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タイトル:特許公報(B2)_蛍光免疫測定方法
出願番号:1997355332
年次:2008
IPC分類:G01N 33/542,A61B 10/00,C09B 11/02,C09B 11/12,G01N 33/53,G01N 33/533


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治部 雅貴 JP 4153068 特許公報(B2) 20080711 1997355332 19971224 蛍光免疫測定方法 浜松ホトニクス株式会社 000236436 長谷川 芳樹 100088155 寺崎 史朗 100092657 治部 雅貴 20080917 G01N 33/542 20060101AFI20080828BHJP A61B 10/00 20060101ALI20080828BHJP C09B 11/02 20060101ALI20080828BHJP C09B 11/12 20060101ALI20080828BHJP G01N 33/53 20060101ALI20080828BHJP G01N 33/533 20060101ALI20080828BHJP JPG01N33/542 AA61B10/00 EA61B10/00 UC09B11/02C09B11/12G01N33/53 BG01N33/533 G01N 33/542 A61B 10/00 C09B 11/02 C09B 11/12 G01N 33/53 G01N 33/533 特開平09−005324(JP,A) 特開平03−118472(JP,A) 7 1999183477 19990709 14 20041015 竹中 靖典 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、蛍光免疫測定方法に関するものである。【0002】【従来の技術】生体内での代謝物質や環境中での汚染物質の変化の過程において微量物質の高感度分析方法として従来から蛍光を利用した免疫測定方法(FIA)が知られている。係る方法は、一般的に、抗原抗体反応に基づき、検出用としてラベル化された蛍光色素の蛍光強度の測定に基づくものである。【0003】従って、従来の抗原抗体反応を利用した蛍光免疫測定方法はその色素が蛍光性であるため、非特異吸着等によるバックグラウンド蛍光が大きく、検出感度が減少するという問題があった。さらに、実時間で測定することが困難であるという問題があった。【0004】【発明が解決しようとする課題】本発明は、通常の測定条件下においては実質的に蛍光性でない色素を用い、抗原抗体反応に基づき該色素分子の分子内運動を抑制することにより該色素を発蛍光性とすることにより、測定系からの種々のバックグラウンド蛍光による影響を抑制し、高感度、かつ実時間の蛍光免疫測定を可能とする方法を提供することを目的とするものである。【0005】【課題を解決するための手段】以上の問題点を解決するために、本発明に係る免疫測定方法は、本発明者により開発された特定の抗体であって(特開平9−5324)、被検体に実質的に蛍光性でない色素を有する被検体色素複合体を抗原とする抗体を用いるものである。【0006】すなわち、本発明に係る免疫測定方法は、図1にその一般的概念を、またその実施の態様の一例である競合方法を図3に模式的に示したように、上記抗体と上記抗原とが免疫反応を起こし、その結果実質的に蛍光性でなかった色素が抗体と相互作用することにより蛍光性となり、試料中に存在した抗原の量を定量することを可能とするものである。【0007】すなわち、本発明は、被検体の蛍光免疫測定方法であって、(1) 被検体に実質的に蛍光性でない色素を結合して被検体色素複合体を調製する工程と、(2) 前記被検体色素複合体を抗原とする抗被検体色素複合体抗体を調製する工程と、(3)前記被検体存在下で、前記抗被検体色素複合体抗体に対する前記被検体色素複合体との抗原抗体反応に基づく前記色素の蛍光強度の変化を測定する工程とを有することを特徴とする蛍光免疫測定方法を提供するものである。【0008】また、本発明は、前記抗被検体色素複合体抗体がIgG画分であることを特徴とする上記記載の蛍光免疫測定方法を提供するものである。【0009】また、前記被検体が、インシュリンであることを特徴とする上記記載の蛍光免疫測定方法を提供するものである。