タイトル: | 特許公報(B2)_桂皮酸エステル類の製造法 |
出願番号: | 1998293130 |
年次: | 2006 |
IPC分類: | C07C 69/618,B01J 31/02,C07C 67/327,C07C 67/343,C07C 69/65,C07C 69/734,C07C 201/12,C07C 205/56,C07C 227/16,C07C 229/44,C07C 253/30,C07C 255/57,C07C 315/04,C07C 317/44,C07C 319/20,C07C 323/62,C07B 61/00 |
奥井 英史 塚本 芳久 三尾 茂 JP 3786528 特許公報(B2) 20060331 1998293130 19981015 桂皮酸エステル類の製造法 三共アグロ株式会社 303020956 津国 肇 100078662 篠田 文雄 100075225 束田 幸四郎 100113653 大野 彰夫 100081400 奥井 英史 塚本 芳久 三尾 茂 JP 1997283432 19971016 20060614 C07C 69/618 20060101AFI20060525BHJP B01J 31/02 20060101ALI20060525BHJP C07C 67/327 20060101ALI20060525BHJP C07C 67/343 20060101ALI20060525BHJP C07C 69/65 20060101ALI20060525BHJP C07C 69/734 20060101ALI20060525BHJP C07C 201/12 20060101ALI20060525BHJP C07C 205/56 20060101ALI20060525BHJP C07C 227/16 20060101ALI20060525BHJP C07C 229/44 20060101ALI20060525BHJP C07C 253/30 20060101ALI20060525BHJP C07C 255/57 20060101ALI20060525BHJP C07C 315/04 20060101ALI20060525BHJP C07C 317/44 20060101ALI20060525BHJP C07C 319/20 20060101ALI20060525BHJP C07C 323/62 20060101ALI20060525BHJP C07B 61/00 20060101ALN20060525BHJP JPC07C69/618B01J31/02 101XC07C67/327C07C67/343C07C69/65C07C69/734 ZC07C201/12C07C205/56C07C227/16C07C229/44C07C253/30C07C255/57C07C315/04C07C317/44C07C319/20C07C323/62C07B61/00 300 C07C 69/618 B01J 31/02 C07C 67/327 C07C 67/343 C07C 69/65 C07C 69/734 C07C201/12 C07C205/56 C07C227/16 C07C229/44 C07C253/30 C07C255/57 C07C315/04 C07C317/44 C07C319/20 C07C323/62 C07B 61/00 特開平05−255192(JP,A) 特開昭61−007236(JP,A) 特開平09−124551(JP,A) 9 1999217356 19990810 14 20010918 山田 泰之 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、桂皮酸エステル類の製造法に関する。桂皮酸誘導体は、プラスチックの酸化防止剤、紫外線吸収剤並びに医薬、農薬及び香料の合成中間体として有用である。【0002】【従来の技術】桂皮酸エステル類を、ベンズアルデヒド類と酢酸エステル類との縮合反応によって製造する方法は、クライゼン−シュミット反応として原則的に公知である。〔ベリヒテ第23巻第976ページ(1890年) Ber., 23, 976(1890)〕。しかし、金属ナトリウムの存在下で行われるクライゼン−シュミット反応では、カニッザロ反応が主に起こり、ベンジルアルコールが主生成物となり、目的物である桂皮酸エステルは低収率である。【0003】ドイツ特許DE709227号公報には、塩基として水素化ナトリウムを使用し、ベンズアルデヒドと酢酸エチル又は酢酸メチルを縮合させ、桂皮酸エチル又は桂皮酸メチルを製造する方法が記載されている。しかし、水素化ナトリウムは取り扱いが難しく、又、高価であるため改善が望まれている。