生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_生物材料の保存用培地
出願番号:1997532316
年次:2006
IPC分類:C12N 1/04,C12N 5/02,C12N 7/00


特許情報キャッシュ

クレスポ,アンドレ ソリア,アンリ―ミシェル JP 3735123 特許公報(B2) 20051028 1997532316 19970305 生物材料の保存用培地 ローヌ―プーラン・ロレ・エス・アー 川口 義雄 伏見 直哉 田中 夏夫 クレスポ,アンドレ ソリア,アンリ―ミシェル FR 96/03074 19960312 20060118 C12N 1/04 20060101AFI20051221BHJP C12N 5/02 20060101ALI20051221BHJP C12N 7/00 20060101ALI20051221BHJP JPC12N1/04C12N5/02C12N7/00 C12N 1/00 - 1/38 C12N 5/00 - 5/02 C12N 7/00 JSTPlus(JOIS) WPI(DIALOG) PubMed 特開昭60−228422(JP,A) 特表平01−501469(JP,A) 30 FR1997000385 19970305 WO1997033975 19970918 2000506024 20000523 19 20040121 上條 肇 本発明は動物細胞やウイルス粒子等の生物材料の保存及び凍結保存用培地として、生物に直接注入可能又は再注入可能な培地に関する。本発明はより詳細には、塩類溶液と、変性液体ゼラチンと、ヒト血清アルブミンを含有する生物材料の保存用培地に関する。細胞治療又は遺伝子治療と輸血又は骨髄移植に伴う主要な問題の1つは生物材料の保存の問題である。実際に、工業的規模の製造及び貯蔵に適合可能であり、所定の試験を実施できるように十分長期間にわたって生物材料を良好な生存可能条件下で保存することが重要である。最も一般に使用されている保存方法は材料の凍結である。しかし、例えば細胞の凍結時に細胞は特に外方浸透現象と細胞の内部の氷の形成により非常に大きなストレスを受ける。これらの現象は凍結時だけでなく解凍時にも多数の細胞溶解を引き起こす。細胞が溶解しなくても、その分裂又は分化能が不可逆的に変化している場合もある。生体に注入すべき細胞(例えば輸血、骨髄移植又は細胞治療)については解凍後に高い生存率を獲得できることが極めて重要であり、実際に死滅又は損傷細胞を再注入するのは無益である。再培養すべき細胞の場合も全く同様に生存率は高いことが重要である。現在まで、細胞溶解を阻止する凍結保護剤が培地に添加されていた。最もよく使用され、最良の結果を与えている保護剤は、注入不能な保存剤であるジメチルスルホキシド即ちDMSOである。DMSOは細胞膜に浸透し、細胞膜を安定化することができる。DMSOはこうして細胞の破壊を防ぐ。このような系は多数の分裂可能な生存細胞及び生存可能細胞を解凍時にもつことができる。しかし、この方法はこれらの細胞を生物に導入又は再導入すべき場合に重大な問題がある。実際に、DMSOは周囲温度では細胞に毒性の物質である。DMSOは膜に浸透して細胞死をもたらす。従って、改変細胞の自己移植片の場合には細胞を再移植する前、例えば骨髄細胞等の異種移植片の場合には移植前、あるいは血球の場合には輸血を実施する前にDMSOを除去しなければならない。DMSOの除去は解凍後に一般にDMSOを含まない培地10容量でサンプルを希釈後、遠心分離して上清を除去することにより実施される。この操作はDMSOがほぼ完全に除去されるまで数回繰り返される。この処理は時間を浪費し、操作を繰り返すことにより、外部病原物質による汚染と前記生物材料の損失の危険が増す。DMSOの存在下では、解凍後の生存細胞百分率は追って定義するような最適凍結/解凍条件下で70%を上回る。DMSOの不在下ではこの百分率は20%を下回る。現在までDMSOの存在下の凍結は最も有効な方法であり、従って、最もよく使用されていた。本願出願人は高い生存細胞百分率を維持しながら解凍後の操作を不要にできる新規種の培地に注目した。このために、本願出願人はDMSO又は他の細胞毒性凍結保存剤を使用せずに解凍時に高い生存率を得ることが可能な凍結/保存培地を開発した。このような培地の利点は、他の操作を必要とせずに解凍直後に溶液を注入できることに起因する。従って、手術室で直後解凍できるようになり、解凍から使用までの時間が短縮し、常に無菌培地に維持できるため、外部汚染の危険を最小限にできる。本発明の第1の目的は、塩類溶液と、変性液体ゼラチンと、ヒト血清アルブミン(HSA)を含有する生物材料の保存及び/又は凍結用培地に関する。上述のように、この培地は毒性物質を全く含まず、生物に直接投与することができる。この培地はウイルス、細胞、血小板等の種々の生物材料を場合により凍結形態で保存するために使用することができる。本発明の培地の組成に含まれる第1の成分は塩類溶液である。塩類溶液はより詳細には血漿に対する等張液である。この溶液の組成に含まれる塩類は種々のものであり得る。溶液は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム及び/又は塩化マグネシウム等の塩化物と、例えば乳酸ナトリウム等の乳酸塩を含有するものが有利である。より特定的には、等張塩類溶液は一般に塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム及び乳酸ナトリウムを含有する。別の態様によると、塩化マグネシウムを塩化カルシウムに置き換える。