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タイトル:特許公報(B2)_炭酸エステルの製造方法
出願番号:1998285353
年次:2009
IPC分類:C07C 68/00,C07C 69/96,C07B 61/00


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生駒 太志 竹本 眞規 岡本 淳 JP 4284476 特許公報(B2) 20090403 1998285353 19981007 炭酸エステルの製造方法 三菱瓦斯化学株式会社 000004466 生駒 太志 竹本 眞規 岡本 淳 20090624 C07C 68/00 20060101AFI20090604BHJP C07C 69/96 20060101ALI20090604BHJP C07B 61/00 20060101ALN20090604BHJP JPC07C68/00 ZC07C69/96 ZC07B61/00 300 C07C 68/00 C07C 69/96 CAplus(STN) CASREACT(STN) REGISTRY(STN) 米国特許第03139440(US,A) Canadian Jouranal of Chemistry,1993年,71(1),84-89 8 2000119225 20000425 8 20050921 水島 英一郎 【0001】【産業上の利用分野】本発明は炭酸エステルの製造方法に関する。炭酸ジメチル、炭酸ジエチルに代表される炭酸エステルは、有機溶剤、ガソリンの添加剤として、あるいは医薬品、農薬等、あるいはカーボネート類、ウレタン類、カーバメート類等の原料として有用な化学品であり、従来使用されてきた毒性の高いホスゲンの代替品として近年特に期待されている。【0002】【従来の技術】炭酸エステルの製造方法として、脂肪族モノアルコールを酸素及び一酸化炭素と反応させてジアルキルカーボネートを製造する方法(酸化カルボニル化法)が特開平2−218647号、特開平2−19347号、特開平10−114719号及び特開平10−114721号等に開示されている。また、環状カーボネートと脂肪族モノアルコールとを反応させてジアルキルカーボネートとジオール類を製造する方法が特開平3−109358号、特開平9−110744号及び特開平10−5593号等に記載されている。【0003】【発明が解決しようとする課題】酸化カルボニル化法では、毒性の高い一酸化炭素を用いる点で安全上好ましくない。また環状カーボネートと脂肪族モノアルコールとを反応させてジアルキルカーボネートを製造する方法は、エステル交換反応であるため基本的に平衡の制約を受けざるを得ず、また目的物の炭酸エステルとともにジオール類の副生が避けられない。本発明の目的は、毒性の高い一酸化炭素を用いず、またエステル交換反応の如くに平衡の制約を受けずに、炭酸エステルを効率的に製造する方法を提供することにある。【0004】【課題を解決するための手段】発明者は上記の如き課題を有する炭酸エステルの製造方法について鋭意検討した結果、アセタール化合物を酸素で酸化することにより炭酸エステルが製造され、特にN−ヒドロキシジカルボン酸イミド化合物の存在下でアセタール化合物を酸化することにより炭酸エステルが効率的に製造されることを見出し、本発明に到達した。即ち本発明は、式(I)で表されるアセタール化合物を触媒の存在下で酸素により酸化することを特徴とする炭酸エステルの製造方法である。R1O−CH2−OR2 (I)(R1及びR2は同時にメチル基であるか、同時にエチル基である)【0005】【発明の実施の形態】本発明におけるアセタール化合物の酸化により炭酸エステルを生成する反応は次の式で表される。【0006】本発明において原料に用いられるアセタール化合物は、例えば特開昭58−162546号に示されるように、ホルムアルデヒドとアルコールを酸触媒存在下で反応することにより製造される。アセタール化合物を構成するアルキル基(R1 及びR2 )の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。本発明では原料として、R1 及びR2 がメチル基であるメチラール(=ジメトキシメタン)が最も好適に用いられる。【0007】本発明で酸化に用いられる酸素は、その他のガスとして、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性なガスを含有していても良く、空気を用いるのが簡便である。酸素濃度が低すぎる場合には反応時の酸素分圧を維持するため全圧を高くする必要があるので、原料ガス中の酸素濃度は20%以上とすることが好ましい。本発明において用いられるアセタール化合物と酸素のモル比は理論的には1:1であるが、モル比を1:0.1〜1:100、好ましくは1:1〜1:10とする。