生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_ポリテトラメチレンエーテルグリコールの製造方法
出願番号:1998074134
年次:2007
IPC分類:C08G 65/20,C08G 65/30,C07D 307/08


特許情報キャッシュ

村井 信行 竹尾 弘 田中 秀俊 JP 3931421 特許公報(B2) 20070323 1998074134 19980323 ポリテトラメチレンエーテルグリコールの製造方法 三菱化学株式会社 000005968 長谷川 曉司 100103997 村井 信行 竹尾 弘 田中 秀俊 20070613 C08G 65/20 20060101AFI20070524BHJP C08G 65/30 20060101ALI20070524BHJP C07D 307/08 20060101ALN20070524BHJP JPC08G65/20C08G65/30C07D307/08 C08G 65/20 C08G 65/30 C07D307/08 特開昭52−138598(JP,A) 特表平08−510279(JP,A) 特開平07−053424(JP,A) 特開平07−118253(JP,A) 特開昭55−092380(JP,A) 3 1999269262 19991005 7 20031208 佐々木 秀次 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMGと略記する)の製造方法に関する。詳しくは、分子量分布の狭いPTMGを経済的に製造する方法に関する。PTMGはポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂などの原料として用いられる。【0002】【従来の技術】PTMGの製法としては、種々の方法があるが、通常、テトラヒドロフラン(THFと略記する)の開環重合により製造される。工業的な製法の1つとして、THFをカルボン酸無水物、例えば無水酢酸と固体酸触媒の存在下、開環重合させてポリテトラメチレンエーテルグリコールのジカルボン酸エステル(PTMEと略記する)を製造し、次いで、低級アルコール、例えばメタノールとエステル交換してPTMGを製造する方法が知られている。【0003】PTMGは重合体であり、重合度の異なる多数の分子の混合物であって、分子量分布を持っているが、近年、工業製品としては分子量分布の狭いPTMGが要求されている。分子量分布を狭くする方法としては、PTMGを水ーメタノール混合物等の溶媒により分別する方法、分子蒸留によりPTMGオリゴマーを分離する方法、或いはこれらを組み合わせた方法等が知られている(例えば、USP5、282、929、特開平1−92221等)。【0004】又分離されたPTMGオリゴマーは酸触媒の存在下、解重合すると、THFとして再利用できることが知られている。しかしながら、これらの方法ではPTMGの溶媒分別やオリゴマーの回収、解重合のための装置が必要であり、工業的には必ずしも満足な方法とはいえなかった。【0005】【発明が解決しようとする課題】上記事情に鑑み、本発明はPTMG製造過程でオリゴマーを分離し、分子量分布の狭いPTMG製品を得ると共に、分離したオリゴマーを経済的に再利用した工業的有利なPTMGの製造方法を提供することを目的とするものである。【0006】【課題を解決するための手段】 本発明者等は、1,4ーブタンジオール(1,4BGと略記する)の酢酸エステルを原料としてTHFを製造する工程で、THFと共に酢酸を回収していることに注目し、鋭意検討した結果、THFと無水酢酸を出発原料として、ポリテトラメチレンエーテルグリコールのジカルボン酸エステル(PTMEと略記する)を経由してPTMGを製造する方法に於いて、ジカルボン酸エステルの段階でオリゴマーを分離しても、PTMGからオリゴマーを分離する従来の方法と同様に分子量分布の狭いPTMG製品が得られること、又分離されたオリゴマーのジエステルはTHF製造原料として再利用し得ることを知り本発明を達成した。