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タイトル:特許公報(B2)_フルオロアセトンの製造方法
出願番号:1998217980
年次:2005
IPC分類:7,C07C49/167,C07C45/29,C07C45/30,C07C45/63


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園田 寛 後藤 謙一 福村 考記 成瀬 純子 林 秀俊 永田 輝幸 JP 3625028 特許公報(B2) 20041210 1998217980 19980731 フルオロアセトンの製造方法 三井化学株式会社 000005887 園田 寛 後藤 謙一 福村 考記 成瀬 純子 林 秀俊 永田 輝幸 20050302 7 C07C49/167 C07C45/29 C07C45/30 C07C45/63 JP C07C49/167 C07C45/29 C07C45/30 C07C45/63 7 C07C 49/167 C07C 45/29 C07C 45/30 C07C 45/63 特開2000−038370(JP,A) 特開平04−308547(JP,A) 特開平04−308538(JP,A) 1 2000044508 20000215 6 20010713 松本 直子 【0001】【発明の属する技術分野】本発明はフルオロアセトンの製造方法に関する。【0002】【従来の技術】フルオロアセトンは色材、香料、医農薬等の中間体として有用な化合物である。フルオロアセトンの従来の合成方法としては、例えば、工業化学雑誌59<1956>395に開示されているクロロアセトンとフッ化カリウムを170〜190℃という高温で反応させて製造する方法、J.Mol.Struct.,159<1987>記載のような同反応をethan−1,2−diol中で行う方法、また、J.Fluorine Chem.,15<1980>,423−434記載のようにブロモアセトンとトリエチルアミンの3HF塩を反応させて合成する方法等が知られている。これらの方法の原料となるクロロアセトンは化学大辞典によると、冷アセトンに塩化カルシウム存在下で塩素を通じる、またはジケテンに塩素を作用させたのち、水と煮沸しても得られることが示されている。【0003】【発明が解決しようとする課題】このように、従来のフルオロアセトンの製造方法は、先ず最初にアセトンに塩素または臭素を反応させてクロロアセトンまたはブロモアセトンを合成したのち、次にこれとフッ素化試剤のKFまたはEt3N・3HFを高温で反応させて合成している。これらの方法は二段階の反応を要する点、また、原料のクロロアセトンまたはブロモアセトンの製造において、腐食性の強いハロゲン化水素が発生するため、工業的規模での実施に際しては特殊な反応容器を必要とし、アルカリ洗浄塔等の設備を備えなければならない等、技術的または経済的な問題点を抱えていた。【0004】【課題を解決するための手段】本発明者等は、先に一般式(1)【化2】【0005】(式中、R1〜R4は、置換または無置換の飽和または不飽和のアルキル基、置換または無置換のアリール基を表し、同一でも異なっていても良い。また、R1とR2、R3とR4が窒素原子、または窒素原子以外のヘテロ原子含む環を構成してもよい。また、R1とR3が窒素原子、または窒素原子以外のヘテロ原子含む環を構成してもよい。)で示される新規フッ素化剤の提起を行った。その後、フルオロアセトンを容易に製造する方法について鋭意検討の結果、一般式(1)で表されるフッ素化剤とグリセリンを反応させることで、極めて安全、かつ容易にフルオロアセトンを合成できることを見い出し、本発明を完成するに至った。【0006】即ち、本発明は、グリセリンに、一般式(1)【化3】(式中、R1〜R4は、前記と同じ意味を示す。)で表されるフッ素化剤を反応させることを特徴とするフルオロアセトンの製造方法を提供するものである。【0007】【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。本発明で使用するフッ素化剤は、一般式(1)【化4】(式中、R1〜R4は前記と同じ意味を示す。)で表される化合物である。【0008】これらの一般式において、R1〜R4は同一又は異なっていてもよい、置換または無置換の飽和または不飽和のアルキル基、置換または無置換のアリール基を表す。