生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_N−長鎖アシル酸性アミノ酸の製造法
出願番号:1998280044
年次:2008
IPC分類:C07C 231/24,C07C 233/47,C07C 233/49,C11D 1/32


特許情報キャッシュ

山脇 幸男 山本 伸一 JP 4172666 特許公報(B2) 20080822 1998280044 19981001 N−長鎖アシル酸性アミノ酸の製造法 旭化成ケミカルズ株式会社 303046314 加々美 紀雄 100094709 酒井 正己 100116713 小松 純 100117145 山脇 幸男 山本 伸一 JP 1997269824 19971002 20081029 C07C 231/24 20060101AFI20081009BHJP C07C 233/47 20060101ALI20081009BHJP C07C 233/49 20060101ALI20081009BHJP C11D 1/32 20060101ALI20081009BHJP JPC07C231/24C07C233/47C07C233/49C11D1/32 C07C 231/24 C07C 233/47 C07C 233/49 C11D 1/32 特開昭51−013717(JP,A) 特開平03−279354(JP,A) 特公昭46−008685(JP,B1) 特開平07−002747(JP,A) 特開昭52−095616(JP,A) 特開昭59−175457(JP,A) 特開平11−140032(JP,A) 2 1999180938 19990706 9 20050209 山田 泰之 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は無機塩等の水溶性不純物を低減した、精製されたN−長鎖アシル酸性アミノ酸の簡易な製造法に関するものである。N−長鎖アシル酸性アミノ酸は界面活性剤、抗菌剤等の原料として使用されており、特に洗剤、および医薬部外品・化粧品など香粧品分野でよく利用されている。【0002】【従来の技術】従来、N−長鎖アシル酸性アミノ酸のアミン塩またはアルカリ金属塩は、その界面活性作用から界面活性剤や抗菌剤として広く利用されている。特に洗剤、および医薬部外品・化粧品など香粧品分野での利用が多く、このような分野では最終製品に濁りが無いことが要求されるケースが多い。そのためこのような分野でN−長鎖アシルアミノ酸を使用する際には、最終製品に濁りを引き起こすような不純物を極力低減させることが求められている。【0003】従来、酸性アミノ酸と脂肪酸ハライドとを反応させてN−長鎖アシル酸性アミノ酸を製造する方法として、特公昭46−8685号公報にアルカリの存在下、反応溶媒として親水性有機溶媒15〜80容量%と水85〜20容量%の範囲の割合からなる混合溶媒を使用し、反応終了後反応液を鉱酸でpH1に調整してN−長鎖アシル酸性アミノ酸の粗結晶を析出させ、ろ過、洗浄して精製N−長鎖アシル酸性アミノ酸を得る方法が開示されている。しかしこの方法で得られたN−長鎖アシル酸性アミノ酸は無機塩の除去性が不十分であるとともに、上記のようなN−長鎖アシル酸性アミノ酸の分離法は設備、操作ともに工業的ではない。本発明者らの検討でも、N−長鎖アシル酸性アミノ酸の粉体を水中に分散して無機塩等の洗浄除去を試みたが粉体内部の無機塩までは除去困難であった。また、加温して同様の洗浄を試みたところ液がゲル化してしまい洗浄不可能であった。【0004】特公昭57−47902号公報では、水と親水性有機溶媒の混合溶媒中、アルカリの存在下に酸性アミノ酸と脂肪酸ハライドを反応させて得られる合成反応液を、40℃から該親水性有機溶媒の沸点温度において鉱酸でpH1〜6に調整することにより水層と生成物を含む有機層に分層し、次いで有機層より生成物を分離取得する方法が開示されている。