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タイトル:特許公報(B2)_所望の決定基に対する免疫応答の誘導
出願番号:1997526979
年次:2008
IPC分類:A61K 39/39,A61P 37/04


特許情報キャッシュ

アレクサンダー ジェフリー エル デフリーズ ショーン セッティ アレッサンドロ JP 4063879 特許公報(B2) 20080111 1997526979 19970123 所望の決定基に対する免疫応答の誘導 エピミューン インコーポレイテッド 中村 稔 大塚 文昭 宍戸 嘉一 竹内 英人 今城 俊夫 小川 信夫 村社 厚夫 箱田 篤 アレクサンダー ジェフリー エル デフリーズ ショーン セッティ アレッサンドロ US 60/010,510 19960124 20080319 A61K 39/39 20060101AFI20080228BHJP A61P 37/04 20060101ALI20080228BHJP JPA61K39/39A61P37/04 A61K 39/00 - 39/395 A61P 1/00 - 43/00 国際公開第95/007707(WO,A1) 特開平02−042099(JP,A) 特開平06−016569(JP,A) 特開平06−041197(JP,A) ALEXANDER, J et al, Immunity, 1994年, Vol.1, pp751-761 29 US1997001041 19970123 WO1997026784 19970731 2000504328 20000411 48 20040123 小堀 麻子 発明の背景具体的なワクチン抗原に対して引き起こされた免疫応答の種類はワクチンの有効性全体にとって重要であることは当該技術において一般に知られている。糖鎖抗原の場合には、免疫原性を高めるために化学変性(Jenningsら,Towards Better Carbohydrate Vaccines Bell and Torrigiani(eds)pp 11-17,J.Wiley & Sons,ロンドン,1987)、アジュバントとの投与、タンパク質との非共有複合、免疫原性タンパクキャリャへの共有結合(Schneersonら,上記Towards Better Carbohydrate Vaccines pp 307-327)、及びタンパク質レプリカ、新規合成ペプチド(いわゆるミミトープ,Geysonら,上記Towards Better Carbohydrate Vaccines pp 103-118)か又は抗イディオタイプ抗体(Soederstroem,上記Towards Better Carbohydrate Vaccines,pp 119-138)による糖鎖エピトープの交換を含む様々な方法が試みられてきた。糖鎖抗原の免疫原性T依存性タンパクキャリヤへの共有結合は既知である(例えば,Schneersonら,152:361-376(1980);Lepowら,J.Pediatr.106:185-189(1985);Chuら,Infect.Immun.,50:245-256(1983);Marborgら,Am.Chem.Soc.)108:5282-5287(1985);Andersonら,Infect.Immun.,39:233-238(1983);Bartoloniら,Vaccine 13:463-470(1995);Wesselsら,J.Infect.Dis.171:879-884(1995)を参照されたい)。Tヘルパー細胞によって認識されるエピトープを含む免疫原性ペプチドは、免疫応答を誘導するのに有効であることがわかった。具体的な決定基に対する抗体応答を高めるためのヘルパーペプチドの使用は、例えば、Hervas-Stubbsら,Vaccine 12:867-871(1994)に記載されている。MHC対立遺伝子のペプチド結合ポケットに並んでいる対立遺伝子特異多型残基は各対立遺伝子にユニークなペプチドセットを結合する能力を与える傾向があるが、あるペプチドが1を超えるMHC対立遺伝子に結合している多くの例が示された。これは、いくつかのDR対立遺伝子が類似のモチーフを認識するらしいことが指摘されたヒトDRイソタイプの場合に最もよく証明され、別個に数人の研究者により複数のDR型の関係においてある種のエピトープの変性した結合及び/又は認識が報告され、ある種のペプチドが“普遍的”エピトープを表すことができるという概念が導かれた(Buschら,Int.Immunol.2:443-451(1990);Panina-Bordignonら,Eur.J.Immunol.19:2237-2242(1989);Sinigagliaら,Nature 336:778-780(1988);O'Sullivanら,J.Immunol.147:2663-2669(1991);Roacheら,J.Immunol.144:1849-1856(1991);Hillら,J.Immunol.147:189-197(1991))。以前に報告されたペプチドはいくつかのDR対立遺伝子に結合する能力をもつが、決して普遍的ではない。国際出願第95/07707号及びAlexanderら,Immunity 1:751-761(1994)にPan-DR結合(PADRE)ペプチドが記載された。このペプチドは、所望のタンパク質抗原に対してCTL応答の生成を援助することがわかった。しかしながら、従来の技術は体液性応答に効果的な化合物又は組成物を教示していない。例えば、糖鎖免疫原の場合の抗体応答は優先的なIgMの短期発現に続いてIgG応答が一様でないことが伝統的であった。かかる応答は、一般に、免疫原に対する長期防御を生じるのにIgG仲介応答ほど効果的でない。本発明は、これらの及び他の要求に取り組むものである。発明の簡単な要約本発明は、相互に共有結合されていてもよい、約50未満のアミノ酸残基のPADREオリゴペプチド及び抗原決定基を含む組成物を提供する。抗原決定基は、細菌、ウイルス、がん細胞、真菌又は寄生虫に由来するものである。PADREオリゴペプチド及び抗原決定基が相互に共有結合する場合には、直接結合するか又は好ましくはシステイン残基を含む結合基によって結合する。あるグループの実施態様においては、PADREペプチドはaAXAAAKTAAAAa、aAXAAAATLKAAa、aAXVAAATLKAAa、aAXIAAATLKAAa、aKXVAAWTLKAAa及びaKFVAAWTLKAAa(aはD-アラニンであり、AはL-アラニンであり、Xはシクロヘキシルアラインであり、Kはリシンであり、Tはトレオニンであり、Lはロイシンであり、Vはバリンであり、Iはイソロイシンであり、Wはトリプトファンであり、Fはフェニルアラニンである。)からなる群より選ばれる。好ましくは、PADREペプチドはaKXVAAWTLKAAaである。他のグループの実施態様においては、ペプチドの末端はD形か又はL形である。更に、本発明は、約50残基未満のPADREオリゴペプチド及び少なくとも1個の糖鎖エピトープを含む、免疫原性糖鎖に対する免疫応答を惹起する組成物を提供する。好ましくは、PADREペプチドは、N末端からC末端へ進む式R1-R2-R3-R4-R5(R1は少なくとも2残基であり;R2はシクロヘキシルアラニン残基、チロシン残基、フェニルアラニン残基及びその同類置換からなる群より選ばれ;R3は3〜5個のアミノ酸残基であり;R4はトレオニン−ロイシン−リシン、リシン−トレオニン及びトリプトファン−トレオニン−ロイシン−リシン、及びその同類置換からなる群より選ばれ;R5は少なくとも2残基からなる。)を有する。【図面の簡単な説明】図1A-1Fは、12人の異なる提供者のうちの3人の代表的な応答を示すグラフである。ペプチド965.10(黒い四角)、906.09(白い四角)、760.50(黒い丸)か又はテタヌストキシ830-843(白い丸)の添加により0日目に生じたヒトPBMC T細胞系からの抗原特異T細胞応答を、14日目(2回目の刺激、図1A、図1B、図1C)及び28日目(3回目の刺激、図1D、図1E、図1F)に分析した。代表的な2つの独立した実験を示す。図2A、図2Bは、ヒトPBMCからの抗原特異的T細胞応答の纏めを示すグラフである。図2Aは2回目の刺激の結果を示し、図2Bは3回目の刺激の結果を示すグラフである。得られた最大Δcpmを縦軸にプロットする。図3A、図3Bは、ヒトPBMCからの抗原特異T細胞応答の纏めを示すグラフである。図3Aは2回目の刺激の結果を示し、図3Bは3回目の刺激の結果を示す。得られた最大Δcpmを縦軸にプロットする。図4A〜図4Fは、初回抗原刺激を受けたマウスリンパ節T細胞の増殖能によって測定した種々のペプチドエピトープの生体内免疫原性を示すグラフである。C57BL/6Jマウスに20μg/マウス(白い三角)、1g/マウス(黒い四角)、50ng/マウス(白い四角)、2.5ng/マウス(黒い丸)、又は0.125ng/マウス(白い丸)のTT830-843(図4A)、Ova 323-336(図4B)、HBVc128-140(図4C)、965.10(図4D)、1024.03(図4E)、及び760.50(図4F)を注射した。10日後、所属リンパ節を切除し、後に詳述されるようにT細胞増殖分析を行った。代表的な2つの独立した実験を示す。図5A、図5B及び図5Cは、ペンタ糖フコペンタオースII及びその複合体;(A)フコペンタオースII-PADRE、(B)フコペンタオースII-PA14、及び(C)フコペンタオースII-HSAを示す構造である。図6A及び図6Bは、(A)ドデカ糖-PADRE複合体及び(B)サルモネラ・ティフィムリウム(Salmonella typhimurium)LPSを示す構造である。発明の詳細な説明A. 定義本明細書に用いられるオリゴヌクレオチドは、少なくとも4個のアミノ酸又はアミノ酸類似体、好ましくは少なくとも6残基、更に好ましくは8〜10残基、時には11〜14残基、通常は約50残基より少なく、更に通常は約25残基より少なく、好ましくは15残基、例えば、8〜14残基の連鎖を意味する。オリゴヌクレオチド又はペプチドは、中性(電荷をもたない)形態か又は塩形態、及びグリコシル化、側鎖酸化又はリン酸化のような修飾を含まないか又は修飾が本明細書に記載されるポリペプチドの生物活性を破壊しないことを条件としてそれらの修飾を含む様々な長さとすることができる。ペプチド、オリゴヌクレオチド又はタンパク質のアミノ酸残基を意味する場合、“アミノ酸残基”、“アミノ酸”及び“残基”という用語は同じ意味に用いられ、本明細書に用いられるように、アミド結合又はアミド結合模倣を介して少なくとも1個の他のアミノ酸又はアミノ酸類似体に共有結合したアミノ酸又はアミノ酸類似体を意味する。本明細書に用いられる“アミノ酸”という用語は、不適当でない場合には“L-アミノ酸”又はL-アミノ酸類似体を意味する。ペプチドは実質的に他の天然に存在するタンパク質及びその断片を含まないことが好ましいが、実施態様においてはペプチドが未変性又は粒子と合成的に複合されるものがある。本明細書に用いられる“生物活性”という用語は、適切なMHC分子を結合する能力及び免疫応答を刺激するのに有効なペプチドの場合には標的免疫原又は免疫原類似体に対する免疫応答を誘導するために援助するTヘルパー応答を誘導する能力を意味する。抗体応答を刺激するのに有効なペプチドの場合には、標的免疫原に対する体液性応答を誘導するために援助するTヘルパー応答を誘導する。本発明の“pan DR結合ペプチド(PADRE)”は、12個の最も一般的なDR対立遺伝子(DR1,2w2b,2w2a,3,4w4,4w14,5,7,52a,52b,52c,53)のうちの少なくとも約7個を結合することができるペプチドである。本開示を通して結果をIC50で表す。分析が行われる条件を示すと(制限MHC及び標識ペプチド濃度)、これらの数値はKD値に近似する。IC50は、分析条件が異なる場合及び使用される具体的な試薬(例えば、MHC標品等)によってたいてい劇的に変化することは留意されるべきである。例えば、過度のMHC濃度は、あるリガンドの見掛け上のIC50測定値を増大させる。これらの不正確さを避けるために、基準ペプチドに対する相対値として結合データを表す代替的方法がある。基準ペプチドは分析毎に含まれる。具体的な分析が多少感受性になるにつれて試験したペプチドのIC50は、いくぶん変化する。しかしながら、基準ペプチドに相対する結合は変化しない。例えば、基準ペプチドのIC50が10倍になるような条件下で行われる分析においては、IC50値全てが約10倍移動する。従って、あいまいさを避けるために、ペプチドが良好なバインダーであるか、中間のバインダーであるか、弱いバインダーであるか、負のバインダーであるかの評価は標準ペプチドのIC50に相対するIC50に基づかねばならない。具体的な分析において測定された標準ペプチドのIC50が表1に示されたものと異なる場合には、良好なバインダー、中間のバインダー、弱いバインダー及び負のバインダーを求めるために用いられる閾値は対応する倍率だけ修正されなければならないことは理解されるべきである。本発明のPADREペプチドは、第2決定基に対する免疫応答を促進させるほかに標的免疫原として働くことができる。従って、例えば、PADREペプチドが糖鎖エピトープに結合する場合、免疫応答はPADREペプチドと糖鎖エピトープ双方に対するものである。“免疫原”及び“抗原”という用語は、同じ意味に用いられ、細胞性又は体液性免疫応答が対向すべき化合物を意味する。本明細書に用いられる“抗原決定基”は、免疫応答を生じるように惹起し、促進し又は誘導される構造、例えば、糖鎖エピトープ、脂質、タンパク質、ペプチド、又はその組合わせである。本発明の“CTLエピトープ”は、腎細胞がん腫、乳がん、がん胎児性抗原、メラノーマ(MAGE-1)抗原及び前立腺がん特異抗原、C型肝炎抗原、エプスタイン・バールウイルス抗原、HIV-1及びHIV-2抗原、及びパピローマウイルス抗原を含むがこれらに限定されない腫瘍関連抗原のような潜在的標的抗原の選ばれたエピトープ領域に由来するものである。本発明の“体液性応答”は、抗原決定基の種々の領域に対する抗体仲介免疫応答である。体液性応答が、該決定基と共に含まれるPADREペプチドに対して誘導されることは当業者に認められることである。従って、惹起した免疫応答は、抗体誘導決定基とPADREペプチド双方に対するものである。本明細書に用いられる“糖鎖エピトープ”は、複合糖質、例えば、糖タンパク、糖ペプチド、糖脂質等、DNA、RNA、又は免疫応答が所望される多糖、オリゴ糖又は単糖として存在する糖鎖構造を意味する。糖鎖エピトープは、広範囲の免疫応答を誘導することができる。本明細書に例示される様々な糖鎖構造が抗原性に悪影響を及ぼすことなく標準法に従って様々に修飾されることは当業者に認められることである。例えば、サッカリドの単糖単位は、有機小分子で様々に置換され、単糖の類似体として働く。“単離した”又は“生物学的に純粋な”という用語は、未変性状態に見られる通常は随伴する成分をほとんど又は実質的に含まない物質を意味する。従って、本発明のペプチドは、原位置環境と通常は関連がある物質、例えば、抗原提示細胞によるMHCクラスI分子を含まない。タンパク質が電気泳動ゲルで均一バンド又は優性バンドまで単離されたとしても所望の単離と共同精製する5〜10%の未変性タンパク質の範囲の微量不純物がある。単離した本発明のペプチドは、かかる内在性共同精製タンパク質を含まない。本明細書に用いられる“リンカー”は、2つの官能基(例えば、PADREペプチドと所望の免疫原)間の共有結合と間隔を与えるために用いられる化合物である。典型的には、リンカーは、生理的条件下でほとんど変化せずかつ直鎖又は分枝鎖の側鎖をもつことができる、脂肪族炭素鎖、アミノ酸又はアミノ酸類似体のような中性分子を含む。ある場合には、リンカー自体が免疫原性であるが、非治療的に特定される。本発明に有用な様々なリンカーは後に詳述される。更に、“結合する”や“複合する”という用語は、同じ意味に用いられ、2つ以上の化合物の共有結合を意味する。“T細胞クローン”という用語は、抗原刺激を受けたことのない単一リンパ球の後代でありかつ同一のT細胞受容体タンパク質を発現するT細胞群を意味する。“抗原刺激を受けたことのない”リンパ球は、ここではStitesらBasic and Clinical Immunology,8th Edit.Prentice Hall,イングルウッドクリフス、ニュージャージー(1994)のように用いられ、この論文の記載は本願明細書に含まれるものとする。本明細書に用いられる“Tヘルパーペプチド”は、Tヘルパー細胞のT細胞受容体によって認識されたペプチドを意味する。本発明のPADREペプチドは、Tヘルパーペプチドである。B. PADREペプチド及び抗原決定基本発明の組成物は、一般的には、2つ成分、1以上の抗原決定基と複合又は混合したPADREペプチドを含む。2つの成分が結合している実施態様は、下記の一般構造を有する。