生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_ポリグリセリンモノ脂肪酸エステルの製造方法
出願番号:1998039770
年次:2006
IPC分類:C08G 65/26,C07C 69/33


特許情報キャッシュ

圓尾 且也 大森 英俊 JP 3828657 特許公報(B2) 20060714 1998039770 19980206 ポリグリセリンモノ脂肪酸エステルの製造方法 ダイセル化学工業株式会社 000002901 後藤 幸久 100101362 壬生 優子 100136397 圓尾 且也 大森 英俊 20061004 C08G 65/26 20060101AFI20060914BHJP C07C 69/33 20060101ALI20060914BHJP JPC08G65/26C07C69/33 C08G 65/26 C07C 69/33 特開昭61−145137(JP,A) 特開平09−157384(JP,A) 特開平09−194655(JP,A) 特開平09−194428(JP,A) 特開昭61−043627(JP,A) 6 1999222521 19990817 9 20041014 佐々木 秀次 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、ポリグリセリンモノ脂肪酸エステルの製造方法に関する。更に詳しくは、ポリグリセリンモノ脂肪酸エステルの含有率が高く、ポリグリセリンの重合度が高く、色相に優れ、ゲル状物を副生しないポリグリセリンモノ脂肪酸エステルの製造方法に関する。本発明により得られたポリグリセリンモノ脂肪酸エステルは食品、化粧品、医薬などの分野における乳化剤や基剤として有用である。【0002】【従来の技術】近年、ポリグリセリン脂肪酸エステルは食品添加物として認可され、使用量も次第に増加している。一般に、このエステルは、原料として重合度の異なるポリグリセリンと鎖長の異なる脂肪酸とを組合わせることにより広い範囲のHLB値のエステルが得られ、また酸性領域で高い安定性を示すことから、特に食品分野において、乳化剤や粘度調整剤として広く用いられている。ポリグリセリン脂肪酸エステルの製造法としては、(1)ポリグリセリンと脂肪酸のエステル化反応、(2)ポリグリセリンと脂肪酸エステルとのエステル交換反応、(3)ポリグリセリンと油脂とのエステル交換反応、(4)グリシドールと脂肪酸モノグリセライドとの付加重合反応、(5)グリシドールと脂肪酸との付加重合反応などがある。このうち、(2)〜(3)の方法については反応性、生成したポリグリセリン脂肪酸エステルの品質、純度、などから制約の多い方法である。【0003】(1)の方法はJAOCS(Journal of American 0il Chemists’ Society)第58巻、第878頁(198l年)に記載され、ポリグリセリンと脂肪酸とをアルカリ触媒の存在下にエステル化反応を行ってポリグリセリン脂肪酸エステルを得る方法が開示されている。また特開平6−41007号公報にも同様の方法が開示されている。この方法では、一般に、原料のポリグリセリンとしては、反応活性水酸基が平均で4〜10のものが使用され、モノ置換の脂肪酸エステル体を製造しようとしても、使用する脂肪酸の当量に対し、反応活性水酸基の割合が多く、生成したポリグリセリンモノ脂肪酸エステル中には、目的とするモノ脂肪酸エステル体のみならず、未反応のポリグリセリン、ジエステル、トリエステル、テトラエステル等の多置換エステル化物が残存していることが指摘されている(N.Garti,et al,JAOCS(Journal of American 0il Chemists’ Society)第59巻、第317〜319頁(1982年))。(4)の方法については、USP4,515,775に記載されている。この方法では、原料の脂肪酸モノグリセライドの精製の度合により、反応生成物の純度が大きく作用される。特に、グリセリンと脂肪酸との反応により得られる、脂肪酸モノグリセライドを原料に使用した場合には、(1)と同様に、原料中にグリセリン成分の残存が認められ、グリシドールの付加重合反応で得られたポリグリセリンモノ脂肪酸エステル中のモノ脂肪酸エステル体含有率は約40%であり、残りの60%程度は未反応のグリセリンおよび2置換以上のエステルとなることが認められている(津田滋、モノグリセリド、P67(1985)、槙書店)。