生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_テストステロン 5α−リダクターゼ阻害剤
出願番号:1998269149
年次:2008
IPC分類:A61K 8/97,A61Q 7/00,A61K 36/28,A61K 36/00,A61P 17/14


特許情報キャッシュ

森田 益史 金谷 裕敏 柳澤 利彦 JP 4033981 特許公報(B2) 20071102 1998269149 19980924 テストステロン 5α−リダクターゼ阻害剤 ツムラ ライフサイエンス株式会社 306038846 本多 一郎 100096714 森田 益史 金谷 裕敏 柳澤 利彦 20080116 A61K 8/97 20060101AFI20071220BHJP A61Q 7/00 20060101ALI20071220BHJP A61K 36/28 20060101ALI20071220BHJP A61K 36/00 20060101ALI20071220BHJP A61P 17/14 20060101ALI20071220BHJP JPA61K8/97A61Q7/00A61K35/78 TA61K35/78 AA61K35/78 WA61P17/14 A61K 8/00- 8/99 A61Q 1/00-99/00 CA(STN) BIOSIS(STN) EMBASE(STN) MEDLINE(STN) 特開平02−048515(JP,A) 特開昭60−178806(JP,A) 特開平11−228435(JP,A) 特開昭62−099317(JP,A) 特開平10−036279(JP,A) 特開平04−187622(JP,A) 特開平04−224522(JP,A) 特開平05−186314(JP,A) 特開平06−040858(JP,A) 特開平08−208440(JP,A) 2 2000095648 20000404 7 20050809 小堀 麻子 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、テストステロン 5α−リダクターゼ阻害剤および養毛・育毛剤に関する。【0002】【従来の技術】一般に男性ホルモン作用を有する物質をアンドロゲンと総称しており、テストステロンはヒトで最も重要なアンドロゲンと考えられている。テストステロンは、真の精巣ホルモンであり、標的器官の細胞内に取り込まれ、5α−リダクターゼによりジヒドロテストステロンに変化後ホルモン作用を示すと言われる。【0003】現在、ジヒドロテストステロンの産生過剰に起因する疾患の代表的なものとして、男性型脱毛症、前立腺肥大、アクネ等がある。一般にこれら疾患の治療剤としては、ステロイド構造を有する薬物が用いられている。しかしながら、好ましくないホルモン様作用の出現や安全性等の問題があり、また、ステロイド構造を有さない上記疾患の治療剤として報告されているものも、安全性、安定性又は効果の点で十分に満足できるものではないのが現状である。【0004】【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的は、脱毛防止、養毛・育毛効果、前立腺肥大治療効果及びアクネ治療効果に優れ、かつ安全性の高いテストステロン 5α−リダクターゼ阻害剤および養毛・育毛剤を提供することにある。【0005】【課題を解決するための手段】本発明者らは、これらの事情に鑑み、鋭意検討した結果、蒲公英(ホコウエイ)、仙茅(センボウ)、血竭(ケッケツ)、石韋(セキイ)の抽出物が安全かつ、テストステロン 5α−リダクターゼ阻害活性が強く、養毛・育毛剤の有効成分として有用であることを見出し、本発明を完成するに至った。【0006】 すなわち、本発明は、以下のとおりである。(1) 蒲公英(ホコウエイ)および石韋(セキイ)からなる群から選ばれる1種または2種の生薬の抽出物を有効成分とするテストステロン 5α−リダクターゼ阻害剤。(2)石韋(セキイ)の抽出物を有効成分として含有する養毛・育毛剤。【0007】【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。本発明で用いる生薬の抽出物とは、それらの全草又はそれらの葉、茎、根、果実、種子及び花のうちの1又は2以上の箇所を乾燥し又は乾燥することなく粉砕した後、常温又は加温下に、溶剤により抽出するか又はソックスレー抽出器等の抽出器具を用いて抽出することにより得られる各種溶媒抽出液、その希釈液、その濃縮液、あるいはその乾燥末を意味するものである。