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タイトル:特許公報(B2)_多孔質酸化チタン及びその製造方法、並びにそれを含有する化粧料
出願番号:1998155265
年次:2004
IPC分類:7,C01G23/047,A61K7/00,A61K7/02,A61K7/42,A61K7/035


特許情報キャッシュ

村上 泰 中村 高志 松本 太輝 高須 芳雄 JP 3539711 特許公報(B2) 20040402 1998155265 19980519 多孔質酸化チタン及びその製造方法、並びにそれを含有する化粧料 株式会社ノエビア 000135324 竹井 増美 390000918 村上 泰 中村 高志 松本 太輝 高須 芳雄 20040707 7 C01G23/047 A61K7/00 A61K7/02 A61K7/42 A61K7/035 JP C01G23/047 A61K7/00 B A61K7/02 P A61K7/42 A61K7/035 7 C01G 23/047 A61K 7/00 A61K 7/02 A61K 7/42 A61K 7/035 特開平09−100124(JP,A) 特開昭61−068314(JP,A) 特開平02−196029(JP,A) 特開平08−143438(JP,A) 9 1999322338 19991124 12 20010316 廣野 知子 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、表面積の増大により光吸収散乱効果の向上が期待され、触媒,塗料,化粧料等の分野に応用可能な多孔質酸化チタン及びその製造方法、並びにそれを含有して成る化粧料に関する。さらに詳しくは、弱酸と弱塩基,弱酸と強塩基及び弱塩基と強酸の中和により得られる塩の1種又は2種以上を触媒として、加水分解されたチタンアルコキシドが酸化チタンへと重縮合する際、希土類元素に属する金属を含む塩の1種又は2種以上を複合化し、次いで酸処理することにより得られる多孔質酸化チタン及びその製造方法、並びにそれを含有して成る化粧料に関する。【0002】【従来の技術】従来より、酸化チタン粉末はガラス,耐熱材料(セラミクス),触媒等の製造に使用されている。また最近は、その紫外線吸収散乱効果により、日焼け止め化粧料への応用も盛んになっている。かかる酸化チタンを製造する方法として、ガラスやセラミクス等の最終製品の特性の向上及び生産性の向上を図り、さらに環境問題に配慮して、低温で製造できる金属アルコキシドを用いたゾル-ゲル法が提案されている。【0003】特開平8−143438においては、チタンテトラアルコキシド,テトラオクチレングリコールチタネート,テトラキス(2-エチルヘキシル)チタネート,ジイソプロポキシチタンビスアセチルアセトネート等の有機チタン化合物と水混和性有機溶媒とを混合した溶液に、塩酸,硫酸,硝酸等の無機酸の水溶液を添加して加水分解を行い、次いで60℃を超えない温度及び相対湿度60%以上の条件で熟成してルチル型の酸化チタンを得、これを化粧料に配合する技術が開示されている。【0004】しかしながら、加水分解された有機チタン化合物が酸化チタンへと重縮合する際に強酸である塩酸等を用いると、重合速度が遅く、酸化チタンの形状及び微細構造を制御することは困難であった。これに対し、特開平9−100124においては、炭酸塩,酢酸塩等の弱酸の塩を用い、或いは加水分解抑制剤を共存させることにより、チタンアルコキシドを球状粒子ないし薄片状粒子としてゲル化させることができ、生成する酸化チタンの形状を制御し得ることが示されている。【0005】一方、特に紫外線防止を目的とした日焼け止め化粧料等に応用する場合には、酸化チタン粉末を微粒子化したり、薄片状体質顔料に被覆することにより表面積を増大させる工夫がなされてきた。