タイトル: | 特許公報(B2)_海藻抽出物の精製方法 |
出願番号: | 1998282404 |
年次: | 2007 |
IPC分類: | A61K 8/00,A61Q 19/00 |
渋谷 祐輔 楠奥 比呂志 西澤 義則 JP 3961129 特許公報(B2) 20070525 1998282404 19981005 海藻抽出物の精製方法 花王株式会社 000000918 特許業務法人アルガ特許事務所 110000084 有賀 三幸 100068700 高野 登志雄 100077562 中嶋 俊夫 100096736 村田 正樹 100117156 山本 博人 100111028 的場 ひろみ 100101317 渋谷 祐輔 楠奥 比呂志 西澤 義則 20070822 A61K 8/00 20060101AFI20070802BHJP A61Q 19/00 20060101ALI20070802BHJP JPA61K8/00A61Q19/00 A61K8/00-8/99 特開平10−120522(JP,A) 特開平3−38510(JP,A) 特開平2−53896(JP,A) 特開平1−165595(JP,A) 特開昭62−13402(JP,A) 2 2000109407 20000418 7 20020801 2004025706 20041216 森田 ひとみ 弘實 謙二 谷口 博 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、海藻抽出物を脱臭及び脱色する、海藻抽出物の精製方法、並びに該方法により得られた海藻抽出精製物を含有する化粧料に関する。【0002】【従来の技術】海藻類は、粘液質多糖類をはじめ、アミノ酸類、ミネラル類、ポリフェノール類などを含有し、この抽出物は保湿剤、増粘剤、乳化安定剤、メラニン抑制剤、抗炎症剤などとして化粧料、食品などに利用されている。【0003】しかし、海藻を水、食塩水、含水低級アルコールなどで抽出すると、海藻由来の色素成分や匂い成分が混入するため、化粧料への配合には量的な制約があった。海藻抽出物の脱色、脱臭方法として、特開平10−120522号公報に海藻抽出液を粒状木質系活性炭カラム及び粒状椰子殻系活性炭カラムを流通処理する方法が提案されている。【0004】【発明が解決しようとする課題】しかし、上記方法では脱臭が不十分で、無香料/微香性の化粧料には配合できない。本発明は、脱色及び脱臭を同時に達成する海藻抽出物の製造方法及び該方法により得られた海藻抽出物を用いた化粧料を提供することを目的とする。【0005】【課題を解決するための手段】 本発明は、海藻抽出物を活性炭処理及び陽イオン交換吸着剤(非水溶性用陽イオン交換樹脂を除く)処理し、脱臭し且つガードナー色数が1以下に脱色することを特徴とする海藻抽出物の精製方法;及び該精製方法により得られた海藻精製抽出物を含有する化粧料を提供するものである。【0006】【発明の実施の形態】本発明において海藻は、海中にはえている藻類であればどのようなものでもよく、例えばヒジキ属、ヒバマタ属、ジョロモク属、ホンダワラ属、ウミウチワ属、カジメ属、コンブ属、ワカメ属、イチメガサ属、ケヤリ属、クロガシラ属、ムチモ属、イワヒゲ属、フクロノリ属、イシゲ属、モズク属、シワノカワ属、マツモ属、イソガワラ属、イソブドウ属、シオミドロ属等の褐藻類(Phaeophyta)、イギス属、マクリ属、ソゾ属、アヤニシキ属、ワツナギソウ属、カギノリ属、キリンサイ属、フノリ属、ベニフクロノリ属、ダルス属、ユイキリ属、マクサ属、オバクサ属、チスジノリ属、オキチモズク属、ケコナハダ属、ガラガラ属等の紅藻類(Rhodophyta)、ハネモ属、サボテングサ属、カサノリ属、イソスギナ属、アオノリ属、アオサ属、イワズタ属、ミル属等の緑藻類(Chlorophyta)等が挙げられる。