【0010】さらに、本発明は、前記色素が、トリフェニルメタン構造を有することを特徴とする上記記載の蛍光免疫測定方法を提供するものである。【0011】また、本発明は、前記トリフェニルメタン構造を有する色素がマラカイトグリーンであることを特徴とする上記記載の蛍光免疫測定方法を提供するものである。【0012】また、本発明は、前記色素が、ジフェニルメタン構造を有することを特徴とする、上記記載の蛍光免疫測定方法を提供するものである。【0013】さらに、本発明は、前記ジフェニルメタン構造を有する色素がオーラミンOであることを特徴とする上記記載の蛍光免疫測定方法を提供するものである。【0014】以下、本発明を詳細に説明する。【0015】(実質的に蛍光性でない色素)本発明において使用可能な色素は、水中等通常の溶媒中で実質的に蛍光性を示さないもの、または蛍光性を示すが弱いものであれば特に制限されない。 すなわち、本発明において実質的に蛍光性でないとは、通常の測定条件では蛍光スペクトルを示さないか、もしくは極めて弱い蛍光のみ示し、実質的には市販の装置等により、蛍光分光分析ができないとされているものをいう(西川泰治等、”蛍光リン光分析法”、共立出版、30ページ、1984年)。【0016】本発明においては、蛍光量子収率が特定の条件で1%以下の場合は、ここでいう実質的に蛍光性を示さない色素であり、蛍光量子収率が特定の条件で10ー2%以下の場合は、特に実質的に蛍光性を示さない色素を意味する。【0017】ただし、特別な測定条件、測定装置等により極微弱な蛍光を検出可能である場合においては、本発明において実質的に蛍光性でない色素が本発明に係る処理により蛍光性となり、蛍光分析が可能となるという意味は、該色素の蛍光量子収率が通常の測定条件では極めて小さい(例えば0.01%以下)が、本発明に係る処理により抗体と相互作用することにより大きく変化する(例えば1%以上)ということを意味するものとする。【0018】さらに本発明において使用可能な色素は、水中など通常の溶媒中で蛍光性である(蛍光量子収率が1%より大きい)ものも含まれる。【0019】この場合においては、本発明に係る処理により蛍光強度がさらに増加することを意味し、通常の蛍光分析で得られる感度以上の分析感度を得ることができることを意味する。ここで蛍光強度が増加するとは、蛍光量子収率が変化し、大きくなることを意味する。【0020】本発明においては、上記の蛍光量子収率増大が少なくとも10倍以上であることが望ましいが、100倍、さらには1000倍以上(より好ましくは10000倍以上)増加することが望ましい。【0021】例えば、マラカイトグリーンについては、約1000倍以上の蛍光量子収率の増加が得られ得る。【0022】また本発明で使用可能な色素とは必ずしも可視部の吸収(350nm以上に吸収極大を有する)を有する必要はなく、紫外部(350nm以下に吸収極大を有する)の吸収を有するもの、または吸収バンドが可視部にまで及んでいるものでもよい。【0023】本発明で使用可能な色素の分子構造は特に制限されず、種々の発色団(クロモファ)を含むものが可能である。【0024】特に、pHが中性附近で安定な発色団を含むものが望ましい。【0025】例えば、分子構造中にトリフェニルメタン骨格を有する色素が特に好ましく(例えば、講談社サイエンティフィック社、大河原信編「色素ハンドブック」参照)、さらに分子構造中にトリフェニルメタン骨格を有する色素であるマラカイトグリーン等が特に好ましく使用される。【0026】またジフェニルメタン骨格を有する色素(例えば、講談社サイエンティフィック社、大河原信編「色素ハンドブック」参照)も好ましく使用可能である。ジフェニルメタン系の色素としては例えばオーラミン系色素が好適に使用可能である。特にオーラミンOの使用が好ましい。【0027】(被検体)本発明に係る方法を用いて測定可能な被検体としては特に制限はない。すなわち、本発明に係る色素を結合可能であり、かつ、得られる色素被検体複合体が、本発明に係る抗原抗体反応においての免疫抗原となりうるものであればよい。【0028】この際、必要ならば、さらに、該色素被検体複合体に特定の化学修飾をすることにより、抗原性の改良等が可能となる。例えば、ウシ血清アルブミン、ヒト血清アルブミン、ウサギ血清アルブミン、卵白アルブミン、ウシガンマグロブリン、ウマ血清グロブリン、ヒトガンマグロブリン、ヒツジガンマグロブリン、ウシチログロブリン、ブタチログロブリン、ヘモシアニン、合成ペプチド等が挙げられる。