しかしかかる方法では、二次凝集粒子の形成等により、最終的な化粧料製剤において目的とする高表面積が維持されにくいという問題があった。【0006】【発明が解決しようとする課題】しかるに、酸化チタン粉末を多孔質とすることにより、表面積増大による紫外線吸収散乱効果の向上が期待でき、さらに汗や皮脂に対する吸収性を持たせて、化粧持続性を向上させることも期待できる。また、触媒としての利用や、耐候性に優れる塗料への応用も可能となる。しかし、形状や微細構造の制御された多孔質酸化チタンを得たという報告はまだなされていない。均一に制御された細孔を形成することができれば、細孔内への光散乱による光反射散乱防止効果も期待できる。そこで本発明においては、低温で酸化チタン結晶を成長させる際に、その成長を妨げ得る希土類元素に属する金属イオンを導入し、形状や微細構造を制御しながら、酸化チタンと希土類元素に属する金属を含んだ複合酸化物を得た後に、希土類元素に属する金属を前記複合酸化物から溶出させることにより、均一に制御された細孔を有する多孔質の酸化チタンを得、さらにそれを化粧料に応用することを目的とした。【0007】【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため種々検討を行った結果、チタンアルコキシドを水混和性有機溶媒に溶解した溶液に、弱酸と弱塩基,弱酸と強塩基及び弱塩基と強酸の中和により得られる塩より選ばれる1種又は2種以上、水及び、希土類元素に属する金属を含む塩より選択した1種又は2種以上を添加してチタン-金属複合酸化物を調製し、次いで酸処理して複合化金属を除去することにより、多孔質酸化チタンが得られ、さらに微細構造や粒子の形状の制御も容易に成し得ることを見いだし、本発明を完成するに至った。また、チタンアルコキシドから酸化チタンを生成する際、弱酸と弱塩基,弱酸と強塩基及び弱塩基と強酸の中和により得られる塩として添加する塩の種類によっては、チタンアルコキシドがゾルやゲルに成長せずに沈殿してしまい、酸化チタンの形状や微細構造を良好に制御できない場合がある。かかる場合においても、加水分解抑制剤を共存させることにより、チタンアルコキシドをゾルやゲルとして成長させることができ、生成する多孔質酸化チタンの形状や微細構造をより良好に制御できることを見いだした。【0008】【発明の実施の形態】本発明において用い得るチタンアルコキシドとしては、チタンテトラエトキシド,チタンテトラ-n-プロポキシド,チタンテトラ-iso-プロポキシド,チタンテトラ-n-ブトキシド,チタンテトラ-iso-ブトキシド,チタンテトラ-tert-ブトキシド等が挙げられる。かかるチタンアルコキシドを溶解する水混和性有機溶媒としては、メタノール,エタノール,n-プロパノール,iso-プロパノール,n-ブタノール,iso-ブタノール,tert-ブタノール,エチレングリコール,ジメチルホルムアミド等が挙げられ、特にn-ブタノールが好ましい。チタンアルコキシドの水混和性有機溶媒による溶液の濃度としては0.001〜6.0Mであることが好ましく、0.02〜2.0Mの範囲とすることが特に好ましい。【0009】本発明においては、チタンアルコキシドを水混和性有機溶媒に溶解した溶液に、触媒として、弱酸と弱塩基,弱酸と強塩基及び弱塩基と強酸の中和により得られる塩より選ばれる1種又は2種以上を添加し、重縮合を促進してゾルやゲルを得る。