タイトル: | 特許公報(B2)_乳酸アミドの製造法 |
出願番号: | 1998263144 |
年次: | 2007 |
IPC分類: | C07C 235/06,B01J 23/34,C07C 231/06,C07B 61/00 |
菅野 裕一 阿部 崇文 中野 里愛子 JP 3962885 特許公報(B2) 20070601 1998263144 19980917 乳酸アミドの製造法 三菱瓦斯化学株式会社 000004466 菅野 裕一 阿部 崇文 中野 里愛子 JP 1998075788 19980324 20070822 C07C 235/06 20060101AFI20070802BHJP B01J 23/34 20060101ALI20070802BHJP C07C 231/06 20060101ALI20070802BHJP C07B 61/00 20060101ALN20070802BHJP JPC07C235/06B01J23/34 ZC07C231/06C07B61/00 300 特開平03−188054(JP,A) 特開平09−024275(JP,A) 特開平09−188656(JP,A) 特開平07−061961(JP,A) 特開昭48−028413(JP,A) 4 1999335341 19991207 8 20050830 山田 泰之 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、乳酸アミドの製造法に関する。更に詳しくは、ラクトニトリルの水和反応により乳酸アミドを製造する方法に関するものである。乳酸アミドは、ギ酸エステルとのアミドエステル交換反応により、または加アルコール分解反応により乳酸エステルを製造する際の原料となるものである。この乳酸エステルをさらに加水分解反応することにより乳酸を製造することも可能である。乳酸エステルや、乳酸は有機合成原料や溶剤として有用であることは言うまでもなく、特に乳酸は防かび剤や生分解性ポリマーの原料として有用である。さらに、乳酸エステルは脱水反応によりアクリル酸エステルを製造する際の原料となり工業的に重要且つ大きな用途がある。【0002】【従来の技術】米国特許第4018829号公報には、アセトンシアンヒドリンの水和反応にδ型二酸化マンガンを触媒として使用することを記載している。アセトンシアンヒドリン用二酸化マンガンの調製法として、特開昭63−57534号公報および特開昭63−57535号公報には亜鉛を含有させる方法や過マンガン酸カリウムを塩酸で還元する方法が、特開平6−269666号公報には過マンガン酸塩をヒドラジン類、ヒドロキシカルボン酸あるいはその塩を用いて還元する方法が開示されている。一方、アセトンシアンヒドリンと同じシアンヒドリン群に含まれるラクトニトリルの水和反応に二酸化マンガンが使用されることを特公昭61−47822号公報、US5175366号公報は示している。さらに、過マンガン酸塩を多価アルコールにて還元する方法及び多価カルボン酸又はその塩で還元する方法で調製した二酸化マンガンを触媒としたラクトニトリルの水和反応が、特開平9−19637号公報及び特開平9−24275号公報に示されている。しかしながら、上記の方法で調製した二酸化マンガンをそのままラクトニトリルの水和反応の触媒として使用した場合には、触媒活性が短期間で急激に低下するという問題があり、未だ実用化されていないのが現状である。【0003】【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、以上のような従来技術の欠点を解決した工業的に有用な乳酸アミドの製造方法を提供することである。【0004】【課題を解決するための手段】本発明者は、マンガン酸化物を主成分とする触媒の存在下、ラクトニトリルと水より乳酸アミドを製造する場合、酸化剤を共存させる事で触媒活性の急激な低下が抑制されることを見出した。また酸化剤と含窒素化合物との共存下で反応を行うと、酸化剤のみの共存の場合に比べさらに活性低下が抑制されることを見出した。また酸化剤とシアン化水素との共存下で反応を行うと、酸化剤のみの共存の場合に比べさらに活性低下が抑制され乳酸アミドの選択率も向上する事を見いだした。さらに酸化剤と含窒素化合物およびシアン化水素との共存下で反応を行うと、含窒素化合物およびシアン化水素のそれぞれの効果が相加的に得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。