【0004】オーガニック・シンセシス第1集第252頁( Org. Synth. Coll., Vol.1, 252)には、少量のエタノール存在下、塩基として微細化したナトリウム金属を用い、ベンズアルデヒドと酢酸エチルを縮合させ、桂皮酸エチルを製造する方法が記載されている。しかし、金属ナトリウムは取り扱いが難しく、又、収率が68〜74%と高くなく、この方法は工業的には望ましくない。【0005】特開昭61−7236号公報には、塩基として金属アルコキサイドのアルコール溶液を用い、ベンズアルデヒド類と酢酸エステル類を縮合させ、桂皮酸エステルを製造する方法が記載されている。しかし、副生物として3−メトキシ−3−フェニルプロピオン酸が4.7〜12.5%生成し、桂皮酸エステルの単離に、蒸留等の精製操作が必要となり、収率の低下、操作の繁雑さ、及び副成物の処理等の問題がある。【0006】米国特許US4618698号公報には、ベンズアルデヒド類と酢酸エステル類を、アルコール存在下、アルコラートを用いて反応させ、桂皮酸エステル類及びβ−アルコキシ−β−フェニルプロピオン酸類の混合物を得、その後、酸性若しくは塩基性条件下、上記混合物を加水分解して、桂皮酸類を得、更にエステル化することにより、桂皮酸エステル類を製造する方法が記載されている。【0007】米国特許US5359122号公報には、特に、芳香族アルデヒドのジアルキルアセタール及びケテンを触媒量のプロトン酸又はルイス酸を用いて反応させ、3−アリールプロピオン酸誘導体を得、更に、アルカノール存在下、酸又は塩基を用いて反応させることにより、桂皮酸類又は桂皮酸エステル類を製造する方法が記載されている。【0008】【発明が解決しようとする課題】本発明者は、桂皮酸エステルの合成について鋭意研究を重ねてきた結果、工業的に容易な操作で、高収率かつ高純度の桂皮酸エステル類を製造する方法を見出し、本発明を完成した。【0009】【課題を解決するための手段】本発明は、下記一般式(I)【0010】【化8】[式中、X1、X2、X3、X4及びX5は、同一又は異なって、水素原子、C1−C6アルキル基、ハロゲン原子、C1−C6アルコキシ基、C1−C6ハロアルキル基、C1−C6ハロアルコキシ基、C1−C6アルキルチオ基、C1−C6アルキルスルフィニル基、C1−C6アルキルスルホニル基、ニトロ基、シアノ基、フェニル基、フェノキシ基、アミノ基、C1−C6アルキルアミノ基又はジ(C1−C6アルキル)アミノ基を示し、又、X1、X2、X3、X4及びX5のうち隣り合う置換基が一緒になって、1乃至4個の酸素原子、窒素原子若しくは硫黄原子を含んでいてもよい5又は6員の飽和若しくは不飽和の環を形成していてもよい。]で表されるベンズアルデヒド類を、下記一般式(II)【0011】【化9】[式中、R1は、C1−C6アルキル基を示す。]で表される酢酸エステル類と縮合させ、下記一般式(III)【0012】【化10】[式中、X1、X2、X3、X4及びX5は、前記と同意義を示し、R2は、C1−C6アルキル基を示す。]で表される桂皮酸エステル類を製造する方法において、得られた反応混合物を、新たに溶媒を加えずに若しくは新たに溶媒を加えて、酸で処理することにより、反応混合物中に存在する下記一般式(IV)【0013】【化11】[式中、X1、X2、X3、X4、X5及びR2は、前記と同意義を示し、R3は、C1−C6アルキル基を示す。]で表される3−アルコキシ−3−フェニルプロピオン酸エステル類を、上記一般式(III)で表される桂皮酸エステル類に変換することを特徴とする方法である。【0014】本発明において、「C1−C6アルキル基」とは、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、シクロブチル、ペンチル、イソペンチル、2−メチルブチル、ネオペンチル、1−エチルプロピル、シクロペンチル、ヘキシル、4−メチルペンチル、3−メチルペンチル、2−メチルペンチル、1−メチルペンチル、3,3−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、1,1−ジメチルブチル、1,2−ジメチルブチル、1,3−ジメチルブチル、2,3−ジメチルブチル、2−エチルブチル、シクロヘキシルのような、炭素数1乃至6個の直鎖又は分枝鎖アルキル基であり、好適には、炭素数1乃至3個の直鎖又は分枝鎖アルキル基(C1−C3アルキル基)であり、より好適には、メチル基である。【0015】本発明において、「ハロゲン原子」とは、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられ、好適には、フッ素原子又は塩素原子である。