【0029】さらに具体的には、本発明において被検体となりうるものには、例えば、種々の生理活性物質(ペプチドホルモン、酵素、各種抗体)、病源体(細菌、ウイルス)が挙げられる。本発明においてはこのうち特にインシュリンが好ましい例として挙げられる。【0030】さらに、本発明は、被検体の化学構造(例えば、アミノ酸配列)が極めて近似しているため、そのまま抗原として用いた場合に十分な差を有する抗体が得られず、従って通常の抗原抗体反応を用いることができない場合においても好ましく使用できるものである。すなわち、係る化学構造が近似している場合であっても本発明においてはさらに特定の蛍光色素を結合したものを抗原とするものであり、この構成のため、得られる抗体は十分な抗原認識性を有するものとなる。【0031】(被検体色素複合体調整法:実質的に蛍光性でない色素を被検体に結合する方法)本発明で、実質的に蛍光性でない色素を有する抗原(以下被検体色素複合体、または色素被検体複合体という)の作製方法については特に制限されない。【0032】例えば、上記被検体と実質的に蛍光性でない色素を所定時間撹拌混合し、ゲル瀘過クロマトグラフィを用いて該色素を有する抗原の画分を分離することが可能である。【0033】さらに必要な場合には例えば免疫反応を利用する精製手段を使用することにより精製することも可能である(例えば、日本生化学会編 続化学実験講座 5巻免疫生化学研究法(東京化学同人)、25〜31ページ、1.3抗体の特異的精製法を参照)。【0034】得られた該色素を有する抗原の濃度は例えばLowry法で定量可能である。【0035】(抗被検体色素複合体抗体:抗体作製方法)本発明で使用する抗体(以下抗被検体色素複合体抗体という)の調整は通常の免疫工程をもちいて好ましく作製可能である。【0036】免疫動物としては特に制限されないが、ウサギ、およびモルモットが好適に使用可能である。【0037】本発明で使用可能な免疫アジュバントは特に制限されないが、一般的なフロイント不完全アジュバント、アルミニウムアジュバント等が好適に使用可能である。【0038】本発明で使用可能な免疫注射法については特に制限はないが、例えばモルモットにおいては皮下注射、腹腔内注射等が好適に使用され得る。【0039】本発明においては、抗血清の産生確認と採取については、必要ならば追加免疫を実施し、試験採取を行い抗体価を調べることにより行うことが可能である。【0040】本発明において、採取された抗血清の分離には特に制限はなく、一般的な方法、例えば採決血液を凝固させた後、遠心分離により血清を分離することが可能である。得られた抗血清の抗原色素に対する特異的抗体活性は、酵素免疫反応等で好ましく測定可能である(例えば、日本生化学会編 続化学実験講座 5巻 免疫生化学研究法(東京化学同人)、62〜65ページ、1.4.6 酵素免疫測定法を参照)。【0041】(IgG画分)本発明においては、抗血清からのIgG画分の精製法は特に制限されない。塩析法、ゲル瀘過法、イオン交換クロマトグラフ法等が好ましく使用可能であり、特にプロテインA法が好ましく使用可能である。さらに得られたIgG画分はまた、遠心による限外濾過法により濃縮可能であり所定の濃度に調整可能である。【0042】(蛍光スペクトル測定法)本発明においては、上記抗体と蛍光性でない色素を混合することにより、当該混合溶液が蛍光性となり、得られた混合液の蛍光スペクトルを種々の測定法で測定することが可能である(蛍光・リン光分析法、西川・平本著、共立出版、第2章49〜99ページ)。【0043】特に、共存物の干渉を受けずに、色素からの蛍光のみを高感度で定量することが、対照混合物との蛍光差スペクトルを測定することにより可能となる。【0044】本発明において発現する蛍光量子収率は、色素、被検体、抗体作製上の偶然的要素に依存する。【0045】さらに本発明により、発現した蛍光性を利用して被検体の定量分析が可能となる。定量分析の限界は、上記量子収率に依存する。【0046】(被検体測定方法)本発明に係る蛍光免疫測定方法の具体的な実施態様については以下に示すように種々可能であり、測定の目的に応じて適宜選択可能である。本発明において被検体を検出する1つの好ましい態様は、図3で模式的に示されるように競合方法である。この方法においては、被検体は試料中に混合物として存在している場合でも、高感度(低バックグラウンド蛍光のため)でかつ実時間で測定可能となる。