この場合には、塩類溶液の塩類濃度は「乳酸リンゲル」液と等価又はほぼ等価である。このような溶液は、例えば脱水や生理的液体の損失を補償するために潅流で一般に使用されている。本発明の特定態様によると、塩類溶液は主にNaCl、MgCl2、KCl及び乳酸塩から構成され、培地中の夫々の最終濃度は下表1に示す通りである。ゼラチンは本発明の培地の組成に含まれる第2の成分である。ゼラチンは古典的ペプチド結合を与えるように隣接アミノ基及びカルボニル基により結合した種々のアミノ酸から構成されるタンパク質である。ゼラチンの分子量は特徴的で高く(平均分子量値は約10,000〜100,000である)、所与のゼラチン種又は品質でかなり不均一である。ゼラチンは白色結合組織中のポリペプチド残基の長鎖の加水分解の結果として不斉又は棒状型分子から構成される。実験の結果、これらの鎖の反応部位の所々でコラーゲンの一次加水分解が生じ、理想的な非分解類縁ゼラチン分子を生成することが判明した。これは二次加水分解で理想的ゼラチン分子の低反応性結合上に不揃いな間隔で可変程度まで続く。これは、分解反応が特定ゼラチンサンプルの無作為不均一分子式に如何に関与しているかを説明するものである。また、ゼラチンを構成する各タンパク質は規定等電点をもち、この等電点において電離、従って物理的及び化学的反応性は最小である。これらの性質は特に溶解度、粘度及びコロイド浸透圧である。従って、ゼラチン分子の不斉性は本発明の培地用に調製されるゼラチン溶液に不均一分子式と共にゲル形成及び粘度の固有性質を与える。所謂ゼラチン(発熱及び抗原物質を除去した滅菌ゼラチン)は血漿代用品として既に使用されているが、周囲温度でゲル化するため、特にその保存に関して多くの問題があった。そこで、ゼラチンから誘導され、特にこれらの欠点を解決することが可能なる他の化合物(変性液体ゼラチンと総称する)に着目した。変性液体ゼラチンとしては、例えばゼラチンをグリオキサールと重合し、H2O2で酸化することにより得られるオキシポリゼラチンを挙げることができる。他の変性液体ゼラチンは、仏国特許第1291502号に記載されているように、(好ましくは約15,000〜36,000の分子量範囲をもつ)ゼラチンを無水コハク酸、無水シトラコン酸、無水イタコン酸、無水アコニット酸、無水マレイン酸、塩化スクシニル又は塩化フマリルと反応させることにより得られる。これらの全ゼラチン誘導体は医薬的用途に適合可能であり、等張塩類溶液で直接血流に導入することができる。変性液体ゼラチンは米国特許第2,525,753号、2,827,419号及び3,108,995号にも記載されている。より一般には、本発明による変性液体ゼラチンは医薬的用途に適合可能な化学的に変性されたコラーゲン水解物から構成される。好ましくは平均分子量10kD〜100kD、より好ましくは15kD〜40kDをもつ物質である。例えば仏国特許第1,291,502号の教示に従い、所望用途に適した流動性をもつ最終生成物を得るように酸無水物を反応させることにより変性することが好ましい。酸無水物は、無水コハク酸、無水シトラコン酸、無水イタコン酸、無水アコニット酸又は無水マレイン酸が好ましい。特に有利な変性液体ゼラチンは無水コハク酸との反応により変性した平均分子量15kD〜40kDのコラーゲン水解物から構成される。本発明による変性液体ゼラチンは、特に上記特許に記載されている当業者の技術により製造することができる。本発明の培地の組成に含まれる第3の成分はヒト血清アルブミンである。ヒト血清アルブミン(HSA)は585アミノ酸からなる分子量66kDの非グリコシル化モノマータンパク質である。その球状構造は9個の二重螺旋の連続系を生成する17個のジスルフィド架橋により維持される(Brown,J.R.,“Albumin Structure,Function and Uses”,Rosenoer,V.M.ら(編)Pergamon Press,Oxford,(1977)27−51)。HSAをコードする遺伝子は高度に多形性であることが知られており、種々の条件下の電気泳動分析により30種を越える明白に異なる遺伝変異体が同定されている(Weitkamp,L.R.ら,Ann.Hum.Genet.37(1973)219−226)。HSAの遺伝子は14個のイントロン配列により15個のエキソンに分割され、推定「キャッピング」部位から第1のポリ(A)付加部位までの16961ヌクレオチドを含む。ヒトアルブミンは肝細胞で合成された後、血流中に分泌される。この合成はまず最初に、生成されたポリペプチドを分泌経路に導く18アミノ酸のシグナル配列を含む前駆物質であるプレプロHSAを生じる。HSAは血液に最も豊富なタンパク質であり、血清1リットル当たり約40gの濃度で存在する。従って、人体には常に約160gのアルブミンが循環している。HSAの最も重要な役割は血流の正常な浸透圧を維持することである。HSAは更に種々の物質に対して顕著な結合能があり、疎水性分子(例えばステロイドや胆汁酸塩)の内在輸送と種々の治療物質の輸送に役割を果たし、こうして夫々の作用部位にこれらの治療物質を輸送することができる。更に、HSAは最近ではプロスタグラジンの異化作用に関係付けられている。本発明の範囲で使用されるHSAは天然起源(精製HSA)でも組換え起源(rHSA)でもよい。この点では、天然HSAは一般にヒト起源の生物材料から精製することにより製造される。特に、献血からの血漿の慣用分画技術(Cohnら,J.Am.Chem.Soc.68(1946)459頁)又はJ.Liautaudらにより記載されている技術(第13回国際IABS会議、ブダペスト;A:“Purification of proteins.Development of biological standard”,Karger(編),Bale,27(1973)107頁)によるヒト胎盤からの抽出により得られる。