このうちヒバマタが特に好ましい。【0007】海藻抽出物は、どのような抽出原料、抽出方法で得られたものでもよいが、上記海藻の藻体(全体でも部分でもよい)を乾燥後、粉砕または裁断等したものを抽出原料とすることが好ましい。抽出溶媒は、水、もしくはメタノール、エタノール、イソプロパノール、プロピレングリコール、ブチレングリコール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、ジメチルホルムアミド等のアミド類等、またはこれらの混合溶液であることが好ましく、水が特に好ましい。抽出は、乾燥藻体と抽出溶媒との混合比(重量比)1/50〜1/2、抽出温度1〜100℃、抽出時間0.5〜120時間で静置、撹拌等しながら行うことが好ましい。また抽出後適宜濾過、濃縮、精製等してもよい。【0008】本発明では、上記海藻抽出物を活性炭及び陽イオン吸着剤を用いて精製処理を行う。使用する活性炭は、通常エキス製造に用いられるものであれば特に指定はないが、椰子殻系や木質系の粒状活性炭が特に好ましく、最終ろ過時に微粒子の混入を防ぐためにも洗浄前処理を施したものを用いてもよい。【0009】陽イオン交換吸着剤は陽イオン交換能を有すれば、粒状、樹脂状、膜状、繊維状等いずれの形態でもよい。具体的には例えばアンバーライトIR120、ダウエックス−50(W)、アンバーライトIRC50、ダウエックスCCR等の陽イオン交換樹脂、キョーワード700等の陽イオン吸着合成珪酸アルミニウム、CMセルロース、SMセルロース等の陽イオン交換セルロース等がある。【0010】活性炭処理及び陽イオン交換吸着剤処理は、一定量の海藻抽出物と活性炭等とを接触させるバッチ法、海藻抽出物を連続的に活性炭等に接触させるカラム法のいずれでもよく、これらを組み合わせて用いてもよい。活性炭処理、陽イオン交換吸着剤処理はいずれを先に行ってもよく、また活性炭と陽イオン交換吸着剤とを混合して処理を行ってもよい。各処理後には濾過を行うことが好ましい。また活性炭処理においては、吸着効率向上のため活性炭粒子が崩壊しない範囲で適宜撹拌することが好ましい。【0011】活性炭処理及び陽イオン交換吸着剤処理に用いる活性炭量、陽イオン交換吸着剤量は、海藻抽出物の乾燥固形量に対して10〜400重量%、特に100〜300重量%が好ましい。処理温度は0〜90℃、特に5〜40℃が好ましい。処理時間は30分間〜100時間、特に2〜60時間が好ましい。上記範囲であれば、海藻抽出物を効果的に脱色、脱臭できる。【0012】上記方法により脱色、脱臭された海藻抽出精製物は、適宜稀釈、濃縮、乾燥等してもよい(脱色、脱臭された海藻抽出精製物及びこれらを稀釈等したものを以下「海藻抽出精製物」という)。【0013】本発明の化粧料は、該海藻抽出精製物を含有するものであり、その形態はジェル、乳液、化粧水、スキンローション、ペースト剤、パップ剤、プラスター剤、入浴剤等任意である。該化粧料は、該海藻抽出精製物、及び化粧料に一般に用いられる、油性成分、界面活性剤、保湿剤、アルコール類、高分子化合物、酸化防止剤、金属イオン封鎖剤、紫外線吸収剤、防腐剤、香料、色素、水、あるいは入浴剤に一般に用いられる血行促進剤、殺菌剤、清浄剤、無機塩類、炭酸塩等を配合し、常法に従い製造できる。該海藻抽出精製物の化粧料中の含有量に特に制限はないが、乾燥固形物として0.001〜20重量%、特に0.05〜5重量%が好ましい。【0014】【実施例】実施例1乾燥ヒバマタ1kgに、蒸留水10リットルを加え5℃で2日間静置抽出したのち、精密ろ過(1.0ミクロン)し、褐色の海藻抽出ろ液7.6リットルを得た。