(5)の方法については、特開昭51−65705号公報にグリセリンのモノ脂肪酸エステルに関して記載されているが、この開示された技術によれば、不活性な溶剤の存在下で高度百分比率のカルボン酸−1−モノグリセライド(後記化学式[1]においてnの値が平均で1である。)を製造する方法で、グリセリンの重合度が平均で1のものであり、ポリグリセリンのモノ脂肪酸エステルに関しては、全く言及されておらず、実際の検討がなされていない。【0004】なお、グリシドールの付加重合反応を使用した技術としては、(1)〜(3)の方法で使用するポリグリセリンを製造する際のグリセリンとグリシドールの付加重合反応(特公平1−55254号公報、特公平4−11532号公報、特公平5−1291号公報)または脂肪酸とグリシドールの付加重合反応後、加水分解反応を経たポリグリセリンの製造(特公平4−69621号公報)、ポリグリセリンモノアルキルエーテル、ポリグリセリンモノアルキルチオエーテルの製造(USP3,821,372、USP3,966,398、USP4,087,466等)等が開示されている。【0005】しかしながら、特公平4−69621号公報の脂肪酸とグリシドールの付加重合反応後、加水分解反応を経由したポリグリセリンの製造では、用いる脂肪酸が低級(炭素数2〜6)脂肪酸であり、かつ、目的はポリグリセリンの製造であり、ポリグリセリン脂肪酸エステルについては全く言及されていない。このように、従来使用されているポリグリセリンモノ脂肪酸エステルには、未置換のポリグリセリンおよび2置換以上のエステル化物が多く残存し、それらを界面活性剤、食品分野の乳化安定剤に応用した場合に、表面張力の低下、分散力の低下、起泡力の低下、乳化安定性の低下が危惧されている。【0006】一方、未置換のポリグリセリンの除去方法としては、水溶性有機溶剤及び水の中から選ばれた少なくとも1種と、非水溶性有機溶剤の中から選ばれた少なくとも1種とを併用した混合溶剤で未反応ポリグリセリンを分液除去する方法(特開昭63−23837号公報)、エステル化反応生成物の溶液をアルキルシリル化シリカゲルと接触、吸着させ未反応ポリグリセリンを除去する方法(特開平3−81252号公報)、水溶性有機溶剤及び水または塩析剤を含む水溶液を併用して未反応ポリグリセリンを抽出除去する方法(特開平6−41007号公報)が提案されている。【0007】しかしながら、特開昭63−23837号公報記載の方法では、非水溶性有機溶剤として述べられているベンゼン、トルエン等の芳香族系炭化水素は、その安全性に疑問が持たれ、食品用途に関しては問題がある。また、この方法に於ては、ポリグリセリンに対する脂肪酸の反応モル比が1以下に限定されており、1を越えるモル比の場合の有効性については記載されていない。また、反応モル比が1以下の場合でも、トルエン/メタノール系などでは、含水メタノール相にかなりの量の高HLBのポリグリセリン脂肪酸エステルが移行することが認められ、さらに、トルエン/メタノール系などでは、未反応ポリグリセリンの分離が極めて不十分であるなど工業的に実施するにはいくつもの問題点があり、特開平3−81252号公報記載のアルキルシリル化シリカゲルによって分割する方法は、運転コストが高く、また操作も煩雑であるという欠点がある。さらに、これらの先行技術は特開平6−41007号公報記載方法も含め未反応ポリグリセリンは除去できるが、2置換以上のエステル化物の除去は不可能であるという欠点を有している。【0008】そこで、界面活性剤、食品分野の乳化安定剤に応用した場合に、表面張力の向上、分散力の向上、起泡力の向上、乳化安定性の向上が期待される、モノ脂肪酸エステル体含有率の高いポリグリセリンモノ脂肪酸エステルおよびその製造方法が求められていた。【0009】しかし、従来の技術では、反応が無触媒で行われる場合には、生成物の色相が悪くなったり、未反応グリシドールが多かったり、触媒の存在下で行われるとしても触媒を脂肪酸と共に予め存在させておき、そこにグリシドールを添加する方法であるので、生成物中にゲル状物が発生するという問題があった。【0010】【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、ポリグリセリンモノ脂肪酸エステルの含有率が高く、ポリグリセリンの重合度が高く、色相に優れ、ゲル状物を副生せず、未反応グリシドールの少ないポリグリセリンモノ脂肪酸エステルの製造方法を提供することである。【0011】【課題を解決するための手段】本発明者は、脂肪酸とグリシドールを反応させてポリグリセリンモノ脂肪酸エステルを製造する際に、リン酸触媒を反応の途中で添加することにより、上記問題を解決できることを見いだし本発明を完成させるに至った。