本発明においては、蒲公英(ホコウエイ;キク科のモウコタンポポ Taraxacum mongolicum等の各種 Taraxacum 属植物)の根つき全草、仙茅(センボウ;ヒガンバナ科のキンバイザサ Curculigo orchioides)の根茎、石韋(セキイ;ウラボシ科のヒトツバ Pyrrosia lingua等の各種 Pyrrosia属植物)の葉の乾燥物又はその抽出物を用いることが好ましい。血竭(ケッケツ)とはヤシ科のキリンケツヤシ(Daemonorops draco)の果実や樹幹中の樹脂のことを指す。【0008】ここで、生薬の抽出に使用される溶媒は特に限定されず、例えば、水、メチルアルコール、エチルアルコール等の低級アルコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール等の液状多価アルコール、酢酸エチル等の低級アルキルエステル、ベンゼン、ヘキサン等の炭化水素、ジエチルエーテル、アセトン等の公知の溶媒が挙げられ、これらの溶媒は、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。なお、生薬の抽出は常法で行ない、得られた生薬抽出物はそのまま用いても良いが、更に必要により濃縮、濾過等の処理したものを用いることができる。本発明において、これらの生薬抽出物は1種または2種以上を用いることができる。【0009】本発明のテストステロン 5α−リダクターゼ阻害剤および養毛・育毛剤は優れた脱毛防止、養毛・育毛効果、前立腺肥大治療効果及びアクネ治療効果を有し、かつ安全性も高いので、剤型としては錠剤、カプセル剤、散剤、内服液、細粒剤、顆粒剤等の経口投与剤の形態となすことができ、また、適当な基剤、薬剤などと混合した皮膚外用剤や頭髪化粧料等の外用形態とすることができる。具体的には、ローション、乳液、軟膏、クリーム、ジェル、オイル、パック、シャンプー、リンス、トリートメント、ヘアートニック、ヘアーリキッド等の形態をとることができる。さらに上記のような外用剤の他にも、例えば、石鹸、入浴剤といったものに配合して用いてもよい。【0010】テストステロン 5α−リダクターゼ阻害作用を有する生薬抽出物の配合量は、添加形態および投与形態によっても異なるが、外用剤の場合には、全組成物中0.0001〜90重量%、特に0.001〜50重量%配合するのが好ましい。具体的には本発明の養毛・育毛剤に配合する場合、0.001〜10重量%配合するのが好ましい。また、経口投与剤の場合には、成人1日あたり0.001〜100gになるようにするのが好ましい。【0011】本発明のテストステロン 5α−リダクターゼ阻害剤および養毛・育毛剤には、さらに必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、化粧品や医薬品等に一般に用いられている油性成分、界面活性剤、アルコール類、脂肪酸類、防腐剤、酸化防止剤、色素、香料、紫外線吸収剤、キレート剤、pH調整剤、ビタミン剤、精製水等の添加成分を配合することができる。【0012】また、上記テストステロン 5α−リダクターゼ阻害作用を有する生薬抽出物は、他の成分を併用せずにこのものだけで用いてもよいが、更に脱毛防止、養毛・育毛効果を増強する目的で血行促進剤、局所刺激剤、角質溶解剤、抗脂漏剤、抗菌剤、抗炎症剤、毛包賦活剤、抗男性ホルモン剤、保湿剤等の他の成分と併用してもよい。【0013】本発明のテストステロン 5α−リダクターゼ阻害剤および養毛・育毛剤は、前記生薬抽出物及び任意成分を組み合わせて、常法に従って製造することができる。【0014】【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。生薬抽出物の製造例蒲公英、仙茅、血竭及び石韋の各生薬100gに対し1Lの50v/v%エタノールを加え、還流抽出を2時間行ない、抽出液を濾過後、減圧下濃縮し、各生薬抽出物を得た。【0015】次に製造例の生薬抽出物がテストステロン 5α−リダクターゼ阻害作用を有することについて実験例を挙げて説明する。実験例1(1)テストステロン 5α−リダクターゼの調製11週齢のF344系雄性ラットを解剖して前立腺を摘出した。得られた前立腺の被膜および脂肪組織を取り除き、これに対して5mL/gの割合で0.25mol/Lシュークロース溶液を加え、細胞破砕機(POLYTRON)でホモジナイズした。得られたホモジネートをガーゼ濾過し、濾液をさらにダウンス(Daunce)ホモジナイザーでホモジナイズし、超音波処理後、遠心分離によりミクロソーム画分を得た。このミクロソーム画分を3.3mLの0.25mol/Lシュークロースを含む0.05mol/Lカリウム−リン酸緩衝液(pH6.6)に懸濁し、これを酵素溶液とした。