【0016】本発明において、「C1−C6アルコキシ基」とは、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、s−ブトキシ、t−ブトキシ、ペントキシ、イソペントキシ、2−メチルブトキシ、ネオペントキシ、1−エチルプロポキシ、ヘキシルオキシ、4−メチルペントキシ、3−メチルペントキシ、2−メチルペントキシ、1−メチルペントキシ、3,3−ジメチルブトキシ、2,2−ジメチルブトキシ、1,1−ジメチルブトキシ、1,2−ジメチルブトキシ、1,3−ジメチルブトキシ、2,3−ジメチルブトキシ、2−エチルブトキシのような、炭素数1乃至6個の直鎖又は分枝鎖アルコキシ基であり、好適には炭素数1乃至3個の直鎖又は分枝鎖アルコキシ基(C1−C3アルコキシ基)であり、より好適には、メトキシ基である。【0017】本発明において、「C1−C6ハロアルキル基」とは、1乃至3個の前記「ハロゲン原子」が前記「C1−C6アルキル基」に結合した基であり、好適には、1乃至3個のフッ素原子又は塩素原子が前記「C1−C3アルキル基」に結合した基であり、より好適には、クロロメチル又はトリフルオロメチル基である。【0018】本発明において、「C1−C6ハロアルコキシ基」とは、1乃至3個の前記「ハロゲン原子」が前記「C1−C6アルコキシ基」に結合した基であり、好適には、1乃至3個のフッ素原子又は塩素原子が前記「C1−C3アルコキシ基」に結合した基であり、より好適には、クロロメトキシ又はトリフルオロメトキシ基である。【0019】本発明において、「C1−C6アルキルチオ基」とは、前記「C1−C6アルキル基」が硫黄原子に結合した基であり、好適には、前記「C1−C3アルキル基」が硫黄原子に結合した基であり、より好適には、メチルチオ基である。【0020】本発明において、「C1−C6アルキルスルフィニル基」とは、前記「C1−C6アルキル基」がスルフィニル基に結合した基であり、好適には、前記「C1−C3アルキル基」がスルフィニル基に結合した基であり、より好適には、メチルスルフィニル基である。【0021】本発明において、「C1−C6アルキルスルホニル基」とは、前記「C1−C6アルキル基」がスルホニル基に結合した基であり、好適には、前記「C1−C3アルキル基」がスルホニル基に結合した基であり、より好適には、メチルスルホニル基である。【0022】本発明において、「1乃至4個の酸素原子、窒素原子若しくは硫黄原子を含んでいてもよい5又は6員の飽和若しくは不飽和の環」とは、例えば、フラン、ピロール、チオフェン、ピリジン、ジヒドロピラン、ジヒドロピロール、ピラゾール、ピリミジンのような5又は6員環であり、好適には、フランである。【0023】【発明の実施の形態】本発明の製造方法は下記の式に示す。【0024】【化12】[式中、X1、X2、X3、X4、X5、R1、R2及びR3は、前記と同意義を示す。](工程A−1)本工程は、上記一般式(I)で表されるベンズアルデヒド類を、塩基の存在下、上記一般式(II)で表される酢酸エステル類と縮合させ、上記一般式(III)で表される桂皮酸エステル類を製造する工程である。【0025】使用される酢酸エステル類としては、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル等を挙げることができ、好適には、酢酸メチル又は酢酸エチルである。【0026】使用される酢酸エステル類の量は、ベンズアルデヒド類に対して、通常0.5当量乃至大過剰であり、好適には2乃至10当量である。【0027】使用される塩基としては、例えば、下記式(V)【0028】【化13】[式中、R4は、C1−C6アルキル基を示し、Metは、アルカリ金属を示す。]で表される金属アルコキサイドが挙げられ、好適には、アルカリ金属アルコキサイドであり、より好適には、ナトリウムアルコキサイドであり、更に好適には、ナトリウムメトキサイド又はナトリウムエトキサイドであり、より更に好適には、ナトリウムメトキサイドである。又、塩基としては、無水粉末状又は対応するアルコール(R4OH)用液状のものを用いてよい。【0029】使用される金属アルコキサイドの量は、ベンズアルデヒド類に対して、通常0.5乃至10当量であり、好適には、1乃至2当量である。【0030】本工程は、反応に用いる酢酸エステル類中、若しくは他の溶媒中で行うことができ、好適には、反応に用いる酢酸エステル中で行う。