すなわち本発明の第1によれば、脂肪酸にグリシドールの一部を加えて反応させた後、触媒を加え、グリシドールの残りを加えて反応させることを特徴とする、モノ脂肪酸エステル体を主成分とするポリグリセリンモノ脂肪酸エステルの製造方法が提供される。本発明の第2によれば、脂肪酸のアルキル基が炭素数6〜21である本発明の第1に記載のポリグリセリンモノ脂肪酸エステルの製造方法が提供される。本発明の第3によれば、脂肪酸がラウリン酸またはステアリン酸のいずれかであることを特徴とする本発明の第1〜2のいずれかに記載のポリグリセリンモノ脂肪酸エステルの製造方法が提供される。本発明の第4によれば、触媒が、リン酸または酸性リン酸エステルである本発明の第1〜3のいずれかに記載のポリグリセリンモノ脂肪酸エステルの製造方法が提供される。本発明の第5によれば、グリシドールの一部の量が、脂肪酸と等モル以上の量であることを特徴とする本発明の第1〜4のいずれかに記載のポリグリセリンモノ脂肪酸エステルの製造方法が提供される。本発明の第6によれば、ポリグリセリンの重合度が2以上である本発明の第1〜5のいずれかに記載のポリグリセリンモノ脂肪酸エステルの製造方法が提供される。【0012】【発明の実施の形態】グリシドールとの付加重合反応で用いられる酸としては、特に制限はなく、ギ酸、酢酸のような低分子量のカルボン酸でも芳香族カルボン酸のような酸でも、二価のカルボン酸でも、フェノール性水酸基を持つ酸でもよいが、好ましくはアルキル基の炭素数が6〜21の脂肪酸であり、特に好ましくは炭素数が7〜21の脂肪酸である。脂肪酸は飽和脂肪酸でも不飽和脂肪酸でもよく、また直鎖状脂肪酸でも側鎖をもつ脂肪酸でも、更には炭素鎖がヒドロキシル基で置換された置換脂肪酸でもよい。これらの脂肪酸としては、例えばカプロン酸、カプリル酸、2−エチルヘキサン酸、カプリン酸、ラウリン酸、イソトリデカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、ベヘン酸、エルカ酸、リシノール酸、ヒドロキシステアリン酸などがある。これらの中でも特にラウリン酸またはステアリン酸であることが好ましい。これら脂肪酸は単独で使用できるほか、2種以上を任意に混合して反応に用いてもよい。【0013】前記脂肪酸とグリシドールとの反応は、反応初期においては無触媒で行われる。具体的には、反応容器中に脂肪酸をとり、これにグリシドールを少量ずつ添加しながら反応を行う。反応温度は50〜180℃、好ましくは70〜160℃であり、より好ましくは120〜140℃である。50℃未満では反応速度が小さく、また180℃を越えると着色が激しくなり、230℃以上ではグリシドールが分解して副反応を起こし好ましくない。この場合、反応温度の上昇を防止するために、グリシドールと反応しない低沸点化合物または不活性な溶媒を添加してもよい。また反応は窒素ガス雰囲気下で行うことが望ましく、必要に応じて加圧してもよい。【0014】触媒の反応系への添加は、グリシドールの一部が添加された後に、好ましくは脂肪酸と等モル以上のグリシドールが添加された後に、さらに好ましくは脂肪酸に対して2〜3倍モルのグリシドールが添加された後に行われる。触媒をグリシドールの添加前に存在させると、ゲル状物が生成し製品中に混入するか、それを除くために分離操作が必要になる。なお、ここでゲル状物はポリグリセリンの多置換エステル体(エステル基が2個以上付加したもの)等と考えられる。しかし、触媒の反応系への添加は、グリシドールの全量が添加される前であり、好ましくは、グリシドールの60%が未添加の時点である。触媒の反応系への添加が、グリシドールの全量が添加された後であると反応生成物の色相が悪くなり、またグリシドールの残存量も多くなりがちである。触媒の反応系への添加は、一括して行われても分割して行われてもよい。【0015】前記で使用する触媒は、好ましくは、リン酸系酸性触媒である。ここで言うリン酸系酸性触媒としては、リン酸類またはリン酸のエステル類であり、具体的には、リン酸、無水リン酸、ポリリン酸、オルトリン酸、メタリン酸、ピロリン酸、三リン酸、四リン酸などのリン酸類または、メチルアシッドホスフェート、エチルアシッドホスフェート、イソプロピルアシッドホスフェート、ブチルアシッドホスフェート、2−エチルヘキシルアシッドホスフェート等の酸性リン酸エステル類などを用いることができる。なお、これらの酸性リン酸エステルはモノエステル体、ジエステル体、及びそれらの混合物のいずれも使用することができる。