未反応の酸素は、反応系に循環再使用することができる。アセタール化合物の酸化温度は50〜250℃、好ましくは70〜200℃であり、圧力は通常0.5〜20MPaであり、好ましくは0.5〜10MPaである。【0008】本発明において、特にN−ヒドロキシジカルボン酸イミドの存在下にアセタール化合物の酸化することにより、炭酸エステルを効率的に得られる。触媒として用いられるN−ヒドロキシジカルボン酸イミドには、例えばN−ヒドロキシマレイン酸イミド 、N−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド、N−ヒドロキシコハク酸 イミド、N−ヒドロキシナフタルイミド等が挙げられ、N−ヒドロキシフタルイミドが好ましい。N−ヒドロキシジカルボン酸イミドとアセタール化合物のモル比は1:5〜1:200、好ましくは1:10〜1:100である。【0009】本発明のアセタール化合物の酸化反応においては、触媒として周期表1族、2族、3族、4族、5族、6族、7族、8族、9族、10族、11族の元素を含む金属化合物を用いることが好ましい。該金属化合物の金属元素としては、周期表1族のリチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、2族のマグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、3族のスカンジウム、イットリウム、ランタン、セリウム、4族のチタン、ジルコニウム、5族のバナジウム、ニオブ、6族のクロム、モリブデン、タングステン、7族のマンガン、レニウム、8族の鉄、ルテニウム、9族のコバルト、ロジウム、イリジウム、10族のニッケル、パラジウム、白金、11族の銅、銀、金などが挙げられる。【0010】これらの元素を含む金属化合物に特に制限はなく、例えば該元素の単体、酸化物、水酸化物、炭酸塩、有機酸塩、無機酸塩、配位化合物、ヘテロポリ酸又はその塩等が挙げられる。酸化物としては、例えばMgO、CaO、Y2 O3 、La2 O3 、CeO2 、FeO、Fe2 O3 、Fe3 O4 、Co3 O4 、CuO、Cu2 O等が挙げられ、Fe3 O4 、CuO、Cu2 Oが好適である。炭酸塩としては、例えば炭酸カリウム、塩基性炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸鉄、炭酸コバルト、塩基性炭酸銅等が挙げられる。有機酸塩としては、例えば酢酸コバルト、酢酸銅、酢酸パラジウム、シュウ酸コバルト、シュウ酸銅、プロピオン酸銅等が挙げられる。ヘテロポリ酸として特に制限はなく、ヘテロ原子として鉄、コバルト、銅、リン、ケイ素、ゲルマニウム、ホウ素、ポリ原子としてタングステン、モリブデン、バナジウム、ニオブ等を用いる場合が多く、またポリ原子は混合配位型となっていてもよい。例として、モリブドケイ酸、タングストケイ酸、モリブドケイ酸、タングストリン酸、バナドモリブドリン酸等が挙げられ、これらの塩としては、例えばナトリウム塩Na3 PW12O40、Na2 HPW12O40、セシウム塩Cs3.5 H0.5 SiMo12O40、Cs3.75H1.25PMo10V2 O40、ロジウム塩RhPW12O40等が挙げられる。金属元素とアセタール化合物のモル比は1:5〜1:200、好ましくは1:10〜1:50である。【0011】本発明において触媒として用いられるN−ヒドロキシジカルボン酸イミド化合物および金属元素を含む化合物は、含浸法、incipient wetness 法等を用いて担体に担持したり、沈澱法、混練、共沈法その他により担体成分を加えること等により固定化して使用することができる。担体又は担体成分としては、例としてアルミナ、シリカ、シリカアルミナ、ゼオライト、活性炭、金属酸化物、金属炭酸塩等が挙げられる。【0012】本発明において溶媒は必須でないが、N−ヒドロキシジカルボン酸イミドの溶解度を高めるために溶媒を用いることが好ましい。用いうる溶媒として特に制限ないが、酢酸等の有機酸や、アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル系溶媒が挙げられ、特にニトリル溶媒が好適である。好適なニトリル系溶媒として、例えばアセトニトリル、スクシノニトリル、ベンゾニトリルが挙げられ、触媒として金属元素を用いた際にニトリル系溶媒がその活性に寄与し、高収率をもたらすことが多い。生成炭酸エステルを蒸留により分離する場合には炭酸エステルより沸点の高いベンゾニトリルが好ましい。【0013】本発明では上記の触媒系に更にピリジン塩基を添加することが好ましい。ピリジン塩基はピリジン及びその同族体であり、ピリジンの他、例えば2−メチルピリジン、3−メチルピリジンなどのピコリン、2,3−ジメチルピリジン、2,6−ジメチルピリジン等のルチジンが挙げられる。