この方法では無機塩含有量は1〜2%になっているにすぎず不十分である。【0005】さらに特開平3−284658号公報では、N−長鎖アシル酸性アミノ酸中に残存し製品の臭気原因となる物質および塩類をルーズな逆浸透膜によりN−長鎖アシル酸性アミノ酸塩水溶液から除去する方法を開示している。しかし高価な膜分離装置を使用する点で不利であること、濃度管理、膜管理等運転管理に煩雑さが伴う点から簡易な方法であるとは言えない。【0006】また特開平3−279354号公報では、酸性アミノ酸と脂肪酸ハライドとの縮合反応において、アセトンとイソプロパノールとの混合溶媒を反応溶媒に用い、得られた反応液を酸性化後晶析分離し、得られた結晶を親水性有機溶媒に溶解し硫酸ナトリウム水溶液を添加した後、有機層と水層に分層することにより食塩の除去を実施する方法を開示している。本方法によっては多量の硫酸ナトリウムを使用する限りそれの製品への混入は避けられず、また高濃度の硫酸ナトリウムを含む廃液の処理も問題となる。【0007】また本発明者らは、上記先行技術の実施例においてN−長鎖アシル酸性アミノ酸の製造によく用いられている親水性有機溶媒のアセトンを使用した場合でも、N−長鎖アシル酸性アミノ酸/水/アセトン混合液からN−長鎖アシル酸性アミノ酸を含む有機層と水層とに分層して、塩類等の不純物を除去できるかどうか検討した。しかしながら、N−長鎖アシル酸性アミノ酸/水/アセトン混合液での場合には、混合液の組成および液温度をどのように変化させても有機層と水層とに分層は起こらないことを確認した。N−長鎖アシル酸性アミノ酸/水/アセトン混合液系において有機層と水層とに分層するのは無機塩を多量に添加して塩析効果を利用した場合のみであると推察される。従って、N−長鎖アシル酸性アミノ酸/水/アセトン混合液系である限り、特開平3−279354号公報で開示された高濃度の硫酸ナトリウム水溶液を添加するような手法を用いないと有機層を分層洗浄することはできないし、またその場合には必然的にN−長鎖アシル酸性アミノ酸中への分層に使用した塩類の残存を伴うことになる。【0008】以上のように、塩類等の水溶性不純物を低減したN−長鎖アシル酸性アミノ酸の簡易な製造法は今までに無かった。【0009】【発明が解決しようとする課題】本発明は、塩類等の水溶性不純物を低減したN−長鎖アシル酸性アミノ酸の簡易な製造法を提供することを目的とするものである。【0010】【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記従来技術の課題を克服すべく鋭意検討した結果、N−長鎖アシル酸性アミノ酸、ターシャリーブタノール、および水とからなる混合液は、ある混合組成において水層とN−長鎖アシル酸性アミノ酸を含む有機層とに分層すること、これによってN−長鎖アシル酸性アミノ酸中に残存する塩類等の水溶性不純物を除去し高純度のN−長鎖アシル酸性アミノ酸を製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。【0011】即ち、本発明は以下の通りである。1)無機塩等の不純物を含むN−長鎖アシル酸性アミノ酸をターシャリーブタノールおよび水との混合状態から、水層とN−長鎖アシル酸性アミノ酸を含む有機層とに分層し、次いで有機層より、無機塩等の不純物が除去され精製されたN−長鎖アシル酸性アミノ酸を得ることを特徴とするN−長鎖アシル酸性アミノ酸の製造法。【0012】2)35℃〜80℃の温度において水層とN−長鎖アシル酸性アミノ酸を含む有機層とに分層することを特徴とする上記1に記載のN−長鎖アシル酸性アミノ酸の製造法。以下、本発明を詳細に説明する。本発明に適用できるN−長鎖アシル酸性アミノ酸は、炭素原子数8〜20の飽和または不飽和の長鎖アシル基が酸性アミノ酸のアミノ基に導入された酸性アミノ酸誘導体である。ここで酸性アミノ酸とは、分子中に存在するカルボキシル基とアミノ基の数がそれぞれ2個と1個のモノアミノジカルボン酸であり、アミノ基はN−メチル基またはN−エチル基でもかまわない。