生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_ソフトカプセル
出願番号:1998050044
年次:2009
IPC分類:A61K 9/48,A61K 47/36,A61K 47/02,A61J 3/07,C08B 37/00


特許情報キャッシュ

長谷川 洋明 小野 知徳 JP 4249816 特許公報(B2) 20090123 1998050044 19980217 ソフトカプセル 富士カプセル株式会社 391010976 塩川 修治 100081385 長谷川 洋明 小野 知徳 JP 1997054304 19970224 20090408 A61K 9/48 20060101AFI20090318BHJP A61K 47/36 20060101ALI20090318BHJP A61K 47/02 20060101ALI20090318BHJP A61J 3/07 20060101ALI20090318BHJP C08B 37/00 20060101ALN20090318BHJP JPA61K9/48A61K47/36A61K47/02A61J3/07 LC08B37/00 AC08B37/00 G A61K 9/48 A61J 3/07 A61K 47/02 A61K 47/36 C08B 37/00 WPI BIOSIS(STN) CAplus(STN) EMBASE(STN) MEDLINE(STN) JSTPlus(JDreamII) JMEDPlus(JDreamII) JST7580(JDreamII) 特開昭60−012943(JP,A) 特開平05−004914(JP,A) 特開平06−329833(JP,A) 特開平09−327501(JP,A) 特開昭61−010508(JP,A) 英国特許出願公開第02219803(GB,A) 4 1998291928 19981104 8 20040927 遠藤 広介 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、医薬品、医薬部外品、化粧品、食品等に適用されて好適なソフトカプセルに関する。【0002】【従来の技術】従来、ソフトカプセルとして、ゼラチンを皮膜基剤とするソフトカプセルが多用されている。ところが、ゼラチンは水溶性であるため、ゼラチン皮膜からなるソフトカプセルは、水を含む保存液に入れて保存することができなかった。【0003】そこで、特開平1-193216号公報に記載の如く、水不溶性の寒天を皮膜基剤とするソフトカプセルが提案されている。寒天皮膜からなるソフトカプセルは、水を含む保存液に入れて保存することができる。【0004】【発明が解決しようとする課題】然しながら、寒天皮膜からなるソフトカプセルにあっては、以下の点での改良が望まれる。▲1▼寒天皮膜はゼラチン皮膜(40℃以上で溶解)に比して耐熱性が良いものの、100℃までの耐熱性はない。【0005】▲2▼寒天皮膜は酸性条件(pH 3)で加熱されると溶解し易く、pH 3.5付近が実用上の限界である。【0006】▲3▼透明性が低い。【0007】本発明の課題は、水不溶性である上に、耐熱性と耐酸性が高く、透明性も良いソフトカプセルを提供することにある。【0008】【課題を解決するための手段】 請求項1に記載の本発明は、ジェランガムと、金属塩と、水のみからなる皮膜を用いて得られるソフトカプセルであって、水中に分散させても水に溶解することなく安定なソフトカプセルである。【0009】 請求項2に記載の本発明は、ジェランガムと、カラギーナンと、金属塩と、水のみからなる皮膜を用いて得られるソフトカプセルであって、水中に分散させても水に溶解することなく安定なソフトカプセルである。【0010】 請求項3に記載の本発明は、ジェランガムと、ファーセレランと、金属塩と、水のみからなる皮膜を用いて得られるソフトカプセルであって、水中に分散させても水に溶解することなく安定なソフトカプセルである。【0011】 請求項4に記載の本発明は、ジェランガムと、ファーセレランと、カラギーナンと、金属塩と、水のみからなる皮膜を用いて得られるソフトカプセルであって、水中に分散させても水に溶解することなく安定なソフトカプセルである。【0016】【発明の実施の形態】本発明のソフトカプセルは、ジェランガムを皮膜基剤とするものである。ジェランガム(商品名:ケルコゲル)は、ハイドロコロイドと呼ばれる高分子物質の一つである。