(X)n-(A)m-P-(B)o-(Y)p式中、Pは本発明のPADREペプチドであり;X及びYは同一でも異なってもよく、抗原決定基、例えば、糖鎖エピトープ、脂質、タンパク質、又はその組合わせであり;A及びBは同一でも異なってもよく、リンカーである。n〜pは1か又は0である。但し、抗原決定基のnとpは共に0であってはならない。本発明の組成物の各成分は下で詳述される。本発明は、抗原決定基に対する免疫応答、典型的には、糖鎖免疫原に対する体液性応答を惹起するのに有効である。ペプチド化合物を記載するために用いられる命名法は慣用的な実施に従い、アミノ基は左(N末端)にあり、カルボキシル基は各アミノ酸残基の右(C末端)にある。アミノ酸構造式においては、各残基は通常は標準の三文字又は一文字で表記される。アミノ酸残基のL形は大文字の一文字記号又は最初の文字が大文字の三文字記号で表され、D形をもつアミノ酸のD形は小さいわくの一文字又は小さいわくの三文字記号で表される。グリシンは、不斉炭素原子をもたず、単に“Gly”又はGと示される。糖鎖を記載するために用いられる命名法は、次の略号が含まれる。Ara=アラビノシル;Fru=フルクトシル;Fuc=フコシル;Gal=ガラクトシル;GalNAc=N-アセチルガラクト;Glc=グルコシル;GlcNAc=N-アセチルグルコ;Man=マンノシル;NeuAc=シアリル(N-アセチルノイラミニル)。糖鎖は還元末端と非還元末端をもち、該還元末端のサッカリドが実際に還元糖か否かが考慮される。許容される命名法によれば、糖鎖は本明細書では左に非還元末端、右に還元末端を用いて表される。本明細書の糖鎖は全て非還元サッカリド(例えば、Gal)の名称又は略号で記載され、続いてグリコシド結合(α又はβ)、環結合、該結合に関係する還元サッカリドの環位置、及びそのときの還元サッカリドの名称又は略号が記載される(例えば、GIcNAc)。2つの糖間の結合は、例えば、2,3、2-3、又は(2,3)として表される。各サッカリドはピラノースである。1. Pan Dr結合ペプチド本発明は、特異性を広くする、出発ペプチドに対する修飾を同定するのに有効な方法を提供する。例えば、国際出願第92/02543号には、DR分子を結合することができるペプチドを同定するのに適した方法が記載されている。国際出願第92/02543号には、HLA-DRと特異的に反応するペプチド源としてインフルエンザウイルス(“HA”)からの血球凝集素の使用が記載されている。タンパク質の部分についてDR1,DR4w4又はDR4w14のような適切なDR分子を結合する配列を与える反応性がスクリーニングされている。選ばれたMHC分子に結合する免疫原又はそのペプチドが同定されると、オーバーラッピングペプチドの合成、及び/又はN末端又はC末端欠損(切断型)又は付加の使用により抗原又はペプチドの“コア結合領域”が求められる。コア結合領域と重要な接触残基の決定においては、結合に対する静電電荷、疎水性等の作用を求めるために一連のペプチドが単一アミノ酸置換と共に用いられる。コア領域内の“臨界接触部位”、即ち、MHC分子を結合しかつT細胞への提示を阻害する能力を保持するようにペプチド中に存在しなければならない残基(又はその機能等価物)は、単一アミノ酸置換、欠失又は挿入によって同定される。更に、臨界接触残基の側鎖によってなされる貢献をプローブするために個々のアミノ酸(例えば、Ala)を用いて系統的スキャンも行われる。本発明のペプチドは、必須接触部位を除いて中性アミノ酸による単一アミノ酸置換に比較的感受性がなく、多置換を許容することがわかった。特に好ましい多置換は、Ala、Gly、Pro又は類似の残基のような小さな比較的中性部分である。置換は、ホモオリゴマー又はヘテロオリゴマーとすることができる。置換又は付加される残基の数と種類は、必須接触点間に必要な間隔及び探索されるある種の機能特性(例えば、疎水性か親水性か)に依存する。MHC分子に対する高親和性は、親ペプチドの親和性に比べてかかる置換によっても達成される。いずれにしてもかかる“スペーサー”置換は、結合を破壊する立体障害や電荷障害等を避けるために選ばれたアミノ酸残基又は他の分子断片を用いなければならない。単一アミノ酸置換の作用は、D-アミノ酸を用いてプローブされる。かかる置換は、例えば、Merrifield,Science 232:341-347(1986),Barany & Merrifield,The Peptides,Gross and Meienhofer,eds.(N.Y.,Academic Press),pp.1-284(1979);Stewart & Young,Solid Phase Peptide Synthesis,(ロックフォード,イリノイ,Pierce),2d Ed.(1984)に記載される周知のペプチド合成法を用いて行われる。本発明に用いられるペプチドは、本化合物が適切なMHC分子に結合することができるか又は標的免疫原に対して体液性又は細胞傷害性Tリンパ球活性を与えることができる限り下記の実施例の項で開示されるペプチドと同一であることを必要としない。従って、多数の同類置換がペプチドの活性にほとんど影響することなく行われることが当業者に認められるであろう。アミノ酸残基が生物学的に及び/又は化学的に類似した他の残基に、例えば疎水性残基を他の残基に、又は極性残基を他の残基に置換する同類置換としては、Gly、Ala;Val、Ile、Leu、Met;Asp、Glu;Asn、Gln;Ser、Thr;Lys、Arg;及びPhe、Tyrのような組合わせが含まれる。更に、ペプチド又はオリゴペプチド配列は、末端NH2アシル化、例えば、アルカノイル(C1-C20)による又はチオグリコリルアセチル化、末端カルボキシアミド化、例えば、アンモニア、メチルアミン等により修飾されることにより天然配列と異なることができる。ある場合には、これらの修飾は支持体又は他の分子に結合するための部位を与える。MHCへの結合に重要な側鎖を含むアンカー残基が13残基のポリアラニンペプチドに挿入される他の方法も用いられる。この方法は、Jardetzkyら,Nature 353:326-329(1990)によって用いられた。1つの優性MHC接触残基(Tyr)で修飾されたポリアラニンペプチドがDR1に対して高い親和性結合能をペプチドに与えることが示された。主なMHC接触残基としてチロシンを用いる代わりに、シクロヘキシルアラニン又はフェニルアラニンが用いられる。これらの残基は、HAペプチドの高親和性結合が可能なDR対立遺伝子を結合するペプチドの能力についてTyrと交換可能であり、更に、DRβ鎖内の残基86にG-V置換を含むMHC分子に結合することができる。この変化はクラスII MHCのB結合ポケットの結合特異性に影響するのでチロシンはもはや効果的に結合することができないがシクロヘキシルアラニンとフェニルアラニンは結合することができる。上で同定したペプチドの生物活性は、様々な系で分析される。典型的には、抗原特異T細胞活性化を阻害する能力が試験される。具体的なプロトコールにおいては、過剰量のペプチドを既知のMHC発現(例えば、DR1)及び既知の抗原特異性(例えば、テタヌストキシン830-843)とMHC拘束(DR1)のT細胞クローン、及び免疫原性ペプチド(即ち、テタヌストキシン830-843)の抗原提示細胞とインキュベートする。分析培養物をT細胞増殖に十分な時間、例えば、4日インキュベートし、最後の18時間のインキュベーション中に[3H]チミジンでパルス標識するような標準法を用いて測定する。ペプチドを含まない対照と比べて阻害%を算出する。試験管内分析において抗原提示を阻害するペプチドの能力は生体内で免疫応答を阻害するペプチドの能力に相関する。生体内活性は、動物モデルにおいて例えば、ペプチドによって認識された具体的なMHC分子に制限されることが既知の免疫原、及び免疫モジュレーターペプチドを投与することにより求められる。引き続き、Tリンパ球を動物から取り出し、投与量範囲の免疫原と培養する。慣用の手段、例えば、[3H]チミジンでパルス標識し適切な対照と比べることにより、刺激阻害を測定する。ある種の実験の詳細が当業者に明らかになることは当然のことである。Adoriniら,Nature 334:623-625(1988)を参照されたい。この論文の記載は本願明細書に含まれるものとする。MHC分子、特にMHCクラスII分子が特定された多数の細胞が既知であり、例えば、アメリカン・タイプ・カルチュア・コレクション(“Catalogue of Cell Lines and Hybridomas,”6th edit.(1988))ロックビル,メリーランド州,U.S.A.)から容易に入手できる。本発明のペプチドの好適実施態様は、N末端残基とC末端残基の修飾を含む。当業者に十分に理解されるように、N末端とC末端はペプチドの物理的性質又は化学的性質を変えるように、例えば、結合、安定性、生物学的利用可能性、結合の容易さ等に影響するように修飾される。種々のアミノ酸類似体又はd-アミノ酸による、例えば、N末端又はC末端でのペプチドの修飾は、例えば、生体内でのペプチドの安定性を高めるのに有効である。かかるペプチドは、“inverso”又は“retroinverso”形として、即ち、L-アミノ酸の配列をD-アミノ酸で置き換えることにより、又はアミノ酸の配列を反対にしL-アミノ酸をD-アミノ酸に置き換えることにより合成される。D-ペプチドはペプチダーゼにかなり耐性があり、L-ペプチドに比べて血清及び組織中で安定であるので、生理的条件下でのD-ペプチドの安定性は対応するL-ペプチドに比べて親和性の差を打ち消すよりも大きい。更に、置換を含む又は含まないペプチドを含むL-アミノ酸は、免疫原ペプチドのエキソペプチダーゼ分解を阻害するD-アミノ酸でキャップされる。多くの方法で安定性が分析される。例えば、ペプチダーゼと、ヒト血漿及び血清のような種々の生物媒質が安定性を試験するために用いられた。例えば、Verhoefら,Eur.J.Drug Metab.Pharmacokin.11:291-302(1986);Walterら,Proc.Soc.Exp.Biol.Med.148:98-103(1975);Witterら,Neuroendocrinology 30:377-381(1980);Verhoefら,J.Endocrinology 110:557-562(1986);Handaら,Eur.J.Pharmacol.70:531-540(1981);Bizzozeroら,Eur.J.Biochem.122:251-258(1982);Chang,Eur.J.Biochem.151:217-224(1985)を参照されたい。これらの全ての論文の記載は本願明細書に含まれるものとする。ペプチドのC末端とN末端にD-アミノ酸残基を導入することにより安定性が高められる。以前の研究から、C末端とN末端にd-アミノ酸を導入してペプチドをエキソペプチダーゼに耐性にすることにより、血清含有媒質中でインキュベートした場合の生体内及び生体外でのL-アミノ酸含有ペプチドの半減期をかなり延長することができることが示された。本発明のペプチド又は類縁体は特定の残基の順序又は組成を変えることにより修飾され、生物活性に不可欠なある種アミノ酸残基、例えば、臨界接触部位のアミノ酸残基は通常は生物活性に対して悪影響を及ぼすことなく変えられないことは容易に理解される。非臨界的アミノ酸はLα−アミノ酸のようなタンパク質の天然に存在するもの、又はそのD-異性体に限定されることを必要としないが、β−γ−δ−アミノ酸のような非タンパク質アミノ酸、及びL−α−アミノ酸の多くの誘導体が含まれる。述べたように、本発明のペプチドは通常はL-アミノ酸か又はD-アミノ酸を含むことができるが、コア結合領域内にD-アミノ酸を含むことができない。本発明のペプチドは、種々の方法で調製される。比較的短いサイズであることから、慣用の手法に従って溶液中で又は固体支持体上でペプチドが合成される。種々の自動シンセサイザーが市販されており、既知のプロトコールに従って用いられる。例えば、上記Stewart & Young,Solid Phase Peptide Synthesis,2d.Ed.,Pierce Chemical Co.(1984)を参照されたい。また、問題の免疫原性ペプチドをコードするヌクレオチド配列が発現ベクターに挿入され、適切なホスト細胞にトランスフォーム又はトランスフェクトされ、発現に適した条件下で培養される組換えDNA技術も用いられる。これらの手順は、Sambrookら,Molecular Cloning,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Press,コールドスプリングハーバー,ニューヨーク(1989)に一般的に記載されるように当該技術において一般に知られている。従って、適切なT細胞エピトープを提示するために本発明の1以上のペプチド配列を含む融合タンパク質が用いられる。本明細書に企図される長さのペプチドのコード配列は化学的手法、例えば、Matteucciら,J.Am.Chem.Soc.103:3185(1981)のホスホトリエステル法によって合成されるので、未変性ペプチド配列をコードしているものを適切な塩基に置き換えることにより簡便に修飾される。次に、適切なリンカーをコードする核酸配列をペプチドコード配列に付加し、当該技術において一般に用いうる発現ベクターに結合し、そのベクターを用いて適切なホストにトランスフォームして所望の融合タンパク質を生産する。現在、多くのベクター及び適切なホスト系が用いうる。融合タンパク質の発現のために、コード配列は作用可能に結合した出発コドンと停止コドン、プロモーター領域とターミネーター領域及び通常は所望の細胞ホストで発現するための発現ベクターを与える複製系を備えている。例えば、所望のコード配列を挿入するために便利な制限部位を含むプラスミド中に細菌ホストと適合しうるプロモーター配列が与えられる。得られた発現ベクターは、適切な細菌ホストへトランスフォームされる。適切なベクターと制御配列を用いる酵母又は哺乳動物細胞ホストが用いられることは当然のことである。2. 抗原決定基免疫応答を惹起又は増強するために、PADREペプチドと結合或いは混合した本発明のPADREペプチドと共に抗原決定基が投与される。CTLと多くの免疫原性生物分子からの糖鎖エピトープが本発明の複合体に用いられる。用いられる具体的な免疫原(例えば、多糖、タンパク質、糖タンパク質、脂質、糖脂質、リポ多糖等)は本発明に重要でない。本発明に使用するのに適した免疫原の表については、例えば、BioCarb Chemicals Catalogue;The Jordan Report:Accelerated Development of Vaccine 1995 NIH,ベセスダ,メリーランド州,1995を参照されたい。適切な免疫原の例としては、糖鎖によるワクチンに用いられる細菌表面多糖類に由来するものが含まれる。細菌は、典型的には、糖タンパク質、糖脂質、リポ多糖のO特異側鎖、莢膜多糖等の一部として細胞表面上で糖鎖を発現する。具体的な細菌株としては、ストレプトコッカス・ニゥモニア(Streptococcus pneumonia)、ナイセリア・メニンジティディス(Neisseria meningitidis)、ヘモフィルス・インフルエンザ(Haemophilus influenza)、クレブシエラ種(Klebsiella spp.)、シュードモナス種(Pseudomonas spp.)、サルモネラ種(Salmonella spp.)、シゲラ種(Shigella spp.)及び群Bストレプトコッカス(Group B streptococci)が含まれる。従来の技術には多くの適切な細菌糖鎖エピトープが記載されており(例えば、SandersらPediatr.Res.37:812-819(1995);BartoloniらVaccine 13:463-470(1995);PirofskiらInfect.Immun.63:2906-2911(1995);国際出願第93/21948号)、下記に示す。1: ヒト腫瘍と関連がある糖鎖:1.1 大多数の腫瘍:Gaβ4GlcβCer ラクトシルセラミド1.2 メラノーマ:NeuAc α8NeuAcα3Galβ4GlcβCer GD39-O-Ac-GD3NeuAc α8NeuAcα3(GalNAcβ4)Gal β4GlcβCer GD29-O-Ac-GD2これらのラクトン化形態1.3 結腸がん及び他種のがん:Ga1NA α-Ser(Thr)(糖タンパク質) Tn抗原NeuAc α6Ga1NAc α-Ser(Thr) シアリルTn抗原Ga1 β3G1cNAc 1型鎖NeuAc α3Galβ3(Fuc α4)G1cNAcβ シアリルルイスaNeuAc α3Ga1β3(Fuc α4)[NeuAcα6]G1cNAcβ ジシアリルルイスaGa1 β3(Fuc α4)G1cNAcβGa1gβ3(Fuc α4)G1cNAβ 2量体ルイスaNeuAc α3Ga1β4(Fuc α3)G1cNAcβ シアリルルイスxGa1 β4(Fuc α3)G1cNAcβ3Galβ4(Fuc α3)G1cNAcβ 2量体ルイスxGa1 β4(Fuc α3)G1cNAcβ3Galβ4(Fuc α3)G1cNAcβ3Ga1 β4(Fuc α3)G1cNAcβ 3量体ルイスxNeuAc α3-2量体ルイスxNeuAc α3-3量体ルイスxNeuAc α6-オリゴマールイスxシアル酸の場合にはこれらのラクトン化形態1.4 肺がん及び他種のがん:Gal β4G1cNAc β3Galc β4G1cNAc β i抗原(rep.