【0031】使用される他の溶媒としては、反応を阻害しないものであれば特に限定はないが、例えば、ヘキサン、石油エーテル等の脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類;N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類等を挙げることができ、好適には、脂肪族炭化水素類又は芳香族炭化水素類である。【0032】反応温度は、通常−70℃乃至150℃であり、好適には、−20℃乃至80℃である。【0033】反応時間は、主に反応温度、原料化合物、塩基及び使用される溶媒の種類によって異なるが、通常30分乃至24時間であり、好適には、1時間乃至24時間である。(工程A−2)本工程は、上記一般式(III)で表される桂皮酸エステル類と上記一般式(IV)で表される3−アルコキシ−3−フェニルプロピオン酸エステル類との混合物を酸で処理することにより、上記一般式(III)で表される桂皮酸エステル類を得る工程である。【0034】使用される酸としては、通常のpHが6以下を示すものであれば、特に限定はないが、例えば、メタンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸のようなスルホン酸塩;ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸のようなカルボン酸類;塩酸、硫酸、過塩素酸のような鉱酸類;塩化アルミニウム、塩化亜鉛のようなルイス酸を挙げることができ、好適には、塩酸又は硫酸である。【0035】使用される酸の量は、3−アルコキシ−3−フェニルプロピオン酸エステル類に対して、通常0.1乃至20当量であり、好適には、0.5乃至5当量である。【0036】本工程は、工程A−1により製造した反応混合物を精製せず若しくは精製して、新たに溶媒を加えずに若しくは新たに溶媒を加えて行うことができる。【0037】新たに加える溶媒としては、反応を阻害しないものであれば特に限定はないが、例えば、ヘキサン等の脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類;N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類等を挙げることができ、好適には、脂肪族炭化水素類又は芳香族炭化水素類である。【0038】本工程において、前記US5359122号公報の記載に準じてアルコールを溶媒として用いると、収率が低下するので、本発明の工程A−2においては、新たにアルコールを加えることなく反応させることが望ましい。【0039】反応温度は、通常0℃乃至150℃であり、好適には、50℃乃至120℃である。【0040】反応時間は、主に反応温度、原料化合物、塩基及び使用される溶媒の種類によって異なるが、30分乃至48時間であり、好適には、1時間乃至24時間である。(工程A−3)本工程は、上記一般式(IIIa)で表される桂皮酸類[一般式(III)においてR2が水素原子である化合物]が副生成物として存在するとき、アルコール存在下、更に酸で処理することにより、上記桂皮酸類を上記一般式(III)で表される桂皮酸エステル類に変換する工程である。【0041】使用されるアルコールとしては、上記一般式(III)中のR2で表される基の性質により異なるが、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール又はブタノールが用いられ、好適には、メタノール又はエタノールである。【0042】使用される酸としては、通常のpHが6以下を示すものであれば、特に限定はないが、例えば、メタンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸のようなスルホン酸塩;ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸のようなカルボン酸類;塩酸、硫酸、過塩素酸のような鉱酸類;塩化アルミニウム、塩化亜鉛のようなルイス酸を挙げることができ、好適には、塩酸又は硫酸である。【0043】使用される酸の量は、工程A−2により製造した反応混合物に対して、通常0.01重量%乃至100重量%であり、好適には、0.1重量%乃至10重量%である。【0044】本工程は、工程A−2により製造した反応混合物を精製せず若しくは精製して、新たに溶媒を加えずに若しくは新たに溶媒を加えて行うことができる。【0045】新たに加える溶媒としては、反応を阻害しないものであれば特に限定はないが、例えば、ヘキサン等の脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類;N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類等を挙げることができ、好適には、脂肪族炭化水素類又は芳香族炭化水素類である。