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タイトル:特許公報(B2)_抗炎症活性を有する脂質抽出物
出願番号:1997511499
年次:2008
IPC分類:A61K 35/56,A61K 47/44,A61P 19/02,A61K 9/06


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マークライズ,セオドア カラファティス,ニコレット JP 4101876 特許公報(B2) 20080328 1997511499 19960910 抗炎症活性を有する脂質抽出物 ファーマリンク・インターナショナル・リミテッド 青山 葆 中嶋 正二 マークライズ,セオドア カラファティス,ニコレット AU PN5311 19950911 20080618 A61K 35/56 20060101AFI20080529BHJP A61K 47/44 20060101ALI20080529BHJP A61P 19/02 20060101ALI20080529BHJP A61K 9/06 20060101ALI20080529BHJP JPA61K35/56A61K47/44A61P19/02A61K9/06 A61K 35/00 - 35/76 A61K 36/00 - 36/9068 A61K 38/00 - 38/58 A61K 39/00 - 39/44 A61K 45/00 - 45/08 A61K 48/00 BIOSIS(STN) CA(STN) MEDLINE(STN) 特開昭55−147223(JP,A) 特表昭61−502463(JP,A) 特表2000−505777(JP,A) Chemi.Pharm.Bull.(1986), Vol.34, No.11, p.4825-4828 Agents and Actions (1993), Vol.38, p.C139-142 NewZealand Medical Journal (1982), Vol.95, No.720, p.803-806 Arzneimittel Forschung/Drug Research (1980), Vol.30(II), p.2128-2132 14 AU1996000564 19960910 WO1997009992 19970320 1999512400 19991026 16 20030807 佐久 敬 発明の分野本発明は、一般に、ニュージランド緑色唇状ムラサキイガイ、ペルナ・カナリキュラス(Perna canaliculus)および青色ムラサキイガイ、ミチラス・エデュリス(Mytilus edulis)を含むムラサキイガイの脂質抽出物である、抗炎症活性、特に抗関節炎活性を有する製剤に関する。発明の背景現在、副作用が減少し、インビボ活性が長くなった新規抗炎症薬剤および抗関節炎薬剤、特に関節症の進行を緩和する化合物の医学的需要が多大である。植物および他の生細胞は、ヒトに対する薬理学的作用を有する化合物の巨大な宝庫である。天然物はしばしば有効な薬剤の供給源であったし、後に、これらの天然物、特に有益性が言われる天然物の分析に関心が増大してきた。海洋生物体は、薬理学的作用剤として働き炎症の処置に役立ち得る代謝物を含んでいる。ペルナ・カナリキュラス(ニュージランド緑色唇状ムラサキイガイ)の抗炎症活性は、最初は白血病に対する薬理学的研究の一部であった。ペルナ・カナリキュラスの抗炎症活性の初期検討は、まずラットの多発関節炎モデル1を用いて行われた。しかしながら、これらの研究では、ムラサキイガイ製剤に顕著な抗炎症活性が存在することはなんら示されなかった。一方、MillerおよびOrmrod2は、カラゲナン誘発足浮腫検定3を用いて、ムラサキイガイ製剤が、腹腔内投与されたときに、カラゲナン誘発ラット足浮腫の膨張を顕著に減少せしめるのを示す事ができた。