即ち本発明は、マンガン酸化物を主成分とする触媒と、酸化剤との存在下で、ラクトニトリルと水より乳酸アミドを製造する方法、ならびにマンガン酸化物を主成分とする触媒と、酸化剤と、一般式(I)で示される化合物及び/又はシアン化水素との存在下で、ラクトニトリルと水より乳酸アミドを製造する方法である。【0005】【化2】(R1 〜R3 はそれぞれ水素または炭素数1〜8の原子団を示す)【0006】【発明の実施の形態】以下に、本発明の方法を詳しく説明する。本発明に使用するラクトニトリルは、アセトアルデヒドとシアン化水素とから塩基性触媒の存在下で容易に製造される。また、本発明におけるマンガン酸化物を主成分とする触媒としては、主として二酸化マンガンが使用されるが、二酸化マンガンは一般にMnO1.7〜MnO2の間にあるマンガン酸化物であり、結晶構造はα、β、γ、δ、ε等が知られており、又各相間の転移や結晶化度の変化が起こることから、その構造はきわめて複雑で多種多様である。二酸化マンガンは天然にも存在するが、触媒として使用する場合には、二価のマンガンを酸化して調製する方法および七価のマンガンを還元して調製する方法のそれぞれを単独または組み合わせて用いることにより得られる二酸化マンガンが適する。【0007】例えば、中性ないしアルカリ性の領域で過マンガン酸化合物を20〜100℃で還元する方法(Zeit. Anorg. Allg. Chem. , 309, p1〜32およびp121〜150. (1961) )、過マンガン酸カリウム水溶液を硫酸マンガン水溶液に加える方法(J. Chem. Soc., 2189, (1953) )、過マンガン酸塩をハロゲン化水素酸で還元する方法(特開昭63−57535号公報)、過マンガン酸塩を多価カルボン酸または多価アルコールで還元する方法(特開平9−24275号公報、特開平9−19637号公報)、過マンガン酸塩をヒドラジン、ヒドロキシカルボン酸あるいはその塩で還元する方法(特開平6−269666号公報)および硫酸マンガン水溶液を電解酸化する方法が知られている。本発明の方法に用いるマンガン酸化物を主成分とする触媒としては、上記した各種の方法で調製されたものが使用できるが、好ましくはアルカリ金属元素を含有する変性二酸化マンガンが好ましい。同触媒の調製法としては、結晶型や比表面積の大きさ、ならびにアルカリ金属の種類や量をコントロールできる点では、二価のマンガンおよび七価のマンガンを同時に使用する方法が望ましい。【0008】また、上記の二酸化マンガン触媒やアルカリ金属元素を含有する変性二酸化マンガンに他の元素、例えば周期律表2,3,4,5,6,8,9,10,11,12,13,14,15族の元素を添加する事も可能で、特にアルカリ土類金属、Sc、Zr、V 、Nb、Ta、Cr、Mo、W 、Zn、Ga、In、Ge、Sn、Pbの添加は好ましい。これらの金属を二酸化マンガンに添加する方法としては、含浸、吸着、混練、共沈澱等いずれの方法も用いられるが、共沈澱法が特に好ましくその液性は、酸性下でも塩基性下でも調製できるが、酸性下での調製がより好ましく、塩基性下で調製した場合には、反応前に希硫酸等の酸性溶液で二酸化マンガンを洗浄することが望ましい。【0009】以上の触媒調製の為に使用される二価のマンガン源としては水溶性の塩が選ばれ、その中で硫酸塩が特に好ましい。七価のマンガン源としては水溶性の過マンガン酸カリウム又は過マンガン酸ナトリウムが特に好ましく、またこのものはアルカリ金属源としても使用できる。二酸化マンガンに添加するアルカリ土類金属、Sc、Zr、V 、Nb、Ta、Cr、Mo、W 、Zn、Ga、In、Ge、Sn、Pb源としては、水溶性の塩が好ましく、その中でも硫酸塩が特に好ましい。【0010】本発明においては、上記の如く調製した触媒は、アルミナ、シリカ、ジルコニア、チタニア等の金属酸化物担体上に担持して使用することも可能であり、成型体は固定床触媒として、或いは粉体、顆粒体または微小球状体はスラリー触媒として、回分式や流通式反応装置でラクトニトリルの水和反応に使用される。本発明の触媒を用いた水和反応は、通常は水が過剰の系で実施される。即ち、原料液中のラクトニトリルの割合は5〜80重量%、好ましくは20〜60重量%である。反応温度は0〜120℃、好ましくは10〜90℃の範囲である。