【0046】反応温度は、通常0℃乃至150℃であり、好適には、50℃乃至120℃である。【0047】反応時間は、主に反応温度、原料化合物、塩基及び使用される溶媒の種類によって異なるが、30分乃至48時間であり、好適には、1時間乃至24時間である。【0048】工程A−2及び工程A−3は、同一反応系で単離することなく行うことができる。【0049】上記各工程の終了後、反応生成物は、周知の方法によって反応混合物より単離される。例えば、反応混合物に酢酸エチルのような水不混和性有機溶剤を加え、氷水、飽和重曹水、水及び飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムのような乾燥剤で乾燥した後、溶剤を減圧留去することにより目的物を得ることができる。更に、必要に応じて蒸留等の公知の方法によって精製することができる。【0050】なお、副生成物として生成した桂皮酸類の量が無視できるくらい少ない場合は、工程A−3を省略することができる。【0051】以下に本発明の実施例を示し具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。【0052】【実施例】【0053】【実施例1】桂皮酸メチル乾燥メタノール20mlに、撹袢下、金属ナトリウム1.22gを小さく切って加えた。金属ナトリウムが溶解した後、メタノールを減圧下で留去した。得られたナトリウムメトキサイドに、窒素雰囲気下、温度を−20℃から−10℃に保ちながら、乾燥酢酸メチル16.3mlを滴下し、続いて温度を−15℃から−10℃に保ちながら、ベンズアルデヒド4.5gを滴下した。滴下終了後、−10℃で20分間撹袢し、その後室温にて3時間撹袢した。反応液に、酢酸6mlを加えて撹袢し、一晩放置した。この混合物を60℃で2時間加熱した後、水20ml及び酢酸エチル10mlを加え、10分間撹袢した。有機層を分離し、水層を酢酸エチル20mlで3回抽出した。有機層を合わせ、飽和重曹水、水及び飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を留去し、油状物6.80gを得た。この油状物を蒸留し(6mmHg、105−120℃)、桂皮酸メチルと3−メトキシ−3−フェニルプロピオン酸メチルの混合物5.85gを得た。この混合物には16mol%の3−メトキシ−3−フェニルプロピオン酸メチルが含まれていた。ここに得られた桂皮酸メチルと3−メトキシ−3−フェニルプロピオン酸メチルの混合物1.00gに乾燥トルエン5ml及び濃硫酸一滴を順に加え、6時間30分加熱還流した。放冷後、反応液に酢酸エチル30mlを加え、水及び飽和食塩水で順次洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を留去し、桂皮酸メチル0.961g(純度98.7%、収率81.7%)を得た。1H-NMR(200MHz, CDCl3)スペクトル、δ(ppm): 7.71(1H, d, J=16.0Hz), 7.57-7.52(2H, m), 7.43-7.38(3H, m), 6.46(1H, d, J=16.0Hz), 3.82(3H, s).【0054】【実施例2】桂皮酸メチルナトリウムメトキサイド(含有量95%以上)3.62gに、温度を−10℃から−8℃に保ちながら、乾燥酢酸メチル16.0mlを滴下し、続いて温度を−8℃から−2℃に保ちながら、ベンズアルデヒド4.50gを滴下した。滴下終了後、−5℃から−3℃で20分間撹袢し、その後室温にて3時間撹袢した。その後、反応液に、氷冷下、希硫酸(濃硫酸3.50g及び水20mlより調製)を加え、氷冷下1時間、室温で3時間撹袢した。一晩放置した後、この混合物に、水20ml及び酢酸エチル40mlを加え分液した。有機層を分離し、水層を酢酸エチル20mlで3回抽出した。有機層を合わせ、飽和重曹水、水及び飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を留去し、油状物7.44gを得た。この混合物には、7mol%の3−メトキシ−3−フェニルプロピオン酸メチルが含まれていた。この油状物にトルエン20mlを加えて濃縮した後、乾燥トルエン35ml及び濃硫酸1滴を順に加え、4時間30分加熱還流した。濃硫酸4滴を追加し、3時間加熱還流した後、濃硫酸2滴を更に追加し、5時間30分加熱還流した。放冷後、反応液にトルエン50mlを加え、水、飽和重曹水、水及び飽和食塩水で順次洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を留去し、桂皮酸メチル6.08g(純度98.1%、収率86.8%)を得た。