すなわち、被検体に色素を結合して得られる被検体色素複合体を調整し、それを抗原として通常方法に従い抗体(ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体の両方を含む)を作製した後、得られた抗被検体色素複合体抗体に対する、被検体色素複合体と被検体との競合反応に基づき、被検体の濃度を測定することが可能とな。この際、どちらかの濃度を過剰の条件として、得られる蛍光の時間変化を実時間でモニターすることが可能となる。【0047】より具体的に、被検体としてインシュリンを用いた例について以下説明する。ただし、インシュリンに制限されることはない。【0048】(1) 色素としてマラカイトグリーン(MG)を選択し、MGを共有結合により標識されたインシュリンをMG-Insとし、また、MGで標識されないインシュリンを単にインシュリン(Ins)とする。さらに、MG-Insを抗原とする抗体を抗Mg-Ins抗体とする。係る抗体は通常公知の方法で得られる。【0049】ここで得られたMG-Insは、抗Mg-Ins抗体との抗原抗体反応によって蛍光性になる(特開平9−5324)。すなわち、抗体との結合によりMG分子内の振動・回転が抑制され、励起状態から基底状態への非放射的遷移が抑制されたためと考えられる。従って、係る抗原抗体反応過程を発生するMGの蛍光変化により実時間でモニターすることが可能となる。【0050】(2) この抗原抗体反応は測定系中に共存させたインシュリンによる競争的抗原抗体反応の存在により抑制され、その抑制の程度は共存するインシュリン量に依存する。【0051】したがって、抗Mg-Ins抗体とMG-Insを一定量にした条件下で、この抑制の程度から測定系中の被検体たるインシュリンの定量が可能となる。【0052】(3) この抑制の過程又は程度を数量的に評価するにはいくつかの方法が可能である。具体的には、測定系中のインシュリン濃度が増えるにつれ、MGからの蛍光の増加が鈍ることとなり、MGの蛍光増加の時間変化を示す曲線はその傾き(図2、Slope1とSIope2)が小さくなり、一定の蛍光強度に達する時間が遅くなり(図2、t1とt2)、また一定時間後(図2、t3)の蛍光強度は減少することとなる。【0053】係る数値とインシュリン濃度の相関から検量線を作成可能となる。具体的には、例えば、反応開始5分後の蛍光強度とインシュリン濃度の相関関係を求めることが可能である。【0054】(4) なお、抗原抗体反応の反応の順序についても特に制限はない。例えばインシュリンと抗体の反応を先に反応させた後に、一定量のMG-Insを加えることが可能である。その理由は、本来の列原であるMG-Insの方がインシュリンよりも強く抗体に結合すると予想されるからである。したがって、この場合は、蛍光強度の時間変化は、抗体と平衡が成立したインシュリンが追い出されて、MG-Insに置き換わっていく過程を蛍光量の時間変化で実時間で計測することとなる(図3)。【0055】さらに、本発明の別の態様としては、まず試料中の被検体に色素を結合する前処理を施した後、得られた色素被検体複合体と本発明に係る抗体との間での抗原抗体反応に基づき、直接被検体の濃度を測定する方法がある。該方法は、試料中の被検体が高純度で存在している場合に特に使用可能である。【0056】【作用】本発明によれば、実質的に蛍光性でない色素を有する被検体(色素被検体複合体)を抗原とする抗体に対し、前記複合体と被検体との競争的な抗原抗体反応に基づき前記色素が蛍光性となり、この蛍光の変化を測定することにより、上記被検体を実時間で定量可能となる。【0057】以下本発明の実施例を詳細に説明するが、本発明は係る実施例に制限されるものではない。【0058】【実施例】(1) マラカイトグリーン標識インシュリン(MG-Ins)の調製インシュリン(Zn free、porcine、Biomedical Technologies Inc.製)10.0mgを5mlの炭酸バッファー(0.5M、pH9.0)に溶解した。この溶液に、アセトン0.1mlに溶解したマラカイトグリーンイソチオシアネイト(MGITC、Molecular Probe Inc.製)1.5mgを添加し、遮光し4℃で一昼夜攪拌した。【0059】次に、リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)にて平衡化したゲル濾過カラム(Econo−Pac lODG、Bio−Rad社製)に上記の反応液3mlを供し、4mlのPBSを力ラム上部より流してゲル濾過クロマトグラフィーを行い、未反応のMGITCを除去してMG-Ins画分を分離した。