次に、彼らは、抗炎症活性を有するムラサキイガイ製剤から非透析性、水溶性の分画を得た。この水性抽出物は、腹腔内投与したときには用量依存性の抗炎症活性を示したが、ムラサキイガイ粉末の経口投与では、この活性は認められなかった。従って、水溶性分画が明白な抗炎症活性を有する刺激性成分を含むことが示唆された。RainfordおよびWhitehouse4も、ラットに経口投与された全ムラサキイガイの凍結乾燥粉末製剤が、カラゲナン誘発足浮腫検定においてある緩和な抗炎症活性を示したこと、およびこの物質がラットおよびブタにおいていくつかの非ステロイド性抗炎症剤による胃潰瘍形成を顕著に減少させたことを報告した。ヒト患者における慢性関節リウマチおよび骨関節症の両方の処置に全ムラサキイガイ抽出物を使用することも報告されている5。溶媒抽出技術を用いて製造したペルナ・カナリキュラス粉末から分離された脂質抽出物に基づく、本発明に至るまでの初期の研究では、(水性分画についてのそれ以前の研究と対照的に)脂質分画が、適当なモデル系で試験したときに、抗炎症活性を多少示すことを明確にした。確実なペルナ・カナリキュラスおよびミチラス・エデュリス脂質抽出物供給源が、その後超臨界流体抽出法(SFE)により入手可能となった。この脂質抽出物は、以前の溶媒抽出法で得られた脂質抽出物についての物理データと一致する、強い紫外線吸収特性を示す暗黄褐色の粘性油として得られる。発明の概要一態様として、本発明は、ペルナ・カナリキュラス(Perna canaliculus)またはミチラス・エデュリス(Mytilus edulis)の脂質抽出物の有効量を患者に投与することを含んでなる、ヒトまたは動物患者の抗炎症処置法を提供する。他の態様では、本発明は、組成物の有効成分としてペルナ・カナリキュラスまたはミチラス・エデゥリスの脂質抽出物を、1またはそれ以上の医薬的に許容される担体および/または希釈剤と共に含んでなる、抗炎症組成物を提供する。更にその他の態様では、本発明は、ヒトまたは動物患者の抗炎症処置用組成物の製造におけるペルナ・カナリキュラスまたはミチラス・エデュリスの脂質抽出物の使用も含む。発明の詳細な説明本明細書で使用した用語“抗炎症処置”および“抗炎症組成物”は、総括的に骨関節症および慢性関節リウマチなどの関節炎症状を含む炎症症状、並びに多発硬化症および様々なウイルス感染の処置における炎症症状の処置または処置用組成物にかかわる。かかる処置に使用する化合物の活性は、本明細書に詳細に説明したように、標準検定を用いて、例えば、カラゲナン誘発足浮腫検定を用いて、または実験的多発関節炎の発症または進行を有益に制限する能力により、示すことができる。好ましくは、本発明の処置または組成物に使用される脂質抽出物は、抽出媒体として低温液体(低温液体CO2など)を用いる、凍結乾燥粉末ムラサキイガイの超臨界流体抽出法(SFE)により製造される抽出物である。溶媒抽出技術と比較して、低温液体CO2を用いる超臨界流体抽出法では、非極性脂質、特に、遊離脂肪酸に富む脂質抽出物が得られる。脂質抽出物の正確な組成はまだ確立されていないが、(不飽和脂肪酸を含む)遊離脂肪酸だけでなく、トリグリセライドおよびコレステロールエステルも含有することが分かっている。各種の投与経路を利用できる。選択する個々の用法は、もちろん処置される個々の症状や治療効果をもたらすのに必要な投与量によって変わる。本発明の方法は、一般的に言えば、医薬的に許容されるあらゆる用法、即ち、臨床的に許容できない逆効果を引き起こすことなく、本発明の有効成分の治療レベルを生ずるあらゆる用法を用いて実施できる。かかる用法には、経口、経直腸、局所、経鼻、経皮または非経口(例えば、皮下、筋肉内および静脈内)経路がある。特に、本発明の脂質抽出物は、経口、皮下および経皮投与した場合に有効であることが分かっている。この脂質抽出物を経皮投与すると予想外の抗炎症活性を持つことが分かっているので、脂質抽出物の経皮投与は特に好ましい用法である。