即ち本発明の要旨は、(a)1,4−ブタンジオール及び/又はその酢酸エステルを、酸触媒の存在下、環化させてテトラヒドロフランを製造する工程、(b)得られたテトラヒドロフランを無水酢酸及び固体酸触媒の存在下、開環重合してポリテトラメチレンエーテルグリコールのジ酢酸エステルを製造する工程、(c)得られたポリテトラメチレンエーテルグリコールのジ酢酸エステルからテトラメチレンエーテルグリコールオリゴマーのジ酢酸エステルを分離する工程、(d)分離されたテトラメチレンエーテルグリコールオリゴマーのジ酢酸エステルを、(a)工程の環化反応器に循環する工程、(e)テトラメチレングリコールオリゴマーのジ酢酸エステルを分離した後のポリテトラメチレンエーテルグリコールのジ酢酸エステルを脂肪族アルコールとエステル交換する工程を含むことを特徴とするポリテトラメチレンエーテルグリコールの製造方法に存する。 以下、本発明を詳細に説明する。【0007】【発明の実施の形態】本発明方法の出発原料として使用されるTHFの製造法は特に限定されるものではない。工業的に実施されているTHFの製造法の1つとして、ブタジエン、酢酸を原料として1,4BG及びその酢酸エステルを得、これからTHFを製造し、酢酸を回収する方法が知られている。【0008】THF製造工程では、原料として、1,4BG或いは1,4BGのモノ又はジ酢酸エステル或いはこれらの混合物が用いられる。酢酸エステルを用いる場合は、THFと共に生成する酢酸がTHF生成反応を阻害するので水を添加することが望ましい。THF生成反応は、通常スルホン酸型の強酸性陽イオン交換樹脂を触媒として用い、反応温度50℃乃至100℃で実施される。温度が低いとTHFの生成速度が遅く、温度が高いとイオン交換樹脂の寿命が短くなるので65℃乃至85℃が好ましい。圧力は常圧乃至1MPaが好適な条件であるが、生成したTHFの沸騰を抑制するためには若干の加圧下が好ましく用いられる。THF製造反応器から抜き出された反応液は、THF、水、酢酸、未反応の1,4BG及び/又は1,4BGの酢酸エステル及び若干の高沸物を含むので、蒸留などの手段によって未反応物を分離回収し、THF製造反応器へ循環再使用する。一方、THF、酢酸、水の混合物は更に蒸留によってそれぞれの成分に分離、精製して、実質的に水を含まないTHFを得、必要あれば、含まれる可能性のある高沸物を更に蒸留によって分離し、好適にPTMG製造の原料として用いられる。【0009】次いで、THFを無水酢酸の存在下で酸触媒を用いて開環重合して、PTMEを製造する。使用される酸触媒としては、特に限定されるものではなく、公知のものを使用することが出来る。例えば、特公昭61−11969号記載の超強酸性陽イオン交換樹脂、特公昭62−19452号記載の漂白土、特開平7−228684号記載のゼオライト等の固体酸触媒が挙げられる。過塩素酸の様な液体の酸を使用することもできるが、この場合は開環重合後に酸を中和および/または分離する工程が複雑になるので工業上不利である。固体酸触媒を用いた場合には、触媒の分離が簡単に出来るので好ましい。固体酸触媒は、懸濁床、固定床のいずれでも使用できるが、固定床流通反応で用いると触媒の分離操作を別途行う必要がなく特に好ましい。【0010】反応条件は、目的とするPTMGの分子量や用いる酸触媒の種類によって異なるが、通常、反応液中における酸触媒の濃度として0.1〜50重量%、無水酢酸の濃度として0.1〜30重量%程度で使用される。反応温度は通常、−20〜150℃の範囲で、反応時間は通常、0.5〜10時間の範囲から選ばれる。得られた重合反応液には、PTMEの他にオリゴマーのジエステル、未反応原料等を含有しているので、通常、未反応のTHFと無水酢酸を常圧または減圧下で留去させる。留去させたTHFと無水酢酸は必要に応じて精製してTHFの開環重合あるいは他の用途に再利用することができる。【0011】未反応物を除去した後のPTME中には2量体乃至10量体程度のTHFオリゴマーのジエステルが数%含まれている。PTMG中のオリゴマーは、弾性繊維やエラストマーの物性に悪影響を及ぼすと言われており、オリゴマーの少ないPTMGが要望されている、従って、本発明方法では、PTMEをエステル交換する前に、オリゴマーのジエステルを分離することが必要である。オリゴマーのジエステルの分離法方としては、限外濾過や溶媒による分別も可能であるが、薄膜蒸発器或いは分子蒸留装置を用いた蒸留による方法が簡便で好ましい。【0012】蒸留は、5torr(666.5Pa)以下の高真空下、温度250℃乃至350℃の条件で実施され、通常5量体以下の分子量のオリゴマーが留出物として分離され、缶出液としてオリゴマーが減少したPTMEが得られる。分離されたオリゴマーは、場合によっては、特殊な用途の原料として用いることが出来るが、通常、解重合してTHF及び酢酸として回収する。