(2)テストステロン 5α−リダクターゼ阻害活性の測定上記の酵素溶液50μLに0.05mol/Lカリウム−リン酸緩衝液(pH6.6)、NADPH(終濃度1×10-3mol/L)、グルコース−6−リン酸(5×10-3mol/L)、グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ(0.5IU)、ウシ血清アルブミン(0.1%)、[4−14C]−テストステロンおよび生薬抽出物を加え総量を600μLとした。この混合液を30℃、60分間反応後、1mol/L塩酸を加えて反応を終了した。次いで担体としてテストステロンおよび5α−ジヒドロテストステロンを加え、酢酸エチル1.5mLにより反応生成物を抽出した。抽出液を濃縮後、薄層クロマトグラフィーでテストステロンと5α−ジヒドロテストステロンとを分離し、液体シンチレーションカウンターで5α−ジヒドロテストステロンの放射活性を測定した。【0016】なお、生薬抽出物を加えない以外は上記と同様にしたものを対照として、下記の式により阻害率(%)を算出した。【0017】【数1】A:生薬抽出物を加えない場合の5α−ジヒドロテストステロン生成量B:生薬抽出物を加えた場合の5α−ジヒドロテストステロン生成量その結果を、阻害率(%)として、表1に示す。【0018】【表1】【0019】上記のように、生薬抽出物のテストステロン 5α−リダクターゼ阻害作用が確認された。【0020】実施例1〜4及び比較例表2に示す組成のヘアローションを常法により調製し、下記に示す評価方法で、養毛・育毛効果を評価した。その結果を表4に示す。【0021】【表2】【0022】評価方法(C3Hマウス養毛・育毛試験)7週齢の雄性C3Hマウスを用い、1群を5匹とし、試験開始3日前に、マウスの背部を剃毛した。試験開始日より25日間、剃毛したマウス背部に1日1回、各被験試料(ヘアローション)を100μL塗布した。観察は試験開始日、5、10、15、20、25日目に行ない、個体別の皮膚症状を表3に示すスコアで採点し、その平均値で示した。【0023】【表3】判定スコア【0024】【表4】結果【0025】表4から、本発明の生薬抽出物を配合した実施例1〜4のヘアローションは、生薬抽出物を配合していない比較例のヘアローションと比べて、養毛・育毛効果が優れていることが確認された。【0026】実施例5(育毛用エアゾール製品)D−パンテノール : 0.50重量%蒲公英抽出物 : 1.50重量%エタノール :21.00重量%EDTA−2Na : 0.03重量%中和剤(ジイソプロパノールアミン) : 0.25重量%カルボキシビニルポリマー2%水溶液 :12.50重量%香料 : 0.20重量%防腐剤 : 0.10重量%精製水 : バランス上記成分を混合した原体(粘度12,450cp)66.7重量%に対し、ジメチルエーテル33.3重量%を加えてエアゾール製剤とし、これを噴射口径0.7mのエアゾール缶に充填して育毛用エアゾール製品を製造した(内圧:4.3kg/cm2,at25℃)。【0027】実施例6(ヘアートニック)仙茅抽出物 : 0.70重量%血竭抽出物 : 0.80重量%プロピレングリコール : 5.00重量%ヒアルロン酸ナトリウム : 0.01重量%香料 : 0.05重量%色素 : 0.05重量%75%エタノール : バランス常法によりヘアートニックを製造した。【0028】実施例7(ヘアートニック)蒲公英抽出物 : 1.50重量%石韋抽出物 : 0.50重量%プロピレングリコール : 5.00重量%ヒアルロン酸ナトリウム : 0.01重量%香料 : 0.05重量%色素 : 0.05重量%75%エタノール : バランス常法によりヘアートニックを製造した。【0029】実施例8(シャンプー)仙茅抽出物 : 0.70重量%蒲公英抽出物 : 0.80重量%ラウリル硫酸トリエタノールアミン :15.00重量%ヤシ油脂肪酸モノエタノールアマイド : 5.00重量%香料 : 0.05重量%色素 : 0.05重量%精製水 : バランス常法によりシャンプーを製造した。【0030】上記の実施例5〜8で得られた外用剤は、いずれも優れた養毛・育毛効果が認められた。【0031】【発明の効果】本発明のテストステロン 5α−リダクターゼ阻害剤および養毛・育毛剤は、ジヒドロテストステロンの産生過剰に起因する疾患、脱毛防止、養毛・育毛効果、前立腺肥大治療効果及びアクネ治療効果等に優れた効果を有する。 蒲公英(ホコウエイ)および石韋(セキイ)からなる群から選ばれる1種または2種の生薬の抽出物を有効成分とするテストステロン 5α−リダクターゼ阻害剤。 石韋(セキイ)の抽出物を有効成分とする養毛・育毛剤。


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