ラクトサミン)Gal β3(Fuc α4)G1cNAcβGal β4(Fuc αt3)GIcNAco ルイスa-ルイスxFuc αt2Gal β3GalNAc β4(NeuAc α3)Gal β4GlcβCer Fuc-GM1Fuc-GM1のラクトン化形態1.5 バーキットリンパ腫:Gal α4Galβ4GlcβCer Gb31.6 乳がん:Fuc α2Galβ3Ga1NAc β3Ga1α4Galβ4GlcβCer Fuc-グロボペンタTn抗原シアリルTn抗原1.7 テラトカルシノーマ:NeuAc α3Galβ3Ga1NAc β3Ga1α4Galβ4GlcβCer シアリル−グロボペンタ上記のラクトン化形態2: 実験腫瘍と関連がある糖鎖:2.1 メラノーマ(ハムスター):NeuAc α3Galβ4G1cβCer GM3GD39-O-Ac-GD3GD2これらのラクトン化形態2.2 メラノーママウスGM3ラクトン化GM33: 感染物質と関連がある糖鎖:カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)由来のマンナンマイコバクテリウム・ボビス(Mycobacterium bovis)株BCG由来の多糖単離物リーシュマニア・メジャー(Leishmania major)由来のリポホスホグリカンサルモネラ・ティフィリウム(Salmonella typhimurium)由来の抗原多糖4: HIVと関連のある糖鎖:Fuc α2Galβ4(Fuc α3)G1cNAcβ ルイスyGa1NAcα3(Fuc α2)Gal β3G1cNAcβ 血液型A,NeuAc α6Ga1NAc α-Ser(Thr) シリアルTn抗原Ga1NAcα-Ser(Thr) Tn抗原具体的なウイルス抗原としては、HIV(例えば、gp120)由来のものが挙げられる。具体的な真菌抗原としては、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、クリプトコックス・ネオフォルマンス(Cryptococcus neoformans)、コクシディオイデス種(Coccidoides spp.)、ヒストプラスマ種(Histoplasma spp.)及びアスペルギルス種(Aspergillus spp.)に由来するものが挙げられる。寄生虫抗原としては、プラスモジウム種(Plasmodium spp.)、トリパノソーマ種(Trypanosoma spp.)、シストソーマ種(Schistosoma spp.)、リーシュマニア種(Leishmania spp.)等に由来するものが挙げられる。具体的な糖鎖エピトープとしては、下記のものが挙げられるがこれらに限定されない。Gal α1,4Galβ-(細菌ワクチンとして);GalNAc α-(がんワクチンとして);Manβ1,2(Man β1,2)nMan β-(真菌ワクチン、例えば、カンジダ・アルビカンスに対して有効な真菌ワクチンとして)、ここで、n=0→∞;Ga1NAcβ1,4(NeuAc α2,3)Gal βl,4G1Glcβ-O-セラミド(がんワクチンとして);Ga1α1,2(Tyv α1,3)Man α1,4Rhaα1,3Galα1,2(Tyα1,3)Man α1,4Rha-及びGal α1,2(Abe α1,3)Man α1,4Rhaα1,3Galα1,2(Abe α1,3)Man α1,4Rhaα1,3Ga1α1,2(Abe α1,3)Man α1,4Rha-(共に例えば、サルモネラ種に対して有効である)。本発明に用いられる糖鎖は、当業者に既知の標準法に従って調製される。典型的には、オリゴ糖がグリコシド結合の形成を介して適切な単量体糖質から調製されるか又は天然源から単離し適切なように修飾される。例えば、β−グリコシル結合は、1-ハロ置換基をもつある糖質と少なくとも1個の非保護ヒドロキシル基を有する適切に保護された2番目の糖質間に形成される。かかるトランスフォーメーションは、典型的には、炭酸銀(Ag2CO3)又は銀トリフラートの存在下に行われる。また、グリコシド結合は国際出願第96/32492号に記載された方法を用いて酵素手段により形成されることが好ましい。概要としては、個々のグリコシド結合の構築にシアリルトランスフェラーゼのようなグルコシルトランスフェラーゼが用いられる。多くのシアリルトランスフェラーゼが当業者に既知である。この酵素は、2つのサッカリド間のα結合の形成によりシアル酸(NeuAc)をGalに導入する。サッカリド間の結合(連鎖)はNeuAcの2位とGalの3位間にある。シアリルトランスフェラーゼとよく言われる具体的なα(2,3)シアリルトランスフェラーゼ(EC 2.4.99.6)はシアル酸をGal β1-3G1c二糖又はグリコシドの非還元末端Galに導入する。Van den Eijndenら,J.Biol.Chem.,256:3159(1981),Weinsteinら,J.Biol.Chem.,257:13845(1982),Wenら,J.Biol.Chem.,267:21011(1992)を参照されたい。他の具体的なα-2,3-シアリルトランスフェラーゼ(EC 2.4.99.4)は、シアル酸を二糖又はグリコシドの非還元末端Galに導入する。Rearickら,J.Biol.Chem.,254:4444(1979),Gillespieら,J.Biol.Chem.,267:21004(1992)を参照されたい。具体的な酵素としては、更に、Gal-β -1,4-GlcNAcα-2,6シアリルトランスフェラーゼ(KurosawaらEur.J.Biochem.219:375-381(1994)を参照)が挙げられる。他のグリコシルトランスフェラーゼがシアリルトランスフェラーゼについて詳述したように類似のトランスフェラーゼサイクルに置き換えられることは当業者に理解されるであろう。例えば、グリコシルトランスフェラーゼは、例えば、グルコシルトランスフェラーゼ、例えば、Alg8(Stagljovら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:5977(1994))又はAlg5(HeesenらEur.J.Biochem.224:71(1994))とすることができる。適切なN-アセチルガラクトサミニルトランスフェラーゼとしては、α(1,3)N-アセチルガラクトサミニルトランスフェラーゼ、β(1,4)N-アセチルガラクトサミニルトランスフェラーゼ(NagataらJ.Biol.Chem.267:12082-12089(1992),SmithらJ.Biol Chem.269:15162(1994))及びボリペプチドN-アセチルガラクトサミニルトランスフェラーゼ(HomaらJ.Biol Chem.268:12609(1993))が挙げられる。適切なN-アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼとしては、GnTI(2.4.1.101,Hullら,BBRC 176:608(1991))、GnTII及びGnTIII(Iharaら,J.Biolchem.113:692(1993))、GnTV(Shoreibanら,J.Biol.Chem.268:15381(1993))、O-結合N-アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼ(Bierhuizenら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:9326(1992))、及びヒアルロナンシンターゼが挙げられる。適切なマンノシルトランスフェラーゼとしては、α(1,2)マンノシルトランスフェラーゼ、α(1,3)マンノシルトランスフェラーゼ、β(1,4)マンノシルトランスフェラーゼ、Dol-P-Manシンターゼ、OCh1、及びPmtlが挙げられる。他の適切なグリコシルトランスフェラーゼサイクルは、Ichikawaら,J.Am.Chem.Soc.114:9283(1992),Wongら,J.Org.Chem.57:4343(1992),DeLucaら,J.Am.Chem.Soc.117:5869-5870(1995),Ichikawaら,Carbohydrates and Carbohydrate Polymers,Yaltami,ed..(ATL Press,1993)に記載されている。上記のグリコシルトランスフェラーゼサイクルについては、プロセスで用いられる種々の反応成分の濃度又は量は温度やpHのような反応条件、及びグリコシル化すべき受容体サッカリドの選択や量を含む多くの要因に依存する。グリコシル化過程が触媒量の酵素の存在下にヌクレオチドの活性化、活性化供与糖質及び生成ピロリン酸塩の捕捉の再生を可能にすることから、上記化学量論基質の濃度又は量によって方法が制限される。本発明の方法に従って用いられる反応成分の濃度の上限は、かかる反応成分の溶解度によって求められる。適切なエピトープを含むCTLペプチドを合成し、次に、例えば、免疫蛍光染色及び流動微小蛍光測定による例えば、精製クラスI分子及びヨウ素化ペプチド及び/又は細胞発現エンプティクラスI分子を用いる分析、ペプチド依存性クラスIアセンブリ分析においてMHCクラスI分子に結合する能力、及びペプチド競合によるCTL認識の阻害能力を試験する。クラスI分子に結合するペプチドについて、感染した又は、免疫した個体に由来するCTLの標的として働く能力、及び潜在的治療剤としてウイルスで感染した標的細胞又は腫瘍細胞と反応することが可能なCTL集団を生じることができる生体外又は生体内CTL一次免疫応答を誘導する能力を更に評価する。1種以上のCTL及び/又は抗体誘導ペプチドは、1種以上のpan DRペプチドと共にペプチド間の非共有結合を含む又は含まない混合物として投与される。例えば、1種以上のペプチドがリピド化される。また、PADRE-抗原決定基を形成するためにペプチドが共有結合される。抗原決定基とPADREペプチドとの会合を促進するために、ペプチドの末端に追加のアミノ酸が付加される。上記の理由のために担体、支持体又は大きなペプチドにカップリングする残基、又はペプチド又はオリゴペプチド等の物理的又は化学的性質を修飾する残基が追加される。チロシン、システイン、リシン、グルタミン酸又はアスパラギン酸等のアミノ酸がペプチド又はオリゴペプチドのC末端又はM末端に導入される。更に、ペプチド又はオリゴペプチド配列は、末端-NH2アシル化、例えば、アルカノイル(C1-C20)又はチオグリコリルアセチル化、末端カルボキシアミド化、例えば、アンモニアメチルアミン等で修飾されていることにより天然配列と異なる。ある場合には、これらの修飾は支持体又は他の分子に結合する部位を与えることができる。PADREペプチドのように、抗原決定基は非修飾ペプチドのほとんど全ての生物活性を少なくとも保持しつつ他の所望の寄与、例えば、薬理的性質の改善を与えるように修飾されることが理解される。例えば、本明細書に開示される配列に由来するペプチドのアミノ末端又はカルボキシ末端、又は双方のアミノ酸の付加又は欠損によりペプチド中のアミノ酸配列を伸長、短縮又は置換することによりペプチドが修飾される。通常、CTL又は抗体刺激エピトープをかなりミミックするものである配列部分は、追加のアミノ酸が結合又はカップリングの容易さ等の物理的性質又は化学的性質を修飾するために両末端に付加される場合を除いて標的抗原タンパク質の配列と約20%を超えるまでは異ならない。ペプチド配列の領域がウイルスサブタイプ間の多型であることがわかる状態においては、より効果的にミミックするように1個以上の具体的なアミノ酸を変え、異なるウイルス株又はサブタイプの植物毒素Tリンパ球エピトープと異なることが望ましい。CTL又は抗体エピトープ、例えば、HBV特異ペプチドを含むものとして本発明で同定されるペプチド配列領域内には生物活性、即ち、ウイルス感染した細胞又はウイルス抗原を発現する細胞に対してクラスI制限細胞毒性Tリンパ球応答を刺激する能力をペプチドに保持させる残基(又は実質的に機能上等価な残基)がある。これらの残基は、単一アミノ酸置換、欠失又は挿入によって同定される。更に、残基の側鎖によって行われる寄与も指定されたアミノ酸(例えば、Ala)を用いた系統的スキャンによりプローブされる。多置換を許容するペプチドは、一般的には比較的中性の小分子、例えば、Ala、Gly、Pro又は類似の残基として置換を取り込んでいる。置換、付加又は消去される残基の数と種類は、必須エピトープ点間に必要な間隔及び探究されるある種のコンホメーション及び機能上の寄与(例えば、疎水性か親水性か)による。所望される場合には、CTLに提示するMHC分子に対するペプチド類縁体の高結合親和性もかかる変化によって達成される。一般的には、エピトープ及び/又はコンホメーション的に重要な残基間のスペーサー置換、付加又は欠損は、結合を破壊する立体障害や電荷障害を避けるために選ばれるアミノ酸又は他の部分を用いなければならない。所望の生物活性を保持しつつ置換を許容するペプチドは、上記PADREペプチドについて記載したようにD-アミノ酸含有ペプチドとして合成される。本発明のペプチドは、ポリマー(多量体)を形成するために結合を介して組み合わされるか又は混合物として結合を含まずに組成物中に処方される。ペプチドが同一のペプチドに結合され、よってホモポリマーを形成する場合、複数の反復エピトープ単位が存在する。例えば、多重抗原ペプチド(MAP)技術はCTL及び/又は抗体ペプチドとPADREエピトープを含むポリマーを構築するために用いられる。ペプチドが、例えば、異なるウイルスサブタイプ、サブタイプ中の異なるエピトープ、異なるHLA拘束特異性、又はTヘルパーエピトープを含むペプチドを示す反応混液と異なる場合、反復単位を含むヘテロポリマーが得られる。共有結合のほかに、分子間及び構造内結合を形成することが可能な非共有結合も企図される。B. 複合体の調製PADREペプチドを抗原決定基に結合する様々な手段が可能である。末端を介して又はリシンのε−アミノ基を介してのイオン相互作用が可能である。残基の側鎖基と抗原決定基間の水素結合も可能である。更に、PADREペプチドと抗原決定基間のコンホメーション相互作用は安定な結合を生じることができる。上記のように、抗原決定基は本発明の複合体を調製するためにPADREペプチドに共有結合される。特に好ましい抗原決定基/PADREペプチド複合体は、スペーサー分子又はリンカーによって結合する。また、抗原決定基はリンカーを含まずにPADREペプチドに結合する。スペーサー又はリンカーは、典型的には、生理的条件下でほとんど変化せず直鎖又は分枝鎖の側鎖をもってもよい脂肪族炭素鎖、アミノ酸又はアミノ酸類似体のような中性分子を含む。種々の生体分子を結合する多くの組成物及び方法は、当業者に既知である。PADREペプチドが、例えば、糖鎖エピトープに共有結合される具体的な方法は本発明にとって重要でない。PADREペプチドを糖鎖抗原に結合するのに適切な方法は、例えば、国際出願第93/21948に開示されている。多くのリンカーが周知であり、市販されているか又は科学文献に記載されている。本発明に用いられる結合分子は、分子の2つ部分をそれに曝露された分子と独立して及び自由に相互作用させるのに十分な長さを有することが好ましい。糖鎖エピトープの場合、結合分子は典型的には1-50原子長である。典型的には、結合分子はアリールアセチレン、2〜14モノマー単位を含むエチレングリコールオリゴマー、ジアミン、二酸、アミノ酸、又はその組合わせである。他の適切なリンカーとしては、異なる糖鎖部分がアミノ酸側鎖を介して結合するセラミド及びアミノ酸残基のような脂質分子が含まれる。用いられる具体的な結合分子は、その化学的/物理的性質に基づいて選ばれる。結合分子は、各末端に適切な官能基をもち、一方は糖鎖部分の反応性部位に結合するのに適切であり、もう一方はアミノ酸/ペプチド部分に結合するのに適切である。例えば、糖鎖部分に結合するのに適切な基はカルボン酸、エステル、イソシアネート、アルキルハライド、アシルハライド及びイソチオシアネートである。同様の基はアミノ酸部分に結合するのに有効である。官能基の適切な選択は、アミノ酸又はペプチドの反応性部分の種類に依存する。あるグループの実施態様においては、アルキル又はアルキレン基が結合基として有効であり、炭素原子1〜20個を有し、炭素原子3〜6個を含むものが特に好ましい。例えば、ポリエチレングリコール又は関連構造を含むリンカーが用いられる。用いられる“ポリエチレングリコール”という用語は、エチレングリコールの反復単位をもつ分子、例えば、ヘキサエチレングリコール(HO-(CH2CH2O)5-CH2CH2OH)を意味する。