本発明のソフトカプセルを構成するジェランガム皮膜は、ジェランガムに金属塩(乳酸カルシウム、塩化カルシウム、塩化ナトリウム等)、水を添加して構成することができる。ジェランガム皮膜には、その他、安定化剤、着色剤、香料等を必要に応じて添加できる。尚、ジェランガムは添加する金属塩の種類及び量によって、ゲルの強度をコントロールすることができる。またpH 3.5付近にゲルを調整し、2価の塩と併用することにより、効果的にゲル強度を強くすることもできる。【0017】本発明のソフトカプセルは、一般的なシームレス滴下法により製造される。滴下法は、外側がカプセル皮膜液、内側がカプセル内容液からなる2層性の液流を、一定間隔で切断することにより皮膜液にて内容液を包み、球体(シームレスカプセル)を成形するものである。【0018】本発明のソフトカプセルには、以下の如くの作用がある。▲1▼ジェランガムは水不溶性であり、ジェランガム皮膜からなるソフトカプセル(ジェランガムカプセル)は、水を含む保存液(分散液)に入れて保存することができる。【0019】▲2▼ジェランガム皮膜は 100℃でも溶解せずに形状維持でき、耐熱性が高い。【0020】▲3▼ジェランガム皮膜は酸性条件(pH 3)で加熱しても溶解せずに形状維持でき、耐酸性が高い。【0021】▲4▼透明性が良い。【0022】本発明のソフトカプセルの応用範囲は非常に広く、あらゆる形態の製品に本発明のカプセルを配合することにより様々な目的を達成できる。【0023】カプセル皮膜に水を含んだ状態(なまカプセル)では、液・クリーム・ゲル・ペースト状・乳化系等の状態のもの(剤型)に配合し利用できる。【0024】カプセル皮膜から水分を除いた状態(乾燥カプセル)では、カプセルをそのまま・粉末・顆粒・錠剤・シート状等の状態のもの(剤型)に配合する等して利用できる。【0025】以下に、具体的にいくつかの例について説明する。(1) 健康食品用・医療品用ソフトカプセルこの利用形態では、皮膜から水分を除いた乾燥カプセルが望ましい。内容液として、脂溶性成分及び油脂を含有するソフトカプセル。【0026】脂溶性成分の例ビタミンA類及び誘導体、ビタミンD類、ビタミンE類及び誘導体、ビタミンK類、γ−オリザノール、リノレン酸、カロチン類等【0027】油脂の例MCT(中鎖脂肪酸トリグリセリド)、大豆油、小麦胚芽油、とうもろこし油、綿実油、オリブ油、ゴマ油、サフラワー油、ナタネ油等【0028】(2) 口内放出性(舌下吸収用)ソフトカプセル内容物として、ニフェジピン、硝酸イソソルビド等を用い、狭心症発作時にかんで服用すれば速効性が期待できる。更にかむときの力も弱くすることが可能である。【0029】(3) 持続性カプセルジェランガム皮膜中に、溶出持続性を期待する薬剤(例:塩酸ニカルジピン)を均一に分散させて、滴下により球状物として持続性ソフトカプセルとする。【0030】(4) 外用薬ソフトカプセルスクワランなどの外用薬として用いられる成分をジェランガム皮膜でソフトカプセル化し、用時カプセルをつぶして使用する。このソフトカプセルを皮膜に水分を含んだ状態でガーゼ部分に施した絆創膏を作成すれば、使用時に貼る動作のみで絆創膏の貼付とカプセル内容物の塗布とを同時に行なうことができる。【0031】本発明のソフトカプセルでは、以下の変形を採用できる。(1) ジェランガム皮膜への他の多糖類の配合ジェランガム皮膜に、例えば寒天、κ(カッパ)−タイプもしくはι(イオタ)−タイプ等のカラギーナン、アルギン酸塩、キサンタンガム、ローカストビーンガム、グルコマンナン、ファーセレラン等を配合し、皮膜強度の調整を図ることができる。【0032】ジェランガム皮膜にκ−カラギーナンを配合したものにあっては、感触がやわらかく、擦っても皮膜の痕跡(カス)が残らない。また、ジェランガム皮膜にι−カラギーナンを配合したものにあっては、κ−カラギーナンを配合したものに比して、感触がよりやわらかく、擦っても皮膜の痕跡(カス)がより残らない。【0033】(2) ジェランガム皮膜への糖類の添加ジェランガム皮膜に、例えば蔗糖(砂糖)、白糖、乳糖、ソルビトール等を添加し、皮膜強度の調整を図り、或いは食品、歯磨き剤用カプセルへの適用における食味付与を図ることができる。【0034】(3) ジェランガムカプセルの保存液(水溶液)への糖類等の配合ジェランガムカプセルのための保存液に、例えばソルビトール、グリセリン、 1,3−ブチレングリコール等を配合することにより、皮膜強度の強化、及び腐敗防止等によるカプセルの保存性の向上を図ることができる。