また光学異性体例えばD−体、L−体、ラセミ体であるかは問わない。【0013】具体的には、例えば、グルタミン酸、アスパラギン酸、ランチオニン、β−メチルランチオニン、シスタチオニン、ジエンコール酸、フェリニン、アミノマロン酸、β−オキシアスパラギン酸、α−アミノ−α−メチルコハク酸、β−オキシグルタミン酸、γ−オキシグルタミン酸、γ−メチルグルタミン酸、γ−メチレングルタミン酸、γ−メチル−γ−オキシグルタミン酸、α−アミノアジピン酸、α−アミノ−γ−オキシアジピン酸、α−アミノピメリン酸、α−アミノ−γ−オキシピメリン酸、β−アミノピメリン酸、α−アミノスベリン酸、α−アミノセバシン酸、パントテン酸である。【0014】またN−長鎖アシル酸性アミノ酸は、どういう製造方法で製造されたものでもよい。例えば、特公昭46−8685号公報に記載のように、親水性有機溶媒と水との混合用媒を用いて反応を行い、鉱酸でpH1に調整した後、濾過して得られたN−長鎖アシル酸性アミノ酸の粗結晶でもそのまま本発明に適用できる。また、特公昭57−47902号公報に記載のように、親水性有機溶媒と水の混合溶媒中で反応させて得られる合成反応液を、鉱酸でpH1〜6に調整することにより、水層とN−長鎖アシル酸性アミノ酸を含む有機層に分層し、この有機層から分離取得されたN−長鎖アシル酸性アミノ酸でも良い。【0015】あるいは、アルカリ存在下に酸性アミノ酸と長鎖脂肪酸クロライドとを縮合させてN−長鎖アシル酸性アミノ酸を得る際に、反応に親水性溶媒としてターシャリーブタノールを用い、反応後鉱酸でpH1〜6として分層して得られたN−長鎖アシル酸性アミノ酸を含む有機層をそのまま本発明に適用してもかまわない。この場合、N−長鎖アシル酸性アミノ酸を液中から分離する必要がない点で好ましい。【0016】また、長鎖アシル基としては、炭素原子数8〜20の飽和または不飽和脂肪酸より誘導されるアシル基であれば何でも良く、直鎖、分岐、環状を問わない。例えばカプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸のような直鎖脂肪酸によるアシル基、2−ブチル−5−メチルペンタン酸、2−イソブチル−5−メチルペンタン酸、ジメチルオクタン酸、ジメチルノナン酸、2−ブチル−5−メチルヘキサン酸、メチルウンデカン酸、ジメチルデカン酸、2−エチル−3−メチルノナン酸、2,2−ジメチル−4−エチルオクタン酸、メチルドコサン酸、2−プロピル−3−メチルノナン酸、メチルトリデカン酸、ジメチルドデカン酸、2−ブチル−3−メチルノナン酸、メチルテトラデカン酸、エチルトリデカン酸、プロピルドデカン酸、ブチルウンデカン酸、ペンチルデカン酸、ヘキシルノナン酸、2−(3−メチルブチル)−3−メチルノナン酸、2−(2−メチルブチル)−3−メチルノナン酸、ブチルエチルノナン酸、メチルペンタデカン酸、エチルテトラデカン酸、プロピルトリデカン酸、ブチルドデカン酸、ペンチルウンデカン酸、ヘキシルデカン酸、ヘプチルノナン酸、ジメチルテトラデカン酸、ブチルペンチルヘプタン酸、トリメチルトリデカン酸、メチルヘキサデカン酸、エチルペンタデカン酸、プロピルテトラデカン酸、ブチルトリデカン酸、ペンチルドデカン酸、ヘキシルウンデカン酸、ヘプチルデカン酸、メチルヘプチルノナン酸、ジペンチルヘプタン酸、メチルヘプタデカン酸、エチルヘキサデカン酸、エチルヘキサデカン酸、プロピルペンタデカン酸、ブチルテトラデカン酸、ペンチルトリデカン酸、ヘキシルドデカン酸、ヘプチルウンデカン酸、オクチルデカン酸、ジメチルヘキサデカン酸、メチルオクチルノナン酸、メチルオクタデカン酸、エチルヘプタデカン酸、ジメチルヘプタデカン酸、メチルオクチルデカン酸、メチルノナデカン酸、メチルノナデカン酸、ジメチルオクタデカン酸、ブチルヘプチルノナン酸のような分岐脂肪酸によるアシル基、オクテン酸、ノネン酸、デセン酸、カプロレイン酸、ウンデシレン酸、リンデル酸、トウハク酸、ラウロレイン酸、トリデセン酸、ツズ酸、ミリストレイン酸、ペンタデセン酸、ヘキサデセン酸、パルミトレイン酸、ヘプタデセン酸、オクタデセン酸、オレイン酸、ノナデセン酸、ゴンドイン酸のような直鎖モノエン酸によるアシル基、メチルヘプテン酸、メチルノネン酸、メチルウンデセン酸、ジメチルデセン酸、メチルドデセン酸、メチルトリデセン酸、ジメチルドデセン酸、ジメチルトリデセン酸、メチルオクタデセン酸、ジメチルヘプタデセン酸、エチルオクタデセン酸のような分岐モノエン酸によるアシル基、リノール酸、リノエライジン酸、エレオステアリン酸、リノレン酸、リノレンエライジン酸、プソイドエレオステアリン酸、パリナリン酸、アラキドン酸のようなジまたはトリエン酸によるアシル基、オクチン酸、ノニン酸、デシン酸、ウンデシン酸、ドデシン酸、トリデシン酸、テトラデシン酸、ペンタデシン酸、ヘプタデシン酸、オクタデシン酸、ノナデシン酸、ジメチルオクタデシン酸のようなアセチレン酸によるアシル基、メチレンオクタデセン酸、メチレンオクタデカン酸、アレプロール酸、アレプレスチン酸、アレプリル酸、アレプリン酸、ヒドノカルプン酸、ショールムーグリン酸、ゴルリン酸、α−シクロペンチル酸、α−シクロヘキシル酸、α−シクロペンチルエチル酸のような環状酸によるアシル基があげられる。【0017】また、天然油脂由来の脂肪酸より誘導されるアシル基でも良く、上記の炭素原子数8〜20の飽和または不飽和脂肪酸を80%以上含む混合脂肪酸によるアシル基であれば良い。例えば、ヤシ油脂肪酸、パーム油脂肪酸、アマニ油脂肪酸、ヒマワリ油脂肪酸、大豆油脂肪酸、ゴマ油脂肪酸、ヒマシ油脂肪酸、オリブ油脂肪酸、ツバキ油脂肪酸等によるアシル基である。【0018】本発明の製造法に用いられるターシャリーブタノールは高純度である必要はなく、水との共沸によって得られるような水含有品でもかまわない。本発明の製造法をさらに詳細に説明する。本発明の製造法は、例えば、N−長鎖アシル酸性アミノ酸をターシャリーブタノールおよび水を有機層と水層とに分層するような組成にて混合し、液液抽出によりN−長鎖アシル酸性アミノ酸を含む有機層中の水溶性不純物、主に無機塩類を水層中に移行させることで実施できる。【0019】これをN−ココイル−L−グルタミン酸/ターシャリーブタノール/水の組成(重量分率)を例に取って三角図で表すと、分層の起こる組成は下図の線で囲まれた領域(分層領域)になる。なお、図1において、TBAはターシャリーブタノールを表す。この組成領域内であれば、該混合液はN−ココイル−L−グルタミン酸を含む有機層と水層とに分層するので、この領域内に入るように各成分組成を決定すれば何回でも有機層の精製は可能であるため、有機層中の無機塩が希望する含有率になるまで精製を繰り返せば良い。これを図1で説明する。【0020】図1の各軸の目盛りは重量分率である。N−ココイル−L−グルタミン酸/ターシャリーブタノール/水を重量比で34/26/40に混合した場合、図1のA点となり、この組成では有機層と水層とに分層し各層の組成はそれぞれB点とC点になる。さらにB点組成の有機層に水を添加してD点の組成にすれば分層し有機層および水層の組成はそれぞれE点とF点になる。このようにN−ココイル−L−グルタミン酸/ターシャリーブタノール/水の組成が図1の分層領域内に入るように操作をすれば分層、即ち有機層の精製が実施できる。【0021】本発明の製造法においては、分層平衡に達する時間は分層領域においてターシャリーブタノール濃度が高いほど短くなるので、分層が実施可能な範囲でターシャリーブタノール濃度を高くするのは好ましい。本発明の製造法においては、水洗温度は35〜80℃、好ましくは40〜70℃である。35℃より低い温度では分層平衡に達するまでの時間が長くなったり、平衡に達しても有機層中にかなりの量の無機塩が残存したり、N−長鎖アシル酸性アミノ酸の種類や液中濃度によっては全く分層しない場合があるからである。