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タイトル:特許公報(B2)_有機ゲルマニウム化合物を有効成分とするMCP−1受容体拮抗剤、及びMCP−1が関与する炎症性疾患及び臓器障害の発症予防または治療剤
出願番号:1998310300
年次:2009
IPC分類:A61K 31/80,A61P 1/18


特許情報キャッシュ

石渡 義郎 横地 祥司 橋本 洋幸 粟谷 寿一 JP 4381495 特許公報(B2) 20091002 1998310300 19981030 有機ゲルマニウム化合物を有効成分とするMCP−1受容体拮抗剤、及びMCP−1が関与する炎症性疾患及び臓器障害の発症予防または治療剤 株式会社三和化学研究所 000144577 石渡 義郎 横地 祥司 橋本 洋幸 粟谷 寿一 20091209 A61K 31/80 20060101AFI20091119BHJP A61P 1/18 20060101ALI20091119BHJP JPA61K31/80A61P1/18 A61K 31/00-33/44 A61P 1/00-99/00 CA/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN) 特開昭61−151123(JP,A) 特開昭54−115324(JP,A) 特開平05−009116(JP,A) 特開平07−133223(JP,A) 特開平07−165576(JP,A) 特開平07−165577(JP,A) 特開平02−134318(JP,A) DOZONO,H. et al,Effectiveness of Ge-132 to relieve pain and smooth home care administration for the terminal cancer patient,Gan to kagaku ryoho. Cancer & chemotherapy,1996年,Vol.23,p.291-5 4 2000136139 20000516 13 20050908 小堀 麻子 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、有機ゲルマニウム化合物、好ましくは3ーオキシゲルミルプロピオン酸を有効成分とするMCP−1受容体拮抗剤、さらには、MCP−1が関与する炎症性疾患及び臓器障害、即ち、単球等の炎症細胞の浸潤等に起因する炎症性疾患及び臓器障害の発症予防または治療剤に係る。【0002】【従来技術】有機ゲルマニウム化合物、殊に3−オキシゲルミルプロピオン酸は、複雑な重合性を有する化合物として知られており、特公昭57−53800号には、各種構造体の存在の可能性が記載されている。本発明者等は、さらに複数の構造体の存在を発見し、高活性構造体を特定するに至った(特開平7−238022号)。また、この物質は、抗ウイルス作用(特公昭57−53800号)を初めとして、多様な薬理活性を有することから、多くの用途に関する研究がなされている。本発明者等は、インターフェロン産生増強作用(特開平2−134818号)、インターフェロン効果増強作用(特開平7−238022号)を発見し開示してきた。しかし、ケモカインに対する作用、及び、ケモカインに起因する各種疾患に対する作用については明らかにされていなかった。【0003】ケモカイン(chemokine,chemotactic cytokineの略称)は白血球の遊走活性を有するポリペプチドの総称である。一般に、白血球の炎症局所への浸潤は、(i)白血球の血管内皮細胞への接着、(ii)白血球の血管内皮細胞間隙の通過と基底膜の破壊、(iii)白血球の血管外への遊出とその後の組織への遊走の過程を経る。これら一連の白血球の動作を制御する因子として種々のメデイエーターとともに炎症局所から産生されるケモカインが重要な役割を果たす。【0004】ケモカインのアミノ酸配列には特徴的な4つのシステインが含まれており、そのシステインの配列様式によってケモカインは2つのグループに大別される。即ち、最初の2つのシステインが1個のアミノ酸で隔てられているCXCケモカインサブファミリー(αケモカインサブファミリー)と、1番目と2番目のシステインが隣りあっているCCケモカインサブファミリー(βケモカインサブファミリー)である。