用いられる“ポリエチレングリコール”という用語が結合基を意味する場合、他のポリエーテル又はポリオールも同様に用いられることが当業者に理解される(即ち、ポリプロピレングリコール又はエチレンとプロピレングリコールの混合物)。他のグループの実施態様においては、アルキル又はアルキレン結合基は過フッ化され、生物学的分解に対する感受性を低くする。米国特許第5,055,562号を参照。特に好ましい結合基は、アミノカプロン酸、4-ヒドロキシ酪酸、4-メルカプト酪酸、3-アミノ-1-プロパノール、エタノールアミン、ペルフルオロエタノールアミン及びペルフルオロヒドロキシ酪酸が含まれる。あるグループの実施態様においては、2つの部分はポリエチレングリコール部分を介して結合される。PADREペプチドと他のペプチド(例えば、PADREペプチドとCTL誘導ペプチド)間のリンカーの場合、スペーサーは、典型的には、Ala、Gly又は非極性アミノ酸の他の中性スペーサー又は極性の中性アミノ酸より選ばれる。本明細書の好適実施態様においては、中性スペーサーはAlaである。任意に存在していてもよいスペーサーは同じ残基からなることを必要とせず、ヘテロオリゴマー又はホモオリゴマーとすることができる。好ましい具体的なスペーサーは、Alaのホモオリゴマーである。スペーサーが存在する場合には、通常は少なくとも1又は2残基、更に通常は3〜6残基とする。他の実施態様においては、PADREペプチドはCTL又は抗体誘導ペプチドと複合し、好ましくは、PADREペプチドはアミノ末端に位置する。ペプチドは、Ala-Ala-Ala等の中性リンカーによって結合され、好ましくは、ペプチド複合体のアミノ末端に、典型的にはSer-Ser結合等を介して結合するLys残基((PAM)2Lys)のα−アミノ基やε−アミノ基に結合するパルミチン酸等の脂質残基を含む。CTL又は抗体誘導ペプチドは、CTLペプチドのアミノ末端か又はカルボキシ末端に直接か又はスペーサーを介してPADREペプチドに結合される。CTL又は抗体誘導ペプチドか又はPADREペプチドのアミノ末端はアシル化される。更に、CTLペプチド/PADRE複合体は、下記のGly、Gly-Gly、Ser、Ser-Serのような1以上の結合残基を介してある種のアルカノイル(C1-C20)脂質に結合される。他の有効な脂質部分としては、コレステロール、脂肪酸等が含まれる。いくつかの実施態様においては、本発明の医薬組成物中にCTLを開始するのに援助する成分を少なくとも1種含むことが望ましい。ウイルス抗原に対して生体内で初回抗原刺激CTLを援助することが可能な物質として脂質が同定された。例えば、コレステロールのようなステロイド、パルミチン酸残基のような脂肪酸は、スルフヒドリル基、Lys残基のα−アミノ基やε−アミノ基に結合され、次に、Gly、Gly-Gly-、Ser、Ser-Ser等の1以上の結合残基を介してPADREペプチドのような免疫原ペプチドに結合される。また、脂肪酸の代わりに長鎖アルキル基がエーテル結合を介して最後のアミノ酸(例えば、システイン残基)に結合される。含脂質ペプチドはリポソームに取り込まれるか又はアジュバント、例えば、不完全フロイントアジュバント中に乳化されたいずれもミセル形で直接注入される。好適実施態様においては、特に有効な免疫原は、免疫原ペプチドのアミノ末端に結合、例えば、Ser-Serを介して結合されるLysのα−アミノ基やε−アミノ基に結合したパルミチン酸を含む。CTL応答の脂質初回抗原刺激の他の例として、適切なペプチドに共有結合した場合にウイルス特異CTLを開始するためにトリパルミトイル−S−グリセリルシステインリルセリル−セリン−(P3CSS)のようなE.コリ(E.coli)リポタンパク質が用いられる。Deresら,Nature 342:561-564(1989)を参照されたい。本発明のペプチドは、例えば、P3CSSに結合され、リポペプチドが標的抗原に対するCTL応答を特に開始するために個体に投与される。更に、中和抗体の導入が適切なエピトープを示すペプチドに結合したP3CSSで開始されるので、感染に対する体液性応答と細胞性応答の双方をより効果的に惹起するために2つの組成物が組合わされる。糖鎖エピトープと複合したPADREペプチドの場合、脂質部分は糖鎖の反対の末端に結合される(例えば、糖鎖がC末端に結合され、脂質がN末端に結合される)。また、脂質部分と糖鎖部分の双方がペプチドの同じ末端に結合される。例えば、2つの部分がN末端の同じリンカーに結合される。C. 医薬組成物本発明の化合物、及びその医薬組成物及びワクチン組成物は、予防及び/又は治療のために哺乳動物、特にヒトに投与される。本発明は、免疫原に対する免疫応答を惹起及び/又は増強するために用いられる。例えば、ウイルス感染症やがんを治療及び/又は予防するためにCTL/PADRE混合物が用いられる。また、抗体応答を誘導する免疫原(例えば、糖鎖)が用いられる。本発明を用いて治療される疾患の例としては、細菌感染症、ウイルス感染症、真菌感染症、寄生虫感染症及びがんが含まれる。治療用途においては、本発明は、既にがんに罹っているか又は問題の微生物に感染した個体に投与される。潜伏期又は急性期の疾患が本発明で別個に又は適切な場合には他の治療と組合わせて治療される。治療用途においては、本発明の組成物は、微生物又は腫瘍抗原に対して効果的にCTL応答又は体液性応答を惹起するのに十分な量又は症状及び/又は合併症を治療又は少なくとも部分的に阻止するのに十分な量で患者に投与される。これを達成するのに十分な量は、“治療的に有効な量”として定義される。この使用に効果的な量は、部分的にはペプチド組成、投与方法、治療される疾患のステージや重篤度、患者の体重や全身状態、及び処方する医師の判断に依存する。本発明の組成物の治療的に有効な量は、一般的には、初回免疫、即ち、治療又は予防投与として70kgの患者に対して約1.0〜約10,000μgのペプチド、通常は約100〜約8000μg、好ましくは約200〜約6000μgの範囲である。これらの投与量に続いて個々の免疫応答を測定することにより患者の応答や症状によって数週間から数カ月にわたる追加抗原刺激用法に従って約1.0〜約1000μgのペプチドの用量が追加される。本発明の組成物は、一般的には重篤な病態、即ち、生命が切迫した状態又は潜在的に切迫した状態に用いられることは留意されなければならない。そのような場合には、外からの物質をできるだけ少なくすること及び相対的に非毒性の複合体を考慮して治療する医師がかなり過剰量の組成物を投与することが可能であり望ましいと思われる。更に、本発明は、細菌感染症、ウイルス感染症、真菌感染症、寄生虫感染症及びがんを予防的に予防及び/又は改善するために用いられる。有効な量は上記の通りである。更に、ワクチン技術における当業者は予防治療をどのように適切なように調整又は修正するかを、例えば、用量や投与法を追加又は調整することによることを知っている。治療上の投与は、疾患の最初の徴候又は腫瘍の検査又は外科的切除又は急性感染症の場合の診断直後から開始することができる。これに続いて症状がかなり軽減されるまで及びその後の期間追加投与される。慢性感染症においては、高投与量の初回に続いて追加投与が必要とされる。感染した個体を本発明の組成物により治療すると、急性感染の個体の消散を早めることができる。慢性感染症を発症するのに感受性のある(又は罹りやすい)個体については、急性感染症から慢性感染症への進展を予防する方法において本組成物が特に有効である。感受性のある個体が、例えば、本明細書に記載されるように感染前に又は感染中に同定される場合、本組成物の標的にすることができ、大きな集団への投与の要求を最少にする。本発明は、慢性感染症を治療するために及び免疫系を刺激して潜伏感染症をもつ個体においてウイルス感染細胞を除去するために用いられる。免疫応答を効果的に惹起及び/又は増強するのに十分な処方及び投与方法で本発明の組成物の量を与えることが重要である。従って、慢性感染症について代表的な投与量は1回の投与量あたり70kgの患者に対して約1.0〜約5000μg、好ましくは約5〜1000μgの範囲である。免疫投与量に続いて決められた間隔、例えば、1〜4週間に追加投与することが、個体を効果的に免疫するためにおそらく長期間必要とされる。慢性感染症の場合、ウイルス感染症が消散又はかなり軽減されたことを少なくとも臨床症状又は検査室試験が示すまで及びその後の期間投与し続けなければならない。治療的又は予防的治療用医薬組成物は、非経口、外用、経口又は局所投与を企図する。典型的には、医薬組成物は非経口的に、例えば、静脈内、皮下、皮内又は筋肉内投与される。投与の容易さから、本発明のワクチン組成物は経口投与が特に適切である。従って、本発明は、許容しうる担体、好ましくは水性担体に溶解又は結合したペプチド又は複合体の溶液を含む非経口投与用組成物を提供する。種々の水性担体、例えば、水、緩衝水、0.9%食塩水、0.3%グリシン、ヒアルロン酸等が用いられる。これらの組成物は、慣用の周知の滅菌法により滅菌されるか又は滅菌ろ過される。得られた水性溶液は、そのまま使用するためにパッケージされるか又は凍結乾燥され、凍結乾燥した製剤は投与前に滅菌溶液と混合される。本組成物は、緩衝剤、張性調整剤、湿潤剤等の生理条件に近くするために必要とされる薬学的に許容しうる補助物質、例えば、酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、ソルビタンモノラウレート、トリエタノールアミンオレエート等を含むことができる。医薬製剤中の本発明の組成物の濃度は、約0.1重量%未満から、通常は約2重量%又は少なくとも約2重量%で20〜50重量%程度又はそれ以上に広く変動させることができ、選択した具体的な投与方法に従って主に液体、粘稠体等が選ばれる。本発明は、リンパ系組織のような具体的な組織を複合体の標的にするか又は感染した細胞を選択的に標的にするために働きかつペプチド組成物の半減期を高めるリポソームを介して投与される。リポソームは、エマルジョン、発泡体、ミセル、不溶性単層、液晶、リン脂質分散液、ラメラ層等が含まれる。これらの製剤においては、送達すべき組成物がリポソームの一部として単独で又は、例えば、リンパ系細胞の中で優勢な受容体に結合する分子と共に組み込まれる。その分子としては、CD45抗原に結合するモノクローナル抗体が含まれ、他の治療又は免疫原組成物とも含まれる。従って、本発明の所望の組成物を充填したリポソームは、該リポソームが選ばれた治療/免疫原ペプチド組成物を送達する場合にはリンパ系細胞の部位に特定される。本発明に使用するためのリポソームは、標準小胞形成脂質から形成され、通常は中性や負に荷電したリン脂質又はコレステロールのようなステロールが含まれる。脂質は、一般にリポソームサイズ、酸の不安定性及び血流中のリポソームの安定性に基づいて選択される。リポソームを調製する様々な方法が用いられ、例えば、Szokaら,Ann.Rev.Biophys.Bioeng.9:467(1980)、米国特許第4,235,871号、同第4,501,728号、同第4,837,028号、同第5,019,369号に記載されており、これらの文献及び明細書の記載は本願明細書に含まれるものとする。免疫細胞を標的にするために、リポソームに組み込まれるべきリガンドとしては所望の免疫系細胞の細胞表面決定基に特異的な抗体又はその断片が含まれる。本発明の組成物を含むリポソーム懸濁液は、静脈内、局所、外用等に、特に投与方法、送達される組成物、及び治療される疾患のステージによって異なる投与量で投与される。また、1種以上のPADREペプチドと1種以上のCTLエピトープ又は抗体誘導エピトープを含むポリペプチドをコードしているDNA又はRNAが、核酸がコードしているポリペプチドに対する免疫応答を得るために患者に導入される。Wolffら,Science 247:1465-1468(1990)には核酸がコードしているポリペプチドの発現が記載されている。固体組成物については、慣用の非毒性固体担体が用いられる。例えば、医薬グレードのマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、タルク、セルロース、グルコース、スクロース、炭酸マグネシウム等が含まれる。経口投与については、上記で挙げた担体のような通常用いられる賦形剤と通常10〜95%の有効成分、即ち、本発明の1種以上の複合体を、好ましくは25〜75%の濃度で混合することにより薬学的に許容しうる非毒性組成物が形成される。エアゾル投与については、本発明の組成物は界面活性剤及び噴射剤と共に微細な形で供給されることが好ましい。組成物の割合は、典型的には0.01-20重量%、好ましくは1-10%である。界面活性剤が非毒性であり、好ましくは噴射剤に可溶性であることは当然のことである。代表的な薬剤は、カプロン酸、オクタノン酸、ラウリル酸、パルミチン酸、ステアリン酸、リノール酸、リノレン酸、オレオステアリン酸、オレイン酸と脂肪族多価アルコール又はその環状無水物とのエステル又は部分エステルである。混合又は天然グリセリドのような混合エステルも用いられる。界面活性剤は、組成物の0.1-20重量%、好ましくは0.25-5重量%を構成することができる。組成物の残量は、普通は噴射剤である。所望される場合には鼻内送達用レシチンのような担体も含まれる。他の態様においては、本発明は、有効成分として本明細書に記載される本発明の組成物の免疫原的に有効な量の組成物を含むワクチンに関する。本組成物は、担体に結合して又は活性ペプチド単位のホモポリマー又はヘテロポリマーとしてヒトを含むホストに導入される。かかるポリマーは、免疫学的反応の増強に有利であり、ポリマーを調製するために異なるペプチドが用いられる場合には異なる抗原決定基と反応するキャリヤ及び/又はCTLを誘導する能力に更に有利である。キャリヤは当該技術において周知であり、チログロブリン、ウシ血清アルブミン、テタヌストキシン、ポリ(リシン:グルタミン酸)のようなポリアミノ酸、B型肝炎ウイルスコアタンパク質、B型肝炎ウイルス組換えワクチン等が挙げられる。ワクチンは、水、リン酸塩緩衝食塩水又は食塩水のような生理的に許容しうる(受容できる)希釈剤を含むこともでき、更に典型的にはアジュバントも含まれる。不完全フロイントアジュバント、リン酸アルミニウム、水酸化アルミニウム又はミョウバンのようなアジュバントが当該技術において周知の物質である。更に、上述したように本発明の組成物をP3CSSのような脂質と複合することにより免疫応答が開始される。注射、エアゾル、経口、経皮又は他の経路により本明細書に記載される組成物で免疫する際に、体液性及び/又は細胞性の免疫応答を高めることによりホストの免疫系が応答する。本発明のワクチン組成物は、抗原決定基に対する免疫応答を惹起及び/又は増強するために疾患に感受性のある患者又は疾患の危険のある患者に投与される。かかる量は、治療又は予防使用いずれも“免疫原的に有効な量”であることが定義される。この使用においても正確な量は、患者の全身状態や体重、投与方法、製剤の種類等に依存するが、一般的には70kgの患者に対して約1.0〜約5000μg、通常は体重70kgに対して約10〜約500μgの範囲である。ある場合には、本発明の組成物を問題の感染症及びがんに対する抗体応答の中和を誘導するワクチンと組合わせることが望ましい。本発明の組成物は、モノクローナル抗体を作製するために用いられる。かかる抗体は、潜在的診断又は治療剤として有効である。本発明の組成物は、診断試薬としても使用することができる。例えば、本発明の組成物は抗原決定基を用いる治療法に対して具体的な個体の感受性を求めるために用いられるので、現在の治療プロトコールを変更したり罹患した個体の予後を求めるのにも有効である。更に、本発明の組成物は、個体が慢性感染症を発症するかなりの危険があることを予想するために用いられる。下記の実施例は、具体例を示すものであり限定するものではない。D. 実施例実施例1:実験手順a. 細胞系及びMHCの精製精製したヒト及びマウスクラスII分子源として種々の細胞系を用いた。ヒトHLAクラスII分子源として次のエプスタイン・バールウイルス(EBV)トランスフォームホモ接合性細胞系を用いた(Valliら,J.Clin.Invest.91:616-628,1993):LG2[DB1 * 0101(DR1)1;3107[DRB1 * 1501(DR2w2b)];MAT[DRB1 * 0301(DR3)DBR3 * 0101(DR52a)];PREISS[DRB1 * 0401(DR4w4)];BIN40[DRB1 * 0404(DR4w14)];SWEIG[DRB1 * 11011(DR5)];PITOUT[DRB1 * 0701(DR7)];PF[DQA1 * 0301/DQB* 0310(DQ3.1)。ある場合には、トランスフェクトした線維芽細胞を用いた:L416.3[DRB5* 0101(DR2w2a)];TR81.19[DRB3 * 0101(DR52a)];L257.[DRB4* 0101(Drw53)]。