生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_冬虫夏草の判別法
出願番号:1998218876
年次:2007
IPC分類:G01N 33/48,G01N 30/88


特許情報キャッシュ

喬 亜芳 高木 典子 須藤 桂一 JP 3978529 特許公報(B2) 20070706 1998218876 19980803 冬虫夏草の判別法 大正製薬株式会社 000002819 北川 富造 100074114 喬 亜芳 高木 典子 須藤 桂一 20070919 G01N 33/48 20060101AFI20070830BHJP G01N 30/88 20060101ALI20070830BHJP JPG01N33/48 NG01N30/88 A G01N 33/48-G01N 33/98 JMEDPlus(JDream2) JSTPlus(JDream2) 特開平09−037797(JP,A) 特開平10−232230(JP,A) Hsu,T.-H., et al.,A comparison of the chemical composition and bioactive ingredients of the Chinese medicinal mushroom DongChongXiaCao, its counterfeit and mimic, and fermented mycelium of Cordyceps sinensis,Food Chemistry,2002年,Vol.78,p.463-469 1 2000055912 20000225 8 20050705 白形 由美子 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、天然冬虫夏草の判別法に関する。【0002】【従来の技術】冬虫夏草の実態はキノコ(菌類)であり、バッカクキン科の植物(フユムシナツクサタケ)の子実体とその寄主であるコウモリガ科の昆虫(チュウソウヘンプクガなど)の幼虫の死体との複合体である。古くから中国ではこれを漢方薬として珍重してきたが、現在では運動機能の向上、疲労、滋養強壮効果、抗ストレス効果、胃潰瘍の予防効果、中高年の男性の性機能への効果など種々の作用が検討報告され、注目されている。しかしながら、冬虫夏草は中国奥地、チベット、ネパール、ヒマラヤに至る海抜3000mから4000mの高山地帯に分布していることから非常に入手が困難で、香棒虫草、亜香棒虫草、凉山虫草、僵虫(白僵蚕)、蚕蛹虫草、金蝉花、新彊虫、川草等の類似品や、最近は冬虫夏草の純粋培養の研究も盛んに行われ、そこから得られた培養品も出回るようになり、天然の冬虫夏草と判別する点で問題となりつつある。【0003】従来、天然の冬虫夏草の判別法としては形態学的な方法が一般的であり、生薬の外観や性状(色、におい、味)及び内部形態(切片の顕微鏡観察)から判別する手段があった。最近、遺伝子レベルでの判別法も検討されているが、研究過程であって、未だ確立されていない。【0004】また、冬虫夏草に関する成分研究はアミノ酸、核酸塩基などについて行われているが、これらの成分を指標とした天然品と培養品の成分比較では両者の良好な判別法を見出すに至っていない(薬学通報,16(2),53(1981);中薬通報,10(3),129(1985);薬学雑誌,111(9),504(1991)など)。【0005】【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、冬虫夏草を判別する有用かつ簡便な評価方法を提供することにある。【0006】【課題を解決するための手段】本発明者らは上記目的について鋭意研究した結果、冬虫夏草には下記の構造式を有する二次代謝成分のマイコスポリン(Tetrahedron Lett.(1983),24(1),65-8)及びマイコスポリン−2(Phytochemistry(1981),20(12),2705-7)が含まれることを見出し、これらを指標とすることにより冬虫夏草を培養品及び類似品と判別できる方法を確立し、本発明を完成した。【0007】【化1】【0008】【化2】【0009】すなわち、本発明は、マイコスポリン及びマイコスポリン−2の1種又は2種を指標とすることを特徴とする冬虫夏草の判別法である。【0010】【発明の実施の形態】本発明における分析は、マイコスポリン及びマイコスポリン−2が分離検出可能な理化学的手法であれば特に限定されない。それらは例えば、各種クロマトグラフィー(高速液体クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー、ペーパークロマトグラフィーなど)、その他呈色反応などが挙げられる。