【0060】(2) MG−Insの免疫2-1.初回免疫上記得られたMG-Ins画分50μlを生理食塩水2.1mlで希釈し、抗原溶液とした。これを0.22μmのフィルターをつけた注射器(5ml)を用い、無菌的にアジュバント(Ribi Adjuvant System、Ribi社製)のバイアルに注入した。その後、このバイアルを2分間激しく振揺し、抗原溶液とアジュバントとのエマルジヨンを調整した。RASバイアルの取り扱いは添付の取扱説明書に従った。 得られたエマルジヨンをモルモット(Hartley、メス、SPF、n=4)に麻酔下(ネンブタール、投与量は8mg/kg)で、一匹あたり0.5mlを投与した(後背部皮下に0.1mlX4カ所、腹腔内に0.1ml)。【0061】2-2.追加免疫初回免疫から3〜4週間間隔で2回、追加免疫を行った。抗原量およびアジュバントは初回免疫と同じであった。【0062】(3) 抗MG-1ns血清の坑体価測定上記得られた抗血清のMG-Insに対する特異的抗体活性を、以下のように酵素免疫測定法により確認した。【0063】3-1. 抗体価測定の時期1回目の追加免疫の2週間後、免疫したモルモットより少量の血液を採取し、抗体価を測定した。採血は、耳介静脈を手術用メスで切開し、漏れ出てくる血液をへマトクリット測定用キャピラリーにて採取して行った。このキャピラリーの一端をseal-ease(Becton Dickinson and Company)で封じ、これを遠心機(KOKUSAN MODEL H-103RS 国産遠心機(株))にセットし3000rpm、4℃にて10分間遠心し血清を分離した。【0064】この血清の抗体価を後述の方法で測定した結果、追加免疫2週間後に十分な抗体価の上昇が見られることを確認した。この結果を踏まえ、2回目の追加免疫から2週間後に全採血を行い、その後同様にして最終的な抗体価を測定した。【0065】3-2. 抗血清の調整モルモットより全採血した血液を滅菌した試験管に取り、インキュベーター中にて37℃で1時間放置し、血餅の生成を促進させた。ついで4℃で一夜放置し血餅を収縮させた後、遠心機(KOKUSAN MODEL H-103RS 国産遠心機(株)製)にセットして3000rpm、4℃にて10分間遠心し抗血清を分離した。【0066】3-3. 酵素免疫測定法MG-Insのゲル濾過画分70μlを50mM炭酸緩衝液(pH9.6)7mlに溶解し、プラスチック製の96穴イムノタイタープレイト(greiner社製、ELISA-PLATE)の各ウェルに0.1mlずつ分注した。これを4℃で一夜放置し、MG-Insをタイタープレイト内壁に吸着させた。【0067】このイムノタイタープレイトの各ウエルに洗浄液(0.05% Tween20を含むPBS)を各ウェルに0.1ml加えたのち排出した。この洗浄工程を3回繰り返した。つぎにブロッキング溶液(1%ゼラチンを含むPBS)を各ウェルに0.1ml加え、4℃で一夜放置した。【0068】その後再び洗浄液で同様に洗浄し、PBSによる抗血清の希釈溶液(100〜12、800倍)、あるいは対照として免疫を行っていないモルモットの血清(希釈せず)を各ウェルに0.1ml加えた。このタイタープレイトを室温下10時間放置し、抗原と抗体を反応させた。【0069】その後洗浄液で同様に洗浄し、horseradish peroxidase標識ヤギ抗モルモットIgG抗体溶液(最終濃度は16μg/mlとした。Cappe1社製)を各ウェルに0.1ml加え4℃で一夜放置し、抗血清中のIgGと酵素抗体を反応させた。【0070】その後洗浄液で同様に洗浄し、反応基質溶液(ABTS Peroxidase Substrate System、Kirkegaard & Perry Laboratories社製)を同試薬の取り扱い説明書に従って各ウェルに0.1ml添加した。これを37℃のインキュベータ中に45分間置いて酵素反応を行わせた後、反応停止液(1%SDS水溶液)を各ウェルに0.1ml添加した。このイムノタイタープレートをプレートリーダー(Bio-Rad社製、モデル3550)にセットし、405nmの吸光度を測定した。【0071】3-4. 抗体価測定の結果2回目の追加免疫から1週間後に全採血して得た抗血清について、抗体価を測定した。その一例の結果を図4に示す。