以上の中では、リン酸および酸性リン酸エステルを用いることが好ましい。【0016】なお、上記触媒は1種を単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。触媒の添加量は脂肪酸に対して0.01〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%である。0.01量%未満では反応速度が小さく、また反応生成物の色相(APHA値)が高く、10重量%を越えると添加効果の向上は期待できず、使用する触媒によっては、触媒が開始剤となるグリシドールの付加重合体が多く生成し、好ましくない。【0017】以上の反応により脂肪酸にグリシドールが付加重合して、下記式[1]RCO−[OCH2CH(OH)CH2]n−OH [1](但し、Rは好ましくは、炭素数6〜21のアルキル基、アルケニル基またはヒドロキシル基で置換されたアルキル基を表し、nは平均量体数で1を超える数値である。便宜上、式[1]はグリセリンの1級アルコールのみで結合した表現になっているが、エステル及び/又はエーテル結合が2級アルコールで結合したものを含んでもよい。)で示される高重合度のポリグリセリンモノ脂肪酸エステルが生成する。モノ脂肪酸エステル体のnはグリセリンの平均量体数であり、反応させる脂肪酸とグリシドールのモル比と略同じであり、容易に変えることができる。nは1を超え、好ましくは2以上に、更に好ましくは4〜10にすることが可能であり、上限としては特にないが、1,000程度のものまでは可能であろう。反応操作は、回分でも半回分でも、連続でも行うことができる。【0018】生成物は、モノ脂肪酸エステル体を主成分とする、ポリグリセリンモノ脂肪酸エステルである。モノ脂肪酸エステル体を主成分とするとは、生成物中にポリグリセリンモノ脂肪酸エステルを70%以上、好ましくは80%以上含むものである。前記方法で得られるポリグリセリンモノ脂肪酸エステルは、カラムクロマト分析法で溶離し、紫外線吸収検出器を用いて検出される前記一般式[1]で示されるモノ脂肪酸エステル体のピーク面積比で表した含有率が70%以上である。ここでカラムクロマト分析法とは、官能基としてオクタデシルシリル基、オクチルシリル基、ブチルシリル基、トリメチルシリル基、フェニルシリル基を結合したシリカゲルを担体として用いる逆相分配カラム分析法、官能基としてシアノプロピル基、アミノプロピル基を有するシリカゲルを担体として用いる順相分配カラム分析法、官能基として4級アンモニウム基、フェニルスルホン酸基を有するイオン交換カラム分析法、多孔性シリカゲルの吸着カラム分析法が挙げられる。これらの分析法において、好ましくはオクタデシルシリル(ODS)基が結合したシリカゲルを担体として用いる逆相分配カラム分析法が使用される。また分離性能を向上させるため、カラムサイズは4.6mmφ×250mm以上が好ましく、カラムを直列に繋ぐと分離能を向上させることができるので、より好ましい。前記モノ脂肪酸エステル体のピーク面積比が70%以上とは、具体的には下記HPLC(高速液体クロマトグラフィー)の分析条件において、モノ脂肪酸エステルに帰属されるピーク面積比が全ピーク面積に対し70%以上であることを意味する。【0019】また、前記で得られるポリグリセリンモノ脂肪酸エステルは、必要に応じて種々の精製工程を経て更に精製したのち、例えば食品添加剤に使用することも可能であり、また好ましい。具体的な精製方法としては、(イ)減圧下に飽和加熱水蒸気を吹き込んで水蒸気脱臭を行う脱臭方法、(ロ)次亜燐酸ソーダまたは過酸化水素による漂白等の脱色方法等がある。【0020】以上の通り、本発明においては、純度の高いポリグリセリンモノ脂肪酸エステル、特にはグリシドールと脂肪酸との付加重合反応により、モノ脂肪酸エステル体の前記ピーク面積比で表した含有率が70%以上であるポリグリセリンモノ脂肪酸エステルが得られる。このようなポリグリセリンモノ脂肪酸エステルは、界面活性剤や乳化安定剤等の食品添加剤として使用するので、表面張力の向上、分散力の向上、起泡力の向上、乳化安定性の向上などの効果がある。【0021】従って、本発明で得られるポリグリセリンモノ脂肪酸エステルは、従来からポリグリセリンモノ脂肪酸エステル等が使用されている種々の用途に用いられ、その目的とする機能を十分に発揮することができる。【0022】【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例および比較例を通じて、HPLCの分析条件は下記の通りである。