タイトル: | 特許公報(B2)_口腔用組成物 |
出願番号: | 1998011062 |
年次: | 2007 |
IPC分類: | A61K 8/34,A61K 8/39,A61Q 11/00 |
押野 一志 上山 弘樹 前田 晃嗣 JP 3983874 特許公報(B2) 20070713 1998011062 19980123 口腔用組成物 花王株式会社 000000918 特許業務法人アルガ特許事務所 110000084 有賀 三幸 100068700 高野 登志雄 100077562 中嶋 俊夫 100096736 的場 ひろみ 100101317 押野 一志 上山 弘樹 前田 晃嗣 20070926 A61K 8/34 20060101AFI20070906BHJP A61K 8/39 20060101ALI20070906BHJP A61Q 11/00 20060101ALI20070906BHJP JPA61K8/34A61K8/39A61Q11/00 A61K 8/34 A61K 8/39 A61Q 11/00 特開平07−258053(JP,A) 特開平08−175947(JP,A) 特表平11−510161(JP,A) 米国特許第05144024(US,A) 国際公開第97/004742(WO,A1) 5 1999209253 19990803 6 20050105 天野 貴子 【0001】【発明の属する技術分野】本発明はキシリトール結晶の析出が抑制された口腔用組成物に関する。【0002】【従来の技術】従来よりキシリトールはむし歯になりにくい糖アルコールとして知られており、洗口剤、練歯磨剤等の口腔用組成物にも使用されてきた。かかるキシリトールの効果を充分に奏させるためには、キシリトールの濃度を高くする必要がある。【0003】しかしながら、キシリトールの水に対する溶解度は25℃で64(g/100g)であり、キシリトールを口腔用組成物に溶解状態で配合しようとする場合、高濃度に配合すると結晶が析出し、均質な性状を保つことができないため、その配合量には制限があった。そこで、キシリトールの結晶化を抑制するため、マルチトール、ソルビトール、マンニトール、グリセリン等の多価アルコールを一定比率で配合する方法が知られている(米国特許第5144024号)。【0004】【発明が解決しようとする課題】ところが、その結晶化防止手段は、未だ充分でなく、更に多量のキシリトールを溶解状態で配合できる口腔用組成物の開発が求められていた。従って、本発明の目的は、キシリトールを高濃度に含有しても結晶析出がなく、安定な口腔用組成物を提供することにある。【0005】【課題を解決するための手段】そこで本発明者は上記課題を解決すべく種々検討してきたところ、キシリトールに加えてキシリトール以外の糖アルコールを配合し、更にポリエチレングリコールを一定量配合すれば、キシリトールを高濃度に含有しても結晶析出がなく、長期間安定な口腔用組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。【0006】 すなわち、本発明は、次の成分(a)、(b)及び(c):(a) キシリトールと、ソルビトール及び/又はマルチトールとから成り、糖アルコール混合物中70〜90重量%のキシリトールを含有する糖アルコール混合物 30〜60重量%(b) ポリエチレングリコール 4〜8重量%(c) 水 5〜66重量%を含有する口腔用組成物を提供するものである。【0007】【発明の実施の形態】本発明に用いられる成分(a)は、キシリトールを含有する糖アルコール混合物であり、当該糖アルコール混合物中キシリトールを50〜90重量%含有する。糖アルコール中のキシリトール含量が50重量%未満の場合には、キシリトール配合によるむし歯になりにくいという効果が充分でなく、またキシリトール含量が90重量%を超えるとキシリトール結晶が析出しやすくなるので好ましくない。当該糖アルコール混合物中の好ましいキシリトール含量は60〜90重量%であり、特に好ましいキシリトール含量は70〜90重量%である。【0008】成分(a)中のキシリトール以外の糖アルコールとしては、ソルビトール、マルチトール、マンニトール、パラチニトール、ラクチトール等が挙げられるが、キシリトールの結晶析出防止性の点からソルビトール及び/又はマルチトールが好ましい。【0009】当該成分(a)の口腔用組成物への配合量は5〜80重量%であるが、10〜70重量%、特に20〜60重量%が好ましい。この配合量が5重量%未満ではキシリトール配合による効果が充分得られず、一方80重量%を超えるとキシリトールの結晶が析出しやすくなるので好ましくない。