生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_水素化反応用触媒及びその製造方法
出願番号:1998006562
年次:2006
IPC分類:B01J 23/80,B01J 23/72,C07C 29/149,C07C 31/20,C07B 61/00


特許情報キャッシュ

池田 攻 大段 恭二 JP 3799791 特許公報(B2) 20060512 1998006562 19980116 水素化反応用触媒及びその製造方法 宇部興産株式会社 000000206 池田 攻 大段 恭二 20060719 B01J 23/80 20060101AFI20060629BHJP B01J 23/72 20060101ALI20060629BHJP C07C 29/149 20060101ALI20060629BHJP C07C 31/20 20060101ALI20060629BHJP C07B 61/00 20060101ALN20060629BHJP JPB01J23/80 ZB01J23/72 ZC07C29/149C07C31/20 ZC07B61/00 300 B01J 21/00ー38/74 特表平05−500469(JP,A) 特開平11−047597(JP,A) 8 1999197505 19990727 9 20030117 廣野 知子 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は新規な高活性の水素化反応用触媒を提供するものである。本発明の水素化反応用触媒は、例えば、エステルやカルボン酸などの水素化反応において有用である。【0002】【従来の技術】エステルやカルボン酸などの水素化反応においては、Rh、Ru、Pd、Pt、Ir、Cu、Ni、Co、Fe、Cr、Znのような金属が触媒として使用され、中でもCu−Cr、Cu−Zn、Niがよく使用されている。しかし、近年、環境面の問題及び活性の点から、Ni系やCu系(Cu−Znなど)の触媒の使用が特に要望されている。【0003】Ni系やCu系(Cu−Znなど)の触媒は、通常、各金属の炭酸塩から調製されているが、Ni、Cu、Znが高分散されておらず、そのために活性も満足できるものではないという問題を有している。例えば、特開平7−233108号公報、特開平9−20704号公報、特開平7−163880号公報、特開平7−163881号公報、特開平8−12607号公報に記載されているCu−Zn触媒では比表面積が数m2 /gから数十m2 /g程度であり、比表面積の大きいものは得られていない。また、触媒を調製する際に、Cu、Znの塩をそのまま使用するために金属の粒子径も大きくなっている。これらの触媒では、このように比表面積が大きくなく、金属の粒子径も大きい(即ち、金属が高分散されていない)ため、活性は満足できるものではない。【0004】【発明が解決しようとする課題】前記のように、エステルやカルボン酸などの水素化反応において、高活性の水素化反応用触媒が要望されている。即ち、本発明は、金属(Ni、Cu、Zn)が高分散された高活性の水素化反応用触媒を提供することを課題とする。【0005】【課題を解決するための手段】本発明の課題は、Cu又はNiが、リチウムアルミネートスピネル及び/又は亜鉛アルミネートスピネルに担持されている水素化反応用触媒、及びその製造方法によって解決される。【0006】【発明の実施の形態】本発明の水素化反応用触媒は、(1)Cu成分又はNi成分、及びAl成分を含有する溶液を乾固し、(2)その乾固物を300〜550℃で熱処理し、(3)得られた固形物にLi成分及び/又はZn成分を担持させて600〜900℃で焼成し、(4)その焼成物(触媒前駆体)を還元処理することによって製造される。【0007】前記のCu成分としては水溶性のCu化合物が好適に使用される。