本発明の組成物は、適宜、単位剤型で与えることができ、また薬学分野でよく知られている方法のいずれにより製造してもよい。かかる方法には、1またはそれ以上の副成分を構成する担体と有効成分とを配合する工程を含む。一般に、この組成物は、液体担体または微粉砕固体担体あるいはその両者を均質かつ入念に混合して、次いで、必要ならば、生成物を成形して、製造される。経口投与に適した本発明の組成物は、カプセル、カシェ剤、錠剤またはトローチ剤などの個別剤型単位として与えることができ、それぞれリポソーム中に、またはシロップ、エリキシルまたは乳液などの水性液体または非液体中の懸濁液として、予め定めた量の有効成分を含有する。非経口投与に適した組成物は、適宜、好ましくはレシピエントの血液と等張である有効成分の滅菌水性製剤を含む。この水性製剤は、適切な分散剤または湿潤剤および懸濁剤を用いて既知の方法に従い製剤化できる。滅菌注射用製剤は、非毒性の非経口的に許容できる希釈剤または溶媒中の滅菌注射溶液または懸濁液として、例えば、プロピレングリコールおよび乳酸中の溶液として製剤化できる。採用され得る許容できる媒体および溶媒の中には、水、リンゲル液および塩化ナトリウム等張溶液がある。更に、滅菌不揮発油は、常用の溶媒または懸濁媒体として採用される。この目的には、合成モノまたはジグリセライドを含むいかなる低刺激性不揮発油も採用できる。更に、オレイン酸などの脂肪酸も、注射剤の製造に使用できる。経皮投与に適する組成物は、軟膏またはローション基剤または媒体中に有効成分を含み、そして、有効成分の投与を補助する皮膚浸透増強剤を含んでいると好都合である。適切な基剤または媒体は、単独でまたはジネオールまたはリモネンなどの浸透剤と共に投与される、オリーブ油またはエミュー油などの油である。その他の薬物送達システムには、遅延放出薬物送達システムがあり得る。好ましい遅延放出薬物送達システムは、遅延放出ペレットまたはカプセル中の本発明の有効成分を放出させることができるようなものである。多くの種類の遅延放出薬物送達システムが利用できる。これらには、(a)有効成分がマトリックス内に含有されている侵触性システム、および(b)有効成分がポリマーを通って制御速度で浸透する拡散性システムがあるが、これらに限定されない。このような治療用組成物の処方は、当業者にはよく知られている。適切な医薬的に許容される担体および/または希釈剤は、ありとあらゆる常用溶媒、分散媒体、充填剤、固形担体、水溶液、コーティング剤、抗菌および抗真菌剤、等張剤および吸収遅延剤などを含む。このような媒体および製剤成分を医薬活性物質のために使用することは、当分野ではよく知られた技術であり、例えば、Remington’s Pharmaeutical Sciences, 18th Edition, Mack Publishing Company, Pennsylvania, U.S.A.に記載されている。いずれかの常用の媒体または製剤成分が有効成分と非適合性であるような場合を除き、本発明の医薬組成物においてその使用は意図されるものである。この組成物中には補効的な有効成分もまた含めることができる。経口または経皮投与が、患者の都合から多くの状況において好まれるが、ある種の処置療法では局部的な薬物の遅延送達がより望ましい場合もある。有効成分は、治療有効量で投与する。治療有効量とは、少なくとも部分的に所望の効果を獲得し、または処置される特定症状の発症を遅延させ、その進行を阻害し、またはその発症または進行を全体的に停止させるのに必要な量を意味する。かかる量は、もちろん処置する個々の症状、病状の重篤度、および年齢、体調、サイズ、体重および併用処置を含む、個々の患者のパラメーターにより変わってくる。これらの要因は、当業者にはよく知られており、また、常用の実験のみで取り扱える。一般的に、最大用量、即ち、正しい医学的判断による最高安全用量を用いるのが好ましい。しかしながら、当業者には、医学的理由、心理学的理由またはその他の実際的理由により、より低い用量または受容可能用量が投与される場合もあることが理解されるであろう。