生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_外用消炎鎮痛剤
出願番号:1998052009
年次:2007
IPC分類:A61K 36/75,A61K 31/255,A61K 31/405,A61P 17/00,A61P 29/00,C07D 209/28


特許情報キャッシュ

久保 道▲徳▼ 松田 秀秋 JP 3910292 特許公報(B2) 20070202 1998052009 19980304 外用消炎鎮痛剤 第一三共ヘルスケア株式会社 306014736 特許業務法人アルガ特許事務所 110000084 有賀 三幸 100068700 高野 登志雄 100077562 中嶋 俊夫 100096736 村田 正樹 100117156 山本 博人 100111028 的場 ひろみ 100101317 守屋 嘉高 100121153 大野 詩木 100134935 松田 政広 100130683 野中 信宏 100140497 久保 道徳 598001054 有賀 三幸 100068700 高野 登志雄 100077562 中嶋 俊夫 100096736 的場 ひろみ 100101317 棚井 澄雄 100106909 久保 道▲徳▼ 松田 秀秋 20070425 A61K 36/75 20060101AFI20070405BHJP A61K 31/255 20060101ALI20070405BHJP A61K 31/405 20060101ALI20070405BHJP A61P 17/00 20060101ALI20070405BHJP A61P 29/00 20060101ALI20070405BHJP C07D 209/28 20060101ALN20070405BHJP JPA61K35/78 KA61K31/255A61K31/405A61P17/00A61P29/00C07D209/28 A61K 36/75 A61K 31/255 A61K 31/405 特開平06−312932(JP,A) 特開平05−105628(JP,A) 特開平09−286789(JP,A) 特開昭62−148426(JP,A) 呉建新 他,呉しゅゆ由来成分の抗炎症作用について ,日本生薬学会年会講演要旨集,1996年,Vol.43rd,Page.155 2 1999246423 19990914 8 20021022 鶴見 秀紀 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は外用消炎鎮痛剤に関する。【0002】【従来の技術】インドメタシンに代表される非ステロイド系抗炎症剤は外科領域において打撲、捻挫、筋肉痛、関節炎などの治療に内服で広く用いられ、優れた治療効果が認められている。【0003】しかし、その消炎機序をプロスタグランジン合成阻害とする故に、内服では重篤な胃腸障害が惹起される。近年、その副作用を防ぐために、液剤、軟膏剤、貼付剤等の外用剤が開発されている。しかし、これらの成分は皮膚からの吸収が悪く、外用投与では内服と同等あるいはそれ以上の治療効果が得られていないのが現状であり、皮膚からの吸収改善による治療効果の促進が最大の課題とされていた。【0004】この課題を解決する方法としては、非ステロイド系抗炎症剤の基剤への溶解性を高める方法、皮膚からの吸収を促進させる成分を配合する方法などが知られている。しかし、これらの方法も非ステロイド系抗炎症剤の外用時の効果を十分に満足させるものではなかった。【0005】また、従来の外用剤は、適用部位に発赤、かゆみを生じさせる等の問題があり、かかる皮膚刺激性の改善も求められている。【0006】【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は非ステロイド系抗炎症剤の外用時の消炎、鎮痛効果を改善し、かつ皮膚刺激性も改善した外用消炎鎮痛剤を提供することにある。【0007】【課題を解決するための手段】そこで、本発明者らは、天然由来の生薬に着目して非ステロイド系抗炎症剤との併用による作用について種々検討してきた結果、呉茱萸又はその抽出物を非ステロイド系抗炎症剤と併用すると消炎・鎮痛効果が飛躍的に向上し、更に呉茱萸又はその抽出物が優れた抗アレルギー作用、痒み防止作用を有することから前記皮膚刺激性も改善されることを見出し、本発明を完成するに至った。【0008】 すなわち、本発明は、インドメタシン及び呉茱萸又はその抽出物を含有することを特徴とする外用消炎鎮痛剤を提供するものである。