【0035】(4) ジェランガムの皮膜強度の調整以下の手段により、皮膜強度の調整をはかることができる。皮膜率(皮膜重量/カプセル全体重量)の調整皮膜の固形分(皮膜中の水以外の成分量/皮膜全体の成分量)の調整【0036】(5) 乾燥カプセルジェランガム皮膜中における固形分(ジェランガム、金属塩等)の濃度を大とすることにより、乾燥カプセルを構成することもできる。【0037】尚、皮膜に水分を含んだ状態のカプセル(なまカプセル)においては、「皮膜強度が大である事」イコール「良い事」とは必ずしも言えず、ときには破壊されやすいものが望まれる場合もあり、前述のカラギーナンの配合によりそれを達成することもできる。【0038】【実施例】(1) 皮膜処方ジェランガムを精製水中に投入し、これが完全に溶解してから乳酸カルシウムを投入、溶解せしめ、表1の皮膜液(A) 〜(I) 、表2の皮膜液(J) 〜(N) を得た。【0039】【表1】【0040】(2) シームレスカプセルの形成上記(1) の皮膜液(A) 〜(N) を用いて、従来公知のシームレス滴下法(例えば特公昭36-3700 号公報記載の方法)により、中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT:食用油)を内容液とするシームレスカプセル(皮膜率:65%)(直径 1mmφのカプセルと直径 3mmφのカプセル)の形成充填を行なった。皮膜液(A) 〜(N) を用いてのカプセル化の結果は表1、表2の通りであった。【0041】【表2】【0042】(3) 水不溶性の評価上記(2) で形成したジェランガムカプセルを輸送用保存液としての水中に分散させた結果、水に溶解することなく安定であった。【0043】(4) 透明性の評価上記(2) で形成したジェランガムカプセルの外観は透明度が高く、美しいものであった。【0044】(5) 耐熱性の評価方法:保存液中に入れたカプセルを、徐々に加熱してカプセルの割れる温度を測定した。更に加熱を続け、皮膜が完全に溶解するか観察した。【0045】結果:寒天カプセルは約88℃でカプセルが割れ始め、その後、皮膜は完全に溶解した。ジェランガムカプセルは、約97℃で一部(全体の 1/3)の割れを見たが、 100℃まで加熱しても溶解しなかった。【0046】(6) 耐酸性の評価方法:カプセルを、これと同重量のpH 1.1の水溶液中に入れて室温、40℃、50℃、80℃に保温した。保温時間は室温、40℃は 6日間、50℃は24時間、80℃は 4時間まで行なった。【0047】結果:寒天カプセル、ジェランガムカプセルとも、室温、40℃、50℃では変化がなかった。80℃では、寒天カプセルは 2時間で 2/3、 3時間で全て溶解したが、ジェランガムは 4時間でも変化しなかった。【0048】(7) 破壊強度の評価各皮膜処方の皮膜液(E) 、(F) を用いたカプセル(直径 1mmφのカプセル)、皮膜液(A) 、(B) を用いたカプセル(直径 3mmφのカプセル)(内容物はMCT)を上から押しつぶし、破裂した際に加わる力を測定し表3を得た。尚、表3で比較例として示した寒天カプセルの皮膜処方は、水 100重量部に対し寒天 1.1重量部であった。【0049】【表3】【0050】以上、本発明の実施の形態を詳述したが、本発明の具体的な構成はこの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の変更等があっても本発明に含まれる。【0051】【発明の効果】以上のように本発明によれば、水不溶性である上に、耐熱性と耐酸性が高く、透明性も良いソフトカプセルを得ることができる。 ジェランガムと、金属塩と、水のみからなる皮膜を用いて得られるソフトカプセルであって、水中に分散させても水に溶解することなく安定なソフトカプセル。 ジェランガムと、カラギーナンと、金属塩と、水のみからなる皮膜を用いて得られるソフトカプセルであって、水中に分散させても水に溶解することなく安定なソフトカプセル。 ジェランガムと、ファーセレランと、金属塩と、水のみからなる皮膜を用いて得られるソフトカプセルであって、水中に分散させても水に溶解することなく安定なソフトカプセル。 ジェランガムと、ファーセレランと、カラギーナンと、金属塩と、水のみからなる皮膜を用いて得られるソフトカプセルであって、水中に分散させても水に溶解することなく安定なソフトカプセル。


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