特に、投与の容易さおよび投与量の均一さのために、単位剤型で組成物を処方するのが有利である。本明細書で使用される単位剤型とは、処置されるヒトまたは動物患者に対する一定投与に適した物理的に別個の単位を表し、各単位は、必要とされる製薬用担体および/または希釈剤と共に、所望の治療効果が生じるように算出した予め定めた量の有効成分を含有する。本発明の新規単位剤型の詳細は、(a)有効成分に独特の特性および達成されるべき特定の治療効果、および(b)特定の処置のためにかかる有効成分を配合する技術に固有の制限、によって定まり、かつそれらに直接的に左右される。一般に、有効成分の毎日用量は、1日当たり約0.01mg/kgから1日当たり約1000mg/kgである。最初に少量(0.01−1mg)を投与して、続いて1日当たり約1000mg/kgまで増やしていってもよい。このような用量では被検体の応答が不十分である場合、患者の耐性の容認限界までより高用量(または異なる、より局部的送達経路による高有効用量)を採用することもできる。有効成分の適切な全身レベルを達成するため、1日当たり複数の用量が考慮される。本明細書を通じて、文脈的に他の意味が付加されていない限り、用語“含む”またはその変形“含んでなる”または“含んでいる”は、記載された集合体または集合体の群を包含することを意味するが、その他の集合体または集合体群の排除を意味していないと理解される。本発明の更なる特質は、下記の実施例により十分に説明する。しかしながら、この詳細な説明は、単に本発明を例示する目的で加えたものであり、上記した本発明の広い記述をいかなる方法においても制限するものでないと理解される。実施例1A 脂質抽出物の製造A.1 原料物質緑色唇状ムラサキイガイ(ペルナ・カナリキュラス(Perna canaliculus))をニュージランドの南岸で採取し、その時点でムラサキイガイ全体を酒石酸で安定化する。凍結乾燥により粉状の乾燥末を得る。A.2 脂質の抽出超臨界流体抽出法(SFE)を用いて、粗製ムラサキイガイ末から生物活性脂質を抽出する。低温液体CO2を抽出媒体として用いる。このCO2を大気圧まで膨張させると、抽出物が濃縮油となる。粉末の3−3.5%の油を得る。A.3 粗製油の性状抽出油は、オレンジアンバー色であり、室温で粘稠な液体である。抽出物は、4℃以下に保存し、窒素気中で取り扱う。粗製油は、強いUV活性を示し、二重結合部分の重合化を最小にするために光線から保護する。B パイロットスケール超臨界流体抽出法凍結乾燥モエギイガイ、ペルナ・カナリキュラス(Perna Canaliculus)粉末中の全脂質の抽出が、オーストラリア、ビクトリア州、ウェリビー食品研究所(Department of Agriculture, Werribee, Vic., Australia)でのパイロットスケールSFEで行われた。B.1 機器抽出は、5つの基礎サブユニットから構成されるパイロットスケール抽出ユニット(Distillers MG社、英国)中で行われた。5つの基礎ユニットは:二酸化炭素供給、固体抽出、一次分離、蒸留およびテーリングの各ユニットを含む。二酸化炭素供給ユニットは、平行に連結し、適時再充填のため秤量秤上に設置した2個のCO2シリンダーから構成される。抽出ユニットには液体SC−CO2およびSC−CO2が供給され得る。この作業のためSFEユニットはSC−CO2を使用して操作される。固体材料を濾過カラム中に置き、そして一次分離器が減圧による抽出材料の分離(抽出物を沈殿させる)、吸収または液体抽出を容易にする。液体抽出物は蒸発ユニットに行き、内部熱管の使用によりCO2を蒸発する。蒸気は、揮発油を含み得、次いでテーリングカラムに移り、純粋液体CO2により洗浄される。テーリングユニットは、蒸発ユニットからの気体CO2を捕捉し、揮発油成分を蒸発器に戻す。