特に、1,4BGの酢酸エステルからTHFを製造する工程に循環して、再度THF製造原料として使用することが好ましい。【0013】1,4BGの酢酸エステルからTHFを製造する反応では、THFの他に、分子間で脱水したテトラメチレンエーテル部を単位とする低重合物、即ちオリゴマーの酢酸エステルも同時に生成しており、この解重合によってもTHFが生成している。従って、PTMEから分離したオリゴマーをTHF製造工程の反応器に循環して解重合して回収すれば、新たな設備を設置する必要がない。【0014】次いで、オリゴマーを分離したPTMEにエステル交換触媒とアルコールを加えてエステル交換反応を行う。エステル交換の方法としては公知の方法を使うことができる。例えば特公昭61−11969には、炭素数1−4の低級アルコールと触媒としてカルシウム、ストロンチウム、バリウムまたはマグネシウムの酸化物、水酸化物またはアルコキシドを使用する方法が開示されている。また、特公平1−17486には、炭素数1−10の直鎖および分枝鎖のアルコールと触媒として酸化カルシウムまたは水酸化カルシウムを用い、必要に応じて0.01−0.1%の水の存在下で反応を行う方法が開示されている。これらの公知の方法の中、炭素数1〜4の低級脂肪族アルコールとカルシウムの酸化物又は水酸化物を触媒として使用することが好ましい。【0015】反応条件は特に限定されないが、通常PTMGの酢酸エステルに対して触媒を0.001〜1重量%、低級アルコールを5〜30モル倍用いる。反応は通常低級アルコールの沸点で実施されるが、加圧することにより、より高い温度で実施することもできる。また、少量の水の存在下で反応を行っても差し支えない。反応形式はバッチでも連続でも実施できるし、2段階以上の反応器を用いても良い。副生する低級アルコールの酢酸エステルは、反応中に蒸留して留去させることが望ましい。【0016】得られたPTMGは必要に応じて公知の方法により触媒の中和、濾過および低級アルコールの留去を行う。留去した低級アルコールは必要に応じて精製してエステル交換反応あるいは他の用途に再利用しても良い。通常、工業的には上記の方法で数平均分子量500〜3000のPTMGが得られ、ポリウレタン弾性繊維やポリウレタンエラストマー或いはポリエステルエラストマーの原料として使われる。【0017】【実施例】以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に制約されるものではないなお、以下の実施例に於いて、「%」及び「部」は特記しない限り「重量%」及び「重量部」を示す。【0018】実施例1(THF製造工程)1,4−ジアセトキシブタンの加水分解で得られた1−ヒドロキシ−4−アセトキシブタン58%、1,4−ジアセトキシブタン27%、1,4−BG9%を含む水性液を、後述する高沸分離塔より回収された未反応物及びPTMEより分離されたオリゴマーのジエステルと共に、スルホン酸型強酸性イオン交換樹脂ダイヤイオンSK−1BH(商標、三菱化学(株)製)を充填した反応器で、温度80℃、滞留時間6時間で反応させた。反応液は、THF、酢酸、水及び未反応物を含んでいるので、高沸分離塔に導入した。高沸分離塔は、塔頂圧力290torr(0.39MPa)、塔底温度185℃、還流比0.3で運転し、塔頂よりTHF67%、酢酸22%、水10%を含む留出物を得た。缶出より回収された未反応物は、THF化反応器に供給し反応させた。高沸分離塔より留出したTHF、酢酸、水を含む混合物は、加圧脱水塔の留出物と共に常圧で運転される酢酸分離塔に供給し、塔底より酢酸、水を主成分とする缶出液を抜きだし、塔頂から、水、THFの共沸混合物を留出させた。該共沸混合物は、圧力0.83MPaG、還流比0.3で操作される理論段14段の脱水塔で蒸留し、塔頂より水13%を含むTHFを留出させ、塔底より水分50ppm 以下のTHFを缶出した。脱水塔の留出液は、酢酸分離塔に供給しTHFを回収し、缶出液は常圧、還流比0.6で運転されるTHF精製塔に供給し、塔頂より純度99.9%以上のTHFを留出させた。【0019】(開環重合工程)THF精製塔から得られたTHF2000部と無水酢酸332部を、800℃で焼成したジルコニア・シリカ粉末100部を触媒として、攪拌器付の反応器で40℃で8時間反応させた。反応終了後、触媒を濾過し、無色の重合液から未反応のTHFおよび無水酢酸を減圧下で留去させ、PTMGの酢酸ジエステル(PTME)を得た。