この液に陽イオン吸着剤(協和化学工業社製 キョーワード700)を225g加え室温で2時間攪拌後ろ過し、得られたろ液に活性炭(武田薬品工業社製白鷺A)を225g加え室温で2時間攪拌後、精密ろ過(0.45ミクロン)し透明な海藻抽出精製液(蒸発残分2.2重量%)を6.2リットル得た。【0015】実施例2実施例1の海藻抽出精製液1リットルに無水硫酸ナトリウムを100g加え、完全に溶解した後に、減圧濃縮後、凍結乾燥し白色粉末の海藻抽出精製物121gを得た。【0016】実施例3実施例2において無水硫酸ナトリウムの代わりに塩化ナトリウムを用いた以外は同様に白色粉末の乾燥抽出精製物120gを得た。【0017】実施例4実施例2において陽イオン吸着剤としてキョーワード700の代わりにアンバーライトIR120(オルガノ社製)を用い、ろ過後1N−NaOHで中和した以外は同様にして白色粉末の海藻抽出精製物123gを得た。【0018】比較例1乾燥ヒバマタ1kgに、蒸留水10リットルを加え5℃で2日間静置抽出したのち、精密ろ過(1.0ミクロン)し、褐色の海藻抽出ろ液(蒸発残分2.6重量%)7.6リットルを得た。【0019】比較例2比較例1の海藻抽出ろ液1リットルに、活性炭(白鷺A)を30g加え室温で2時間攪拌後、精密ろ過(0.45ミクロン)し透明な海藻エキス(蒸発残分2.3重量%)0.9リットルを得た。【0020】比較例3比較例1の海藻抽出ろ液1リットルに、陽イオン吸着剤(キョーワード700)を30g加え室温で2時間攪拌後、精密ろ過(0.45ミクロン)し、褐色の海藻エキス(蒸発残分2.5重量%)0.9リットルを得た。【0021】比較例4比較例1の海藻抽出ろ液1リットルに、芳香族系吸着剤(三菱化成工業社 DIAION HP−20)を30g加え室温で2時間攪拌後、精密ろ過(0.45ミクロン)し、褐色の海藻エキス(蒸発残分1.9重量%)0.9リットルを得た。【0022】比較例5比較例1の海藻抽出ろ液1リットルを、椰子殻系活性炭(武田薬品工業社製白鷺WH2C)50gを充填したカラムを通過させ、さらに木質活性炭(武田薬品工業社製 白鷺DC32)50gを充填したカラムを通過させたのち、精密ろ過(0.45ミクロン)し透明な海藻エキス(蒸発残分2.2重量%)0.9リットルを得た。【0023】試験例1上記製造例で得られた海藻エキス、白色粉末海藻エキスについて色調、及び匂い評価を行った。粉末エキス(実施例2〜4)については10%(w/v)の水溶液として上記評価を行った。色調はガードナー色数で表わした。匂いは10人のパネラーにより以下の基準で評価し、その平均値で表わした。結果を表1に示す。評価基準3;強い海藻臭がする2;海藻臭がする1;かすかに海藻臭がするが、あまり気にならない0;海藻臭がせず、気にならない【0024】【表1】【0025】実施例1〜4の海藻抽出精製物はいずれも比較例1〜5よりも、色調、匂い共に優れていた。【0026】実施例5〜8表2に示す配合でジェル(実施例5)、乳液(実施例6)、化粧水(実施例7)及び錠剤型入浴剤(実施例8)を常法に従い製造した。各化粧料はいずれも色調に優れ、また海藻臭が感じられなかった。【0027】【表2】【0028】【発明の効果】本発明の方法は、海藻抽出物の脱色、脱臭方法として優れたものであり、本方法により得られた海藻抽出精製物を用いて、色調、においに優れた化粧料を得ることができる。 海藻抽出物を活性炭処理及び陽イオン交換吸着剤(非水溶性用陽イオン交換樹脂を除く)処理し、脱臭し且つガードナー色数が1以下に脱色することを特徴とする海藻抽出物の精製方法。 請求項1記載の精製方法により得られた海藻抽出精製物を含有する化粧料。