【0011】本発明の実施例は高速液体クロマトグラフィーについて示しているが本法に限定されるものではなく、また高速液体クロマトグラフィーにおけるカラム充填剤、カラム温度、移動相、移動相流量などの操作条件も実施例に限定されるものではなく、本発明を達成し得る条件であればよい。【0012】本発明は、冬虫夏草、培養品及び類似品等に適用できる。判別に用いることができる試料は、従来の方法が形態学的判別法であるため、生薬の原形あるいはその形態が部分的に観察できるもの(全形、刻み、粉末)に限られていたのに対して、本発明はマイコスポリン及びマイコスポリン−2の1種又は2種を指標とする理化学的分析による方法であるため、原生薬、生薬末に限らず、冬虫夏草又は類似品より製したエキス(軟エキス、乾燥エキス、流エキス、チンキ)、培養物(菌糸体エキス)、これらを原料として配合した製剤(医薬品、食品、飲料、ペットフードなど)など、生薬の原形を留めないものであっても測定可能である。【0013】なお、試料溶液は測定方法により、適宜前処理することにより調製される。【0014】【発明の効果】本発明は冬虫夏草を判別する有用かつ簡便な方法を提供するものである。本発明の方法は、原生薬のみならず、生薬の原型を留めない生薬末や各種エキス、更に生薬配合製剤にも適用可能であり、生薬の形態学的判別法のように長年の経験や勘を必要とせず、確実、客観的でしかも簡便な評価方法として有用である。【0015】【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。実施例冬虫夏草、冬虫夏草の類似品及び冬虫夏草の培養品について、高速液体クロマトグラフ装置を用いて分析を行った。被験試料を表1に示した。【0016】【表1】【0017】<試験方法>粉末とした冬虫夏草又は冬虫夏草の類似品0.5gを量り、水20mLを加え、10分間超音波を照射した後、10分間振とうした。その後遠心分離(3000rpm、5分間)を行い、上澄液を50mLのメスフラスコに分取した。残留物に更に水10mLを加え、10分間振とうした。その後遠心分離(3000rpm、5分間)を行い、上澄液を分取し、先のメスフラスコに合わせた。残留物について更に前記工程を繰り返した後、メスフラスコに水を加え、全量を50mLとし、試料溶液とした。なお、冬虫夏草のエキス及び培養品は、水で希釈し試料溶液とした。【0018】別に、マイコスポリン及び/又はマイコスポリン−2 各1mg(又は1mg)をとり、水を加えて溶かし10mLとし、標準溶液とした。【0019】試料溶液及び標準溶液10μLをそれぞれ取り、次の条件で高速液体クロマトグラフ法により試験を行った。【0020】<使用機器>液体クロマトグラフ装置:日本分光社製インテグレーター:島津C−R7A<操作条件>検出器:紫外吸光光度計(測定波長:310nm)カラム:TSKgel ODS-80Ts(4.6mmφ×150mm)カラム温度:50℃付近の一定温度移動相:10mMリン酸二水素カリウム試液に水酸化カリウム試液を加えてpH5.5に調整したもの移動相流量:0.8mL/ min<結果>結果を表2に示した。表2から明らかなように、天然の冬虫夏草ではマイコスポリン及びマイコスポリン−2が含有されるのに対し、冬虫夏草の類似品及び冬虫夏草の培養品ではマイコスポリン及びマイコスポリン−2は全く含まれていなかった。なお、各標準溶液、冬虫夏草として川統虫草、蔵統虫草、冬虫夏草の類似品として凉山虫草、新彊虫及び冬虫夏草の培養品として培養品−1の液体クロマトグラムをそれぞれ図1〜3、図4〜5、図6〜7及び図8に示した。【0021】【0022】【表2】【0023】【図面の簡単な説明】【図1】マイコスポリン標準溶液の高速液体クロマトグラフ法によるクロマトグラムを示す。【図2】マイコスポリン−2標準溶液の高速液体クロマトグラフ法によるクロマトグラムを示す。【図3】マイコスポリン標準溶液及びマイコスポリン−2標準溶液の高速液体クロマトグラフ法によるクロマトグラムを示す。【図4】川統虫草の高速液体クロマトグラフ法によるクロマトグラムを示す。【図5】蔵統虫草の高速液体クロマトグラフ法によるクロマトグラムを示す。【図6】凉山虫草の高速液体クロマトグラフ法によるクロマトグラムを示す。【図7】新彊虫の高速液体クロマトグラフ法によるクロマトグラムを示す。【図8】培養品−1の高速液体クロマトグラフ法によるクロマトグラムを示す。 マイコスポリン及びマイコスポリン−2の1種又は2種を指標とすることを特徴とする冬虫夏草の天然品と類似品又は培養品との判別法。


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