生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_加水分解性塩素含量の低いエポキシ樹脂の製造方法
出願番号:1998156226
年次:2011
IPC分類:C08G 59/02,C07D 301/32


特許情報キャッシュ

横田 明 中島 伸幸 JP 4846078 特許公報(B2) 20111021 1998156226 19980604 加水分解性塩素含量の低いエポキシ樹脂の製造方法 長春人造樹脂廠股▲分▼有限公司 595009383 高島 一 100080791 横田 明 中島 伸幸 20111228 C08G 59/02 20060101AFI20111208BHJP C07D 301/32 20060101ALN20111208BHJP JPC08G59/02C07D301/32 C08G 59/00- 59/72 C07D301/32 特開昭63−174981(JP,A) 特開平04−139230(JP,A) 7 1999349661 19991221 8 20050308 2008032449 20081224 小林 均 近藤 政克 小野寺 務 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、接着剤、塗料、絶縁材料や積層板などの電気、電子材料として有用な、不純物としての加水分解性塩素含量の低いエポキシ樹脂の製造方法に関する。【0002】【従来の技術】電気、電子材料として使用されるエポキシ樹脂は、加水分解性塩素の含量が低いことが不可欠である。加水分解性塩素の含量の低いエポキシ樹脂の製造方法として、従来さまざまな方法が提案されている。例えば、特開昭54−13596号、特開昭54−90400号および米国特許第3,121,727号明細書には多価フェノールのグリシジルエーテルの製造にあたり、多価フェノールとエピクロロヒドリンにアルコール類を添加して反応を行う方法が記載されている。また、特開昭58−189223号、特開昭60−31517号公報にも多価フェノールとエピクロロヒドリンに環状または直鎖上エーテル化合物、ないしは非プロトン性極性溶媒等の特定の溶媒を添加して反応を行う方法が記載されている。【0003】また、特開昭62−235314号公報にはエポキシ樹脂の高純度化の方法として、エポキシ樹脂を非プロトン性極性溶媒に溶解しアルカリ金属水酸化物と接触反応させ、エポキシ樹脂を精製する方法が記載されている。しかしながら、この方法による製品には、閉環していない1,2−プロピレンクロルヒドリン基に由来する塩素が多く、この方法では加水分解性塩素の含量がそれほど低くならない。【0004】【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、半導体封止用樹脂等として有用な、加水分解性塩素含量の低いエポキシ樹脂の製造方法を提供することである。【0005】【課題を解決するための手段】このような事情に鑑み本発明者らは鋭意検討した結果、特定の方法が上記の目的にあうことを見出し本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、不純物として加水分解性塩素を含有するエポキシ樹脂を、非プロトン性極性溶媒の存在下にアルカリ性物質と接触させる第1の処理を行い、次いで得られる第1の処理物を、その中に含まれる非プロトン性極性溶媒をそれ以外の有機溶媒と置換した後、アルカリ性物質と接触させる第2の処理を行うことを特徴とする、不純物としての加水分解性塩素含量の低いエポキシ樹脂の製造方法に関する。【0006】【発明の実施の形態】本発明において用いられる、不純物として加水分解性塩素を含有するエポキシ樹脂は、多価フェノールを通常の方法でエポキシ化したものであり、ハロゲン、アルキル基、アリル基、アルケニル基、アリール基あるいはアラルキル基で置換された、あるいは無置換のフェノール単位よりなる一価または多価フェノールのエポキシ化物である。