本発明の範囲で使用する精製アルブミンは血漿アルブミンが好ましい。具体的には、市販血漿アルブミン溶液を使用することができる。遺伝子工学と新規抽出及び精製技術の発達は、高純度の改良物質をウイルス汚染(例えばB型肝炎及びAIDS)の危険なしに最良の安定性で廉価に得る可能性を開いた。HSAの市場の重要性に鑑み、組換え経路によりこのタンパク質を製造する可能性が広く研究された。こうして、組換えHSAの製造用として多数の発現系が研究された。より詳細に説明すると、細菌宿主については初期の遺伝子工学実験では宿主生物として大腸菌が使用された。例えばヨーロッパ特許第236210号、200590号、198745号又は1929号は種々の発現ベクター、種々の転写プロモーター及び種々の分泌シグナルを使用することにより大腸菌でHSAを製造する方法を記載している。その後、枯草菌におけるHSAの分泌に関する研究も行われた(Saundersら,J.Bacteriol.169(1987)2917)。真核宿主については、宿主生物として酵母を使用することによりHSAの製造方法が開発された。例えば、S.cerevisiaeでケラチンのプロモーターの制御下のHSAの産生を立証することができた(Etcheverryら,Bio/Technology 4(1986)726)。HSAの産生は発酵後方法を使用することによりビールの製造時にビール酵母でも言及されている(EP201239)。より最近では、ヨーロッパ特許出願第361991号がプラスミドpKD1から誘導されるベクターで形質転換したKluyveromyces酵母を宿主生物として使用した特に高性能のシステムを記載している。このシステムによると、培地に分泌される特に高レベルのHSAを得ることができた。更に、組換えHSAの製造はPichiapasstorisでも報告されている(EP344459)。更に、HSAの精製も多数の研究の対象になっている(EP319067)。所定の品質基準(均一性、純度、安定性)を満たす組換え又は天然HSAを使用すると有利である。例えば薬局方は血漿アルブミン溶液について所定数のパラメーター即ちpH値、タンパク質濃度、ポリマー及び凝集物濃度、アルカリホスファターゼ濃度並びに所定のタンパク質組成を定めている。更に、所定の吸光度、無菌性試験、発熱及び毒性試験適格も定めている(“Albumini humani solutio”ヨーロッパ薬局方(1984)255参照)。必ずしも必須ではないが、これらの基準に合致するアルブミンを使用することが特に好ましい。本発明による組成物は精製ヒト血漿アルブミン又は好ましくは真核宿主で製造された組換えヒトアルブミンを含むものが有利である。更に、HSAなる用語は本発明の意味ではこのタンパク質の多形性に起因するヒトアルブミンの全天然変異体を含む。HSAの等価物即ちHSAの性質を維持する任意のHSA誘導体を使用することも可能である。これらの誘導体は特にHSAのN末端フラグメントであり得る。本発明による培地は種々の方法で製造することができる。各成分を同時に混合した後、混合物に生物材料を加えてもよい。1又は2種の成分を生物材料を混合した後、これらの1又は2種の成分を加えてもよい。3種の成分を含む培地を調製後、これに生物材料を加えるのが好ましい。培地の調製及び生物材料の添加は無菌条件下で実施される。特定態様によると、変性液体ゼラチンを塩類溶液に加えた後、HSAを培地に加える。この点で好ましい1態様は血漿の代用品であるプラスミオン(FR2042381)と同一組成をもつ特定混合物を使用し、これに後でHSAを加える。プラスミオンは塩類溶液と変性液体ゼラチンから構成される市販溶液である。その組成は以下の通りである。−変性液体ゼラチン 30g/l−塩化ナトリウム 5.382g/l−塩化マグネシウム 0.143g/l−塩化カリウム 0.373g/l−乳酸ナトリウム 3.360g/l−注射製剤用水 全量が1000mlになるまで。プラスミオンは循環血液容量の回復における血管充填溶質として、あるいは血液粘度の低下による血液希釈及び微小循環の改善、更にはイオン平衡の回復とアシドーシスの予防に一般に使用されている。本発明の好ましい目的は、塩類溶液と変性液体ゼラチンの混合物の代わりにプラスミオンを使用した生物材料の保存及び/又は凍結用培地に関する。このような培地はプラスミオンとヒト血清アルブミンを含む。本発明による培地の成分の夫々の割合は該当生物材料に応じて当業者により変更できる。実施例に示すように、所定の濃度範囲が好ましいが、割合を変えてもよい。この点では、好ましい塩濃度範囲は上記表1に示した通りである。ゼラチンと血清アルブミンについては、アルブミン/ゼラチン重量比を0.5〜100とするのが好ましい。この比はより好ましくは0.5〜60、特に好ましくは3〜15である。具体的には、0.74、1.66、3.3、6.66、13.4、26.66及び60の比を挙げることができる。これらの種々の比は市販プラスミオン溶液10〜90容量%と、20%ヒト血清アルブミン90〜10容量%を含む本発明の培地に対応する。下表2に種々の組成を例示する。一般に、本発明による培地はプラスミオンと20%ヒト血清アルブミン溶液を夫々10〜90容量%含有する。特定態様は、プラスミオンと20%ヒト血清アルブミン溶液を夫々20〜80容量%、より好ましくはプラスミオンと20%ヒト血清アルブミン溶液を夫々33〜67容量%含有する培地である。本発明の別の特定態様は50/50v/v比のプラスミオンと20%ヒト血清アルブミン溶液の混合物からなる。