CXCケモカインサブファミリーには、インターロイキン8(IL-8)などがあり、CCケモカインサブファミリーには、Monocyte Chemotactic Protein-1(以下には、「MCP−1」と略記する。)、MIP-1α/β(Macrophage Inflammatory Protein-1α./βの略称)、RANTES(Regulated on Activation, Normal T cell expressed and Secretedの略称)などがある。IL-8を初めとするCXCケモカインサブファミリーは、急性炎症において、主に好中球に作用する。一方、CCケモカインサブファミリーは、主に単球、リンパ球に作用する。【0005】MCP−1は、CCケモカインサブファミリーに属するケモカインであり、細胞表面の7回膜貫通型レセプターに属するCCR2を受容体とする。MCP−1は76個のアミノ酸からなる分子量8,700の蛋白で、単球乃至マクロファージに強い遊走活性を示し、また、好塩基球や活性化リンパ球にも遊走活性を示すが、好中球や好酸球に対する遊走活性は認められていない。このMCP−1が、炎症病変部位への血中単球及びマクロファージの集積を惹起し、かつこれらを活性化することにより病変の発症進展に深く関与している。慢性関節リウマチ患者においては、滑液中には高濃度のMCP−1が認められ、また滑膜被覆細胞には免疫組織学的にMCP−1陽性像が認められている。また、セルレイン誘起膵炎や腎炎においても、炎症組織にMCP-1の強い発現が認められている。さらに、グルカン誘起ラット肺肉芽腫症や肺線維症でも、単球の浸潤が病変の発症進展を誘導するとされており、MCP−1の関与が強く示唆されている。また、I型糖尿病、アトピー性皮膚炎、喘息などの疾病においても、病巣において発現されたMCP−1が病巣への単球浸潤を促進し、病変の発症、進展に深く関与することが推測されている。【0006】更に、慢性炎症組織において、疼痛発生部位には、メモリーT細胞の浸潤が認められる。このメモリーT細胞には、MCP−1受容体であるCCR2が発現しており、MCP−1が疼痛の発生に関与することが推察される。また、メモリーT細胞は、βエンドルフィンを内包しており、刺激によりβエンドルフィンを遊離して疼痛抑制に働くことも明らかになってきたが、βエンドルフィンの遊離がCCR2の消失とともに起こることも、MCP−1又はその受容体が疼痛の発生に関与することを物語っている。【0007】よって、MCP−1受容体に拮抗する薬剤は、単球等の炎症性細胞の浸潤を阻害する等のメカニズムにより、慢性関節リウマチ、膵炎、腎炎、肺肉芽腫症、肺線維症及びI型糖尿病(糖尿病性組織炎症)等の炎症性疾患及び臓器障害の予防または治療剤、また、アトピー性皮膚炎及び喘息等の疾患の予防または治療剤、更に、癌性疼痛やリウマチ性疾患の疼痛及び痛風等に例示される慢性炎症に伴う疼痛の抑制剤となることが期待される。【0008】この作用メカニズムを応用した薬剤に関するものとしては、現在のところ、抗MCP−1抗体(FASEB J.,10,1418-1425,1996)やMCP−1のアナログ(J.Exp.Med.,181,631-640,1995)が、MCP−1の関与する炎症モデルにおいて炎症性疾患及び臓器障害の発症予防または治療剤として基礎研究が進められている。しかしながら、これらの物質については、生産・単離・精製過程において、純度・収率・経済性等の問題が山積しており、実用化までにはさらに時間が必要である。【0009】【発明が解決しようとする課題】本発明は、MCP−1が関与する炎症性疾患及び臓器障害、即ち、MCP−1受容体であるCCR2発現炎症性細胞(単球等)の浸潤等に起因する炎症性疾患及び臓器障害に対する発症予防または治療剤、例えば、慢性関節リウマチ、膵炎、腎炎、肺肉芽腫症、肺線維症、I型糖尿病(糖尿病性組織炎症)、アトピー性皮膚炎及び喘息、更に疼痛の発症予防または治療剤を提供するものである。尚、これらの具体的疾患は、広い意味ではすべて炎症性疾患であり、1つの概念で捉えることができる。【0010】【課題を解決するための手段】本発明者等は、MCP−1とCCR2との結合を阻害する拮抗剤のスクリーニングを行い、その拮抗剤の炎症性疾患及び臓器障害の発症に対する予防または治療剤としての可能性について検討した。