クラスII分子については、次の細胞系を用いた:A20(IAd,IEd)(Setteら,Science 258:1801-1804,(1992));CH12(IAk,IEk (Setteら,1992);LS102.9(IAs)(Wallら,Int.Imm.4:773-777,(1992));DB27.4(IAb)(Wallら,J.Immuno.152:4526-4536(1994))。b. MHC分子の精製MHC分子を実質的に記載されているように精製した(Gorgaら,J.Biol.Chem.262:16087-16094(1987))。概要としては、ヒトクラスII分子をLB3.1(全てDR,Valliら,J.Clin.Invest.91:616-628(1993))又はIVD 12(DQ3.1,Sidneyら,J.Immunol.152:4516-4525(1994))モノクローナル抗体を用いてアフィニティークロマトグラフィーで精製した。マウスクラスII分子をMKD6(IAd,Setteら,Science 258:1801-1804(1992));10.3.6(IAk,上記Setteら);14.44(IEk & IEk,上記Setteら);Y3JP(IAs,Wallら,Int.Immunol.4:773-777(1992))モノクローナル抗体を用いて精製した。c. ペプチド合成標準Fmocカップリングサイクル(ソフトウェアバージョン1.40)を用いてアプライドバイオシステムズ(カリフォルニア州フォスターシティ)430AペプチドシンセサイザによりN-α-Fmoc-保護アミノ酸を連続カップリングすることによりペプチドを合成した。アミノ酸、試薬及び樹脂は全てアプライドバイオシステムズ又はノババイオケミ(カリフォルニア州サンディエゴ)から入手した。溶媒をバーディック&ジャクソンから入手した。適切に置換されたFmoc−アミノ酸−ワング樹脂から固相合成を出発した。出発樹脂の充填は0.5-0.7ミリモル/gポリスチレンとし、各合成に0.1又は0.25meqを用いた。典型的な反応サイクルを次の通り進めた。ジメチルホルムアミド(DMF)中25%ピペリジンを用いて5分間N-末端Fmoc基を除去し、次に、別のDMF中25%で15分間処理した。樹脂をDMFで5回洗浄した。予め生成したN-メチルピロリドン(NMP)溶液中適切なFmoc-アミノ酸の1-ヒドロキシベンゾトリアゾールエステルの4〜10倍過剰量を樹脂に加え、その混合液を30-90分間反応させた。樹脂を次の伸長サイクルの調製においてDMFで洗浄した。完全に保護した樹脂結合ペプチドをピペリジンサイクルに供し、末端Fmoc基を除去した。生成物をジクロロメタンで洗浄し、乾燥した。次に、樹脂を適切な捕捉剤(例えば、水中5%(v/v))の存在下にトリフルオロ酢酸で20℃で60分間処理した。過剰のトリフルオロ酢酸を蒸発した後、粗ペプチドをジエチルエーテルで洗浄し、水に溶解し、凍結乾燥した。ペプチドを、バイダック、孔サイズ300A、C-18分取用カラムによる0.8%TFA修飾剤を含むH2O/CH3CN勾配を用いる逆層HPLCにより>95%均質性まで精製した。合成ペプチドの純度を分析用逆相カラムで分析し、組成をアミノ酸分析及び/又はシークエンシングで確認した。合成手順に用いたシクロヘキシルアラニンはノババイオケミ(カリフォルニア州サンディエゴ)から購入した。樹脂に結合したペプチド上でパルミチン酸をカップリングすることによりパルミチル化ペプチドを作製した。対称的無水物法、即ち、ジクロロメタン中2倍過剰量のパルミチン酸と1倍のジイソプロピルカルボジイミドで1時間カップリングを行った。d. MHCペプチド結合分析精製したマウス又はヒトクラスII分子(5〜500nM)をプロテアーゼインヒビター混合物の存在下に5%DMSOを含むPBS中で5nM125I-ペプチドと48時間インキュベートした。精製したペプチドをクロラミン-T法を用いてヨウ化し(Buusら,Science 235:1353-1358(1987))。プロテアーゼインヒビターの最終濃度は、1nM PMSF、1.3mM 1.10フェナントロロン、73μMペプスタチンA、8mM EDTA,6mM N-エチルマレイミド及び200μM Nα−p−トシル−L−リシンクロロメチルケトンとした。インキュベーション混合液中の最終界面活性剤濃度は2.6%ジギトニン(IAd & IAk)又は0.05% NP-40(全て他のクラスII分子)とした。クラスII−ペプチド複合体をセファデックスG-50又はTSK2000カラムによるゲルろ過で遊離ペプチドから分離し、MHCクラスII分子に結合したペプチドの画分を以前に記載されているように算出した(Setteら,J.Immunol.142:35-40(1989))。予備的実験においては、各DR標品を一定量のヨウ化ペプチドの存在下に力価測定して10〜20%の全放射能を結合するのに必要なクラスII濃度を求めた。次に、このクラスII濃度を用いて全ての以後の阻害分析と直接結合分析を行った。阻害分析においては、阻害ペプチドを典型的には120〜1.2μg/mlの範囲の濃度で試験した。次に、データをプロットし、50%阻害を得る用量を測定した。2〜4回の完全に独立した実験において各ペプチドを試験した。本明細書に用いられる<50nMでの結合は高親和性を構成し、50-500nMでの結合は中間の親和性結合を構成する。e. DR拘束ペプチド提示の阻害MHCの機能を示す抗原を阻止するペプチドの能力を、適切なDRのマイトマイシンC処理EBV細胞とRPMI 1640(Bio Whittaker,メリーランド州ウォーカースビル)中のペプチドインヒビターとを10%ヒト血清(Gemini Bioproducts,Inc.,カリフォルニア州カラバサス)を含む完全培地中でインキュベートすることにより分析した。5×104細胞を含む96ウェルU底プレート(Costar,マサチューセッツ州ケンブリッジ)において150μg/mlの濃度から開始して4種の10倍希釈液の範囲にわたってペプチドインヒビターの力価を日常的に測定した。ペプチドインヒビターと共に最適以下の濃度のHA 307-319ペプチド(DR1,DR4w4,DR5,DR52b)又はHA 307-319,Y309>F(DR4w14)、又はLo1 P1 171-190(DR3)(Sidneyら,J.Immunol.149:2634-2640(1992))を分析ウェルに入れ、ペプチドインヒビターの非存在下に30〜50%の最大増殖応答を得た。この濃度は通常50〜200μg/mlであった。APCとペプチドとを5%CO2インキュベーター内で37℃で2時間インキュベートした後、2×104T細胞を各ウェルに加えた。T細胞クローンは、Cl 1(DR1 & DR52b(Kriegerら,J.Immunol.146:2331-2340(1991)));クローン42.19(DRw14);クローンJK1(DR5);及びライン132-132(DR3)を用いた。T細胞の増殖を3日後に測定した。概要としては、T細胞添加の24時間後に[3H]-チミジン(1μCi/ウェル)(ICN,カリフォルニア州アービン)を18時間の最終インキュベーション間に各ウェルに添加した。次に、細胞をガラス繊維フィルター(LKBWallac細胞ハーベスタ1295-001,LKB,メリーランド州ゲイザースバーグ)に収集し、チミジンの取込み(LKBβプレートカウンター1205)を測定した。50%の増殖応答を阻害するのに要したペプチドインヒビターの各用量について抗原提示の阻害%を算出した。実施例2:“普遍的”ペプチドエピトープのDR結合特異性数種のマウス及びヒトクラスII MHC対立遺伝子の結合モチーフが定義されており、最近、種々のクラスII型について天然に処理されたペプチドのシークエンシングによるモチーフの分析が記載された(Rudenskyら,Nature 353:622-627(1991);Chiczら,Nature 358:764-768(1992);Huntら,Science 256:1817-1820(1992);Rudenskyら,Nature 359:429-431(1992))。特にDR分子の場合、MHC結合グルーブの対応する疎水ポケットを塞ぐ大きな疎水アンカーがペプチド-DR相互作用の最も重要な決定基であることがわかった(Brownら,Nature 364:33-39(1993))。他のいくつかのアンカーは明確であるが顕著でない役割を果たし、対立遺伝子の特異性を求めるのに役立つ。最近、ペプチド分子のC末端の半分のペプチドバックボーンがMHC結合グルーブの壁と直接水素結合でかみ合うことが強調された。MHCのペプチド結合ポケットに並ぶ対立遺伝子特異多型残基はユニークなペプチドセットを結合する能力を各対立遺伝子に与える傾向があるが、多くの場合には一定のペプチドが異なる特異性のMHC分子に結合することがわかった。これは、ヒトDRイソタイプの場合に最もよく証明され、いくつかのDR対立遺伝子が同様のモチーフを認識するらしいことが以前に指摘されており、別個に、何人かの研究者により複数のDR型の関係においてある種のペプチドエピトープの変性した結合及び/認識が報告されており、ある種のペプチドが“普遍的”エピトープを示すという概念が導かれた(Buschら,Int.Immunol.2:443-451(1990);Panina-Bordignonら,Eur.J.Immunol.19:2237-2242(1989);Sinigagliaら,Nature 336:778-780(1988);O'Sullivanら,J.Immunol.147:2663-2669(1991);RoacheらJ.Immunol.144:1849-1856(1991);Hillら,J.Immunol.147:189-197(1991))。1を超えるDR分子(HA 307-319、Tr 830-843、CS 378-398、MT 17-31及びHBVnc 50-69)を結合することが可能な以前に記載されたペプチドのDR結合能力を、実施例I、D項に記載された分析を用いて確かめた。得られたデータ(表II、A項)から、これらのペプチドは実際に試験したDR分子のいくつかを結合することができたが他のものには結合しなかったことが証明される。例えば、HA 307-319は高い(<50nM)又は中間(50-500nM)の親和性でDR1、DR4w4、DR5、DR7及びDR2w2aに結合し、DRw53(2.2μM)には弱く結合するが、残りの4つのDR特異性の結合は検出可能ではなかった。HBVnc 50-69は、高い又は中間の親和性で試験した10個のDR特異性のうち5個(DR1,DR2w2b,DR4w4,DR5及びDR2w2a)を結合した。Tr 830-843及びCS 378-398は高い又は中間の親和性で試験した10種のDR分子のうち4種(各々DR1,DR5,DR7,DR2w2aとDR1,DR4w4,DR5,DR7)に結合し、MT17-31は10種のDR型のうち3種に結合した。結論として、これらの以前に記載された“普遍的”エピトープは数種のDR型に結合したが、結合能、即ち、高い親和性から中間の親和性で一定のペプチドを結合した最大50%の試験したDR特異性において完全な交差反応性はなかった。実施例3: DR複対立遺伝子に対して高い親和性を有するペプチドの開発:760.50及び760.57リウマチ様関節炎関連DR対立遺伝子DR1、DR4w4及びDR4w14に対して高親和性で結合することが可能な多くのペプチドを作成した。これらのペプチドを作製するためにJardetzkyら,EMBO J.9:1797-1803(1990)によって最初に記載されたMHCへの結合に重要な側鎖を含むアンカー残基を13残基のポリアラニンペプチドへ挿入するという戦略を用いた。同時係属原特許第08/121,101号に記載される760.50及び760.57と称する2つのペプチドは広範囲の結合特異性について特に興味深いものであった。10種のDR分子のパネルに対する結合試験した場合、一般的にこれらのペプチドは上記の“普遍的”天然エピトープより高い親和性と広範囲の特異性で結合したことがわかった。10種の分析した対立遺伝子のうち4種(DR2w2b、DR3、DR52a及びDRw53)にのみ低い親和性結合が検出されたので、760.50も760.57も完全な交差反応性がなかった。実施例4: DR複対立遺伝子に対して高親和性を有するペプチドの開発:906-09及び906.11特異性を更に広くするために、906.09及び906.11のペプチドを合成し、760.57ペプチドの4位にV又はIを導入した。表II、C項に示されるように、906.09及び906.11ペプチドは共にDR1、DR2w2a、DR4、DR5及びDR7(0.3〜80nMの範囲で)に対して良好な結合親和性を保持した。更に、分子DR2w2b、DR3、DR52a及びDRw53に対する結合能(760.50と760.57に比べて)をIC50が20〜1200nMの範囲で著しく改善した(10倍〜25倍)。従って、10種のDR特異性のうち9種が高い又は中間の親和性でこれらのペプチドを結合し、1種DR52aが弱く結合した。結論として、これらのデータから全部ではないとしてもほとんどのDR対立遺伝子に対して高親和性で結合するペプチドの開発が示される。異なるDR分子の中で広範囲の交差反応性パターンがあることから、906.09と906.11ペプチドはPADREペプチドであることを我々は決定した。実施例5:Pan DR結合ペプチドはDQ3.1及びマウスクラスII分子を結合するPADREペプチドが他のヒトクラスIIイソタイプ又は非ヒトクラスII分子を結合することができるかを求めるために分析を行った。更に詳しくは、表IIIに示されるDQ3.1及び数種のマウスクラスII分子に対するPADREペプチドの結合能を求めた。基準のために以前に記載されたマウスIIエピトープの結合親和性を表III、A項に示す。これらの以前に記載されたエピトープは全て20〜400nMの高い又は中間の親和性で適切な制限因子を結合した。一般に、760系ペプチド(表III、B項)は80〜700nMの範囲の中間の親和性で6種の試験した対立遺伝子のうち5種(IAb、IAd、IEd、IAs、IEk)に結合することがわかった。おもしろいことに、906系ペプチド(表III、C項)上記の対立遺伝子の場合に10〜100nMの範囲の著しく高い親和性で結合し、906.11はIAkに対して中間の親和性で結合した。DQ3.1への結合については、760.50、760.57、906.09及び906.11全てが精製したDQ3.1分子に比較的高い親和性で結合した(30〜120nMの範囲で)。対照として、760及び906ペプチドのヒトクラスI分子に対する結合可能性を試験した。10μMまで精製したHLA-A1、HLA-A2.1、HLA-A3、HLA-A11及びHLA-A24分子への結合は検出されなかった(データは示されていない)。結論として、これらのデータから、906系ペプチドがPanクラスII(クラスIではない)MHC結合ペプチドであることが示される。実施例6:Pan DRバインダーによる細胞増殖の阻害クラスII結合能が変性したことから、PADREペプチドは同種異系移植拒絶、アレルギー応答又は自己免疫に関係するT細胞仲介事象の阻害の治療剤としての候補薬剤である。従って、これらのペプチドの抗原特異的生体外T細胞増殖応答を阻止する能力評価した。実施例1、E項に記載された抗原提示分析の阻害を用いてこれらの評価を行った。MHC結合能と一致して、これらのペプチドが少なくとも6種のDR分子によって拘束されたヒトT細胞の増殖応答の強力なインヒビターであることがわかった(表IV)。更に詳しくは、DR1、DR4w4、DR4w14及びDR5に対して高い結合親和性を有するペプチド760.50及び760.57はそれらの対立遺伝子によって拘束されたT細胞増殖をIC50が1.0〜25μmの範囲で阻害した。対照的に、これらのペプチドはDR3分子を2.5〜6.5μMの範囲で弱く結合し、従って、DR3拘束T細胞活性化をほとんど(760.57に対するIC50が220μM)又は全く(760.50に対するIC50が>250μM)阻害しなかった。906.09及び906.11ペプチドは、DR1、DR4w4、DR4w14及びDR5応答を非常に効果的に阻害した(IC50が0.5〜15μMの範囲)。予想されるように、中間のDR3結合能をもつ906類縁体は、DR3拘束抗原提示を30〜60μM範囲のIC50で阻害することができた。同じ実験セットにおいて、760及び906ペプチドについてDR52b拘束応答を阻害する能力を試験した。この実験は、DR52b分子へのペプチド結合を測定する分子結合分析がないので興味深い。得られたデータから、906.09及び906.11ペプチドは共にDR52b分子の関係においてHA 307-319クローン1の提示を1〜2μM範囲の良好なIC50で阻害し、よってこれらのペプチドのPADRE能力を11種の対立遺伝子まで拡張したことが示される。