B.2 パイロットプラント抽出手順ムラサキイガイ末(300g)を抽出ユニット(濾過カラム)に充填した。SC−CO2を流速3.0kg/hで1抽出当たり2時間、供給した。抽出器温度を40℃に、抽出器圧力を310bar(4,500psi)に設定した。抽出器温度を40℃で一定に保った。ムラサキイガイの脂質抽出物は、褐色密封容器中に入れ窒素雰囲気下、−10℃で保管した。実施例2実施例1に記載のSFEにより製造したペルナ・カナリキュラスの脂質抽出物(以下“PCO”と称す)をカラゲナンラット浮腫検定にて急性抗炎症活性について、またラットにて実験的に誘発される多発関節炎に対する抗関節炎活性について検定した。ペルナ・カナリキュラスの市販の凍結乾燥粉末製剤であるSeatone(登録商標)を用いて比較試験を実施した。A. 方法PCOを−20℃で維持した。痕跡量のヘキサンは使用前に除去しなかった。製剤を24時間だけ4℃でねかした。A.1 抗炎症検定雌ウィスター・ラット(180−220gm)に予め試験製剤を経口または腹膜内投与した。40分後、それらを各後足に0.6mgNaカラゲナン含有食塩水0.1mlと共に注射した。その結果生じた足浮腫を、1および2時間後スクリューゲージマイクロメーターで足厚の増大を測定することにより定量した。アスピリンのED50は、この急性検定ではおよそ150mg/kgである。[浮腫は、このカラゲナン投与の3時間後に減退する。]A.2 抗関節炎検定この検定は、より多くの時間を消費するが、(i)急性検定にて作用するような抗炎症薬剤(ただし、ED50値が低い場合が多い)だけでなく、(ii)明らかに独特の関節炎抑制特性を有するが、抗浮腫/抗発熱性でも、また急性検定において検出可能でもない、その他の薬剤、例えばクロブザリット(Clozic▲R▼)またはロベンザリット(CCA)も検出するので、急性検定(上記)よりも価値がある。使用したプロトコールは、0日目に関節炎原を注射することにより疾病を先定し、足炎症の第1兆候(通常12〜12日目に現れる)を探し、次いで、4日間動物を試験物質で処理するものである。この期間に非処理対照動物の足炎症が迅速に“異常発生(blooms)”して14日目に最大近くに到達する。この時間枠中に足膨張を抑制するように働く薬剤は、確かに抗徴候性であるが、疾病融解性(disease-ablating)であることはめったにない。処置を止めると、通常、徴候が再発する。しかしながら、これは、a)薬剤は有限の作用を有するが、回復の迅速性(またはその他)によりその作用存続期間がある程度分かり;さらにb)14日目で最少の疾病兆候を有する動物が、元の関節炎原に応答できない(即ち、偽陰性)のではなくむしろ陽性薬剤作用を表したことを明らかに示すので、この検定の肯定的特質である。この検定の正確な記述は“遅延予防法”である。14日後まで処置を遅らせることにより、明らかに“治療的活性”を見いだすことができるが、変化は(強力なNSAIDをもってしても)4日以内でゆるやかかまたはごく僅かであり得るため、適切なデータの収集は困難である。使用したプロトコールの詳細は:関節炎原=0.1mlスクアラン中に懸濁させた800mcg熱滅菌マイコバクト・ツベルクロシス(Mycobact tuberculosis)を血管を避け、リンパ管への最適な排出を促進するような様式で雌ウィスターラット(160〜200gm)の尾の付け根に注射する。10日後、この動物の体重を測り、前足および尾の厚さを計測し、前足の炎症兆候を0ないし4+の規模でスコアする。1日1回4日間試験化合物を投与した後(即ち、関節炎原の後、10ないし13日)、14日および18日目にこれらの測定を繰り返し(即ち、処置完了後および再発4日後に再び)、関節炎の発生を監視する。試験製剤を経皮投与する場合、10日目に動物の首の後ろを軽く麻酔(Forthane)して剃毛し、皮膚面積=約6cm2を露出させる。製剤を1日1回3分間摩擦しながら1用量=2.5ml/kg(即ち、およそ0.5ml/ラット)与える。