具体的な例として、各種のジヒドロキシベンゼン、ジ−t−ブチルジヒドロキシベンゼン、ジヒドロキシナフタレンなどのエポキシ化物(各々各種の異性体を含む)があげられる。また、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビフェノール、テトラメチルビフェノール、スチルベンジオール類などのビスフェノール類のエポキシ化物があげられる。また、ヒドロキシベンズアルデヒド類と各種フェノール類からなる多価フェノール類、あるいは、フェノールノボラック、クレゾールノボラック、レゾルシノールノボラックなどの多価フェノール類のエポキシ化物があげられるが、これらに限定されるものではない。【0007】アミノフェノール型エポキシ樹脂は、各種のアミノフェノール類を公知の方法でエポキシ化したエポキシ樹脂である。この各種のアミノフェノール類として2−アミノフェノール、3−アミノフェノール、4−アミノフェノール、2−アミノ−m−クレゾール、2−アミノ−p−クレゾール、3−アミノ−o−クレゾール、4−アミノ−m−クレゾール、6−アミノ−m−クレゾールなどのアミノフェノール、アミノクレゾール類などがあげられるが、これらに限定されるものではない。【0008】本発明の製造方法において、第1の処理では、おもに脱塩素反応が起こると考えられる。第1の処理は、例えば、非プロトン性極性溶媒に、不純物として加水分解性塩素を含有するエポキシ樹脂を溶解し、アルカリ性物質を滴下、攪拌保持することによって行われる。この反応時には非プロトン性極性溶媒以外の各種有機溶媒を混合させて行うことも可能である。反応は窒素などの不活性雰囲気下に行うことが好ましい。反応時間は任意であるが、反応進行の程度、効率の面から30分から5時間が好ましい。反応温度は0℃から150℃が好ましい。反応温度が低ければ反応効率が下がり、反応温度が高ければ、高分子量化が顕著となる。【0009】第1の処理で用いられるアルカリ性物質としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等が挙げられ、これらは水溶液またはアルコール溶液などの形で使用される。アルカリ性物質の使用量はエポキシ樹脂の加水分解性塩素含量1モルに対し、0.1モル〜10モルが好ましく、さらに好ましくは0.5モル〜5モルである。アルカリ性物質の使用量は多すぎると高分子量化が生じ、少なすぎると加水分解性塩素低減の効果が小さくなる。【0010】非プロトン性極性溶媒としては、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホン、ジメチルアセトアミド、テトラメチル尿素、ヘキサメチルホスホルアミドなどがあげられるが、これらに限定されるものではない。非プロトン性極性溶媒の量は、エポキシ樹脂量に対し任意の量を使用できるが、好ましくは重量比で1.0倍〜20倍である。【0011】第1の処理を終了した後、処理溶液の中和を行った後、その中に含まれる非プロトン性極性溶媒をそれ以外の有機溶媒と置換する。溶媒の置換は、第1の処理溶液中に含まれる非プロトン性極性溶媒を留去するした後、残留物を非プロトン性極性溶媒以外の有機溶媒に溶解させる方法、あるいは、第1の処理溶液に、非プロトン性極性溶媒以外の有機溶媒(水と非混和性のもの)と水を加えて、混合し、静置することにより、第1の処理溶液に含まれている非プロトン性極性溶媒を水層に移行させ、次いで水層を分液除去する方法等により行うことができる。第1の処理溶液中に含まれる非プロトン性極性溶媒を非プロトン性極性溶媒以外の有機溶媒に置換された溶液は第2の処理に供される。第2の処理では、おもに1,2−プロピレンクロルヒドリン基の閉環反応が起こると考えられる。第1の処理溶液の溶媒を置換された溶液は、必要に応じて、この溶液を水洗して、副生塩等を除去する。第2の処理は、例えば、この溶液に、アルカリ性物質の水溶液を滴下し、攪拌を行うことにより行われる。処理の時間、温度は特に限定されるものではないが、それぞれ30分から3時間、20℃から100℃で行うことが好ましい。