更に、これらのペプチドはポリクローナルマイトジェンPHAに応答させたHA特異DR拘束T細胞クローンの増殖を阻害せず、ペプチドを抗原刺激に続いて加える(同時ではない)最近記載されたT細胞アンタゴニスト分析(De Magistrisら,Cell 68:525-634(1992))において阻害しなかった(データは示されていない)。これらの知見により、上記の結果が760又は906ペプチドの非特異的な細胞毒性によるものである可能性が取り除かれる。実施例7:広範囲の反応性クラスII結合ペプチドの修飾によるPan DR T細胞エピトープの作成PADREペプチドを用いて体液性応答及び細胞傷害応答の双方を援助するPan DR拘束Tヘルパーを作製した。PADREペプチド中の潜在的TCR接触残基の全てがアラニンであることから、メチル側鎖が関与する拘束相互作用のために更にかさ高い疎水性荷電の導入がT細胞受容体との相互作用の可能性を改善し、よって免疫原性を高めることが仮定された。この推論に従って、906.09 Pan DRペプチドを更に修飾した。HA 307-319ペプチドの以前の分析に基づいて潜在的TCR接触残基であるかさ高い又は荷電側鎖基を2、5及び7位に導入することによりいくつかの類縁体を作成した。対照的に、DR結合に影響することが既知の位置は妨害しないままとした(3、4、8、9及び11)。更に、3位のシクロヘキシルアラニンの代わりに天然アミノ酸を保有する類縁体を作成した。次に、これらのペプチドについてDR複対立遺伝子を結合する能力の保持を試験し、次に、DR結合能が著しく低下したペプチドについて免疫応答を誘導する能力を試験した。2つの最良のペプチド965.10及び1024.03からのデータを以下に示す。これらの2つのペプチドについてHLA DR及びマウスIa結合(表II、D項及び表III、D項)を試験した場合、一般的にほとんどのDR対立遺伝子に対して親ペプチド906.09と関連のある高い結合能力と広範囲の反応性を保持した。これに対する例外は、1024.03がDR3(1470nM)へ弱い結合及びDRw53へ高親和性ではなく中間の(420nM)親和性での結合を示した。また、965.10及び1024.03ペプチドは、ほとんどの試験したマウスクラスII分子に対する結合能力の著しい低下を示した。しかしながら、1Ab対立遺伝子には良好な結合能力を示し、H-2bマウスを用いてこれらのペプチドの生体内免疫原性を試験することができた(下記参照)。更に、双方のペプチドの良好なDQ3.1結合能力(25nM範囲で)も保持された。実施例8: PADREペプチドの試験管内免疫原性Pan DRエピトープ965.10をそのプロジェニターペプチドの2種906.09及び760.50及び以前に記載された天然エピトープTT 830-843と共に正常な個体からの末梢血単核細胞(PBMC)における試験管内T細胞応答を刺激する能力を比較した。使用したプロトコールは末梢血リンパ球(PBL)の自己APCとペプチド抗原による反復刺激を必要とし、試験管内一次応答の実験を可能にするように特に設計された。このプロトコールに続いて分析の結果を以下に示す。a. 分析プロトコール健康な提供者からのPBMCをManeaら,J.Immunol.146:1964-1971(1991)から修正したプロトコールを用いて試験管内で刺激した。PBMCをフィコール−パック(Pharmacia LKB,スウェーデン国アップサラ)で精製し、24ウェル組織培養プレート(Costar,マサチューセッツ州ケンブリッジ)の4ウェルに4×106PBMC/ウェルで播種した。ペプチドを最終濃度10μg/mlで加えた。次に、培養物を37℃,5%CO2でインキュベートした。4日目に組換えIL-2を最終濃度10μg/mlで加えた。1mlの培地を吸い出しIL-2を含む新しい培地に取り替えることにより通常3日毎に培養物を加えた。T細胞(3×105/ウェル)を、24ウェルの組織培養プレートの合計3ウェルにおいて抗原提示細胞として自己PBMC細胞(2×106照射(7500ラド)/ウェル)を用いてペプチド(10μg/ml)で刺激した。抗原によるT細胞の2回の追加刺激を14日目と28日目に行った。更に、14日目と28日目に次のようにT細胞増殖応答を求めた:2×104T細胞/ウェル;APCとして1×105照射PBMC/ウェル;ペプチド濃度をU底96ウェル組織培養プレート(Costar,マサチューセッヅ州ケンブリッジ)において最終濃度0.01-10μg/mlに滴定した。T細胞増殖分析物を上記のように3日目に収集した。b. 結果3人の正常な提供者からの代表的データを図1に示す。2ラウンドの刺激後に得られたデータをパネルA〜Cに示し、3ラウンドの刺激後のデータをパネルD〜Fに示す。予想されるように、親ペプチド760.50と906.09はこれらの実験において免疫原性は不十分であった。いずれのペプチドも2ラウンドの刺激後に著しい(>10,000cpm)応答を誘導しなかった。3ラウンド目の刺激後、760.50は試験した3人のうちの1人の提供者の応答を誘導した。“普遍的”天然エピトープTT830-843は2ラウンドの刺激後に著しい応答を示さず、3ラウンド目の刺激後にT-F 830-843が3人全員の提供者においてあまり多くない応答を示した。これらの応答と対照的に、修飾したPan DRペプチド965.10に対して2ランウンドの刺激だけで3人全員の提供者が活発に応答した。図2Aと図2Bは、最初の系の実験で得られた試験管内刺激を纏めたものである(各々2回目及び3回目の刺激)。2回の試験管内刺激(図2A)後、ペプチド965.10は大多数の提供者において(9/12)T細胞を著しく刺激することができる唯一のペプチドであった。TT 830-843はわずかな個体において(3/12)応答を生じることができたが、760.50と906.09は共に応答を刺激しなかった(0/3)。3回目の刺激(図2B)により、965.10は試験した12人の提供者のうち11人に著しい応答を生じ、TT 830-843は提供者の大多数において(7/12)著しい応答を高めることができた。760.50は3人の提供者のうち1人に応答を誘導し、906.09は試験した3人の提供者のいずれも刺激しなかった。次の実験系においては、965.10の類縁体についてPBMCの増殖を誘導する能力を試験した。2回の試験管内刺激後(図3A)、ペプチド965.10は試験した5人の個体全てにおいてバックグラウンド(10,000cpm)より大きいPBMC培養物の増殖を誘導することができる唯一のペプチドであった。しかしながら、類縁体は数個体の成功であった(965.08(1/5),965.09(4/5),965.14(1/5),965.15(2/15),965.16(0/5)及び965.17(2/5))。3回目の刺激により(図3B)、965.10は5人の個体全てのPBMC培養液の増殖を誘導する能力を維持した。また、類縁体は成功が限られた(965.08(2/5),965.09(4/5),965.14(3/5),965.15(4/5),965.16(1/5)及び965.17(4/5))。しかしながら、2種の類縁体965.09と965.17は4/5個体においてPBMC培養物の増殖を誘導することができた。前の実施例のように、PBMC培養物において増殖を誘導するのに965.10はTT 830-843(553.01)より優れていたことは留意されるべきである。2回目の刺激のように早く試験管内で特定のT細胞集団の増殖を誘導する965.10の能力、と3回目の刺激による提供者ほとんど全員における顕著なT細胞応答を生じる能力から、ペプチドTF 830-843,760.50 or 906.09,965.08,965.09,965.14,965.15,965.16,967.17又は553.02に相対する本ペプチドの優れた免疫原能力が証明される。実施例9:マウスにおけるPan DRエピトープの生体内免疫原性760.50、965.10及び1024.03ペプチドの生体内免疫原性をC57BL/6J(H-2bb+)マウスにおいて試験した。これらの分析を行うために、C57BL/6JマウスにPBS/CFA(Difco,ミシガン州デトロイト)中種々のペプチド(0.000125、0.0025、0.05、1及び20μg/マウス)の投与滴定液を100μl量で尾の基部に皮下注射した。10日目に3匹のマウス/ペプチド投与量のグループから鼠径部と大動脈周囲リンパ腺を集め、プールし、単細胞浮遊液にホモジェナイズした。細胞を2回洗浄し、引き続き96ウェルマイクロタイター組織培養プレートに播種した(1×106細胞/ウェル)。免疫ペプチドの対数投与ペプチド滴定液(0.01〜100μg/ml)を加え、3日T細胞増殖標準分析を上記のように行った。これらの実験においては、2種の以前に定義されたIAb拘束天然エピトープ、Ova 323-336とHBVコア128-140に対する非天然エピトープの活性を比べた。これら2種の天然エピトープは965.10(表III、A項)よりいくぶん低い(3〜14倍)親和性で結合した。ほとんどIAbを結合しないTT 830-843ペプチド(データは示されていない)を負の対照として含めた。図4、パネルAに示されるように、IAbを結合しないことと一致してTT 830-843は特定のT細胞増殖応答を生じることができないことがわかった。既知のIAb拘束ヘルパーエピトープOva 323-336(図4、パネルB)とHBVc 125-140(図4、パネルC)は免疫化に用いた2種の最大ペプチド投与量(1及び20μg/マウス)で25,000〜70,000cpmの範囲の応答を誘導した。Pan DRエピトープ965.10(図4、パネルD)と1024.03(図4、パネルE)は最強の応答を刺激し、有効な免疫投与量は0.05μg/マウスほどの少量で100,000〜150,000cpm範囲の大きさと共に得られた。対照的に、ペプチド760.50(図4、パネルF)は最低の免疫原性しかなく、非常に弱い増殖応答が誘導され、最大投与量(20μg/マウス)でのみ試験した。これらの結果から、Pan DRエピトープ965.10と1024.03は生体内及び生体外で非常に効果的なヘルパーエピトープとして機能することが示される。ヒト免疫原性データと共に、高MHC結合能のほかに潜在的TCR接触位置の“免疫優性”アミノ酸残基の存在が激しいT細胞応答の生成の重要な要素であることが示される。実施例10:Pan DRペプチドはマウスにおける生体内CTL誘導のヘルパーエピトープとして作用する一般的にT細胞増殖応答を誘導する能力はペプチドエピトープのヘルパー能力の指標であると考えられる。これを証明するために我々はCTL応答の生成の援助を送達する965.10ペプチドの能力を測定することにより探究した。CTL誘導実験を以下に示されるプロトコールに従って行った。a. CTL誘導プロトコール3-6匹のC57BL/6Jマウスの尾の基部にリン酸緩衝食塩水、5%DMSOに溶解した含脂質CTLエピトープ(ジパルミトイル化Ova 257-264)とヘルパーエピトープの混合液を皮下注射することにより免疫した。11日後、マウスを犠牲にし、脾細胞(3x107/10ml/T25フラスコ)を試験管内でOva 257-264(1μg/ml)の添加により刺激し、6日間インキュベートした。CTLエピトープペプチドと37℃で1時間インキュベートした51Cr標識EL4標的細胞を用いて細胞毒性を測定した。U底96ウェルプレートにおいて種々の数のエフェクター細胞に51Cr標識標的細胞(10×104)を加え、6時間後に51Crの遊離を測定した。データを溶解単位/106エフェクター細胞で表す。1溶解単位は、1×104 51Cr標識標的細胞の30%溶解を得るのに要したリンパ球の数として定義される。b. 結果得られた結果を表Vに示す。Pan DRエピトープ965.10は用量依存方式でCTL応答を誘導し、5ナノモル/マウスの965.10ペプチドを脂質化Ova 257-264 CTLエピトープと同時注射する場合に307溶解単位の最適条件が見られることがわかった。対照的に、Ova 323-336とHBVC 128-140エピトープのヘルパー活性はヘルパー作用の大きさ(各々4倍と3倍上昇)と最適ヘルパー活性の誘導に要した投与量(100nM/マウス)の双方の点であまり顕著でなかった。実施例11:PADREペプチドによる抗体の誘導a. 材料と方法i. 線状構築物主として、約60%のCSタンパク質配列を含む組換え3日熱マラリア原虫(Plasmodium vivax)CSの反復領域からの9アミノ酸残基反復の2量体に基づく構築物を用いた。このペプチド(配列GDRADGQPAGDRADGQPA,B2と呼ばれる)はH-2k及びH-2aハプロタイプのマウスでは免疫原性であることがわかった(Nardinら,Eur.J.Immunol(1988))がd又はbハプロタイプのマウスでは免疫原性でなかった。B2ペプチドのほかに、実験においてB2がN末端を介してPADRE965.10ペプチド(配列aK(X)VAAWLKAa;x=シクロヘキシルアミン)か又は対照IAb拘束ヘルパーエピトープOVA 323-336(配列ISQAVHAAHAEINIE)に共有結合した2つの構築物を用いた。ii. 多価構築物一価免疫優性B細胞エピトープに対応する配列を含む合成ワクチンがそれだけでは或いは一価ヘルパーエピトープに結合した場合には低い抗体応答しか誘導せず著しい防御作用を誘導しないことが以前に知られている。これらの結果に基づき、最近のワクチン設計は多重B細胞エピトープとTヘルパー(Th)エピトープ双方の同時併用に集中している(Tamら,J.Exp.Med.171:229-306(1990))。多重抗原ペプチド(MAP)技術(Tam,J.P.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:5409-5413(1988))の開発は、Tヘルパーエピトープと多重B細胞部位双方を含む構築物を設計する手段を与える。3種のMAP構築物を用いた。iii. 免疫化C57B16(H-2b)マウスの尾の基部に100μlのCFA中100μgのペプチドを注射し、4週間後に出血した。引き続き100μgのIFA中同量のペプチドで追加刺激し、2週間後に再び出血した。抗体力価(一次応答及び二次応答)を、0.1μg/ウェルのB3ペプチド(配列GDRADGQPAGDRADGQPAGDRADGQPA)を用いるELISA分析を用いて測定した。抗B2ペプチド応答の正の対照としてB10Aマウス(H-2k)を用いた。コーティングペプチドとして(GDRADGQPA)3を用いて標準ELISAを行った。b. 結果得られた結果(表VI)から、B10AマウスがB2ペプチドに非常によく応答したことがわかる。同じレベルの一次応答がB2か又はB2 MAP 4構築物で見られた。追加刺激により多価B2 MAP 4に対する応答が約10倍増加したが、一価B2抗原に対しては増加しなかった。H-2bマウスの場合、B2もB2 MAP 4も、1回の注射後も追加刺激後も応答は見られなかった。OVA又はPADREヘルパーエピトープを含むMAP構築物は著しく有効であり、1回の注射後に1〜3×105の範囲の力価及び追加刺激後に3〜8×105の範囲の力価を得た。T細胞が援助された場合には一価構築物でさえいくぶん有効であった。OVA B2構築物は3×104の範囲の力価に達した(1回か又は2回の注射後)。最もおもしろいことに、一価PADRE B2構築物に対する応答においてさえ6×104及び3.7×105の力価が得られた。結果は3〜6個体マウスのグループから力価の幾何平均*/標準偏差で表す。NDは測定せずを示す。c. 結論結論として、これらの実験からPADREペプチドが強力な抗体応答を生じるように用いられることが証明される。反応性のスペクトルが非常に広範囲であることから、PADREペプチドの使用はどちらかの“普遍的”T細胞エピトープよって包含されるものより高い非常に高い割合のヒト集団を包含することを可能にするにちがいないことが予想される。ある場合には、PADREの使用は、生産と確認の容易さとコストに対して好ましい効果をもつ簡易化した構築物の使用を可能にすることができる。実施例12:糖鎖と複合したPADREペプチド本実施例は、抗体応答を誘導するPADRE/糖鎖複合体の合成と使用を記載するものである。a. ペプチド合成Fmoc合成戦略を行う標準固相ペプチド合成法に従ってペプチドaKXVAAWTLKAAaZC(X=L-シクロヘキシルアラニン、Z=アミノカプロン酸)を調製した。b. 糖鎖合成スキームIに示されるように糖鎖合成を行った。i. 1,2,3,6−テトラ−O−ベンゾイル−α−D−ガラクトピラノシド(1).200mlのピリジン中ガラクトース(10g,55.5ミリモル)の溶液をアルゴン下0℃に冷却し、10mlのピリジンで希釈した塩化ベンゾイル(26.2ml,225ミリモル)を15分かけて滴下した。混合液を0℃で2時間攪拌した。次に、この溶液に氷を加え、反応混合液をCH2Cl2(500ml)で希釈し、20%H2SO4(300m1)、飽和NaHCO3(300ml)、水(500ml)で洗浄し、乾燥(Na2SO4)した。