前記触媒として用いる弱酸と弱塩基,弱酸と強塩基及び弱塩基と強酸の中和により得られる塩としては、カルボン酸及びその誘導体,並びにフェノキシド及びその誘導体より成る群から選ばれる1種以上と、アルカリ金属,アルカリ土類金属,アンモニウム化合物,ヒドラジニウム化合物,ピリジニウム化合物及びヒドロキシアルミニウム化合物より成る群から選ばれる1種以上との塩が好ましく用いられ、炭酸リチウム,炭酸ナトリウム,炭酸カリウム,炭酸アンモニウム,炭酸水素リチウム,炭酸水素ナトリウム,炭酸水素カリウム,炭酸水素アンモニウム,ギ酸リチウム,ギ酸ナトリウム,ギ酸カリウム,ギ酸カルシウム,ギ酸アンモニウム,酢酸リチウム,酢酸ナトリウム,酢酸カリウム,酢酸カルシウム,酢酸アンモニウム,ヒドロキシアンモニウム塩酸塩,アセトアミジン塩酸塩,ヒドラジン塩酸塩等が例示される。これらのうち、炭酸ナトリウム,炭酸アンモニウム,炭酸水素ナトリウム,炭酸水素アンモニウム,酢酸ナトリウム及び酢酸アンモニウムが特に好ましい。前記より1種又は2種以上を選択して用いるが、用いる塩により、生成するチタンアルコキシドゲルの状態は異なり、薄片状から球状のゲル粒子が得られる。【0010】上記塩の1種又は2種以上は、上記濃度範囲のチタンアルコキシド溶液1リットルに対して0.05〜0.5モルの割合で添加することが好ましい。塩の添加量の上限は溶媒に溶解する量に、下限は重合促進に対する触媒効果の得られる量に決定される。【0011】本発明においては、チタンアルコキシドから酸化チタンに成長させる際、希土類元素に属する金属、すなわちイットリウム,ランタン,セリウム,プラセオジム,ネオジム,プロメチウム,サマリウム,ユウロピウム,ガドリニウム,テルビウム,ジスプロシウム,ホルミウム,エルビウム,ツリウム,イッテルビウム及びルテチウムより成る群から選択した1種又は2種以上の金属を含む塩を添加して、前記金属を複合化させる。これらの希土類元素に属する金属を含む塩を添加することによって、生成する酸化チタンのアナターゼ型結晶の成長を抑制することができる。酸処理してこれら金属を溶出させた後、添加する金属イオンに対応する細孔が得られる。これら金属イオンの複合化量によって細孔の構造を制御できるため、非結晶の酸化チタンが得られるだけでなく、従来のように高温で焼成することなく、耐候性に優れ、且つ高表面積を有するルチル型結晶の酸化チタンを得ることができる。【0012】希土類元素に属する金属を含む塩としては、これらの塩化物,臭化物,ヨウ化物等のハロゲン化物、水酸化物、炭酸塩、硝酸塩等を用いることができる。希土類元素に属する金属は、チタン1モルに対して0.15モル〜0.5モルの範囲で添加することが好ましい。【0013】希土類元素に属する金属を含む塩は、チタンアルコキシドの水混和性有機溶媒による溶液に水及び触媒として用いる塩を添加する際、同時に加えてもよいが、やや遅れて添加してもよい。触媒として用いる塩の種類や希土類元素に属する金属の種類、及び添加時期により、チタンアルコキシドゲル中における希土類元素に属する金属の分布を制御でき、酸処理後に得られる酸化チタンの細孔の微細構造の制御が可能である。【0014】また本発明においては、チタンアルコキシドから酸化チタンへの重縮合に際し、触媒となる塩の他に、加水分解を制御する加水分解抑制剤を添加することもできる。加水分解抑制剤を添加することにより、チタンアルコキシドの加水分解の進行を制御し、選択的に薄片状のゲル粒子を得ることができる。【0015】上記加水分解抑制剤はキレート試薬及び電子供与性試薬より選択され、ジエチレングリコール,トリエチレングリコール,ポリエチレングリコール,ポリプロピレングリコール等のアルキレングリコール類、エチレングリコールモノエチルエーテル,エチレングリコールモノブチルエーテル,ジエチレングリコールモノメチルエーテル,ジエチレングリコールモノエチルエーテル,テトラエチレングリコールモノメチルエーテル,テトラエチレングリコールモノエチルエーテル,プロピレングリコールモノメチルエーテル,プロピレングリコールモノエチルエーテル等のアルキレングリコールのアルキルエーテル類、エチレングリコールモノフェニルエーテル,エチレングリコールモノベンジルエーテル等のアルキレングリコールのアリールエーテル類、アセチルアセトン等のβ-ジケトン類、エチレンジアミン,トリエタノールアミン等のアミン類などが挙げられ、これらより1種又は2種以上を選択して用いる。前記の中でも、特にアルキレングリコール類が好ましく使用できる。【0016】上記の加水分解抑制剤は、チタンアルコキシド1モルに対し1〜20モルの割合で添加することが好ましく、2〜10モルとするのがより好ましい。加水分解抑制剤の添加量が1モル未満であると、チタンアルコキシドの加水分解の制御効果が十分に得られず、また20モルを超えると、チタンアルコキシドの加水分解が十分に進行しないので好ましくない。【0017】本発明に係る多孔質酸化チタンの製造方法としては、まず、上記したチタンアルコキシドの1種又は2種以上を上記水混和性溶媒の1種又は2種以上に溶解し、チタンアルコキシドの溶液を調製する。次いで、チタンアルコキシドの溶液を攪拌しながら、水と、弱酸と弱塩基,弱酸と強塩基及び弱塩基と強酸の中和により得られる塩より選択した1種又は2種以上(又は水、弱酸と弱塩基,弱酸と強塩基及び弱塩基と強酸の中和により得られる塩より選択した1種又は2種以上、及び加水分解抑制剤の1種又は2種以上)を水混和性有機溶媒の1種又は2種以上に溶解した溶液を添加し、それと同時か、若干反応を進行させた後、希土類元素に属する金属を含む塩の1種又は2種以上と、水とを添加する。この際、さらに弱酸と弱塩基,弱酸と強塩基及び弱塩基と強酸の中和により得られる塩より選択した1種又は2種以上の水混和性有機溶媒による溶液を添加してもよい。なお、水の添加量は全量で、チタンアルコキシド1モルに対して1〜20モルとするのが好ましい。次に攪拌を停止して、そのまま2〜24時間反応を継続させ、酸化チタンのゲルを得る。この酸化チタンのゲルを水洗し、70℃〜100℃で1〜4時間程度乾燥させた後、200℃〜700℃で2〜4時間焼成し、続いて塩酸,硫酸,硝酸等の酸で処理して複合化させた金属を溶出させ、水洗乾燥する。【0018】さらに本発明においては、上記に従って得られた多孔質酸化チタンより選択した1種又は2種以上を含有させて化粧料とする。化粧料への配合量としては特に限定はされないが、0.1〜85重量%の範囲内とするのが適切であり、目的に応じて決定する。化粧料に配合する際、目的に応じて粒径を整えたり、シリコーン処理,金属セッケン処理等の疎水化処理を行った後に配合することもできる。本発明に係る化粧料は、特に紫外線防御に有効な日焼け止め化粧料として有用である。【0019】本発明に係る化粧料には、上記の多孔質酸化チタンの他、油脂類,ロウ類,炭化水素類,脂肪酸類,高級アルコール類,エステル類,低級アルコール類,多価アルコール類,保湿剤,細胞賦活剤,抗炎症剤,界面活性剤,水溶性高分子化合物,防菌防黴剤,色素類,香料等、一般的に化粧料に配合される原料を含有させることができる。また多孔質酸化チタン以外に、体質顔料,着色顔料,真珠光沢顔料等の粉体類を含有させることができる。特に紫外線対策を目的とした日焼け止め化粧料においては、従来より用いられていた微粒子酸化チタンや酸化亜鉛といった紫外線散乱効果を有する粉体や、紫外線吸収剤を併用し得る。【0020】本発明に係る化粧料は、クリーム等の皮膚化粧料、メイクアップベースローション、メイクアップベースクリーム、乳液状,クリーム状,油性軟膏状,油性スティック状,パウダー状の各ファンデーション、アイカラー、チークカラー、リップスティック、粉おしろい等のメイクアップ化粧料、ハンドクリーム,レッグクリーム,ボディローション等の身体用化粧料などとして提供し得る。粉体層と水層又は乳液層より成る二層状化粧水、粉体層,水層又は乳液層及び油層より成る三層状化粧水としても提供できる。【0021】【実施例】さらに本発明の特徴について、実施例により詳細に説明する。まず、本発明に係る多孔質酸化チタン及びその製造方法に関し、実施例1〜実施例3を示す。