第1投与は、処置前に皮膚剥離がないことを確実にするために剃毛後6時間で与える。抗発熱検定食塩水に懸濁させた乾燥醸造用酵母2gm/kgを午後11時に若年ラット(160gm以下)に接種した。午前8時に、その直腸温を測定した。その後、午前9時に、安定な熱(39.2℃以上の温度)を示すものに試験化合物を投与した。パラセタモール(Paracetamol)150mg/kgを対照として使用した。B. 結果急性抗炎症活性(表1)表1は、SeatoneもPCOも短期間検定では抗浮腫活性を現さないことを示している。相剰薬との同時投与もなんら効果がなかったが、イブプロフェンの効果は増幅した。抗関節炎検定(表2)表2は、関節炎ラットに4日間連続1回用量50mg/kgで経口(p.o.)または皮下(s.c.)のいずれか、または経皮(t.d.)投与したPCOの最初の2試験の結果を示す。市販の精製オリーブ油(Vetta)にPCOを希釈して、3種の用法(p.p./s.c./t.d)全てにおいて同じ試験用ストック溶液とした。オリーブ油(OO)基剤は、殆ど酸素を含まず、僅かに金属触媒を含有するため、多くの非安定(不飽和)化合物に対する“維持(keeping)”特性を有する。経皮製剤は、OOストック皮膚浸透増強剤(PE)を20%v/vの相対的に高い割合で加えることにより製造した。使用したPEはシネオール(オイカリプトール)、サリチル酸メチル(=冬緑油)またはイソプロパノール(=消毒用アルコール)であった。PCO−サリチル酸グループは、恐らく、最も反応が低いと思われ、このサリチル酸エステルとPCOの主成分との間に何等かの(負の)相互作用が現れると考えられる。実施例3この実施例は、ペルナ・カナリキュラスの脂質抽出物(PCO)の抗関節炎および急性抗炎症活性に対する更なる実験の結果を記述しており、PCOがオリーブ油媒体中、経口または経皮的のいずれかで与えた場合に、10mg/kgまで下げても活性であり、2.5mg/kgでさえ可能であることを示す。抗関節炎活性p.o.またはt.d.投与した場合に関節炎ラットにおいて抗炎症活性を示すことが分かった50mg/kgレベルよりも少ない用量でPCOを評価するために2つの実験を設定した(実施例2参照)。第1実験(表3のA)では、オリーブ油製剤が経口投与により2.5mg/kgまで下げても活性であることを示した。投与を止めても3つの処置グループ全てにおいて続く4日間にわたり顕著な再発が見られた。経皮投与を用いる第2実験(表3のB)では、20%シネロール(v/v)で“薄めた”オリーブ油製剤は、10mg/kgまで下げても良好な活性を示した。2.5mg/kgでの結果は、完全な“再発”(数匹の動物が“偽陽性”=元の関節炎原に対する低反応体である可能性もある)が起こったか明らかでないため、仮りの値にすぎない。20%D−リモネンを含むオリーブ油または非油性媒体(20%v/vプロピレングリコールを含むイソプロパノール−後者は皮膚乾燥を最少にするために加える)を基剤とするその他の経皮製剤は、明らかに、元のシネオール含有オリーブ油投与系ほど十分なものではなかった。アルコール媒体は、恐らく、オリーブ油とは逆にPCOの分解を促進するようである。抗炎症活性カオリン誘発足浮腫は、その炎症がカラゲナンを用いて誘発させた場合(3時間後に減退する)よりもゆるやかに発生するため、PCO用に考えられる検定として調査した。プロトコールは、ラットに水(p.o.)または食塩水(i.p.)のいずれか中0.02%トゥイーンを用いて調製した分散剤としてPCOをp.o.またはi.p.の両方で投与後40分で、水(カオリンが凝集する食塩水ではない)に懸濁させたカオリン5mgを各後足に注射することを含む。次いで、カオリン注射後2時間および5時間で足膨張を読み取る。1グループ当たり2匹のラットのみを用いる1の実験の結果(表4)は、不明瞭であったが、経口投与は、若干、抗浮腫活性があるといえる。そのi.p.PCO/食塩水乳液は、物理的に十分なものではなく、不活性のようである。