この抗血清は3200倍希釈まで対照に比し有意な抗体活性を示した。【0072】(4) IgG画分の精製上記得られた抗血清から、プロテインAを用いてIgG画分を精製した。プロテインAは黄色ブドウ球菌が産出する蛋白質で、ヒト・マウス・兎などのIgGのFcフラグメントに特異的に結合することが知られている(文献 今堀和友 山川民夫 監修、「生化学辞典」、p1107、東京化学同人(1984))。プロテインAを固定したカラム(抗体精製用プロテインAカラムキット、Ampure PA Kit、Amersham社製)を、その取扱説明書に従って用い、本抗血清1mlからIgG画分、約4mlを得た。【0073】このIgG画分を遠心濃縮した。試料前処理用カートリッジ遠心濃縮用ULTRACENT-10(東ソー製)にIgG画分1〜1.5mlを入れ、4℃冷却下、5000rpm(x3000G)で30〜60分遠心した。これを繰り返し、4mlのプロテインA力ラム画分を0.7mlまで濃縮した。【0074】この濃縮IgG画分の蛋白定量をBio-Radプロテインアッセイ(Bio-Rad社製)を用い、その取扱説明書に従い行った。標準試料としてウシγグロブリンを用いた。その結果、各モルモットから得られた濃縮IgG画分の蛋白質濃度は34.5〜42.4μMであった。【0075】(5) 抗MG-Ins抗体(IgG)によるMGの蛍光化濃縮された抗MG-Ins血清由来IgG画分とMGおよびMG-InSを反応させ、MGの蛍光スペクトルを検討した。なお、蛍光スペクトルの測定はHITACHI850蛍光分光光度計(日立製)を使用し、励起波長620nm、蛍光波長630〜750nm、バンドパス5nm(励起側、発光側ともに)、スキャンスピード60nm/min、時定数2秒、光電子増倍管利得Highで測定した。試料は励起光側光路長1cmの蛍光測定用石英セルに入れ、測定を行った。【0076】5-1.抗MG-Ins抗体(IgG)とMGの反応・および蛍光スペクトルPBSを用い、抗MG-Ins抗体(IgG)とMGの混合液を調整した。最終濃度はIgGが4μM、MGが4μMに調製した。MGの濃度は濃度消光が起こらないように設定した。また、IgG画分中にはMGと反応しないものも含まれているので、IgGとMGの濃度比を厳密に設定することは意味がなく、任意に設定した。対照として、モルモットのγグロブリン(INTER-CELLTECHNOLOGIES、INC.)からプロテインA力ラムにより精製したブランクIgG画分を使用した。【0077】この混合液の蛍光スペクトルを図5に示す。これは抗MG-Ins抗体(IgG)とMGの混合液の蛍光スペクトルから、ブランクIgGとMGの混合液の蛍光スペクトルを差し引いたものである。ブランクIgGとMGの反応は、特異的な抗原抗体反応に困らない全てのバックグラウンド(セル自体の蛍光や溶媒のラマン散乱、抗体とMGの非特異的な反応による蛍光など)を与える。これを差し引いてなお蛍光スペクトルが得られることから、抗MG-Ins抗体(IgG)がその特異的抗体活性によりMGを蛍光性に転換したことが分かる。【0078】5-2.抗MG-Ins抗体(IgG)とMG-Insの反応PBSを用い、抗MG-Ins抗体(IgG)とMG-Insの混合液を調整した。最終濃度はIgGが4μM、MG-Insが0.67μMに調製した。MG-Insの濃度はMGのε620=1.5×105M-lcm-1(文献 D.G.Jay, Pro.Natl.Acad.Sci.USA、Vol.85 pp5454-5458(1988))から計算した。この濃度設定をした根拠は、本抗体(IgG)とMGの反応、の場合と同様である。【0079】対照のブランクIgGは、モルモットのγグロブリン(INTER-CELL TECHNOLOGIES、INC.)からプロテインA力ラムにより精製したブランクIgG画分を使用した。【0080】この混合液の蛍光スペクトルを図6に示す。これは抗MG-Ins抗体(IgG)とMG-Insの混合液の蛍光スペクトルから、ブランクIgGとMG-Insの混合液の蛍光スペクトルを差し引いたものである。この差スペクトルから、抗MG-Ins抗体(IgG)がその特異的抗体活性により、インシュリンに標識されたMGを蛍光性に転換したことが分かる。【0081】5-3.抗インシュリン抗体とMG-Insの反応(i) 5-2.で得られた結果は、抗体がインシュリンとMGの両者をそれぞれエピトープとして認識できる事を示すものである。