水溶性のCu化合物は特に制限されるものでなく、例えば、硫酸銅、硝酸銅、塩化銅、炭酸銅等のCuの無機酸塩や、酢酸銅、ギ酸銅等のCuの有機酸塩や、水酸化銅などが使用される。【0008】前記のNi成分としては水溶性のNi化合物が好適に使用される。水溶性のNi化合物は特に制限されるものでなく、例えば、硫酸ニッケル、硝酸ニッケル、塩化ニッケル、炭酸ニッケル等のNiの無機酸塩や、酢酸ニッケル、ギ酸ニッケル等のNiの有機酸塩や、水酸化ニッケルなどが使用される。【0009】前記のZn成分としては水溶性のZn化合物が好適に使用される。水溶性のZn化合物は特に制限されるものではなく、例えば、硝酸亜鉛、塩化亜鉛、炭酸亜鉛等のZnの無機酸塩や、酢酸亜鉛、乳酸亜鉛等の亜鉛の有機酸塩などが使用される。【0010】前記のAl成分としては水溶性のAl化合物が好適に使用される。水溶性のAl化合物は特に制限されるものでなく、例えば、硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、塩化アルミニウム等のAlの無機酸塩や、酢酸アルミニウム、乳酸アルミニウム等のAlの有機酸塩や、水酸化アルミニウム、アルミニウムエトキシドなどが使用される。また、本発明では、アルミナゾルも好適に使用することができる。【0011】前記のLi成分としては水溶性のLi化合物が好適に使用される。水溶性のLi化合物は特に制限されるものでなく、例えば、硝酸リチウム、塩化リチウム、炭酸リチウム等のLiの無機酸塩や、酢酸リチウム等のLiの有機酸塩や、水酸化リチウムなどが使用される。【0012】本発明の水素化反応用触媒の製造においては、まず、Cu成分又はNi成分、及びAl成分を含有する溶液を乾固する操作が行われる(第1操作)。即ち、Cu成分及びAl成分を含有する溶液、又はNi成分及びAl成分を含有する溶液を乾固する操作が行われる。また、本発明では、Cu成分又はNi成分、及びAl成分を含有する溶液として、Cu成分又はNi成分、及びAl成分と共にZn成分及び/又はLi成分を含有する溶液を用いてもよい。即ち、Cu成分及びAl成分を含有する溶液として、Cu成分及びAl成分と共にZn成分及び/又はLi成分を含有する溶液を用いてもよく、Ni成分及びAl成分を含有する溶液として、Ni成分及びAl成分と共にZn成分及び/又はLi成分を含有する溶液を用いてもよい。なお、乾固される前記の溶液にはスラリーやゲルが含まれる。【0013】この操作では、最初に、例えば、Cu成分又はNi成分(及び場合によりZn成分及び/又はLi成分)を含有する溶液と、Al成分を含有する溶液とが所定の金属成分の割合になるように通常は10〜80℃で混合される。次いで、その混合物、即ち、Cu成分又はNi成分、及びAl成分(及び場合によりZn成分及び/又はLi成分)を含有する溶液が好ましくは100℃以上、更に好ましくは110〜200℃で乾固される。第1操作は通常は常圧下で行われ、その雰囲気は特に制限されない。【0014】次に、第1操作で得られた乾固物を300〜550℃で熱処理する操作が行われる(第2操作)。熱処理は一定温度で行ってもよく、またこの温度範囲で段階的に昇温して行っても連続的に昇温して行ってもよい。熱処理の時間は1〜20時間、更には2〜10時間程度であることが好ましい。なお、第2操作は通常は常圧下で行われ、その雰囲気は特に制限されない。【0015】次に、第2操作で得られた固形物にLi成分及び/又はZn成分を担持させて600〜900℃で焼成する操作が行われる(第3操作)。この操作では、該固形物にLi成分及び/又はZn成分を含有する溶液が所定の金属成分の割合になるように通常は常温で添加され、含浸法などによってLi成分及び/又はZn成分が担持される。次いで、その固形物が乾固されて、600〜900℃、好ましくは650〜850℃で焼成される。第3操作は通常は常圧下で行われ、その雰囲気は特に制限されない。