HSA/ゼラチン重量比は2〜7が有利である。約3の比で特に優れた結果が得られた。更に、本発明による培地に補助成分を加えてもよい。特に、例えばグリセロール群の化合物(グリシン、グリセロール、サッカロース、グルコース等)等の生体適合性細胞安定剤を加えることができる。これらの化合物は5重量%未満の量で本発明の培地中に存在する。好ましくは、本発明による培地は0.5〜5重量%のグリシン又はグリセロールを含む。本発明による培地は生物材料の貯蔵、保存及び凍結に使用される。生物材料とは一般に、自己増殖可能又は生物系で増殖可能な遺伝情報を含む任意材料を意味する。前記生物材料はより詳細には細胞又はウイルス粒子あるいはその両者から構成され得る。凍結可能な細胞としては、例えば血球、骨髄細胞、ウイルス粒子産生細胞(「パッケージング」系)又は遺伝子改変細胞を挙げることができる。本発明に特に関連するウイルス粒子は遺伝子治療で利用可能なものである。多数のウイルスのゲノムを改変し、感染能を維持しながら増殖能を失うようにしたり、感染細胞で発現される着目治療核酸配列をゲノムに挿入するようにできる。これらのウイルスとしては、特にアデノウイルス、AAV、レトロウイルス、ヘルペスウイルス等を挙げることができる。最もよく使用されているウイルスはアデノウイルスである。構造と性質が少しずつ異なる種々の血清型のアデノウイルスが特性決定されている。これらの血清型のうち、遺伝子治療の範囲では2もしくは5型ヒトアデノウイルス(Ad2又はAd5)又は動物起源のアデノウイルス(国際出願公開第WO94/26914号参照)を使用するのが好ましい。使用可能な動物起源のアデノウイルスのうちでは、イヌ、ウシ、マウス(例えばMav1,Beardら,Virology 75(1990)81)、ヤギ、ブタ、トリ又はサル(例えばSAV)起源のアデノウイルスを挙げることができる。好ましくは、動物起源のアデノウイルスはイヌアデノウイルス、より好ましくはアデノウイルスCAV2[例えばマンハッタン株又はA26/61(ATCC VR−800)]である。ヒトもしくはイヌ起源のアデノウイルス又は混合アデノウイルスを使用するのが好ましい。欠損アデノウイルスはITRとパッケージングを可能にする配列と着目核酸を含む。これらのアデノウイルスのゲノムにおいて、少なくともE1領域は非機能的である。該当ウイルス遺伝子は当業者の公知の任意の方法、特に完全抑圧、置換、部分欠失、又は該当遺伝子に1個以上の塩基を付加することにより非機能的にすることができる。このような修飾は、例えば遺伝子工学技術又は突然変異誘発物質で処理することによりin vitro(単離したDNAで)又はin situで得られる。特にE3(WO95/02697)、E2(WO94/28938)、E4(WO94/28152、WO94/12649、WO95/02697)及びL5(WO95/02697)等の他の領域も修飾してもよい。アデノウイルスはE1領域に欠失を含んでいてもよく、このレベルにE4領域と着目治療核酸を挿入する(FR94 13355参照)。欠損組換えアデノウイルスは当業者に公知の任意の技術により作製することができる(Levreroら,Gene 101(1991)195,ヨーロッパ特許第185573号;Graham,EMBO J.3(1984)2917)。特に、アデノウイルスと特に着目DNA配列をもつプラスミド相同組換えにより作製することができる。相同組換えは適当な細胞系に前記アデノウイルスとプラスミドを同時トランスフェクション後に生じる。使用する細胞系は、好ましくは(i)前記要素により形質転換可能であり、(ii)組換えの危険を避けるために好ましくは組込み形態で欠損アデノウイルスのゲノムの部分を相補することが可能な配列を含んでいるべきである。その後、増殖したアデノウイルスを一般には塩化セシウム勾配上で慣用分子生物学技術により回収精製する。アデノ随伴ウイルス(AAV)は、比較的小寸法のDNAをもつウイルスであり、これに感染する細胞のゲノムに安定且つ部位特異的に組込まれる。アデノ随伴ウイルスは細胞増殖、形態又は分化に影響することなく広範な細胞に感染することができる。また、ヒトで疾病に関与しないと思われる。AAVのゲノムはクローニングされ、配列及び特性を決定されている。前記ゲノムは約4700塩基を含み、ウイルスの複製起点として機能する約145塩基の逆方向反復領域(ITR)を各末端に含む。ゲノムの残余はパッケージング機能をもつ2つの主領域に分けられ、ゲノムの左側部分はウイルス複製のウイルス遺伝子の発現に関与するrep遺伝子を含み、ゲノムの右側部分はウイルスのキャプシドタンパク質をコードするcap遺伝子を含む。AAVから誘導されるベクターをin vitro及びinvivo遺伝子導入に利用することは文献に記載されている(特に国際出願公開第WO91/18088号、WO93/09239号、米国特許第4,797,368号、5,139,941号、ヨーロッパ特許第488528号参照)。これらの文献は、AAVから誘導され、rep及び/又はcap遺伝子を欠失し、着目遺伝子で置換された種々の構築物と、前記着目遺伝子を(培養細胞に)in vitro又は(生物に直接)in vivo導入するためのその使用について記載している。欠損組換えAAVは、ヒト補助ウイルス(例えばアデノウイルス)に感染させた細胞系に、AAVの2つの逆方向反復領域(ITR)で挟まれた着目核酸配列を含むプラスミドと、AAVのパッケージング遺伝子(rep及びcap遺伝子)をもつプラスミドを同時トランスフェクトすることにより作製することができる。使用可能な細胞系は例えば293系である。