処理終了後、処理溶液を二酸化炭素等の酸で中和する。次いで、共沸脱水により水分を除去し、無機塩をろ過分離し、溶媒を留去する。あるいは、中和処理溶液を、水洗、分液し(無機塩が除かれる)、次いで、溶媒、水分等を蒸留分離する。こうして、目的とする、不純物としての加水分解性塩素含量の低いエポキシ樹脂を得る。第2の処理で用いられるアルカリ性物質としては、第1の処理で用いられるものと同じものがあげられる。第2の処理で用いられる非プロトン性極性溶媒以外の有機溶媒としては、種々の炭化水素類溶媒、ケトン類などがあげられるが、これらに限定されるものではない。好ましいものは、メチルイソブチルケトンなどのケトン類である。【0012】本発明によって得られる、不純物としての加水分解性塩素含量の低いエポキシ樹脂は、接着剤、塗料、絶縁材料や積層板などの電気、電子材料として用いられる。【0013】本発明において加水分解性塩素とは、1,2−クロルヒドリン体と呼ばれる式1【0014】【化1】(式1)で表される基に含まれるもののほかに、1,3−クロルヒドリン体と呼ばれる式2【0015】【化2】(式2)で表される基に含まれるもの、およびクロロメチル体と呼ばれる式3【0016】【化3】(式3)で表される基に含まれるもの、などを含むものであり、上記1,2−クロルヒドリン体に含まれるもののみを指すものではない。本発明において加水分解性塩素含量は、以下の方法で分析される。すなわち、試料約1gを100mLすりあわせ三角フラスコにとり、1mgの単位まで正確に秤量する。ジオキサン30mLを加え、超音波洗浄器を用いて完全に溶かす。1N水酸化カリウム・エタノール溶液5mLを正しく加えよく振り混ぜた後、沸騰石を加え冷却管を取り付ける。約180℃に加熱した砂浴上で還流する。還流時間は沸騰が始まってから正しく30分間とする。室温まで冷却した後、冷却管をメタノール5mLで洗浄し、洗液は試料液に加える。三角フラスコを冷却管から取りはずし、試料液は200mLビーカーに移し入れる。80%アセトン水50mLで3回に分けてフラスコ内を洗浄し、洗液を試料液に加える。N/400塩化ナトリウム溶液5mLを正しく加え、回転子を入れる。酢酸3mLを加え、2分間攪拌した後、N/100硝酸銀溶液を用いて以下の条件で電位差滴定を行う。以上と同一操作により、空試験を行う。加水分解性塩素含量の分析条件は次のとおりである。【0017】【表1】次式により、加水分解性塩素濃度を求める。加水分解性塩素(%)=F×(V−B)×0.0355/Sここに、F;N/100硝酸銀溶液のファクターV;試料の滴定に要したN/100硝酸銀溶液の量B;空試験の滴定に要したN/100硝酸銀溶液の量S;試料量(g)【0018】【実施例】以下に、実施例をあげて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。実施例1オルソクレゾールノボラック型エポキシの処理加水分解性塩素が430ppmであるオルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(商品名ESCN−190、住友化学工業(株)製)269.3gをジメチルスルホオキシド1974.9gに溶解し、系内を窒素置換をした後、これに48%水酸化ナトリウム水溶液2.04gを滴下し32℃/2時間攪拌を行った。次いで、リン酸1.41g、塩化ナトリウム10gを加え中和を行った後、ジメチルスルホオキシドを減圧留去し、第1の処理物を得た。次いで、第1の処理物にメチルイソブチルケトン807.9g、20%温塩水359.1gを加え、混合して、静置し、水層を分液、除去した。有機層を濾過を行い、濾液を温塩水で水洗した。その後、48%水酸化ナトリウム水溶液6.01gを加え80℃/5時間、第2の処理(閉環反応)を行った。第2の処理物に二酸化炭素を加え中和した後、共沸脱水により水分を除去し、濾過を行うことによって無機分を取り除いた。次いで、溶媒を留去して、樹脂を回収した。得られた樹脂および処理前の樹脂の加水分解性塩素含量、粘度を表2に示した。