好ましくは炭素数1〜6のアルキル基又はアリール基であり、アルキル基は直鎖状または分岐状であってもよい。具体例として、メチル基、エチル基、n−プロピル基、アリル基、イソプロピル基、n−ブチル基、ブテニル基、n−ヘキシル基、フェニル基等が挙げられ、これらは同一でも異なっていてもよい。【0009】また、R1とR2、R3とR4が窒素原子、または窒素原子以外のヘテロ原子含む環を構成してもよい。また、R1とR3が窒素原子、または窒素原子以外のヘテロ原子含む環を構成してもよい。具体的には、R1とR2、R3とR4がそれぞれ結合して、窒素原子を含む炭素数3〜5のヘテロ環を構成していてもよい。このような環の例としては、ピロリジン環、ピぺリジン環が挙げられる。【0010】更には、R1とR3が結合して、2個の窒素原子を含んでなるヘテロ5員環または6員環を構成してもよい。このような環の例としては、イミダソリジン環、イミダソリジノン環、ピリミジン環、ピリミジノン環が挙げられる。【0011】一般式(1)で表される化合物として、好ましい具体例として以下の化合物を挙げることができるが、本発明はここに示した例に制限されるものではない。【0012】ビス−ジメチルアミノ−ジフルオロメタン、ビス−ジエチルアミノ−ジフルオロメタン、ビス−ジ−n−プロピルアミノ−ジフルオロメタン、ビス−ジイソプロピルアミノ−ジフルオロメタン、ビス−ジ−アリルアミノ−ジフルオロメタン、ビス−ジ−n−ブチルアミノ−ジフルオロメタン、ビス−ジ−n−ヘキシルアミノ−ジフルオロメタン、ビス(1−ピロリジル)−ジフルオロメタン、ビス(1−ピペリジル)ジフルオロメタン、2,2−ジフルオロ−1,3−ジメチル−イミダゾリジン、2,2−ジフルオロ−1,3−ジエチル−イミダゾリジン、2,2−ジフルオロ−1,3−ジ(n−プロピル)イミダゾリジン、2,2−ジフルオロ−1,3−ジイソプロピル−イミダゾリジン、2,2−ジフルオロ−1,3−ジアリル−イミダゾリジン、2,2−ジフルオロ−1,3−ジ(n−ブチル)イミダゾリジン、ビス(N,N’−メチルフェニル)ジフルオロメタン、2,2−ジフルオロ−1,3−ジメチル−イミダゾリジン−4,5−ジオン、2,2−ジフルオロ−1,3−ジ(n−ブチル)イミダゾリジン−4,5−ジオン、2,2−ジフルオロ−1,3−ジメチルピリミジン等が挙げられる。【0013】本発明方法で使用するフッ素化剤は次の方法で製造できる。すなわち、一般式(2)【化5】【0014】(式中、X1及びX2は塩素又は臭素原子を示し、同一でも異なっていてもよく、式中、R1〜R4は、前記と同じ意味を示す。)で表される化合物とフッ素のアルカリ金属塩を無反応性の溶媒中でハロゲン交換反応を行わせることによって安全に、かつ容易に得ることができる。【0015】フッ素のアルカリ金属塩として、フッ化セシウム、フッ化ルビジウム、フッ化カリウム、フッ化ナトリウム等が使用可能であり、好ましくは経済的、反応効率的にも有利なフッ素化反応用のスプレードライ品のフッ化カリウムが良い。【0016】一般式(2)で表される化合物は、通常、X1及びX2が塩素原子である化合物を使用するが、臭素原子である化合物を使用してもよい。尚、無反応性の溶媒とは、反応に影響を与えない、即ち原料の一般式(2)で表される化合物、生成物の一般式(1)で表される化合物と反応しないものを示す。【0017】一般式(1)で表される化合物を製造する原料として用いられる一般式(2)で表される化合物は、例えば、テトラアルキル尿素、テトラアルキルチオ尿素、N,N’−ジアルキルイミダゾリジノン、N,N’−ジアルキルイミダゾリチノン等をホスゲンまたは、チオニルクロライド、チオニルブロマイド、三塩化燐、三臭化燐等のハロゲン化剤でハロゲン化することによって製造することができる。例えば、2−クロロ−1,3−ジメチルイミダゾリニウム=クロリドの製造は、特開昭59−25375号公報に記載されている方法で容易に製造することができる。【0018】本発明の一般式(1)で表される化合物の製造において、ハロゲン交換反応で使用するフッ素のアルカリ金属塩の使用量はテトラアルキル−ハロホルムアミジニウム=ハライドに対して、好ましくは2当量以上、更に好ましくは2〜5当量である。2当量未満では未交換のハライドが残存し不十分である場合があり、5当量を超えて用いても反応成績はあまり大きくは向上しない。