【0016】前記のCu成分又はNi成分(及び場合によりZn成分及び/又はLi成分)を含有する溶液や、Li成分及び/又はZn成分を含有する溶液は通常は水溶液で使用される。これら溶液中の金属成分の濃度は特に制限されるものではなく、例えば、0.1〜10重量%の範囲とされる。Al成分を含有する溶液は水溶液(例えば、0.1〜10重量%水溶液)でもスラリーでも差し支えない。【0017】以上の操作によって、リチウムアルミネートスピネル(LiAl5 O8 等)及び/又は亜鉛アルミネートスピネル(ZnAl2 O4 等)が形成されると共に、そのスピネル(担体)上に、Cu又はNiと場合によりZnとを酸化物の形態で高分散させて析出させた(即ち、担持させた)焼成物(触媒前駆体)を得ることができる。このとき形成されたスピネルは、比表面積が5〜200m2 /g、更には20〜150m2 /gで、平均細孔径が80〜300Å、更には100〜200Åのものであることが好ましい。なお、スピネルの形成はXRD及びFT−IRにより確認され、比表面積はBET法により、平均細孔径は水銀圧入法により測定される。【0018】最後に、第3操作で得られた焼成物(触媒前駆体)を還元処理する操作が行われる(第4操作)。還元処理は、例えば、焼成物を好ましくは100〜300℃、更に好ましくは120〜250℃の温度範囲で水素ガスと接触させることによって行われる。また、焼成物を好ましくは30〜200℃、更に好ましくは50〜150℃の温度範囲でホルマリン、ギ酸ソーダ、ヒドラジン、シュウ酸等の還元剤と液相で接触させることによっても行われる。還元処理の時間は1〜50時間、更には2〜10時間程度であることが好ましい。なお、第4操作は通常は常圧下で行われる。また、この第4操作は、該焼成物(触媒前駆体)を水素化反応用の反応器に充填して水素化反応を行う前に水素ガスを用いて行っても差し支えない。【0019】以上のようにして、金属(Cu又はNiと場合によりZnと)が、リチウムアルミネートスピネル(LiAl5 O8 等)及び/又は亜鉛アルミネートスピネル(ZnAl2 O4 等)(担体)の表面に高分散された状態で担持された、高活性の水素化反応用触媒を得ることができる。【0020】本発明の水素化反応用触媒は、スピネル(担体)表面に存在する金属(Cu又はNi、及び場合によりZnも含む)の粒子径が好ましくは10〜80Å、更に好ましくは20〜50Åで、かつスピネル(担体)表面に存在する金属(Cu又はNi、及び場合によりZnも含む)が内部に存在する金属(Cu又はNi、及び場合によりZnも含む)に比べて好ましくは1.7倍以上(例えば、1.7〜10倍程度)、更に好ましくは2.0倍以上(例えば、2.0〜10倍程度)である、金属(Ni、Cu、Zn)がスピネル(担体)表面に高分散された状態で担持された高活性の水素化反応用触媒である。【0021】なお、水素化反応用触媒における金属の粒子径及び分散度は前記の焼成物(触媒前駆体)におけると実質的に同一である。金属の粒子径はTEM(透過型電子顕微鏡)により測定される。また、スピネル(担体)表面に存在する金属とはスピネル表面からその内部0.01μmまでの範囲に存在する金属を言い、スピネル(担体)内部に存在する金属とはスピネル表面から0.01μmまでの範囲を越えた内部に存在するものを言う。表面及び内部の金属の割合はXPS(X線光電子分光法)により測定される。【0022】本発明の水素化反応用触媒において、金属成分の割合は、Ni:Al(原子比)が0.05:1〜0.5:1(Niを含む場合)、Cu:Al(原子比)が0.05:1〜0.5:1(Cuを含む場合)であって、Li:Al(原子比)が1:5〜1:2(Liを含む場合)、Zn:Al(原子比)が1:5〜1:2(Znを含む場合)の範囲であることが好ましい。水素化反応用触媒における金属成分の割合(Ni:Al、Cu:Al、Li:Al、Zn:Al)は焼成物(触媒前駆体)におけると実質的に同一である。【0023】本発明の水素化反応用触媒はエステルやカルボン酸などの水素化反応において有用である。