生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_芳香族カルボン酸類の溶解度向上化水溶液
出願番号:1998020800
年次:2008
IPC分類:C07C 51/50,A61K 9/08,A61K 31/616,A61K 47/36,C07C 59/48,C07C 63/04,C07C 63/06,C07C 65/10,C07C 67/62,C07C 69/157,C07C 227/44,C07C 229/56,C08B 37/08


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大槻 徹 高森 吉守 森 隆利 JP 4126405 特許公報(B2) 20080523 1998020800 19980202 芳香族カルボン酸類の溶解度向上化水溶液 甲陽ケミカル株式会社 391003130 渡辺 三彦 100080182 大槻 徹 高森 吉守 森 隆利 20080730 C07C 51/50 20060101AFI20080710BHJP A61K 9/08 20060101ALI20080710BHJP A61K 31/616 20060101ALI20080710BHJP A61K 47/36 20060101ALI20080710BHJP C07C 59/48 20060101ALI20080710BHJP C07C 63/04 20060101ALI20080710BHJP C07C 63/06 20060101ALI20080710BHJP C07C 65/10 20060101ALI20080710BHJP C07C 67/62 20060101ALI20080710BHJP C07C 69/157 20060101ALI20080710BHJP C07C 227/44 20060101ALI20080710BHJP C07C 229/56 20060101ALI20080710BHJP C08B 37/08 20060101ALI20080710BHJP JPC07C51/50A61K9/08A61K31/616A61K47/36C07C59/48C07C63/04C07C63/06C07C65/10C07C67/62C07C69/157C07C227/44C07C229/56C08B37/08 A C07C 1/00-409/44 C08B 1/00-37/18 A01N 1/00-1/02 A23L 1/00-3/54 A61K 6/00-49/04 CA(STN) REGISTRY(STN) 特開平01−313403(JP,A) 特開平02−292301(JP,A) 特開昭63−041503(JP,A) 特開平07−107940(JP,A) 特開平11−021302(JP,A) 特開平09−249541(JP,A) 1 1999222457 19990817 10 20050113 中野 孝一 【0001】【発明の属する技術分野】この発明は、例えば医薬品等として使用されるアスピリン(アセチルサリチル酸)等の芳香族カルボン酸類の水に対する溶解度を向上化した芳香族カルボン酸類の水溶性化組成物及び溶解度向上化水溶液に関する。【0002】【従来の技術】一般的に、解熱剤や鎮痛剤等の医薬品等として広く使用されているアスピリン(アセチルサリチル酸)、安息香酸、サリチル酸等の芳香族カルボン酸類は、アルコール、エーテル、油脂類には易溶であるが、水には溶けにくい疎水性の化合物である。【0003】そのため、この芳香族カルボン酸類を内用薬として使用する場合等には、粉末や錠剤の状態で水と共に服用するようにしている。【0004】【発明が解決しようとする課題】しかしながら、芳香族カルボン酸類を粉末や錠剤の状態で服用する場合には、服用しにくいと共に、吸収率が低く、体内滞留時間も短いという問題点がある。【0005】この発明は、以上のような事情や問題点に鑑みてなされたものであり、芳香族カルボン酸類を内用薬として使用する場合等における服用の簡便化や吸収率の増加を図ることができると共に、体内滞留時間が長くて徐放性を有するように、水に対する溶解度を向上化した芳香族カルボン酸類の水溶性化組成物及び溶解度向上化水溶液を提供することを目的とする。