ターシャリーブタノール/水の共沸組成の沸点が80℃近傍にあり80℃を越すと沸騰が起こるため加圧下での分層が必要となり、特別な装置が必要となり不利である。【0022】このようにして分層した後の無機塩等の水溶性不純物の低減された有機層からN−長鎖アシル酸性アミノ酸を取り出すには、常法に従ってターシャリーブタノールを蒸留分離によって除去すれば良い。【0023】以下、実施例により本発明を詳細に説明する。(実施例1)不純物として1.5重量%の塩化ナトリウム、1.5重量%の硫酸ナトリウムを含有するN−ココイル−L−グルタミン酸100gに対して、N−ココイル−L−グルタミン酸/ターシャリーブタノール/水が重量比で20/30/50となるようにターシャリーブタノールと水を混合した。この混合液を50℃で攪拌してN−ココイル−L−グルタミン酸を融解分散させた後、30分静置して分層させた。得られた有機層から溶媒を除去してN−ココイル−L−グルタミン酸96gを得た。N−ココイル−L−グルタミン酸中の不純物は、塩化ナトリウム0.095重量%、硫酸ナトリウム0.19重量%であった。【0024】(実施例2)実施例1において混合液組成をN−ココイル−L−グルタミン酸/ターシャリーブタノール/水が重量比で22/12/66とした以外は実施例1と同じ条件で実施してN−ココイル−L−グルタミン酸96gを得た。N−ココイル−L−グルタミン酸中の不純物は、塩化ナトリウム0.095重量%、硫酸ナトリウム0.19重量%であった。【0025】(実施例3)実施例1と同じ条件で混合液の分層を実施しN−ココイル−L−グルタミン酸を含む有機層を得た。得られた有機層に、有機層重量に対しさらに50重量%の水を添加して50℃で15分攪拌した。攪拌停止後、30分間静置して分層させた。得られた有機層から溶媒を除去してN−ココイル−L−グルタミン酸95gを得た。N−ココイル−L−グルタミン酸中の不純物は、塩化ナトリウム0.007重量%、硫酸ナトリウム0.027重量%であった。【0026】(実施例4)実施例3と同じ条件で混合液の分層を2回実施しN−ココイル−L−グルタミン酸を含む有機層を得た。得られた有機層に、有機層重量に対しさらに50重量%の水を添加して50℃で15分攪拌した。攪拌停止後30分間静置して分層させた。得られた有機層から溶媒を除去しN−ココイル−L−グルタミン酸95gを得た。N−ココイル−L−グルタミン酸中の不純物は、塩化ナトリウム0.001重量%以下、硫酸ナトリウム0.006重量%であった。【0027】(実施例5)実施例1において、混合液の分層温度を70℃とした以外は実施例1と同じ条件で実施してN−ココイル−L−グルタミン酸96gを得た。N−ココイル−L−グルタミン酸中の不純物は、塩化ナトリウム0.072重量%、硫酸ナトリウム0.14重量%であった。【0028】(実施例6)実施例1において、原料のN−ココイル−L−グルタミン酸をこれと同じ不純物含量のN−ラウロイル−L−グルタミン酸とした以外は実施例1と同じ条件で実施してN−ラウロイル−L−グルタミン酸96gを得た。N−ラウロイル−L−グルタミン酸中の不純物は、塩化ナトリウム0.095重量%、硫酸ナトリウム0.19重量%であった。【0029】(実施例7)実施例6において、混合液の組成をN−ラウロイル−L−グルタミン酸/ターシャリーブタノール/水が重量比で24/24/52とし分層温度を70℃とした以外は実施例6と同じ条件で実施して、N−ラウロイル−L−グルタミン酸96gを得た。N−ラウロイル−L−グルタミン酸中の不純物は、塩化ナトリウム0.084重量%、硫酸ナトリウム0.16重量%であった。【0030】(実施例8)実施例1において、原料のN−ココイル−L−グルタミン酸を不純物含量が塩化ナトリウム10重量%、硫酸ナトリウム10重量%のN−ココイル−L−グルタミン酸とした以外は実施例1と同じ条件で実施して、N−ココイル−L−グルタミン酸80gを得た。N−ココイル−L−グルタミン酸中の不純物は、塩化ナトリウム0.63重量%、硫酸ナトリウム1.26重量%であった。