水素化反応に使用されるカルボン酸としては、例えば、シクロヘキサンの液相空気酸化により得られる反応液を水抽出処理した後、その水相(カプロン酸、吉草酸、酢酸等の一塩基酸、アジピン酸、グルタール酸、コハク酸等の二塩基酸、オキシカプロン酸等のオキシ酸を含む)を濃縮してメチルエチルケトン等で抽出処理し、その有機相を濃縮したカルボン酸混合物が挙げられる。更に、ヤシ油、パーム核油、パーム油、牛脂、豚脂等から得られる動植物由来の天然脂肪酸などもカルボン酸として挙げられる。【0024】水素化反応に使用されるエステルとしては、例えば、前記のシクロヘキサンの液相空気酸化反応液に由来するカルボン酸混合物を、メタノール、エタノール、プロパノール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等のアルコールでエステル化して得られるエステル混合物が挙げられる。更に、炭素数6〜22の飽和又は不飽和脂肪酸から構成されるモノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド等の油脂や、炭素数が1以上でかつエステル基を1以上含む飽和又は不飽和のカルボン酸エステルが挙げられる(この場合、エステル基のアルコキシ成分は特に制限されないが、グリセリンを除く)。このカルボン酸エステルとしては、例えば、カプロン酸エステル、ラウリン酸エステル、ウンデセン酸エステル、パルミチン酸エステル、ステアリン酸エステル、オレイン酸エステル、マレイン酸エステル、アジピン酸エステル等が挙げられる。【0025】エステルやカルボン酸などの水素化反応は、例えば、固定床、懸濁床、あるいは移動床の反応器を用いて、液相、不均一系の接触反応により公知のように行われる。【0026】【実施例】次に、実施例により本発明を具体的に説明する。実施例1〔水素化反応用触媒の製造〕硝酸銅〔Cu(NO3 )2 ・2H2 O〕12.33gと硝酸亜鉛〔Zn(NO3 )2 ・6H2 O〕7.44gを300mlの蒸留水に溶解した後、水浴上で70℃に加熱攪拌しながら、この溶液にアルミナゾル62.5g(Al2 O3 換算:20重量%)を5〜10分間で徐々に加えた。引き続き、4時間攪拌を続け、得られたスラリー(Cu成分、Al成分及びZn成分を含有する溶液)をステンレス製バットに移して送風乾燥器にて70℃で乾固させ、更に空気中150℃で5時間乾燥した(第1操作)。【0027】次いで、この乾固物を、空気中、350℃で2時間、更に500℃で2時間熱処理して放冷した(第2操作)。得られた固形物は38.5%の重量減が認められ、XRD、FT−IRからスピネルを形成していることが確認された。この固形物の微粉末に、硝酸リチウム〔LiNO3 〕3.44g及び硝酸亜鉛〔Zn(NO3 )2 ・6H2 O〕7.44gを含有する溶液を添加して、Li成分及びZn成分を含浸させた後、これを乾固した。乾固した固形物は350℃で熱処理し、次いで徐々に昇温しながら700〜900℃で5時間で焼成した(第3操作)。得られた焼成物(触媒前駆体)はXRDよりリチウムアルミネート(LiAl5 O8 )と亜鉛アルミネート(ZnAl2 O4 )を含むスピネルであって、組成がCu:Zn:Li:Al(原子比)=1:1:1:5、比表面積が106m2 /g、平均細孔径が164Åであり、TEMより20〜50ÅのCuOとZnOを含む金属粒子がスピネル上に高分散しているものであった。なお、XPSより、焼成物表面の金属(Cu及びZn)は内部に比べて2.5倍以上であった。【0028】〔水素化反応〕シクロヘキサンの液相空気酸化反応液を水抽出処理した後、その水相を濃縮してメチルエチルケトンで抽出処理し、その有機相を濃縮して得られたカルボン酸混合物を1,6−ヘキサンジオールでエステル化したエステル化物300gと前記の焼成物(触媒前駆体)2gを500ml容のSUS製オートクレーブに仕込み、水素ガスを25℃で180kg/cm2 Gまで圧入した後、攪拌しながら250℃まで加温した。