これらのピリジン塩基は炭酸エステル選択率の向上に寄与すると考えらる。本発明に従う反応の方法に特に制限はなく、内部撹拌装置を有する槽型反応器を用いる回分方式、原料酸素あるいはアセタール化合物を供給しながら行う半回分方式又は流通方式のいずれも用いることができる。また、固定化した触媒を反応器に充填し、気相又は液相反応として流通式で連続的に反応を行うことも可能である。【0014】【実施例】次に実施例により本発明をさらに具体的に説明する。但し本発明はこれらの実施例によって制限されるものではない。なお、以下の実施例において炭酸エステル生成速度、原料アセタール転化率および炭酸エステル選択率は下式による計算値である。【0015】実施例1〜8内容積100mlのステンレス製オートクレーブに撹拌子と共に、酸化第二銅(実施例1、実施例2)、酸化マグネシウム(実施例3)、酸化ランタン(実施例4)、酸化イットリウム(実施例5)、炭酸カルシウム(実施例6)、酸化第一銅(実施例7)、銀(実施例8)とアセタール化合物とを充填した。空気を所定圧力まで充填し、所定温度に昇温した油浴に設置して撹拌しながら酸化を行った。所定時間反応させた後、冷却し、内容物を取り出してガスクロマトグラフィーにより分析した。反応条件と炭酸エステル生成速度を表1及び表2に示す。【0016】【表1】【0017】【表2】【0018】実施例9反応管に触媒として0.5%Pd-0.5%K2 CO3 /Cを充填し、反応温度 141℃において空気を10ml/minで、メチラールを19.5ml/minで供給し反応を行った。生成液をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、炭酸ジメチル生成速度が0.1(mmol/g-cat・h)であった。【0019】実施例10触媒としてPd/MgOを用い、反応温度 167℃において空気を18ml/minで、メチラールを23.5ml/minで供給した以外は実施例9と同様に行った。炭酸ジメチル生成速度が0.3(mmol/g-cat・h)であった。【0020】実施例11〜19内容積100mlのステンレス製オートクレーブに更にN−ヒドロキシフタルイミドを0.25g(1.5mmol)加えた以外は実施例1〜8と同様にして反応を行った。金属化合物触媒として、実施例11、実施例12、実施例17、実施例18および実施例19では酸化第二銅、実施例14では酸化第一銅、実施例15では銅、実施例16では塩基性炭酸銅、実施例20ではタングストケイ酸のセシウム塩を用いた。反応条件と反応成績を表3に示す。【0021】【表3】【0022】【表4】【0023】【表5】【0024】実施例21内容積100mlのステンレス製オートクレーブに撹拌子と共に、酸化第二銅を0.50g 、N−ヒドロキシフタルイミドを0.25g(1.5mmol)、ピリジンを0.5mmol 、メチラールを38.6mmol、アセトニトリルを5.0g充填した。空気を充填して4.9MPaとし 100℃に昇温した油浴に設置して撹拌により 1.5時間反応させた後、冷却し、内容物を取り出してガスクロマトグラフィーによって分析した。アセタール転化率が 31.3%、炭酸ジメチル選択率が 87.4%であった。【0025】【発明の効果】以上の実施例より明らかなように、本発明によりアセタール化合物の酸化により炭酸エステルが得られ、特に触媒としてN−ヒドロキシジカルボン酸イミド化合物を用いることにより高い反応成績が得られることが分かる。本発明の方法では毒性の高い一酸化炭素を用いることなく、エステル交換反応のように平衡の制約を受けないので、炭酸エステルを効率良く製造することができる。 式(I)で表されるアセタール化合物を触媒の存在下で酸素により酸化することを特徴とする炭酸エステルの製造方法。R1O−CH2−OR2 (I)(R1及びR2は同時にメチル基であるか、同時にエチル基である) アセタール化合物がメチラールである請求項1に記載の炭酸エステルの製造方法。 N−ヒドロキシジカルボン酸イミド化合物の存在下、アセタール化合物の酸化を行う請求項1又は請求項2に記載の炭酸エステルの製造方法。 N−ヒドロキシジカルボン酸イミド化合物がN−ヒドロキシフタルイミドである請求項3に記載の炭酸エステルの製造方法。 触媒として周期表1族、2族、3族、4族、5族、6族、7族、8族、9族、10族、11族から選ばれる少なくとも一つ以上の元素を含む金属化合物を用いる請求項1〜4に記載の炭酸エステルの製造方法。 触媒として銅化合物を用いる請求項5に記載の炭酸エステルの製造方法。 ニトリル系溶媒を用いて酸化を行う請求項3〜6に記載の炭酸エステルの製造方法。 添加剤としてピリジン塩基を用いる請求項3〜7に記載の炭酸エステルの製造方法。


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