【0023】(HPLCの分析条件)カラム:Wakosil 5C18×2(和光純薬工業(株)製;逆相分配カラムであるオクタデシルシリル基を官能基として持つカラム)、展開溶媒:メタノール、流速:0.75ml/min.、カラムオーブン温度:40℃、検出方法:紫外線吸収法(λ=210nm)、試料濃度:10%(溶媒:MeOH)、注入量:5μl。各成分のリテンションタイムは、例えばポリグリセリンモノラウリン酸エステルの場合、ポリグリセリン:8分以前、モノラウリン酸エステル体:8分〜12分、ジラウリン酸エステル体以上:12分以降である。【0024】(実施例1)窒素導入管、攪拌機、冷却管、温度調節器、滴下シリンダーを備えた1リットルの4ツ口フラスコにラウリン酸0.9mol(180.3g)を加え、140℃に加熱した。次いで、反応温度を130℃に保ちながらグリシドールを滴下し、グリシドールの1.8mol(全量の20%)を添加した時点で、リン酸(42.5%水溶液)0.68gを加えた後、残りのグリシドールを滴下し、全体でグリシドール9.0mol(666.7g)を5時間かけて滴下し終えた。滴下後、同温度で、熟成反応を続けて系中のオキシラン酸素濃度が熟成24時間後には0.12%、26時間後には0.072%になった。オキシラン酸素濃度が0.1%以下になったので、冷却し、反応物を取り出してデカグリセリンモノラウリン酸エステルを約845g得た。得られたデカグリセリンモノラウリン酸エステルの色相はAPHA30であり、ゲル状物の生成は見られなかった。結果を表−1に示した。【0025】(実施例2)グリシドールを3.6mol(全量の40%)滴下した時点で、リン酸を添加した以外は実施例1と同様に行った。添加したリン酸は系中に均一に分散、溶解し、反応に作用した。結果を表−1に示した。【0026】(実施例3)グリシドールを7.2mol(全体の80%)滴下した時点で、リン酸を添加した以外は実施例1と同様に行った。結果を表−1に示した。【0027】(実施例4)脂肪酸にステアリン酸を使用し、グリシドールを脂肪酸と等モル滴下した時点で、リン酸を添加した以外は実施例1と同様に行った。結果を表−1に示した。【0028】(比較例1:触媒を予め添加した場合)リン酸を予めラウリン酸0.9mol(200.3g)に加えて、130℃に加熱してリン酸をラウリン酸に分散させながらグリシドールを滴下した以外は実施例1と同様に行った。結果を表−1に示した。【0029】(比較例2:触媒をグリシドール滴下終了後添加した場合)グリシドールを9.0mol滴下し終わった時点で、リン酸を添加した以外は実施例1と同様に行った。結果を表−1に示した。表−1において、触媒添加時期は、グリシドールの全滴下量(100%)に対する触媒添加時迄に滴下したグリシドールの滴下量を%で表示した。【0030】【表1】【0031】【発明の効果】本発明によれば、ポリグリセリンモノ脂肪酸エステルの含有率が高く、ポリグリセリンの重合度が高く、色相に優れ、ゲル状物を副生せず、未反応グリシドールの少ないポリグリセリンモノ脂肪酸エステルが得られ、得られたポリグリセリンモノ脂肪酸エステルは界面活性剤、食品分野の乳化安定剤に応用した場合に、表面張力の向上、分散力の向上、起泡力の向上、乳化安定性が良い。 脂肪酸にグリシドールの一部を加えて反応させた後、触媒を加え、グリシドールの残りを加えて反応させることを特徴とする、モノ脂肪酸エステル体を主成分とするポリグリセリンモノ脂肪酸エステルの製造方法。 脂肪酸のアルキル基が炭素数6〜21である請求項1記載のポリグリセリンモノ脂肪酸エステルの製造方法。 脂肪酸がラウリン酸またはステアリン酸のいずれかであることを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載のポリグリセリンモノ脂肪酸エステルの製造方法。 触媒が、リン酸または酸性リン酸エステルである請求項1〜3のいずれかに記載のポリグリセリンモノ脂肪酸エステルの製造方法。 グリシドールの一部の量が、脂肪酸と等モル以上の量であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のポリグリセリンモノ脂肪酸エステルの製造方法。 ポリグリセリンの重合度が2以上である請求項1〜5のいずれかに記載のポリグリセリンモノ脂肪酸エステルの製造方法。


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