次いで、水素ガスを補充しながら、反応温度250℃、水素圧250kg/cm2 Gの定圧で5時間水素化反応を行った。なお、エステル化物は特開平7−233108号記載の方法に準じて調製したものを使用した。反応終了後、10μmのメンブレンフィルターを備えた加圧濾過器に、55℃に保持された反応液を全量入れて窒素ガスで1kg/cm2 Gに加圧しながら濾過を行った。濾液をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、1,6−ヘキサンジオールが55.1重量%、1,5−ペンタンジオールが9.5重量%含まれていた。【0029】比較例1〔水素化反応用触媒の製造〕第3操作で、硝酸リチウム及び硝酸亜鉛を含有する溶液を固形物に添加して、Li成分及びZn成分を含浸させる操作を行うことなく、第1操作で、硝酸銅、硝酸亜鉛及び硝酸リチウムを含有する溶液を予め調製したほかは、実施例1と同様に、この溶液にアルミナゾルを加えて乾固させた後、第2操作及び第3操作を行った。得られた焼成物(触媒前駆体)はXRDより亜鉛アルミネート(ZnAl2 O4 )と銅アルミネート(CuAl2 O4 )のスピネルであって、組成がCu:Zn:Li:Al(原子比)=1:1:1:5、比表面積が89m2 /g、平均細孔径が188Åであり、TEMより30〜80ÅのCuOとZnOを含む金属の粒子がスピネル上に分散しているものであったが、分散度は実施例1におけるよりも低かった。即ち、XPSより、焼成物表面の金属(Cu及びZn)は内部に比べて1.5倍程度であった。【0030】〔水素化反応〕上記の焼成物(触媒前駆体)2gを使用したほかは、実施例1と同様に水素化反応を行った。その結果、得られた濾液には、1,6−ヘキサンジオールが50.1重量%、1,5−ペンタンジオールが10.5重量%含まれていた。触媒活性は実施例1におけるよりも低かった。【0031】実施例2〔水素化反応用触媒の製造〕硝酸銅〔Cu(NO3 )2 ・2H2 O〕12.33gと硝酸リチウム〔LiNO3 〕1.72gを300mlの蒸留水に溶解した後、水浴上で70℃に加熱攪拌しながら、この溶液にアルミナゾル43.7g(Al2 O3 換算:20重量%)を5〜10分間で徐々に加えた。引き続き、4時間攪拌を続けてゲル化を促進した。得られたゲルをステンレス製バットに移して送風乾燥器にて70℃で乾固させ、更に空気中150℃で5時間乾燥した(第1操作)。【0032】次いで、この乾固物を、空気中、350℃で2時間、更に500℃で2時間熱処理して放冷した(第2操作)。得られた固形物は35.6%の重量減が認められ、XRD、FT−IRよりスピネルを形成していることが確認された。この固形物の微粉末に、硝酸亜鉛〔Zn(NO3 )2 ・6H2 O〕14.8gを含有する溶液を添加し、充分に混練してZn成分を含浸させた後、これを乾固した。乾固した固形物は350℃で熱処理し、次いで徐々に昇温しながら800℃で5時間で焼成した(第3操作)。得られた焼成物(触媒前駆体)はXRDより亜鉛アルミネート(ZnAl2 O4 )から成るスピネルであって、組成がCu:Zn:Li:Al(原子比)=2:2:1:7、比表面積が85.5m2 /g、平均細孔径が184Åであり、TEMより20〜50ÅのCuOとZnOを含む金属の粒子がスピネル上に高分散しているものであった。なお、XPSより、焼成物表面の金属(Cu及びZn)は内部に比べて2.7倍以上であった。【0033】〔水素化反応〕上記の焼成物(触媒前駆体)2gを使用したほかは、実施例1と同様に水素化反応を行った。その結果、得られた濾液には、1,6−ヘキサンジオールが56.8重量%、1,5−ペンタンジオールが8.9重量%含まれていた。触媒活性は実施例1と同じく高かった。