【0019】【表2】実施例2、34−アミノ−m−クレゾール型エポキシの処理加水分解性塩素が1450ppmである4−アミノ−m−クレゾール型エポキシ(商品名ELM−100、住友化学工業(株)製)60gをジメチルスルホオキシド440gに溶解し、系内を窒素置換をした後、48%水酸化ナトリウム水溶液0.35g(実施例2)、1.27g(実施例3)をそれぞれ滴下し32℃/2時間攪拌を行った。リン酸0.21g、塩化ナトリウム2.4gを加え中和を行った後、ジメチルスルホオキシドを減圧留去し、第1の処理物を得た。次いで、第1の処理物にメチルイソブチルケトン180g、20%温塩水80gを加え、混合して、静置し、水層を分液、除去した。有機層を濾過を行い、濾液を温塩水で水洗した。その後、48%水酸化ナトリウム水溶液17.2gを加え80℃/5時間、第2の処理(閉環反応)を行った。二酸化炭素を加え中和した後、共沸脱水により水分を除去し、濾過を行うことによって無機分を取り除いた。(実施例2、3とも共通)次いで、溶媒を留去して、樹脂を回収した。表3に、第1の処理における水酸化ナトリウムの仕込量、第2の処理により得られた樹脂および処理前の樹脂の加水分解性塩素含量、粘度を示した。第1の処理における水酸化ナトリウムの仕込量の増加に伴い、得られた樹脂の加水分解性塩素含量が減少している。なお、実施例3において、第1の処理物の加水分解性塩素含量は4630ppmであった。これと第2の処理物の加水分解性塩素含量を比べると、第2の処理で相当その含量が減少することがわかる。【0020】【表3】【0021】実施例4ビスフェノールA型エポキシの処理加水分解性塩素が1200ppmである市販のビスフェノールA型エポキシ50gをジメチルスルホオキシド450gに溶解し、系内を窒素置換をした後、10%水酸化ナトリウム水溶液0.77gを滴下し30℃/2時間攪拌を行い、NaH2PO4にて中和を行い、第1の処理物を得た。第1の処理物にメチルイソブチルケトンを投入し、得られる溶液を水洗することにより、これに含まれるジメチルスルホオキシドを分離除去した。その後、48%水酸化ナトリウム水溶液を加え80℃/2時間、第2の処理(閉環反応)を行った。二酸化炭素を加え中和した後、共沸脱水により水分を除去し、濾過を行うことによって無機分を取り除いた。次いで、溶媒を留去して、樹脂を回収した。得られた樹脂および処理前の樹脂の加水分解性塩素含量を表4に示した。【0022】【表4】【0023】【発明の効果】本発明によれば、半導体封止用樹脂等として有用な、加水分解性塩素分の低いエポキシ樹脂を製造することができる。 不純物として加水分解性塩素を含有するエポキシ樹脂を、非プロトン性極性溶媒中でアルカリ性物質と接触させる第1の処理を行い、次いで得られる第1の処理物を、その中に含まれる非プロトン性極性溶媒を炭化水素類溶媒及びケトン類から選択される溶媒と置換した後、アルカリ性物質と接触させて加熱して1,2−プロピレンクロルヒドリン基を閉環させる第2の処理を行うことを特徴とする、不純物としての加水分解性塩素含量の低いエポキシ樹脂の製造方法。 エポキシ樹脂がアミノフェノール型エポキシ樹脂である請求項1記載のエポキシ樹脂の製造方法。 アミノフェノール型エポキシ樹脂が4−アミノ−m−クレゾール型エポキシ樹脂である請求項2記載のエポキシ樹脂の製造方法。 アミノフェノール型エポキシ樹脂が4−アミノ−フェノール型エポキシ樹脂である請求項2に記載のエポキシ樹脂の製造方法。 エポキシ樹脂がオルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂である請求項1記載のエポキシ樹脂の製造方法。 エポキシ樹脂がビスフェノールA型エポキシ樹脂である請求項1記載のエポキシ樹脂の製造方法。 非プロトン性極性溶媒がジメチルスルホオキシドである請求項1、2、3、4、5または6記載のエポキシ樹脂の製造方法。


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