生成した組換えAAVをその後、慣用技術により精製する。ヘルペスウイルスとレトロウイルスに関しては、組換えベクターの構築について文献に広く記載されており、特にBreakfieldら,New Biologist 3(1991)203;ヨーロッパ特許第453242号及び178220号、Bernsteinら,Genet.Eng.7(1985)235;McCormick,BioTechnology3(1985)689等を参照されたい。特に、レトロウイルスは分裂細胞に選択的に感染する組込みウイルスである。従って、癌に適用するのに有利なベクターである。レトロウイルスのゲノムは主に2つのLTRと、パッケージング配列と、3つのコーディング領域(gag、pol及びenv)を含む。レトロウイルスから誘導される組換えベクターは、一般にgag、pol及びenv遺伝子を完全又は部分的に欠失しており、着目異種核酸配列で置換されている。これらのベクターは種々の型のレトロウイルスから作製することができ、特にMoMuLV(「モロニーマウス白血病ウイルス」、別称MoMLV)、MSV(「モロニーマウス肉腫ウイルス」)、HaSV(「ハーベー肉腫ウイルス」)、SNV(「脾壊死ウイルス」)、RSV(「ラウス肉腫ウイルス」)又はフレンドウイルス等のレトロウイルスが挙げられる。着目治療核酸を含む欠損組換えレトロウイルスを構築するためには、特にLTRとパッケージング配列と前記核酸を含むプラスミドを構築した後、このプラスミドを使用して、欠損レトロウイルス機能をプラスミドにトランス導入することが可能なパッケージング系と呼ばれる細胞系にトランスフェクトする。従って、一般にパッケージング系はgag、pol及びenv遺伝子を発現させることができる(下記参照)。本発明による培地では、一般に組換え体であり(着目核酸を含む)且つ欠損性の(自律複製できない)ウイルス粒子を保存することができる。一般に、ウイルス粒子(アデノ、AAV、レトロ等)は精製形態で使用した後、本発明による培地で好ましくは凍結形態で保存するためにパッケージする。一般に、無菌容器で本発明による培地1ml当たりウイルス粒子104〜1014個をパッケージすることができる。好ましくは培地1ml当たりウイルス105〜1010個、より好ましくは108又は109個を使用する。上述したパッケージング系と呼ぶ細胞系はin vitro又はin vivo(移植後)で欠損組換えウイルスの製造に使用される細胞系である。アデノウイルス製造用系の例としては、特にアデノウイルスAd5のゲノムの左側部分(12%)をそのゲノムに組込んだヒト胎児腎細胞293系(Grahamら,J.Gen.Virol.36(1977)59)や、特に国際出願公開第WO94/26914号及びWO95/02697号に記載されているようなE1及びE4基を相補することが可能な系を挙げることができる。レトロウイルス又はヘルペスウイルスの製造について記載されているパッケージング細胞系、特にPA317系(米国特許第4,861,719号)、PsiCRIP系(WO90/02806)及びGP+envAm−12系(WO89/07150)又はM11系(WO94/13824)等の組換えレトロウイルス産生誘導系も挙げることができる。実施例に記載するように、本発明の培地はウイルス粒子産生細胞の保存に特に適している。本発明による培地で有利に保存できる別種の生物材料は遺伝子改変細胞から構成される。遺伝子改変細胞は特に遺伝子治療用の細胞であり、着目核酸配列が導入されている。数年来、これらの細胞の数は絶えず増加しており、例えば造血細胞系(WO88/08450、WO93/20195、WO93/09815、WO93/11230)、上皮細胞(WO89/05345、WO90/06757、WO92/09222)、筋芽細胞(WO93/03768、WO93/24151、WO94/01129)、繊維芽細胞(米国特許第5,219,740号、WO89/02468、WO93/07906)、肝細胞(WO89/07136、WO92/12242、WO93/03142)、星状細胞(WO94/01135)、神経芽細胞(WO94/10292、WO94/16059)、ケラチノサイト(WO94/11011)、マクロファージ(FR93/10222)を挙げることができる。これらの細胞は一般に着目治療物質を産生する能力をもち、in vivo移植することができる。血球のうちては、例えば赤血球、好中性、好塩基性及び好酸性顆粒球、B及びTリンパ球、特にCD4リンパ球、細胞毒性リンパ球(CD8 CTL)、腫瘍浸潤性リンパ球及びLAK、単球及びマクロファージ、樹状細胞、巨核細胞並びに血小板を挙げることができる。新規治療性質を獲得するようにこれらの細胞を更に遺伝子改変してもよい。本発明による培地は更に細胞の初代培養物及び腫瘍細胞又は腫瘍生検の保存にも使用することができる。この種の材料は、腫瘍を患者から取り出して種々の免疫強化剤で処理(リンホカイン又は腫瘍抗原を発現する遺伝材料の導入)した後、患者に再投与する免疫養子治療臨床試験で現在研究中である。困難な段階の1つは患者から取り出すか又は再注入前に改変した細胞の保存である。本発明の培地はこれらの材料を高い生存率で良好に保存できるという利点がある。本発明による培地を使用すると、これらの細胞を保存することができ、治療タンパク質又は場合によってはウイルスを産生する能力を損なわずに、遠心分離又は洗浄段階なしに良好な生存率で生物に直接注入することができる。この点で、本発明は本発明による保存培地と生物材料を含む製剤及び生物材料の貯蔵方法にも関する。前記生物材料は本発明の培地で直接パッケージすることができる。