【0034】比較例2〔水素化反応用触媒の製造〕第3操作で、硝酸亜鉛を含有する溶液を固形物に添加してZn成分を含浸させる操作を行うことなく、第1操作で、硝酸銅、硝酸亜鉛及び硝酸リチウムを含有する溶液を予め調製したほかは、実施例2と同様に、この溶液にアルミナゾルを加えて乾固させた後、第2操作及び第3操作を行った。得られた焼成物(触媒前駆体)はXRDより亜鉛アルミネート(ZnAl2 O4 )から成るスピネルであって、組成がCu:Zn:Li:Al(原子比)=2:2:1:7、比表面積が65.2m2 /g、平均細孔径が205Åであり、TEMより30〜50ÅのCuOとZnOを含む金属の粒子がスピネル上に分散しているものであったが、分散度は実施例1におけるよりも低かった。即ち、XPSより、焼成物表面の金属(Cu及びZn)は内部に比べて1.4倍程度であった。【0035】〔水素化反応〕上記の焼成物(触媒前駆体)2gを使用したほかは、実施例1と同様に水素化反応を行った。その結果、得られた濾液には、1,6−ヘキサンジオールが49.3重量%、1,5−ペンタンジオールが11.5重量%含まれていた。触媒活性は実施例1におけるよりも低かった。【0036】比較例3〔水素化反応用触媒の製造〕14.5重量%炭酸アンモニウム水溶液250mlを80〜85℃に保ち、この溶液に、硝酸銅38.17g及び硝酸亜鉛37.18gを水250mlに溶解した液を、攪拌下、pHが6.5に維持されるように30分間で滴下した。引き続き、その溶液を攪拌しながら放冷した後、生成した沈殿を濾過して洗浄し、空気中120℃で乾燥した。次いで、乾燥物を篩分けし、70メッシュの篩を通した乾燥物を空気中450℃で1時間焼成した。【0037】〔水素化反応〕上記の焼成物(触媒前駆体)2gを使用したほかは、実施例1と同様に水素化反応を行った。その結果、得られた濾液には、1,6−ヘキサンジオールが45.4重量%、1,5−ペンタンジオールが10.1重量%含まれていた。触媒活性は実施例1におけるよりも低かった。【0038】【発明の効果】本発明により、エステルやカルボン酸などの水素化反応において、Ni、Cu、Znなどの金属が高分散された高活性の水素化反応用触媒を提供することができる。 Cu又はNiが、リチウムアルミネートスピネル及び/又は亜鉛アルミネートスピネルに担持されている水素化反応用触媒。 Cu又はNiと共にZnが担持されている請求項1記載の水素化反応用触媒。 リチウムアルミネートスピネル及び/又は亜鉛アルミネートスピネルの表面に存在するCu金属又はNi金属の粒子径が10〜80Åであって、スピネル表面に存在する該金属の1.7倍以上である請求項1記載の水素化反応用触媒。 リチウムアルミネートスピネル及び/又は亜鉛アルミネートスピネルの表面に存在する、Cu金属又はNi金属、及びZn金属の粒子径が10〜80Åであって、スピネル表面に存在する該金属の1.7倍以上である請求項2記載の水素化反応用触媒。 Ni:Al(原子比)が0.05:1〜0.5:1、Cu:Al(原子比)が0.05:1〜0.5:1、Li:Al(原子比)が1:5〜1:2、Zn:Al(原子比)が1:5〜1:2である請求項1又は2記載の水素化反応用触媒。 リチウムアルミネートスピネル及び/又は亜鉛アルミネートスピネルの比表面積が5〜200m2/g、平均細孔径が80〜300Åである請求項1又は2記載の水素化反応用触媒。 (1)Cu成分又はNi成分、及びAl成分を含有する溶液を乾固し、(2)その乾固物を300〜550℃で熱処理し、(3)得られた固形物にLi成分及び/又はZn成分を担持させて600〜900℃で焼成し、(4)その焼成物を還元処理することを特徴とする請求項1又は2記載の水素化反応用触媒の製造方法。 Cu成分又はNi成分、及びAl成分と共に、Zn成分及び/又はLi成分を含有する溶液を乾固することを特徴とする請求項7記載の水素化反応用触媒の製造方法。


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