一方、インシュリンのみを認識する抗体ではMGを効果的に蛍光性に転換することはできない事を示すものである。【0082】実際、抗インシュリン抗体のなかにはMG-Ins上のMG標識部位周辺をエピトープに持つものが存在し、それらの抗体は弱いながらもMG-Insを認識し、その結果、MG分子内の自由回転を抑制してMGを蛍光性にすることも考えられる。しかしながら、さらに、そのような抗原抗体反応は抗MG-Ins抗体の場合に比べて弱いものであり、またMGを正確に認識できないため、MGを蛍光性にする効率は低いと考えられる。以上の予想を確認する目的で、抗インシュリン抗体とMG-Insとの抗原抗体反応により生ずる蛍光スペクトルを測定した。【0083】(ii) まず、抗ブタインシュリン抗血清(HYCOR BIOMEDICAL INC.製)から抗ブタインシュリンIgGを含むIgG画分(以下、抗インシュリンIgG)をプロテインA力ラムにより精製した。上記と同様にBio-Radプロテインアッセイ(Bio-Rad社製)にてIgG濃度を求めた結果、8.78μMであった。【0084】(iii) 次に、このIgG画分にMG-Insを反応させて蛍光スペクトルを測定した。対照として、ブランクIgGと抗MG-Ins抗体(IgG)を用いた。各成分の最終濃度はMG-Ins、ブランクIgGおよび抗MG-Ins抗体を0.5μMに、抗インシュリンIgGを0.5、2.0、8.0μMに調整した。【0085】抗インシュリンIgG濃度を複数設定した理由は次の通りである。すなわち、抗インシュリン抗体がMGを蛍光性にする活性はあったとしても小さいものなのでそれを検出するためには抗MG-Ins抗体(IgG)の場合に比べて大量の抗体が必要だと予想されたためである。そして、どの程度の量で十分か、事前に予測できないので、複数の濃度を設定した。【0086】(iv) 結果を図7に示す。抗インシュリンIgGがMG-Ins上のMGを蛍光性にする活性は、同IgGの濃度が0.5及び2.0μMではブランクIgG以下か同程度であり、有意差は見られなかった。【0087】抗インシュリンIgG濃度が8.0μMではじめてブランクIgGよりやや高い活性を示すが、陽性対照である抗MG-Ins抗体(IgG)に比較すると著しく弱い。【0088】この結果より、本発明に係る抗体は、抗原たるMG-InsのMG及びInsの両者をそれぞれエピトープとして認識可能なものである必要があることが示された。【0089】(6) 抗MG-Ins抗体(IgG)とインシュリンの競合的抗原抗体反応によるインシュリンの定量(i) 一定量の抗MG-Ins抗体(IgG)に対する一定量のMG-Insと変化量のインシュリンの競合反応の程度を、MG-Insが発する蛍光の時間変化により計測した。この実験結果より、インシュリン添加一定時間後の蛍光強度と添加インシュリン濃度との相関関係(検量線)を求めた。【0090】(ii) 蛍光測定は以下のように行った。【0091】まず蛍光測定用石英セル(光路長1cm)内で抗MG-Ins抗体(IgG)のPBS溶液18μl、インシュリンのPBS溶液0〜900μlを混合し、PBSを添加して液量を987μlに調製した。【0092】このセルを恒温槽(endocal refrigerated circulating bath RTE-5、NESLAB Insturuments、Inc.製)に連結された蛍光分光光度計のセルホルダーにセットし温度を35℃分に保った。また、抗原抗体反応が速やかにかつ均一に進行するように、マグネティックスターラーバーを用いて測定試料を常に攪拌した。この状態で10分間放置し、プレインキュベーシヨンした。次にMG-InsのPBS溶液13μlをマイクロシリンジにてセル内に瞬時に添加した。【0093】(iii) 添加前から蛍光分光光度計の記録をスタートさせ、MG-Ins添加前および添加後の蛍光強度変化を実時間で測定した。各成分の最終濃度はIgGが0.25μM、インシュリンが0〜29.8μM、MG-Insが0.078μMであった。蛍光測定の条件は励起波長が620nm、発光波長が650nm、バンドパスフィルターが5nm(励起側、蛍光側ともに)、時定数が2秒、光電子増倍管利得がHighであった。【0094】蛍光強度の時間変化の例を図8に示す。縦軸が蛍光強度、横軸が時間、上の曲線がインシュリンなし、下がインシュリン7.44μMの場合である。この結果より、インシュリン濃度が大きくなるにつれて同一時間後の蛍光強度が小さくなることが示された。