生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_アスペルギルス・ニガー由来のリパーゼの安定化組成物および安定化法
出願番号:1998169232
年次:2008
IPC分類:A61K 38/46,A61K 47/36,A61P 1/00


特許情報キャッシュ

仲 恭寛 JP 4175696 特許公報(B2) 20080829 1998169232 19980601 アスペルギルス・ニガー由来のリパーゼの安定化組成物および安定化法 天野エンザイム株式会社 000216162 西尾 章 100109597 仲 恭寛 20081105 A61K 38/46 20060101AFI20081016BHJP A61K 47/36 20060101ALI20081016BHJP A61P 1/00 20060101ALI20081016BHJP JPA61K37/54A61K47/36A61P1/00 A61K 38/46 A61K 35/74 BIOSIS(STN) CAplus(STN) EMBASE(STN) MEDLINE(STN) JSTPlus(JDreamII) JMEDPlus(JDreamII) JST7580(JDreamII) 特開平05−268952(JP,A) 特開平10−084955(JP,A) 特開平04−370096(JP,A) 須崎 尚 他,医学と生物学,1995年,Vol.131,pp.43-46 SCHNEEMAN, B.O. et al.,Journal of Food Science,1978年,Vol.34,pp.1034-1035 ISAKSSON, G. et al.,Gastroenterology,1982年,Vol.82,pp.918-924 4 1999349491 19991221 6 20050203 安居 拓哉 【0001】【産業上の利用分野】本発明は、胆汁酸塩に対してアスペルギルス・ニガー由来のリパーゼを安定化させたリパーゼの組成物および安定化法に関する。さらに詳細には、消化管(十二指腸、小腸上部)内環境成分存在下、アスペルギルス・ニガー由来のリパーゼ活性が同消化管内に分泌される胆汁酸塩により阻害される反応において、食物繊維であるラミナランまたはアラビアゴムまたはキシランを共存することにより該リパーゼを安定化せしめたリパーゼの組成物および安定化法に関するものである。【0002】本発明による組成物は動物起源の膵臓性脂肪消化酵素(パンクレアチン)と同様にアスペルギルス・ニガー由来のリパーゼを消化不良性症候群や慢性膵炎の患者または胃・膵臓摘出により消化機能を失った患者に適用することができる。【0003】【従来の技術】微生物リパーゼ活性の胆汁酸塩による阻害と回復については、本発明者の報告〔特開平4-370096及びBiosci. Biotech. Biochem.,56(7),1066-1070(1992)〕がある。すなわち糸状菌のリゾプス属、ムコール属、酵母菌のカンジダ属、細菌のシュードモナス属のリパーゼ活性は生理的濃度の胆汁酸塩によって阻害を受けるが、消化管内に漏出する血清アルブミンとそのN末端アミノ酸のヒスチジンやアスパラギン酸で回復するものであった。【0004】本発明者は、上述の手段がより広い範囲の微生物由来リパーゼに適用されることを確かめるためさらに検討を続けたところ、アスペルギルス・ニガー由来のリパーゼが同手段では回復が不十分であり、鋭意他の対策を抗じる必要があった。【0005】【課題を解決するための手段】本発明者は既に、消化管内での適正なリパーゼの特性を求めるための測定法として非乳化系が望ましいことを報告した(特開平4-370096)。すなわち、従来の乳化系のように、用いる乳化剤の種類によってリパーゼの特性が変化せず、さらに生体内関連成分やヒトの食物摂取量比を反映し、より生体内反応に近い条件を具備した高濃度混合基質系非乳化測定法〔消化と吸収、20巻、2号、102頁(1997)〕を活用して、胆汁酸塩で活性が低下したアスペルギルス・ニガーのリパーゼをある種の添加物と共存させることにより活性を回復させることができることを見出して本発明を完成した。【0006】微生物起源のリパーゼとしてはアスペルギルス・ニガー由来のものが該当する。より具体的にはリパーゼAP4及びリパーゼAP6(何れも天野製薬製)が挙げられる。【0007】繊維成分としては人が通常食物として摂取する食物繊維成分であり、例えばラミナラン(褐藻類成分)、アラビアゴム(食品の安定剤として広く使用される)、キシラン(からす麦成分)寒天、グアーガム、ペクチン等が挙げられるが、好ましくはラミナラン、アラビアゴム、キシランが用いられ、より好ましくはラミナリン、アラビアゴムが用いられる。【0008】添加量としては本発明の効果が現れる量であれば良く、活性の回復および安定化度は添加物の濃度の上昇とともに増大する。添加方法としては、リパーゼが胆汁酸塩と接触する際に共存できる形態であれば良い。本発明は、上記のような方法で調製されたアスペルギルス・ニガー由来のリパーゼ組成物も提供する。【0009】本発明の効果を判断するためのリパーゼ測定法は前述の高濃度混合基質含有非乳化系の測定法を採用した。