その結果、当該化合物が、単球のMCP−1に対する走化性(chemotaxis)を抑制し、さらに、単球等の炎症性細胞の浸潤が深く関与する炎症動物モデルにおいて、当該細胞の浸潤を著しく抑制する作用等を有すると共に、炎症性疾患や臓器障害の発症を顕著に抑制することを見出し、本発明を完成するに至った。【0011】【発明の実施の形態】本発明に使用される有機ゲルマニウム化合物は、以下式[(O1/2)3Ge-A-CO2H]n(式中、nは1以上の数、Aは低級アルキル基)で表される化合物で、好ましくは、以下式[(O1/2)3Ge-A-CO2H]n(式中、nは1以上の数、Aは炭素数1から3の低級アルキル基)で表され、更に好ましくは、以下立体構造式、【化2】(式中、Rは−CH2CH2COOH、mはプロパゲルマニウムプロピルエステルの重量平均分子量から換算した重量平均重合度であり、137±84[平均値±標準誤差(3σ)]を示す。)最小構成単位 (O1/2)3GeCH2CH2COOH実験式 C6H10Ge2O7にて示される3ーオキシゲルミルプロピオン酸8員性構造体であり、表1及び表2に記載の物理化学的性質を有する。(表中本発明物質を「SKー818」として記載する。表1は光散乱法による分子量測定結果を、表2は粉末X線解析により求めた格子定数を示す。)【0012】【表1】【0013】【表2】【0014】本発明による3-オキシゲルミルプロピオン酸は、MCP−1受容体拮抗剤等として提供される。すなわち、MCP−1が関与する炎症性疾患及び臓器障害の発症予防または治療剤として提供されるものである。具体的には、慢性関節リウマチ、膵炎、腎炎、肺肉芽腫症、肺線維症、I型糖尿病(糖尿病性組織炎症)、アトピー性皮膚炎及び喘息、更に疼痛に対して適用される。【0015】本発明による3-オキシゲルミルプロピオン酸を実際にヒトに投与する場合は、本発明物質を0.005重量%〜5重量%に対して作用活性化安定化担体を0.005重量%〜50重量%を含有するように調製された組成物として使用されることが好ましい。作用活性化安定化担体としては、乳糖・ショ糖・デキストラン類等の糖類、ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース系高分子性物質、アルブミン等の天然性高分子物質が使用される。さらには、これに、一般に使用されている直接的治療効果の高い薬剤類(たとえばアレルギー疾患であれば抗アレルギー剤、炎症疾患であれば抗炎症剤等)を混合製剤化する事もできる。【0016】本発明による3-オキシゲルミルプロピオン酸は、通常は経口製剤として用いられるが、座剤、鼻腔製剤、注射製剤等としても利用することができる。剤型及び投与量に関しては、本発明による3-オキシゲルミルプロピオン酸は、通常の剤型形態でも使用できうるものであるが、配合する薬剤との特性に合わせて腸溶性とすることもできる。なお、本発明薬剤をヒトに投与する場合の投与量は、剤型・患者の年齢等に依存するが、一日あたり1mg〜1500mgの範囲内であり、体重50kgの成人に対する経口投与では、一日あたり60mg〜120mgが好ましい。【0017】【実施例】以下には本発明物質の製造例、薬効薬理試験例、製剤例を挙げ、本発明を更に詳細に説明する。【0018】製造例252g(1モル)の3−トリクロロゲルミルプロピオン酸を、エチルアルコール2リットル中に溶解させ、この溶液温度を20℃に保ちつつ、水1.5リットルを数時間をかけて添加する。一昼夜放置した後、吸引ろ過により結晶を濾取し、アセトンにて洗浄し減圧乾燥する事により、収率90%で3-オキシゲルミルプロピオン酸重合体を得た。得られた本発明化合物は、光散乱法により分子量を測定し、粉末X線解析法により格子定数を測定した。結果は表1及び表2に示す通りであった。【0019】組成物製造例ヒドロキシプロピルセルロース1重量に対して、本発明物質2重量をエタノールを浸潤剤として練合し、50℃以下の温度で乾燥後粉末または粒状の組成物を得た。【0020】[カプセル剤]以下の処方で常法によりカプセル剤を調製した。3−オキシゲルミルプロピオン酸重合体 10.0乳糖 165.5ヒドロキシプロピルセルロース 2.7ステアリン酸マグネシウム 1.8合計重量 180.0mg【0021】[錠剤]以下の処方により圧縮錠剤を調製した。3−オキシゲルミルプロピオン酸重合体 10.0乳糖 159.2CMC-Na 8.0軽質無水ケイ酸 2.0ステアリン酸マグネシウム 1.8合計重量 180.0mg【0022】薬理試験例以下に本発明物質である3-オキシゲルミルプロピオン酸の薬理試験例を示す。