【0095】また、MG-Ins添加5分後の蛍光強度とインシュリン濃度の関係を図9に示す。この図では、インシュリンの各濃度(n=1)ごとにMG-Ins添加直前の蛍光強度(バックグラウンド)を5分後の蛍光強度から差し引いた値をプロットしてある。この図から明らかなように、測定試料のインシュリン濃度が増加すると5分後の蛍光強度は単調に減少した。この関係を検量線として用いて、未知試料中のインシュリン量を推定できることとなる。【0096】【発明の効果】以上、詳細に説明したように、本発明によれば、実質的に蛍光性でない色素を結合した物質を抗原とした抗体を作製し、この抗体と該抗原を混合することにより実質的に蛍光性でない色素を蛍光性とすることが可能となり、該抗原の微量蛍光分析を可能とする。またバックグラウンドレベルを極めて低減でき、高感度の測定が可能となる。さらには実時間測定が可能となる。すなわち、標識が常に活性(標識の活性が抗原抗体反応とは無関係)の場合、抗体がイムノタイタープレート等に非特異吸着を起こしてバックグラウンドとなる。一方本発明によれば、抗体あるいはMG標識抗原のどちらかがなんらかの非特異吸着を起こしても、両者が反応しないかぎり蛍光を発生することはなく、それだけではバックグラウンドとはならない。【0097】さらに、生体は、自分自身の構成成分物質に対しては免疫寛容になっていて抗体はできず、また、特定の物質(例えばインシュリン)について別種類の動物の場合であって、そのアミノ酸配列がほとんど同一の場合はどの動物を用いても抗体を作成することはできない。一方本発明においては、抗原は測定対象にMGを標識した人工物質であるため抗体が容易に生成され得る。従って、従来、抗体の作成が困難であるため、免疫測定が不可能あるいは極めて困難であった物質についても測定可能となる。【図面の簡単な説明】【図1】本発明に係る蛍光免疫測定方法を模式的に示す図である。【図2】抗MG-Ins抗体と、MG-Insの反応に対するインシュリンによる抑制の程度を数量的に評価する方法を示す図である。【図3】本発明に基づき、抗MG-Ins抗体に対するMG-Insとインシュリンの競合反応を用いてインシュリンを定量する方法の原理を示す図である。【図4】2回目の追加免疫から1週間後の抗血清の抗体値を示す図である。【図5】 MGが抗MG-Ins抗体(IgG)と反応したときの蛍光スペクトル(差スペクトル)を示す図である。【図6】 MG-Insが抗MG-Ins抗体(IgG)と結合したときのMGの蛍光スペクトル(差スペクトル)を示す図である。【図7】 MG-Insが抗インシュリン抗体(IgG)と結合したときの蛍光スペクトルを示す図である。ここで、(1)は抗MG-Ins抗体0.5μM、(2)はブランクIgG 0.5μM、(3)は抗インシュリンIgG 0.5μM、(4)は抗インシュリンIgG 2.0μM、(5)は抗インシュリンIgG 8.0μMでの場合を示す。【図8】抗MG-Ins抗体に対するMG-Insとインシュリンの競合反応の際の蛍光強度の時間変化を示す図である。【図9】 MG-Ins添加5分後の蛍光強度と、インシュリン濃度との関係を示す図である。 被検体の蛍光免疫測定方法であって、(1)被検体に実質的に蛍光性でない色素を結合して被検体色素複合体を調製する工程と、(2)前記被検体色素複合体を抗原とし、前記被検体及び前記色素の両者をそれぞれエピトープとして認識する、抗被検体色素複合体抗体を調製する工程と、(3)前記被検体存在下で、前記抗被検体色素複合体抗体に対する前記被検体色素複合体との抗原抗体反応に基づく前記色素の蛍光強度の変化を測定する工程とを有することを特徴とする蛍光免疫測定方法。 前記抗被検体色素複合体抗体がIgG画分であることを特徴とする請求項1に記載の蛍光免疫測定方法。 前記被検体が、インシュリンであることを特徴とする請求項1に記載の蛍光免疫測定方法。 前記色素が、トリフェニルメタン構造を有することを特徴とする、請求項1または3のいずれかに記載の蛍光免疫測定方法。 前記トリフェニルメタン構造を有する色素がマラカイトグリーンであることを特徴とする請求項4に記載の蛍光免疫測定方法。 前記色素が、ジフェニルメタン構造を有することを特徴とする、請求項1または3に記載の蛍光免疫測定方法。 前記ジフェニルメタン構造を有する色素がオーラミンOであることを特徴とする請求項6に記載の蛍光免疫測定方法。


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