ろ過及び濃縮した後、粗生成物をクロマトグラフィー(シリカ,10%酢酸エチル/トルエン)処理して10.43g(31%)の白色固形物を得た:Rf=0.3(シリカ,10%酢酸エチル/トルエン)。1H-NMR(CDCl3)δ8.10(d,2H,芳香族),8.00(t,4H,芳香族),7.86(d,2H,芳香族),7.80-7.36(m,9H,芳香族),7.27(t,3H,芳香族),6.82(d,J=3.7Hz,1H,H-1),6.07(dd,J=3.7,10.7Hz,1H,H-2),5.88(dd,J=2.9,10.7Hz,1H,H-3),4.78(dd,J=6.3,10.6Hz,1H,H-6),4.574.46(m,3H).ii. 1−クロロ−2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−α−D−ガラクトピラノシド(2).アルゴン下-20℃で塩化オキサル(8.8ml,100ミリモル)をDMF(80ml)中2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−D−ガラクトピラノース(4.5g,8.2ミリモル)の溶液に非常にゆっくりと加えた。次に、混合液を0℃に温め、2時間後に5mlの塩化オキサルを加えた。更に3時間後、反応液をCH2Cl2(150ml))で希釈し、氷水(200ml)、飽和NaHCO3(150ml)、水(150ml)で洗浄し、乾燥(Na2SO4)した。濃縮して粗生成物を得、精製せずに用いた;Rf=0.8(シリカ,10%酢酸エチル/トルエン)。iii. (2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−α−D−ガラクトピラノシル)−(1-4)−O−1,2,3,6−テトラ−O−ベンジル−α−D−ガラクトピラノシド(3).10mlのトルエン中4Åモレギュラーシーブ(400mg)、化合物1(2g,3.35ミリモル、コリジン(1ml,7.37ミリモル)、AgOTf(2.58g,10ミリモル)の懸濁液をアルゴン下-20℃に冷却した。次に、10mlのトルエン中化合物2の溶液を滴下し、-20℃で1時間攪拌した。反応液を一晩室温に温め、懸濁液をセライトでろ過し、ろ液を1N HCl(50ml)、水(50ml)、飽和NaHCO3(50ml)、水(50ml)で洗浄し、乾燥(Na2SO4)した。濃縮し、クロマトグラフィー(シリカ,2〜10%酢酸エチル/トルエン)処理して3.1g(82%)の白色固形物を得た;Rf=0.7(シリカ,5%e酢酸エチル/トルエン).1H-NMR(CDCl3)δ8.06(d,2H,芳香族),7.96(m,4H,芳香族),7.83(dd,2H,芳香族),7.62-7.11(m,32H,芳香族),6.84(d,J=3.7Hz,1H,H-1),6.06(dd,J=3.7,11Hz,1H,H-2),5.77(dd,J=2.6,11Hz,1H,H-3),4.97(d,J=3.4Hz,1H,H-4),4.89-4.06(m,14H),3.97(s,2H,ベンジル),3.37(dd,J=7.9,7.9Hz,1H),2.88(dd,1H).iv. (α−D−ガラクトピラノシル)−(1-4)−O−1,2,3,6−テトラ−O−ベンゾイル−α−D−ガラクトピラノシド(4).化合物3(3.08g,2.75ミリモル)を30mlの酢酸に溶解し、脱ガスした。次に、パラジウム/炭素(0.5g,10重量%)を加え、混合液をH2雰囲気(バルーン)下に3日間置いた。溶液を脱ガスし、セライトでろ過し、濃縮した。残留物をクロマトグラフィー(シリカ,5%CH3OH/CH2Cl2)処理して1.48g(70%)の白色固形物を得た:Rf=0.35(シリカ,5%CH3OH/CH2Cl2)。1H-NMR(CDCl3)d 8.09(d2H,芳香族),8.00-7.91(m,4H,芳香族),7.83(d,2H,芳香族),7.65-7.6(m,10H,芳香族),7.27(d,1H,芳香族),7.25(d,1H,芳香族),6.82(d,J=3.7Hz,1H,H-1),6.06(dd,J=3.7,10.9Hz,1H,H-2),5.81(dd,J=2.,11Hz,1H,H-3),5.14(d,J=2.9Hz,1H,H-4),4.77-4.61(m,3H),4.17-3.5(m,5H),3.38-3.18(m,2H).v. (2,3,4,6−テトラ−O−ベンゾイル−α−D−ガラクトピラノシル)一(1-4)−O−1,2,3,6−テトラ−O−ベンゾイル−α−D−ガラクトピラノシド(5).20mlのピリジン中化合物4(1.48g,1.95ミリモル)の溶液をアルゴン下0℃に冷却し、塩化ベンゾイル(1.81ml,15.6ミリモル)を滴下し、一晩室温に温めた。次に、この溶液をCH2Cl2(100ml)で希釈し、2M Na2SO4(100ml)、飽和NaHCO3(100ml)、水(100ml)で洗浄し、乾燥(Na2SO4)した。濃縮し、クロマトグラフィー(シリカ,5%酢酸エチル/トルエン)処理して2.03g(88%)の油状物を得た;Rf=0.35(シリカ,5%酢酸エチル/トルエン);1H-NMR(CDCl3)δ8.12(d,2H,芳香族),8.08-7.94(m,5H,芳香族),7.88-7.79(m,7H,芳香族),7.63-7.12(m,26H,芳香族),6.88(d,J=3.8Hz,1H,H-1),6.26-6.16(m,3H,H-2,H-2',H-4'),5.87(dd,J=2,5,11Hz,1H,H-3),5.85(dd,J=3.4,10.9Hz,1H,H-3),5.67(d,J=3.6Hz,1H,H-1'),5.03(dd,J=7.6Hz,1H),4.78(d,J=2.6Hz,1H,H-4),4.64-4.55(m,2H),4.36-4.31(m,1H),4.04(dd,J=8.4,10.9Hz,1H),3.94(dd,J=5.6,11Hz,1H).vi. ブロモ(2,3,4,6−テトラ−O−ベンゾイル−α−D−ガラクトピラノシル)−(1-4)−O−2,3,6−トリ−O−ベンゾイル−α−D−ガラクトピラノシド(6).酢酸(ml)中臭化水素(33%)を0℃において化合物5(2.03g,1.73ミリモル)に徐々に注入した。溶液を室温で1時間攪拌してからCH2Cl2(200ml)で希釈し、氷水(200ml)、飽和NaHCO3(200ml)で中性になるまで洗浄し、乾燥(Na2SO4)した。濃縮して薄黄色固形物(1.84g,94%)を得、直接次の工程に用いた;Rf=0.4(シリカ,5%酢酸エチル/トルエン)。vii. 2−ブロモエチル(2,3,4,6−テトラ−O−ベンゾイル−α−D−ガラクトピラノシル)−(14)−O−2,3,6−トリ−O−ベンゾイル−D−β−D−ガラクトピラノシド(7).10mlのトルエンに溶解した化合物6(1.845g,1.63ミリモル)の溶液を2-ブロモエタノール(0.49ml,6.92ミリモル)、銀トリフラート(0.53g,2.076ミリモル)、コリジン(114μl,0.865ミリモル)及びトルエン(15ml)の混合液にアルゴン下0℃で滴下した。懸濁液を一晩室温に温め、2M H2SO4(100ml)、飽和NaHCO3で中性になるまで洗浄し、乾燥(Na2SO4)した。濃縮し、クロマトグラフィー(シリカ,3%酢酸エチル/トルエン)処理して1.38g(72%)の白色固形物を得た;Rf=0.3(シリカ,5%酢酸エチル/トルエン)。1H-NMR(CDCl3)δ7.98-7.78(m,16H,芳香族),7.59-7.20(m,19H,芳香族),6.21(dd,J=3.3,10.8Hz,1H,H-2'),6.14(bd,1H,H-4'),5.88(dd,J=7.7,10.5Hz,1H,H-2),5.79(dd,J=3.6,10.9Hz,1H,H-3'),5.61(d,J=4.4Hz,1H,H-1'),5.34(dd,J=2.,10.6Hz,1H,H-3),4.98(bt,1H),4.85(d,J=7.6Hz,1H,H-1),4.70(dd,J=6.5,11.2Hz,1H),4.57(d,J=2.6Hz,1H,H-4),4.36(dd,J=7.5,11.2Hz,1H),4.18-4.00(m,4H),3.93-3.05(m,1H),3.46-3.39(m,2H).viii. 2−ブロモエチル(α−D−ガラクトピラノシル)−(1-4)−O−β−D−ガラクトピラノシド(8).メタノール中ナトリウムメトキシド(25重量%,2ml)を100mlのメタノール中化合物7(1.38g,1.18ml)の溶液に滴下した。混合液をアルゴン下で2日間攪拌し、AG 50WX8(H+)樹脂で中和し、ろ過し、濃縮した。残留物をクロマトグラフィー(C-18シリカ,水〜5%CH3OH/水)処理して570mg(100%)の白色固形物を得た;Rf=0.1(シリカ,CH2Cl2/CH3OH/水(80/20/1))。1H-NMR(D2O)d4.95(d,J=3.8Hz,1H,H-1'),4.52(d,J=7.1Hz,1H,H-1),4.37(dd,J=6.6,6.6Hz,1H),4.25-4.17(m,1H),4.07-4.00(m,3H),3.93-3.54(m,18H);MS(FAB+)m/z471(M+++Na+),473(M(81Br++Na+).c. 2−ブロモエチル(α−D−ガラクトピラノシル)−(1-4)−O−β−D−ガラクトピラノシド(8)とポリペプチドaKXVAAWTLKAAaZCとの反応システイン残基のスルフヒドリル基とグリコシドのブロモエチル基とを反応させることによりペプチドを2−ブロモエチル(α−D−ガラクトピラノシル)−(1-4)−O−β−D−ガラクトピラノシドと複合した。ペプチド残基、アミノカプロン酸及びシステインがグリコシドのエチレン部分と共にジサッカリドGal-Galとペプチド配列aKKVAAWTLKAAa間のスペーサーを形成する。典型的な手順においては、1.27μMのペプチド、2.55μMのブロメチルグリコシド及び25μMのCS2CO3を1mlの注意深く脱ガスした乾燥ジメチルホルムアミドに加え、反応中アルゴン雰囲気下で維持した。混合液を5分間音波処理してから室温で2時間攪拌した。ジメチルホルムアミドを減圧下で蒸発させた。残留物を2mlの20%水性酢酸に溶解し、分取用高性能液体クロマトグラフィーで精製した。d. 免疫化生後8〜16週のC57BL/6J(H-2b)マウスの尾の基部に100μlの完全フロイントアジュバント(CFA)(Difco Lab,メリーランド州デトロイト)中70μg/マウスのPADRE-糖を注射し、4週間後に出血した。引き続いて100μlの不完全フロイントアジュバント(IFA)中同量のペプチド−糖を追加刺激し、2週間後に再び出血した。抗体力価(一次応答及び二次応答)をELISAを用いて測定した。e. ELISAPBS(10μg/ml)中で複合した100μlのカルボキシエチルチオエチル4−O−α−Oガラクトピラノシル−β−O−ガラクトピラノシド-BSA(Sigma,ミズーリ州セントルイス)を96ウェル平底プレート(Immunol II,Dynatech)の各ウェルに加えた。PBS中0.1%BSA,0.05%トゥイーン20で阻止した後、免疫したマウスからの血清の希釈液を加え、プレートを37℃で1時間インキュベートした。プレートをPBS+0.05%トゥイーン20で洗浄してからマウス(全分子)IgG(Cappel,ノースカロライナ州ダラム)、及びIgM(Caltag Lab,カリフォルニア州サンフランシスコ)に対するビオチン複合ヤギアフィニティー精製抗体と室温で2時間インキュベートした。次に、洗浄したプレートを複合体のアビジンDHとビオチニル化ホースラディッシュペルオキシダーゼH(Vectastain ABC Kit,Vector Lab,カリフォルニア州バーリンガム)とインキュベートした。結合した抗糖抗体をTMBペルオキシダーゼ基質(Kirkegaard & Perry Laboratories,メリーランド州ゲイザーズバーグ)で検出した。測定は全て2回の実験で行い、抗体力価を血清希釈液が生じる0.3 O.D.単位として定義した。e. 結果得られた結果(表VII)から、C57B1/6Jマウスが二糖Gal-Galに対して非常によく応答したことが示される。1回の注射後の体液性応答は主として平均力価が約4.3×104のIgGであった。実施例13: ペンタ糖及びドデカ糖に対する抗体応答糖質、糖−PADRE複合体と免疫化対照の構造を図5A、図5B、図5C;及び図6A及び図6Bに示す。a. 糖鎖合成i. N−6−ブロモカプロイルβ−D−ガラクトピラノシル−(1-3)−[α−L−フコピラノシル](1-4)−β−D−2−N−アセトイミドグルコピラノシル−(1-3)−β−D−ガラクトピラノシル−(1-4)−β−D−グルコピラノシルアミン(ブロモカプロイルラクト−N−フコペンタオースII)(9)飽和NH4HCO3(5ml)中ラクト−N−フコペンタオースII(10.0mg,11.7μM)の溶液を室温で3日間攪拌し、固体NH4HCO3は飽和を行わせるためにこの期間中少しずつ加えた。混合液を恒量が得られるまで繰り返し凍結乾燥した。白色の綿毛状固形物を得、精製せずに直接次の工程に用いた。得られた固形物をTHF(2.0ml)に懸濁し、4℃に冷却した。次に、この溶液に飽和NaHCO3(2.0ml)に続いて6-ブロモカプロイルクロリド(20μl,131μM)を加えた。10分後、6-ブロモカプロイルクロリド(20μl,131μM)を追加し、0℃で2時間、次に室温で2時間攪拌を続けた。次に、反応混合液に水(5ml)を加え、1.0M HClを加えて溶液をpH5まで酸性にした。反応混合液をジエチルエーテル(5ml×3)で抽出した後、水相を約2mlに濃縮し、クロマトグラフィー(C-18シリカゲル,H2O中0%メタノール〜H2O中20%メタノール)処理した。濃縮及び凍結乾燥した後、白色固形物(6.5mg,収率53%)を得た。1H NMR(D2O;300MHZ)δ1.96(d,1H,J=1.0Hz),4.92-4.6(m),4.45(d,1H,J=7.1Hz),4.4(d,J=7.1Hz),4.1 3.35(m,30H),2.3(t,1H,J=7.0Hz).2.1(t,1H,J=7.0Hz),1.9(s,3H),1.8-1.72(m,2H),1.60-1.50(m,2H),1.45-1.2(m,2H),1.1(t,J=7.0Hz,3H).ii. N−6−ブロモカプロイルα−D−ガラクトピラノシル−(1-2)−[α−L−アベクオシル](1-3)−α−D−マンノピラノシル−(1-4)−α−D−ラムノシル(1-3)−α−D−ガラクトピラノシル−(1-2)[α−L−アベクオシル](1-3)−α−D−マンノピラノシル−(1-4)−α−D−ラムノシル−(1-3)−α−D−ガラクトピラノシル−(1-2)[α−L−アベクオシル](1-3)−α−D−マンノピラノシル−(1-4)−α−D−ラムノシルアミン(ブロモカプロイルドデカサッカリド)(10)飽和NH4HCO3(1.5ml)中ドデカ糖(6.0mg,3.29μM)の溶液を室温で4日間攪拌し、固体NH4HCO3は飽和を行わせるためにこの期間中少しずつ加えた。反応混合液を恒量が得られるまで繰り返し凍結乾燥した。白色の綿毛状固形物を得、精製せずに直接次の工程に用いた。得られた固形物をTHF(0.5ml)に懸濁し、0℃に冷却した。次に、この溶液に飽和NaHCO3(0.5ml)に続いて6-ブロモカプロイルクロリド(2μl,13.1μM)を加えた。10分後、6-ブロモカプロイルクロリド(8μl,131μM)を追加し、0℃で攪拌を続けた。更に、2時間後、一部の6-ブロモカプロイルクロリド(8μl)を加え、反応混合液を0℃で2時間及び室温で2時間攪拌した。次に、反応混合液を水(5ml)で希釈し、1.0M HClを加えて溶液をpH5まで酸性にした。この溶液をジエチルエーテルで抽出し、分離した水相を約2mlに濃縮し、クロマトグラフィー(C-18シリカゲル,H2O中0%メタノール〜H2O中20%メタノール)処理した。濃縮及び凍結乾燥した後、白色固形物を得た(3.28mg,収率50%)。1H NMR(D2O),300MHZ)δ5.25(s),5.08(d,1H,J=3.3Hz),5.00(d,1H,J=3.6Hz),1.97(s,1),4.85(d,1H,J=2.2Hz),4.05-3.30(m),2.25(t,1H,J=7.0Hz),210(t,1H,J=7.3Hz),1.90(br,d,3H,J=8.8Hz),1.82-1.74(m,2H),1.60-1.45(m,2H)1.4-1.3(m,2H),1.21(d,3H,J=6.0Hz),1.10-1.02(m,6H);MS(エレクトロスプレー)m/zC78H132BrNO52の計算値:1995.実測値:1993,1995.b. 糖-PADREの複合i. ラクト-NフコペンタオースII-PADRE複合体(ペンタ糖-PADRE)無水DMF(1.0ml,使用前にアルゴンで脱ガスした)中ブロモカプロイルラクト−N−フコペンタオース(2.3mg,2.2μM)、PADREペプチド(3.1mg,2.2μM)及び炭酸セシウム(14mg,44μM)の混合液をアルゴン雰囲気下室温で24時間攪拌した。