実施例4この実施例は、アジュバント誘発多発関節炎を発症している雌ウィスターラットに予防的に投与した場合の、ペルナ・カナリキュラスの脂質抽出物(PCO)および健康食品小売市場にて入手できる様々なその他の油の効果を示す(実施例2参照)。処置は、次の6グループ(n=1グループ当たりラット5匹)で行った:A:非処置対照グループB:固定油(Barleaus);2000mg/kg体重/日C:マツヨイグサ油(Efamol);2000mg/kg体重/日D:ノルウェーサーモン油(J.R.Carlson);2000mg/kg体重/日E:MAXEPA(Solgar);2000mg/kg体重/日F:PCO;20mg/kg体重/日この結果は、関節炎の足の膨張を非処理対照グループAのパーセントとして表した表5に示す。これらの結果は、PCOがEPAよりも200倍強力であり、マツヨイグサ油よりも350倍強力であることを示している。実施例5この実施例は、PCO、不安定化ムラサキイガイ全抽出物(GL Mussel NZ)、安定化ムラサキイガイ全抽出物(GL Mussel Aust)、セルリー種子油およびインドメタシンを用いたラットにおける関節炎炎症の治療的処置を示す。この場合、マイコバクテリア関節炎原を接種した後10日に関節炎の第1兆候を示したラットを試験物質で4日間のみ経口的に処置した。試験物質の効果は、対照グループHと比較した場合の14日目の後足厚の増大として測定した。結果は表6に示しており、PCOがこのモデルではインドメタシンよりも効果的であることを示している。実施例6この実施例は、ラットにおけるコラーゲン(II)誘発自己アレルギー性関節炎について試験した凍結乾燥全ムラサキイガイ粉末(Seatone(登録商標))、およびイブプロフェン(Nurofen(登録商標))と比較した場合のペルナ・カナリキュラスの脂質抽出物(PCO)の効果を比較する更なるデータを提供する。抗関節炎検定試験動物を感作するために、非関節炎原アジュバントと共にコラーゲン(II)を注射することにより、コラーゲン(II型)誘発多発関節炎を雌ウィスターラットにて誘発させた。表7は、試験物質による治療(即ち、遅延性)処置で得られた結果を示す。関節炎の最初の兆候から8日まで処置を遅らせ、次いで、14日まで(即ち、毎日投与7回)処置を続けて、15日目に関節炎を評価し、18日目に再評価した。後者は、投与を止めた時点で再発を示した。オリーブ油(8mg/ml)に希釈後、PCOを経口的に与えるが、20mg/kg与えるために2.5ml/kg/日を投与した。その結果は、20mg/kgのPCOが治療処置において、300mg/kgの安定化ムラサキイガイ抽出物(Seatone)および50mg/kgのイブプロフェン(Nurofen)と同程度効果的であることを示す。表8は、試験物質の予防的処置および治療的処置の両方で得られた結果を示す。予防的処置は、1日から13日(即ち、計15回分)経口的(p.o.)に行った。治療的処置は、9日から13日(即ち、計5回分)経皮的(t.d.)に投与した。PCOを2.5ml/kg/日のp.o.投与量で15mg/kg与える場合オリーブ油(6mg/ml)に希釈し、2ml/kg/日のt.d.投与量で20mg/kg与える場合オリーブ油シネオール(17.3v/v)に希釈した。この実験には、対照抗関節炎薬剤として与えたオーロチオリンゴ酸ナトリウム(ATM=Mycocrysin(登録商標))も含まれており、食塩水中、6.3mg/kg(これより多い用量は有毒であった)で2日毎に(計=8回分)皮下投与した。ATMで処理した動物の相対的に高い重量増加は誤解されることもあり、これは恐らく、慢性炎症に関連する通常の体重減少が有益に低下したというよりも、初期腎臓損傷(排尿障害)の兆候であると思われる。Seatone(登録商標)は300mg/kgでp.o.投与し、Nurofen(登録商標)は50mg/kgでp.o.