【0022】[実施例1] 多孔質粒状酸化チタングローブボックス内にてチタンブトキシド0.25molをブタノールに溶解して500mlとする(1液)。一方、酢酸アンモニウム0.25molと精製水0.625molをブタノールに溶解して750mlとする(2液)。また、塩化ランタン0.05mol(ランタン/チタンモル比=0.2)と精製水3.75molをメタノールに溶解して500mlとする(3液)。1液を攪拌しながら、2液及び3液を同時に添加し、その後2時間静置し、15,000回転で15分間の遠心分離を行って沈殿を回収し、水で3回洗浄した。次いで沈殿を90℃で1時間乾燥し、600℃で2時間焼成した。得られた粉体を1M塩酸1,000ml中に添加して攪拌処理した後、遠心分離して酸化チタン粉体を回収した。最終収量は19.5gであった。【0023】[実施例2] 多孔質薄片状酸化チタングローブボックス内にてチタンブトキシド0.25molとジエチレングリコール2.5molをブタノールに溶解して500mlとする(1液)。一方、炭酸水素アンモニウム0.25molと精製水0.625molをブタノールに溶解して750mlとする(2液)。また、塩化ランタン0.05mol(ランタン/チタンモル比=0.2)と精製水3.75molをメタノールに溶解して500mlとする(3液)。1液を攪拌しながら、2液及び3液を同時に添加し、その後2時間静置し、15,000回転で15分間の遠心分離を行って沈殿を回収し、水で3回洗浄した。次いで沈殿を90℃で1時間乾燥し、600℃で2時間焼成した。得られた粉体を1M塩酸1,000mlに添加して攪拌処理した後、遠心分離して酸化チタン粉体を回収した。最終収量は19.5gであった。【0024】[実施例3] 多孔質薄片状酸化チタングローブボックス内にてチタンブトキシド0.25molとジエチレングリコール2.5molをブタノールに溶解して500mlとする(1液)。一方、炭酸水素アンモニウム0.25molと精製水0.625molをブタノールに溶解して750mlとする(2液)。また、塩化ランタン0.125mol(ランタン/チタンモル比=0.5)と精製水3.75molをメタノールに溶解して500mlとする(3液)。1液を攪拌しながら、2液を添加してしばらく攪拌し、50分後に3液を添加した後12時間静置し、15,000回転で15分間の遠心分離を行って沈殿を回収し、水で3回洗浄した。次いで沈殿を90℃で1時間乾燥し、600℃で2時間焼成した。得られた粉体を1M塩酸1,000mlに添加して攪拌処理した後、遠心分離して酸化チタン粉体を回収した。最終収量は19.5gであった。【0025】上記実施例1〜実施例3の多孔質酸化チタンについて比表面積及び細孔径分布を測定し、X線回折法により結晶型の解析を行った。その結果、いずれも90m2/g以上の比表面積を示し、通常の化粧料用酸化チタンの比表面積が9〜12m2/gであることから、比表面積の顕著な増大が認められ、これらが多孔質構造を有することが示された。またX線回折の結果、実施例1及び実施例2はルチル型結晶性の酸化チタンであり、実施例3はアモルファス状の酸化チタンであることが確認された。細孔径分布については、孔径が100〜600オングストロームの範囲においてブロードな分布が見られた。【0026】次に、本発明に係る化粧料についての実施例の処方を示す。【0027】[実施例4] 二層状化粧水(1)エタノール 15.00(重量%)(2)グリセリン 2.00(3)1,3-ブチレングリコール 2.00(4)パラオキシ安息香酸メチル 0.10(5)香料 0.10(6)カンファー 0.20(7)精製水 77.95(8)多孔質酸化チタン(実施例1) 2.00(9)ベンガラ 0.15(10)酸化亜鉛 0.50製法:(1)に(2)〜(5)を順次添加して溶解する。