反応混合液を減圧下で濃縮し、得られた固形物を水(0.5ml)に溶解した。HPLC(VydacC-18カラム,25%CH3CN,75%H2O〜35%CH3CN,65%H2O,55分間,流速2.0ml/分)で精製してラクト−N−フコペンタオースII-PADRE複合体を得た(2.5mg,収率45%)。1H NMR(D2O;300MHZ)δ1.96(d,1H,J=4.0Hz),4.92-4.6(m),4.45(d,1H,J=7.1Hz),4,4(d,J=7.1Hz),4.1 3.35(m,30H),2.3(t,1H,J=7.0Hz),2.1(t,1H,J=7.0Hz),1.9(s,3H),1.8-1.72(m,2H),1.60-1.50(m,2H),1.45-1.32(m,2H),1.1(t,J=7.0Hz,3H).ii ドデカ糖-PADRE複合体無水DMF(1.0ml,使用前にアルゴンで脱ガスした)中ブロモカプロイルドデカサッカリド(1.61μM)、PADREペプチド(3.8mg,2.46μM)と炭酸セシウム(10.7mg,33μM)の混合液をアルゴン雰囲気下室温で14時間攪拌した。反応混合液を減圧下で濃縮した。得られた固形物をH2O(1.8ml)、DMSO(0.2ml)及び酢酸(0.1ml)に溶解し、HPLC(Vydac C-18カラム,25%CH3CN,75%H2O〜42%CH3CN,58%H2O,55分間,流速2.0ml/分)で精製した。濃縮及び凍結乾燥した後、白色固形物(3.1mg,収率54%)を得た。1H NMR(DMSO-d6;500MHZ)δ8.52(d,1H,J=8.07Hz),8.18(d,1H,J=7.67Hz),8.10-7.61(m),7.75(d,J=7.86Hz),7.46(s.1H),7.31(d,1H,J=8.03Hz),7.2-7.5(m),7.04(t,1H,J=7.32Hz),6.94(t,1H,J=7.32Hz),5.01-0.80(m):MS(エレクトロスプレー)m/zC152H255N19O69Sの計算値:3482実測値:3483(Mavg),3505(M+Na+),3521(M+K+).c. 免疫化生後8〜16週のC57BL/6J(H-2b)マウスの尾の基部に100μlのCFA中100μg/マウスの免疫原を注射し、4週間後に出血した。引き続いて100μlのIFA中同量の免疫原を追加刺激し、2週間後に再び出血した。IgGとIgMの力価をELISAを用いて測定した。d. ELISA1μg/ウェルのラクト−N−フコペンタオースII-HSA(Biocarb Cat.No.61-03(1990))を96ウェル平底プレート(Immunol II,Dynatech)の各ウェルに加えた。PBS中0.1%BSA,0.05%トゥイーン20で阻止した後、免疫したマウスからの血清の連続希釈液を加え、プレートを37℃で1時間インキュベートした。プレートをPBS+0.05%トゥイーン20で洗浄してからホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)-ラット抗マウスIgG及びHRP-ヤギ抗マウスIgMと室温で1時間インキュベートした。結合した抗糖抗体をTMBペルオキシダーゼ基質(Kirkegaard & Perry Laboratories,メリーランド州ゲイザースバーグ)で検出した。測定は全て2回の実験で行い、抗体力価を0.3 O.D.単位を生じる血清希釈として定義した。ペンタ糖免疫原に対する抗体応答を表Xに示す。ドデカ糖免疫原に対する抗体応答を表XIに示す。本ELISAにおいては、ウェルを10μg/mlのLPSで被覆した。使用したELISA試薬はペンタ糖ELISAと同様にした。力価を0.3 O.D.単位を生じる血清希釈として定義した。e. 検討本実施例に示された実験から、PADREペプチドが糖鎖部分に対して強力な抗体応答を生じるように用いられたことが証明される。ペンタ糖と複合した場合、ペンタ糖のみと比べて免疫化1ヵ月後のIgG応答が非常に上昇する。追加注射後、抗体力価は更に上昇する。IgMに比べてIgG応答が高いことは重要である。IgG応答の方が時間が長く、典型的にはIgG抗体の方が親和性が大きい。同様な結果がドデカ糖PADRE複合体においても見られる。LPS由来多糖をPADREと複合した場合にLPSのみによる免疫化に比べてIgG応答が非常に高い。また、IgM抗体より応答の時間が長く、典型的にはIgG抗体の親和性が高いというIgG応答の強さは重要である。結論として、本実施例に示された実験から、PADREペプチドは糖鎖部分に対して強力な抗体応答を生じるように用いられることが証明される。反応性のスペクトルが非常に広範囲であることから、PADREペプチドの使用がTT 830-843等のいずれかの“普遍的”T細胞エピトープによってカバーされるものより高い、非常に高いヒト集団部分の適用範囲を可能にするにちがいないことが予想される(上記Alexanderら参照)。PADREペプチドの使用により、生産と確認の容易さとコストに対して好ましい効果をもって構築物が簡易化される。種々の糖鎖部分(供給源はウイルス、細菌、真菌、腫瘍又は寄生虫が含まれる)と複合したPADREペプチドは病気の診断、予防又は治療用途に開発されることが予想される。実施例14: 広範囲のクラスH結合能をもつペプチドを作成する既知のDRバインダーの類縁体の使用MHCクラスII分子に対する特異性が広範囲でありかつ親和性が高いペプチドを作成する代替的方法は、既知のDR結合ペプチドを用いること及び重要なMHCモチーフ残基として以前に同定されたもの以外の位置に多様なアミノ酸変化を導入することを必要とする。次に、これらの類縁体の各々について前の実施例に記載された分子結合分析においてクラスII結合を試験する。本実施例において記載される実験セットにおいては、修飾のための出発点としてペプチド760.57(aAXAAAATLKAAa)を使用した。ペプチド760.57は、対立遺伝子DR3、DR52a及びDRw53にあまり結合しないが、DR1、DR2、DR4、DR5及びDR7にはよく結合する。これらの対立遺伝子への結合能を妨害しないように3位の芳香族残基、8位のトレオニン残基及び11位のアラニン残基の置換を導入しなかった。タンパク質分解に対する感受性を低下させるためにN末端とC末端に含まれたD-アミノ酸(Lamountら,J.Immunol.144:2493(1990)も修飾しなかった。他の位置(2,5,6,7,9,10,12)に4〜6のアミノ酸変化を組込み、他の906系類縁体を作成した。一般的には、アミノ酸置換としては、正に(K)及び負に(E)荷電したアミノ酸、親水性アミノ酸(Q)、脂肪族アミノ酸(V及び/又はL及び/又はI)及び芳香族アミノ酸(F)が含まれた。これらのペプチドについてヒトクラスII分子のパネルへの結合を試験した場合に得られた結合データを表VIIIに示す。一般的には、DR1、DR2、DR4、DR5及びDR7結合(3位、8位及び11位)の重要な位置が修飾されなかったので、良好な結合能が保持された。特にことわらないかぎりこれらの対立遺伝子に対する結合能は5倍を超えるまで変化しなかった。説明がしやすいように本実施例においてはNからCまでを1〜13と呼ぶ。a. 位置2[A]:疎水性Q(906.03)又は脂肪族V(906.04)置換により、DR53反応性の30〜100倍の印象的な増大が誘導された。DR3反応性のあまり多くない増加(3倍)は同じ置換によって誘導された。更に、この位置で試験した全ての置換についてDQ3.1結合反応性の約10倍の増加が見られた。更に、DR52a反応性は類縁体K(906.01)及びQ(906.03)によって得られた。b. 位置5[A]:あまり多くない2〜4倍のDR3結合がV(906.16)又はF(906.17)で達成された。また、同じ類縁体906.16及び906.17でDR53反応性に対する印象的な増大(≒100倍)が示された。E(906.14)修飾にはDR1結合反応性のあまり多くない低下(7倍)が見られた。この位置でのほとんどの修飾により、DQ3.1結合能の顕著な低下が生じた(F(906.17)を除く)。c. 位置6[A]:負に荷電したアミノ酸置換E(906.19)によりかなりのDR3反応性(IC50≒1500nM)及び若干のDR52a結合反応性が示された。同じ906.19類縁体によりDR53反応性の印象的な増大(20倍)が見られた。しかしながら、DR7反応性は消失した。K修飾(906.18)によりDR1(8倍)、DR4w14(10倍)及びDR7(検出可能な結合なし)の結合活性が低下した。親水性修飾Q(906.20)によりDR3結合の消失が生じ、DR7結合は30倍まで低下した。更に、この位置で試験した全ての置換によりDQ3.1結合能の低下が見られた。d. 位置7[A];9[L];及び10[K]:これらの位置で行われた置換による唯一の顕著な結合反応性はDQ3.1に対して得られた(≒10倍)。例外は906.29(-9位のK)及び906.30(9位のE)であり、反応性が得られなかった。また、類縁体906.30がDR1(8倍)、DR4w4(7倍)、DR4w14(8倍)、DR5(10倍)及びDR7(10倍)に対して結合反応性の低下を示したことは興味深い。また、9位については6置換のうち4置換のDR3反応性が低下したことがわかった。e. 位置12[A]:芳香族F置換による類縁体906.50は、DR3及びDRw53反応性を各々8倍及び40倍まで増大した。更に、F置換でDR52a結合反応性が得られた。上記の実験セットにおいてDR3及び/又はDR52a反応性を増大した置換の組合わせを用いて(2位の906.04(V);4位の906.9(V);5位の906.16(V)又は906.17(F);及び12位の906.50(F))第2作成(906.51,906.52,906.53,906.55,906.56)類縁体を合成した。一般的には、これらの第2生成類縁体は試験したDR対立遺伝子のほとんどについて良好な反応性を示した(DR52aへの906.55類縁体結合を除く)。次の系、965.01〜965.19においては、重要でないMHC接触残基にかさ高い又は荷電したアミノ酸を導入することにより906.09の類縁体を作成した。一般的には、DR1、2w2β2、4w4、4w14、4w5、4w7及びDRw53に対して高い又は中間の結合能が維持された(表IX)。DR3に対する結合能は変動した。f. 結論既知のDR結合ペプチドより特異性が広範囲でありかつ親和性が高いペプチド類縁体は、重要でないモチーフ残基に種々の置換を導入した後、その好ましい置換を次の作成ペプチド類縁体へ組合わせることにより作成される。上記の実施例は、本発明を具体的に説明するものであり、その範囲を限定するものではない。本発明の他の態様は当業者に容易に明らかであり、下記の請求の範囲に包含される。本明細書に引用された全ての文献、特許及び特許出願の記載は本願明細書に含まれるものとする。 非タンパク質性抗原決定基に対する体液性免疫応答を惹起するための組成物であって、50残基未満のPADREペプチド及び該抗原決定基を含み、該PADREペプチドが、N末端からC末端へ進む式R1-R2-R3-R4-R5を有することを特徴とする前記組成物。(式中、R1は少なくとも2残基からなり;R2はシクロヘキシルアラニン残基、チロシン残基、フェニルアラニン残基、及びその同類置換からなる群より選ばれ;R3は3〜5残基であり;R4はトレオニン−ロイシン−リシン、リシン−トレオニン、トリプトファン−トレオニン−ロイシン−リシン、及びその同類置換からなる群より選ばれ;R5は少なくとも2残基からなる。) 該ペプチドと該抗原決定基が相互に結合する、請求項1記載の組成物。 該ペプチドと該抗原決定基が共有結合する、請求項2記載の組成物。 該抗原決定基がリンカーを介して該PADREペプチドに共有結合する、請求項3記載の組成物。 該リンカーがシステイン残基を含む、請求項4記載の組成物。 該リンカーがアミノカプロン酸残基及びシステイン残基からなる、請求項4記載の組成物。 該抗原決定基が該ペプチドのC末端に結合する、請求項1記載の組成物。 該抗原決定基が糖鎖エピトープを含む、請求項1記載の組成物。 該糖鎖エピトープが細菌に由来する、請求項8記載の組成物。 該糖鎖エピトープがウイルスに由来する、請求項8記載の組成物。 該糖鎖エピトープががん細胞に由来する、請求項8記載の組成物。 該糖鎖エピトープが真菌に由来する、請求項8記載の組成物。 該糖鎖エピトープが寄生虫に由来する、請求項8記載の組成物。 該PADREペプチドが更に脂質に共有結合する、請求項1記載の組成物。 該脂質がパルミチン酸を含む、請求項14記載の組成物。 該脂質がPAM2K(Kはリシン残基であり、PAMはパルミチン酸残基である。)である、請求項15記載の組成物。 該脂質が該PADREペプチドのN末端に結合する、請求項14記載の組成物。 R3の各アミノ酸が、独立してアラニン、イソロイシン、セリン及びバリンからなる群より選ばれる、請求項1記載の組成物。 R5の各アミノ酸が、独立してアラニン、セリン及びバリンからなる群より選ばれる、請求項1記載の組成物。 R1がD-アラニン、続いてL-アラニン又はL-リシンであり;R2がシクロヘキシルアラニン又はフェニルアラニンであり;R3の各残基がL-アラニン、イソロイシン及びバリンからなる群より選ばれ;R5が2又は4個のL-アラニン、続いてD-アラニンである、請求項1記載の組成物。 R1がL-アラニン、続いてL-アラニン又はL-リシンであり;R2がシクロヘキシルアラニン又はフェニルアラニンであり;R3の各残基が、L-アラニン、イソロイシン及びバリンからなる群より選ばれ;R5が2又は4個のL-アラニン、続いてL-アラニンである、請求項1記載の組成物。 該PADREペプチドが、aAXAAAKTAAAAa、aAXAAAATLKAAa、aAXVAAATLKAAa、aAXVAAATLKAAa、aAXIAAATLKAAa、aKXVAAWTLKAAa及びaKFVAAWTLKAAa(aはd-アラニンであり、AはL-アラニンであり、Xはシクロヘキシルアラニンであり、Kはリシンであり、Tはトレオニンであり、Lはロイシンであり、Vはバリンであり、Iはイソロイシンであり、Wはトリプトファンであり、Fはフェニルアラニンである。)からなる群より選ばれる、請求項1記載の組成物。 該PADREペプチドがaKXVAAWTLKAAaである、請求項22記載の組成物。 該PADREペプチドが、AAXAAAKTAAAAA、AAXAAAATLKAAA、AAXVAAATLKAAA、AAXVAAATLKAAA、AAXIAAATLKAAA、AKXVAAWTLKAAA及びAKFVAAWTLKAAA(AはL-アラニンであり、Xはシクロヘキシルアラニンであり、Kはリシンであり、Tはトレオニンであり、Lはロイシンであり、Vはバリンであり、Iはイソロイシンであり、Wはトリプトファンであり、Fはフェニルアラニンである。)からなる群より選ばれる、請求項1記載の組成物。 該PADREペプチドが、AAXAAAKTAAAAa、AAXAAAATLKAAa、AAXVAAATLKAAa、AAXVAAATLKAAa、AAXIAAATLKAAa、AKXVAAWTLKAAa及びAKFVAAWTLKAAa(aはD-アラニンであり、AはL-アラニンであり、Xはシクロヘキシルアラニンであり、Kはリシンであり、Tはトレオニンであり、Lはロイシンであり、Vはバリンであり、Iはイソロイシンであり、Wはトリプトファンであり、Fはフェニルアラニンである。)からなる群より選ばれる、請求項1記載の組成物。 該PADREペプチドが、aAXAAAKTAAAAA、aAXAAAATLKAAA、aAXVAAATLKAAA、aAXVAAATLKAAA、aAXIAAATLKAAA、aKXVAAWTLKAAA及びaKFVAAWTLKAAA(aがD-アラニンであり、AがL-アラニンであり、Xがシクロヘキシルアラニンであり、Kがリシンであり、Tがトレオニンであり、Lがロイシンであり、Vがバリンであり、Iがイソロイシンであり、Wがトリプトファンであり、Fがフェニルアラニンである。)からなる群より選ばれる、請求項1記載の組成物。 薬学的に許容しうる担体、非タンパク質性抗原決定基及び50残基未満のPADREペプチドを含み、該PADREペプチドが、N末端からC末端へ進む式R1-R2-R3-R4-R5を有することを特徴とする医薬組成物。(式中、R1は少なくとも2残基からなり;R2はシクロヘキシルアラニン残基、チロシン残基、フェニルアラニン残基、及びその同類置換からなる群より選ばれ;R3は3〜5残基であり;R4はトレオニン−ロイシン−リシン、リシン−トレオニン、トリプトファン−トレオニン−ロイシン−リシン、及びその同類置換からなる群より選ばれ;R5は少なくとも2残基からなる。) アジュバントを更に含む、請求項27記載の組成物。 該アジュバントがフロイント完全アジュバント又はフロイント不完全アジュバントである、請求項28記載の組成物。


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