【0006】【課題を解決するための手段】 上記目的を達成するために、請求項1の芳香族カルボン酸類の溶解度向上化水溶液は、安息香酸、サリチル酸、アセチルサリチル酸、アントラニル酸、m−トルイル酸、ベンジル酸、o−トルイル酸の内から選択した1つの溶解度以上の芳香族カルボン酸類と、キトサンとをそれぞれ所定濃度で水に溶解させると共に、前記芳香族カルボン酸類の濃度が3.2g/dL以下で、且つ、前記キトサンの濃度がこの芳香族カルボン酸類の濃度の1.3倍以下であることを特徴とすることを特徴としている。【0010】【発明の実施の形態】以下、この発明の実施形態について説明する。なお、第1実施形態では芳香族カルボン酸類の水溶性化組成物、第2実施形態では芳香族カルボン酸類の溶解度向上化水溶液についてそれぞれ説明する。【0011】第1実施形態に係る芳香族カルボン酸類の水溶性化組成物は、芳香族カルボン酸類に所定量のキトサンを添加、混合したものである。【0012】前記芳香族カルボン酸類としては、例えば、アスピリン(アセチルサリチル酸)、安息香酸、サリチル酸、アントラニル酸(o−アミノ安息香酸)、m−トルイル酸、ベンジル酸、o−トルイル酸(o−メチル安息香酸)やこれらのナトリウム塩等の塩、あるいは誘導体等が挙げられる。前記キトサンとしては、脱アセチル化度が80%以上のものが望ましい。【0013】前記水溶性化組成物を調製するには、適宜の芳香族カルボン酸類の粉末に所定量のキトサンの粉末を添加し、十分に混合すればよい。この水溶性化組成物を水に添加して所定時間攪拌すれば、単独では水に対してほとんど溶解しなかった芳香族カルボン酸類をより高濃度で溶解させることができ、その溶解度を向上できるという利点がある。これは、水溶液中における芳香族カルボン酸類とキトサンの相互作用の寄与によるものと考えられる。【0014】そのため、前記芳香族カルボン酸類を内用薬として使用する場合等には、前記水溶性化組成物を水に溶解させれば十分な量の芳香族カルボン酸類が溶解していると共に、水溶液として服用できるので、服用の簡便化や吸収率の増加を図ることができる。また、水溶液として服用した場合には、体内滞留時間が長くて徐放性があるという利点がある。更に、芳香族カルボン酸類とキトサンとを混合した水溶性化組成物をあらかじめ調製しておけば、これを必要に応じて水に溶解させるだけであるので、便利であるという利点がある。【0015】ここで、前記キトサンの添加量が、前記芳香族カルボン酸類の重量の1.3倍以下である場合には、前記水溶性化組成物が水に溶解し易いという利点がある。【0016】第2実施形態に係る芳香族カルボン酸類の溶解度向上化水溶液は、水に芳香族カルボン酸類とキトサンとをそれぞれ所定濃度で溶解させたものである。【0017】この溶解度向上化水溶液を調製するには、第1実施形態の水溶性化組成物を水に溶解させるか、あるいは混合していない芳香族カルボン酸類とキトサンとを同時に又は別々に水に溶解させればよい。このように、芳香族カルボン酸類に加えてキトサンを溶解させているので、第1実施形態と同様に、より高濃度の芳香族カルボン酸類が溶解しているという利点がある。そのため、この溶解度向上化水溶液をあらかじめ調製しておけば、前記水溶性化組成物等を溶解させる手間を省けると共に、内用薬等としてそのまますぐに利用できるという利点がある。【0018】ここで、前記芳香族カルボン酸類の濃度が3.2g/dL以下で、且つ、前記キトサンの濃度がこの芳香族カルボン酸類の濃度の1.3倍以下である場合には、芳香族カルボン酸類の溶け残りがほとんど又は全くないという利点がある。【0019】【実施例】次に、この発明を実施例により更に詳細に説明するが、この発明は係る実施例に限定されるものではない。【0020】〔実施例1〕芳香族カルボン酸類として、市販のフェノキシ酢酸、DL−マンデル酸、m−アミノ安息香酸、p−アミノ安息香酸、無水フタル酸、無水トリメリット酸、プロトカテク酸、5−スルホサリチル酸二水和物、アスピリン(=アセチルサリチル酸)、安息香酸、サリチル酸、アントラニル酸(=o−アミノ安息香酸)、m−トルイル酸、ベンジル酸、o−トルイル酸(=o−メチル安息香酸)、テレフタル酸、イソフタル酸、1−ナフタレン酢酸(=α−ナフチル酸)、1−ナフトエ酸、チオサリチル酸、p−ニトロ安息香酸、p−tert−ブチル安息香酸、テレフタル酸ジメチル、及び5−ヒドロキシイソフタル酸を、それぞれ0.5g/dLの割合で所定量の水に添加し、室温(約25℃)で約12時間攪拌した後、溶解性状を観察し、下記の評価基準に基づいてそれぞれ評価を行った。その結果を表1に示す。【0021】〔評価基準〕◎:完全溶解○:少量の不溶解分を認める。△:不溶解分は多いが、粘性がある。