細胞の場合には、本発明による培地でパッケージする前に培地を予め除去(例えば遠心分離し、沈渣を集めて緩衝液で洗浄)しておくと有利である。増殖細胞の場合には指数増殖期に亜集密で使用するのが好ましい。実施例に示すように、これらの条件下で最良の生存率結果を得ることができる。但し、集密又は集密後に細胞を使用することも可能である。一般に、培地1ml当たり細胞105〜109個、より好ましくは106〜108個をパッケージする。接着細胞の場合には、細胞を予め慣用処理により引きはがし、懸濁後、本発明の培地でパッケージする。細胞を引きはがすために使用する処理は酵素処理(例えばトリプシン)、化学処理(洗浄剤)又は機械的処理であり得る。化学処理又は酵素処理の場合には、処理後に細胞を遠心分離及び洗浄して酵素又は洗浄剤を除去してから凍結する。一般に、凍結前に細胞の生存率と無菌性を検査する。ウイルスの場合には予め上述のように精製する。(例えば塩化セシウム勾配上で遠心分離、クロマトグラフィー等)。1ml当たり粒子104〜1014個、好ましくは105〜1010個の割合でパッケージすることができる。その後、生物材料を適当な容器で本発明による培地でパッケージすることができる。容器はアンプル、管、特にクリオチューブ、袋、フラスコ、平型びん等を利用できる。容器は予め滅菌し、パッケージ操作は無菌条件で実施する。本発明による培地は高生存率条件下で生物材料の凍結と解凍を可能にする。本発明による培地は特に−200〜−4℃の温度で生物材料の凍結を可能にする。材料は工業用ストックの保存を確保するに十分長期間(例えば1年間まで)特に液体窒素中又はそれよりも高温で保存することができる。解凍後の生存細胞百分率は生存細胞数/合計増殖細胞数/100として定義される。本発明による培地中のこの生存百分率は50%を上回ると有利である。この百分率は60%を上回ることが好ましい。この百分率が70%を上回ると最も好ましい。本発明の他の利点は以下の実施例に明示されるが、これらの実施例は例示に過ぎず、発明を限定するものではない。材料と方法細胞生存率試験細胞の生存率はトリパンブルー法により測定した。トリパンブルーは死滅細胞のみに浸透する色素である。Malassezセル又はKovaスライドの非常に均一な碁盤目を観察すると、碁盤目全体の小方眼内に存在する細胞は非常に厳密な1μlの容量に相当する。以下の原則に従ってこれらの細胞を計数する。−碁盤目の外側境界に存在する細胞は、左上端(縁)又は右下端(赤)以外のものは数えない。−計数を有意にするために、2回計数して平均する。死滅細胞数は青色細胞数に対応する。生存細胞数は屈折白色細胞数に対応する。生存率は(生存細胞数)/(生存細胞数+死滅細胞数)の比により表す。当然のことながら、他の細胞生存率計算又は決定方法を使用してもよい。使用した細胞実施例で使用した細胞はウイルス粒子を産生することが可能な遺伝子改変繊維芽細胞である。具体的には、Collection Nationale de Culture deMicroorganismesに参照番号I−1278で寄託されているM11細胞系である。この細胞系はPsiCRIP細胞に由来する。等価細胞は例えばAm12細胞系(WO89/07150)である。当然のことながら、記載する方法は初代培養物であるか樹立細胞系であるかを問わずに特にヒト由来の他の細胞系にも直接適用できる。アルブミン実施例の範囲で使用したアルブミンはArmour社から商品名Albumin Aで市販されているもの即ち20%ヒト血漿アルブミンである。当然のことながら、他の任意のアルブミン源も利用できる。プラスミオンプラスミオンは市販品である(Roger Bellon、フランス)。実施例実施例1:生物材料の凍結プロトコール細胞の凍結には、指数増殖期の亜集密細胞を使用するのが好ましい。また、生物材料の生存を改善するために、本発明による凍結培地と接触後の細胞懸濁液のクリオチューブへの分注及び凍結はできるだけ迅速に実施する。更に、操作は無菌条件下(例えば層流フード下)で実施する。本実施例はより詳細には細胞(遺伝子改変細胞、血球、ウイルス産生細胞等)の凍結プロトコールに関する。当然のことながら、当業者はこのプロトコールをウイルス又は他の材料の凍結に応用できる。凍結しようとする細胞を入れた培養フラスコをインキュベーターから取り出し、顕微鏡に載せ、培養物の外観を調べる。1個以上のフラスコが不適格外観(細胞脱落、集密、培養液の濁り、細胞非屈折、フラスコ損傷等)を示す場合には、凍結に使用しない。次に、適格フラスコを層流フード下に移す。細胞が接着細胞であるときには、凝集物を引きはがすか及び/又は溶解するように処理する。このためには、トリプシン又は他の任意の解離媒体(洗浄剤等)を使用することができる。次に細胞懸濁液を滅菌フラスコに集め、ピペット吸入により温和に均質化する。1mlアリコートを分取して計数する。培養物の生存率が80%未満の場合には細胞懸濁液を廃棄する。次に、懸濁液を偶数の遠心管に(例えばピペットで)均等に分注し、400Gで10分間遠心分離する。アルコール凍結容器と+4℃の凍結培地のフラスコをフード下に移す。生存細胞107個/mlの細胞濃度を得るために必要な容量の凍結培地を滅菌フラスコに入れる。遠心分離後、上清を捨て、次いで沈渣を冷温の凍結培地のアリコートに戻す。懸濁液を均質化し、凍結培地を入れたフラスコに戻し、再び均質化する。無菌性試験サンプルを採取する。次に、細胞懸濁液をクリオチューブに分注した後、クリオチューブを直ぐにアルコール凍結容器に入れる。容器を1時間+4℃にした後、少なくとも12時間、好ましくは24時間−80℃のチャンバー内におく。凍結から少なくとも24時間後にアンプルをアルコール容器から取り出し、液体窒素容器に入れて保存する。