これより低い温度では反応速度が小さくなり、またこれより高い温度ではラクトニトリルの分解による副生成物が多くなるので好ましくない。【0011】さらに本発明で用いられる酸化剤としては酸素、オゾン等の酸素類または過酸化水素、過酸化ナトリウム、過酸化マグネシウム、過酸化ベンゾイル、過酸化ジアセチル等の過酸化物または過ギ酸、過酢酸、過硫酸アンモニウム等の過酸及び過酸塩または過沃素酸、過塩素酸、過沃素酸ナトリウム、沃素酸、臭素酸、塩素酸カリウム、次亜塩素酸ナトリウム等の酸素酸及び酸素酸塩であるが、酸素類が好ましく、特に酸素が好ましい。これらの酸化剤は単独でもよいし、2種類以上を混合して用いても良い。またこれらの酸化剤は通常原料液に溶解して供給される。これら酸化剤の添加量は原料ラクトニトリルに対して0.001〜0.15モル比、好ましくは0.005〜0.05モル比である。酸化剤として酸素を用いる場合は純酸素を用いてもよいが、通常は窒素などの不活性ガスで希釈して用いられる。もちろん空気をそのまま、あるいは空気に酸素または不活性ガスを混合し調整して使用してもよい。酸素含有ガスの酸素濃度は任意でよいが、酸素濃度で2〜50%が特に好ましい。また酸素ガスを用いる場合は触媒を固定床として充填し、固相とガス相の間を反応液が流れるいわゆるトリクルベット型の反応器を用いるのが特に好ましく、これにより良好なる反応液とガスとの分散及び反応液と触媒との接触が達成される。当該反応器の反応液とガスの流れは向流または並流のいずれでも可能である。【0012】酸化剤に加え上記一般式(I)に示した含窒素化合物を、通常は0.0001〜5重量%、好ましくは0.0005〜3重量%共存させることにより、酸化剤のみを共存させた場合に比べ、触媒の活性向上と経時的な活性低下をさらに抑制することが可能となり、高い触媒活性を維持しながら高収率で目的の乳酸アミドを得ることが出来る。この一般式(I)において、R1 〜R3 はそれぞれ水素または炭素数1〜8の原子団を示す。この炭素数1〜8の原子団は、好ましくは炭素数1〜8のアルキル基,炭素数3〜8のシクロアルキル基,炭素数1〜8のヒドロキシアルキル基,炭素数1〜8のアミノアルキル基および炭素数1〜8のハロゲノアルキル基などが挙げられる。また、この一般式(I)で表される含窒素化合物の具体例としては、アンモニア,モノエチルアミン,ジエチルアミン,トリエチルアミン,モノメチルアミン,ジメチルアミン,トリメチルアミン,モノプロピルアミン,ジプロピルアミン,トリプロピルアミン,モノイソプロピルアミン,ジイソプロピルアミン,トリイソプロピルアミン,モノエタノールアミン,ジエタノールアミン,トリエタノールアミン,エチレンジアミンおよびジエチレントリアミンなどを挙げることができ、これらを一種又は二種以上を用いることができる。【0013】また酸化剤に加えシアン化水素を反応原料中に0.001〜2重量%添加すると、酸化剤のみを共存させた場合に比べ、経時的な活性低下はより一層抑制されると共に乳酸アミドの選択率も向上する。酸化剤の効果に対し付加的に生ずる含窒素化合物又はシアン化水素の効果は、含窒素化合物とシアン化水素とを共に酸化剤に加えた場合には相加的に効果が発揮される。このことは以下の実施例から明らかである。次に、本発明の方法を実施例および比較例により更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によりその範囲を限定されるものではない。【0014】【実施例】比較例1触媒調製:過マンガン酸カリウム0.398mol を水200mlに溶解した液に、硫酸マンガン一水和物0.316mol 及び硫酸錫0.0137mol を水200mlに溶かし濃硫酸0.968mol と混合した液を70℃撹拌下に、速やかに注下した。さらに撹拌を継続し90℃で2時間熟成の後、得られた沈澱を濾過し、水2000mlで5回洗浄し、得られたケーキを110℃で一晩乾燥し、変性二酸化マンガン64g を得た。このものの金属成分の含有量を測定した結果、錫/カリウム/マンガン=0.02/0.08/1(原子比)であった。反応:前記で得た二酸化マンガンを破砕して10〜20メッシュに揃えたもの4.5ccをジャケットを備えた内径10mmφのガラス製反応管に充填した。ジャケットには40℃の温水を流した。ラクトニトリル35.000重量部及び水65.000重量部の割合で混合した原料液を流速4.3g/hrで反応管に通した。