【0010】【発明の実施の形態】 本発明外用剤へのインドメタシンの配合量は、0.01〜10重量%、特に0.5〜2重量%が好ましい。【0011】本発明で用いられる呉茱萸は、ミカン科エボジア属植物の果実を起源とし、第十三改正日本薬局方にはEvodia rutaecarpa 又はEvodia officinalisの果実と定義されており、局方外生薬としてEvodia rutaecarpa var. bodinieriも収載されている。漢方では健胃、鎮痛、利尿を目標に胃内停水、頭痛、嘔吐、胸満などに用いられている。呉茱萸エキスには鎮痛作用、抗炎症作用、血流増加作用などが知られているが、非ステロイド系抗炎症剤、中でもインドメタシンの消炎鎮痛効果を増強する作用は知られていない。【0012】本発明においては、呉茱萸の起源植物を構成する部位全て又は葉、茎、根、花、果実、根茎などの一部をそのまま用いることができ、これらを乾燥した後、粉砕して粉末にして用いることもできる。また、本発明においては、この植物の抽出物を用いることもできる。抽出物を得る方法としては、例えばこの植物の果実、葉、根、根茎、茎、花などを水及び/又は親水性有機溶媒等の抽出溶媒を用いて抽出して抽出液を得る方法が挙げられる。親水性有機溶媒としては、例えばメタノール、エタノールなどの炭素数1〜4の低級アルコール、アセトン、エーテルなどが挙げられるが、炭素数1〜4の低級アルコールが好ましく、特にメタノール、エタノールが好ましい。これらの溶媒は単独でも、2種以上を組み合わせて使用してもよく、また、水とこれらの親水性有機溶媒を混合して使用してもよい。好ましい抽出溶媒としては、含水アルコールが挙げられ、特に含水エタノールが好ましい。これらの抽出溶媒の使用量は特に制限されず、抽出液を製するには、例えばエキス剤、チンキ剤などを製する際に用いられる冷浸法、温浸法、パーコレーション法などを適用することができる。【0013】得られた抽出液はそのまま、又は更に濃縮したり、希釈したり、精製したりして用いることができる。更にこのような抽出液から凍結乾燥、噴霧乾燥、減圧留去などにより粉末として用いてもよい。また、呉茱萸には、エボジアミン、ルテカルピン、エボカルピン、リモニン、エボドール等の成分が含まれており、本発明においては、これら成分の単独又は2種以上を組合せて用いてもよい。これらの成分は、これらの成分を含む呉茱萸などの植物等から抽出又は化学合成することにより、得ることができる。【0014】本発明において、呉茱萸又はその抽出物の配合量は外用剤に対し、起源植物換算で0.001〜30重量%が好ましく、0.01〜10重量%が特に好ましい。【0015】本発明の外用消炎鎮痛剤の剤型としては、外用製剤であれば、いずれの剤型でも使用でき、例えば、液剤、軟膏剤、パップ剤、エアゾール剤、硬膏剤、リニメント剤、ローション剤などを挙げることができる。これらの剤型は、その剤型に応じて通常の基剤を用い、適当な添加剤を加えることができる。【0016】例えば、液剤ではアラビアゴム、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ベントナイト等の懸濁化剤;ラウリル硫酸ナトリウム、ポリソルベート類、ソルビタンモノ脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル類等の乳化剤等が用いられる。【0017】軟膏剤としては、油脂性基剤、水溶性基剤、乳剤性基剤又はゲル基剤のいずれでもよい。ここで油脂性基剤としては、黄色ワセリン、白色ワセリン、パラフィン、流動パラフィン、プラスチベース、シリコーン等の鉱物性基剤、植物油、豚脂、牛脂、ロウ等の動植物性基剤が挙げられる。また、乳剤性基剤としては、種々の油剤と界面活性剤と水とで構成されるクリーム剤が挙げられる。水溶性基剤としては、ポリエチレングリコールを主基剤とするものが挙げられる。また、ゲル基剤としては、カルボキシビニルポリマー、キサンタンガムなどの水溶性高分子等が挙げられる。【0018】本発明の外用消炎鎮痛剤には、非ステロイド系抗炎症剤の溶解、使用感等の改善を目的として、ベンジルアルコール、クロタミトン、脂肪酸ポリエチレングリコールエステル、グリコール類(プロピレングリコール、ブチレングリコール、ポリエチレングリコールなど)等を配合してもよい。【0019】本発明の外用消炎鎮痛剤は、例えば肩、腰、肘等の消炎鎮痛を目的とする患部に適当量を1日1回〜数回塗布又は貼付することが望ましい。【0020】【実施例】次に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれに何ら限定されるものではない。