実施例2:生物材料の解凍プロトコールA.使用した物質−トリパンブルー−滅菌リン酸緩衝液(PBS),pH7.2−70%エタノール−培養培地−ウシ胎児血清(BFS)−37℃±0.5℃の滅菌水(50〜200ml)B.プロトコール解凍は無菌条件下、例えばフード下で実施すると有利である。解凍しようとする(アンプルの)ロットの容量の9/10に対応する容量の20%BFS培養培地を50ml容滅菌管で調製する(解凍培地)。例えば1ml容アンプルの場合には、培養培地7mlとBFS2mlを準備する。解凍しようとするアンプルを氷塊が消滅するまで約37℃の滅菌水に温和に撹拌しながら含浸させずに浸漬する。直ぐに70%エタノールでアンプルを拭く。アンプルの内容物をピペットで吸引し、解凍培地を入れた管に移した後、ピペットを交換せずに同一容量を再吸引し、アンプルを1回濯ぐ。懸濁液を温和に均質化し、滅菌管に1mlを分取して計数する。計数の結果に応じて、培養物1ml当たり生存細胞2.0〜3.0×105個の初期細胞濃度を得るために必要な量の解凍培地で希釈し、細胞懸濁液を培養フラスコに移す。解凍後の細胞生存率を経時的に追跡するために、培養フラスコを次に37℃±0.5でCO2下のインキュベーターに入れるか、又は緩衝培地HEPESの場合には37℃±0.5の温室に入れる。治療用途の場合には、1本のアンプルの内容物のアリコートのみを細胞生存率及び無菌性試験に使用する。適格の場合には、解凍したアンプルの内容物を直接注入することができる。実施例3:本発明の種々の培地によるレトロウイルス産生細胞の凍結及び解凍後の生存百分率の試験本実施例で使用した細胞は組換えレトロウイルス産生細胞系M11の細胞である。細胞は指数増殖期に使用する。実施例1に記載した一般プロトコールに従って細胞を凍結した。このために、T75には3ml、T160又はT225には5mlの解離用培地(1XPBS;EDTA 0.02%)を用いて細胞を培養皿から引きはがした。細胞をこの培地中で温和に撹拌しながら5分間インキュベートした後、Falcon管に回収する。アリコートを使用して細胞を計数する。次に、懸濁液を20℃で1000rpmで5分間遠心分離する。次いで、本発明による培地1mlを入れた凍結アンプルに細胞を107個/mlの割合で分注する。試験した種々の培地については後述する(表3)。実施例1に記載したプロトコールに従ってアンプルを凍結させる。所定日に、実施例2に記載したプロトコールに従ってアンプルを解凍し、細胞懸濁液を37℃、5%CO2の培養フラスコに移す。材料と方法の項に記載したように細胞生存率を測定する。得られた結果を下表4〜10に示す。これらの結果は本発明の培地の存在下の高い生存百分率を明白に示す。例えば、所定の本発明の培地では70%を越える細胞が生存可能である。一般に、細胞生存率は常に50%を上回る。本発明の培地の如何なる成分も単一では25%を越える安定性を得られないことに留意すべきである。7カ月間の凍結後に各ロットで生存率と再培養の検査を行った。即ち、67%プラスミオン/33%HSA溶液(実施例1参照)で凍結した4個の細胞アンプルを7カ月後に実施例2のプロトコールに従って解凍した。これらの4個のアンプルを75cm2のフラスコで培養した。生存率と再培養を測定し、表11に報告する。これらの結果は高い生存百分率と良好な細胞再培養を示す。細胞は正常な接着と正常な屈折外観を示す。継代P1及びP2(175cm2)は正常培養条件下で行われた。実施例4:再培養の改善本発明により処理した細胞の再培養を検討するために、細胞安定剤、特に種々の濃度のグリセロールを補充した種々の培地で試験を行った。4.1.培地の調製上記プロトコールに従って調製後、下表に示す濃度のグリセロール又は対照としてDMSOを加える。要約すると、67%プラスミオン、33%HSA及び2.5%グリセロールを含有する凍結培地10ml容量につき、成分の容量濃度は以下の通りである。HSA/プラスミオン培地:9.75mlグリセロール:0.25ml即ちグリセロール0.321gHSA/プラスミオン培地10ml→プラスミオン6.7mlHSA/プラスミオン培地9.75ml→プラスミオン6.53mlHSA/プラスミオン培地10ml→HSA3.3mlHSA/プラスミオン培地9.75ml→HSA3.21ml。4.2.細胞生存率の検討実施例1に記載した条件で凍結を行った。7日目に解凍後に得られた結果を表13に示す。これらの結果から明らかなように、約5%未満の割合のグリセロールの存在下で解凍後に観察される平均細胞生存率は70%を上回る。特に、1%のグリセロールの存在下では84%の平均生存率が観察される。4.3.再培養の検討再培養は解凍後の増殖細胞の状態を表す変数である。本実施例では、細胞が集密に達するために必要な時間により評価する。このパラメーターを測定するために、解凍後に細胞濃度を2.5×105〜3.5×105個/mlに調整した後、細胞を培養保存する。得られた結果を表14に示す。これらの結果から明らかなように、グリセロールを補充しない培地(4〜5日)よりもグリセロールを補充した培地(3.5〜4日)で細胞を保存したほうが再培養は迅速に生じる。これらの結果は更に、0.5〜2.5%の割合で細胞安定剤を加えると有利であることも示している。実施例5:プログラム凍結試験凍結パラメーターを最良に制御することによって生物材料の品質を管理できるか否かを調べるために、プログラム凍結試験を実施した。特に、培地の過融解を避けることが可能な凍結プロトコールを試験した。このために、Flobio社製液体窒素冷凍庫Kryosave planerを用いて凍結試験を実施し、実施例1によるアルコール(イソプロパノール)凍結試験と比較した。