【0055】【実施例3】桂皮酸メチルナトリウムメトキサイド(含有量95%以上)36.3gに、温度を−16℃から−13℃に保ちながら、乾燥酢酸メチル160mlを滴下し、続いて温度を−18℃から−5℃に保ちながら、ベンズアルデヒド45.2gを滴下した。滴下終了後、−5℃から−14℃で20分間撹袢し、その後室温にて3時間撹袢した。その後、反応液に、氷冷下、希硫酸及び氷(濃硫酸3.50g及び氷400gより調製)を加え、氷冷下30分、室温で1時間撹袢した。有機層を分離し、水層に水400mlを加え、酢酸エチル100mlで3回抽出した。有機層を合わせ、飽和重曹水、水、飽和重曹水、水、飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を留去し、油状物83.5gを得た。この油状物を蒸留し(6mmHg、110−140℃)、桂皮酸メチルと3−メトキシ−3−フェニルプロピオン酸メチルの含まれた混合物63.2gを得た。この混合物には9mol%の3−メトキシ−3−フェニルプロピオン酸メチルが含まれていた。この油状物に乾燥トルエン350ml、次いで濃硫酸0.50gを加え、5時間加熱還流した。濃硫酸0.50gを追加し、2時間30分加熱還流した後、濃硫酸1.00gを更に追加し、3時間30分加熱還流した。冷却後、反応液にトルエン200mlを加え、氷水、飽和重曹水、水及び飽和食塩水で順次洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を留去し、桂皮酸メチル62.2g(純度96.5%、収率87.0%)を得た。【0056】【実施例4】桂皮酸メチル3リットルの2口フラスコに温度計と1リットルの滴下ロートを備え付け,フラスコ内を窒素置換し、この中にナトリウムメトキシド(試薬特級,含有量95%以上)125.10g(2.20mol)を加えた。フラスコを氷水−食塩混合物で内温0℃迄冷却後、内温10℃以下になるように酢酸メチル747.0mlを滴下した。次いで、氷水−食塩混合物で冷却下,内温が25℃を越えない範囲でベンズアルデヒド203.3mlを60分にわたり滴下した。冷却浴を外し、室温下で3時間撹袢した。反応終了後、反応混合物中に4N−塩酸600mlとメタノール500mlの混合物を室温下加えて,析出物を溶かした後、1.5リットルの酢酸メチルを用いて3回抽出した。飽和食塩水で2回洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下濃縮し赤茶色の油状物を得た。この混合物には11mol%の3−メトキシ−3−フェニルプロピオン酸メチルが含まれていた。この油状物を、1.0リットルの乾燥トルエンに溶かし、室温下で濃硫酸10.70mlを加え、3時間加熱還流した。放冷後、反応液にメタノール81.0ml及び濃硫酸10.7mlを加え、更に2時間加熱還流を行った。放冷後、反応混合物を飽和食塩水で2回洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下濃縮し、褐色の油状物を得た。これを減圧下蒸留(4mmHg,103−106℃)し、桂皮酸メチル297.78g(純度98.9%、収率91.8%)を得た。【0057】【実施例5】桂皮酸メチル及び桂皮酸エチルナトリウムメトキシド(含有量95%以上)29.47gに、温度を0℃から5℃に保ちながら、酢酸エチル188.0mlを滴下した。続いて温度を20℃以下に保ちながら、ベンズアルデヒド50.00gを滴下した後、反応液を20℃から25℃の範囲で2時間撹拌した。その後、氷冷下、35%塩酸53.00gを水150mlで希釈した溶液、及びトルエン200mlを反応液に加え、20℃から25℃で30分間撹拌した。有機層を分離して減圧下濃縮し、粗生成物92.96gを得た。本粗生成物をトルエン250mlに溶解し、濃硫酸2.5mlを加え、3時間還流した。反応液を20℃〜25℃まで放冷し、濃硫酸2.5ml、及びメタノール50mlを加え、3時間還流した。反応液を室温に戻した後、水200mlを加え、激しく撹拌した。有機層を分離し、減圧下溶媒を留去し、油状物87.45を得た。これを減圧下蒸留(4mmHg、103−110℃)し、桂皮酸メチルエステルと桂皮酸エチルエステルの混合物78.07gを得た。(純度:桂皮酸メチルエステル61.76重量%;桂皮酸エチルエステル:36.75重量%;総収率97.5%)【0058】【実施例6】桂皮酸メチル28%ナトリウムメトキシド(メタノール溶液)98.00gに,トルエン100ml及び酢酸エチル136.80gを60℃にて滴下し、続いて、98%ベンズアルデヒド50.00gを加え,5.5時間還流した。