尚、本発明物質である3-オキシゲルミルプロピオン酸は、「SKー818」と示す。試験例1THP-1細胞のMCP−1に対する遊走に於けるSKー818の阻害能の測定(1)実験方法48穴マイクロケモタキシスチャンバー(NeuroProve:登録商標)と、5μmポアサイズのポリカーボネートフィルター(PVP-coat NeuroProve:登録商標)(以下、試験例1中の記載において、「フィルター」という。)を用いた。ヒト単球由来細胞株THP-1細胞を10%FBS添加RPMI1640培地で6×106cells/mlに調製し、SKー818を最終濃度0.1μg/ml〜3μg/mlとなるように添加し、細胞を3×106cells/mlとして45分間インキュベートした。また、ヒト・リコンビナントMCP−1(Peprotech社製)を培地により最終濃度5nMに希釈し、これをケモタキシスチャンバーの下室に26μl添加した後、フィルターを置き、上室をセットした。上室にインキュベーション終了後のTHP-1細胞3×106cells/mlを50μl入れ、37℃、5%CO2下に2時間インキュベートした。その後、フィルターを取り出し、Diff Quick染色液(国際試薬製)にてフィルター下面に遊走したTHP-1細胞を固定染色し、顕微鏡下で遊走細胞数を算定した。データは、4穴の平均値により示した。(2)結果及び考察下記の表3に結果を示した。SKー818は、0.1μg/ml〜1μg/mlで用量依存的にヒト単球由来細胞株THP-1細胞のケモタキシスを抑制した。【0023】【表3】【0024】試験例2好中球のIL-8に対する遊走に於けるSKー818の阻害能の測定(1)実験方法48穴マイクロケモタキシスチャンバー(NeuroProve:登録商標)と、3μmポアサイズのポリカーボネートフィルター(PVP-free NeuroProve:登録商標)(以下、試験例2中の記載において、「フィルター」という。)を用いた。ヒト末梢血より好中球を分離し、0.5%BSA添加RPMI1640培地(15mM HEPES,pH7.4)に4× 106cells/mlとなるように調製し、ここにSKー818を最終濃度0.1μg/ml〜3μg/mlとなるように添加して、好中球数を2×106cells/mlとして45分間インキュベートした。また、ヒト・リコンビナントIL-8(Genzyme社製)を培地で最終濃度5nMに希釈して、ケモタキシスチャンバーの下室に26μlを添加し、フィルターを置き、上室をセットした。上室にインキュベーション終了後の好中球2×106cells/mlを50μlを入れ、37℃、5%CO2下に1時間インキュベートした。フィルターを取り出し、Diff Quick染色液(国際試薬製)にてフィルター下面に遊走した細胞を固定染色し、顕微鏡下で遊走細胞数を算定した。データは、4穴の平均値により示した。(2)結果及び考察下記の表4に結果を示した。SKー818は、好中球のケモタキシスをほとんど抑制しなかった。【0025】【表4】【0026】試験例3チオグリコレート刺激マウスの腹腔マクロファージ浸潤に対するSKー818の効果(1)実験方法ICR系雄性マウスの腹腔に3%チオグリコレート培地1mlを注射し、2及び3日後にSKー818(1mg/kg及び3mg/kg)を経口投与した。4日後に腹腔をPBSにより洗浄することで浸潤細胞を採取し、コールターカウンターにより計数した。(2)結果及び考察下記の表5に結果を示した。チオグリコレート培地注射4日後に、腹腔浸潤細胞は正常マウスに比較して20倍以上になった。SKー818は1mg/kg及び3mg/kgでマクロファージの腹腔浸潤を有意に抑制した。なお、データとしては示さないが、本実験モデルでは、チオグリコレート刺激後、1乃至2日後には好中球が腹腔内に浸潤する。このモデルに対し、チオグリコレート刺激日当日及び1日後にSKー818を投与しても、2日後の好中球浸潤には影響しなかった。【0027】【表5】【0028】試験例4セルレイン投与マウス急性膵炎に対するSKー818の効果セルレイン投与マウスでは病態の進展に単球浸潤が関与し、セルレイン投与60分後に膵臓でMCP−1が発現し、病態進行につれて増加することが知られている。(1)実験方法6週齢雄性ICR系マウスを使用した。セルレイン(Sigma社)をPBSに溶解し、 50μg/kgで1時間おきに7回腹腔内に投与した。