018】本発明の式(1)の化合物を製造する方法は、式(2)の化合物のピロール-2- カルボキナルデヒドと式(3)の化合物のシクロヘキサ[c]ピロールを塩酸の存在下に反応させることにより得られる。さらに、得られた生成物を塩酸で処理することによって塩酸塩が得ることができる。このようにして得ることのできる塩類の例としては、例えばリン酸塩、硫酸塩、硝酸塩等が挙げられる。【0019】【化1】【0020】原料の式(2)の化合物であるピロール-2- カルボキサルデヒドとしては、2-ホルミルピロール、3-ヒドロキシピロール-2- カルボキサルデヒド又は3-メトキシピロール-2- カルボキサルデヒド等が挙げられる。【0021】【化2】【0022】また、もう一方の原料の式(3)化合物のピロール類としては、シクロヘキサ[c] ピロール、2-メチル−シクロヘキサ[c] ピロール、1,4-テトラヒドロイソインドール等が挙げられる。【0023】【化3】【0024】本発明の新規な化合物の生成及びその化学構造などの確認は、NMRスペクトル、IRスペクトル、マススペクトルなどにより行なった。また、本発明の製造方法に使用する原料物質は市販品として入手可能である。【0025】【実施の形態】次に、実施例に基づいて、本発明の実施の形態を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。〔実施例1〕3-メトキシ-2-(1'(3',7'- ジメチル-4',5',6',7'- テトラヒドロイソインドリノ)メチリデン)ピロールの製造:100ml容ナスフラスコに3-メトキシピロール-2- カルボキサルデヒド50mg、1,4-ジメチル−4,5,6,7-テトラヒドロイソインドール59.6mg、濃塩酸一滴、メタノール20mlを加え、室温で1時間攪拌し反応させた。反応終了後、メタノールをエバポレーターで除去した後、残留物を10mlのジエチルエーテルに溶解させ、希アンモニア水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムにより脱水し、カラム分取して反応生成物を得た。得られた生成物は、1H−NMR(核磁気共鳴)スペクトルとIR(赤外線吸収)スペクトル及びマススペクトル(質量分析)により、3-メトキシ-2-(1'-(3',7'-ジメチル-4',5',6',7'- テトラヒドロイソインドリノ)メチリデン)ピロ一ルと同定された。77mgで、収率30%であった。この遊離の形で得られた精製物を塩酸で処理すると塩酸塩が得られる。【0026】*生成化合物の同定確認*1H−NMR(核磁気共鳴)スペクトル図1にスペクトル図が示されている。このスペクトル図を解析して、水素原子の構造確認をなしたものが、表1に説明されている。スペクトル図の各共鳴シグナルa〜hの位置ppmとスプリット及び面積によって、水素原子の化学構造上の帰属とプロトン比(水素原子数)を確認した。【0027】IR(赤外線吸収)スペクトル(クロロホルム溶液で測定)図2にスペクトル図が示されている。このスペクトル図を解析して、メトキシ基やCC二重結合等の赤外線吸収基を確認した。マススペクトル(質量分析)図3にスペクトル図が示されている。このスペクトル図を解析すると、マスピ−クFAB-Mass(257,M+1 )であった。これにより、分子量の256が確認された。【0028】【発明の効果】本発明で得られる化合物は、生理活性物質として知られている式(5)で示されるシクロプロジギオシンの関連物質として医薬的に有用な新規化合物であり、社会的必要度は高い。【0029】【図面の簡単な説明】【図1】 本発明の新規化合物の1H−NMR(核磁気共鳴)スペクトル図である。【図2】 本発明の新規化合物のIR(赤外線吸収)スペクトル図である。【図3】 本発明の新規化合物のマススペクトル(質量分析)図である。【表1】 式(1)で示されるジピリルメテン化合物とその塩類。式中、R1 は水素原子、水酸基又はアルコキシ基、R2 、R3 は水素原子又はアルキル基、Xは陰イオンを表わす。 式(1)中のR1 がメトキシ基、R2 、R3 がメチル基、Xが塩化物イオンであるジピリルメテン化合物とその塩類。【化1】 式(2)で示されるピロール-2- カルボキサルデヒドと式(3)で示されるシクロヘキサ[c] ピロールとを、塩酸の存在下に反応させることを特徴とする請求項1に記載のジピリルメテン化合物とその塩類の製造方法。式中、R1 は水素原子、水酸基又はアルコキシ基を表わす。式中、R2 、R3 は水素原子又はアルキル基を表わす。 3-メトキシピロール-2- カルボキサルデヒドと1,4-ジメチル-4,5,6,7- テトラヒドロイソインドールを塩酸の存在下で反応させることを特徴とする、式(1)中のR1 がメトキシ基、R2 、R3 がメチル基、Xが塩化物イオンであるジピリルメテン化合物とその塩類の製造方法。【化1】