(6)を(7)に溶解し、これに前記エタノール相を加え、さらに(8)〜(10)を加えて攪拌し、湿潤分散する。【0028】[実施例5] 日焼け止め用水中油型乳液(1)オレイン酸オレイルエステル 5.0(重量%)(2)ジメチルポリシロキサン 3.0(3)ワセリン 0.5(4)セタノール 1.0(5)ソルビタンセスキオレイン酸エステル 0.8(6)ポリオキシエチレン(20E.O.)オレイルエーテル 1.2(7)パラメトキシ桂皮酸2-エチルヘキシル 5.0(8)オキシベンゾン 2.0(9)ジプロピレングリコール 6.0(10)パラオキシ安息香酸メチル 0.1(11)ヒドロキシエチルセルロース 0.3(12)多孔質酸化チタン(実施例2) 3.0(13)精製水 69.0(14)エタノール 3.0(15)香料 0.1製法:(1)〜(8)の油相成分を混合し、加熱溶解して70℃とする。一方、(9)〜(11)を(13)に加えて溶解して加熱し、(12)を分散させた後70℃とする。この水相に前記油相を攪拌しながら添加し、ホモジナイザーにより乳化した後冷却し、40℃にて(15)を(14)に溶解して添加,混合する。【0029】[実施例6] 日焼け止め用水中油型クリーム(1)スクワラン 10.0(重量%)(2)ワセリン 5.0(3)ステアリルアルコール 3.0(4)ステアリン酸 3.0(5)グリセリルモノステアリン酸エステル 3.0(6)ポリアクリル酸エチル 1.0(7)パラメトキシ桂皮酸2-エチルヘキシル 5.0(8)4-tert-ブチル-4'-メトキシジベンゾイルメタン 2.0(9)1,3-ブチレングリコール 7.0(10)水酸化カリウム 0.2(11)パラオキシ安息香酸メチル 0.1(12)多孔質酸化チタン(実施例3) 6.0(13)精製水 54.6(14)香料 0.1製法:(1)〜(8)の油相成分を混合し、加熱溶解して70℃とする。一方、(9)〜(11)を(13)に加えて溶解して加熱し、(12)を分散させた後70℃とする。この水相に前記油相を攪拌しながら添加し、ホモジナイザーにより乳化した後冷却し、40℃にて(14)を添加,混合する。【0030】[実施例7] 日焼け止め用油中水型クリーム(1)スクワラン 40.0(重量%)(2)グリセリルジイソステアリン酸エステル 3.0(3)有機変性モンモリロナイト 1.5(4)パラメトキシ桂皮酸2-エチルヘキシル 5.0(5)オキシベンゾン 0.5(6)4-tert-ブチル-4'-メトキシジベンゾイルメタン 0.5(7)シリコーン処理多孔質酸化チタン(実施例1) 3.5(8)1,3-ブチレングリコール 5.0(9)パラオキシ安息香酸メチル 0.1(10)精製水 40.8(11)香料 0.1製法:(1)〜(6)の油相成分を混合,加熱溶解し、(7)を分散させた後70℃とする。一方、(8)〜(10)を混合,溶解して加熱し、70℃とする。この水相を前記油相に攪拌しながら添加し、ホモジナイザーにより乳化した後冷却し、40℃にて(11)を添加,混合する。なお、多孔質酸化チタンのシリコーン処理はメチルハイドロジェンポリシロキサン2.5重量%の焼き付け処理により行った。【0031】[実施例8] 油性スティック状ファンデーション(1)流動パラフィン 18.08(重量%)(2)ミリスチン酸イソプロピル 15.00(3)液状ラノリン 4.50(4)マイクロクリスタリンワックス 4.50(5)セレシン 10.00(6)カルナウバロウ 2.00(7)ソルビタンセスキオレイン酸エステル 1.00(8)酢酸トコフェロール 0.20(9)パラオキシ安息香酸ブチル 0.02(10)多孔質酸化チタン(実施例1) 10.00(11)多孔質酸化チタン(実施例2) 10.00(12)カオリン 14.60(13)タルク 2.80(14)マイカ 3.00(15)ベンガラ 1.00(16)黄酸化鉄 3.00(17)黒酸化鉄 0.20(18)香料 0.10製法:(1)〜(9)の基剤成分を混合し、70℃〜80℃で加熱融解する。