【0019】ハロゲン交換反応の反応溶媒はテトラアルキル−ハロホルムアミジニウム=ハライド、及び生成する化合物と反応しない溶媒であれば特に制限はなく、好ましい例としてアセトニトリル、ジメチルホルムアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ジクロロメタン、エチレンジクロリド等が挙げられる。【0020】一般式(1)で表される化合物の製造の際に使用する反応溶媒量は特に限定されるものではないが、反応効率及び操作性から、好ましくは反応基質に対して通常1から10重量倍である。反応温度は反応速度と生成物の安定性の面から、通常−20℃〜150℃、好ましくは0℃〜100℃の範囲である。【0021】ハロゲン交換反応は四級アルキルアンモニウム塩や四級アルキルホスホニウム塩等の相間移動触媒を共存させて行うことも可能である。得られた一般式(1)で表される化合物はハロゲン交換反応液のまま次のフッ素化反応に使用することもできるし、あるいは無機塩を濾別して反応溶媒を留去した後、次のフッ素化反応に使用することもできるし、または蒸留によって単離して使用することもできる。【0022】本発明方法において使用する一般式(1)で表されるフッ素化剤はグリセリンに対して通常3〜10倍mol以上が好ましい。より好ましくは3〜5倍molである。【0023】本発明方法において反応溶媒は使用するグリセリンやフルオロアセトン、一般式(1)で表されるフッ素化剤と反応しないものであれば特に制限はないが、例えばアセトニトリル、ジクロロメタン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチルエーテル等が挙げられる。【0024】反応によってフッ化水素が発生するので、三級アミン等を添加してフッ化水素の捕捉をおこなう方が良い。捕捉剤として使用可能な三級アミンとしては、ピリジン、トリエチルアミン等が挙げられる。【0025】本発明方法の反応温度は通常−20〜100℃が好ましく、より好ましくは−10〜50℃である。反応時間はグリセリンの滴下終了後、10〜30分あれば良い。【0026】反応生成物は過剰のフッ素化試剤を重曹水等で分解した後、抽出または分液して、これより蒸留によって容易に分離可能である。反応に使用する容器は特に制限はないが、通常のガラス製容器、またはSUS製容器が使用可能である。【0027】本発明方法の具体的な操作の一例を挙げると、反応容器に反応溶媒とフッ素化剤及び、三級アミンを入れておき、これを攪拌しながら−20〜5℃に冷却し、この中にグリセリンをゆっくりと滴下していく方法を挙げることができる。滴下時に発熱するので冷却しながら行う必要がある。滴下終了後通常10〜30分で反応は終了する。【0028】【実施例】以下、実施例により具体的に本発明を説明する。実施例反応容器に1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン3gと2,2−ジフルオロ−1,3−ジメチルイミダゾリジン0.68g及び、攪拌子を入れて、2℃まで冷却した。攪拌しながら、これにグリセリン0.154gを1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン2gに溶解した液をシリンジを用いてゆっくりと滴下した。滴下終了後10分間したあと反応を終了した。反応液のGC−MS及び、GC分析よりフルオロアセトンの生成を確認した。GC分析値から求めた反応収率は90%であった。【0029】【発明の効果】本発明方法により、色材、香料、医農薬等の中間体として有用な化合物であるフルオロアセトンを特別な容器を用いず、一段階で、収率良く、容易に工業的に製造することが可能となった。 グリセリンに、一般式(1)(式中、R1〜R4は、置換または無置換の飽和または不飽和のアルキル基、置換または無置換のアリール基を表し、同一でも異なっていても良い。また、R1とR2、R3とR4が窒素原子、または窒素原子以外のヘテロ原子含む環を構成してもよい。また、R1とR3が窒素原子、または窒素原子以外のヘテロ原子含む環を構成してもよい。)で表されるフッ素化剤を反応させることを特徴とするフルオロアセトンの製造方法。


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