【0031】(実施例9)実施例1において、原料のN−ココイル−L−グルタミン酸をこれと同じ不純物量のN−ココイル−L−アスパラギン酸とし、混合液の組成をN−ココイル−L−アスパラギン酸/ターシャリーブタノール/水が重量比で24/24/52とした以外は実施例1と同様の条件で実施して、N−ココイル−L−アスパラギン酸96gを得た。N−ココイル−L−アスパラギン酸中の不純物は、塩化ナトリウム0.10重量%、硫酸ナトリウム0.18重量%であった。【0032】(実施例10)L−グルタミン酸ナトリウム一水和物220.83g(1.18mol)、純水317.60g、25重量%水酸化ナトリウム水溶液188.79g(水酸化ナトリウム1.18mol)の溶液に、ターシャリーブタノール/水混合溶媒(ターシャリーブタノール88容量%)400mlを加え、この溶液を氷冷しながら25重量%水酸化ナトリウムでpHを12に調整しながら塩化ココイル261.05g(1.15mol)を撹拌下、2時間を要して滴下した。さらに30分撹拌を続けた後、75重量%硫酸を滴下して液のpHを2に、また液の温度を50℃に調整した。滴下終了後、撹拌を停止し、15分間50℃で静置すると有機層と水層とに分層した。この液から分離取得した有機層中には、N−ココイル−L−グルタミン酸50重量%、ターシャリーブタノール40重量%、塩化ナトリウム0.6重量%、硫酸ナトリウム0.5重量%、を含み残りはほぼ水である。この有機層に、有機層重量に対して50重量%の水を添加し50℃で15分攪拌した。攪拌停止後静置すると分層し、そのまま30分静置させた後有機層を分離取得した。得られた有機層から溶媒を除去してN−ココイル−L−グルタミン酸372.70g(収率96%)を得た。N−ココイル−L−グルタミン酸中の不純物は、塩化ナトリウム0.088重量%、硫酸ナトリウム0.14重量%であった。【0033】(比較例1)実施例1において、混合液の組成をN−ココイル−L−グルタミン酸/ターシャリーブタノール/水が重量比で20/60/20とした以外は実施例1と同じ条件で実施したが、混合液は60分静置しても分層しなかった。【0034】(比較例2)実施例1において、混合液の組成をN−ココイル−L−グルタミン酸/ターシャリーブタノール/水が重量比で60/20/20とした以外は実施例1と同じ条件で実施したが、混合液は60分静置しても分層しなかった。【0035】(比較例3)実施例1においてターシャリーブタノールをアセトンとする以外は実施例1と同じ条件で実施したが、混合液は60分静置しても分層しなかった。【0036】(比較例4)実施例1において、原料のN−ココイル−L−グルタミン酸をこれと同じ不純物含量のN−ラウロイル−L−グルタミン酸とし、混合液の組成をN−ラウロイル−L−グルタミン酸/ターシャリーブタノール/水が重量比で20/60/20とした以外は実施例1と同じ条件で実施したが、混合液は60分静置しても分層しなかった。【0037】【発明の効果】本発明によれば、従来法に比べ次の利点がある。本発明の製造法は簡易であるだけでなく、塩類などの不純物が極めて低含量で、高純度のN−長鎖アシル酸性アミノ酸が製造できる。【図面の簡単な説明】【図1】N−ココイル−L−グルタミン酸/ターシャリーブタノール/水の組成(重量分率)を三角図で表したものである。 無機塩等の不純物を含むN−長鎖アシル酸性アミノ酸をターシャリーブタノールおよび水との混合状態から、水層とN−長鎖アシル酸性アミノ酸を含む有機層とに分層し、次いで有機層より、無機塩等の不純物が除去され精製されたN−長鎖アシル酸性アミノ酸を得ることを特徴とするN−長鎖アシル酸性アミノ酸の製造法。 35℃〜80℃の温度において水層とN−長鎖アシル酸性アミノ酸を含む有機層とに分層することを特徴とする請求項1に記載のN−長鎖アシル酸性アミノ酸の製造法。


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