一方、(10)〜(17)の顔料成分を混合して前記基剤に加え、ロールミルで練る。混練物を加熱融解し、調色した後脱泡し、(18)を添加して型に充填して冷却固化する。【0032】[実施例9] パウダーファンデーション(1)流動パラフィン 5.0(重量%)(2)ミリスチン酸オクチルドデシル 2.5(3)ワセリン 2.5(4)パラオキシ安息香酸メチル 0.1(5)香料 0.1(6)多孔質酸化チタン(実施例2) 6.0(7)多孔質酸化チタン(実施例3) 4.0(8)ナイロンパウダー 10.0(9)マイカ 20.0(10)タルク 43.8(11)ベンガラ 3.0(12)黄酸化鉄 2.5(13)黒酸化鉄 0.5製法:(6)〜(13)の顔料成分を混合し、粉砕機を通して粉砕する。これを高速ブレンダーに移し、(1)〜(5)を混合して加え、均一に混合する。これを粉砕機で処理し、ふるいを通し粒度をそろえた後、金皿に充填して圧縮成形する。【0033】[実施例10] ツーウェイファンデーション(1)流動パラフィン 4.0(重量%)(2)スクワラン 2.0(3)メチルフェニルポリシロキサン 4.0(4)パラオキシ安息香酸メチル 0.1(5)香料 0.1(6)シリコーン処理多孔質酸化チタン(実施例1) 10.0(7)シリコーン処理多孔質酸化チタン(実施例3) 5.0(8)シリコーン処理セリサイト 25.0(9)シリコーン処理タルク 30.2(10)シリコーン処理カオリン 5.0(11)シリコーン処理ベンガラ 2.5(12)シリコーン処理黄酸化鉄 2.0(13)シリコーン処理黒酸化鉄 0.1(14)ポリエチレン末 10.0製法:(6)〜(14)の顔料成分を混合し、粉砕機を通して粉砕する。これを高速ブレンダーに移し、(1)〜(5)を混合して加え、均一に混合する。これを粉砕機で処理し、ふるいを通し粒度をそろえた後、金皿に充填して圧縮成形する。なお、多孔質酸化チタン等顔料のシリコーン処理は、メチルハイドロジェンポリシロキサン2.5重量%の焼き付け処理により行った。【0034】上記の実施例4〜実施例10について、使用試験を行った。その際、本発明の実施例1〜実施例3に係る多孔質酸化チタンを、実施例4,実施例8〜実施例10においては通常の化粧料用酸化チタンに代替し、実施例5〜実施例7においては平均粒子径20nm程度の微粒子酸化チタンに代替して、それぞれ比較例4〜比較例10とした。使用試験は、20才代〜50才代の女性パネラー20名を1群として用い、各群に実施例及び比較例のそれぞれをブラインドにて2週間使用させて行った。使用試験終了後、化粧料の付き,伸び,使用時のざらつき感,日焼け止め効果及び化粧持続性について官能評価させ、評価結果を表1に示す評価基準に従って点数化させて20名の平均値を算出し、表2に示した。【表1】【0035】【表2】表2より明らかなように、本発明に係る実施例4〜実施例10は、従来の酸化チタン又は微粒子酸化チタンを含有する比較例4〜比較例10とほぼ同等の付き及び伸びを示していたが、使用時のざらつき感については明らかに改善が認められていた。これは、各実施例において多孔質酸化チタンの凝集が認められないことに起因すると考えられる。また実施例5〜実施例7についは、微粒子酸化チタンを用いた比較例5〜比較例7に比べて遜色ない日焼け止め効果が認められていた。そればかりか、実施例4及び実施例8〜実施例10においても、良好な日焼け止め効果が認められていた。さらに、いずれの実施例においても各比較例に比べ化粧持続性が大幅に向上していた。【0036】上記の実施例4〜実施例10については、室温で6カ月間以上保存しても状態の変化は全く認められなかった。また上記使用試験において、皮膚刺激性反応や皮膚感作性反応の見られたパネラーは存在しなかった。