投与し、オーロチオリンゴ酸Na(ATM)は6.3mg/kgで8服皮下(s.c.)投与した。結果は、20mg/kgで経皮投与した場合PCOが特に効果的であること、および15mg/kgのPCOは300mg/kgのSeatoneおよび50mg/kgのNurofenと同程度に効果的であることを示す。胃毒性検定胃毒性研究は、薬剤療法ではなく、コラーゲン(II型)により引き起こした慢性関節炎を持つ雌ウィスターラットにて実施した。動物を一晩断食させた後、経口投与用にアスピリンおよびPCOを0.04%トゥイーン−20で懸濁させた。投与用量は30mg/kgであった。表9は、PCOが有効用量の20倍で与えても事実上無害であることを示している。しかしながら、この高用量(300mg/kg)は、標準抗関節炎検定(アジュバント誘発ラット多発関節炎)におけるアスピリンの有効な用量であり、その用量でアスピリンはかなりの胃損傷を引き起こし得る。参照1.Cullen,J.C.,Flint,M.H.and Leider,J.(1975). N.Z. Med.J.81:260-261.2.Miller,T.E.and Ormrod,D.J.(1980). N.Z. Med. J. 92: 187-193.3.Winter,C.A.,Risely,E.A. and Nuss,G.W.(1962). Proc. Soc. Exp. Biol. Med. 111: 544-547.4.Rainsford,K.D. and Whitehouse,M.W.(1980)Arzneim.-Forsch./Drug Res. 3 (ii), 2128-2132.5.Gibson,R.G.,Gibson,S.L.M.,Conway,V. and Chappel,D.(1980). The Practitioner 224:955-960.6.Whitehouse,M.W. “Adjuvant-Induced Polyarthritis in Rats”, in Handbook of Animal Models for the Rheumatic Diseases, Vol.1, pages 3-16,Editors R.A. Greenwald and H.S. Diamond,CRC Press, Inc., Boca Raton, Florida, USA. 非極性脂質に富むペルナ・カナリキュラスの脂質抽出物を含み、該脂質抽出物がペルナ・カナリキュラスの凍結乾燥粉末の超臨界流体抽出により調製される、ヒトまたは動物患者の抗炎症処置用剤。 該超臨界流体抽出において低温液体CO2を使用する、請求項1に記載の処置用剤。 該処置用剤が経口または皮下投与により投与される、請求項1または2に記載の処置用剤。 該処置用剤が経皮投与により投与される、請求項1または2に記載の処置用剤。 該抗炎症処置が関節炎の処置である、請求項1ないし4のいずれかに記載の処置用剤。 1またはそれ以上の医薬的に許容できる担体および/または希釈剤と共に、非極性脂質に富むペルナ・カナリキュラスの脂質抽出物を組成物の有効成分として含み、該脂質抽出物が超臨界流体抽出法により調製されるものである、抗炎症組成物。 該超臨界流体抽出法において低温液体CO2を使用する、請求項6に記載の組成物。 該組成物が該有効成分の経口または皮下投与用に製剤化される、請求項6または7に記載の組成物。 該組成物が該有効成分の経皮投与用に製剤化される、請求項6または7に記載の組成物。 軟膏またはローション基剤または媒体を含む、請求項9に記載の組成物。 さらに皮膚浸透増強剤を含む、請求項10に記載の組成物。 該基剤または媒体が油を含んでなる、請求項10または11に記載の組成物。 該油がオリーブ油またはエミュー油である、請求項12に記載の組成物。 該皮膚浸透増強剤がシネオールまたはリモネンである、請求項11に記載の組成物。


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