SKー818を最終セルレイン投与直後に1mg/kg及び10mg/kgで経口投与した。初回セルレイン投与12時間後に採血し、血清アミラーゼ活性をアミラーゼ測定キット(和光純薬)を用いて測定した。また、膵重量を測定した。(2)結果及び考察表6に結果を示した。SKー818は、セルレイン投与による膵臓の肥大(重量増加)およびアミラーゼ活性増加を有意に抑制した。【0029】【表6】【0030】試験例5コラーゲン関節炎マウスに対するSKー818の効果(1)実験方法DBA/1J雄性マウスを用いた。0.05M酢酸に溶解希釈したタイプIIコラーゲン(ウシ、コラーゲン技術研究会)をフロイント・コンプリート・アジュバント(Freunt's complete adjuvant、Difco社製)とエマルジョンを作成し、200μgをマウス尾基部皮内に注射した。21および35日後にコラーゲン200μg/mouseを腹腔内に投与してブーストを行なった。46日目にLPS(0111:B4,Difco)1.0μgを腹腔内に投与した。SKー818は初回コラーゲン感作後から、実験終了時まで60日間、1日1回連日経口投与した。関節炎は四肢の腫脹を4段階にスコアー化し、各肢のスコアーの合計をarthritis scoreとした。(2)結果及び考察結果を表7に示した。LPS投与後に四肢の腫脹は急激に増大し、その後しだいに減少した。SKー818は四肢の腫脹を全期間にわたり有意に抑制した。対照薬剤のD-penicillamineは無効であった。【0031】【表7】【0032】試験例6SKー818の疼痛抑制効果(1)実験方法SD系ラットを使用した。右後肢足蹠(foot pad)の皮下にフロイント・コンプリート・アジュバント(CALBIOCHEM社製)0.15mlを注射し、4日後に後肢足蹠(hind paw)の疼痛閾値を圧力測定器(analgesy-meter、Ugo Busic社製)を用いて測定した。SKー818は、疼痛閾値測定の3時間前に投与した。尚、疼痛閾値の測定は、左右の後肢について、3回の平均値を算出し、同一個体の左後肢(非炎症足)の疼痛閾値を100とし、右後肢(炎症足)の疼痛閾値の割合を求めた。(2)結果及び考察表8に結果を示した。SKー818は炎症足における疼痛閾値(paw pressure threshold)を上昇させた。非炎症足においては、SKー818による疼痛閾値の変化は認められなかった。【0033】【表8】【0034】上記の試験例1〜試験例6に示された結果は、in vivo 及び in vitro において、本発明物質が、MCP−1により惹起されるCCR2発現炎症性細胞(単球等)のケモタキシスを抑制することや、当該細胞に対し何らかの作用をすることを示している。これは、本発明物質が、当該炎症性細胞の組織浸潤を抑制する等のメカニズムにより、MCP−1が関与する炎症性疾患及び臓器障害に効果を発現することを示している。【0035】【発明の効果】本発明は、有機ゲルマニウム化合物、好ましくは3ーオキシゲルミルプロピオン酸、ことに8員性構造体が、MCP−1受容体拮抗作用、例えば、MCP−1により惹起されるCCR2発現炎症性細胞(単球等)のケモタキシスを顕著に抑制することを示す。本化合物は、MCP−1が関与する炎症性疾患及び臓器障害、即ち当該炎症性細胞の浸潤等に起因する炎症性疾患、臓器障害に対する有効な予防または治療剤となる。 以下の式 [(O1/2)3Ge-A-CO2H]n(式中、nは1以上の数、Aは低級アルキル基)で表される有機ゲルマニウム化合物を有効成分とする膵炎の発症予防または治療剤。 Aが炭素数1から3の低級アルキル基である、請求項1に記載の膵炎の発症予防または治療剤。 有機ゲルマニウム化合物が、以下の立体構造式(式中、Rは−CH2CH2COOH、mはプロパゲルマニウムプロピルエステルの重量平均分子量から換算した重量平均重合度であり、137±84[平均値±標準誤差(3σ)]を示す。)、最小構成単位 (O1/2)3GeCH2CH2COOH、及び実験式 C6H10Ge2O7にて示される3ーオキシゲルミルプロピオン酸8員性構造体である、請求項1または2に記載の膵炎の発症予防または治療剤。 膵炎が急性膵炎である、請求項1〜3のいずれかに記載の膵炎の発症予防または治療剤。


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