【0037】【発明の効果】以上詳述したように、本発明により、形状や微細構造の制御された多孔質の酸化チタンを得ることができた。本発明による多孔質酸化チタンは、触媒としての利用や、耐候性を有する塗料、紫外線防御用化粧料等に応用可能なものである。そして、それを化粧料に含有させた場合、表面積増大による紫外線吸収散乱効果の向上により、優れた日焼け止め効果が得られ、さらに汗や皮脂に対する吸収性を示すことから、化粧持続性の向上を図ることができた。 チタンアルコキシドを水混和性有機溶媒に溶解した溶液に、弱酸と弱塩基,弱酸と強塩基及び弱塩基と強酸の中和により得られる塩から選ばれる1種又は2種以上、水及び、希土類元素に属する金属を含む塩より選択した1種又は2種以上を添加してチタン-金属複合酸化物を調製し、次いで酸処理して希土類元素に属する金属を除去して得られる多孔質酸化チタン。 チタンアルコキシドを水混和性有機溶媒に溶解した溶液に、弱酸と弱塩基,弱酸と強塩基及び弱塩基と強酸の中和により得られる塩から選ばれる1種又は2種以上、加水分解抑制剤の1種又は2種以上、水及び、希土類元素に属する金属を含む塩より選択した1種又は2種以上を添加してチタン-金属複合酸化物を調製し、次いで酸処理して希土類元素に属する金属を除去して得られる多孔質酸化チタン。 弱酸と弱塩基,弱酸と強塩基及び弱塩基と強酸の中和により得られる塩が、カルボン酸及びその誘導体,並びにフェノキシド及びその誘導体より成る群から選ばれる1種以上と、アルカリ金属,アルカリ土類金属,アンモニウム化合物,ヒドラジニウム化合物,ピリジニウム化合物及びヒドロキシアルミニウム化合物より成る群から選ばれる1種以上との塩であることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の多孔質酸化チタン。 加水分解抑制剤がキレート試薬及び電子供与性試薬より選択した1種又は2種以上であることを特徴とする、請求項2又は請求項3に記載の多孔質酸化チタン。 チタンアルコキシドを水混和性有機溶媒に溶解した溶液に、弱酸と弱塩基,弱酸と強塩基及び弱塩基と強酸の中和により得られる塩から選ばれる1種又は2種以上、水及び、希土類元素に属する金属を含む塩より選択した1種又は2種以上を添加してチタン-金属複合酸化物を調製し、次いで水洗,乾燥後、200℃〜700℃で焼成した後、酸処理して希土類元素に属する金属を除去することを特徴とする、多孔質酸化チタンの製造方法。 チタンアルコキシドを水混和性有機溶媒に溶解した溶液に、弱酸と弱塩基,弱酸と強塩基及び弱塩基と強酸の中和により得られる塩から選ばれる1種又は2種以上、加水分解抑制剤の1種又は2種以上、水及び、希土類元素に属する金属を含む塩より選択した1種又は2種以上を添加してチタン-金属複合酸化物を調製し、次いで水洗,乾燥後、200℃〜700℃で焼成した後、酸処理して希土類元素に属する金属を除去することを特徴とする、多孔質酸化チタンの製造方法。 弱酸と弱塩基,弱酸と強塩基及び弱塩基と強酸の中和により得られる塩が、カルボン酸及びその誘導体,並びにフェノキシド及びその誘導体より成る群から選ばれる1種以上と、アルカリ金属,アルカリ土類金属,アンモニウム化合物,ヒドラジニウム化合物,ピリジニウム化合物及びヒドロキシアルミニウム化合物より成る群から選ばれる1種以上との塩であることを特徴とする、請求項5又は請求項6に記載の多孔質酸化チタンの製造方法。 加水分解抑制剤がキレート試薬及び電子供与性試薬より選択した1種又は2種以上であることを特徴とする、請求項6又は請求項7に記載の多孔質酸化チタンの製造方法。 請求項1〜請求項4に記載の多孔質酸化チタンより選択される1種又は2種以上を含有して成る、化粧料。


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