【0010】成分(b)のポリエチレングリコールは、キシリトール結晶析出防止効果を有するものであり、その平均分子量としては200〜1000が好ましい。また、ポリエチレングリコールの口腔用組成物への配合量は2〜20重量%であるが、3〜12重量%、特に4〜8重量%が好ましい。この配合量が2重量%未満では充分なキシリトール結晶析出防止効果が得られず、20重量%を超えると苦みが強くなるので好ましくない。【0011】本発明口腔用組成物には、水を5〜90重量%配合されるが、口腔用組成物の形態が洗口剤、水性歯磨剤等の液状の場合には40〜80重量%が好ましく、練歯磨剤等のペースト状の場合には20〜60重量%が好ましい。水が5重量%未満の場合には、キシリトールを溶解状態にできず、90重量%を超えると他の成分の配合量を制限するので好ましくない。【0012】また、本発明口腔用組成物においては、水溶性アルカリ金属塩類又は水溶性アルカリ土類金属塩類を配合することにより、キシリトールの結晶析出防止効果を更に向上させることができる。これらの水溶性塩類としては、無機酸の塩又は炭素数1〜6の有機酸の塩が好ましく、より具体的には、水溶性アルカリ金属塩類としては、例えば、塩化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、リン酸カリウム等が挙げられ、水溶性アルカリ土類金属塩類としては、塩化カルシウム、乳酸カルシウム、硫酸マグネシウム等が挙げられる。かかる水溶性塩類の口腔用組成物への配合量は、特に制限されないが、0.05〜40重量%、特に0.1〜20重量%が好ましい。【0013】更に本発明口腔用組成物には、上記成分に加えて、必要に応じて種々の成分、例えば、発泡剤、粘結剤、抗菌剤、研磨剤、フッ素化合物、香料、他の甘味料、湿潤剤、着色剤、保存剤、薬効成分等を配合することができる。ここで、発泡剤としては、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウロイルサルコシンナトリウム、アルキルスルホコハク酸ナトリウム、ヤシ油脂肪酸モノグリセリンスルホン酸ナトリウム、ショ糖脂肪酸エステル等が挙げられる。粘結剤としては、キサンタンガム、カラギーナン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース等が挙げられ、研磨剤としては無水ケイ酸等が挙げられる。【0014】本発明口腔用組成物の形態は、キシリトールを溶解状態で配合するものであることから、洗口剤、液体歯磨剤等の液状;又は練歯磨剤等のペースト状が好ましい。【0015】【実施例】次に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。【0016】実施例1〜4、比較例1〜3表1に示す原料を水に添加し、攪拌して洗口剤を製造した。【0017】各洗口液をスクリューキャップ付き透明PETボトル(300ml容量)に入れた。キャップに溶液を約10ml入れ、洗口後、キャップを軽く振ってからキャップをしめた。室温で1週間保存後、各洗口液の溶液の性状及びキャップ内部の結晶の付着状態を観察し、以下の基準で評価した。【0018】(評価基準)(1)溶液の性状○:結晶が析出していない△:結晶がわずかに析出している×:結晶が多く析出している(2)キャップの内部○:結晶が付着していない△:結晶がわずかに付着している×:結晶が多く付着している【0019】【表1】【0020】その結果、本発明の洗口液はキシリトールの結晶析出抑制効果が顕著であり、品質安定性がよく、実使用時にキャップの汚れが少ないことが判明した。【0021】実施例5〜9表2に示す組成の歯磨剤を製造し、3ケ月間保存したところ、キシリトール結晶の析出は観察されなかった。【0022】【表2】【0023】【発明の効果】本発明の口腔用組成物は多量のキシリトールを配合しても結晶析出がなく長期間安定である。 次の成分(a)、(b)及び(c):(a) キシリトールと、ソルビトール及び/又はマルチトールとから成り、糖アルコール混合物中70〜90重量%のキシリトールを含有する糖アルコール混合物 30〜60重量%(b) ポリエチレングリコール 4〜8重量%(c) 水 5〜66重量%を含有する口腔用組成物。 ポリエチレングリコールの平均分子量が200〜1000の範囲である請求項1記載の口腔用組成物。 糖アルコール混合物:水(重量比)が、1:5〜5:1の範囲である請求項1又は2記載の口腔用組成物。 更に、水溶性アルカリ金属塩類及び水溶性アルカリ土類金属塩類から選ばれる1種又は2種以上を含有する請求項1〜3のいずれか1項記載の口腔用組成物。 (c) 水 の含有量が5〜41.35重量%である請求項1〜4のいずれか1項記載の口腔用組成物。