凍結は67%プラスミオン、33%HSA及び2.5%又は1%グリセロールを含有する凍結培地で実施する。このシステムの利点は細胞(又は材料)の迅速な凍結と、細胞及び培地の制御下の降温を実現し、凍結した培地の融点に達しないようにできることである。このために、アルコール凍結時にその温度状況を経時的に観測することにより融点を予め測定する。本実施例では、材料の融点がこのレベルであり、培地が0℃付近に再上昇したので、10分間に−8℃から−40℃まで温度を低下させた。7日目に解凍後、24時間後に細胞生存率と再培養を測定する。得られた結果を表15及び16に示す。これらの結果は、試験した本発明の全方式及び培地で高い細胞生存率を明白に示す。更に、特に1%のグリセロールを含有する培地では良好な細胞再培養を示す。実際にこの場合には解凍から24時間後に70%を越える収率が観察される。更に、制御下のプログラム凍結(kryosave)の場合には、24時間後に観察される細胞層は良好であり、非常に少数の死滅細胞しか認められない。 塩類溶液と、変性液体ゼラチンと、ヒト血清アルブミンを含有する生物材料の凍結用培地。 塩類溶液が血漿に対する等張塩類溶液であることを特徴とする請求項1に記載の培地。 塩類溶液が塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム及び乳酸ナトリウムを含むことを特徴とする請求項2に記載の培地。 塩類溶液が塩化ナトリウム2〜5g/l、塩化カリウム0.05〜0.5g/l、塩化マグネシウム0.05〜0.2g/l及び乳酸ナトリウム0.5〜4g/lを含むことを特徴とする請求項3に記載の培地。 塩類溶液が塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム及び乳酸ナトリウムを含むことを特徴とする請求項2に記載の培地。 塩類溶液が乳酸リンゲル液であることを特徴とする請求項5に記載の培地。 変性液体ゼラチンが医薬的用途に適合可能な化学的に変性されたコラーゲンの水解物であることを特徴とする請求項1に記載の培地。 変性液体ゼラチンが10kD〜100kD、好ましくは15kD〜40kDの平均分子量をもつことを特徴とする請求項7に記載の培地。 水解物が無水コハク酸、無水シトラコン酸、無水イタコン酸、無水アコニット酸又は無水マレイン酸との反応により変性されることを特徴とする請求項8に記載の培地。 変性液体ゼラチン30g/l、塩化ナトリウム5.382g/l、塩化マグネシウム0.143g/l、塩化カリウム0.373g/l、乳酸ナトリウム3.360g/l及び全量が1000mlになるまでの注射製剤用水から構成される溶液とヒト血清アルブミンを含む生物材料の凍結用培地。 ヒト血清アルブミンが血漿に由来することを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載の培地。 ヒト血清アルブミン/ゼラチン重量比が0.5〜100であることを特徴とする請求項1から11のいずれか一項に記載の培地。 ヒト血清アルブミン/ゼラチン重量比が0.74〜60であることを特徴とする請求項12に記載の培地。 ヒト血清アルブミン/ゼラチン重量比が0.74、1.66、3.3、6.66、13.4、26.66又は60であることを特徴とする請求項12に記載の培地。 好ましくはグリシン、グリセロール、サッカロース又はグルコースから選択される生体適合性細胞安定剤0.5〜5重量%を更に含むことを特徴とする請求項1から14のいずれか一項に記載の培地。 遺伝子改変細胞集団と請求項1から15のいずれか一項に記載の培地を含む組成物。 血球集団と請求項1から15のいずれか一項に記載の培地を含む組成物。 血小板と請求項1から15のいずれか一項に記載の培地を含む組成物。 骨髄細胞集団と請求項1から15のいずれか一項に記載の培地を含む組成物。 ウイルス粒子と請求項1から15のいずれか一項に記載の培地を含む組成物。 ウイルス粒子が欠損組換えウイルス粒子であることを特徴とする請求項20に記載の組成物。 ウイルス粒子産生細胞集団と請求項1から15のいずれか一項に記載の培地を含む組成物。 生物に注入できることを特徴とする請求項1から15のいずれか一項に記載の培地。 生物材料の投与に使用可能な組成物であって、前記生物材料と、変性液体ゼラチン30g/l、塩化ナトリウム5.382g/l、塩化マグネシウム0.143g/l、塩化カリウム0.373g/l、乳酸ナトリウム3.360g/l及び全量が1000mlになるまでの注射製剤用水から構成される溶液と、ヒト血清アルブミンを含む前記組成物。 生物材料の貯蔵方法であって、前記生物材料を請求項1に記載の培地の存在下に置くことを特徴とする前記方法。 前記生物材料を変性液体ゼラチン30g/l、塩化ナトリウム5.382g/l、塩化マグネシウム0.143g/l、塩化カリウム0.373g/l、乳酸ナトリウム3.360g/l及び全量が1000mlになるまでの注射製剤用水から構成される溶液とヒト血清アルブミンの存在下に置くことを特徴とする請求項25に記載の方法。 接触により生成した組成物を凍結することを特徴とする請求項25又は26に記載の方法。 凍結及び解凍後の生存可能な細胞の百分率が50%以上であることを特徴とする請求項27に記載の方法。 凍結及び解凍後の生存可能な細胞の百分率が60%以上であることを特徴とする請求項28に記載の方法。 凍結及び解凍後の生存可能な細胞の百分率が70%以上であることを特徴とする請求項29に記載の方法。


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