反応器を出た液は循環ポンプにより43g/hr(循環比10)の流速で反応器入口へ再フィードした。反応器下部の液溜めより溢流する反応液の組成を高速液体クロマトグラフィーで反応開始後24時間および10日後に分析したところ、ラクトニトリルの転化率は、それぞれ80.2%、61.0%、また24時間後および10日後の乳酸アミドの選択率(ラクトニトリル基準)はそれぞれ94.6%、9 5.0%であった。【0015】比較例2窒素を35ml/hr の速度で反応管上部より供給した以外は比較例1と同様に反応を行った。反応開始後24時間および10日後に分析を行ったところ、ラクトニトリルの転化率は、それぞれ79.7%、58.3%、また24時間後および10日後の乳酸アミドの選択率(ラクトニトリル基準)はそれぞれ94.8%、94.5%であった。【0016】実施例1空気を35ml/hr の速度で反応管上部より供給した以外は比較例1と同様に反応を行った。反応開始後24時間および10日後に分析を行ったところ、ラクトニトリルの転化率は、それぞれ80.0%、67.3%、また24時間後および10日後の乳酸アミドの選択率(ラクトニトリル基準)はそれぞれ95.0%、95.0%であった。【0017】実施例2空気を35ml/hr の速度で反応管上部より供給し、ラクトニトリル35.000重量部、水64.490重量部及びトリメチルアミン0.510重量部の割合で混合した原料液を用いた以外は比較例1と同様に反応を行い、反応開始後24時間および10日後に分析を行ったところ、ラクトニトリルの転化率は、それぞれ85.1%、84.3%、また24時間後および10日後の乳酸アミドの選択率(ラクトニトリル基準)はそれぞれ95.2%、95.1%であった。【0018】実施例3空気を35ml/hr の速度で反応管上部より供給し、ラクトニトリル35.000重量部、水64.330重量部、トリメチルアミン0.510重量部及び青酸0.160重量部の割合で混合した原料液を用いた以外は比較例1と同様に反応を行い、反応開始後24時間および10日後に分析を行ったところ、ラクトニトリルの転化率は、それぞれ84.8%、84.1%、また24時間後および10日後の乳酸アミドの選択率(ラクトニトリル基準)はそれぞれ97.0%、97.2%であった。【0019】実施例4過酸化水素0.100重量部、ラクトニトリル35.000重量部及び水64.900重量部の割合で混合した原料液を用いた以外は比較例1と同様に反応を行った。反応開始後24時間および10日後に分析を行ったところ、ラクトニトリルの転化率は、それぞれ80.5%、69.1%、また24時間後および10日後の乳酸アミドの選択率(ラクトニトリル基準)はそれぞれ94.8%、95.0%であった。【0020】実施例5シアン化水素0.175重量部、ラクトニトリル35.000重量部及び水64.825重量部の割合で混合した原料液を用い、空気を35ml/hr の速度で反応管上部より供給した以外は比較例1と同様に反応を行った。反応開始後24時間および10日後に分析を行ったところ、ラクトニトリルの転化率は、それぞれ80.3%、73.1%、また24時間後および10日後の乳酸アミドの選択率(ラクトニトリル基準)はそれぞれ97.0%、97.5%であった。【0021】比較例3触媒調製:過マンガン酸カリウム0.398mol を水200mlに溶解した液に、硫酸マンガン一水和物0.316mol を水200mlに溶かし濃硫酸0.968mol と混合した液を70℃撹拌下に、速やかに注下した。さらに撹拌を継続し90℃で2時間熟成の後、得られた沈澱を濾過し、水2000mlで5回洗浄し、得られたケーキを110℃で一晩乾燥し、変性二酸化マンガン64g を得た。このものの金属成分の含有量を測定した結果、カリウム/マンガン=0.09/1(原子比)であった。反応:前記で得た二酸化マンガンを破砕して10〜20メッシュに揃えたもの4.5ccをジャケットを備えた内径10mmφのガラス製反応管に充填した。ジャケットには40℃の温水を流した。ラクトニトリル35.000重量部及び水65.000重量部の割合で混合した原料液を流速4.3g/hrで反応管に通した。反応器を出た液は循環ポンプにより43g/hr(循環比10)の流速で反応器入口へ再フィードした。