×:不溶【0022】【表1】【0023】また、上記の溶液又は懸濁液にキトサン(商品名「SK−10」,甲陽ケミカル社製,脱アセチル化度:80%)を0.5g/dLの割合で添加し、室温(約25℃)で更に約12時間攪拌した後、溶解性状を観察し、上記の評価基準に基づいて評価を行った。その結果も表1に示す。【0024】〔実施例2〕芳香族カルボン酸類として市販のアスピリン(アセチルサリチル酸)を使用し、このアスピリンと実施例1と同じキトサンとを同時に水に加え、室温(約25℃)で約24時間攪拌した。この操作をキトサン−アスピリンの比率及び添加量を変えてそれぞれ行い、溶解性状を実施例1と同様にして観察した。その結果を表2に示す。【0025】【表2】【0026】〔実施例3〕実施例2と同じキトサンとアスピリンとをそれぞれの濃度が1.0g/dLとなるようにして水に溶解させた後、その水溶液をエバポレーターで濃縮乾固し、更に50℃で一晩乾燥させて、赤外吸収スペクトルの測定サンプル(サンプルa)とした。【0027】また、キトサンとアスピリンとを粉体のまま1:1の割合でよく混合し、赤外吸収スペクトルの測定サンプル(サンプルb)とした。【0028】上記のサンプルaとサンプルbについて、赤外吸収スペクトルをそれぞれ測定した(分解:4cm-1,アポダイゼーション:Cosine,積算回数:200)。その結果を図1乃至図3に示す。なお、図3は、サンプルaとサンプルbの両方のスペクトルを同じチャートに表示したものである。また、図4及び図5に示すように、キトサンとアスピリンのそれぞれ単独の赤外吸収スペクトルも測定した。【0029】〔実施例4〕ラット8頭を用い、4頭には市販のアスピリン(添加量3.2g/dL)のCMC(カルボキシメチルセルロース,添加量3.2g/dL)懸濁液を10mg/kgの割合で経口投与し(対照群)、他の4頭には実施例2と同様にして調製したキトサン−アスピリン水溶液(各添加量は3.2g/dL)を10mg/kgの割合で経口投与した(試験群)。【0030】ラットは、実験前日の夜は絶食させ、絶食の間は生理食塩水を自由に飲ませた。上記の薬物を投与した後、1、3、6、9時間後にそれぞれ採血し、血漿中のアスピリンの濃度変化を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により調べた。この間は、絶食絶水させた。そして、Cmax (最高血漿中濃度)、AUC(0〜9h,吸収されたアスピリン量の比例定数)、MRT(平均体内滞留時間)をそれぞれ測定した。その結果を表3に示す。なお、Tmax (最高血漿中濃度到達時間)は、各採血時間の測定値から読み取った。【0031】【表3】【0032】〔比較例〕前記キトサンの代わりに、その構成単位であるグルコサミンの塩酸塩を使用した以外は実施例2と同様の操作を行い、溶解性状を観察した。その結果を表4に示す。【0033】【表4】【0034】【発明の効果】 以上のように、請求項1の発明によれば、芳香族カルボン酸類に加えてキトサンを水に溶解させているので、単独の場合と比較してより高濃度の芳香族カルボン酸類が溶解しているという利点がある。そのため、この溶解度向上化水溶液をあらかじめ調製しておけば、前記水溶性化組成物等を溶解させる手間を省けると共に、内用薬等としてそのまますぐに利用できるという利点がある。また、前記芳香族カルボン酸類の濃度が3.2g/dL以下で、且つ、前記キトサンの濃度がこの芳香族カルボン酸類の濃度の1.3倍以下であるので、芳香族カルボン酸類の溶け残りがほとんど又は全くないという利点がある。【図面の簡単な説明】【図1】キトサン−アスピリン水溶液の乾燥物(サンプルa)の赤外吸収スペクトルチャート。【図2】キトサンとアスピリンの混合物(サンプルb)の赤外吸収スペクトルチャート。【図3】キトサン−アスピリン水溶液の乾燥物(サンプルa)と、キトサンとアスピリンの混合物(サンプルb)の両方の赤外吸収スペクトルを表示したチャート。【図4】キトサンの赤外吸収スペクトルチャート。【図5】アスピリンの赤外吸収スペクトルチャート。 安息香酸、サリチル酸、アセチルサリチル酸、アントラニル酸、m−トルイル酸、ベンジル酸、o−トルイル酸の内から選択した1つの溶解度以上の芳香族カルボン酸類と、キトサンとをそれぞれ所定濃度で水に溶解させると共に、 前記芳香族カルボン酸類の濃度が3.2g/dL以下で、且つ、前記キトサンの濃度がこの芳香族カルボン酸類の濃度の1.3倍以下であることを特徴とする芳香族カルボン酸類の溶解度向上化水溶液。


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