【0021】実施例1(1)呉茱萸の50%エタノール抽出エキスの調製;中国産呉茱萸(Evodia rutaecarpa var. bodinieriの果実)を粉砕した後、10倍量の50%含水エタノールで2時間、2回熱時抽出した。抽出液を熱時濾過し、濾液を減圧下に濃縮し、凍結乾燥を施し、乾燥50%エタノール抽出エキスを44.2%の収率で得た。【0022】(2)呉茱萸の70%メタノール抽出エキスの調製;中国産呉茱萸を粉砕した後、10倍量の70%含水メタノールで2時間、2回熱時抽出した。抽出液を熱時濾過し、濾液を減圧下に濃縮し、凍結乾燥を施し、乾燥70%メタノール抽出エキスを43.4%の収率で得た。【0023】(3)軟膏の調製;下記組成の軟膏基剤を用い、これにインドメタシン及び上記(1)の呉茱萸エキスをそれぞれ1.0重量%となるように混合攪拌してインドメタシン1.0重量%含有軟膏、呉茱萸1.0重量%含有軟膏、及びインドメタシン及び呉茱萸をそれぞれ1.0重量%含有軟膏を調製した。【0024】カルボキシビニルポリマー 1.0重量%ベンジルアルコール 0.5重量%オクチルドデカノール 5.0重量%ポリエチレングリコール脂肪酸エステル 0.5重量%ジイソプロパノールアミン 0.7重量%エデト酸塩 0.01重量%精製水 全量100重量%【0025】試験例1(カラゲニン浮腫試験)Wistar系雄性ラット(140〜160g)の右後肢足蹠皮下に1%カラゲニン生理食塩液0.1ml/ラットを注射し、足蹠浮腫を惹起した。カラゲニン注射直前及び2、3時間後に足容積を水置換法により測定し、浮腫率を算出した。なお、被検軟膏〔実施例1(3)〕はカラゲニン注射2、1時間前に右後肢に50mg/ラットとなるように塗布した。結果は表1に示した。【0026】【表1】【0027】その結果、呉茱萸1%単独軟膏にはカラゲニン浮腫を抑制する作用が認められなかった。インドメタシン1.0%単独軟膏は用量依存的にその浮腫を抑制した。インドメタシンと呉茱萸を併用すると、インドメタシンの抗炎症作用が顕著に増強され、その効果はインドメタシン単独群に比べて有意差が認められた。【0028】試験例2(呉茱萸の抗アレルギー作用)(1)マスト細胞からのヒスタミン遊離抑制作用;▲1▼感作ラット腹腔マスト細胞浮遊液の調製1mgの卵白アルブミン(以下、EWAと略記、type V)と10mgの水酸化アルミニウムゲルを含む生理食塩液0.5mlをWistar系雄性ラットの足蹠皮下に4分割して投与し、同時に百日咳死菌(Bordetella pertussis)2×1010個/mlを含む生理食塩液1mlを腹腔内に投与し、感作した。7日後、上述のEWA生理食塩液をラットの両大腿部筋肉内に投与し、更に百日咳死菌2×1010個/mlの生理食塩液を腹腔内に投与して追加感作した。追加感作7日後、腹大動脈から採血して、抗EWAラット血清を得た。血清は−80℃で凍結保存した。【0029】上記の方法で作製した血清0.5mlをWistar系雄性ラットの腹腔内に投与し感作した24時間後、ラットを断頭瀉血し、ただちにハンクス液(10U/mlのヘパリン含有)10mlを腹腔内に注入した。90秒間腹部を静かにマッサージした後、腹腔内液を採取し、40%フィコール溶液2mlに静かに重層し、室温で30分間放置後、5℃、1,200rpm 、10分間遠心分離を行い、フィコール層上のマスト細胞を集めた。このマスト細胞はリン酸緩衝液(以下、PBSと略記、pH7.0)に浮遊させ、遠心分離による洗浄を3回繰り返し、再びPBSに浮遊(2.9×106個/ml)させた。この浮遊液中のマスト細胞含有率は85〜90%で、生存率はトルイジンブルー(0.1%、50%エタノール溶液)染色法で90%以上であることを確認した。【0030】▲2▼ヒスタミン遊離反応試験▲1▼で得られたマスト細胞浮游液1.8mlを37℃、10分間プレインキュベート後、被検液(10%ジメチルスルホキシド(以下、DMSOと略記)/PBSに溶解)0.1mlを加え、10分間インキュベートし、更にEWAとホスファチジル−L−セリンを混合したもの(最終濃度EWA2mg/ml、ホスファチジル−L−セリン100mg/ml)0.1mlを加えて15分間インキュベートした。氷冷により反応を停止し、5℃、1,200rpm 、5分間遠心分離を行い、上清及び沈渣を得た。上清中のヒスタミン量は、上清0.7mlに水1.4ml、1N NaOH0.4ml、1%o−フタルジアルデヒド/メタノール溶液0.1mlを加えて4分間放置後、3N塩酸溶液0.2mlで反応を停止させた。