反応器下部の液溜めより溢流する反応液の組成を高速液体クロマトグラフィーで反応開始後24時間および10日後に分析したところ、ラクトニトリルの転化率は、それぞれ78.3%、56.5%、また24時間後および10日後の乳酸アミドの選択率(ラクトニトリル基準)はそれぞれ95.0%、95.3%であった。【0022】実施例6空気を35ml/hr の速度で反応管上部より供給したほかは比較例3と同様に反応を行った。反応開始後24時間および10日後に分析を行ったところ、ラクトニトリルの転化率は、それぞれ79.2%、68.6%、また24時間後および10日後の乳酸アミドの選択率(ラクトニトリル基準)はそれぞれ95.0%、94.9%であった。【0023】実施例7空気を35ml/hr の速度で反応管上部より供給し、ラクトニトリル35.000重量部、水64.260重量部及びジエチルアミン0.74重量部の割合で混合した原料液を用いた以外は比較例3と同様に反応を行い、反応開始後24時間および10日後に分析を行ったところ、ラクトニトリルの転化率は、それぞれ82.3%、81.5%、また24時間後および10日後の乳酸アミドの選択率(ラクトニトリル基準)はそれぞれ95.0%、95.1%であった。【0024】実施例8空気を35ml/hr の速度で反応管上部より供給し、ラクトニトリル35.000重量部、水64.110重量部、ジエチルアミン0.74重量部及び青酸0.15重量部の割合で混合した原料液を用いた以外は比較例3と同様に反応を行い、反応開始後24時間および10日後に分析を行ったところ、ラクトニトリルの転化率は、それぞれ82.4%、81.5%、また24時間後および10日後の乳酸アミドの選択率(ラクトニトリル基準)はそれぞれ97.1%、97.3%であった。【0025】比較例4触媒調製:(特開平9−24275号公報)を参考にして下記の方法で調製を行った。過マンガン酸カリウム0.0625mol を水110mlに溶解した過マンガン酸カリウム水溶液に、濃硫酸0.06mol を徐々に加えた後、30℃に加熱した。この溶液に、シュウ酸0.125mol を水130mlに溶解したシュウ酸水溶液を、撹拌下、反応温度を30〜35℃に調整しながら添加した。添加終了後、加熱し、撹拌下、90℃で3時間熟成した。得られたスラリーを濾過し、沈澱ケーキを純粋で硫酸根が検出されなくなるまで洗浄し、110℃で乾燥し、粉砕することにより黒色の二酸化マンガン触媒を得た。反応:前記で得た二酸化マンガンを破砕して10〜20メッシュに揃えたもの17ccをジャケットを備えた内径10mmφのガラス製反応管に充填した。ジャケットには40℃の温水を流した。ラクトニトリル35.000重量部及び水65.000重量部の割合で混合した原料液を流速4.3g/hrで反応管に通した。反応器を出た液は循環ポンプにより43g/hr(循環比10)の流速で反応器入口へ再フィードした。反応器下部の液溜めより溢流する反応液の組成を高速液体クロマトグラフィーで反応開始後24時間および10日後に分析したところ、ラクトニトリルの転化率は、それぞれ79.6%、57.0%、また24時間後および10日後の乳酸アミドの選択率(ラクトニトリル基準)はそれぞれ95.2%、95.4%であった。【0026】実施例9空気を35ml/hr の速度で反応管上部より供給したほかは比較例4と同様に反応を行った。反応開始後24時間および10日後に分析を行ったところ、ラクトニトリルの転化率は、それぞれ80.2%、67.5%、また24時間後および10日後の乳酸アミドの選択率(ラクトニトリル基準)はそれぞれ95.0%、95.4%であった。【0027】【発明の効果】本発明によれば、高い触媒活性を長期間維持しながらラクトニトリルから乳酸アミドを製造することができ、工業的に極めて大きな意義をもつものである。 マンガン酸化物を主成分とする触媒と、酸化剤及びシアン化水素との存在下で、ラクトニトリルと水を反応させることを特徴とする乳酸アミドの製造法。 マンガン酸化物を主成分とする触媒がアルカリ金属元素を含有する変性二酸化マンガンである請求項1記載の乳酸アミドの製造法。 酸化剤が酸素類、過酸化物、酸素酸及び酸素酸塩からなる群より選ばれた少なくとも1種である請求項1記載の乳酸アミドの製造法。 マンガン酸化物を主成分とする触媒と、酸化剤及びシアン化水素と、一般式(I)で示される化合物との存在下で、ラクトニトリルと水を反応させる請求項1記載の乳酸アミドの製造法。(R1〜R3はそれぞれ水素又は炭素数1〜8の原子団を示す)