THFの転化率は55%であり、PTMEをゲルパーミエイションクトマトグラフィー(GPC)でポリエチレングリコールを標準として分析したところ、数平均分子量(Mn)=2000、分子量分布(Mw/Mn)=2.1であった。【0020】次いで、PTMEを0.5torr(66.7Pa)の減圧下、熱媒温度250℃の条件で薄膜蒸発器をで蒸留し、缶出よりPTMEを抜き出し、GPCで分析したところ、分子量(Mn)2110、Mw/Mn=1.95であった。留出したオリゴマーの酢酸エステルは、0.95%であり、THF化反応器に送りTHF、酢酸として回収した。【0021】(エステル交換反応工程)オリゴマー分離をした後のPTME1000部およびメタノール1000部、水酸化カルシウム1部の混合物を20段の理論段数を持つ蒸留塔を備えた反応器に仕込み、撹拌下に6時間沸騰加熱し、蒸留塔の塔頂部よりメタノール/酢酸メチルの共沸混合物を留出させながらエステル交換を行った。得られた共沸物は88部であった。反応器内の液を赤外分析により残留するエステルを分析したところ検出限界以下であった。反応液は、冷却後1μフィルターを装着した加圧濾過器で濾過し、水酸化カルシウムを除去し、1910部の無色透明な濾液を得た。濾液には約10ppmの水酸化カルシウムが溶解していたので、スルホン酸型の強酸性イオン交換樹脂ダイヤイオンSK−1BH(商標、三菱化学(株)製)を充填した吸着塔を30℃で通過させ溶存する水酸化カルシウムを除去した。吸着処理した液のカルシウムを分析したところ検出限界以下であった。処理液は、蒸発器で常圧下、メタノールの大部分を除去した後、10torr(1333Pa)の減圧下、熱媒温度250℃で運転される薄膜蒸発器で連続的に処理し、メタノールを実質的に含まないPTMG870部を得た。得られたPTMGをGPCでポリエチレングリコールを標準として分析したところ、分子量(Mn)2020、Mw/Mn=2.0であった。【0022】比較例1実施例1に於ける薄膜蒸発器によるオリゴマー分離及びオリゴマーからの酢酸回収を行わなかった以外は、実施例1と同じ操作でPTMGを製造した。得られたPTMGの分子量(Mn)は1930であり、Mw/Mnは2.20であった。【0023】【発明の効果】本発明によれば、PTMEをエステル交換する前に、オリゴマーのジエステルを分離することによって、分子量分布の狭いPTMGを得ることが出来る。又分離したオリゴマーのジエステルは、解重合によりTHF及び酢酸として回収することが出来る。特に、オリゴマーのジエステルを、1,4BGの酢酸エステルからTHFを製造する工程に循環すると、解重合、再利用のための新たな設備を設置することなく、オリゴマーのジエステルを再利用することが出来、経済的である。又、本発明方法は、PTMEをエステル交換後に、オリゴマーを分離する方法に比し、オリゴマーの解重合によりTHFのみならず酢酸を回収できるという利点を有する。 (a)1,4−ブタンジオール及び/又はその酢酸エステルを、酸触媒の存在下、環化させてテトラヒドロフランを製造する工程、(b)得られたテトラヒドロフランを無水酢酸及び固体酸触媒の存在下、開環重合してポリテトラメチレンエーテルグリコールのジ酢酸エステルを製造する工程、(c)得られたポリテトラメチレンエーテルグリコールのジ酢酸エステルからテトラメチレンエーテルグリコールオリゴマーのジ酢酸エステルを分離する工程、(d)分離されたテトラメチレンエーテルグリコールオリゴマーのジ酢酸エステルを、(a)工程の環化反応器に循環する工程、(e)テトラメチレングリコールオリゴマーのジ酢酸エステルを分離した後のポリテトラメチレンエーテルグリコールのジ酢酸エステルを脂肪族アルコールとエステル交換する工程を含むことを特徴とするポリテトラメチレンエーテルグリコールの製造方法。 テトラメチレンエーテルグリコールオリゴマーの酢酸エステルの分離を、薄膜蒸留又は分子蒸留により行うことを特徴とする請求項1に記載のポリテトラメチレンエーテルグリコールの製造方法。 固体酸触媒が、スルホン酸型強酸性陽イオン交換樹脂であることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリテトラメチレンエーテルグリコールの製造方法。


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