反応終了10分後に5℃、3,000rpm 、5分間遠心分離し、上清の蛍光を励起波長360nm、蛍光波長450nmで測定し、既知濃度のヒスタミン検量線からヒスタミン量を求めた。また、マスト細胞に残留するヒスタミン量は沈渣にPBS2mlを加えて超音波処理、更に凍結融解を3回繰り返し、5℃、1,200rpm 、5分間遠心分離を行い、得られた上清を同様に測定し、抗原抗体によるヒスタミン遊離率は次式によって求めた。【0031】【数1】ヒスタミン遊離率%=(抗原処置時のヒスタミン遊離量−抗原無処置時のヒスタミン遊離量)/マスト細胞中の全ヒスタミン量×100【0032】被検体の活性は次式による抑制率で示した。【0033】【数2】抑制率%=(被検体無処置時のヒスタミン遊離率−被検体処置時のヒスタミン遊離率)/被検体無処置時のヒスタミン遊離率×100【0034】【表2】【0035】その結果は表2に示したごとく、呉茱萸エキスは抗原抗体反応によるマスト細胞からのヒスタミン遊離を用量依存的に抑制した。【0036】(2)IgE関与ラット48時間Homologous Passive Cutaneous Anaphylaxix(PCA)反応試験;抗卵白アルブミン(EWA)ラット血清の調製は、上記の方法に従って行った。PCA反応試験はWistar系雄性ラットの背部を剪毛し、皮内に8倍、もしくは16倍に希釈した抗EWAラット血清を0.05ml/siteで、それぞれ1点ずつ合計2点注射し感作した。48時間後、EWA2mgを含む1%エバンスブルー生理食塩液0.5mlを尾静脈から注射し、30分後にラットを放血致死させ、8倍希釈の血清により生じた青斑部の面積及び漏出色素量を測定した。漏出色素量の測定はこの青斑部を切り出して、1N水酸化カリウム溶液1mlを加え、37℃、48時間インキュベートした後、0.6Nリン酸2.5mlで中和し、アセトン6.5mlでよく混和抽出した。3,000rpm 、10分間遠心した後、620nmでその上清液の吸光度を測定し、予め作製したエバンスブルーの検量線より色素量を求めた。被検体はPCA誘発1時間前に1回経口投与した。【0037】【表3】【0038】その結果は表3に示したごとく、呉茱萸エキスはPCA反応による色素の漏出を用量依存的に抑制した。【0039】(3)塩化ピクリル誘発接触性皮膚炎(以下、PC−CDと略記)試験前日に剪毛したICR系雌性マウス(体重30〜32g)の腹部を剪毛し、7%塩化ピクリルエタノール溶液0.1mlを塗布し感作した。感作6日後、1%塩化ピクリル−オリーブオイル溶液0.02mlをマウスの右耳介に塗布し誘発した。誘発24時間後、耳介が十分に腫れているマウスを選別し、再度感作誘発を行った。PC−CDによる耳介の腫脹はDial Thickness Gauge(尾崎製作所株式会社)を用い、再誘発直前及び誘発後の耳介の厚さを測定することにより浮腫率として算出した。被検体は再誘発直前及び16時間後に2回経口投与した。【0040】【表4】【0041】その結果は、表4に示したように、呉茱萸エキスはPC−CDによる耳浮腫を用量依存的に抑制した。【0042】試験例3(呉茱萸の抗掻痒作用)コンパウンド誘発掻痒試験;ddY系雄性マウス(28〜30g)に被検体を経口投与し、その1時間後に起痒物質として0.1%コンパウンド48/80生理食塩液0.1mlを背部皮下に注射することによりマウスの掻痒行動を惹起した。マウスの掻痒行動の判定はマウスが後肢で注射部位を引っ掻く行動を掻痒行動とし、その回数を注射直後より10分間計数することにより評価した。【0043】【表5】【0044】結果は表5に示したごとく、呉茱萸エキスはコンパウンド48/80によって惹起された掻痒行動を用量依存的に抑制した。【0045】試験例2及び3から明らかなように、呉茱萸は抗アレルギー作用、抗掻痒作用があることから、呉茱萸と非ステロイド系抗炎症剤を配合した外用剤は、外用剤の副作用としてしばしば見られる発赤、かゆみなどの皮膚症状がおこらないことが明らかである。【0046】【発明の効果】本発明の外用消炎鎮痛剤は、消炎、鎮痛効果に優れたものであり、かつ皮膚刺激性がなく皮膚外用剤として好適に使用することができ、関節炎、リウマチ、捻挫、腰痛、筋肉痛などの炎症性疾患を改善することができる。 インドメタシン及び呉茱萸又はその抽出物を含有することを特徴とする皮膚外用消炎鎮痛剤。 剤型が液剤、軟膏剤、パップ剤、エアゾール剤、硬膏剤、リニメント剤及びローション剤から選ばれるものである請求項1記載の皮膚外用消炎鎮痛剤。


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