その後、氷冷下、35%塩酸53.00g、水150m及びトルエン100mlを反応液に加え、20℃〜25℃で20分間攪拌した。有機層を分離し、減圧下濃縮して粗生成物74.49gを得た。この粗生成物中に、桂皮酸メチル(77.5mol%)、桂皮酸(8.7ml%)及び3−フェニル−3−メトキシプロピオン酸メチル(13.8ml%)が含まれていた。本粗生成物をトルエン250mlに溶かし、20〜25℃で、97%硫酸2.5mlを加え、3.5時間攪拌した。反応液を放冷後、メタノール50ml及び97%硫酸2.5mlを加え、3.5時間還流した。反応液を室温に戻した後、水200mlを加え烈しく撹拌した。有機層を分離し、減圧下濃縮し、桂皮酸メチル72.90g(純度91.0%、収率88.6%)を得た。【0059】【発明の効果】本発明の方法により、プラスチックの酸化防止剤、紫外線吸収剤並びに医薬、農薬及び香料の合成中間体として有用な桂皮酸エステル類を、工業的に容易な操作で、高収率かつ高純度で、安価に製造することができる。 下記一般式(I):[式中、X1、X2、X3、X4及びX5は、同一又は異なって、水素原子、C1−C6アルキル基、ハロゲン原子、C1−C6アルコキシ基、C1−C6ハロアルキル基、C1−C6ハロアルコキシ基、C1−C6アルキルチオ基、C1−C6アルキルスルフィニル基、C1−C6アルキルスルホニル基、ニトロ基、シアノ基、フェニル基、フェノキシ基、アミノ基、C1−C6アルキルアミノ基又はジ(C1−C6アルキル)アミノ基を示し、又、X1、X2、X3、X4及びX5のうち隣り合う置換基が一緒になって、1乃至4個の酸素原子、窒素原子若しくは硫黄原子を含んでいてもよい5又は6員の飽和若しくは不飽和の環を形成していてもよい。]で表されるベンズアルデヒド類を、塩基の存在下、下記一般式(II)[式中、R1は、C1−C6アルキル基を示す。]で表される酢酸エステル類と縮合させ、下記一般式(III)[式中、X1、X2、X3、X4及びX5は、前記と同意義を示し、R2は、C1−C6アルキル基を示す。]で表される桂皮酸エステル類を製造する方法において、得られた反応混合物を精製せず若しくは精製して、脂肪族炭化水素類又は芳香族炭化水素類の溶媒中で、常圧下、0℃乃至150℃の反応温度において、酸で処理することにより、反応混合物中に存在する下記一般式(IV)[式中、X1、X2、X3、X4、X5、及びR2は、前記と同意義を示し、R3は、C1−C6アルキル基を示す。]で表される3−アルコキシ−3−フェニルプロピオン酸エステル類を、上記一般式(III)で表される桂皮酸エステル類に変換することを特徴とする方法。 X1、X2、X3、X4及びX5が、同一又は異なって、水素原子、C1−C6アルキル基、ハロゲン原子又はC1−C6アルコキシ基である請求項1に記載の方法。 X1、X2、X3、X4及びX5が、すべて水素原子である請求項1に記載の方法。 塩基が、下記式(V)[式中、R4は、C1−C6アルキル基を示し、Metは、アルカリ金属を示す。]で表される金属アルコキサイドである請求項1乃至3のいずれかに記載の方法。 金属アルコキサイドが、ナトリウムアルコキサイドである請求項4に記載の方法。 金属アルコキサイドが、ナトリウムメトキサイド又はナトリウムエトキサイドである請求項4に記載の方法。 金属アルコキサイドが、ナトリウムメトキサイドである請求項4に記載の方法。 酸が、硫酸である請求項1乃至7のいずれかに記載の方法。 反応混合物中に、下記一般式(IIIa)[式中、X1、X2、X3、X4及びX5は、同一又は異なって、水素原子、C1−C6アルキル基、ハロゲン原子、C1−C6アルコキシ基、C1−C6ハロアルキル基、C1−C6ハロアルコキシ基、C1−C6アルキルチオ基、C1−C6アルキルスルフィニル基、C1−C6アルキルスルホニル基、ニトロ基、シアノ基、フェニル基、フェノキシ基、アミノ基、C1−C6アルキルアミノ基又はジ(C1−C6アルキル)アミノ基を示し、又、X1、X2、X3、X4及びX5のうち隣り合う置換基が一緒になって、1乃至4個の酸素原子、窒素原子若しくは硫黄原子を含んでいてもよい5又は6員の飽和若しくは不飽和の環を形成していてもよい。]で表される桂皮酸類が存在するとき、アルコール存在下、更に酸で処理することにより、上記桂皮酸類を下記一般式(III)[式中、X1、X2、X3、X4及びX5は、前記と同意義を示し、R2は、C1−C6アルキル基を示す。]で表される桂皮酸エステル類に変換することを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の方法。