【0010】予め澱粉1.5gを緩衝液(0.05Mトリスー塩酸緩衝液、pH7.0または0.1M酢酸緩衝液、pH6.0、いずれも150mM塩化ナトリウム、1mM塩化カルシウムを含む)に溶解したもの5ml、ミルクカゼイン0.5g、およびオリブ油1mlを混和し、37℃ で10分間加温した。これに希釈酵素液1mlを加えて600rpmで180分間反応した。反応停止液(n-ヘプタン:イソプロピルアルコール:2N-硫酸=10:40:1)10mlを加え、さらにn-ヘプタンを5mlと精製水3mlを入れ、900rpmで10分間生成脂肪酸を抽出した。分離した上層ヘプタンを5ml分取し、1%チモールブルー試液1滴を指示薬として0.1Nエタノール性水酸化カリウム溶液で脂肪酸を滴定した。ブランク値は反応停止液を希釈酵素液より先に加えた後、同様に操作して求めた。【0011】混合胆汁酸塩、〔K.W.Heaton著、神坂和明ら訳「胆汁酸、その生理と病態」18頁(1977)〕の組成に準じた。すなわち、グリココール酸ナトリウム:グリコデオキシコール酸ナトリウム:タウロコール酸ナトリウム:タウロデオキシコール酸ナトリウム=3.1:4.5:1:1.4の混合胆汁酸塩を10mM〔消化と吸収、最新医学、20巻、11号、12号、別冊、116頁(1966)〕の生理的濃度を終濃度として用いた。【0012】澱粉、蛋白(ミルクカゼイン)、油脂(オリブ油)の量と比率は日本人成人の一日摂取量〔厚生省監修、国民栄養の現状、151頁、1990年、第一出版〕と高脂肪食を加味して、反応系使用量としてそれぞれ1.5g、0.5 g、1mlとした。【0013】また食物繊維の添加量は基質のオリブ油に対し、20%-100%の範囲を用いた。(本反応系では100%が限度で、これ以上では反応での撹拌が停止し、実験が困難である。)【0014】以下、実施例により本発明を明確にするが、本発明はこれらに限定されるものではない。【0015】【実施例】実施例1 0..1M酢酸緩衝液(pH6.0)または0.05Mトリスー塩酸緩衝液(pH7.0)5ml(いずれも150mM塩化ナトリウム、1mM 塩化カルシウムを含む)、オリブ油1 ml、アスペルギルス・ニガー由来のリパーゼ希釈酵素液1ml(8mg/ml)に10mM混合胆汁酸塩(反応終濃度として)、1.5g澱粉、0.5gミルクカゼイン、1.5g澱粉+0.5gミルクカゼイン、1.5g澱粉+0.5gミルクカゼイン+10mM混合胆汁酸塩をそれぞれ加えて37℃.180分間、600rpmで反応させた。その結果を図1に示す。図より明らかなように、対照(澱粉、ミルクカゼイン、混合胆汁酸塩の添加していないもの)の100%に対し、いずれの添加系も著しくリパーゼ活性が低下した。【0016】実施例2 0.1M酢酸緩衝液(pH6.0)または0.05Mトリスー塩酸緩衝液(pH7.0)5ml( いずれも150mM塩化ナトリウムと1mM塩化カルシウムを含む)、オリブ油1ml、アスペルギルス・ニガー由来のリパーゼ希釈酵素液1ml(8mg/ml)にラミナランを200mg、400mg、600mg、1000mgをそれぞれ加えて37℃、180分間、600rpmで反応させた。その結果を図2に示す。図より明らかなように、〔澱粉+ミルクカゼイン+混合胆汁酸塩〕添加系が対照の無添加系に比べてpH6.0およびpH7.0とも残存活性で10%以下に低下したのに対して、ラミナラン添加系は濃度が増すにつれて活性が増大して、著しい回復を示した。【0017】実施例3 実施例2と同様の系を用いてアラビアゴムを200mg、400 mg、600mg 、1000mgをそれぞれ加えて同様に反応させた。その結果を図3に示す。図より明らかなように、〔澱粉+ミルクカゼイン+混合胆汁酸塩〕添加系が対照の無添加系にくらべてpH6.0および pH7.0とも残存活性で15%以下に低下したのに対して、アラビアゴム添加系は著明に活性を回復した。【0018】実施例4 実施例2および実施例3と同様の系を用いて、キシランの効果を調べた。その結果を図4に示す。図より明らかなように、キシランの添加濃度とともにリパーゼ活性が上昇した。その効果はラミナリンやアラビアゴムの回復効果と比較するとわずかに劣るものであった。【0019】【発明の効果】本発明により、腸管内での消化にアスペルギルス・ニガー由来のリパーゼを用いる際、胆汁酸塩によるリパーゼ活性の低下を防止し、または回復させる方法が見出され、消化不良症候群や慢性膵炎の患者あるいは胃・膵臓の摘出手術を受けて後消化不良症状をもつ患者の治療に貢献することができる。特に胆汁酸塩によって阻害を受けるリパーゼ活性の回復手段としてのラミナラン、アラビアゴム、キシランの効果は生理的にも有用である。【図面の簡単な説明】【図1】実施例1の結果を示す図である。【図2】実施例2の結果を示す図である。【図3】実施例3の結果を示す図である。【図4】実施例4の結果を示す図である。 アスペルギルス・ニガー由来のリパーゼと、食物繊維のラミナラン、アラビアゴム又はキシランの何れか一種以上を含有する、胆汁酸塩に対して安定化されたリパーゼ組成物。 アスペルギルス・ニガー由来のリパーゼに、食物繊維のラミナラン、アラビアゴム又はキシランの何れか一種以上を共存せしめ、該リパーゼを胆汁酸塩に対して安定化する方法。 更に澱粉及び/又は蛋白質を共存させてなる請求項1記載のリパーゼ組成物。 更に澱粉及び/又は蛋白質を共存させてなる請求項2記載の安定化法。


ページのトップへ戻る

生命科学データベース横断検索へ戻る